JP2019129844A - 抗体を用いた標的核酸濃縮及び回収法 - Google Patents
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Abstract
【課題】核酸を含有する試料から遺伝子増幅反応に利用可能な状態で核酸を濃縮できる、効率的な核酸回収方法の提供。【解決手段】核酸が結合している蛋白質(核蛋白質、蛋白質−核酸複合体)をターゲットとし、蛋白質に対する特異抗体を作用させ、抗体を吸着しうる担体を用いて、担体上に濃縮された核酸を得る方法。蛋白質と結合した核酸が細胞内に存在している場合は、界面活性剤処理を行うことにより、核酸が蛋白質から解離することなく回収することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、生体試料などの核酸を含有する試料から標的核酸を濃縮及び回収する技術に関する。
生体試料や細菌、ウイルスなどから核酸を濃縮及び回収する方法として、ブーム法(非特許文献1)が広く応用されている。この方法は、先ず、チオシアン酸イオンや塩素酸イオンなどを含むカオトロピック塩の存在下で核酸をシリカゲル粒子へ結合させた後、次に、70%程度のアルコール水溶液(エタノール水溶液、イソプロパノール水溶液など)でシリカビーズを洗浄し、カオトロピック塩や夾雑物を除去する。続いて、シリカビーズを乾燥させることにより、アルコール(エタノール、イソプロパノールなど)を除去した後、シリカビーズに吸着された核酸を、低濃度のバッファー若しくは水で分離させ回収することができる。回収した核酸は、遺伝子増幅反応(PCR(Polymerase Chain Reaction)、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)など)や逆転写反応を組み合わせた遺伝子増幅反応(Reverse Transcription PCR (RT-PCR)、逆転写酵素を用いたLAMPなど)に適用することも可能である。
ヒト生体試料(血液、尿、組織など)から回収された核酸は、疾病の診断や治療薬の効果予測の指標などに用いられている。例えば、肺癌患者で行われるEGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)遺伝子の変異検査は、肺癌組織からブーム法などを使用して濃縮及び回収されたDNAを用いて行われ、チロシンキナーゼ阻害剤による治療の薬効判定に重要な検査として、すでに臨床応用されている。一般に、癌患者から生検の目的で組織片を採取するバイオプシーは、高い侵襲性を伴う。特に再発が多い肺癌患者では、頻回のバイオプシーが必要とされるが、侵襲性の問題から困難であるケースが多い。その代用として、近年血液中を循環しているDNA断片(ccfDNA; circulating cell free DNA)を回収して、検査する方法も検討されている。真核生物の染色体DNAは、ヒストン蛋白質に巻きついて存在することが知られており、アポトーシスによって細胞死が起こると、ヒストン蛋白質に巻きついていない領域でDNAの切断が行われるが、ヒストン蛋白質に巻きついた領域だけは切断されずに、ccfDNAとして存在できることが報告されている(非特許文献2)。このccfDNAも、ブーム法を応用してDNA断片の回収が可能であり、既にキットとして販売されている(キアゲン社製、「QIAamp Circulating Nucleic Acid kit」, カタログ番号:55114)。
感染症検査としての細菌やウイルス検査は、細胞膜や細胞内蛋白質に対する特異抗体を用いて、イムノクロマト法などのPOC検査として、臨床応用されている。その中で、特にインフルエンザ感染症に関しては、感染初期ではPOC検査では感度不足により偽陰性となることが多く、インフルエンザウイルスのRNAを用いた高感度検出系も開発されている。インフルエンザウイルスのRNAは、エンベロープ内部にあるNP蛋白とよばれる核タンパク質にらせん状に巻き付いて存在していることが知られており、このRNAはブーム法を利用した方法により回収が可能である。
また特許文献1には、細胞性mRNAタンパク質(mRNP)複合体に含まれるRNA結合タンパク質またはRNA関連タンパク質を結合するリガンドと、該リガンドに対して特異的な結合分子と、該結合分子を付着させる固体支持体を用いる内在性のmRNP複合体の単離および特徴づけの方法が開示されている。
J. Clin. Microbiol. 1990(28)495-503.
Cell, 2016(164)57-68.
ブーム法又はブーム法を応用した核酸の濃縮及び回収方法においては、濃縮及び回収した核酸を増幅反応の鋳型として用いる際には、カオトロピック塩が混入すると反応が阻害される可能性があるので、シリカビーズに吸着した核酸が解離しないように高濃度のアルコール(70%程度のアルコール水溶液、例えば、エタノール水溶液、イソプロパノール水溶液など)による十分な洗浄が必要である。さらに洗浄液中のアルコールの混入によっても反応が阻害される場合があるので、シリカビーズの十分な乾燥操作が必要となる。そのため、カオトロピック塩やアルコールを使用しないことにより、核酸回収操作時間の短縮及び簡素化が求められていた。
本発明では、核酸を含有する試料から、カオトロピック塩やアルコールを使用しないで核酸を濃縮できる、効率的な核酸回収方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、核酸自体をターゲットにするのではなく、核酸が結合している蛋白質(以下、核蛋白質、蛋白質-核酸複合体ともいう)をターゲットとし、具体的には蛋白質に対する特異抗体を作用させることで、当該蛋白質と同時に核酸を捕捉できること見出し、本発明を完成させるに至った。さらに、本発明者らは、動物細胞、細菌、ウイルスなど、蛋白質と結合した核酸が細胞内(但し、ウイルスにおいてはエンベロープ内)に存在している場合は、界面活性剤を処理することで、核酸を蛋白質から解離させることなく、核蛋白質に結合している核酸を当該核蛋白質に対する特異抗体を用いて捕捉し、濃縮及び回収(「濃縮」という用語は、「抽出」、あるいは、「捕捉」と言い換えても良い。以下、同じ。)することができることを見出した。
すなわち本発明は、次の[実施態様1]〜[実施態様27]を提供するものである。
[実施態様1]
核酸を濃縮する方法であって、下記工程(a)〜(c)が含まれる方法:
(a)蛋白質と核酸とが結合した蛋白質-核酸複合体を含む試料を提供する工程;
(b)前記試料と、前記蛋白質に特異的に反応する抗体と、前記抗体を吸着しうる担体と、を接触させる工程;及び
(c)前記担体を前記試料から回収し、前記担体上に、濃縮された核酸を得る工程。
[実施態様2]
(d)前記担体から前記濃縮された核酸を分離する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
工程(b)において、前記担体として、前記抗体が前記担体に担持された抗体担持担体を接触させる、実施態様1又は2に記載の方法。
[実施態様4]
工程(d)において、前記抗体担持担体に免疫反応により吸着させた前記蛋白質-核酸複合体から核酸が脱着される、実施態様3に記載の方法。
[実施態様5]
工程(b)において、前記抗体と前記蛋白質-核酸複合体とが結合した抗体-蛋白質-核酸複合体が形成される、実施態様1〜4に記載の方法。
[実施態様6]
工程(d)において、前記担体に物理吸着により吸着させた前記抗体-蛋白質-核酸複合体から核酸が脱着される、実施態様5に記載の方法。
