JP2019112590A - 重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】臭気が大幅に低減された、高度な耐熱性を示す成形体を得るための重合体の製造方法を提供すること。【解決手段】下記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が140℃以上の高分子鎖を有する重合体(P)を得る工程と、次いで、当該重合体のチオカルボニルチオ基に対して求核剤を反応させて、重合体(A)を得る工程を含む、重合体の製造方法。【化1】(式中Zは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択される一種以上の原子を任意の位置に有していてもよい炭素数1〜20の有機基又はその塩を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、重合体の製造方法に関する。
従来から、ビニル単量体を重合してビニル重合体を得る方法として、ラジカル重合法が周知であるが、ラジカル重合法は一般に、得られるビニル重合体の分子量を制御することが困難であるという欠点があった。また、得られるビニル重合体が、様々な分子量を有する化合物の混合物になってしまい、分子量分布の狭いビニル重合体を得ることが困難であるという欠点があった。具体的には、反応を制御しても、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として、2〜3程度にまでしか減少させることができなかった。
このような欠点を解消する方法として、1990年頃から、リビングラジカル重合法が開発されている。すなわち、リビングラジカル重合法によれば、分子量を制御することが可能であり、かつ分子量分布の狭い重合体を得ることが可能である。具体的には、Mw/Mnが2以下のものを容易に得ることが可能であることから、ナノテクノロジー等の最先端分野に用いられる重合体を製造する方法として脚光を浴びている。
リビングラジカル重合法としては、可逆的付加−開裂連鎖移動重合法(RAFT法)、ニトロキシラジカル法(NMP法)、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、有機テルル化合物を用いる重合法(TERP法)、有機アンチモン化合物を用いる重合法(SBRP法)、有機ビスマス化合物を用いる重合法(BIRP法)及びヨウ素移動重合法等の各種重合方法が知られている。
これらの中でも、重合の制御性と実施の簡便さの観点から、RAFT法、NMP法及びATRP法が工業的に利用されており、最も広範囲なビニル単量体に適用でき、金属フリーである重合方法として、RAFT法が注目されている。
RAFT法では、ジチオエステル化合物、キサンテート化合物、トリチオカーボネート化合物、ジチオカーバメート化合物等の重合制御剤(RAFT剤)及び一般的なフリーラジカル重合開始剤の存在下、可逆的な連鎖移動反応を介して制御された重合が進行する。RAFT法によって得られる重合体(RAFT重合体)は、前記RAFT剤の残基として、チオカルボニルチオ基を有する。
RAFT重合体の使用に際し、前記チオカルボニルチオ基は着色の原因となることがあるため、別の官能基に変換することが検討されており、当該変換の手法として、いわゆる、アミン分解法が知られている。
特許文献1には、チオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、N−イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド又は2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのいずかの単量体を構成単位とする、RAFT法により製造される単独重合体のアミン分解を、特定の管型流通反応器を用いて行う方法が開示されている。
非特許文献1〜3には、チオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート又はN−イソプロピルアクリルアミドのいずかの単量体を構成単位とする、RAFT法により製造される単独重合体のアミン分解が開示されている。
特許文献4には、RAFT法による、(メタ)アクリル系ブロック共重合体の製造方法として、メタクリル系共重合体ブロック(A)とアクリル系共重合体ブロック(B)とをそれぞれ1つ以上含有するブロック共重合体であり、かつ、メタクリル系共重合体(A)が、メタクリレート単量体由来の繰返し単位と、2種類のN−置換マレイミド単量体由来の繰り返し単位とを含有するランダム共重合体ブロックであり、アクリル系共重合体ブロック(B)が、アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し単位を含有する、アクリル系熱可塑性樹脂の製造方法が開示されている。
国際公開第2013/086585号 特開2014−12782号公報
Macromolecules、2000、33、p.243−245 Macromolecules、2007、40、p.872−878 Macromolecules、2008、41、p.8316−8319
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1〜3に記載の方法で得られる重合体を用いた成形体は、着色は起こり難いものの、ガラス転移温度(Tg)が140℃未満であるため、厳しい耐熱性が要求される用途、例えば、車載用途等では、耐熱性の点で十分満足されない場合があり、使用できなかった。
一方、特許文献2に開示されている(メタ)アクリル系ブロック共重合体を用いて、押出成形、射出成形、又は鋳込み成形等により得られた成形体は、高度な耐熱性を示すものの、臭気が酷く、使用に際し、問題となることがあった。
このように、臭気が大幅に低減された、高度な耐熱性を示す成形体を得るための重合体については、未だ開示されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、臭気が大幅に低減された、高度な耐熱性を示す成形体を得るための重合体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、チオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、Tgが140℃以上の高分子鎖を有する重合体をTg以上の温度で成形を行う際のチオカルボニルチオ基の分解によって硫黄含有化合物が発生し、成形体の臭気の原因となっていることを突き止めた。そこで、前記重合体のチオカルボニルチオ基に対して求核剤を反応させて得られる重合体を成形することで、臭気が大幅に低減され、高度な耐熱性を示す成形体を得ることができるという知見を得た。また、前記の求核剤反応後の重合体を吸着剤処理及び/又は揮発分除去処理を行う事で、前記臭気及び/又は求核剤由来の臭気を一層低減できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
〔1〕下記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、Tgが140℃以上の高分子鎖を有する重合体(P)を得る工程と、
次いで、当該重合体(P)のチオカルボニルチオ基に対して求核剤を反応させて、重合体(A)を得る工程を含む、重合体の製造方法。
Figure 2019112590
(式中Zは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択される一種以上の原子を任意の位置に有していてもよい炭素数1〜20の有機基又はその塩を表す。)
〔2〕前記求核剤が1級及び/又は2級アミン化合物を含む、〔1〕に記載の重合体の製造方法。
〔3〕前記重合体(A)を、化学吸着型吸着剤及び/又は物理吸着型吸着剤で処理して重合体(B)を得る工程を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の重合体の製造方法。
〔4〕前記化学吸着型吸着剤が、ゼオライト、非晶質複合酸化物、非晶質活性酸化物、並びに、Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種を含有する複合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む、〔3〕に記載の重合体の製造方法。
〔5〕前記物理吸着型吸着剤が、活性炭又はケイソウ土の少なくとも一方を含む、〔3〕に記載の重合体の製造方法。
〔6〕前記重合体(A)に含まれる揮発分を除去して重合体(C)を得る工程を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の重合体の製造方法。
〔7〕前記重合体(B)に含まれる揮発分を除去して重合体(D)を得る工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれか一に記載の重合体の製造方法。
本明細書に開示される製造方法による重合体を用いることで、臭気が大幅に低減された、高度な耐熱性を示す成形体を得ることができる。
以下、本明細書に開示される技術の各種実施形態を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基を意味する。
本発明は、上記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、Tgが140℃以上の高分子鎖を有する重合体(以下、「重合体(P)」という。)を得る工程と、
次いで、当該重合体のチオカルボニルチオ基に対して求核剤を反応させて、重合体(A)を得る工程を含む、重合体の製造方法に関する。
上記一般式(1)においてZが表す、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択される一種以上の原子を任意の位置に有していてもよい炭素数1〜20の有機基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシアルキル基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキルアミノ基及びアリールアミノ基等が挙げられる。
以下、重合体(P)の製造工程、重合体(A)の製造工程、重合体(A)の後処理工程、及び用途について説明する。
1.重合体(P)の製造工程
重合体(P)としては、上記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が140℃以上の重合体(以下、「重合体(P1)」という。)、又は、Tgが140℃以上の重合体ブロックを有するブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(P2)」という。)が挙げられる。
1−1.重合体(P1)の製造工程
重合体(P1)は、上記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が140℃以上の重合体であって、製造の簡便さの観点から、RAFT法により製造されることが好ましい。
重合体(P1)の態様としては、用途等に応じて、適宜設定すれば良く、単独重合体であっても、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても良い。
RAFT法では、特定のRAFT剤及び一般的なフリーラジカル重合開始剤の存在下、可逆的な連鎖移動反応を介して制御された重合が進行する。RAFT剤としては、ジチオエステル化合物、キサンテート化合物、トリチオカーボネート化合物及びジチオカーバメート化合物等、公知の各種RAFT剤を使用することができる。
