JP2019117242A - 液体現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリプロプロピレンフィルムに対する定着性に優れた液体現像剤に関する。【解決手段】結着樹脂、酸変性ポリプロピレン系重合体及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する、ポリプロピレンフィルム印刷用の液体現像剤。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤に関する。
電子写真用現像剤として、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー粒子が絶縁性液体中に分散した液体現像剤が知られている。液体現像剤は、トナーの小粒径化が可能であることから、画質の面で優れている。
特許文献1では、活性水素基を有するポリマー及びブロックイソシアネート基を有するポリマーを含み、体積平均粒径が0.5μm以上3μm以下であるトナー粒子と、前記トナー粒子が分散されたキャリア液と、を有する液体現像剤が記載されている。当該液体現像剤によれば、低温定着性を有し、かつ、定着強度が高いトナー像が得られると記載されている。
特開2017−67861号公報
近年印刷媒体の多様化により、ポリプロピレンフィルムへの定着性に優れた液体現像剤が求められている。例えば、特許文献1においては、ポリプロピレンフィルム等の印刷媒体への印刷において、定着強度が高いトナー像が得られる液体現像剤が得られるとされているが、更に優れたポリプロピレンフィルムに対する定着性が求められる。
本発明は、ポリプロプロピレンフィルムに対する定着性に優れた液体現像剤に関する。
本発明者は、トナー粒子が酸変性ポリプロピレン系重合体を含有することで、ポリプロピレンフィルムへの優れた定着性が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、結着樹脂、酸変性ポリプロピレン系重合体及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する、ポリプロピレンフィルム印刷用の液体現像剤に関する。
ここで、結着樹脂として、好ましくは酸性基を有する樹脂、より好ましくはポリエステル系樹脂である。
本発明によれば、ポリプロプロピレンフィルムに対する定着性に優れた液体現像剤を提供できる。
[液体現像剤]
本発明のポリプロピレンフィルム印刷用の液体現像剤(以下、単に「液体現像剤」ともいう)は、結着樹脂(以下、単に「結着樹脂A」ともいう)、酸変性ポリプロピレン系重合体及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する。
以上の構成によれば、ポリプロプロピレンフィルムに対する定着性(以下、単に「PPへの定着性」ともいう)に優れる。
本発明の一実施形態により、PPフィルムへの定着性に優れる液体現像剤が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本来、高極性分子であるポリエステル系樹脂に代表される結着樹脂と、低極性分子であるPPフィルムの間には、定着に必要な相互作用が働きにくい。一方、本発明の液体現像剤は、トナー粒子が、酸変性ポリプロピレン系重合体を含み、トナー粒子中にPPフィルムと同じ骨格を有するポリプロピレン骨格が少なくとも含まれている。印刷における定着加熱時に、トナー粒子中のポリプロピレン骨格がPPフィルム方向へ配向することで、分子鎖同士の絡まりによる接着力が生じたと考えられる。
以上のように、酸変性ポリプロピレン系重合体が、PPフィルムとポリエステル系樹脂に代表される結着樹脂間の界面に対し、接着性を向上させたため、PPフィルムへの定着性に優れる液体現像剤が得られたと考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
「カルボン酸化合物」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びカルボン酸のアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)も含む概念である。
カルボン酸化合物がカルボン酸のアルキルエステルである場合、カルボン酸化合物の炭素数には、エステルのアルコール残基であるアルキル基の炭素数を算入しない。
「結着樹脂」とは、トナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
<トナー粒子>
トナー粒子は、結着樹脂A、酸変性ポリプロピレン系重合体及び着色剤を含有する。
酸変性ポリプロピレン系重合体の量は、PPへの定着性の向上の観点、並びに、小粒径化、及び低粘度化の促進の観点から、結着樹脂A100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
ここで、結着樹脂Aとして、好ましくは酸性基を有する樹脂、より好ましくはポリエステル系樹脂A(以下、単に「ポリエステル系樹脂A」ともいう)である。
〔酸変性ポリプロピレン系重合体〕
酸変性前のポリプロピレン系重合体としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンとその他オレフィンとの共重合体が挙げられる。
ポリプロピレンは、例えば、一般のプロピレンの重合によって得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリプロピレンを熱分解して得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリプロピレンの製造時に副生成される低分子量のポリプロピレンを分離精製する方法により得られるポリプロピレンが挙げられる。
プロピレンとその他のオレフィンとの共重合体は、例えば、プロピレンと、プロピレンと共重合可能な不飽和結合を有するその他のオレフィンとを重合させることにより得られる共重合体が挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
その他のオレフィンは、例えば、エチレン、炭素数4以上10以下のオレフィンが挙げられる。その他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、2-エチルヘキセンが挙げられる。
共重合体である場合、プロピレンの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%未満である。
酸変性ポリプロピレン系重合体としては、例えば、酸化ポリプロピレン系重合体、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により変性したポリプロピレン系重合体が挙げられる。
酸化ポリプロピレン系重合体は、例えば、空気酸化等の方法によりポリプロピレン系重合体骨格にカルボキシ基を付与した酸化ポリプロピレン系重合体が挙げられる。
不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により変性したポリプロピレン系重合体としては、例えば、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物をランダムグラフト変性されたポリプロピレン系重合体(以下単に、「ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により末端変性されたポリプロピレン系重合体(以下単に、「末端変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)が挙げられる。
トナー粒子を小粒径化でき(以下、単に「小粒径化」ともいう)、更に、液体現像剤を低粘度化(以下、単に「低粘度化」ともいう)する観点から、末端変性ポリプロピレン系重合体が好ましい。
