JP6135074B2 - 硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、アクチュエータ等に好適に用いられる硬化物に関する。
アクチュエータは、電気、熱等のエネルギーを物理的な運動に変換することが可能なものであり、従来、モーター、シリンダ等に用いられる。近年では、ゴム組成物を用いたアクチュエータが提案されている(特許文献1〜3参照)。
ゴム組成物を用いたアクチュエータは、柔軟性が高く、伸縮・屈曲等の複雑な運動が可能であり、作動電圧が低い等の特徴を有している。このゴム組成物を用いたアクチュエータは、歩行アシスト部材、人工筋肉、ロボット等に応用されることが期待される。
近年、ロボットの開発の進歩に伴い、アクチュエータの必要性が高まっている。そのため、アクチュエータに用いられる伸張可能な材料の要求は高まっている。アクチュエータに用いられる材料には、高い伸縮性を有し、且つ低弾性が求められる。
特開2008−053527号公報 特開2010−126576号公報 特開2008−239670号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されたゴム組成物は、アクチュエータ用の材料としては、未だ伸縮性及び低弾性が十分ではなく、改良の余地があった。したがって、更なるアクチュエータ用として好適な材料の開発が求められている。
本発明は、高い伸縮性を有し、且つ低弾性であるため、アクチュエータ用等に用いられる材料として好適な硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特定のモノマを共重合させた特定の構造を有する共重合体を硬化剤で架橋させることにより、高い伸縮性を有し、且つ低弾性である硬化物が得られることを見出した。
すなわち本発明は、下記の(1)〜(7)の硬化物を提供するものである。
(1)架橋性モノマ(a1)に由来する構造単位(a1)及び架橋性モノマ(a1)以外の重合性モノマ(a2)に由来する構造単位(a2)を含む共重合体であって、当該共重合体中で構造単位(a1)が均質に存在している共重合体(A)と、硬化剤(B)とを含む樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物であって、25℃における弾性率が1.0MPa以下であり、100%伸張後の形状回復時間が0.1秒〜10秒である、硬化物。
(2)前記樹脂組成物中の共重合体(A)と硬化剤(B)との質量比〔(A)/(B)〕が70/30〜99/1である、上記(1)に記載の硬化物。
(3)共重合体(A)のガラス転移温度が、5℃未満である、上記(1)又は(2)に記載の硬化物。
(4)共重合体(A)の重量平均分子量が、50万〜120万である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化物。
(5)硬化剤(B)が、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、及びフェノール系硬化剤からなる群より選ばれる1種以上である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化物。
(6)共重合体(A)中の構造単位(a1)間の平均分子量が、500〜2000である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化物。
(7)架橋性モノマ(a1)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化物。
本発明の硬化物は、高い伸縮性を有し、且つ低弾性であるため、アクチュエータ用等に用いられる材料として好適である。
RI検出器、UV検出器を用いて測定し得られたGPCスペクトルを示すチャート図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
なお、本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、他の類似語についても同様である。
また、ガラス転移温度(Tg)の値は、共重合体を構成するモノマ成分の含有量からFOX式を用いて算出した値であり、具体的には、実施例に記載の方法により、算出した値である。
さらに、重量平均分子量及び数平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値であり、具体的には実施例に記載の方法により、測定した値である。
なお、数平均分子量、重量平均分子量及び分散度は、以下のように定義される。
(a)数平均分子量(Mn)
Mn=Σ(Nii)/ΣNi=ΣXii
(Xi=分子量Miの分子のモル分率=Ni/ΣNi
(b)重量平均分子量(Mw)
Mw=Σ(Nii 2)/ΣNii=ΣWii
(Wi=分子量Miの分子の重量分率=Nii/ΣNii
(c)分子量分布(分散度)
分散度=Mw/Mn
本発明の硬化物は、架橋性モノマ(a1)に由来する構造単位(a1)及び架橋性モノマ(a1)以外の重合性モノマ(a2)に由来する構造単位(a2)を含む共重合体であって、構造単位(a1)が当該共重合体中で均質に存在している共重合体(A)と、硬化剤(B)とを含む樹脂組成物を硬化させて得られる。