RAFT剤は活性点を1箇所のみ有する一官能のものを用いてもよいし、二官能以上のものを用いてもよい。
また、RAFT剤の使用量は、目標とするMnに応じて適宜調整される。
RAFT法による重合の際に用いる重合開始剤としては、アゾ化合物、有機過酸化物及び過硫酸塩等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができるが、安全上取り扱い易く、ラジカル重合時の副反応が起こりにくい点からアゾ化合物が好ましい。
上記アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤は1種類のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用割合は特に制限されないが、分子量分布がより小さい重合体を得る点から、上記RAFT剤1molに対する上記ラジカル重合開始剤の使用量を0.5mol以下とすることが好ましく、0.2mol以下とするのがより好ましい。また、重合反応を安定的に行う観点から、RAFT剤1molに対するラジカル重合開始剤の使用量の下限は、0.01molである。よって、RAFT剤1molに対するラジカル重合開始剤の使用量は、0.01mol以上0.5mol以下の範囲が好ましく、0.05mol以上0.2mol以下の範囲がより好ましい。
RAFT法では、必要に応じて連鎖移動剤の存在下で実施しても良い。
連鎖移動剤は公知のものを使用することができ、具体的には、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、2−メチルヘプタン−2−チオール、2−ブチルブタン−1−チオール、1,1−ジメチル−1−ペンタンチオール、1−オクタンチオール、2−オクタンチオール、1−デカンチオール、3−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、2−ドデカンチオール、1−トリデカンチオール、1−テトラデカンチオール、3−メチル−3−ウンデカンチオール、5−エチル−5−デカンチオール、tert−テトラデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール及び1−オクタデカンチオール等の炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキルチオール化合物の他、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
RAFT法では、公知の重合溶媒を用いることができ、ニトリル系溶剤、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、オルトエステル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール及び水等が挙げられる。
ニトリル系溶剤の具体例としては、アセトニトリル、イソブチロニトリル及びベンゾニトリル等が挙げられる。
芳香族系溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びアニソール等が挙げられる。
ケトン系溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶剤の具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチル等が挙げられる。
オルトエステル系溶剤の具体例としては、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリ(n−プロピル)、オルト蟻酸トリ(イソプロピル)、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトn−酪酸トリメチル、及びオルトイソ酪酸トリメチル等が挙げられる。
また、重合溶媒を使用せず、塊状重合等の態様で行ってもよい。
RAFT法による重合反応の際の反応温度は、好ましくは40℃以上100℃以下であり、より好ましくは45℃以上90℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。反応温度が40℃以上であれば、重合反応を円滑に進めることができる。一方、反応温度が100℃以下であれば、副反応が抑制できるとともに、使用できる開始剤や溶剤に関する制限が緩和される。
重合体(P1)を構成する単量体としては、スチレン類、マレイミド化合物、アミド基含有ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物等を挙げることができ、これらの中の1種又は2種以上を用いることができる。
上記スチレン類には、スチレン及びその誘導体が含まれる。具体的な化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン等が例示され、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。スチレン類を含む単量体を重合することにより、重合体(P1)にスチレン類に由来する構造単位を導入することができる。これらの中でも、重合性の観点から、スチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンが好ましい。また、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルナフタレンは、重合体(P1)のTgを高めることができ、耐熱性に優れる重合体を得ることができる点において好ましい。
重合体(P1)において、上記スチレン類に由来する構造単位が占める割合は、重合体(P1)の全構造単位に対して1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上70質量%以下であり、一層好ましくは20質量%以上60質量%以下である。また、例えば、20質量%以上40質量%以下であってもよい。
スチレン類に由来する構造単位が1質量%以上であれば、成形性に優れる重合体(P1)が得られる。一方、70質量%以下であれば、後述するマレイミド化合物由来の構造単位の必要量を確保することが可能となるため、耐熱性及び耐油性に優れる重合体(P1)を得ることができる。
上記マレイミド化合物には、マレイミド及びN−置換マレイミド化合物が含まれる。N−置換マレイミド化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ヘプチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキル置換マレイミド化合物;N−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(4−メトキシフェニル)マレイミド、N−(4−エトキシフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−アリール置換マレイミド化合物などが挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。マレイミド化合物を含む単量体を重合することにより、重合体(P1)にマレイミド化合物に由来する構造単位を導入することができる。
上記の内でも、得られる重合体(P1)の耐油性がより優れるものとなる点で、以下の一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019112590
〔式中、R1は水素、炭素数1〜3のアルキル基又はPhR2を表す。ただし、Phはフェニル基を表し、R2は水素、ヒドロキシ基、炭素数1〜2のアルコキシ基、アセチル基又はハロゲンを表す。〕
重合体(P1)において、上記マレイミド化合物に由来する構造単位が占める割合は、重合体(P1)の全構造単位に対して30質量%以上99質量%以下である。好ましくは30質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上80質量%以下である。また例えば、50質量%以上であってもよく、さらに例えば、60質量%以上であってもよい。また例えば、75質量%以下であってもよく、さらに例えば、70質量%以下であってもよい。また例えば、50質量%以上75質量%以下であってもよく、60質量%以上70質量%以下であってもよい。
マレイミド化合物に由来する構造単位が30質量%以上の場合、得られるブロック共重合体の耐熱性及び耐油性に優れる。一方、99質量%以下の場合、上記マレイミド化合物に由来する構造単位以外の構造単位を有する結果、流動性及び成形性に優れる。
重合体(P1)は、より耐油性に優れる点から、さらに、アミド基含有ビニル化合物に由来する構造単位を含んでいても良い。
アミド基含有ビニル化合物の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、並びに、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド誘導体;並びに、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド及びN−ビニルイソブチルアミド等のN−ビニルアミド系単量体等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミド基含有ビニル化合物を含む単量体を重合することにより、重合体(P1)にアミド基含有ビニル化合物に由来する構造単位に由来する構造単位を導入することができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸等の直鎖状又は分岐状(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等のアクリル酸の脂肪族環式エステル化合物などが挙げられる。
重合体(P1)の数平均分子量(Mn)は、10,000以上500,000以下の範囲であることが好ましい。数平均分子量が10,000以上あれば、エラストマー材料として十分な強度を発揮することができる。また、500,000以下であれば、良好な成形性を確保することができる。数平均分子量は、より好ましくは20,000以上400,000以下の範囲であり、さらに好ましくは50,000以上200,000以下の範囲である。
また、重合体(P1)の重量平均分子量(Mw)の値を上記数平均分子量(Mn)の値で除して得られる分子量分布(Mw/Mn)は、成形性の点で3.0以下であることが好ましい。より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2.0以下であり、一層好ましくは1.7以下である。分子量分布の下限値は1.0である。
が好ましい。
1−2.ブロック共重合体(P2)の製造工程
ブロック共重合体(P2)は、上記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、Tgが140℃以上の重合体ブロックを有するブロック共重合体であって、製造の簡便さの観点から、前記RAFT法により製造されることが好ましい。
RAFT剤としては、活性点を1箇所のみ有する一官能のものを用いてもよいし、二官能以上のものを用いてもよい。上記A−(BA)n型構造のブロック共重合体を効率的に得やすい点では、二官能型のRAFT剤を用いることが好ましい。
ブロック共重合体(P2)は、Tgが140℃以上の重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(P2−1)」という。)、並びに、Tgが140℃未満の重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(P2−2)」という。)を各々1つ以上有する。ブロック共重合体(P2)が、上記重合体ブロック(P2−1)及び/又は重合体ブロック(P2−2)を2以上有する場合、各ブロックの構造は同一であっても異なっていてもよい。