不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物としては、例えば、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられる。これらの中でも無水マレイン酸が好ましい。ポリプロピレン系重合体に無水マレイン酸部位が導入されることにより、2つのポリエステル系樹脂由来の構成部位がエステル結合を介して連結することができる。特に無水マレイン酸末端変性ポリプロピレン系重合体を用いることで、ポリプロピレン系重合体の末端の無水マレイン酸部位により、2つのポリエステル系樹脂由来の構成部位が連結した構造を有するポリエステル系樹脂が得られると考えられる。そのため、無水マレイン酸により変性されたポリプロピレン系重合体を用いることで、ポリプロピレンフィルムへの定着性を向上し、トナーの低温定着性、及び保存性の性能を高められると考えられる。
ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体は、好ましくは無水マレイン酸がランダムにグラフト化され変性されたポリプロピレン系重合体(以下、「ランダムグラフト無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)である。
ランダムグラフト無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体は、好ましくは1分子中に1個以上の無水マレイン酸がグラフト化され変性されている。無水マレイン酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。
ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体は、例えば、ポリプロピレン系重合体分子内にラジカルを発生させ、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物と反応させることで得られる。
ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体の市販品としては、例えば、ランダムグラフト無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体として、「TOYO-TAC」シリーズの「M-100」,「M-300」,「M-310」,「PMA H1000A」,「PMA H1100A」,「PMA H3000A」,「PMA-T」,「PMA-F2」,「PMA-L」(以上、東洋紡株式会社製)、「ユーメックス」シリーズの「1001」,「1010」,「100TS」,「110TS」(以上、三洋化成工業株式会社製)、「カヤブリット」シリーズの「003」,「006」(以上、アクゾノーベル株式会社製)が挙げられる。
末端変性ポリプロピレン系重合体は、好ましくは片末端が無水マレイン酸で変性された、ポリプロピレン系重合体(以下、「片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)である。
片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体は、好ましくは1分子中に1個の無水マレイン酸によって変性される。無水マレイン酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。またポリプロピレン側の被連結部分も結合前後でスペクトル変化を起こすのでこれを測定することで規定できる。
片末端変性ポリプロピレン系重合体は、例えば、片末端に不飽和結合を有するポリプロピレン系重合体に、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物をEne反応させることで得られる。片末端に不飽和結合を有するポリプロピレン系重合体は、公知の方法により得られるが、例えば、バナジウム系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒等を用いて製造することができる。
酸変性ポリプロピレン系重合体としては、例えば、無水マレイン酸がランダムにグラフト化され変性されたポリプロピレン、無水マレイン酸がランダムにグラフト化され変性されたプロピレンとその他オレフィンとの共重合体、片末端が無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン(以下、「片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン」ともいう)、片末端が無水マレイン酸で変性されたプロピレンとその他オレフィンとの共重合体(以下、「片末端無水マレイン酸変性プロピレン系共重合体」ともいう)が挙げられる。
これらの中でも、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン、片末端無水マレイン酸変性プロピレン系共重合体が好ましい。
(酸変性ポリプロピレン系重合体の物性)
酸変性ポリプロピレン系重合体の融点は、PPへの定着性の向上の観点、並びに、小粒径化、及び低粘度化の促進の観点から、好ましくは-30℃以上、より好ましくは-10℃以上、更に好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、更に好ましくは50℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは130℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
酸変性ポリプロピレン系重合体の酸価は、PPへの定着性の向上の観点、並びに、小粒径化、及び低粘度化の促進の観点から、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは300mgKOH/g以下、更に好ましくは200mgKOH/g以下、更に好ましくは150mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上、更に好ましくは50mgKOH/g以上、更に好ましくは70mgKOH/g以上である。
融点、及び酸価の測定方法は、実施例に記載の方法による。
酸変性ポリプロピレン系重合体の数平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは400以上、更に好ましくは600以上、更に好ましくは800以上であり、そして、好ましくは50,000以下、より好ましくは30,000以下、更に好ましくは15,000以下、更に好ましくは8,000以下、更に好ましくは3,000以下である。
数平均分子量は、標準試料としてポリスチレンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定する。
酸変性ポリプロピレン系重合体は、PPへの定着性の向上の観点、並びに、小粒径化、及び低粘度化の促進の観点から、結着樹脂A(好ましくはポリエステル系樹脂A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
〔結着樹脂A〕
結着樹脂Aとしては、好ましくは酸性基を有する樹脂を含み、より好ましくはポリエステル系樹脂A(以下、単に「ポリエステル系樹脂A」ともいう)を含む。酸性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
(ポリエステル系樹脂A)
ポリエステル系樹脂Aとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントとを含有する複合樹脂が挙げられる。
以下、ポリエステル樹脂の各成分について説明する。
アルコール成分は、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは、式(I):
Figure 2019117242