上記樹脂組成物には、(A)及び(B)成分以外に、必要に応じて、硬化促進剤、シランカップリング剤、フィラー等のその他の添加剤を含有してもよい。
以下、当該樹脂組成物中に含まれる各成分について説明する。
〔共重合体(A)〕
共重合体(A)は、架橋性モノマ(a1)に由来する構造単位(a1)、及び架橋性モノマ(a1)以外の重合性モノマ(a2)に由来する構造単位(a2)を含む。
また、共重合体(A)は、モノマ(a1)及び(a2)以外のモノマに由来の構造単位を有していてもよい。
(架橋性モノマ(a1))
架橋性モノマ(a1)は、後述の硬化剤(B)と架橋可能な官能基を1つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。
硬化剤(B)と架橋可能な官能基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基が好ましく、エポキシ基がより好ましい。
つまり、モノマ(a1)としては、カルボキシル基含有モノマ、ヒドロキシル基含有モノマ、アミノ基含有モノマ、アミド基含有モノマ、エポキシ基含有モノマ等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有モノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有モノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
アミド基含有モノマとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
エポキシ基含有モノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等が挙げられる。
これらのモノマ(a1)の中でも、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、保存安定性の観点から、エポキシ基含有(メタ)アクリレートがより好ましく、メタクリル酸グリシジルが更に好ましい。
共重合体(A)中の架橋性モノマ(a1)に由来する構造単位(a1)の含有量は、好ましくは1〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%、より更に好ましくは15〜23質量%である。
構造単位(a1)の含有量が1質量%以上であれば、硬化物の形状回復時間が短くなり、高い伸縮性を発現させることができる。一方、構造単位(a1)の含有量が25質量%以下であれば、形状回復が困難になるという弊害を防止することができる。
(架橋性モノマ(a1)以外の重合性モノマ(a2))
モノマ(a2)は、架橋性モノマ(a1)以外で、重合可能な化合物であれば特に限定されない。
このようなモノマ(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、N−置換マレイミド類、脂環式類の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−フルオロスチレン、α−クロルスチレン、α−ブロモスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、スチレン等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
N−置換マレイミド類としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
脂環式類の(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルメチル、(メタ)アクリル酸フェニルノルボルニル、(メタ)アクリル酸シアノノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル等が挙げられる。
これらのモノマ(a2)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの中でも、得られる硬化物の弾性率を低くする観点から、下記一般式(I)で表される化合物である(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
上記式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜20のアルキル基を示し、当該アルキル基は直鎖でも分岐鎖であってもよい。
2が示すアルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8である。
上記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜8のアルキル基を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸ブチルがより好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物に由来の構成単位の含有量は、モノマ(a2)に由来の構成単位(a2)の総量に対して、好ましくは60〜100質量%、より好ましく70〜98質量%、更に好ましくは80〜95質量%である。