[実施態様7]
実施態様1〜6に記載の方法であって、
工程(a)の前、工程(a)において、又は工程(a)と工程(b)の間に、さらに下記工程(a')が含まれる方法:
(a')前記蛋白質-核酸複合体を含む試料に、界面活性剤を添加する工程。
[実施態様8]
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、から選ばれる1以上である、実施態様7に記載の方法。
[実施態様9]
前記試料が生体試料、及び、病原微生物又はウイルスを含む試料、から選ばれる1以上である、実施態様1〜8に記載の方法。
[実施態様10]
前記生体試料が、動物細胞である、実施態様9に記載の方法。
[実施態様11]
前記生体試料が、血液、血漿、血清、尿、糞便、胆汁、膵液、鼻汁、鼻腔・咽頭拭い液から選ばれる1以上である、実施態様10に記載の方法。
[実施態様12]
前記病原微生物又はウイルスを含む試料が、病原微生物又はウイルスの培養物である、実施態様9に記載の方法。
[実施態様13]
前記ウイルスがインフルエンザウイルスである、実施態様9に記載の方法。
[実施態様14]
前記蛋白質が核蛋白質である、実施態様1〜13に記載の方法。
[実施態様15]
前記核蛋白質がヒストン、及び、ヌクレオカプシド蛋白質から選ばれる1以上である、実施態様14に記載の方法。
[実施態様16]
前記蛋白質-核酸複合体に特異的に反応する抗体が、核蛋白質を認識する抗体である、実施態様1〜15に記載の方法。
[実施態様17]
前記核蛋白質を認識する抗体が、抗ヒストン抗体、ヌクレオカプシド蛋白質を認識する抗体から選ばれる1以上である、実施態様16に記載の方法。
[実施態様18]
前記核酸が、メッセンジャーRNA (mRNA)を除く核酸である、実施態様1〜17に記載の方法。
[実施態様19]
前記核酸が、藻類DNA、藻類RNA、古細菌DNA、古細菌RNA、バクテリアDNA、バクテリアRNA、触媒活性DNA、環状DNA、連鎖状DNA、十字型DNA、真菌DNA、真菌RNA、蠕虫DNA、蠕虫RNA、遺伝子間DNA、アイソコア、マイクロRNA、腫瘍DNA、腫瘍RNA、核内RNA、植物DNA、植物RNA、原生動物DNA、原生動物RNA、組換えDNA、レトロエレメント、リボソームDNA、リボソームRN、サテライトDNA、サテライトRNA、転移RNA、非翻訳RNA、ウイルスDNA、及びウイルスRNAからなる群から選択される、実施態様1〜18に記載の方法。
[実施態様20]
前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間の水素結合によって形成されている、実施態様1〜19に記載の方法。
[実施態様21]
前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間の水素結合のみによって形成されている、実施態様1〜19に記載の方法。
[実施態様22]
前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間に共有結合を有しない、実施態様1〜21に記載の方法。
[実施態様23]
工程(d)において、前記蛋白質-核酸複合体を蛋白質分解酵素により処理する工程を含まない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様24]
前記蛋白質-核酸複合体を蛋白質分解酵素により処理する工程を含まない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様25]
0.0分以上、1.0分以上、2.0分以上、5.0分以上、10分以上、又は20分以上のソニケーション工程を含まない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様26]
0%以上、0.01%以上、0.02%以上、0.05%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、1.0%以上、2.0%以上、又は5.0%以上のホルムアルデヒドを使用しない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様27]
0単位以上、0.01単位以上、0.02単位以上、0.05単位以上、0.1単位以上、0.2単位以上、0.5単位以上、1.0単位以上、2.0単位以上、又は5.0単位以上のリボヌクレアーゼ(RNase) を使用しない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様1]
核酸を濃縮する方法であって、下記工程(a)〜(c)が含まれる方法:
(a)蛋白質と核酸とが結合した蛋白質-核酸複合体を含む試料を提供する工程;
(b)前記試料と、前記蛋白質に特異的に反応する抗体と、前記抗体を吸着しうる担体と、を接触させる工程;及び
(c)前記担体を前記試料から回収し、前記担体上に、濃縮された核酸を得る工程。
[実施態様2]
(d)前記担体から前記濃縮された核酸を分離する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
工程(b)において、前記担体として、前記抗体が前記担体に担持された抗体担持担体を接触させる、実施態様1又は2に記載の方法。
[実施態様4]
工程(d)において、前記抗体担持担体に免疫反応により吸着させた前記蛋白質-核酸複合体から核酸が脱着される、実施態様3に記載の方法。
[実施態様5]
工程(b)において、前記抗体と前記蛋白質-核酸複合体とが結合した抗体-蛋白質-核酸複合体が形成される、実施態様1〜4に記載の方法。
[実施態様6]
工程(d)において、前記担体に物理吸着により吸着させた前記抗体-蛋白質-核酸複合体から核酸が脱着される、実施態様5に記載の方法。
[実施態様7]
実施態様1〜6に記載の方法であって、
工程(a)の前、工程(a)において、又は工程(a)と工程(b)の間に、さらに下記工程(a')が含まれる方法:
(a')前記蛋白質-核酸複合体を含む試料に、界面活性剤を添加する工程。
[実施態様8]
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、から選ばれる1以上である、実施態様7に記載の方法。
[実施態様9]
前記試料が生体試料、及び、病原微生物又はウイルスを含む試料、から選ばれる1以上である、実施態様1〜8に記載の方法。
[実施態様10]
前記生体試料が、動物細胞である、実施態様9に記載の方法。
[実施態様11]
前記生体試料が、血液、血漿、血清、尿、糞便、胆汁、膵液、鼻汁、鼻腔・咽頭拭い液から選ばれる1以上である、実施態様10に記載の方法。
[実施態様12]
前記病原微生物又はウイルスを含む試料が、病原微生物又はウイルスの培養物である、実施態様9に記載の方法。
[実施態様13]
前記ウイルスがインフルエンザウイルスである、実施態様9に記載の方法。
[実施態様14]
前記蛋白質が核蛋白質である、実施態様1〜13に記載の方法。
[実施態様15]
前記核蛋白質がヒストン、及び、ヌクレオカプシド蛋白質から選ばれる1以上である、実施態様14に記載の方法。
[実施態様16]
前記蛋白質-核酸複合体に特異的に反応する抗体が、核蛋白質を認識する抗体である、実施態様1〜15に記載の方法。
[実施態様17]
前記核蛋白質を認識する抗体が、抗ヒストン抗体、ヌクレオカプシド蛋白質を認識する抗体から選ばれる1以上である、実施態様16に記載の方法。
