JP6775225B2 - 医療用具用材料及びそれを用いてなる医療用具 - Google Patents
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- 0 CCC(COC1)C1(CC)C(O*)=O Chemical compound CCC(COC1)C1(CC)C(O*)=O 0.000 description 1
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Description
生体適合性の(メタ)アクリル系重合体としては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)系ポリマー、メトキシエチルアクリレート(MEA)系ポリマー、テトラヒドロフルフリルアクリレート系ポリマー、アルコキシアルキルアクリルアミド系ポリマー等、種々のものが提案されており、このうち、MPC系ポリマー(例えば、特許文献1参照)、MEA系ポリマー(例えば、特許文献2参照)が実用化され、各種の医療用具関連用途で用いられている。
これに対し、MEA単独重合体は非水溶性であり、MEAは単独重合体としても用いることも、必要に応じて共重合体としても用いることもできる。また、MEAの重合性基は重合活性の高いアクリロイル基であり、重合方法・加工方法の選択肢が広い。更に、MEAは汎用単量体として安価に入手できることから、各種医療用具用材料の原料として非常に優れた単量体である。
一方、α−アリルオキシメチルアクリレート(AOMA)類を環化重合させると、主鎖にテトラヒドロフラン(THF)環構造を有する重合体となることが知られている。AOMA類は優れたラジカル重合性を有し、AOMA系重合体は、密着性、可撓性、硬さ、分散性、耐熱性、透明性など多くの優れた特性を発揮し、様々な用途に使用できることが開示されている(例えば、特許文献3〜6参照)。
このような構造の重合体が生体適合性を示し、医療用具用材料に好適であることはこれまでに知られておらず、本発明で初めて見出された知見である。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
このような、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を医療用具用材料として使用する方法もまた、本発明の1つであり、後述する抗血栓性材料や細胞培養基材として使用する方法、医療用具の表面処理剤として使用する方法もまた、本発明の1つである。これらの使用方法においては、重合体Aが単独で使用されてもよく、後述する溶剤や分散媒、又は、他の材料と混合された形態で使用されてもよい。
Zが2〜6価の炭素数1〜30の有機基である場合の重合体の構造が、2〜6個の一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合鎖がZを介して結合している構造のみからなるとすると、重合体Aは、下記一般式(2);
式(2)におけるnが2〜6である場合、Zは、2〜6価の炭素数1〜30の有機基であり、Zの有機基の価数は、nの数と同じである。
有機基の価数は、好ましくは1〜3価であり、さらに好ましくは、1〜2価であり、最も好ましくは1価である。
(式中、R1は2価の炭化水素基を表し、R2は水素原子又は1価の環状エーテル構造を含んでいてもよい炭化水素基を表す。nは、0〜15の数を表す。)で表される基を意味する。
上記リン酸構造含有基、スルホン酸構造含有基としては、アルキル基の末端にリン酸構造やスルホン酸構造が結合した基が好ましい。
上記4級アンモニウム構造含有基、4級ホスホニウム構造含有基としては、4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩のアルキル基又はアリール基の1つから水素原子を除いた基が好ましい。
上記ベタイン構造含有基としては、トリメチルグリシンのメチル基の1つから水素原子を除いた基が好ましい。
これらの中でも、メチル基、アルコキシ置換鎖状飽和炭化水素基、環状エーテル構造含有基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、アミド置換鎖状飽和炭化水素基が好ましい。アルコキシ置換鎖状飽和炭化水素基は、鎖状エーテル構造含有基ともいうことができる。
置換基を有していてもよい2〜6価の炭化水素基の具体例としては、上述した置換基を有していてもよい1価の炭化水素基の炭化水素基部分から水素原子を1〜5個除去して得られる2〜6価の炭化水素基が挙げられる。
環状エーテル構造としては、1,3−プロピレンオキシド環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、1,4−ジオキサン環、12−クラウン−4環、ベンゾ−12−クラウン−4環、15−クラウン−5環、18−クラウン−6環等の炭素数3〜20の環状エーテル構造が好ましい。
重合体Aが、一般式(3)で表される繰り返し単位を有することは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(3)におけるR3の炭化水素基の炭素数は、2〜4が好ましく、より好ましくは、2〜3である。R3の炭化水素基としては、アルキレン基が好ましい。
上記一般式(3)におけるR4の環状エーテル構造を含んでいてもよい炭化水素基の炭素数は、1〜8が好ましく、より好ましくは、1〜6である。R4の炭化水素基としては、アルキル基、環状エーテル構造含有基、芳香族基のいずれかが好ましい。
上記一般式(3)におけるmは、1〜10であることが好ましい。より好ましくは、1〜5である。
上記一般式(3)におけるR4が環状エーテル構造を含む炭化水素基である場合の一般式(3)で表される繰り返し単位の具体例としては、例えば、下記一般式(4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(5)におけるZの構造の具体例や好ましい構造は、一般式(1)におけるZと同様である。
また上記一般式(5)において、Zが金属原子、又は、アンモニウム基である場合、一般式(5)で表されるα−アリルオキシメチルアクリレート類は、α−アリルオキシメチルアクリル酸と金属水酸化物やアンモニウム化合物との中和反応や、α−アリルオキシメチルアクリル酸エステルの加水分解反応により得ることができる。