ブロック共重合体の構造についても特に制限はなく、ジブロックポリマー、又は、トリブロックポリマー等、各種の線状又は分岐状のブロック共重合体を用いることができる。
1-2-1.重合体ブロック(P2−1)
重合体ブロック(P2−1)は、Tgが140℃以上の重合体ブロックであり、重合体ブロック(P2−1)を構成する単量体としては、スチレン類、マレイミド化合物、アミド基含有ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物等を挙げることができる。具体例としては、重合体(P1)と同様のものが挙げられる。
重合体ブロック(P2−1)において、上記スチレン類に由来する構造単位が占める割合は、重合体(P2)の全構造単位に対して1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上70質量%以下であり、一層好ましくは20質量%以上60質量%以下である。また、例えば、20質量%以上40質量%以下であってもよい。
スチレン類に由来する構造単位が1質量%以上であれば、成形性に優れる重合体(P2)が得られる。一方、70質量%以下であれば、上記マレイミド化合物由来の構造単位の必要量を確保することが可能となるため、耐熱性及び耐油性に優れる重合体(P2)を得ることができる。
重合体ブロック(P2−1)において、上記マレイミド化合物に由来する構造単位が占める割合は、重合体(P2)の全構造単位に対して30質量%以上99質量%以下である。好ましくは30質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上80質量%以下である。また例えば、50質量%以上であってもよく、さらに例えば、60質量%以上であってもよい。また例えば、75質量%以下であってもよく、さらに例えば、70質量%以下であってもよい。また例えば、50質量%以上75質量%以下であってもよく、60質量%以上70質量%以下であってもよい。
マレイミド化合物に由来する構造単位が30質量%以上の場合、得られるブロック共重合体の耐熱性及び耐油性に優れる。一方、99質量%以下の場合、上記マレイミド化合物に由来する構造単位以外の構造単位を有する結果、流動性及び成形性に優れる。
重合体ブロック(P2−1)は、より耐油性に優れる点から、さらに、アミド基含有ビニル化合物に由来する構造単位を含んでいても良い。
また、重合体ブロック(P2−1)が架橋性官能基を含む場合は、圧縮永久歪の値が小さいブロック共重合体を得易い点で好ましい。上記架橋性官能基の導入は、例えば架橋性官能基を有するビニル化合物を共重合することによって導入することができる。架橋性官能基を有するビニル化合物としては、不飽和酸カルボン酸化合物、不飽和酸無水物、ヒドロキシ基含有ビニル化合物、エポキシ基含有ビニル化合物、1級又は2級アミノ基含有ビニル化合物、反応性ケイ素基含有化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和酸カルボン酸化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、桂皮酸、更には、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のモノアルキルエステル)等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒドロキシ基含有ビニル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、並びに、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ基含有ビニル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1級又は2級アミノ基含有ビニル化合物としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性ケイ素基含有化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン類;(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の外にも、オキサゾリン基含有単量体又はイソシアネート基含有単量体を共重合することにより、架橋性官能基としてオキサゾリン基又はイソシアネート基を導入することができる。
さらに、分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性単量体を共重合することにより、重合体ブロック(P2−1)に架橋性官能基として重合性不飽和基を導入し得る。上記多官能重合性単量体としては、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基等の重合性官能基を分子内に2つ以上有する化合物であり、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能アルケニル化合物、(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物等が挙げられる。これらの内でも、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸イソプロペニル、(メタ)アクリル酸ブテニル、(メタ)アクリル酸ペンテニル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等の分子内に(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物を用いた場合、重合性不飽和基の反応性に差異があることから重合体ブロック(P2−1)に効果的に重合性不飽和基を導入し得る点で好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体ブロック(P2−1)が架橋性官能基を有する場合、当該架橋性官能基の導入量は、重合体ブロック(P2−1)の全構造単位に基づいて好ましくは0.01モル%以上であり、より好ましくは0.1モル%以上であり、さらに好ましくは1.0モル%以上であり、特に好ましくは2.0モル%以上である。架橋性官能基の導入量が0.01モル%以上であれば、圧縮永久歪の値の小さなブロック共重合体を得易くなる。一方、架橋反応の制御性の観点から、架橋性官能基導入量の上限は好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは40モル%以下であり、さらに好ましくは20モル%以下である。架橋性官能基の導入量は、重合体ブロック(P2−1)の全構造単位に基づいて0.01モル%以上60モル%以下の範囲とすることができ、好ましくは0.1モル%以上40モル%以下の範囲であり、より好ましくは1.0モル%以上20モル%以下の範囲である。
重合体ブロック(P2−1)は、本発明が奏する効果を損なわない範囲において、上記の単量体単位以外に、これらと共重合可能な他の単量体に由来する構造単位を有していてもよい。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体ブロック(P2−1)において、上記の他の単量体に由来する構造単位が占める割合は、重合体ブロック(P2−1)の全構造単位に対して0質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは5質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸の直鎖状又は分岐状アルキルエステル化合物;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸の脂肪族環式エステル化合物などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシブチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシブチルなどが挙げられる。
上記以外の他の単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合体ブロック(P2−1)の溶解パラメータ(SP値)が10.0以上である場合、ブロック共重合体の耐油性がより良好なものとなる点で好ましい。SP値は、より好ましくは11.0以上であり、さらに好ましくは12.0以上であり、なお好ましくは13.0以上である。
重合体ブロック(P2−1)のSP値の上限については特に制限されないが、通常は30以下である。また例えば、SP値は、20.0以下であってもよく、また例えば、18.0以下であってもよい。
上記のSP値については、R.F.Fedorsにより著された「Polymer Engineering and Science」14(2),147(1974)に記載の計算方法によって、算出することができる。具体的には、式(1)に示す計算方法による。
Figure 2019112590
δ :SP値((cal/cm31/2
ΔEvap :各原子団のモル蒸発熱(cal/mol)
V :各原子団のモル体積(cm3/mol)
1-2-2.重合体ブロック(P2−2)
重合体ブロック(P2−2)は、Tgが140℃未満である重合体ブロックであり、エラストマー用途に好適な点で、アクリル系重合体ブロックが好ましい。
アクリル系重合体ブロックは、アクリル系単量体を含む単量体を重合することにより得ることができる。アクリル系単量体とは、アクリル酸及びアクリル酸エステル化合物等のアクリロイル基を有する不飽和化合物を指す。アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル化合物;
アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロドデシル等のアクリル酸の脂肪族環式エステル化合物;
アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸n−プロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸n−プロポキシプロピル、アクリル酸n−ブトキシプロピル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸エトキシブチル、アクリル酸n−プロポキシブチル、アクリル酸n−ブトキシブチル等のアクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物などが挙げられる。この他にも、アミド基、アミノ基、カルボキシ基及びヒドロキシ基等の官能基を有するアクリル酸エステル化合物を用いてもよい。
これらの内でも、柔軟性に優れたブロック共重合体が得られる点で炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル化合物が好ましい。また、耐熱性及び耐油性の観点を加味した場合、上記アクリル系単量体は、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜3のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル化合物を含むものであることがより好ましい。