[実施態様18]
前記核酸が、メッセンジャーRNA (mRNA)を除く核酸である、実施態様1〜17に記載の方法。
[実施態様19]
前記核酸が、藻類DNA、藻類RNA、古細菌DNA、古細菌RNA、バクテリアDNA、バクテリアRNA、触媒活性DNA、環状DNA、連鎖状DNA、十字型DNA、真菌DNA、真菌RNA、蠕虫DNA、蠕虫RNA、遺伝子間DNA、アイソコア、マイクロRNA、腫瘍DNA、腫瘍RNA、核内RNA、植物DNA、植物RNA、原生動物DNA、原生動物RNA、組換えDNA、レトロエレメント、リボソームDNA、リボソームRN、サテライトDNA、サテライトRNA、転移RNA、非翻訳RNA、ウイルスDNA、及びウイルスRNAからなる群から選択される、実施態様1〜18に記載の方法。
[実施態様20]
前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間の水素結合によって形成されている、実施態様1〜19に記載の方法。
[実施態様21]
前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間の水素結合のみによって形成されている、実施態様1〜19に記載の方法。
[実施態様22]
前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間に共有結合を有しない、実施態様1〜21に記載の方法。
[実施態様23]
工程(d)において、前記蛋白質-核酸複合体を蛋白質分解酵素により処理する工程を含まない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様24]
前記蛋白質-核酸複合体を蛋白質分解酵素により処理する工程を含まない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様25]
0.0分以上、1.0分以上、2.0分以上、5.0分以上、10分以上、又は20分以上のソニケーション工程を含まない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様26]
0%以上、0.01%以上、0.02%以上、0.05%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、1.0%以上、2.0%以上、又は5.0%以上のホルムアルデヒドを使用しない、実施態様1〜22に記載の方法。
[実施態様27]
0単位以上、0.01単位以上、0.02単位以上、0.05単位以上、0.1単位以上、0.2単位以上、0.5単位以上、1.0単位以上、2.0単位以上、又は5.0単位以上のリボヌクレアーゼ(RNase) を使用しない、実施態様1〜22に記載の方法。
本発明により、カオトロピック塩やアルコールを使用しないことにより、核酸回収操作時間の短縮及び簡素化が成され、試料中の蛋白質-核酸複合体または核酸の濃縮及び回収方法を提供することが可能となった。また、試料中の蛋白質-核酸複合体または核酸の濃縮及び回収方法も本発明の1つであり、試料中の蛋白質-核酸複合体または核酸の捕捉方法も本発明の1つである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「核酸」とは、リボ核酸(以下、ribonucleic acid、RNAともいう。)とデオキシリボ核酸(以下、deoxyribonucleic acid、DNAともいう。)の総称であり、塩基、糖、及びリン酸からなるヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で連なったものを意味する。本発明において、濃縮及び回収される核酸は、DNA及びRNAのどちらであってもよく、また断片化しているものであっても、していないものであっても対象となる。該核酸の由来は、動物、植物、微生物を含むあらゆる生物及びウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。また、細胞核内の核酸や、ミトコンドリアや葉緑体や核小体等に代表されるオルガネラが保持する核外由来の核酸でもよい。更に、人工的合成された核酸や、一般にベクターとして用いられるプラスミドやウイルスベクターでもよい。
本明細書において、「蛋白質」とは、α-アミノ酸がアミド結合(ペプチド結合ともいう。)により結合した高分子化合物を意味し、アミノ酸以外に糖、色素などを含んでいてもよい。
本明細書において、「蛋白質-核酸複合体」とは、蛋白質と核酸とが結合した複合体を意味する。典型的には、核蛋白質が例示でき、より具体的には、クロマチンを形成するヒストンのタンパク質群、リボ核蛋白質、テロメラーゼ、プロタミン等が例示できる。
本発明において、蛋白質としては、試料中に含まれる核酸に結合しうるものであれば、特定するものではないが、一般的には、核蛋白質が好適な対象である。核蛋白質としては、真核生物であればヒストンが好適であり、細菌及びウイルスの場合はそれぞれの核蛋白質となる。ウイルスの核蛋白質としては、ヌクレオカプシド蛋白質が好ましい。
本発明の蛋白質と核酸との結合様式は、イオン結合、疎水結合、共有結合など、特に限定されないが、イオン結合や疎水結合で結合している方が好ましい。これは、一般的に、イオン結合や疎水結合であれば、蛋白質と核酸とが容易に解離可能であるとされるためである。
本発明で適用できる抗体は、核酸が結合した蛋白質(蛋白質-核酸複合体)を捕捉しうる抗体であれば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれでも良い。当該抗体は、市販品の適用も可能であるが、独自に作製する場合でも周知の方法にて作製することができる。
ポリクローナル抗体の作製には、免疫する動物として、例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ等が用いられる。抗血清は、抗原を動物の皮下、皮内、または腹腔等に、一回又は複数回投与した後、血清から得ることができる。タンパク質、ペプチドを抗原として用いる時は、免疫賦活効果を有する補液との混合物による免疫がより好ましい。
また、モノクローナル抗体の作製には、公知のモノクローナル抗体作製方法、例えば、長宗香明、寺田弘共著、「単クローン抗体」廣川書店(1990年)や、Jame W.Golding,“Monoclonal Antibody” ,3rd edition,Academic Press,1996年に従い作製することができる。
本発明において、抗体としては、例えば、核蛋白質を認識する抗体が好ましく、抗ヒストン抗体、ウイルスのヌクレオカプシド蛋白質を認識する抗体がより好ましい。
抗体の作製に用いられる抗原としては、例えば、血液、血清、又は血漿中のccfDNA(Circulating cell-free DNA、循環細胞フリーDNA、セルフリーDNAともいう。)若しくは後述する動物細胞であればヒストン蛋白質であり、後述する病原微生物由来の場合はそれぞれの核蛋白質であり、ウイルス由来の場合にはヌクレオカプシド蛋白質であり、それら一部断片( ペプチド)を用いることもできるが、破砕液などクルード(Crude:自然のままの、生の、又は加工されていない、の意味)なものも用いることができる。