共重合体(A)中のモノマ(a2)に由来の構造単位(a2)の含有量は、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは65〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%、より更に好ましくは75〜87質量%である。
(共重合体(A)の物性)
共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは5℃未満、より好ましくは−10℃未満、更に好ましくは−20℃未満である。共重合体(A)のガラス転移温度が5℃未満であれば、得られる硬化物の柔軟性が良好となり、低弾性となる傾向がある。
なお、共重合体(A)のTgの下限値については特に制限はないが、取り扱い性の観点から、共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−80℃以上、更に好ましくは−60℃以上である。
共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50万〜120万、より好ましくは60万〜90万、更に好ましくは65万〜85万である。共重合体(A)の重量平均分子量が50万以上であればハンドリング性が向上し、形状回復時間が短縮される傾向にある。一方、共重合体(A)の重量平均分子量が120万以下であれば、溶剤への溶解性が良好となり、加工性が良好となる傾向がある。
共重合体(A)中の構造単位(a1)間の平均分子量(以下、「架橋間平均分子量」ともいう)は、好ましくは500〜2000、より好ましくは700〜1700、更に好ましくは800〜1500、より更に好ましくは850〜1300である。当該架橋間平均分子量が500以上であれば、硬化物としたときの柔軟性がより優れるために好ましい。一方、当該架橋間平均分子量が2000以下であれば、形状回復時間をより短くできるために好ましい。
なお、本発明において、構造単位(a1)間の平均分子量(架橋間平均分子量)の値は、実施例に記載の方法により測定した値であり、値の算出に用いる分子量は上述の方法により測定した値である。
本発明で用いる共重合体(A)は、当該共重合体中に架橋性モノマ(a1)に由来の構造単位(a1)が均質に存在している。
共重合体(A)中に構造単位(a1)が均質に存在しているか否かは、架橋性モノマ(a1)をUVで検出可能な基で修飾し、RI検出器、UV検出器を用いて測定し得られたGPCスペクトルから算出したXの値で決定した。
UVで検出可能な基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、二重結合等の不飽和結合を有する基が挙げられる。
上記の基に変換する方法として、公知の官能基修飾法が用いられるが、例えば、モノマ(a1)として、エポキシ基含有モノマを用いる場合は、アニリン、ベンジルアミン等と反応させることにより、フェニル基、ベンジル基等に変換可能である。
また、モノマ(a1)として、ヒドロキシル基含有モノマを用いる場合は、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート等と反応させることにより、フェニル基、ベンジル基等に変換可能である。
Xの算出方法について、図1を用いて説明する。図1は、RI検出器、UV検出器を用いて測定し得られたGPCスペクトルを示すチャート図である。
本発明では、例えば、図1のスペクトルチャートに示されたUVピークトップ時間とRIピークトップ時間との間に生じるズレを「(UVピークトップ時間)−(RIピークトップ時間)」とし、RIピークの幅を示す時間を「(RIピークエンド時間)−(RIピークスタート時間)」とし、前者を後者で割ったものをXとした。
すなわち、Xの値は、下記計算式(1)により定義されるものである。
反応初期と後期で生成する共重合体の組成比率の差が大きくなる程、UVピークトップ時間とRIピークトップ時間との間に生じるズレが大きくなる。
なお、ピークの幅はUVでもRIでも違いが生じないため、「(RIピークエンド時間)−(RIピークスタート時間)」の値は、「(UVピークエンド時間)−(UVピークスタート時間)」に近似することできる。
本発明において、Xの値は−0.030〜0.030であり、好ましくは−0.020〜0.020、より好ましくは−0.015〜0.015、更に好ましくは−0.010〜0.012である。
Xの値が、−0.03未満又は0.03を超えて大きい場合には、共重合体(A)中に構造単位(a1)が均質に存在していないため、硬化物の形状回復時間が大きく低下する傾向にある。
(共重合体(A)の合成方法)
共重合体(A)の合成方法としては、例えば、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられる。これらの中でも、共重合体(A)中に構造単位(a1)を均質に存在させる観点、並びに分子量の調整及び熱制御の観点から、懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法を用いる場合には、原料となるモノマ、重合開始剤、必要に応じて添加される連鎖移動剤に、水及び懸濁剤を添加し、分散液を調製する。
懸濁剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール等の非イオン性水溶性高分子が好ましい。