上記炭化水素基としては、直鎖、分岐、環状のいずれの炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
重合体Aが一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の単量体由来の繰り返し単位を有する共重合体である場合、他の単量体は、特に制限されないが、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のビニル基含有化合物が好ましい。置換基としては、一般式(1)のZにおける置換基と同様、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、リン酸構造含有基、スルホン酸構造含有基、4級アンモニウム構造含有基、4級ホスホニウム構造含有基、ベタイン構造含有基等が挙げられる。
上記重合体Aが、一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の単量体由来の繰り返し単位を有するものである場合、他の単量体由来の繰り返し単位は1種であってもよく、2種以上であってもよい。
また、必要に応じて、他の単量体として多価(メタ)アクリル酸エステルなどの多価ビニル基含有化合物を用いてもよい。多価ビニル基含有化合物を用いると、容易に不溶化できる。
重合体Aの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
重合体AのTgは、実施例に記載の方法により測定することができる。
重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、過酸化水素、過硫酸塩等、公知の過酸化物やアゾ化合物等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、重合開始剤とともに遷移金属塩やアミン類などの還元剤を併用してもよい。
また本発明の医療用具用材料は、生体適合性を効果的に発現する観点から、重合体Aに加え水を含んでいることが好ましい。水の含有量としては、生体適合性と機械的強度を両立する観点から、重合体A100重量部に対して1重量部以上150重量部以下であることが好ましく、2重量部以上100重量部以下がより好ましく、3重量部以上60重量部以下がさらに好ましい。
このような、本発明の医療用具用材料を用いてなる医療用具であって、該医療用具は、生体成分又は生体組織と接触する部分の少なくとも一部が前記医療用具用材料を用いて構成される医療用具もまた、本発明の1つであり、本発明の医療用具用材料を用いてなる抗血栓性材料や細胞培養基材もまた、本発明の1つである。
本発明の医療用具用材料を用いてなる医療用具は、医療用具そのものが本発明の医療用具用材料によって形成されていてもよく、本発明の医療用具用材料とは異なる材質でできた医療用具の生体成分又は生体組織と接触する部分を本発明の医療用具用材料で表面処理し、本発明の医療用具用材料が当該部分に保持されているものであってもよい。このように、本発明の医療用具用材料は、医療用具の表面処理剤としても用いることができる。
また本発明の医療用具用材料は、単独で使用されてもよく、他の材料と混合して使用されてもよい。
基材の材質は特に制限されず、木綿、麻等の天然高分子、ポリエステル、ナイロン、オレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリレート等の合成高分子等を用いることができる。
基材の形態も特に制限されず、成形体、繊維、不織布、多孔質体、粒子、フィルム、シート、チューブ、中空糸や粉末等のいずれの形態でもよい。
すなわち、本発明における医療用具には、生体組織と接触する用具、生体由来成分(細胞や血液等)と接触する用具等が含まれる。また、本発明における医療用具用材料は、生体組織や生体由来成分(細胞や血液等)と接触する用具、細胞培養基材、抗血栓性材料に用いられる物を言う。
[合成例1] α−アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル(AOMA−ME)の合成
撹拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管および留出液受器に繋げたトの字管を付し、2−メトキシエタノール220g、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(AOMA−M)90g、シクロヘキサン150gを仕込み、ガス導入管を通して酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%)を吹き込みながら反応溶液を攪拌し、オイルバス(バス温100℃)で加熱を開始した。留出液に水が出てこなくなってから、チタンテトライソプロポキシド1.5gを反応容器に添加し、エステル交換反応を開始させた。生成してくるメタノールをシクロヘキサンで共沸留去しながら、ガスクロマトグラフィ(GC)分析によりAOMA−ME/AOMA−Mの面積比を追跡した。GC分析でAOMA−ME/AOMA−Mの面積比が9/1を超えるまで、3時間おきにチタンテトライソプロポキシド1.5gとシクロヘキサン25gを追加した。減圧してシクロヘキサンを除去してから、室温まで冷却した。5%硫酸80gと抽出溶媒としてn−ヘキサンを加え、分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した。有機層に合成吸着剤キョーワード300(協和化学工業社製)を10g添加して撹拌した後、濾過して得た濾液を蒸留精製することにより、AOMA−ME(沸点:104〜108℃/0.8〜0.9kPa)を84g得た。AOMA−MEの1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図1に示す。