市販品若しくは作製した抗体を固定する為の担体としては、抗体を結合できるものであれば特に制限はなく、抗体の精製に適用されるイムノグロブリンに高い親和性のあるプロテインAやプロテインGが付加された樹脂や磁気ビーズが挙げられる。その他としては、従来からイムノクロマトグラフィー用テストストリップの不溶性メンブレン担体として用いられている公知のメンブレンが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン類、ガラス、セルロースやセルロース誘導体などの多糖類、セラミックス等からなる繊維から構成されるメンブレンがあげられる。具体的には、ザルトリウス社、ミリポア社、東洋濾紙社、ワットマン社などから市販されているガラス繊維ろ紙やセルロースろ紙などが挙げられる。
抗体を吸着しうる担体を作成する方法としては、US 2010/0248218又はJP 3899029 特許公報(B2)に記載の方法や、当業者に公知の任意の方法を用いることができる。より具体的には、ビオチン-アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、還元型グルタチオン-グルタチオンS-トランスフェラーゼなどの、特異的に結合するパートナーの一方を抗体に抱合し、他方を担体に担持させることにより、抗体を吸着しうる担体を作成することができる。あるいは、プロテインA、プロテインL、プロテインGなどの、抗体に特異的に結合する分子を担体に担持させることにより、抗体を吸着しうる担体を作成することができる。
本発明の一実施形態として、担体に該抗体を固定化させた後、該試料と抗体固定化担体とを接触させて、蛋白質-核酸複合体を抗体固定化担体に捕捉させる方法が挙げられる。この場合の捕捉は免疫反応による捕捉が好ましい。本発明の別の実施形態として、該蛋白質-核酸複合体に特異的に反応する抗体を作用させた後に、蛋白質-核酸複合体と抗体とが結合した蛋白質-核酸-抗体複合体を担体に捕捉させる方法が挙げられる。この場合の捕捉は、物理吸着(疎水性、静電相互作用等)による捕捉が好ましい。また、好ましくは、担体に該抗体を固定化させた後、該試料と抗体固定化担体とを接触させて蛋白質-核酸複合体を抗体固定化担体に捕捉させる方法が挙げられる。抗体固定化担体としては、抗体結合磁性粒子が例示できる。
蛋白質-核酸複合体又は抗体-蛋白質-核酸複合体から核酸を脱着する方法は、当業者に周知の方法により行うことができる(Cancer Genet. 2018 Mar 6. pii:S2210-7762(17)30267-3.; Transl Lung Cancer Res. 2016 Dec;5(6):665-672; J Mol Diagn. 2017 Jan;19(1):162-168; Anal Bioanal Chem. 2015 Sep;407(22):6873-8.; PLoS One. 2014 Mar 3;9(3):e87838; Cancer Biomark. 2013;13(5):385-94.; Yonsei Med J. 2012 Jan;53(1):132-7.; Clin Chim Acta. 2009 Jun 27;404(2):100-4.; QIAamp Circulating Nucleic Acid Handbook 10/2013; QIAamp Viral RNA Mini Handbook 12/2014参照)。
本明細書において、「蛋白質-核酸複合体を含む試料」の由来としては、後述する生体試料、または後述する病原微生物又はウイルスを含む試料、が好ましい。
本明細書において「生体試料」とは、血液、血漿、血清、尿、糞便、胆汁、唾液、鼻汁、鼻腔・咽頭拭い液、精液、その他の体液や分泌液、さらには、肺、心臓、肝臓、腎臓、脳、皮膚などの各種臓器およびこれら組織の破砕物など、生体から採取し得るあらゆる試料を意味する。さらに、該生体試料の由来は、動物、植物、微生物を含むあらゆる生物が挙げられ、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの由来である。動物としては、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類などが挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物としては、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、生体試料は、後述する病原微生物又はウイルスおよび/または病原微生物又はウイルスに由来する蛋白質-核酸複合体を含んでいてもよい。
生体試料から核酸を濃縮及び回収するための試料として、好ましくは、上述した生物から採取した各種細胞、例えば、組織細胞、血球、または尿、糞便、唾液、その他の体液や分泌液中に存在する細胞、および上述した生物由来の培養細胞株などが挙げられる。さらに、当該生体試料には、各種疾患(固形がん、白血病など)に特徴的な細胞も含まれる。生物から採取した各種細胞としては、動物由来細胞(単に動物細胞ともいう。)が好ましく、哺乳動物細胞がより好ましく、ヒト由来細胞がさらに好ましい。
本明細書において「病原微生物又はウイルスを含む試料」とは、後述する「病原微生物又はウイルス」を含む試料、または病原微生物又はウイルスに由来する蛋白質-核酸複合体を含む試料、を意味する。例えば、病原微生物又はウイルスの培養物、病原微生物又はウイルスの不活化処理物等が挙げられる。
本明細書において病原微生物又はウイルスとは、病原体のうち微生物又はウイルスであるものを意味し、感染の原因となる原虫、真菌、細菌、リケッチア、ウイルスなどが例示できるが、これらに限定されない。
本発明に適用可能な病原微生物又はウイルスは、蛋白質に核酸が結合している蛋白質-核酸複合体を有する病原微生物又はウイルスであれば、特に限定されない。例えば、カンジダ、クリプトコッカスなどの真菌類、マラリア原虫、赤痢アメーバ、膣トリコモナス、ニューモチスカリニ肺炎、エキノコックスなどの原虫類、梅毒トリポネーマなどのスピロヘータ類、淋菌、流行性髄膜炎菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎双球菌、赤痢菌、大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌、緑膿菌、百日咳菌、インフルエンザ菌、結核菌、破傷風菌、ライ菌、ジフテリア菌などの細菌類、マイコプラズマ類、リケッチア類、クラミジア類、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、肝炎ウイルス、エイズウイルス、麻しんウイルス、インフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルス類が候補として挙げられる。
本発明の方法においては、試料が、少なくとも動物細胞および/または病原微生物又はウイルスを含む場合に、後述する界面活性剤を含有する試薬で処理をして、蛋白質と結合した核酸を含む濃縮液を得る。
