JP2019127606A - 防食部材、及び防食方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着物性及び犠牲防食性の両方を良好にすることが可能な防食部材を提供する。【解決手段】防食部材10は、導電性粘着剤層11を備え、鉄よりも電位が卑な金属12が、少なくとも、導電性粘着剤層11に含有される。或いは、鉄よりも電位が卑な金属は、イオン化した際に放出する電子が導電性粘着剤層11に移行できるように防食部材10の導電性粘着剤層11以外の箇所に設けられる。導電性粘着剤層11は、上記金属以外の導電性材料13を含有し、かつ抵抗値が106Ω以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、防食部材、及び防食方法に関し、より具体的には、鋼材などの鉄又は鉄を含む合金を防食するための防食部材、及び防食方法に関する。
鋼材などの鉄又は鉄を含む合金を防食するために、亜鉛を多量に含有した防食塗料が広く用いられている。亜鉛は、鉄よりも電位が卑な金属であり、犠牲防食作用があるため、高い防食性を有することが知られている。しかし、塗料による防食は、塗布後に乾燥工程などが必要であり、作業に時間がかかり、例えば、橋梁などの土木、建築用途で局所的な補修を行う際には、作業効率が低下する。また、塗料による防食は、作業ムラも生じやい。
上記状況を鑑みて、従来、粘着テープなどに犠牲防食性を付与させ、作業性を向上させる取り組みがなされている。例えば、特許文献1では、亜鉛粉末が含有される導電性粘着剤層、亜鉛板、樹脂フィルム、及びステンレス板からなる積層体を、金属製配管の外周面に取り付ける防食方法が開示されている。この防食方法では、粘着剤層に含まれる亜鉛粉末、及び亜鉛板が犠牲陽極となり、金属製配管の腐食が防止される。
特開平9−242982号公報
しかしながら、特許文献1における粘着剤層には、導電性を付与するために亜鉛粉末が60〜95質量%含有されているので粘着物性が低い。そのため、積層体を金属製配管に固定するために、バンドが必要とされ、作業性を十分に向上させることができない。
そこで、本発明は、粘着物性及び犠牲防食性の両方を良好にすることが可能な防食部材及び防食方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、防食部材に含まれる亜鉛等の鉄よりも電位が卑な金属以外に、導電性粘着層に導電性材料を配合して粘着剤層に導電性を付与することで上記課題が解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[15]を提供する。
[1]導電性粘着剤層を備える防食部材であって、
鉄よりも電位が卑な金属が、少なくとも、前記導電性粘着剤層に含有され、又はイオン化した際に放出する電子が前記導電性粘着剤層に移行できるように前記防食部材の前記導電性粘着剤層以外の箇所に設けられ、
前記導電性粘着剤層は、前記金属以外の導電性材料を含有し、かつ抵抗値が10Ω以下である、防食部材。
[2]前記導電性粘着剤層が、粒子形状の前記金属を含有する上記[1]に記載の防食部材。
[3]粒子形状の前記金属の粒径が1〜500μmである上記[2]に記載の防食部材。
[4]前記導電性粘着剤層以外の箇所に設けられる前記金属が、前記導電性粘着剤層に接触するように配置される上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の防食部材。
[5]前記導電性粘着剤層以外の箇所に設けられる前記金属が、前記導電性粘着剤層の表面上に設けられる上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の防食部材。
[6]前記導電性粘着剤層の表面上に設けられる前記金属が、金属層を形成する上記[5]に記載の防食部材。
[7]前記金属層の厚さが2.5μm以上である上記[6]に記載の防食部材。
[8]前記導電性材料が、カーボン系材料、金属系材料、金属酸化物系材料、及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の防食部材。
[9]前記導電性粘着剤層の厚さが20μm以上である上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の防食部材。
[10]前記金属が、亜鉛である上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の防食部材。
[11]前記導電性粘着剤層が前記金属を含有し、かつ前記導電性粘着剤層における前記金属の含有量が、40質量%以下である上記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の防食部材。
[12]前記導電性粘着剤層が、自己修復機能を有する上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の防食部材。
[13]前記導電性粘着剤層の表面上に、さらに前記導電性粘着剤層以外の接着剤層、又は、基材が少なくとも設けられる上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の防食部材。
[14]前記基材が、樹脂フィルム、及び不織布の少なくともいずれかを含む上記[13]に記載の防食部材。
[15]上記[1]〜[14]のいずれか1項に記載の防食部材を使用した防食方法であって、鉄、及び鉄を含む合金からなる群から選択される少なくとも1種を含有する被着体に、前記導電性粘着剤層が接着されるように前記防食部材を配置する、防食方法。
本発明によれば、粘着物性及び犠牲防食性の両方を良好にすることが可能な防食部材及び防食方法を提供する。
本発明の第1の実施形態の防食テープを示す模式的な断面図である。 基材が設けられた第1の実施形態の防食テープを示す模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態の防食テープを示す模式的な断面図である。 基材が設けられた第2の実施形態の防食テープを示す模式的な断面図である。 本発明の第3の実施形態の防食テープを示す模式的な断面図である。 基材が設けられた第3の実施形態の防食テープを示す模式的な断面図である。
以下、本発明について、実施形態を参照しつつ説明する。
本発明の防食部材は、導電性粘着剤層を備える防食部材であって、鉄よりも電位が卑な金属が、少なくとも、導電性粘着剤層に含有され、又はイオン化した際に放出した電子が前記導電性粘着剤層に移行できるように防食部材の導電性粘着剤層以外の箇所に設けられる。導電性粘着剤層は、上記金属以外の導電性材料を含有し、かつ抵抗値が10Ω以下となる。
本発明では、導電性粘着剤層が、防食部材に使用される鉄よりも電位が卑な金属以外の導電性材料により導電性が付与されている。したがって、導電性粘着剤層に、亜鉛等の鉄よりも電位が卑な金属を多量に配合することなく、良好な犠牲防食性を付与できる。また、導電性粘着剤層は、鉄よりも電位が卑な金属を多量に配合する必要がないので、良好な粘着特性も付与することが可能になる。