アクリル系重合体ブロックにおいて、アクリル系単量体に由来する構造単位が占める割合は、アクリル系重合体ブロックの全構造単位に対して20質量%以上100質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、一層好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
アクリル系重合体ブロックにおいて、アクリル系単量体に由来する構造単位が上記範囲にある場合は、機械的物性の点で良好なブロック共重合体が得られる傾向にある。
本発明により奏される効果を妨げない限りにおいて、アクリル系重合体ブロックは、上記アクリル系単量体以外の単量体を構成単量体単位として使用することができる。アクリル系単量体以外の単量体としては、アクリロイル基以外の不飽和基を有する単量体を用いることができ、メタクリル酸エステル等のメタクリロイル基含有化合物、並びに、アルキルビニルエステル、アルキルビニルエーテル及びスチレン類等の脂肪族又は芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
本発明では、アクリル系重合体ブロックを構成する重合体のTgは25℃以下であることが好ましい。また例えば、10℃以下であってもよい。Tgは0℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましい。Tgが25℃を超える場合、得られるブロック共重合体の柔軟性が不十分となる場合がある。使用可能な構成単量体単位の制限から、Tgの下限は−80℃である。
また、Tgが−20℃以下の場合には、低温環境下でも柔軟性が確保される点で好ましい。耐寒性を加味した場合、より好ましくは−30℃以下であり、さらに好ましくは−40℃以下である。
尚、Tgの値は、後述する実施例において記載する通り、示差走査熱量測定(DSC)により得ることができる。また、重合体ブロックを構成する単量体単位から計算により求めることもできる。
また、アクリル系重合体ブロックのSP値が9.7以上である場合、ブロック共重合体の耐油性がより良好なものとなる点で好ましい。SP値は、より好ましくは10.0以上であり、さらに好ましくは10.2以上であり、特に好ましくは10.5以上である。
アクリル系重合体ブロックのSP値の上限については特に制限されないが、通常は20以下である。
また、重合体ブロック(P2−2)が架橋性官能基を含んでいても良く、耐油性の高いブロック共重合体を得易い点で好ましい。上記架橋性官能基の導入は、例えば架橋性官能基を有するビニル化合物を共重合することによって導入することができる。架橋性官能基を有するビニル化合物としては、不飽和カルボン酸化合物、不飽和酸無水物、ヒドロキシ基含有ビニル化合物、エポキシ基含有ビニル化合物、1級又は2級アミノ基含有ビニル化合物、反応性ケイ素基含有化合物等が挙げられる。具体例としては、重合体ブロック(P2−1)と同様のものが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体ブロック(P2−2)が架橋性官能基を有する場合、当該架橋性官能基の導入量は、重合体ブロック(P2−2)の全構造単位に基づいて好ましくは0.01モル%以上であり、より好ましくは0.1モル%以上であり、さらに好ましくは0.5モル%以上である。架橋性官能基の導入量が0.01モル%以上であれば、耐油性の高いブロック共重合体を得易くなる。一方、柔軟性の観点から、架橋性官能基導入量の上限は好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは10モル%以下であり、さらに好ましくは5モル%以下である。架橋性官能基の導入量は、重合体ブロック(P2−2)の全構造単位に基づいて0.01モル%以上20モル%以下の範囲とすることができ、好ましくは0.1モル%以上10モル%以下の範囲であり、より好ましくは0.5モル%以上5モル%以下の範囲である。
ブロック共重合体(P2)の数平均分子量(Mn)は、10,000以上500,000以下の範囲であることが好ましい。数平均分子量が10,000以上あれば、エラストマー材料として十分な強度を発揮することができる。また、500,000以下であれば、良好な成形性を確保することができる。数平均分子量は、より好ましくは20,000以上400,000以下の範囲であり、さらに好ましくは50,000以上200,000以下の範囲である。
また、ブロック共重合体(P2)の重量平均分子量(Mw)の値を上記数平均分子量(Mn)の値で除して得られる分子量分布(Mw/Mn)は、成形性の点で3.0以下であることが好ましい。より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2.0以下であり、一層好ましくは1.7以下である。分子量分布の下限値は1.0である。
が好ましい。
エラストマー材料として良好な性能が得られる点では、重合体ブロック(P2−1)−アクリル系重合体ブロック(P2−2)−重合体ブロック(P2−1)からなる、トリブロック共重合体等の構造を有するものが好ましい。
前記トリブロック共重合体において、重合体ブロック(P2−1)はハードセグメントとして作用し、アクリル系重合体ブロック(P2−2)はソフトセグメントとして作用する。この結果、前記トリブロック共重合体は、破断伸び及び破断強度等の機械的物性に優れた性能を発揮し、エラストマーとして有用な材料となる。
ブロック共重合体における重合体ブロック(P2−1)の割合は、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい。
ブロック共重合体におけるアクリル系重合体ブロック(P2−2)の割合は、40質量%以上90質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下がより好ましい。
前記トリブロック共重合体をエラストマー材料として用いる場合、上記重合体ブロック(P2−1)のSP値及びアクリル系重合体ブロック(P2−2)のSP値は、0.1以上の差異を有することが好ましい。SP値が0.1以上異なる場合、ブロック共重合体において両者が適度に相分離するため機械的強度に優れた性能を発揮することが可能となる。上記SP値の差異は、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましく、0.8以上であることが一層好ましく、1.0以上であることが特に好ましい。また、製造上の観点等から、SP値の差異は10以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。
また、重合体ブロック(P2−1)が架橋性官能基を有する場合、これを利用して架橋することにより圧縮永久歪の値がより小さいエラストマー材料を得ることができる。上記架橋は重合体ブロック(P2−1)に導入した架橋性官能基同士の反応によるものであってもよいし、当該架橋性官能基と反応可能な官能基を有する架橋剤を添加して行ってもよい。重合体ブロック(P2−1)に導入した架橋性官能基同士の反応による場合、当該架橋性官能基として反応性ケイ素基を用いると、ブロック共重合体を製造する重合反応及びその後の上記架橋反応を効率的に行うことができる。
2.重合体(A)の製造工程
本発明の重合体の製造方法は、前記重合体(P)のチオカルボニルチオ基に対して求核剤を反応させて、重合体(A)を得る工程を含む。
前記求核剤としては、アンモニア類、1級及び/又は2級アミン化合物、水酸化物及びチオール類等が挙げられ、チオカルボニルチオ基に対して求核剤を反応させることにより、チオカルボニルチオ基がチオール基に変換され、当該変換後の重合体は高温では分解しないため、成形体の臭気が低減する。これらの中でも、反応性の点から、1級及び/又は2級アミン化合物が好ましい。
求核剤のチオカルボニルチオ基に対するモル当量としては、反応効率の点から、1モル当量以上好ましく、10モル当量以上がさらに好ましく、20モル当量以上が特に好ましい。また、未反応の求核剤による臭気の影響が小さい点から、70モル当量以下が好ましく、60モル当量以下がさらに好ましく、50モル当量以下が特に好ましい。
求核剤の分子量としては、未反応の求核剤を除去し易い点から、150以下が好ましく、110以下がさらに好ましく、60以下が特に好ましい。
反応器としては、バッチ式反応器、管型反応器等の公知の反応器を使用することができるが、管型反応器では問題となる閉塞の恐れがない点から、バッチ式反応器が好ましい。
反応温度としては、反応効率の点から、10℃以上が好ましく、15℃以上がさらに好ましく、25℃以上が特に好ましい。また、ポリマー主鎖への求核反応等の副反応が生じ難い点から、80℃以下が好ましく、60℃以下がさらに好ましく、50℃以下が特に好ましい。
反応時間としては、反応効率の点から、1時間以上が好ましく、2時間以上がさらに好ましく、3時間以上が特に好ましい。また、ポリマー主鎖への求核反応等の副反応が生じ難い点から、48時間以下が好ましく、36時間以下がさらに好ましく、24時間以下が特に好ましい。
反応圧力としては、通常常圧で良いが、必要に応じて加圧又は減圧しても良い。
3.重合体(A)の後処理工程
本発明の重合体の製造方法として、成形体の臭気を一層低減できる点で、前記重合体(A)の後処理工程を含むことが好ましい。
後処理工程としては、吸着剤で処理する工程、揮発分を除去する工程等が挙げられる。
なお、本発明において、揮発分とは、有機溶剤の他、チオカルボニルチオ基由来の硫黄含有化合物、求核剤由来の化合物等を含む。
以下、重合体(A)の後処理工程を含む態様について、説明する。
3−1.重合体(B)の製造工程
本発明の重合体の製造方法として、成形体の臭気を一層低減できる点で、前記重合体(A)を化学吸着型吸着剤及び/又は物理吸着型吸着剤で処理して重合体(B)を得る工程を含むことが好ましい。
化学吸着型吸着剤としては、ゼオライト、非晶質複合酸化物、非晶質活性酸化物、並びに、Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種を含有する複合物等が挙げられ、物理吸着型吸着剤としては活性炭及びケイソウ土等が挙げられる。
<化学吸着型吸着剤>
3−1−1.ゼオライト
ゼオライトは、好ましくは、合成ゼオライトである。上記ゼオライトは、水に対して不溶性又は難溶性であり、塩基性化合物に対する吸着効果に優れる。
ゼオライトの構造は、多様であるが、公知のゼオライトは、いずれも使用でき、構造としては、A型、X型、Y型、α型、β型、MFI型、ZSM−5、アモルファス等がある。
3−1−2.非晶質複合酸化物
非晶質複合酸化物は、上記ゼオライト以外の化合物であり、好ましくは、Al23、SiO2、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、ZrO2、TiO2、WO2、CeO2、Li2O、Na2O、K2O等から選ばれた少なくとも2種により構成される非晶質の複合酸化物である。
非晶質であることは、粉末X線回折測定を行ったときに、結晶面に基づく明らかな回折シグナルが認められないことを意味し、具体的には、横軸に回折角、縦軸に回折シグナル強度をプロットしたX線回折チャートに、尖度の高い(いわゆるシャープな)シグナルピークがほとんど現れないものである。
前記非晶質複合酸化物は、水に対して不溶性又は難溶性であり、塩基性化合物に対する吸着効果に優れる。これらの中でも、成形体の臭気低減効果が大きい点で、Al23及びSiO2により構成される非晶質の複合酸化物であるケイ酸アルミニウムが好ましい。
3−1−3.非晶質活性酸化物
非晶質活性酸化物は、上記非晶質複合酸化物を含まない化合物であり、好ましくは、水に対して不溶性又は難溶性であり、酸性化合物又は硫黄含有化合物に対する吸着効果に優れる。