(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いてもよい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
他のアルコール成分の含有量は、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下である。
その他のカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、その他の脂肪族ジカルボン酸化合物、3価以上のカルボン酸化合物が挙げられる。
これらの中でも、カルボン酸成分は、好ましくは芳香族ジカルボン酸化合物を含む。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは60モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、そして、好ましくは99モル%以下、より好ましくは98モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されていてもよいコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
炭素数1以上20以下の直鎖アルキル基又は炭素数2以上20以下の直鎖アルケニル基で置換されたコハク酸は、好ましくは炭素数6以上14以下の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基で置換されたコハク酸であり、より好ましくは炭素数8以上12以下の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基で置換されたコハク酸である。具体的には、n-オクチルコハク酸やn-ドデセニルコハク酸(n-テトラプロペニルコハク酸)等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸又はその酸無水物(以下、「トリメリット酸化合物」ともいう。)が好ましい。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分のカルボキシ基とアルコール成分の水酸基との当量比〔COOH基/OH基〕は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.9以下である。
次いで、複合樹脂について説明する。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントとを有する。
ポリエステル樹脂セグメントは、前記ポリエステル樹脂からなることが好ましい。
ビニル系樹脂セグメントは、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合体からなることが好ましく、スチレン系化合物及び炭素数3以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーを含有する原料モノマーの付加重合物からなることが好ましい。
スチレン系化合物としては、例えば、置換又は無置換のスチレンが挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、スルホン酸基又はその塩等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、例えば、例えば、スチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等のスチレン類が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物、好ましくはスチレンの含有量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー中、トナー粒子の分散安定性の向上と、保存安定性の向上の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、トナーの低温定着性の向上の観点及び湿式粉砕性の向上の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーの炭化水素基の炭素数は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の向上の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基が挙げられる。これらの中でも、アルキル基、又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。なお、脂肪族炭化水素基は、分岐又は直鎖のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーとしては、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの場合、炭化水素基はエステルのアルコール側残基である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。ここで、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの接頭辞が、存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの接頭辞が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である。
炭素数3以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーの量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の向上の観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
他の原料モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等の共役ジエン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル類;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類が挙げられる。
ビニル系樹脂セグメント中の原料モノマー中、スチレン系化合物と炭素数3以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーの合計量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の向上の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは100質量%である。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントを連結するため、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位を有する。
「両反応性モノマー由来の構造単位」とは、両反応性モノマーの官能基、ビニル部位が反応した単位を意味する。
両反応性モノマーとしては、例えば、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するビニル系モノマーが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、水酸基又はカルボキシ基を有するビニル系モノマーが好ましく、カルボキシ基を有するビニル系モノマーがより好ましい。