以下、本発明の防食部材、及びその防食部材を使用した防食方法について、第1〜第3の実施形態の防食テープを示して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る防食部材は、防食テープ10である。図1に示すように、防食テープ10は、導電性粘着剤層11を備え、導電性粘着剤層11には、鉄よりも電位が卑な金属12、及び金属12以外の導電性材料13が配合される。
なお、図1において、金属12及び導電性材料13は、球形の粒子状に示されるが、導電性粘着剤層11に分散又は相溶している限りいかなる形態であってもよい。
防食テープ10は、導電性粘着剤層11の表面11Aを接着面として、被着体に接着されて使用される。被着体としては、鉄又は鉄を含む合金を含むものが使用される。鉄を含む合金としては、具体的には、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼などの合金鋼、炭素鋼などの各種の鋼材が挙げられる。被着体は、特に限定されないが、各種土木、建築用途、自動車、鉄道、航空機、船舶などの乗り物用途、各種電気製品などに使用される鋼材、その他の金属部材が挙げられるが、土木、建築用途で使用される鋼材が好適である。
(鉄よりも電位が卑な金属)
鉄よりも電位が卑な金属12としては、カドミウム、クロム、亜鉛、マンガン、アルミニウムなどが挙げられ、これらの中では亜鉛、アルミニウムが好ましく、特に亜鉛が好ましい。亜鉛を使用することで犠牲防食性が優れたものとなる。
金属12は、フィラーとしていかなる形態で導電性粘着剤層11に分散されていてもよいが、好ましくは粒子形状である。金属12は、粒子形状とすることで、導電性粘着剤層11の粘着性を殆ど低下させることなく、導電性粘着剤層11中に分散されやすくなる。
本明細書において、粒子形状とは、短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比(アスペクト比)が小さいものであり、例えば、アスペクト比が3以下、好ましくは2以下である。粒子形状は、特に限定されないが、球形であってもよいし、粉体等の不定形のものであってもよい。
また、粒子形状の金属12は、その粒径が1〜500μmであることが好ましい。500μm以下とすることで、導電性粘着剤層11の粘着性が低下するのを抑えつつ、金属12を導電性粘着剤層11に分散させやすくなる。1μm以上とすることで、金属12によって導電性粘着剤層11の導電性を向上させやすくなる。上記粒径は、より好ましくは2〜200μmである。なお、本明細書において粒径とは、レーザー回折法により測定した平均粒径を意味する。
導電性粘着剤層11における金属12の含有量は、導電性粘着剤層11全量基準で、40質量%以下が好ましい。40質量%以下とすることで、導電性粘着剤層11の粘着性能を良好に維持することが可能になる。また、導電性粘着剤層11が、後述する自己修復機能を発揮しやすくなる。粘着性能及び自己修復機能をより優れたものとする観点から、金属12の含有量は、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。また、金属12の含有量は、被着体を犠牲防食できる限り特に限定されないが、犠牲防食性を高める観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。
(導電性材料)
導電性材料13としては、カーボン系材料、金属系材料、金属酸化物系材料、イオン性ポリマー及び導電性高分子から選択される1種または2種以上が挙げられる。
カーボン系材料としては、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、アセチレンブラックなどが挙げられる。金属系材料としては、金、銀、銅、ニッケル、又はこれらを含む合金など、鉄よりも電位が貴な金属、又は鉄などが挙げられる。金属酸化物材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、三酸化アンチモン(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛などが挙げれらる。導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリピロール、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の複合物)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等が挙げられる。イオン性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムなどが挙げられる。
導電性材料は、これらを1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用としてもよい。
これらの中では、粘着性を損なうことなく導電性粘着剤層11の導電性を向上させる観点から、カーボン系材料が好ましい。
また、導電性材料13は、導電性粘着剤層11に分散又は相溶できるものである限り特に限定されないが、例えば、粒子形状であったり、後述する粘着剤に相溶したりすることが好ましい。粒子形状の導電性材料13は、その粒径が1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。粒径を上記範囲内とすることで、導電性材料は、導電性粘着剤層11に十分な量分散できる。また、粘着性を殆ど低下させることなく導電性を向上させることができる。
導電性粘着剤層11における導電性材料13の含有量は、後述する抵抗値を所定の範囲内とできる限り特に限定されないが、粘着性能及び自己修復機能をより優れたものとする観点から、粘着剤(すなわち、粘着剤組成物)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部,より好ましくは2〜20質量部、さらに好ましくは4〜10質量部である。
(導電性粘着剤層)
導電性粘着剤層11は、上記した導電性材料13を含有することで、抵抗値が低くなる。また、金属12を含有することでも抵抗値が低くなる。具体的には、導電性粘着剤層11の抵抗値は、10Ω以下である。抵抗値が10Ωより高くなると、金属12がイオン化した際に放出する電子を十分に被着体に移動させることが難しくなり、防食テープ10の犠牲防食性が低くなる。犠牲防食性を高める観点から、上記抵抗値は、10Ω以下が好ましく、5×10Ω以下がより好ましい。
また、上記抵抗値は、低ければ低いほうがよいが、実用的には、例えば、10Ω以上、好ましくは5×10Ω以上である。抵抗値をこのような下限値以上とすることで、必要以上に金属12を配合しなくても、優れた犠牲防食性が得られる。
なお、抵抗値は、後述する実施例記載の方法により測定できる。