該界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が適用できる。本発明の特長の一つとして、該界面活性剤を用いると核酸の回収率が向上することが挙げられる。核酸回収率が向上するメカニズムは明らかとなってはいないが、動物細胞および/または病原微生物の脂質二重層(脂質二重膜ともいう)が溶解され、蛋白質と結合した核酸(蛋白質-核酸複合体)が溶出されることにより、核酸回収率が向上するものと推測される。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等が、陰イオン界面活性剤としては、コール酸類、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、コールアミド等が、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン、アルキルグルコシド、アルキルマンノシド、アルキルマルトシド、トレハロース化合物、アシル-N-メチルグルカミン等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤の例として、第四級アンモニウム塩の市販品としては、コータミン86Pコンク(花王社)が挙げられる。陰イオン性界面活性剤の例として、コール酸類の市販品としては、コール酸ナトリウム(和光純薬社)が挙げられる。両性界面活性剤の例として、アルキルベタインの市販品としては、アンヒトール20BSが、アルキルアミンオキサイドの市販品としては、アンヒトール20N(花王社)、コールアミドの市販品としては、CHAPS、CHAPSO(同仁化学研究所社)が挙げられる。非イオン性界面活性剤の例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品としては、エマルゲン120、エマルゲン430(花王社)が、アシル-N-メチルグルカミンの市販品としては、MEGA8、MEGA9(同仁化学研究所社)が挙げられる。
本明細書において、「界面活性剤を含有する試薬」とは、界面活性剤と緩衝液との組成物を意味する。
上記緩衝液としては、公知の塩化合物を含む緩衝液類を用いることが好ましい。具体的には、リン酸緩衝液(Phosphate buffered saline、PBS)、トリス緩衝液(トリス塩酸緩衝液、トリスとEDTAからなるTE緩衝液、トリスとホウ酸とEDTAからなるTBA緩衝液等)が例示できる。
上記緩衝液としては、公知の塩化合物を含む緩衝液類を用いることが好ましい。具体的には、リン酸緩衝液(Phosphate buffered saline、PBS)、トリス緩衝液(トリス塩酸緩衝液、トリスとEDTAからなるTE緩衝液、トリスとホウ酸とEDTAからなるTBA緩衝液等)が例示できる。
界面活性剤を含有する試薬で蛋白質-核酸複合体を含む試料を処理する手段としては、試料に添加し混和すればよい。界面活性剤の使用濃度は、用いる種類により適宜決定すれば良いが、例えば試料中0.01〜10 質量%、0.02〜5質量%、0.05〜2質量%、さらに0.1〜1質量% が好ましい。処理温度は、5〜40℃、特に10〜30℃ が好ましく、このときの処理時間は、1〜30分間が好ましく、1 〜20分間、1 〜10分間がより好ましい。また、試料を、1〜100倍、2〜50倍、特に4〜20倍に希釈することが好ましい。このとき、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等のpH6〜9付近、pH6〜9、pH6.5〜8.5、pH7〜8、の緩衝液が好適に用いられる。
以下に実施例をあげて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
インフルエンザウイルス由来核蛋白質を抗原としたモノクローナル抗体の作製例を参考として次に示す。
(参考例)
抗インフルエンザウイルス(A及びB)モノクローナル抗体の作製
ヒトインフルエンザAウイルス(A/Panama/2007/99)の核蛋白質(ヌクレオカプシド蛋白質)の組換蛋白質 20μgを、等量の市販のフロイドのコンプリートアジュバント(Freund's Complete Adjuvant)と混合した。それぞれの混合物を、マウスに4〜8週間おきに3〜6回皮下免疫を行った。免疫したマウスより脾臓細胞を摘出し、ポリエチレングリコールを用いた常法により、ミエローマ細胞(SP/2)と細胞融合を行った。ヒトインフルエンザBウイルス(B/Shangdon/7/97)についても、ヒトインフルエンザAウイルスと同様の手順により細胞融合を行った。
抗インフルエンザウイルス(A及びB)モノクローナル抗体の作製
ヒトインフルエンザAウイルス(A/Panama/2007/99)の核蛋白質(ヌクレオカプシド蛋白質)の組換蛋白質 20μgを、等量の市販のフロイドのコンプリートアジュバント(Freund's Complete Adjuvant)と混合した。それぞれの混合物を、マウスに4〜8週間おきに3〜6回皮下免疫を行った。免疫したマウスより脾臓細胞を摘出し、ポリエチレングリコールを用いた常法により、ミエローマ細胞(SP/2)と細胞融合を行った。ヒトインフルエンザBウイルス(B/Shangdon/7/97)についても、ヒトインフルエンザAウイルスと同様の手順により細胞融合を行った。
抗インフルエンザウイルスAモノクローナル抗体産生融合細胞、または抗インフルエンザウイルスBモノクローナル抗体産生融合細胞(以下、これらを単に融合細胞という場合がある。)の選択は、ELISA法を用いて選択した。まず、国立感染症研究所(NATIONAL INSTITUTE OF INFECTIOUS DISEASES、NIIDともいう。)インフルエンザウイルス研究センター(東京都新宿区戸山1-23-1)より分与された様々な亜型のウイルス株を不活化処理し、抗原を得た。得られた抗原に対して反応性の高いウエルを選択し、ついで限界希釈法にて選択する常法により融合細胞を選択した。抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体は、選択した融合細胞をプリスタン処理したマウス腹空内に投与し、腹水として回収した。腹水から特異抗体として、IgG(イムノグロブリンG)を精製した。特異抗体の精製は、陰イオン交換樹脂を用いて行なった。
[実施例1]抗体を用いたウイルスRNAの濃縮及び回収
本例では、先ずインフルエンザウイルスの培養液を、界面活性剤を含む試薬で処理した後、特異抗体を固定させた不溶性担体を接触させることで、インフルエンザウイルスのRNAを濃縮及び回収した。
本例では、先ずインフルエンザウイルスの培養液を、界面活性剤を含む試薬で処理した後、特異抗体を固定させた不溶性担体を接触させることで、インフルエンザウイルスのRNAを濃縮及び回収した。
<ウイルスサンプル>
ヒトインフルエンザウイルス株は以下の2種類を用いた。
・A/California/07/2009(H1N1)の培養液(6×106コピー/μL)
・B/Florida/4/2006の培養液(6×105コピー/μL)
ヒトインフルエンザウイルス株は以下の2種類を用いた。
・A/California/07/2009(H1N1)の培養液(6×106コピー/μL)
・B/Florida/4/2006の培養液(6×105コピー/μL)
<サンプルの処理>
上記培養上清1μLを、界面活性剤を含む試薬(20mM リン酸緩衝液、50mM塩化ナトリウム、0.5%エマルゲン120)100μLに添加し、混合後、室温で5分間放置した。
上記培養上清1μLを、界面活性剤を含む試薬(20mM リン酸緩衝液、50mM塩化ナトリウム、0.5%エマルゲン120)100μLに添加し、混合後、室温で5分間放置した。
<抗体結合担体の調製>