懸濁剤の配合量は、原料であるモノマ成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.005〜1質量部、より好ましくは0.01〜0.07質量部である。
なお、懸濁重合法を用いる場合、必要に応じて、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等の分子量調整剤を添加してもよい。
重合温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは40〜120℃である。
また、溶液重合を用いる場合、使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、四塩化炭素等の塩素系溶剤等が挙げられる。
溶液重合開始時の溶液の固形分濃度は、得られる共重合体(A)の分子量の調整の観点から、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは50〜60質量%である。
共重合体(A)を合成するためには、ラジカル重合を利用するが、共重合体(A)中に構造単位(a1)を均質に存在させる観点から、リビングラジカル重合を利用することが好ましい。リビングラジカル重合は、通常のラジカル重合と比較して、架橋性モノマ(a1)に由来の構造単位(a1)が均質に存在した共重合体(A)を得られやすい。
リビングラジカル重合としては、原子移動ラジカル重合(ATRP重合:Atom Transfer Radical Polymerization)、可逆的付加開裂型連鎖移動重合(RAFT重合:Reversible Addition−Fragmentation Chain Transfer)等が挙げられるが、RAFT重合が好ましい。
ATRP重合では、重合開始剤として、ハロゲン化合物等を用い、さらに遷移金属等の触媒を用いて、原料となるモノマ成分を重合する。ATRP重合は、官能基変換反応に比較的有利なハロゲンを末端に有し、重合開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有する重合体の製造方法として優れている。
ATRP重合の具体的な方法としては、例えば、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、7901頁,Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、国際公開第96/30421号パンフレット、国際公開第97/18247号パンフレット、国際公開第98/01480号パンフレット、国際公開第98/40415号パンフレット、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報に記載された方法等が挙げられる。
ATRP重合で用いられる重合開始剤としては、有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1官能性、2官能性、多官能性の化合物から選択することができる。
これらの中でも、入手しやすさの観点から、1官能性である2−ブロモ酪酸エチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、2−ブロモプロピオン酸エチルが好ましい。
ATRP重合における重合開始剤の配合量としては、原料であるモノマ成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
触媒としては、コストの観点から、銅錯体が好ましい。
1価の銅錯体を用いる場合の配位子としては、例えば、2,2−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
ATRP重合における触媒の配合量は、原料であるモノマ成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.005〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
RAFT重合では、重合開始剤と、連鎖移動剤である可逆的付加開裂型連鎖移動剤(以下、「RAFT剤」ともいう)を用いて重合反応を進行させる。RAFT重合は、多様なモノマに対して適用可能であり、広範囲の反応条件に適用可能であるため、他のリビングラジカル重合と比較して、生産性に優れている。
RAFT重合で用いられる重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
RAFT重合における重合開始剤の配合量としては、原料であるモノマ成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。重合開始剤の配合量が0.01質量部以上であれば、重合を十分に進行させることができる。一方、重合開始剤の配合量が10質量部以下であれば、得られる共重合体の重量平均分子量を上述の好適範囲に調整しやすくなる。また、分解生成物の量を抑制することができ、硬化物の形状回復時間の低下、接着強度の低下等の悪影響を防止することができる。