本実施形態では、上記のように、導電性粘着剤層11に、亜鉛などの鉄よりも電位が卑な金属12と、導電性材料13が配合されている。したがって、金属12がイオン化する際に放出された電子は、導電性粘着剤層11中を容易に移動して、被着体表面にも移行する。そのため、被着体表面に水、酸素等が存在して被着体が腐食される環境下となっても、被着体金属は金属12から電子を受けとりイオン化されず、被着体の腐食が防止される。
導電性粘着剤層11は、自己修復機能を有することが好ましい。自己修復機能とは、導電性粘着剤層11に傷が付いたとき、外部からの介入がなくても、その傷を導電性粘着剤層11そのものにより修復することが可能な性質をいう。導電性粘着剤層11は、自己修復機能を有すると、長期使用などにより傷が付いても修復される。そのため、被着体に対する保護性能が高められ、防食性が向上する。導電性粘着剤層11は、例えば、後述するように厚さなどの各種物性を所定の範囲内とすることで自己修復機能を有することが可能になる。
導電性粘着剤層11の厚さは、例えば20μm以上である。20μm以上となることで、適度な粘着性と犠牲防食性を発揮することが可能になる。導電性粘着剤層11は、上記自己修復機能を有するためには、厚さを大きくする必要があり、具体的には200μm以上の厚さが必要であり、自己修復機能を優れたものとするためには400μm以上が好ましい。導電性粘着剤層11の厚さの上限は、特に限定されないが、例えば1cmである。
導電性粘着剤層11のピール粘着力は、15〜110N/24mmであることが好ましく、より好ましくは20〜105N/24mm、さらに好ましくは30〜100N/24mmである。なお、ピール粘着力は、23℃における対SUS90°ピール粘着力である。導電性粘着層11は、ピール粘着力が上記範囲内とすることで粘着性能が良好となる。
なお、ピール粘着力は、以下の測定方法により測定されるものである。防食テープを幅24mm×長さ150mmに切断し、その後、防食テープの一方の表面(接着面)をSUS板に貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置する。その後、23℃、50%RHの環境下、引張速度300mm/minで90°方向に引っ張ることで対SUS90°ピール粘着力として測定する。なお、ピール粘着力は、同様の測定を3回行い3点平均で求める。また、防食テープは、両面粘着テープを構成するときには、防食テープの他方の表面に予めPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせて、上記ピール粘着力を測定するとよい。
導電性粘着剤層11は、例えば、25℃における貯蔵弾性率が15万Pa以上であることが好ましく、30万Pa以上がより好ましい。また、貯蔵弾性率は80万Pa以下が好ましく、50万Pa以下がより好ましい。貯蔵弾性率をこれら下限値以上及び上限値以下とすることで、粘着性能、自己修復機能などを適切に発揮させやすくなる。なお、導電性粘着剤層11は、後述するアクリル系粘着剤を使用することで、貯蔵弾性率を上記した範囲内に調整しやすくなる。
なお、貯蔵弾性率は、例えばをDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、せん断モード:10Hz、歪み量:0.1%、温度範囲:−100℃〜100℃、昇温速度:10℃/minの条件下で、25℃における動的粘弾性スペクトルを測定して算出することができる。
(粘着剤)
導電性粘着剤層11は、粘着剤に、金属12及び導電性材料13が配合されてなるものである。なお、本明細書においては、導電性粘着剤層11において、金属12及び導電性材料13以外の成分を粘着剤として定義する。また、粘着剤を構成する成分を粘着剤組成物ということがある。
導電性粘着剤層11に使用する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらは単独で使用してよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。アクリル系粘着剤を使用すると、粘着力、貯蔵弾性率などを所望の範囲に調整しやすくなり、粘着性能を良好にしやすくなる。
次に、導電性粘着剤層11に使用される粘着剤についてより詳細に説明する。
(アクリル系粘着剤)
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2〜14、より好ましくは4〜10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、導電性粘着剤層のガラス転移温度(Tg)を適切な温度範囲にして、粘着力、貯蔵弾性率などを上記した範囲に調整しやすくなる。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位は、粘着剤において主成分を構成するものであって、その含有量は、粘着剤全量基準で一般的に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45重量%以上である。このように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量を多くすると、粘着剤に所望の粘着力を付与することが可能になる。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B),(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
[極性基含有ビニルモノマー(B)]
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層の凝集力、粘着力、貯蔵弾性率などを調整しやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性基含有ビニルモノマー(B)を使用する場合、粘着剤において極性基含有ビニルモノマー(B)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜12質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。極性基含有ビニルモノマー(B)の含有量をこのような範囲内とすることで粘着剤層のTg、凝集力、粘着力、貯蔵弾性率などを適切な範囲に調整しやすくなる。
[オレフィン重合体(C)]
重合性モノマーは、さらに末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、粘着剤の剪断強度を高くし、導電性粘着剤層の自己修復機能を発現させやすくなる。また、粘着力、及び、貯蔵弾性率を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素−炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられ、例えば、片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンとしては、例えば、片末端にエポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリエチレン等が挙げられる。また、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品として株式会社クラレ製の「L−1253」等が挙げられる。