非晶質活性酸化物の具体例としては、Al23、SiO2、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、CuO、MnO、ZrO2、TiO2、WO2、CeO2等が挙げられる。
また、表面処理された活性酸化物を用いることもできる。表面処理物の具体例としては、オルガノポリシロキサンで表面処理した活性酸化物、アルミニウム、珪素、ジルコニウム又はスズの酸化物あるいは水酸化物で表面を被覆した活性酸化物が挙げられる。オルガノポリシロキサン等の有機系材料で表面処理する方が無機系材料で表面処理するよりも、吸着性能が高いので好ましい。
3−1−4.Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種を含有する複合物
Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種を含有する複合物は、水に対して不溶性又は難溶性の複合物であり、硫黄含有化合物に対する吸着効果に優れる。
前記複合物は、Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種、並びに、該原子を含有する化合物、から選ばれた少なくとも1種と、他の材料とからなる複合材料である。
Ag、Cu、Zn及びMnのうちの少なくとも1種の原子を含有する化合物は、好ましくは、酸化物、水酸化物、リン酸、硫酸等の無機酸の塩、酢酸、蓚酸、アクリル酸等の有機酸の塩である。従って、Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれた少なくとも1種の金属、又は、上記化合物を、他の材料としての無機化合物からなる担体に担持させた、水に不溶性の複合物を用いることができる。担体として好ましい無機化合物は、シリカ、4価金属のリン酸塩、ゼオライト等である。
4価金属のリン酸塩としては、好ましくは、下記一般式(3)で表される化合物である。この化合物は、水に対して不溶性又は難溶性であり、塩基性化合物に対する消臭効果に優れる。
HaMb(PO4)c・nH2O (3)
(式中、Mは、4価の金属原子であり、a、b及びcは、式:a+4b=3cを満たす整数であり、nは0又は正の整数である。)
上記一般式(3)におけるMとしては、Zr、Hf、Ti、Sn等が挙げられる。
4価金属のリン酸塩の好ましい具体例としては、リン酸ジルコニウム(Zr(HPO42・H2O)、リン酸ハフニウム、リン酸チタン、リン酸スズ等が挙げられる。これらの化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶等、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、いずれも好ましく用いることができる。
これらの中でも、成形体の臭気低減効果が大きい点で、Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種を4価金属のリン酸塩に担持させた複合物、Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種をシリカに担持させた複合物が好ましく、Ag担持リン酸ジルコニウム、Cu担持シリカ等が挙げられる。
化学吸着型吸着剤の形状は、特に限定されない。尚、化学吸着型吸着剤の大きさについては、これが粒状物の場合、レーザー回折式粒度分布測定機で測定した体積基準の頻度積算値50%の粒子径である平均一次粒子径は、吸着効率の観点から、0.05〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、0.2〜30μmが特に好ましい。化学吸着型吸着剤が大きすぎると、表出する化学吸着型吸着剤の単位質量あたりの表面積が小さく、十分な吸着効果が得られない場合がある。
化学吸着型吸着剤のメチルメルカプタン吸着容量(吸着剤1gが吸着可能なメチルメルカプタンの気体成分量(mL))として、成形体の臭気を低減できる点で、10〜500mL/gが好ましく、10〜300mL/gがより好ましく、10〜200mL/gが特に好ましい。吸着容量が小さすぎると、十分な吸着効果が得られない場合がある。
また、化学吸着型吸着剤のアンモニア吸着容量(吸着剤1gが吸着可能なアンモニアの気体成分量(mL))としては、成形体の臭気を低減できる点で、10〜500mL/gが好ましく、10〜300mL/gがより好ましく、10〜200mL/gが特に好ましい。
本発明においては、メチルメルカプタン吸着容量が大きい化学吸着型吸着剤を用いることが、成形体の臭気低減効果が大きい点で好ましい。
化学吸着型吸着剤の比表面積(窒素吸着量から算出するBET法による測定値)
としては、成形体の臭気低減効果が大きい点で、10〜800m2/gが好ましく、30〜600m2/gがより好ましい。
<物理吸着型吸着剤>
3−1−5.活性炭
活性炭は、大部分が炭素質の炭であり、薬品賦活された活性炭や水蒸気賦活された活性炭等が使用できる。
活性炭の市販品としては、フタムラ化学(株)製の薬品賦活された活性炭である「太閤S」、並びに、水蒸気賦活された活性炭である「太閤K」及び「太閤P」等、(株)クラレ製の水蒸気賦活された活性炭である「クラレコールGW」、「クラレコールGW−H」、「クラレコールGLC」、「クラレコールKW」及び「クラレコールSW」等、大阪ガスケミカル(株)製の薬品賦活された塩化亜鉛炭である「カルボラフィン」、「強力白鷺」、「精製白鷺」及び「特製白鷺」等、並びに、水蒸気賦活された「白鷺C」、「白鷺M」、「白鷺A」、「白鷺P」等が挙げられる。
活性炭の性状は、粉末、粒状、破砕、造粒等のいずれでも良い。
3−1−6.ケイソウ土
ケイソウ土は、植物プランクトンであるケイソウの外殻化石(ケイソウ殻)を多く含んだ土である。
ケイソウ土としては、精製度を上げるためにロータリーキルンを用いて焼成処理を施されたものであるのが好ましい。
焼成処理を施されたケイソウ土の市販品としては、昭和化学工業(株)製の「ラヂオライト」等が挙げられる。
3−1−7.吸着剤処理工程
化学吸着型吸着剤又は物理吸着型吸着剤の使用量としては、求核剤を反応させる前の重合体に含まれるチオカルボニルチオ基中の硫黄原子重量(以下、「求核剤反応前の硫黄原子重量」という。)を基準として、成形体の臭気低減効果が大きい点で、100倍以上が好ましく、150倍以上がさらに好ましく、200倍以上が特に好ましい。また、吸着剤への重合体の吸着による収量低下を抑える点、吸着剤を添加した溶液の撹拌を容易にする点で、600倍以下が好ましく、500倍以下がさらに好ましく、400倍以下が特に好ましい。
反応器としては、バッチ式反応器、管型反応器等の公知の反応器を使用することができるが、管型反応器では問題となる閉塞の恐れがない点から、バッチ式反応器が好ましい。
化学吸着型吸着剤を使用する場合の処理温度としては、吸着速度を高める点で、10℃以上が好ましく、15℃以上がさらに好ましく、20℃以上が特に好ましい。吸着剤中の反応点による重合体への副反応を抑える点で、70℃以下が好ましく、55℃以下がさらに好ましく、40℃以下が特に好ましい。
物理吸着型吸着剤を使用する場合の処理温度としては、重合体を含む溶液の粘度を低減し、撹拌を容易にできる点で、5℃以上が好ましく、10℃以上がさらに好ましく、15℃以上が特に好ましい。吸着剤からの吸着物の脱離を抑える点で、60℃以下が好ましく、50℃以下がさらに好ましく、35℃以下が特に好ましい。
3−2.重合体(C)の製造工程
本発明の重合体の製造方法として、得られる成形体の臭気を一層低減できる点で、前記重合体(A)に含まれる揮発分を除去して重合体(C)を得る工程を含むことが好ましい。
前記の揮発分を除去する工程としては、再沈殿精製、並びに、二軸連続式混練機、流下式蒸発機及び薄膜蒸発機等の脱溶剤装置を使用する方法等が挙げられる。
再沈殿精製としては、ポリマーを貧溶媒中で再沈殿させる公知の方法を採用することができる。
脱溶剤装置を使用する方法としては、得られる成形体の臭気低減効果の観点から、温度条件として、100〜350℃が好ましく120〜300℃さらに好ましく、150〜250℃が特に好ましい、また、真空度条件として、10〜300Torrが好ましく、10〜200Torrがさらに好ましく、10〜150Torrが特に好ましい。
脱溶剤装置を使用する方法では、重合体の分子量低下を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸酸化防止剤としては、2,6−ジ-t−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類が挙げられる。市販されているものとしては、(株) ADEKA製のアデカスタブAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80等、BASF社製のIrganox1010、1035、1076、1098等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、 (株) ADEKA製のアデカスタブPEP−4C、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、HP−10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等、BASF社製のIrgafos168等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)ADEKA製のアデカスタブAO−23、AO−412S、AO−503A等が挙げられる。
これらは、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。これら酸化防止剤の好ましい組合せとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との併用、及びフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
酸化防止剤の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、重合体100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量部である。
含有割合を0.1質量部以上とすることで、重合体の分子量低下を抑制する効果を高めることができ、5質量部以下とすることで、重合体の着色を抑えることができる。
揮発分を除去する工程の中でも、生産性の点から、脱溶剤装置を使用する方法が好ましく、二軸連続式混練機がさらに好ましい。
3−3.重合体(D)の製造工程
本発明の重合体の製造方法として、得られる成形体の臭気を一層低減できる点で、前記重合体(B)に含まれる揮発分を除去して重合体(D)を得る工程を含むことが、さらに好ましい。
前記の揮発分を除去する工程としては、再沈殿精製、並びに、二軸連続式混練機、流下式蒸発機及び薄膜蒸発機等の脱溶剤装置を使用する方法等が挙げられる。
再沈殿精製としては、ポリマーを貧溶媒中で再沈殿させる公知の方法を採用することができる。
脱溶剤装置を使用する方法としては、得られる成形体の臭気低減効果の観点から、温度条件として、100〜350℃が好ましく120〜300℃さらに好ましく、150〜250℃が特に好ましい、また、真空度条件として、10〜300Torrが好ましく、10〜200Torrがさらに好ましく、10〜150Torrが特に好ましい。
脱溶剤装置を使用する方法では、重合体の分子量低下を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等が挙げられ、前記したものを使用することができる。