RAFT剤としては、例えば、O−エチル−S−(1−フェニルエチル)ジチオカーボネート、O−エチル−S−(2−プロポキシエチル)ジチオカーボネート、O−エチル−S−(1−シアノ−1−メチルエチル)ジチオカーボネート等のジチオカーボネート類、ジチオプロピオン酸シアノエチル、ジチオプロピオン酸ベンジル、ジチオ安息香酸ベンジル、ジチオ安息香酸アセトキシエチル等のジチオエステル類、S−ベンジル−N,N−ジメチルジチオカルバメート、ベンジル−1−ピロールカルボジチオエート等のジチオカルバメート類、ジベンジルトリチオカーボネート、S−シアノメチル−S−ドデシルトリチオカーボネート等のトリチオカーボネート類等が挙げられる。
これらのRAFT剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、使用するRAFT剤は、モノマの反応性に応じて最適なものを選択することが好ましいが、アクリル酸エステルの重合には、ジチオカルバメート類、ジチオカーボネート類が好ましく、メタクリル酸エステルの重合には、ジチオエステル類が好ましい。
RAFT重合におけるRAFT剤の配合量は、原料であるモノマ成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.005〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部、更に好ましくは0.02〜3質量部である。RAFT剤の配合量が0.01質量部以上であれば、反応を十分に制御することができる。一方、RAFT剤の配合量が10質量部以下であれば、得られる共重合体の重量平均分子量を上述の好適範囲に調整しやすくなる。
共重合体(A)を合成するために、通常のラジカル重合を用いる場合、得られる共重合体(A)中に構造単位(a1)を均質に存在させる観点から、重合率20〜50%で反応停止させることが好ましく、重合率30〜40%で反応停止させることがより好ましい。
共重合体(A)を合成するために、通常のラジカル重合を用い、重合法として懸濁重合法を用いる場合、得られる共重合体(A)中に構造単位(a1)を均質に存在させる観点から、他に比べて反応速度の速いモノマ(具体的には、架橋性モノマ(a1))を、2回に分けて添加することが好ましい。つまり、架橋性モノマ(a1)の一部を含む原料となるモノマ、重合開始剤、必要に応じて添加される連鎖移動剤、水、懸濁剤等を加えて、分散液を調整した後、当該分散液を加熱撹拌しながら、残りの架橋性モノマ(a1)を添加し重合する方法が好ましい。
なお、残りの架橋性モノマ(a1)の添加方法は、加熱撹拌しながら連続添加であっても、間隔を空けて何回かに分けての添加であってもよいが、得られる共重合体(A)中に構造単位(a1)を均質に存在させる観点から、1〜5時間かけて滴下することが好ましい。
通常のラジカル重合を行う際に使用する重合開始剤としては、上述のRAFT重合で用いる重合開始剤と同様の化合物を使用することができる。
また、通常のラジカル重合を行う際の重合開始剤の配合量は、原料であるモノマ成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
〔硬化剤(B)〕
硬化剤(B)は、共重合体(A)の架橋性モノマ(a1)に由来の構造単位(a1)に有する官能基と架橋するものである。
硬化剤(B)としては、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、フェノール系硬化剤からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、酸無水物系硬化剤、ジアミン系硬化剤、ジカルボン酸系硬化剤、ジフェノール系硬化剤からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
なお、構造単位(a1)に由来する架橋性モノマ(a1)がエポキシ基含有モノマである場合、酸無水物系化合物及び/又はジカルボン酸系化合物が好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物;アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン;ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン類等が挙げられる。
カルボン酸系硬化剤としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類;1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類;クレゾール類;エチルフェノール類;ブチルフェノール類;オクチルフェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フラン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂等が挙げられる。
これらの硬化剤(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
共重合体(A)/硬化剤(B)の配合比(質量比)は、好ましくは70/30〜99/1、より好ましくは80/20〜99/1、更に好ましくは85/15〜98/2、より更に好ましくは87/13〜95/5である。
また、樹脂組成物中の共重合体(A)及び硬化剤(B)の合計含有量は、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