また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体としては、例えば、両末端にエポキシ基を有するポリプロピレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリプロピレン等が挙げられる。また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品としては、日本曹達株式会社製の「TEAI−1000」、「EA−3000」、「TE−2000」、大阪有機化学工業株式会社製の「BAC−45」等が挙げられる。
オレフィン重合体(C)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン重合体(C)としては、上記した中では、両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが好ましく、中でも両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が好ましい。
なお、オレフィン重合体(C)として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンなどを使用すると、アクリル系重合体を網目状に重合することが可能となる。そのため、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、粘着力、貯蔵弾性率などを上記所望の範囲に調整しやすくなる。
さらに、凝集力、剪断強度、粘着力などを良好にする観点から、オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体と、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体とを併用することが好ましい。
オレフィン重合体(C)は、その数平均分子量が好ましくは500〜20000、より好ましくは1000〜10000である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出すればよい。
また、粘着剤においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。
[その他のモノマー]
重合性モノマーは、上記した(A)〜(C)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、スチレン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、及びp−メチルスチレン等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、アクリル系重合体に網目構造を形成することが可能になる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
その他のモノマーを使用する場合、粘着剤において、その他のモノマー由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.5〜15質量部、より好ましくは1〜7質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。
[粘着付与樹脂]
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜35質量部、さらに好ましくは10〜25質量部である。
[その他の成分]
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、上記金属、導電性材料以外の微粒子、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
[ゲル分率]
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、30〜80質量%が好ましい。ゲル分率を上記範囲内とすることで、粘着剤の凝集力を適切な範囲に調整され、粘着力などの粘着性能を良好にしやすくなる。これら観点からゲル分率は、40〜70質量%が好ましく、45〜65質量%がより好ましい。
ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C),多官能モノマーの配合の有無、及び配合量を適宜調整することで上記した範囲内に調整することが可能である。なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。なお、重合性モノマーは、ゲル分率を上記範囲内とするために、多官能モノマー及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C)の少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。また、多官能モノマー及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C)などの官能基を2以上有する化合物は、総称して架橋剤ということもある。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:粘着剤の重量
B:40℃のテトラヒドロフランに粘着剤を48時間浸漬し、その後の粘着剤の不溶解分の乾燥重量
(ゴム系粘着剤)
次に、粘着剤に使用するゴム系粘着剤について説明する。ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%、さらに好ましくは45〜60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が25%以上となることで十分な粘着力が発現し、また、70質量%以下とすることで剪断強度を高めやすくなる。なお、スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロックなどブロックを3つ以上有するものも含有する。
スチレン−イソプレンブロック共重合体におけるスチレン量は、特に限定されないが、14〜24質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜18質量%である。スチレン量が14質量%以上であると、凝集性の高い粘着剤となり、剪断強度を高めやすくなる。また、24質量%以下とすると、凝集力が適度な大きさとなり、適切な粘着性能を発現しやすくなる。
スチレン−イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000〜400,000が好ましく、150,000〜250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