両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応と付加重合反応の双方の反応性の観点から、アクリル酸、又はメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、複合樹脂(A)のポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは5モル部以上、更に好ましくは8モル部以上であり、そして、好ましくは30モル部以下、より好ましくは25モル部以下、更に好ましくは20モル部以下である。
ポリエステル樹脂セグメントの量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の向上の観点から、複合樹脂中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
ビニル系樹脂セグメントの量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の向上の観点から、複合樹脂中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の向上の観点から、複合樹脂中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
複合樹脂中のポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントと、両反応性モノマー由来の構成単位の合計量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット、及び耐久性の向上の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは93質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
複合樹脂におけるビニル系樹脂セグメントとポリエステル樹脂セグメントの質量比(ビニル系樹脂セグメント/ポリエステル樹脂セグメント)は、トナー粒子の粉砕性の観点から、好ましくは3/97以上、より好ましくは7/93以上、更に好ましくは10/90以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは45/55以下、より好ましくは40/60以下、更に好ましくは35/65以下、更に好ましくは30/70以下、更に好ましくは25/75以下である。
上記量は、ポリエステル樹脂セグメント、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー、重合開始剤の量の比率を基準に算出し、ポリエステル樹脂セグメント等における重縮合による脱水量は除く。なお、重合開始剤を用いた場合、重合開始剤の質量は、ビニル系樹脂セグメントに含めて計算する。
(ポリエステル系樹脂Aの製造方法)
ポリエステル系樹脂Aは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合して得られる、
アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒とともに用い得るエステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
酸変性ポリプロピレン系重合体を反応させる温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下、更に好ましくは235℃以下である。
ポリエステル系樹脂Aが複合樹脂である場合、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合をすること、及びビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合することとを含み、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)アルコール成分及びカルボン酸成分による重縮合の後に、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合する方法
(2)ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合の後に、アルコール成分及びカルボン酸成分による重縮合を行う方法
(3)アルコール成分及びカルボン酸成分による重縮合とビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合とを並行して行う方法
上記(1)〜(3)の方法の重縮合及び付加重合は、いずれも、同一容器内で行うことが好ましい。
複合樹脂は、上記(1)又は(2)の方法により製造することが、重縮合反応の反応温度の自由度が高い点から好ましく、上記(1)がより好ましい。
上記重縮合の条件は上述と同様である。
付加重合においては、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー及び両反応性モノマーを付加重合する。
付加重合の温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下である。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させることが好ましい。
付加重合の重合開始剤としては、例えば、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等の公知の重合開始剤を使用することができる。
重合開始剤の使用量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
(ポリエステル系樹脂Aの物性)
ポリエステル系樹脂Aの軟化点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上であり、そして、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下である。
ポリエステル系樹脂Aのガラス転移温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
ポリエステル系樹脂Aの水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは30mgKOH/g以上、更に好ましくは40mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは55mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂Aが2種以上のポリエステルからなる場合は、ポリエステル系樹脂Aの上記物性は、それらの加重平均値が上記範囲内となることが好ましい。
トナー粒子は、ポリエステル系樹脂A以外の他の結着樹脂を含有してもよい。
他の結着樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂Aの含有量は、結着樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして更に好ましくは100質量%である。
〔着色剤〕
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができ、好ましくは顔料である。
具体的には、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエローが挙げられる。なお、トナー粒子は、黒トナー、その他のカラートナーのいずれであってもよい。
トナー粒子において、着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。
トナー粒子は、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