〔その他の添加剤〕
樹脂組成物には、(A)及び(B)成分以外に、必要に応じて、硬化促進剤、シランカップリング剤、フィラー等のその他の添加剤を含有してもよい。
これらの中でも、共重合体(A)と硬化剤(B)との反応を促進させる観点から、硬化促進剤を含有することが好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤、第3級アミン系硬化促進剤、第4級アンモニウム塩系硬化促進剤、ブロック化イソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
なお、これらの硬化促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ−〔1,2−a〕ベンズイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜4質量部、更に好ましくは0.3〜2質量部である。
〔硬化物の作製方法〕
本発明の硬化物を得るための方法としては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材フィルム上に、各種塗布装置を用いて、上述の樹脂組成物に溶剤を加えて調製した硬化ワニスを塗布し、乾燥及び硬化して得る方法が好ましい。
硬化ワニスを調製する際に用いる溶剤としては、樹脂組成物中の各成分を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸エチル、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
硬化ワニスを塗布した後の乾燥温度としては、好ましくは20〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは80〜150℃である。また、乾燥時間としては、好ましくは1〜60分、より好ましくは5〜40分、更に好ましくは10〜25分である。
硬化温度としては、好ましくは80〜250℃、より好ましくは120〜220℃、更に好ましくは150〜200℃である。また、硬化時間としては、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜12時間、更に好ましくは4〜8時間である。
〔硬化物の物性〕
硬化物の膜厚は、好ましくは1〜200μm、より好ましくは10〜140μm、更に好ましくは15〜80μmである。当該膜厚が1μm以上であれば、硬化物として十分な強度が得られる。一方、当該膜厚が200μm以下であれば、硬化物を積層して積層体を作製する場合においても、得られる積層体の柔軟性を良好にすることができる。
なお、本発明の硬化物は、フィルム状の形状した硬化物フィルムであることが好ましい。
本発明の硬化物の100%伸張後の形状回復時間は、0.1秒〜10秒であるが、好ましくは0.1秒〜5秒、より好ましくは0.1秒〜3秒である。当該範囲であれば、硬化物の伸縮性が十分であるため、本発明の硬化物をアクチュエータ用等の材料として好適に用いることができる。
なお、本発明において、硬化物の形状回復時間の値は、実施例に記載の方法にて、測定された値を意味する。
また、本発明の硬化物の25℃における弾性率は、1.0MPa以下であるが、好ましくは0.8MPa以下、より好ましくは0.6MPa以下である。当該範囲であれば、硬化物は、十分に低弾性であるため、本発明の硬化物をアクチュエータ用等の材料として好適に用いることができる。
なお、本発明において、硬化物の25℃における弾性率の値は、JIS K7161に基づいて測定された値であり、具体的には、実施例に記載の方法にて、測定された値である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1(共重合体1の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、排出管及び加熱ジャケットから構成された500mlフラスコを反応器とし、まず、フラスコ内に窒素を100mL/分で流した。
次に、アクリル酸ブチル(BA)73g、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−513AS」)7g、メタクリル酸グリシジル(GMA)20gを混合し、さらに、重合開始剤として、過酸化ラウロイルを0.51g、連鎖移動剤として、RAFT剤であるO−エチル−S−(1−フェニルエチル)ジチオカーボネートを0.04g添加し、溶解させて、単量体混合物を得た。そして、当該単量体混合物に対し、水201.3g(単量体混合物100質量部に対して、200質量部)、懸濁剤として、ポリビニルアルコール(PVA)0.03g(単量体混合物100質量部に対して、0.03質量部)をそれぞれ加えて、分散液を調製した。
そして、調製した当該分散液を、窒素を流して、溶存酸素を1ppm以下としたフラスコ(反応器)内に供給し、反応器内温度55℃、撹拌回転数250回/分で撹拌しながら加熱し、10時間反応させた。反応中にサンプリングしながら生成した樹脂の比重から重合率を算出し、重合率が80%以上であることを確認した後、90℃まで昇温して、さらに2時間反応させた。その後、反応器内の生成物を冷却し、当該生成物を取り出して、水洗、脱水、乾燥して、共重合体1を得た。