ゴム系粘着剤に使用される粘着付与樹脂は、各種の粘着付与樹脂が使用可能であるが、好ましくは石油系樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂を使用する。粘着付与樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用することが好ましい。このような粘着付与樹脂の組み合わせにより粘着力を良好にしやすくなる。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン−イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90〜120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80〜120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110〜130℃、より好ましくは115〜125℃のものを使用する。
粘着付与樹脂はゴム成分100質量部に対して60〜250質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましく、110〜180質量部がさらに好ましい。粘着付与樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、凝集力を良好にして適度な粘着力を付与できるようになる。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50〜200質量部が好ましく、60〜150質量部が好ましく、60〜110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜70質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。さらに、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜60質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましく、20〜40質量部がさらに好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(ウレタン系粘着剤)
上記したウレタン粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(シリコーン系粘着剤)
また、シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着剤層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えたりしてもよい。
[防食テープの層構成]
本実施形態の防食テープ10は、上記したように、導電性粘着剤層11単体からなるものでもよいが、基材、接着剤層などの導電性粘着剤層11以外の層が設けられてもよい。具体的には、図2に示すように、導電性粘着剤層11の表面11B上に基材14が設けられることが好ましい。なお、表面11Bは、導電性粘着剤層11が被着体に接着する接着面(表面11A)とは反対側の面である。
基材14は、導電性粘着剤層11の粘着力により、表面11Bに直接接着させればよいが、導電性粘着剤層11以外の接着剤層など、他の層を介して接着されてもよい。
導電性粘着剤層11以外の接着剤層としては、粘着剤からなる粘着剤層が挙げられる。粘着剤層は、金属12及び導電性材料13が含有されない以外は、導電性粘着剤層と同様の構成を有してもよく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤からなる粘着剤層により構成されるとよい。
基材14としては、種々のものが使用され、樹脂フィルム、不織布などを使用すればよい。樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系、エチレンビニルアセテート系、アクリロニトリル系、ポリカーボネート系などの樹脂フィルムが挙げられる。また、不織布は、特に限定されないが、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系等の合成樹脂繊維からなる不織布などが用いられる。基材14が設けられることで、被着体に貼付された導電性粘着剤層11は、基材14によって保護され、防食性能がより優れたものとなる。
これらの中では、基材としては、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、及び不織布から選択されることが好ましい。
基材14としては、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせてよく、例えば樹脂フィルムを複数積層した多層の樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層したものを使用してもよい。また、基材14は、着色層などが適宜設けられ、着色されていてもよい。
また、接着面となる導電性粘着剤層11の表面11Aは、剥離シートが貼付され保護されていてもよい。剥離シートとしては、樹脂フィルムなどの基材の少なくとも一方の面をシリコーン系剥離剤などで剥離処理したものなどが使用される。
勿論、防食テープ10は、基材などが設けられず、図1に示すように、導電性粘着剤層11単体からなるものでもよく、その場合には、導電性粘着層11の両表面11A、11Bに剥離シートが貼付されて保護されていてもよい。このような導電性粘着剤層11単体からなる防食テープ10は、両表面11A、11Bが接着面となる両面粘着テープである。両面粘着テープである防食テープ10は、両剥離シートが剥離されて使用されるが、使用されるとき、一方の表面11Aが上記のように鉄、又は鉄を含む合金を含有する被着体に貼付され、他方の表面11Bが別の被着体に貼付され、2つの被着体を接着させるために使用されてもよい。
[防食テープの製造方法]
熱伝導性粘着剤層11は、粘着剤を構成する成分(粘着剤組成物)と、上記した鉄よりも電位が卑な金属と、導電性材料とからなる導電性粘着剤組成物を、基材、剥離フィルムなどに塗布し、必要に応じて導電性粘着剤組成物を架橋、硬化などすることで形成できる。なお、導電性粘着剤組成物は、適宜溶剤などで希釈して使用してもよい。以下、粘着剤に上記アクリル系粘着剤を使用する場合を例に詳細に説明する。
熱伝導性粘着剤層は、アクリル系粘着剤を使用する場合には、上記した重合性モノマーを含む粘着剤を構成する成分(粘着剤組成物)と、鉄よりも電位が卑な金属と、導電性材料とからなる導電性粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることが可能である。
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマーと、鉄よりも電位が卑な金属と、導電性材料と、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、その他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、導電性粘着剤組成物を得る。