トナー粒子の製造方法としては、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法、水系結着樹脂分散液と水系着色剤分散液を混合し結着樹脂粒子と着色剤粒子を合一する方法、又は水系結着樹脂分散液と着色剤を高速攪拌する方法等が挙げられる。現像性及び定着性の向上の観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。その詳細は後述の工程1で説明する。
トナー粒子の含有量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、そして、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。
<絶縁性液体>
絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味する。
絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11 S/m以下、より好ましくは5.0×10-12 S/m以下であり、そして、好ましくは1.0×10-13 S/m以上である。
絶縁性液体としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサンが挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素がより好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィンが挙げられる。これらの中でもイソパラフィンが好ましい。
絶縁性液体の市販品としては、例えば、「アイソパーG」、「アイソパーH」、「アイソパーL」、「アイソパーK」(以上、エクソンモービル社製)、「シェルゾール71」(昭和シェル石油株式会社製)、「IPソルベント1620」、「IPソルベント2080」(以上、出光興産株式会社製)、「モレスコホワイトP-55」、「モレスコホワイトP-70」(以上、松村石油株式会社製)、「コスモホワイトP-60」、「コスモホワイトP-70」(以上、コスモ石油ルブリカンツ株式会社製)が挙げられる。
絶縁性液体の25℃における粘度は、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、更に好ましくは20mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以下、更に好ましくは5mPa・s以下であり、そして、好ましくは0.01mPa・s以上、より好ましくは0.1mPa・s以上である。
<分散剤>
液体現像剤は、分散剤を含有していてもよい。分散剤は、例えば、トナー粒子を絶縁性液体中に安定に分散させるために用いる。
分散剤としては、例えば、ポリアルキレンイミンとカルボン酸の縮合物(以下、単に「縮合物」ともいう)、アルキルメタクリレート/アミノ基含有メタクリレートの共重合体、α-オレフィン/ビニルピロリドンの共重合体(市販品としては、「アンタロンV-216」(アシュランド・ジャパン株式会社製))が挙げられる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンとカルボン酸の縮合物が好ましい。
ポリアルキレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミンが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンイミンが好ましい。
ポリエチレンイミンのエチレンイミンの付加モル数は、好ましくは10以上、より好ましくは100以上であり、そして、好ましくは1,000以下、より好ましくは500以下である。
一方、カルボン酸としては、例えば、トナー粒子の分散安定性の向上と、保存安定性の向上の観点から、炭素数10以上30以下の脂肪族カルボン酸が挙げられる。
脂肪族カルボン酸の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは22以下である。
脂肪族カルボン酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状の脂肪族カルボン酸がより好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。
また、カルボン酸は、ヒドロキシ基を置換基として有するヒドロキシカルボン酸であってもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、メバロン酸、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。なお、ヒドロキシカルボン酸はその縮合体であってもよい。
縮合物の重量平均分子量は、好ましくは2,000以上、より好ましくは4,000以上、更に好ましくは8,000以上であり、そして、好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下、更に好ましくは30,000以下である。
縮合物の市販品としては、例えば、ソルスパースシリーズの「11200」、「13940」(以上、いずれも日本ルーブリゾール株式会社製)が挙げられる。
分散剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下であり、そして、0質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上である。
<液体現像剤の物性等>
液体現像剤の固形分濃度は、画像濃度の向上の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性の向上と保存安定性の向上の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤の粘度の低減の観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上であり、そして、液体現像剤の画質の向上の観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは6μm以下、更に好ましくは5μm以下、更に好ましくは4μm以下である。
固形分濃度25質量%、温度25℃における液体現像剤の粘度は、液体現像剤の定着性の向上の観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは5mPa・s以上であり、そして、液体現像剤の分散安定性の向上と、凝集防止の観点から、好ましくは40mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以下、更に好ましくは20mPa・s以下である。
上述の粘度は、実施例に記載の方法による。
[液体現像剤の製造方法]
液体現像剤の製造方法は、好ましくは、
工程1:ポリエステル系樹脂Aを含む結着樹脂、酸変性ポリプロピレン系重合体及び着色剤を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させ、分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られた分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む。
〔工程1〕
工程1では、結着樹脂、酸変性ポリプロピレン系重合体、着色剤、必要に応じて用いる添加剤等を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
混合機としては、結着樹脂中での着色剤の分散性の向上の観点から、ヘンシェルミキサーが好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、着色剤の分散性の向上の観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、着色剤の分散性の向上の観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