これらは、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。これら酸化防止剤の好ましい組合せとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との併用、及びフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
酸化防止剤の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、重合体100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量部である。
含有割合を0.1質量部以上とすることで、重合体の分子量低下を抑制する効果を高めることができ、5質量部以下とすることで、重合体の着色を抑えることができる。
揮発分を除去する工程の中でも、生産性の点から、脱溶剤装置を使用する方法が好ましく、二軸連続式混練機がさらに好ましい。
4.用途
本発明の製造方法により得られる重合体は、自動車部品、電化製品及び医療関連製品等のパッキンやガスケット又はホース材等、接着剤原料、建築・土木用部材、日用雑貨品等の様々な分野において使用することができる。
また、本発明の製造方法により得られる、重合体ブロック(P2−1)−アクリル系重合体ブロック(P2−2)−重合体ブロック(P2−1)からなる、トリブロック共重合体によれば、極めて高い耐熱性及び耐油性を発揮するエラストマー材料を得ることができる。よって、上記の内でも例えば自動車用途では、特にエンジンルーム内の部品として、シール材やパッキン、チューブ、ホース、エンジンカバー、タンクキャップ等に好適に用いられる。電気材料としてはオーブン、トースター、IHヒーター、電熱器、温風ヒーター等の発熱家電等にも好適に用いられる。
さらに、前記トリブロック共重合体を含むエラストマー組成物は、所望の形状に成形・加工することにより、自動車部品、家電・OA機器部品、医療用機器部品、包装用資材、土木建築用資材、電線、雑貨等の広汎な分野の資材として好適に用いることができる。
以下、エラストマー組成物について説明する。
<エラストマー組成物>
前記トリブロック共重合体は、単独でもエラストマー材料として適用することが可能であるが、必要に応じて公知の添加剤等を配合した組成物の態様としてもよい。特に、前記トリブロック共重合体が重合体ブロック(P2−1)及びアクリル系重合体ブロック(P2−2)の少なくともいずれかに架橋性官能基を含む場合、当該官能基と反応可能な架橋剤及び架橋促進剤等を配合し、必要に応じて加熱処理等を施すことにより圧縮永久歪の値が小さいエラストマーを得ることができる点で好ましい。
前記トリブロック共重合体が、カルボキシル基を有する架橋性単量体に由来する構造単位を含む場合、架橋剤としては、多価アミン、多官能イソシアネート等が好ましく用いられる。
多価アミンの具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン化合物;4,4′−メチレンビスシクロヘキシルアミンカーバメート等の脂環式ジアミン化合物;4,4′−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2′−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチル等の芳香族ジアミン化合物等が挙げられる。
また、多官能イソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジメチルジフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
多価アミンを用いる場合、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン等のグアニジン化合物;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物;リン酸、炭酸、重炭酸、ステアリン酸、ラウリル酸等の酸のアルカリ金属塩(Li、Na、K)等の、弱酸の塩;トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデセン−7等の第3級アミン;トリフェニルホスフィン、トリ(メチル)フェニルホスフィン等の第3級ホスフィン化合物;テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリn−ブチルアンモニウムブロマイド等の第4級オニウム塩等の架橋助剤を併用することが好ましい。
前記トリブロック共重合体が、エポキシ基を有する架橋性単量体に由来する構造単位を含む場合、架橋剤としては、有機カルボン酸アンモニウム塩、ジチオカルバミン酸塩、多価カルボン酸又は無水物と、第4級アンモニウム塩又はホスホニウム塩との組合せ等が好ましく用いられる。
有機カルボン酸アンモニウム塩の具体例としては、安息香酸アンモニウム等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸等の亜鉛塩、鉄塩、テルル塩等が挙げられる。
多価カルボン酸の具体例としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、フタル酸等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンンモニウムブロマイド等が挙げられる。
また、ホスホニウム塩の具体例としては、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムアイオダイド、トリエチルベンジルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
前記トリブロック共重合体が、ヒドロキシル基を有する架橋性単量体に由来する構造単位を含む場合、架橋剤としては、多官能イソシアネート等が好ましく用いられる。
前記トリブロック共重合体が、1級又は2級アミノ基有する架橋性単量体に由来する構造単位を含む場合、架橋剤としては、多官能イソシアネート及び多官能グリシジル化合物等が好ましく用いられる。
前記トリブロック共重合体が、重合性不飽和基を含む場合、1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンチオール、1,10−デカンチオール、1,4−ベンゼンチオール等のジチオール化合物、又はエタン−1,1,1−トリチオール、1,3,5−ベンゼントリチオール等のトリチオール化合物等の多価チオールとのエン・チオール反応を利用することができる。
前記トリブロック共重合体の架橋性基が反応性ケイ素基である場合、湿気により架橋反応を生じるため、架橋剤等を添加する必要はない。
その他、上記の添加剤としては、例えば、カーボンブラック等のフィラー、ステアリン酸及び高級脂肪酸エステル等の加工助剤、ビス[4−(1−フェニル−1−メチルエチル)フェニル]アミン等の老化防止剤、可塑剤、オイル、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等が挙げられる。添加剤の配合量は、ブロック共重合体に対して、好ましくは0質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%以上2質量%以下である。
前記トリブロック共重合体を含むエラストマー組成物の性能又は加工性等を調整する目的で、熱可塑性樹脂を添加してもよい。熱活性樹脂の具体例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレンのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。また、他のエラストマーを添加混合してもよい。
前記トリブロック共重合体を含むエラストマー組成物は、140℃以上250℃以下程度に加熱することにより良好な流動性を示す。このため、押出成形、射出成形、及び鋳込み成形等の各種方法による成形加工に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
製造例、実施例及び比較例で得られた重合体の分析方法について以下に記載する。
<分子量測定>
得られた重合体について、以下に記載の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、ポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperMultiporeHZ−M×4本
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
検出器:RI
流速:600μL/min
<ガラス転移温度(Tg)>
得られた重合体のTgは、示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点での接線の交点から決定した。熱流束曲線は試料約10mgを−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで250℃まで昇温し、引き続き−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで250℃まで昇温する条件で得た。
測定機器:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220
測定雰囲気:窒素雰囲気下
尚、製造例、実施例及び比較例において得られたジブロックポリマー及びトリブロックポリマーの示差走査熱量測定では、変曲点が2つ得られるため、より低いTgを有する重合体ブロックのTgを求めることができ、表1では、かっこ書きで併記した。
<求核剤によるチオカルボニルチオ基の分解率>
表1記載の求核剤によるチオカルボニルチオ基の分解工程で得られた重合体について、以下の方法に従い、チオカルボニルチオ基の分解率を算出した。
まず、求核剤による反応前の重合体及び求核剤による反応後の重合体を含む溶液を、それぞれメタノール/水=90/10(v/v)中に投入し、再沈殿精製を行い、濾別して得られた固体を70℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで重合体を得た。前記重合体5gをアセトン15gに溶解した後、ポリプロピレン製ディスポトレー(100mm×70mm×13mm、アズワン製)にキャストし、室温、16時間自然乾燥した後、70℃、4.5Torr、16時間乾燥させることでシート状サンプルを作製した。
次いで、得られたシート状サンプルを用いて、以下の測定条件で蛍光X線分析を行い、サンプル中の硫黄含有率(%)を定量した。
得られた硫黄含有率を用い、次式に従って、求核剤によるチオカルボニルチオ基の分解率(%)を算出した。それらの結果を表1に示す。
チオカルボニルチオ基の分解率=[(B−A)/B]×{N/(N−1)}×100
B:求核剤による反応前のサンプル中の硫黄含有率(%)
A:求核剤による反応後のサンプル中の硫黄含有率(%)
N:チオカルボニルチオ基1分子中の硫黄原子数
○測定条件
測定機器:(株)リガク製 ZSX PrimusII
X線:Rh(50kV、50mA)
測定元素:C〜U(C、N、O、Sを定角測定)
分析径:20mm
解析:ファンダメンタルパラメータ法(FP法)による、検出元素の半定量分析
実施例で用いた化学吸着型吸着剤の平均一次粒子径及び吸着容量は、以下の方法により、測定した。
<化学吸着型吸着剤の平均一次粒子径>
平均一次粒子径は、レーザー回折式粒度分布を用いて体積基準の頻度積算値50%の粒子径として測定した。
<化学吸着型吸着剤の吸着容量>