次いで、導電性粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、導電性粘着剤組成物を剥離シート上に塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより導電性粘着剤層11を得る。また、剥離シート上に形成された導電性粘着剤層11は、剥離シートが設けられた表面とは反対側の表面に基材をさらに貼付することで図2に示すように、導電性粘着剤層11の表面11Bに基材14が設けられた防食テープ10を得ることができる。
また、剥離シート上に形成された導電性粘着剤層11は、剥離シートが設けられた表面とは反対側の表面にも剥離シートを貼り合せることができる。これにより、防食テープは両面粘着テープとすることが可能である。
また、上記導電性粘着剤組成物は、剥離シートに塗布する代わりに基材上に直接塗布して、導電性粘着剤層を形成してもよい。
導電性粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た導電性粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は基材などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
導電性粘着剤組成物に光を照射する際に用いることができるランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。これらの中でも、ケミカルランプが好ましい。導電性粘着剤組成物に対して光を照射する際の光照射強度は、光重合開始剤の有無等によっても異なるが、0.1〜100mW/cm2程度が好ましい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態の防食部材について説明する。第2の実施形態の防食部材は、防食テープである。以下、第2の実施形態の防食テープについて、第1の実施形態の防食テープとの相違点を説明する。
上記第1の実施形態では、導電性粘着剤層11中に、鉄よりも電位が卑な金属12が含有される構成を示したが、本実施形態では、防食テープ10の導電性粘着剤層11以外の箇所に、鉄よりも電位が卑な金属が設けられる。
具体的には、第2の実施形態の防食テープ10では、図3に示すように、導電性粘着剤層11の表面11B上に、鉄よりも電位が卑な金属が設けられる。ここで、鉄よりも電位が卑な金属は、層状に形成され、金属層15を構成する。金属層15は、具体的には、鉄よりも電位が卑な金属からなる金属箔が表面11Bに接着されて形成されてもよい。また、金属層15は、スパッタリングや真空蒸着などにより、金属を表面11Bに被膜して形成される金属膜であってもよい。
本実施形態において、金属層15は、導電性粘着剤層11の上に直接形成される。すなわち、鉄よりも電位が卑な金属は、導電性粘着剤層11に接触することになる。このように、鉄よりも電位が卑な金属は、導電性粘着剤層11に接触すると、イオン化した際に放出する電子が、導電性粘着剤層11に容易に移行できるので、防食テープ10の犠牲防食性が向上する。
金属層15の厚さは、好ましくは2.5μm以上である。2.5μm以上とすることで、十分な犠牲防食性を確保できる。犠牲防食性を高める観点などから、金属層15の厚さは、5μm以上が好ましい。また、金属層15の厚さは、防食テープ10の柔軟性を確保して、防食テープ10の取り扱い性などを良好にする観点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
なお、本実施形態では、導電性粘着剤層11は、鉄よりも電位が卑な金属12が配合されておらず、導電性粘着剤層11は、粘着剤に導電性材料13が配合されてなるものである。
ここで、第2の実施形態における導電性粘着剤層11は、金属12が配合されていない(すなわち、金属12の含有量が0質量%である)点を除いて上記と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の防食テープ10が、導電性粘着剤層11の上に金属層15が積層された構成を有することで、金属層15における鉄よりも電位が卑な金属がイオン化する際に放出された電子は、導電性粘着剤層11中を容易に移動して、被着体表面にも移行する。そのため、被着体表面に水、酸素等が存在して被着体が腐食される環境下となっても、被着体金属は金属12から電子を受けとりイオン化されず、被着体の腐食が防止される。また、本実施形態では、導電性粘着剤層11に鉄よりも電位が卑な金属が配合されないので、粘着剤の含有割合を増やすことができ、導電性粘着剤層11の粘着性能が優れたものとなりやすい。さらに、導電性粘着剤層11は、上記したように自己修復機能を有すると、防食性能がより優れたものとなる。
第2の実施形態でも、導電性粘着剤層11の他方の表面11B上(すなわち、金属層15の表面上)には、導電性粘着剤層11以外の接着剤層、基材などの層が設けられてもよい。
具体的には、防食テープ10は、図4に示すように、金属層15の上に導電性粘着剤層11以外の接着剤層16を介して基材14が接着されるとよい。このような構成により、導電性粘着剤層11が基材14により保護され、防食性能がより優れたものとなる。
なお、基材、及び導電性粘着剤層11以外の接着剤層の構成の詳細な説明は、上記第1の実施形態で説明したとおりであるので省略する。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。上記第1及び第2の実施形態では、鉄よりも電位が卑な金属は、導電性粘着剤層11、又は導電性粘着剤層11以外の箇所のいずれかに設けられていたが、本実施形態では、これらの両方に設けられる。
すなわち、第3の実施形態において、導電性粘着剤層11は、図5に示すように、第1の実施形態と同様に、鉄よりも電位が卑な金属12及び導電性材料13の両方が含有される。また、第2の実施形態と同様に、導電性粘着剤層11の表面11B上には、鉄よりも電位が卑な金属が設けられ、具体的には金属層15が設けられる。
各種部材の詳細な説明は、上記第1及び第2の実施形態で説明したとおりであるので、省略する。
本実施形態では、鉄よりも電位が卑な金属が、導電性粘着剤層11に加えて、導電性粘着剤層11以外の箇所にも設けられる。したがって、防食テープ10は、鉄よりも電位が卑な金属がさらに溶出しやすくなるので、犠牲防食性が向上する。また、本実施形態でも、導電性粘着剤層11は、導電性材料13を含有することで、金属12の配合量を少なくしても十分な犠牲防食性能が得られるため、導電性粘着剤層11の粘着性能が良好になる。さらに、導電性粘着剤層11は、上記のように自己修復機能を有すると、防食性能がより優れたものとなる。
第3の実施形態でも、導電性粘着剤層11の表面11B上(すなわち、金属層15の表面上)には、導電性粘着剤層11以外の接着剤層、基材などの層が設けられてもよい。