不溶性担体として、磁性粒子を用いた。DynaBeads Protein G(粒子径2.8μm、30mg/mL;ライフテクノロジーズ社;DynaBeads(登録商標) Protein G Immunoprecipitation Kit 製品番号:10007D)の磁性粒子懸濁液50μLを分取し、磁石で粒子を集めた後に上清を取り除いた。ついで、参考例で作製した抗インフルエンザウイルスA型モノクローナル抗体を30μg含む200μLのPBST(0.02%Tween20含むPBS)を加え、室温で30分撹拌し抗体を粒子に結合(固定化ともいう。)させ、抗体結合磁性粒子を作成した。該抗体結合磁性粒子をPBSTで洗浄後、抗原抗体反応に使用した。また、参考例で作製した抗インフルエンザウイルスB型モノクローナル抗体を30μg含む200μLのPBST(0.02%Tween20含むPBS)を加え、室温で30分撹拌し抗体を粒子に結合(固定化ともいう。)させ、抗体結合磁性粒子を作成した。該抗体結合磁性粒子をPBSTで洗浄後、抗原抗体反応に使用した。
不溶性担体として、磁性粒子を用いた。DynaBeads Protein G(粒子径2.8μm、30mg/mL;ライフテクノロジーズ社;DynaBeads(登録商標) Protein G Immunoprecipitation Kit 製品番号:10007D)の磁性粒子懸濁液50μLを分取し、磁石で粒子を集めた後に上清を取り除いた。ついで、参考例で作製した抗インフルエンザウイルスA型モノクローナル抗体を30μg含む200μLのPBST(0.02%Tween20含むPBS)を加え、室温で30分撹拌し抗体を粒子に結合(固定化ともいう。)させ、抗体結合磁性粒子を作成した。該抗体結合磁性粒子をPBSTで洗浄後、抗原抗体反応に使用した。また、参考例で作製した抗インフルエンザウイルスB型モノクローナル抗体を30μg含む200μLのPBST(0.02%Tween20含むPBS)を加え、室温で30分撹拌し抗体を粒子に結合(固定化ともいう。)させ、抗体結合磁性粒子を作成した。該抗体結合磁性粒子をPBSTで洗浄後、抗原抗体反応に使用した。
<ウイルスRNAの捕捉>
上記処理サンプル液100μLを、該抗体結合磁性粒子と混合し、室温で10分間転倒混和することにより抗原抗体反応を行った。抗体による特異的な捕捉かどうか、言い換えると非特異結合か否か、を確認する為、抗体を結合させていない磁性粒子(抗体未結合磁性粒子)を用いて、同様の操作を行った。
上記処理サンプル液100μLを、該抗体結合磁性粒子と混合し、室温で10分間転倒混和することにより抗原抗体反応を行った。抗体による特異的な捕捉かどうか、言い換えると非特異結合か否か、を確認する為、抗体を結合させていない磁性粒子(抗体未結合磁性粒子)を用いて、同様の操作を行った。
<RNAの回収>
磁性粒子を磁石で集めて上清を除いた後、市販のウイルスRNA精製キット(QIAamp Viral RNA Mini Kit:QIAGEN社)の手順に従って、磁性粒子に吸着しているRNAを精製し、最終的にNuclease-Free Water 60μLでRNAを溶出した。このようにして、RNA検体を得た。
磁性粒子を磁石で集めて上清を除いた後、市販のウイルスRNA精製キット(QIAamp Viral RNA Mini Kit:QIAGEN社)の手順に従って、磁性粒子に吸着しているRNAを精製し、最終的にNuclease-Free Water 60μLでRNAを溶出した。このようにして、RNA検体を得た。
<RNA回収量の確認>
抗体結合磁性粒子で捕捉したRNA量の確認は、精製RNAを鋳型に用いて、以下の試薬及び条件でリアルタイムRT-PCRにより確認した。
抗体結合磁性粒子で捕捉したRNA量の確認は、精製RNAを鋳型に用いて、以下の試薬及び条件でリアルタイムRT-PCRにより確認した。
<ヒトインフルエンザウイルスA/California/07/2009(H1N1)由来RNAの増幅>
45℃で5分間逆転写反応を行った後、95℃で30秒間加温して逆転写酵素を失活させ、その後、95℃3秒間で熱変性、50℃で5秒間のアニーリング及びDNA伸長反応からなるPCR反応を、45サイクル繰り返した。
45℃で5分間逆転写反応を行った後、95℃で30秒間加温して逆転写酵素を失活させ、その後、95℃3秒間で熱変性、50℃で5秒間のアニーリング及びDNA伸長反応からなるPCR反応を、45サイクル繰り返した。
<ヒトインフルエンザウイルスB/Florida/4/2006由来RNAの増幅>
ヒトインフルエンザウイルスA/California/07/2009(H1N1)由来RNAの増幅と同様の工程を実施した。
ヒトインフルエンザウイルスA/California/07/2009(H1N1)由来RNAの増幅と同様の工程を実施した。
[プライマー及びプローブ]
以下にプライマー及びプローブの配列を記載する。なお、配列番号3及び6のTaqMan Probeは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社にTaqMan MGBプローブ合成を委託し、該TaqMan Probeを得た。配列番号3及び配列番号6中の「Q」は「クエンチャー」を意味する。より詳細には、該クエンチャーはTm EnhancerであるMGB(Minor Groove Binder)構造とNon Fluorescent Quencherとを有する。 該クエンチャーの配列情報はサーモフィッシャーサイエンティフィック社の秘密情報であるため非開示であるが、当業者において、プローブ合成を合成業者に委託し該TaqMan MGBプローブを得ることは通常の手法である。その他の配列番号のプライマーは、ユーロフィンジェノミックス社に合成を委託し、該プライマーを得た。
以下にプライマー及びプローブの配列を記載する。なお、配列番号3及び6のTaqMan Probeは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社にTaqMan MGBプローブ合成を委託し、該TaqMan Probeを得た。配列番号3及び配列番号6中の「Q」は「クエンチャー」を意味する。より詳細には、該クエンチャーはTm EnhancerであるMGB(Minor Groove Binder)構造とNon Fluorescent Quencherとを有する。 該クエンチャーの配列情報はサーモフィッシャーサイエンティフィック社の秘密情報であるため非開示であるが、当業者において、プローブ合成を合成業者に委託し該TaqMan MGBプローブを得ることは通常の手法である。その他の配列番号のプライマーは、ユーロフィンジェノミックス社に合成を委託し、該プライマーを得た。
ヒトインフルエンザウイルスA/California/07/2009(H1N1)用
配列番号1
Forward Primer
5'-CAGTACCAATGAACTGGCGACA-3'
配列番号1
Forward Primer
5'-CAGTACCAATGAACTGGCGACA-3'
配列番号2
Reverse Primer
5'-AGCTGGAATCAACAAGGATTTACC-3'
Reverse Primer
5'-AGCTGGAATCAACAAGGATTTACC-3'
配列番号3
TaqMan Probe
5'-FAM- TGAATAGATCGCCAAAAT-Q-3'
TaqMan Probe
5'-FAM- TGAATAGATCGCCAAAAT-Q-3'
ヒトインフルエンザウイルスB/Florida/4/2006用
配列番号4
Forward Primer
5'-AACACAAATTGAGGTGGGTC-3'
配列番号4
Forward Primer
5'-AACACAAATTGAGGTGGGTC-3'
配列番号5
Reverse Primer
5'-CTTTCATAGCACTCYAGAATTCCTGC-3'
Reverse Primer
5'-CTTTCATAGCACTCYAGAATTCCTGC-3'