吸着容量は、吸着剤0.01gをテドラーバッグに入れ、密封後、アンモニア(8000ppm)、メチルメルカプタン(40ppm)を含むガス2Lを封入し、その24時間後に各気体成分の濃度(残存ガス成分濃度)をガス検知管(アンモニア用気体検知管:No.3L、メチルメルカプタン用気体検知管:No.70L)で測定し、以下の式により算出した。
吸着容量(mL/g)=[2000(mL)×(初期悪臭ガス成分濃度(ppm)−残
存ガス成分濃度(ppm))×10-6]/0.01(g)
1.製造例
≪重合体(P1)の製造≫
製造例1
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに2−{[(2−カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸(1.63g)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(0.49g)、N−フェニルマレイミド(180.1g)、スチレン(108.3g)及びアセトニトリル(353.3g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却することで反応を停止し、重合体1を含む溶液を得た。
前記溶液の内、1gを50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで、重合体1を得て、分子量及びTgを測定するとMn35,400、Mw46,100、Mw/Mn1.30、Tg:221℃であった。
≪重合体(P2)[ジブロックポリマー]の製造≫
製造例2
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに2−{[(2−カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸(0.91g)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(0.14g)、N−フェニルマレイミド(31.0g)、スチレン(18.7g)及びアセトニトリル(90.9g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。2時間後、室温まで冷却し反応を停止した後、アクリル酸エチル(251.6g)及びアセトニトリル(39.4g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を再開始した。2時間後、アセトニトリル(312.4g)を仕込み、室温まで冷却することで反応を停止し、重合体2を含む溶液を得た。
前記溶液の内、1gを50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで、重合体2を得て、分子量及びTgを測定した結果、Mn76,900、Mw106,900、Mw/Mn1.39、Tg:−12℃、189℃であった。
≪重合体(P2)[トリブロックポリマー]の製造≫
製造例3
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに2−{[(2−カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸(0.76g)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(0.11g)、N−フェニルマレイミド(25.8g)、スチレン(15.5g)及びアセトニトリル(75.7g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。2時間後、室温まで冷却し反応を停止した後、アクリル酸エチル(209.4g)及びアセトニトリル(32.8g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を再開始した。6時間後、室温まで冷却し反応を停止した後、N−フェニルマレイミド(31.0g)、スチレン(20.2g)及びアセトニトリル(20.7g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を再開始した。8時間後、アセトニトリル(186.2g)を仕込み、室温まで冷却することで反応を停止し、重合体3を含む溶液を得た。
前記溶液の内、1gを50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで、重合体3を得て、分子量及びTgを測定した結果、Mn86,500、Mw124,000、Mw/Mn1.43、Tg:−11℃、187℃であった。
2.実施例1〜22、比較例1〜3
1)重合体1〜3の後処理工程
実施例1
製造例1で得た重合体1を含む溶液に対して、窒素バブリングで十分脱気した後、求核剤としてn−プロピルアミン(7.58g, 重合体1のチオカルボニルチオ基に対して20モル当量)を仕込み、40℃の恒温槽でチオカルボニルチオ基の分解反応を開始した。4時間後、室温まで冷却して反応を停止し、アミン分解処理溶液1を得た。
前記アミン分解処理溶液1を、50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで重合体a1を得た。得られた重合体a1の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で得られたアミン分解処理溶液1に対して、Cu担持シリカ(メチルメルカプタン吸着容量52mL/g、平均一次粒子径2.7μm)を184.6g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該Cu担持シリカを除去し、濾液1を得た後、当該濾液1から50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで、重合体b1を得た。得られた重合体b1の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例3
二軸連続式混練機(S1KRCニーダ(商品名、栗本鐡工所製)を用いて、混練温度240℃、真空度80Torr、液供給量1kg/hの条件で、実施例1で得られたアミン分解処理溶液1にIrganox1010(BASF社製)(溶液中に含まれる重合体100質量部に対し0.3質量部)を加え均一に溶解させた後、二軸連続式混練機(S1KRCニーダ(商品名、栗本鐡工所製)を用いて、混練温度240℃、真空度80Torr、液供給量1kg/hの条件で、溶剤を除去した。連続的に排出されるストランドを水浴で冷却した後に、ペレタイザーでカットすることでペレット状の重合体c1を得た。得られた重合体c1の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例4
実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、実施例2で得られた濾液1から揮発分を除去することで、重合体d1を得た。得られた重合体d1の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例5
製造例2で得た重合体2を含む溶液に対して、窒素バブリングで十分脱気した後、求核剤としてn−プロピルアミン(4.23g, 重合体2のチオカルボニルチオ基に対して20モル当量)を仕込み、40℃の恒温槽でチオカルボニルチオ基の分解反応を開始した。4時間後、室温まで冷却して反応を停止し、アミン分解処理溶液2を得た。
前記アミン分解処理溶液2を、50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで重合体a2を得た。得られた重合体a2の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例6
実施例5で得られたアミン分解処理溶液2に対して、Cu担持シリカ(メチルメルカプタン吸着容量52mL/g、平均一次粒子径2.7μm)を103.0g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該Cu担持シリカを除去し、濾液2を得た後、当該濾液2から50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで、重合体b2を得た。得られた重合体b2の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例7
実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、実施例5で得られたアミン分解処理溶液2から揮発分を除去することで、重合体c2を得た。得られた重合体c2の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例8
実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、実施例6で得られた濾液2から揮発分を除去することで、重合体d2を得た。得られた重合体d2の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例9
製造例3で得た重合体3を含む溶液に対して、窒素バブリングで十分脱気した後、求核剤としてn−プロピルアミン(3.53g, 重合体3のチオカルボニルチオ基に対して20モル当量)を仕込み、40℃の恒温槽でチオカルボニルチオ基の分解反応を開始した。4時間後、室温まで冷却して反応を停止し、アミン分解処理溶液3を得た。
前記アミン分解処理溶液3を、50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで重合体a3を得た。得られた重合体a3の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例10
実施例9で得られたアミン分解処理溶液3に対して、Cu担持シリカ(メチルメルカプタン吸着容量52mL/g、平均一次粒子径2.7μm)を86.1g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該Cu担持シリカを除去し、濾液3を得た後、当該濾液3から50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで、重合体b3を得た。得られた重合体3の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例11
実施例9で得られたアミン分解処理溶液3を、メタノール/水=90/10(v/v)中に投入し、再沈殿精製を行い、濾別して得られた固体を50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで重合体c3を得た。得られた重合体c3の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例12
実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、実施例9で得られたアミン分解処理溶液3から揮発分を除去することで、重合体c4を得た。得られた重合体c4の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例13
製造例3で得た重合体3を含む溶液に対して、窒素バブリングで十分脱気した後、求核剤としてn−プロピルアミン(0.88g, 重合体3のチオカルボニルチオ基に対して5モル当量)を仕込み、40℃の恒温槽でチオカルボニルチオ基の分解反応を開始した。6時間後、室温まで冷却して反応を停止し、アミン分解処理溶液4を得た。