具体的には、防食テープ10は、図6に示すように、金属層15の上に導電性粘着剤層11以外の接着剤層16を介して基材14が接着されるとよい。このような構成により、導電性粘着剤層11が基材14により保護され、防食性能がより優れたものとなる。
なお、導電性粘着剤層11以外の接着剤層、基材の構成の詳細な説明は、上記第1の実施形態で説明したとおりであるので省略する。
以上の第2及び第3の実施形態では、金属層15が、導電性粘着剤層11の表面11Bに直接形成されたが、イオン化した際に放出する電子が導電性粘着剤層11に移行できる限り、導電性粘着剤層11の表面11Bに直接形成される必要はない。
例えば、導電性粘着剤層11の表面11Bに設けられた導電層を介して金属層15が設けられてもよい。導電層としては、例えば上記導電性材料が配合された樹脂フィルムなどが挙げられる。
以上の第1〜第3の実施形態では、防食部材が防食テープであるときの構成を説明したが、防食部材は、防食テープ以外の構成であってもよい。この場合でも、防食部材は、鉄又は鉄を含む合金を含む被着体に、導電性粘着剤層が接着されるように配置されるとよい。
例えば、鉄よりも電位が卑な金属、導電性材料、及び粘着剤組成物からなる導電性粘着剤組成物を、上記被着体に塗布して、導電性粘着剤層を被着体上に形成し、その導電性粘着剤層により防食部材を構成してもよい。
また、例えば、第2及び第3の実施形態のように、防食部材が、導電性粘着剤層と、導電性粘着剤層以外の箇所に設けられる金属とを有する場合には、まず、被着体の上に導電性粘着剤層を形成し、その後、金属箔などを導電性粘着剤層に貼付して、被着体上において防食部材を形成してもよい。
このとき、被着体上の導電性粘着剤層は、例えば、両面粘着テープからなる導電性粘着剤層を貼付することで形成するとよい。また、導電性材料及び粘着剤組成物、又は鉄よりも電位が卑な金属、導電性材料、及び粘着剤組成物からなる導電性粘着剤組成物を被着体に塗布して形成してもよい。
また、導電性粘着剤層の上に設けられる基材、導電性粘着剤層以外の接着剤層なども同様に、上記被着体の上に形成された導電性粘着剤層の上に適宜積層してもよい。
また、本発明は、上記で説明したとおり、粘着剤を構成する成分(粘着剤組成物)と、鉄よりも電位が卑な金属と、導電性材料とからなる導電性粘着剤組成物も提供するものである。
導電性粘着剤組成物において、粘着剤組成物は上記したように、硬化成分を含むことがあるが、ここでいう粘着剤組成物は、硬化成分が硬化されてもよいし、硬化されていなくてもよい。導電性粘着剤組成物は、上記したように被着体などに塗布されて導電性粘着剤層を形成するものである。したがって、導電性粘着剤組成物において、鉄よりも電位が卑な金属、及び導電性材料の含有量は、上記した導電性粘着剤層におけるこれらの含有量と同様である。また、導電性粘着剤組成物から、被着体などに塗布して、必要に応じて硬化などして形成した導電性粘着剤層は、抵抗値などの各種物性が、上記で説明した通りである。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
実施例、比較例では、防食テープを以下の評価方法により評価した。
(犠牲防食性評価)
被着体としての鋼板SS400(TP技研株式会社製、150mm×70mm)に、各実施例、比較例で得られた150mm×70mmの防食テープを、剥離シートを剥がして貼り付けた。その後、防食テープの一部(3mm×3mm)を切り取り、そこに濃度3質量%のNaCl水溶液を垂らして、銀/塩化銀電極を使って、電極の先端がNaCl水溶液に触れるように配置し、電位を測定した。電位の測定においては、テスターとして、デジタルマルチメーター「CDM−11D」(株式会社カスタム製)を用い、そのマイナス極と電極「HS−205C」(東亜ディーケーケー株式会社製)を電極クリップで接続し、使用した。測定された電位により、以下の評価基準により犠牲防食性を評価した。
A:電位が−700 mV以下であり、犠牲防食性が良好である。
B:電位が−700 mVより大きく、犠牲防食性が不十分であった。
(粘着性能)
被着体SS400(TP技研株式会社、150mm×70mm)に接着して、キセノンウェザーメーター(WOM)(スガ試験機株式会社製、商品名「スーパーキセノンウェザーメーターSX75)を用いて、耐候性試験を実施した。具体的には、1時間42分間の照射と、18分間の降雨を繰り返し、一カ月後、端部などの剥がれがなく粘着性能が優れるものをA、端部などの一部に剥がれがあるが実用的に使用できるものをB、端部などに多くの剥がれが見られ、実用的に使用することが難しいものをCとした。
(自己修復性)
被着体としての鋼板SS400(TP技研株式会社製、150mm×70mm)に、各実施例、比較例で得られた150mm×70mmの防食テープを、剥離シートを剥がして貼り付けた。鋼板に貼り付けた防食テープの表面から、鋼板まで届くように、各線の長さが80mmである“×印”の傷をつけた。
その後、キセノンウェザーメーター(WOM)(スガ試験機株式会社製、商品名「スーパーキセノンウェザーメーターSX75)を用いて、耐候性試験を実施した。具体的には、1時間42分間の照射と、18分間の降雨を繰り返し、1カ月後の錆を観察して、鋼板上の錆の有無を観察した。
(抵抗値)
各実施例、比較例で得られた50mm×50mmの防食テープを、剥離シートを剥がした後、抵抗値に応じて以下のように測定した。高抵抗(抵抗値10Ω以上)の防食テープは、抵抗率計Hiresta−UP MCP−HT450(三菱ケミカルアナリテック製)に電極URSプローブ(三菱ケミカルアナリテック製)を取り付け、電極を防食テープ表面に接触させることで測定した。低抵抗(抵抗値10Ω未満)の防食テープは、低抵抗率計Loresta−AX MCP−T370(三菱ケミカルアナリテック製)に直列四探針プローブ(三菱ケミカルアナリテック製)を取り付け、電極を防食テープ表面に接触させることで測定した。
[実施例1、2、3]
表1に記載の配合を有する粘着剤組成物を用意し、その粘着剤組成物に、表2に記載の含有割合となるように、亜鉛、及び導電性材料を配合して導電性粘着剤組成物を得た。この導電性粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ20μmのスペーサーを設置し、導電性粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した導電性粘着剤組成物の上に、剥離処理面が導電性粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、15分間紫外線を照射し、導電性粘着剤層単体からなり、両面に剥離シートが貼付された両面粘着テープ(防食テープ)を得た。導電性粘着剤層の厚さは20μmであり、貯蔵弾性率が45万Pa、ゲル分率が55%であった。得られた防食テープの犠牲防食性及び粘着性を評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