製造例2(共重合体2の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、排出管及び加熱ジャケットから構成された300mlフラスコを反応器とし、まず、フラスコ内に窒素を100mL/分で流した。
次に、アクリル酸ブチル(BA)73g、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−513AS」)7g、メタクリル酸グリシジル(GMA)7gを混合し、さらに、重合開始剤として、過酸化ラウロイルを0.51g、連鎖移動剤として、n−オクチルメルカプタンを0.04g添加し、溶解させて、単量体混合物を得た。そして、当該単量体混合物に対し、水201.3g(単量体混合物100質量部に対して、200質量部)、懸濁剤として、ポリビニルアルコール(PVA)0.02g(単量体混合物100質量部に対して、0.02質量部)を加えて、分散液を調製した。
そして、調製した当該分散液を、窒素を流して、溶存酸素を1ppm以下としたフラスコ(反応器)内に供給し、反応器内温度55℃、撹拌回転数250回/分で撹拌しながら加熱し、さらにメタクリル酸グリシジル(GMA)13gを3時間かけて連続的に滴下した。その後、2時間反応させた後、90℃まで昇温して、さらに2時間反応させた。その後、反応器内の生成物を冷却し、当該生成物を取り出して、水洗、脱水、乾燥して、共重合体2を得た。
製造例3(共重合体3の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、排出管及び加熱ジャケットから構成された500mlフラスコを反応器とし、まず、フラスコ内に窒素を100mL/分で流した。
次に、アクリル酸ブチル(BA)60g、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−513AS」)30g、メタクリル酸グリシジル(GMA)10gを混合し、さらに、重合開始剤として、過酸化ラウロイルを0.51g、連鎖移動剤として、n−オクチルメルカプタンを0.12g添加し、溶解させて、単量体混合物を得た。そして、当該単量体混合物に対し、水201.3g(単量体混合物100質量部に対して、200質量部)、分散助剤として、ポリビニルアルコール(PVA)0.2g(単量体混合物100質量部に対して、0.02質量部)を加えて、分散液を調製した。
そして、調製した当該分散液を、窒素を流して、溶存酸素を1ppm以下としたフラスコ(反応器)内に供給し、反応器内温度55℃、撹拌回転数250回/分で撹拌しながら加熱し、4時間反応させた。反応中にサンプリングしながら生成した樹脂の比重から重合率を算出し、重合率が80%以上であることを確認した後、90℃まで昇温して、さらに2時間反応させた。その後、反応器内の生成物を冷却し、当該生成物を取り出して、水洗、脱水、乾燥して、共重合体3得た。
製造例1〜3で合成した共重合体1〜3について、以下の方法により、各物性を測定した。共重合体1〜3の測定した物性値を表1に示す。
〔重量平均分子量の測定〕
上記共重合体1〜3をテトラヒドロフランに溶解させた濃度が1質量%の試料溶液を用いて、25℃の温度条件にて、GPC装置(東ソー株式会社製、商品名「GPC8020」)、GPCカラム(日立化成工業株式会社製、商品名「Gelpack GL−150−S、GL−160−S」)を使用し、標準ポリスチレン換算法により、共重合体1〜3の重量平均分子量を算出した。
〔ガラス転移温度(Tg)の算出〕
共重合体1〜3のモノマ成分の含有量から、以下のFOX式を用いて算出した。
(FOX式)
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wi/Tgi+…+Wn/Tgn
上記FOX式中、nは対象の共重合体を構成するモノマの種類の数を示す。また、Tgi(K)は、各モノマ(i=1,2,・・・n)のホモポリマのガラス転移温度を示す。更に、Wiは、各モノマ(i=1,2,・・・n)の質量分率を示し、W1+W2+…+Wi+…Wn=1である。
ここで、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(FA−513AS)、及びメタクリル酸グリシジル(GMA)のホモポリマーのガラス転移温度は、下記数値を用いた。
アクリル酸ブチル(BA):−54℃
アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(FA−513AS):120℃
メタクリル酸グリシジル(GMA):63℃
〔架橋間平均分子量〕
架橋間平均分子量の値は、下記式に基づいて、算出した。
(架橋間平均分子量)=(m1×X1+m2×X2+ma×Xa+・・・mn×Xn)/ma
上記式中、nは対象の共重合体を構成するモノマの種類の数を示し、このうちaは架橋性モノマを示す。また、miは各モノマ(i=1,2,・・・n(aを含む))のモル分率を示し、m1+m2+…ma+mi+…mn=1である。Xiは各モノマ(i=1,2,・・・n(aを含む))の分子量を示す。
〔上記式(1)で表されるXの値〕