配列番号6
TaqMan Probe
5'-FAM-CAACCAATGCCACCATAAA-Q-3'
TaqMan Probe
5'-FAM-CAACCAATGCCACCATAAA-Q-3'
インフルエンザウイルスA型の結果を図1、インフルエンザウイルスB型の結果を図2に示す。抗体を結合した磁性粒子(抗体結合磁性粒子)を用いた場合のRNAの回収量は、それぞれ、2.8×106コピー(回収率47%)及び2.86×105コピー(回収率48%)となり、効率良く回収することが可能であった。一方で、抗体を結合していない磁性粒子(抗体未結合磁性粒子)を用いた場合のRNAの回収量は、それぞれ、9.0×103コピー(回収率0.15%:比較例1)及び6.7×103コピー(回収率1.1%:比較例2)となり、回収効率はそれぞれ抗体結合磁性粒子を用いた場合より低かった。
[実施例2]抗体を用いたウイルスRNA濃縮における界面活性剤のスクリーニング
以下のサンプル処理工程以外は、実施例1と同様に行った。
<サンプルの処理>
ヒトインフルエンザウイルスA/California/07/2009(H1N1)培養上清1μLを、以下の様々な界面活性剤を含む試薬(PBSベース)100μLに添加し、混合後、室温で5分間放置した。
以下のサンプル処理工程以外は、実施例1と同様に行った。
<サンプルの処理>
ヒトインフルエンザウイルスA/California/07/2009(H1N1)培養上清1μLを、以下の様々な界面活性剤を含む試薬(PBSベース)100μLに添加し、混合後、室温で5分間放置した。
[界面活性剤]
非イオン性界面活性剤として、0.5%エマルゲン120、0.5%エマルゲン430(花王社)、70mM MEGA8、30mM MEGA9(同仁化学研究所社)、陽イオン性界面活性剤として、0.5%コータミン86Pコンク(花王社)、陰イオン性界面活性剤として、0.5%コール酸ナトリウム(和光純薬社)、両性界面活性剤として、0.5%アンヒトール20BS、0.5%アンヒトール20N(花王社)、10mM CHAPS、10mM CHAPSO(同仁化学研究所社)を、PBSに添加して、ウイルスを処理した。
非イオン性界面活性剤として、0.5%エマルゲン120、0.5%エマルゲン430(花王社)、70mM MEGA8、30mM MEGA9(同仁化学研究所社)、陽イオン性界面活性剤として、0.5%コータミン86Pコンク(花王社)、陰イオン性界面活性剤として、0.5%コール酸ナトリウム(和光純薬社)、両性界面活性剤として、0.5%アンヒトール20BS、0.5%アンヒトール20N(花王社)、10mM CHAPS、10mM CHAPSO(同仁化学研究所社)を、PBSに添加して、ウイルスを処理した。
様々な界面活性剤で処理した場合の回収率の算出結果を図3に示す。界面活性剤を添加していないPBSの場合の回収率は30%程度であった。それに対して、上記界面活性剤を添加した場合、すべて回収率は50%以上となった。以上より、上記界面活性剤を添加することにより、抗体によるRNA回収率の向上が確認された。
[実施例3]抗体を用いたヒトDNA濃縮及び回収
本例では、ヒト由来細胞株がアポトーシスを起こして放出されたDNAを含む培養液に、特異抗体を固定させた不溶性担体を接触させることで、ヒトDNAを濃縮及び回収した。
<ヒト由来細胞株>
ヒト由来細胞株は、EGFR遺伝子T790M変異を持つ非小細胞肺がん患者由来のNCI-H1975(ATCCより分譲、CRL-5908(商標))を用いた。培養は、先ず10%FCS(Fetal Calf Serum、牛胎児血清、fetal bovine serumともいう。)を含む無血清培地(RPMI1640)を用いて、37℃、5%CO2の条件で、培養細胞が培養フラスコの底に80%程度のコンフルエントになるまで培養後、EDTAを含むトリプシンで細胞を剥がした。
回収した細胞1×107個を、無血清培地(RPMI1640)10mLに懸濁し、そのまま37℃、5%CO2の条件で5日間静置した。その後、培養上清を遠心分離し、DNA濃縮用の培養液を得た。
本例では、ヒト由来細胞株がアポトーシスを起こして放出されたDNAを含む培養液に、特異抗体を固定させた不溶性担体を接触させることで、ヒトDNAを濃縮及び回収した。
<ヒト由来細胞株>
ヒト由来細胞株は、EGFR遺伝子T790M変異を持つ非小細胞肺がん患者由来のNCI-H1975(ATCCより分譲、CRL-5908(商標))を用いた。培養は、先ず10%FCS(Fetal Calf Serum、牛胎児血清、fetal bovine serumともいう。)を含む無血清培地(RPMI1640)を用いて、37℃、5%CO2の条件で、培養細胞が培養フラスコの底に80%程度のコンフルエントになるまで培養後、EDTAを含むトリプシンで細胞を剥がした。
回収した細胞1×107個を、無血清培地(RPMI1640)10mLに懸濁し、そのまま37℃、5%CO2の条件で5日間静置した。その後、培養上清を遠心分離し、DNA濃縮用の培養液を得た。
<抗体結合担体の調製>
DynaBeads Protein G(粒子径2.8μm、30mg/mL;ライフテクノロジーズ社;DynaBeads(登録商標) Protein G Immunoprecipitation Kit 製品番号:10007D)の磁性粒子懸濁液30μLを分取して磁石で粒子を集めた後に上清を取り除き、Histone H4 Polyclonal Antibody(16047-1-AP;proteintech社)を、20μg含む200μLのPBST(0.02%Tween20含むPBS)を加え、室温で30分撹拌し抗体を粒子に結合(固定化)させた。該抗体結合磁性粒子をPBSTで洗浄後、抗原抗体反応に使用した。
DynaBeads Protein G(粒子径2.8μm、30mg/mL;ライフテクノロジーズ社;DynaBeads(登録商標) Protein G Immunoprecipitation Kit 製品番号:10007D)の磁性粒子懸濁液30μLを分取して磁石で粒子を集めた後に上清を取り除き、Histone H4 Polyclonal Antibody(16047-1-AP;proteintech社)を、20μg含む200μLのPBST(0.02%Tween20含むPBS)を加え、室温で30分撹拌し抗体を粒子に結合(固定化)させた。該抗体結合磁性粒子をPBSTで洗浄後、抗原抗体反応に使用した。
<培養液中のDNAの捕捉>
上記培養液200μLを、該抗体結合磁性粒子と混合し、室温で10分間転倒混和により抗原抗体反応を行った。抗体による特異的な捕捉かどうか、言い換えると非特異結合か否か、を確認する為、抗体を結合させていない磁性粒子(抗体未結合磁性粒子)を用いて、同様の操作を行った。
上記培養液200μLを、該抗体結合磁性粒子と混合し、室温で10分間転倒混和により抗原抗体反応を行った。抗体による特異的な捕捉かどうか、言い換えると非特異結合か否か、を確認する為、抗体を結合させていない磁性粒子(抗体未結合磁性粒子)を用いて、同様の操作を行った。
<DNAの回収>
磁性粒子を磁石で集めて上清を除いた後、市販の核酸精製キット(QIAamp Circulating Nucleic Acid Kit:QIAGEN社)の手順に従って、磁性粒子に吸着しているccfDNAを精製し、最終的にNuclease-Free Water 50μLでDNAを溶出した。このようにして、DNA検体を得た。