撹拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管および留出液受器に繋げたトの字管を付し、ジエチレングリコールモノメチルエーテル125g、AOMA−M40g、シクロヘキサン80gを仕込み、ガス導入管を通して酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%)を吹き込みながら反応溶液を攪拌し、オイルバス(バス温100℃)で加熱を開始した。留出液に水が出てこなくなってから、チタンテトライソプロポキシド0.8gを反応容器に添加しエステル交換反応を開始させた。生成してくるメタノールをシクロヘキサンで共沸留去しながら、GC分析によりAOMA−MDG/AOMA−Mの面積比を追跡した。GC分析でAOMA−MDG/AOMA−Mの面積比が9/1を超えるまで、3時間おきにチタンテトライソプロポキシド0.8gとシクロヘキサン15gを追加した。減圧してシクロヘキサンを除去してから、室温まで冷却した。5%硫酸50gと抽出溶媒としてn−ヘキサンを加え、分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した。有機層にキョーワード300を5g添加して撹拌した後、濾過して得た濾液を減圧・加熱してn−ヘキサンと大半のジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した。n−ヘキサンとイオン交換水を加えて分液漏斗に移し、残存しているジエチレングリコールモノメチルエーテルを水層に移行させ分液した後、有機層からn−ヘキサンを留去してAOMA−MDGを50g得た。AOMA−MDGの1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図2に示す。
ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりにトリエチレングリコールモノメチルエーテル125gを用いたこと以外は、合成例2と同様にしてAOMA−MTGを52g得た。AOMA−MTGの1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図3に示す。
ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりにジエチレングリコールモノブチルエーテル125gを用いたこと以外は、合成例2と同様にしてAOMA−BDGを61g得た。AOMA−BDGの1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図4に示す。
ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりにテトラヒドロフルフリルアルコール125gを用いたこと以外は、合成例2と同様にしてAOMA−THFを41g得た。AOMA−THFの1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図5に示す。
ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりにヒドロキシエチルピロリドン125gを用いたこと以外は、合成例2と同様にしてAOMA−PEを41g得た。AOMA−PEの1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図10に示す。
撹拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管および留出液受器に繋げたトの字管を付し、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール120g、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(AOMA−M)70g、シクロヘキサン120gを仕込み、ガス導入管を通して酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%)を吹き込みながら反応溶液を攪拌し、オイルバス(バス温100℃)で加熱を開始した。留出液に水が出てこなくなってから、チタンテトライソプロポキシド3.0gを反応容器に添加し、エステル交換反応を開始させた。生成してくるメタノールをシクロヘキサンで共沸留去しながら、ガスクロマトグラフィ(GC)分析によりα−アリルオキシメチルアクリル酸イソプロピリデングリセリル(AOMA−iPGL)/AOMA−Mの面積比を追跡した。GC分析でAOMA−iPGL/AOMA−Mの面積比が9/1を超えるまで、3時間おきにチタンテトライソプロポキシド1.5gとシクロヘキサン25gを追加した。減圧してシクロヘキサンを除去してから、室温まで冷却した。イオン交換水120gと抽出溶媒としてn−ヘキサンを加え撹拌後、触媒の加水分解物である酸化チタンを濾過により取り除いた。濾液を分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した後、有機層にイオン交換水を加えて洗浄し、残存している2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールを水層に移行させた。得られた有機層を減圧・加熱してn−ヘキサンを留去してAOMA−iPGLを100g得た。得られたAOMA−iPGL50gにイオン交換水70gと固体酸触媒アンバーリスト15JWET15g(オルガノ社製)を加え、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%)を吹き込みながら室温で24時間撹拌した。反応液を濾過した後、減圧・加熱して水と副生物を留去し、AOMA−GL39gを得た。AOMA−GLの1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図11に示す。
[実施例1]
攪拌翼、ガス導入管、温度計、冷却管を付した反応容器に、単量体としてAOMA−ME10.0g、溶媒として酢酸エチル10.0gを仕込み、窒素ガスを流しながら攪拌、昇温を開始した。内温が70℃で安定したのを確認した後、アゾ系ラジカル重合開始剤0.005g((株)日本ファインケム製、商品名:ABN−V)を添加し、重合を開始した。内温が69℃〜71℃になるよう調整しながら、GC分析によりAOMA−MEの転化率を追跡した。転化率が80%を超えるまで、2時間おきにABN−V0.005gを追加し、重合を続けた。室温まで冷却した後、希釈溶媒としてテトラヒドロフラン、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈殿操作を行い、沈殿物を得た。減圧乾燥器を用いて沈殿物を減圧下80℃で2時間乾燥し、AOMA−MEの単独重合体(重合体1)を得た。重合体1の1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図6に示す。また、重合体1の重量平均分子量(Mw)およびガラス転移温度(Tg)を以下のようにして測定した。更に、以下のようにして血小板粘着試験を行い、生体適合性を評価した。結果を表1に示す。