表1に記載の配合を有する粘着剤組成物を用意し、その粘着剤組成物に、表2に記載の含有割合となるように、導電性材料を配合して導電性粘着剤組成物を得た。その後、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。両面粘着テープの一方の剥離シートを剥がして、厚さ50μmの亜鉛箔を貼り合わせて、導電性粘着剤層の表面に金属層が設けられた防食テープを得た。得られた防食テープの犠牲防食性及び粘着性を評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例5,6]
表2に示すように、実施例5,6は、それぞれ、スペーサーの厚さを600μmに変更して、導電性粘着剤層の厚さを600μmに変更した以外は、実施例1,4それぞれと同様に防食テープを得た。得られた防食テープの犠牲防食性及び粘着性を評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例1,2]
表2に示すように、比較例1,2は、それぞれ、粘着剤組成物に導電性材料を配合せずに、導電性粘着剤層に導電性材料を含有させなかった点以外は、実施例1,2それぞれと同様に防食テープを得た。得られた防食テープの犠牲防食性及び粘着性を評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
表2に示すように、粘着剤組成物に導電性材料を配合せず、かつ亜鉛粒子の質量%を変更した点を除いて、比較例1と同様に実施した。
※表1における各成分は、以下のとおりである。
オレフィン重合体:商品名「L−1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
粘着付与樹脂1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与樹脂2:商品名「アルコンP100」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点100℃
微粒子:商品名「セルスターZ−27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
架橋剤:商品名「TEAI−1000」、日本曹達株式会社製
重合開始剤:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
なお、表2、3における質量%とは、導電性粘着剤層に対する質量%である。また、質量部とは、粘着剤組成物100質量部に対する質量部である。
表2、3における各成分は、以下の通りである。
亜鉛粒子:堺化学工業株式会社製、商品名「亜鉛末#40」、平均粒径:50μm
カーボン系材料:人造黒鉛粉、オリエンタル産業株式会社、商品名「AT−NO.15S」、平均粒径13μm
[実施例7〜9、参考例]
表3に示すように、実施例7〜9、参考例は、それぞれ、スペーサーの厚さを250μm、400μm、600μm、150μmに変更して、導電性粘着剤層の厚さを250μm、400μm、600μm、150μmに変更した以外は、実施例1と同様に防食テープを得た。得られた防食テープの自己修復性についてを評価した。評価結果を表3に示す。
以上の実施例1〜6の結果から明らかなように、導電性粘着剤層に導電性材料を配合し、かつ、鉄よりも電位が卑な金属を導電性粘着剤層に配合し、または、導電性粘着剤層とは別に金属層を設けることで、犠牲防食性及び粘着性の両方が良好である防食テープを得ることができた。それに対して、比較例1〜3に示すように、導電性粘着剤層に導電性材料を含有しないと、犠牲防食性及び粘着性の両方が良好である防食テープを得られなかった。
さらに、実施例7〜9に示すように、導電性粘着剤層の厚さを比較的大きくすると、導電性粘着剤層に自己修復機能が付与され、防食性能がさらに向上することが理解できる。
10 防食テープ(防食部材)
11 導電性粘着剤層
11A,11B 表面
12 鉄よりも電位が卑な金属
13 導電性材料
14 基材
15 金属層
16 接着剤層

Claims (15)

  1. 導電性粘着剤層を備える防食部材であって、
    鉄よりも電位が卑な金属が、少なくとも、前記導電性粘着剤層に含有され、又はイオン化した際に放出する電子が前記導電性粘着剤層に移行できるように前記防食部材の前記導電性粘着剤層以外の箇所に設けられ、
    前記導電性粘着剤層は、前記金属以外の導電性材料を含有し、かつ抵抗値が10Ω以下である、防食部材。
  2. 前記導電性粘着剤層が、粒子形状の前記金属を含有する請求項1に記載の防食部材。
  3. 粒子形状の前記金属の粒径が1〜500μmである請求項2に記載の防食部材。
  4. 前記導電性粘着剤層以外の箇所に設けられる前記金属が、前記導電性粘着剤層に接触するように配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載の防食部材。
  5. 前記導電性粘着剤層以外の箇所に設けられる前記金属が、前記導電性粘着剤層の表面上に設けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の防食部材。
  6. 前記導電性粘着剤層の表面上に設けられる前記金属が、金属層を形成する請求項5に記載の防食部材。
  7. 前記金属層の厚さが2.5μm以上である請求項6に記載の防食部材。
  8. 前記導電性材料が、カーボン系材料、金属系材料、金属酸化物系材料、イオン性ポリマー及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の防食部材。
  9. 前記導電性粘着剤層の厚さが20μm以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の防食部材。
  10. 前記金属が、亜鉛である請求項1〜9のいずれか1項に記載の防食部材。
  11. 前記導電性粘着剤層が前記金属を含有し、かつ前記導電性粘着剤層における前記金属の含有量が、40質量%以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の防食部材。
  12. 前記導電性粘着剤層が、自己修復機能を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の防食部材。
  13. 前記導電性粘着剤層の表面上に、さらに前記導電性粘着剤層以外の接着剤層、又は、基材が少なくとも設けられる請求項1〜12のいずれか1項に記載の防食部材。
  14. 前記基材が、樹脂フィルム、及び不織布の少なくともいずれかを含む請求項13に記載の防食部材。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の防食部材を使用した防食方法であって、
    鉄、及び鉄を含む合金からなる群から選択される少なくとも1種を含有する被着体に、前記導電性粘着剤層が接着されるように前記防食部材を配置する、防食方法。
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