磁性粒子を磁石で集めて上清を除いた後、市販の核酸精製キット(QIAamp Circulating Nucleic Acid Kit:QIAGEN社)の手順に従って、磁性粒子に吸着しているccfDNAを精製し、最終的にNuclease-Free Water 50μLでDNAを溶出した。このようにして、DNA検体を得た。
<回収DNA中のEGFR遺伝子T790M変異検出>
該抗体結合磁性粒子で捕捉したDNA中のEGFR遺伝子T790M変異検出は、以下の試薬を含む25μLの反応溶液を調製し、CFX96(バイオラッド社)にて2ステップのアレル特異的-PCRによる解析を行った。
該抗体結合磁性粒子で捕捉したDNA中のEGFR遺伝子T790M変異検出は、以下の試薬を含む25μLの反応溶液を調製し、CFX96(バイオラッド社)にて2ステップのアレル特異的-PCRによる解析を行った。
<DNAの増幅>
98℃で30秒間熱変性した後、98℃で10秒間熱変性と60℃で30秒間アニーリング及びDNA伸長反応からなるPCR反応を、40サイクル繰り返した。
98℃で30秒間熱変性した後、98℃で10秒間熱変性と60℃で30秒間アニーリング及びDNA伸長反応からなるPCR反応を、40サイクル繰り返した。
[プライマー及びプローブ]
以下にプライマーの配列を記載する。配列番号7及び8のプライマーは、ユーロフィンジェノミックス社に合成を委託し、該プライマーを得た。
以下にプライマーの配列を記載する。配列番号7及び8のプライマーは、ユーロフィンジェノミックス社に合成を委託し、該プライマーを得た。
配列番号7(アレル特異的プライマー)
Forward Primer
5'- CCGTGCATCTCATCTTG-3'
Forward Primer
5'- CCGTGCATCTCATCTTG-3'
配列番号8
Reverse Primer
5'- CTTTGTGTTCCCGGACATAGTC-3'
Reverse Primer
5'- CTTTGTGTTCCCGGACATAGTC-3'
その結果を図4に示す。抗体を結合した磁性粒子を用いて濃縮及び回収したDNAから、EGFR遺伝子T790M変異を検出することが出来た。尚、抗体を結合していない磁性粒子を用いて濃縮及び回収した場合(比較例3とする)でも、変異遺伝子の反応が出ているが、その反応は磁性粒子に非特異的に吸着したDNAからの反応であり、PCR反応40サイクル時点の蛍光強度の比較において、その反応は抗体を介した反応の1/10程度と小さい。
Claims (27)
- 核酸を濃縮する方法であって、下記工程(a)〜(c)が含まれる方法:
(a)蛋白質と核酸とが結合した蛋白質-核酸複合体を含む試料を提供する工程;
(b)前記試料と、前記蛋白質に特異的に反応する抗体と、前記抗体を吸着しうる担体と、を接触させる工程;及び
(c)前記担体を前記試料から回収し、前記担体上に、濃縮された核酸を得る工程。 - (d)前記担体から前記濃縮された核酸を分離する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
- 工程(b)において、前記担体として、前記抗体が前記担体に担持された抗体担持担体を接触させる、請求項1又は2に記載の方法。
- 工程(d)において、前記抗体担持担体に免疫反応により吸着させた前記蛋白質-核酸複合体から核酸が脱着される、請求項3に記載の方法。
- 工程(b)において、前記抗体と前記蛋白質-核酸複合体とが結合した抗体-蛋白質-核酸複合体が形成される、請求項1〜4に記載の方法。
- 工程(d)において、前記担体に物理吸着により吸着させた前記抗体-蛋白質-核酸複合体から核酸が脱着される、請求項5に記載の方法。
- 請求項1〜6に記載の方法であって、
工程(a)の前、工程(a)において、又は工程(a)と工程(b)の間に、さらに下記工程(a')が含まれる方法:
(a')前記蛋白質-核酸複合体を含む試料に、界面活性剤を添加する工程。 - 前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、から選ばれる1以上である、請求項7に記載の方法。
- 前記試料が生体試料、及び、病原微生物又はウイルスを含む試料、から選ばれる1以上である、請求項1〜8に記載の方法。
- 前記生体試料が、動物細胞である、請求項9に記載の方法。
- 前記生体試料が、血液、血漿、血清、尿、糞便、胆汁、膵液、鼻汁、鼻腔・咽頭拭い液から選ばれる1以上である、請求項10に記載の方法。
- 前記病原微生物又はウイルスを含む試料が、病原微生物又はウイルスの培養物である、請求項9に記載の方法。
- 前記ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項9に記載の方法。
- 前記蛋白質が核蛋白質である、請求項1〜13に記載の方法。
- 前記核蛋白質がヒストン、及び、ヌクレオカプシド蛋白質から選ばれる1以上である、請求項14に記載の方法。
- 前記蛋白質-核酸複合体に特異的に反応する抗体が、核蛋白質を認識する抗体である、請求項1〜15に記載の方法。
- 前記核蛋白質を認識する抗体が、抗ヒストン抗体、ヌクレオカプシド蛋白質を認識する抗体から選ばれる1以上である、請求項16に記載の方法。
- 前記核酸が、メッセンジャーRNA (mRNA)を除く核酸である、請求項1〜17に記載の方法。
- 前記核酸が、藻類DNA、藻類RNA、古細菌DNA、古細菌RNA、バクテリアDNA、バクテリアRNA、触媒活性DNA、環状DNA、連鎖状DNA、十字型DNA、真菌DNA、真菌RNA、蠕虫DNA、蠕虫RNA、遺伝子間DNA、アイソコア、マイクロRNA、腫瘍DNA、腫瘍RNA、核内RNA、植物DNA、植物RNA、原生動物DNA、原生動物RNA、組換えDNA、レトロエレメント、リボソームDNA、リボソームRN、サテライトDNA、サテライトRNA、転移RNA、非翻訳RNA、ウイルスDNA、及びウイルスRNAからなる群から選択される、請求項1〜18に記載の方法。
- 前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間の水素結合によって形成されている、請求項1〜19に記載の方法。
- 前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間の水素結合のみによって形成されている、請求項1〜19に記載の方法。
- 前記蛋白質-核酸複合体は、当該タンパク質と当該核酸との間に共有結合を有しない、請求項1〜21に記載の方法。
- 工程(d)において、前記蛋白質-核酸複合体を蛋白質分解酵素により処理する工程を含まない、請求項1〜22に記載の方法。
- 前記蛋白質-核酸複合体を蛋白質分解酵素により処理する工程を含まない、請求項1〜22に記載の方法。
- 0.0分以上、1.0分以上、2.0分以上、5.0分以上、10分以上、又は20分以上のソニケーション工程を含まない、請求項1〜22に記載の方法。
- 0%以上、0.01%以上、0.02%以上、0.05%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、1.0%以上、2.0%以上、又は5.0%以上のホルムアルデヒドを使用しない、請求項1〜22に記載の方法。
- 0単位以上、0.01単位以上、0.02単位以上、0.05単位以上、0.1単位以上、0.2単位以上、0.5単位以上、1.0単位以上、2.0単位以上、又は5.0単位以上のリボヌクレアーゼ(RNase) を使用しない、請求項1〜22に記載の方法。
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