続いて、実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、アミン分解処理溶液4から揮発分を除去することで、重合体c5を得た。得られた重合体c5の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例14
製造例3で得た重合体3を含む溶液に対して、窒素バブリングで十分脱気した後、求核剤としてn−プロピルアミン(12.4g, 重合体3のチオカルボニルチオ基に対して70モル当量)を仕込み、40℃の恒温槽でチオカルボニルチオ基の分解反応を開始した。4時間後、室温まで冷却して反応を停止し、アミン分解処理溶液5を得た。
続いて、実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、アミン分解処理溶液5から揮発分を除去することで重合体c6を得た。得られた重合体c6の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例15
製造例3で得た重合体3を含む溶液に対して、窒素バブリングで十分脱気した後、求核剤としてn−ヘキシルアミン(6.05g, 重合体3のチオカルボニルチオ基に対して20モル当量)を仕込み、40℃の恒温槽でチオカルボニルチオ基の分解反応を開始した。4時間後、室温まで冷却して反応を停止し、アミン分解処理溶液6を得た。
続いて、実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、アミン分解処理溶液6から揮発分を除去することで重合体c7を得た。得られた重合体c7の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例16
製造例3で得た重合体3を含む溶液に対して、窒素バブリングで十分脱気した後、求核剤としてジーn−プロピルアミン(6.05g, 重合体3のチオカルボニルチオ基に対して20モル当量)を仕込み、40℃の恒温槽でチオカルボニルチオ基の分解反応を開始した。4時間後、室温まで冷却して反応を停止し、アミン分解処理溶液7を得た。
続いて、実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、アミン分解処理溶液7から揮発分を除去することで、重合体c8を得た。得られた重合体c8の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例17
実施例9で得られたアミン分解処理溶液3に対して、吸着剤としてCu担持シリカ(メチルメルカプタン吸着容量52mL/g、平均一次粒子径2.7μm)を86.1g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該Cu担持シリカを除去し、濾液4を得た。
続いて、実施例3と同様の二軸連続式混練機及び条件で、前記濾液4から揮発分を除去することで重合体d3を得た。得られた重合体d3の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例18
吸着剤としてAg担持リン酸ジルコニウム(メチルメルカプタン吸着容量0.60mL/g、アンモニア吸着容量13.8mL/g、平均一次粒子径1.3μm)を86.1g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該Ag担持リン酸ジルコニウムを除去した以外は、実施例17と同様の操作を行い、重合体d4を得た。得られた重合体d4の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例19
吸着剤として非晶質酸化亜鉛(メチルメルカプタン吸着容量12mL/g、平均一次粒子径2.3μm)を86.1g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該非晶質酸化亜鉛を除去した以外は、実施例17と同様の操作を行い、重合体d5を得た。得られた重合体d5の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例20
吸着剤としてゼオライトMFI型(メチルメルカプタン吸着容量1.9mL/g、アンモニア吸着容量10.8mL/g、平均一次粒子径3.2μm)を86.1g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該ゼオライトMFI型を除去した以外は、実施例17と同様の操作を行い、重合体d6を得た。得られた重合体d6の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例21
吸着剤として非晶質ケイ酸アルミニウム(メチルメルカプタン吸着容量0mL/g、アンモニア吸着容量40mL/g、平均一次粒子径12μm)を86.1g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該非晶質ケイ酸アルミニウムを除去した以外は、実施例17と同様の操作を行い、重合体d7を得た。得られた重合体d7の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
実施例22
吸着剤として活性炭(フタムラ化学(株)製太閤P)を86.1g(求核剤反応前の硫黄原子重量を基準として、300倍量)投入し、25℃で4時間撹拌した後、濾過により当該活性炭を除去した以外は、実施例17と同様の操作を行い、重合体d8を得た。得られた重合体d8の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
比較例1〜3
製造例1〜3で得た重合体1〜3を含む溶液を、それぞれ、50℃、4.5Torr、16時間で溶剤を留去することで、重合体a’1〜a’3を得た。
得られた重合体a’1〜a’3の分子量及びTgを測定した結果を表1に示す。
表1における略号は下記の化合物を意味する。
◆求核剤
・PA:n−プロピルアミン
・HA:ヘキシルアミン
・DPA:ジ−n−プロピルアミン
◆化学吸着型吸着剤
<Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種を含有する複合物>
・CuSiO:Cu担持シリカ(メチルメルカプタン吸着容量52mL/g、平均一次粒子径2.7μm)
・AgZrP:Ag担持リン酸ジルコニウム(メチルメルカプタン吸着容量0.60mL/g、アンモニア吸着容量13.8mL/g、平均一次粒子径1.3μm)
<非晶質活性酸化物>
・ZnO:非晶質酸化亜鉛(メチルメルカプタン吸着容量12mL/g、平均一次粒子径2.3μm)
<ゼオライト>
・Zeo:ゼオライトMFI型(メチルメルカプタン吸着容量1.9mL/g、アンモニア吸着容量10.8mL/g、平均一次粒子径3.2μm)
<非晶質複合酸化物>
・AlSiO:非晶質ケイ酸アルミニウム(メチルメルカプタン吸着容量0mL/g、アンモニア吸着容量40mL/g、平均一次粒子径12μm)
◆物理吸着型吸着剤
・AC:活性炭(フタムラ化学(株)製太閤P)
2)成形体の評価方法
<射出成型による成型体の作製>
表1記載の後処理工程で得られた重合体を射出成形し、125mm×125mm×厚さ2mmの成形体を得た。
射出成形機:100MSIII−10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度:240℃
射出圧力:30%
射出時間:3sec
金型温度:40℃
◆臭気強度
得られた成形体について、以下の方法で、臭気強度を測定した。
成形体20gをにおい袋(アズワン(株)製)に入れた後、50℃で30分間加熱した。次いで、5人の人間によって袋内のガスを吸引し、それぞれが、以下の基準に従い、0点〜5点の間の6段階で点数をつけ、点数の平均値をサンプルの臭気強度とした。それらの結果を表1に示す。
0点:無臭
5点:強烈な臭い
◆臭気ガス中のメルカプタン類濃度
得られた成形体について、以下の方法で、臭気ガス中のメルカプタン類濃度を測定した。
成形体20gをKOP袋(藤森工業(株)製)に投入してヒートシールした後、注射針を刺して袋内に空気500mlを注入した。次いで、50℃で30分間加熱した後、袋内の気相ガス中のメルカプタン濃度をメルカプタン類検知管(GASTEC製、No. 70L)によって測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 2019112590
4)評価結果
実施例1〜22の結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた重合体を用いた成形体は、臭気が大幅に低減されたものであり、Tgが140℃以上であるため、高度な耐熱性を発揮し得るものであった。
これらの中でも、重合体(A)を化学吸着型吸着剤又は物理吸着型吸着剤で処理して重合体(B)を得た場合(実施例2、6、10)は、重合体(A)を吸着剤で処理しなかった場合(実施例1、5、9)よりも、成形体の臭気低減効果が大きかった。
さらに、重合体(A)に含まれる揮発分を除去して重合体(C)を得た場合(実施例3、7、11〜16)は、重合体(A)の揮発分を除去しなかった場合(実施例1、5、9)よりも、成形体の臭気低減効果が一層大きかった。
特に、重合体(B)に含まれる揮発分を除去して重合体(D)を得た場合(実施例4、8、17〜22)は、重合体(B)の揮発分を除去しなかった場合(実施例2、6、10)よりも、成形体の臭気低減効果が最も大きかった。
これに対して、アミン分解処理を行わなかった比較例1〜3は、成形体の臭気が酷かった。
本発明は、重合体の製造方法に関し、自動車部品、電化製品及び医療関連製品等のパッキンやガスケット又はホース材等、接着剤原料、建築・土木用部材、日用雑貨品等の様々な分野において使用することができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ基を末端に有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が140℃以上の高分子鎖を有する重合体(P)を得る工程と、
    次いで、当該重合体(P)のチオカルボニルチオ基に対して求核剤を反応させて、重合体(A)を得る工程を含む、重合体の製造方法。
    Figure 2019112590
    (式中Zは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択される一種以上の原子を任意の位置に有していてもよい炭素数1〜20の有機基又はその塩を表す。)
  2. 前記求核剤が1級及び/又は2級アミン化合物を含む、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. 前記重合体(A)を化学吸着型吸着剤及び/又は物理吸着型吸着剤で処理して重合体(B)を得る工程を含む、請求項1又は請求項2に記載の重合体の製造方法。
  4. 前記化学吸着型吸着剤が、ゼオライト、非晶質複合酸化物、非晶質活性酸化物、並びに、Ag、Cu、Zn及びMnから選ばれる原子の少なくとも1種を含有する複合物からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載の重合体の製造方法。
  5. 前記物理吸着型吸着剤が、活性炭又はケイソウ土の少なくとも一方を含む、請求項3に記載の重合体の製造方法。
  6. 前記重合体(A)に含まれる揮発分を除去して重合体(C)を得る工程を含む、請求項1又は請求項2に記載の重合体の製造方法。
  7. 前記重合体(B)に含まれる揮発分を除去して重合体(D)を得る工程を含む、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
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