重合体をテトラヒドロフランで溶解・希釈し孔径0.45μmのフィルターで濾過したものを、下記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)装置、及び条件で測定した。
・装置:HLC−8320GPC(東ソー(株)製)
・溶出溶媒:テトラヒドロフラン
・標準物質:標準ポリスチレン(東ソー(株)製)
・分離カラム:TSKgel SuperH5000,TSKgel SuperH4000,TSKgel SuperH3000(東ソー(株)製)
(ガラス転移温度の測定)
JIS K7121に準拠し、下記の示差走査熱量計及び条件で測定し、中点法によりガラス転移温度(Tg)を求めた。
・装置:DSC3100(ブルカー・エイエックスエス(株)製)
・昇温速度10℃/分
・窒素フロー50mL/分
(血小板粘着試験)
重合体を溶媒キャスト法(溶媒:酢酸エチル)により、表面処理をしていないポリエチレンテレフタレート(未処理PET)板上にキャストし、コート被膜を形成した。材料表面にクエン酸ナトリウムで抗凝固したヒト新鮮多血小板血漿を60分間接触させ、生理食塩水でリンスし、グルタルアルデヒドで固定した後、0.1mm2に付着した血小板数を電子顕微鏡で観察した。血小板の形態変化の進行度により、1型(正常)、2型(偽足形成)、3型(伸展)の3種類に分類し、MS(モルフォロジカルスコア)を以下のように定義して算出した。算出したMSから、生体適合性を5段階で評価した。
MS=n1×1+n2×2+n3×3
(式中、n1は1型の血小板数、n2は2型の血小板数、n3は3型の血小板数を表す。)
A:MS=0以上100未満
B:MS=100以上300未満
C:MS=300以上600未満
D:MS=600以上1000未満
E:MS=1000以上
なお、MSが小さいほど血小板が付着しにくく、生体適合性に優れることを示す。
単量体として、AOMA−ME10.0gの代わりにAOMA−ME6.2gとAOMA−MDG3.8gとを混合したもの(合計10.0g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてAOMA−ME/AOMA−MDG共重合体(重合体2)を得た。また、重合体の1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図7に、Mw、Tgおよび生体適合性を表1に示す。
単量体として、AOMA−ME10.0gの代わりにAOMA−BDG10.0gを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてAOMA−BDG重合体(重合体3)を得た。また、重合体の1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図8に、Mw、Tgおよび生体適合性を表1に示す。
単量体として、AOMA−ME10.0gの代わりにAOMA−MTG5.6gとAOMA−THF4.4gとを混合したもの(合計10.0g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてAOMA−MTG/AOMA−THF共重合体(重合体4)を得た。また、重合体の1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図9に、Mw、Tgおよび生体適合性を表1に示す。
単量体として、AOMA−ME10.0gの代わりにAOMA−PE5gとn−ブチルアクリレート(BA)5gとを混合したもの(合計10.0g)を用い、溶媒としてアセトニトリルを15g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてAOMA−PE/BA共重合体(重合体5)を得た。また、重合体の1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図12に、Mw、Tgおよび生体適合性を表1に示す。
単量体として、AOMA−ME10.0gの代わりにAOMA−GL5gとBA5gとを混合したもの(合計10.0g)を用い、溶媒としてメタノールを15g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてAOMA−GL/BA共重合体(重合体6)を得た。また、重合体の1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を図13に、Mw、Tgおよび生体適合性を表1に示す。
Mwが8.5万、Tgが−50℃のアクリル酸メトキシエチル(MEA)ホモポリマー、及び、Mwが10.9万、Tgが16℃のメタクリル酸メトキシエチル(MEMA)ホモポリマーについて、実施例1と同様にして血小板粘着試験を行った。生体適合性を表1に示す。
重合体をコートしなかったこと以外は実施例1と同様にして血小板粘着試験を行った。すなわち、基材である未処理PETの血小板粘着試験を行った。生体適合性を表1に示す。
Claims (3)
- 前記一般式(1)のZにおける炭素数1〜30の有機基は、炭素数1〜30の炭化水素基、鎖状エーテル構造含有基、環状エーテル構造含有基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、アミド置換鎖状飽和炭化水素基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の医療用具用材料。
- 請求項1又は2に記載の医療用具用材料を用いてなる医療用具であって、
該医療用具は、生体成分又は生体組織と接触する部分の少なくとも一部が前記医療用具用材料を用いて構成されていることを特徴とする医療用具(ただし、歯科用具を除く)。
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