次いで、トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の混練機を用いて行うことができる。本発明においては、着色剤の分散性の向上の観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率の向上の観点から、オープンロール型混練機が好ましい。
次いで、溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等を経て、トナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、約1〜5mmに粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス、ハンマーミルが挙げられる。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミルが挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、例えば、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
工程1で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の工程2の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。
〔工程2〕
工程2では、工程1で得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させ、分散液を得る。
トナー粒子を絶縁性液体に分散させる方法としては、例えば、攪拌混合装置により攪拌する方法が挙げられる。攪拌混合装置によって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
撹拌混合装置は、例えば、高速攪拌混合装置が挙げられる。
撹拌混合装置の市販品としては、例えば、「デスパ」(浅田鉄工株式会社製)、「T.K.ホモミクサー」、「T.K.ホモディスパー」、「T.K.ロボミックス」(以上、プライミクス株式会社製)、「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)、「ケイディーミル」(ケイディー インターナショナル社製)が挙げられる。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度の向上の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
〔工程3〕
工程3では、工程2で得られた分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
湿式粉砕に使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。
撹拌混合装置としては、「デスパ」(浅田鉄工株式会社製)、「T.K.ホモミクサー」(プライミクス株式会社製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル等の粉砕機、ニーダー、エクストルーダ等の混練機が挙げられる。これらの装置は1種又は2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、ビーズミルが好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径及びその充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
[印刷方法]
以上の液体現像剤は、例えば、液体現像剤カートリッジに収納され、液体現像剤を用いる電子写真方式の画像形成装置を用いて画像形成することができる。
液体現像剤は、PPフィルムへの印刷に用いられる。
液体現像剤を用いたPPフィルムへの印刷は通常の電子写真方式の画像形成装置システムを用いて行われる。
PPフィルムとしては、例えば、未処理の延伸PPフィルム、コロナ処理PPフィルム、化学処理PPフィルム、プラズマ処理PPフィルム、PPとその他樹脂や添加剤とのコンポジット樹脂の延伸フィルムが挙げられる。コストの観点から未処理の延伸PPフィルム、コロナ処理PPフィルムが好ましい。
液体現像剤の定着温度としては、トナー粒子とPPフィルムとの間で相互作用を効果的に発生させる観点から、酸変性ポリエステル系重合体の融点以上に定着温度を設定することが好ましい。
電子写真法における、定着温度は、PPフィルムの耐熱性の観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは140℃以下であり、そして、定着性の観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上である。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
[測定方法]
〔樹脂の重量平均分子量(Mw)〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー株式会社製)
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K0070:1992の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070:1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター株式会社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター株式会社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター株式会社製)
分散液:電解液に「エマルゲン109P」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機「US-1」(株式会社エスエヌディー、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体の導電率〕
試料25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」(株式会社マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(株式会社セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔トナー粒子分散液及び液体現像剤の固形分濃度〕
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)を用いて、回転数25,000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
Figure 2019117242
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
〔固形分濃度25質量%、温度25℃における液体現像剤の粘度〕
10mL容のスクリュー管に固形分濃度を25質量%に調整した液体現像剤を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(株式会社セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔固形分濃度25質量%、温度25℃における液体現像剤の抵抗〕