上記共重合体1〜3の架橋性モノマをベンジルアミンで修飾し、テトラヒドロフランに溶解させた濃度が1質量%の試料溶液を作製し、25℃の温度条件にて、GPC装置(東ソー株式会社製、商品名「GPC8020」)、GPCカラム(日立化成工業株式会社製、商品名「Gelpack GL−150−S、GL−160−S」)を使用し、RI検出器、UV検出器を用いて重量平均分子量を測定した。RI検出器で得られたピークの始まりの時間をRIピークスタート時間とし、ピークの終点の時間をRIピークエンド時間とした。また、RI検出器、UV検出器で得られたピークの頂点をそれぞれRIピークトップ時間、UVピークトップ時間とした。これらの値を計算式(1)に代入してXを算出した。
実施例1〜2、比較例1
製造例1〜3で合成した共重合体1〜3を、それぞれメチルエチルケトンに加熱残分が30質量%となるように溶解し、共重合体ワニス1〜3を調製した。
次いで、各共重合体ワニス10.3質量部(固形分比)に対して、硬化剤(B)として、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸(日立化成株式会社製、商品名「HN5500」)を1.1質量部(固形分比)、硬化促進剤として、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名「キュアゾール2PZ−CN」)を0.045質量部(固形分比)配合して、樹脂組成物の溶液からなる硬化ワニス1〜3を調製した。
そして、調製した硬化ワニス1〜3を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、120℃で15分間加熱して乾燥させ、次いで、180℃で6時間硬化させ、PETフィルムを除去し、厚さ80μmのフィルム状の硬化物を得た。
〔100%伸張後の形状回復時間〕
引っ張り試験機(インストロン社製、商品名「マイクロテスター5548」)を用いて、80μm(膜厚)×5mm(幅)×20mm(長さ)の形状の実施例1〜2及び比較例1で得た硬化物を、チャック間距離15mm、引張速度10mm/分で延伸し、100%延伸した後、チャック間距離を15mmに戻し、硬化物の形状が元に戻るまでの時間を測定した。
〔25℃における弾性率〕
引っ張り試験機(インストロン社製、商品名「マイクロテスター5548」)を用いて、80μm(膜厚)×5mm(幅)×20mm(長さ)の形状の実施例1〜2及び比較例1で得た硬化物を、チャック間距離15mm、引張速度10mm/分の条件で、JIS K7161に基づき、硬化物の25℃における弾性率を測定した。
表2によれば、実施例1〜2の硬化物は、100%伸張後の形状回復時間が短く、25℃における弾性率も低く良好であった。これに対し、比較例1の硬化物は、25℃における弾性率は良好であるものの、100%伸張後の形状回復時間が長く、伸縮性が劣る結果となった。
本発明の硬化物は、高い伸縮性を有し、且つ低弾性である。そのため、歩行アシスト部材、人工筋肉、ロボット等に応用されるアクチュエータに用いられる材料として好適である。

Claims (10)

  1. 架橋性モノマ(a1)に由来する構造単位(a1)及び架橋性モノマ(a1)以外の重合性モノマ(a2)に由来する構造単位(a2)を含む共重合体であって、前記架橋性モノマ(a1)が(メタ)アクリル酸グリシジルであり、当該共重合体中で構造単位(a1)が均質に存在している共重合体(A)と、硬化剤(B)とを含む樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物であって、25℃における弾性率が1.0MPa以下であり、100%伸張後の形状回復時間が0.1秒〜10秒であさらに、前記共重合体(A)中の構造単位(a1)の含有量が15〜30質量%である硬化物。
  2. 前記樹脂組成物中の共重合体(A)と硬化剤(B)との質量比〔(A)/(B)〕が70/30〜99/1である、請求項1に記載の硬化物。
  3. 前記共重合体(A)のガラス転移温度が、5℃未満である、請求項1又は2に記載の硬化物。
  4. 前記共重合体(A)の重量平均分子量が、50万〜120万である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化物。
  5. 前記共重合体(A)の重量平均分子量が、50万〜90万である、請求項4に記載の硬化物。
  6. 前記硬化剤(B)が、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、及びフェノール系硬化剤からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化物。
  7. 前記共重合体(A)中の構造単位(a1)間の平均分子量が、500〜2000である、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化物。
  8. 前記共重合体(A)中の構造単位(a1)間の平均分子量が、800〜1500である、請求項7に記載の硬化物。
  9. 前記共重合体(A)の構造単位(a1)をUVで検出可能な基で修飾し、RI検出器、UV検出器を用いて測定して得られたGPCスペクトルを示すチャート図から求められる下記計算式(1)で定義されるXの値が−0.030〜0.030である、請求項1〜8のいずれかに記載の硬化物。
  10. 前記Xの値が−0.020〜0.020である、請求項9に記載の硬化物。
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