固形分濃度を25質量%に調整した液体現像剤25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」(株式会社マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を液体現像剤に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定し、その逆数を抵抗とする。数値が高いほど高抵抗であり、印刷品質が良好になる。
〔PPフィルムへの定着性〕
下記に示すPPフィルム「FOR25」(フタムラ化学株式会社製)のコロナ処理面又は未処理面に、液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、120℃の恒温槽中で6分間放置して、定着させた。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(スリーエム ジャパン株式会社製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度は、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)を用いて測定した。画像印刷部分を各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。定着率(%)は、剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から算出した。定着率の数値が大きいほど定着性に優れることを示している。
[樹脂の製造]
製造例A1〜A2(樹脂A-1〜A-2の製造)
表1に示す原料モノマー、エステル化触媒としてジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及びエステル化助触媒として没食子酸を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して12時間反応を行い、その後、さらに8.3kPaに減圧して1時間反応させ、表1に示す物性を有する樹脂A-1〜A-2を得た。
製造例A3(樹脂A-3)
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒としてジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び、エステル化助触媒として没食子酸を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して8時間反応を行い、その後、170℃に降温し、表1に示すビニル系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。170℃に維持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去及び、両反応性モノマーとポリエステル部位の反応を行い、表1に示す物性を有する樹脂A-3を得た。
Figure 2019117242
[液体現像剤の製造]
実施例1〜4,8〜9及び比較例3(液体現像剤1〜4,8〜9,53)
表2に示す結着樹脂、酸変性ポリプロピレン系重合体及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業株式会社製、フタロシアニンブルー15:3)を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合した。
その後、同方向回転二軸押出機「PCM-30」(株式会社池貝製、軸の直径 2.9cm、軸の断面積 7.06cm2)を使用した。運転条件は、バレル設定温度 100℃、軸回転数 200r/min(周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。
得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック株式会社製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子25質量部と絶縁性液体「アイソパーL」(エクソンモービル社製、イソパラフィン、導電率6.2×10-13S/m、25℃における粘度1mPa・s)75質量部を2L容のポリエチレン製容器に入れた。「T.K.ロボミックス」(プライミクス株式会社製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度25質量%の分散液を得た。
次に、得られた分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス株式会社製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて4時間湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去し、液体現像剤1〜4,9,53を得た。
実施例5〜7及び比較例1〜2(液体現像剤5〜7,51〜52)
樹脂及び酸変性ポリプロピレン系重合体を表2に示すとおりに変更し、表2に示す量のトナー粒子と油中分散剤「ソルスパース13940」(日本ルーブリゾール株式会社製)と絶縁性液体「アイソパーL」(エクソンモービル社製、イソパラフィン、導電率6.2×10-13S/m、25℃における粘度1mPa・s)を2L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス株式会社製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度25質量%のトナー粒子分散液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤5〜7,51〜52を得た。
実施例及び比較例で得られた液体現像剤について、上記の方法により物性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2019117242
以上の結果より、実施例1〜9の液体現像剤は、PPフィルムへの優れた密着性を示し、PPフィルムのコロナ処理面だけでなく、未処理面にも良好な定着性を示した。これに対し、比較例1の液体現像剤は、ポリプロピレンが酸変性されていないために、コロナ処理面への定着性も低い。また、比較例2,3の液体現像剤のように、含有する酸変性重合体がポリエチレン、ポリイソブテンの場合には、未処理面に対しほとんど定着性を示さなかった。

Claims (7)

  1. 結着樹脂、酸変性ポリプロピレン系重合体及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する、ポリプロピレンフィルム印刷用の液体現像剤。
  2. 前記酸変性ポリプロピレン系重合体が、無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン系重合体である、請求項1記載の液体現像剤。
  3. 前記酸変性ポリプロピレン系重合体が、片末端が無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン系重合体である、請求項1又は2に記載の液体現像剤。
  4. 前記酸変性ポリプロピレン系重合体は、無水マレイン酸がランダムにグラフト変性されたポリプロピレン系重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤。
  5. 前記酸変性ポリプロピレン系重合体の量は、前記結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の液体現像剤。
  6. 前記結着樹脂が、酸性基を有する樹脂を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の液体現像剤。
  7. 前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の液体現像剤。
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