JP5391590B2 - アクリル系共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル系共重合体の製造方法、及び、前記製造方法によって得られた共重合体を含むアクリル系樹脂組成物又はアクリル系接着剤組成物に関する。
従来、半導体の需要はパソコン用途が主流であったが、近年、ゲーム機、携帯電話、デジタルカメラ、DVDプレーヤー・レコーダー、液晶・プラズマ薄型テレビ、および自動車用途など、半導体市場の裾野が拡張している。例えば、携帯電話ではカラー液晶、カメラ、インターネット機能が標準搭載され、また、デジタルカメラでは高画素化、薄型テレビでは大画面化が求められている。これらに伴い、メモリー容量を増大させるなどした高機能半導体の需要は、さらに加速するもとの予測されている。これらの需要に対応するために、半導体装置においては、高密度3次元実装パッケージへのシフトが進んでいる。
半導体インゴットから半導体デバイスが生産されるプロセスでは、多種のアクリル系粘・接着剤(アクリル系接着剤組成物)が用いられており、近年の半導体デバイスの高密度化・薄肉化に比例し、アクリル系接着剤組成物にも高機能化に対応した性能及び長期にわたる信頼性の向上が求められている。
アクリル系接着剤組成物としては、従来、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム系及びアクリロニトリル含有アクリルゴムなどの共重合体が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来のアクリロニトリル−ブタジエンゴム系及びアクリロニトリル含有アクリルゴム共重合体を用いたアクリル系接着剤組成物をポリイミドフィルムなどの基材に塗布し、高温高湿下で一定時間放置した後、接着強度を測定すると、著しく強度が低下するという問題があった。そこで、共重合体にエポキシ基を導入し、更に特定フィラーの添加などにより接着強度を向上させるという手法がとられてきた(例えば、特許文献2、3参照)。
本発明は、アクリル系接着剤組成物の性能及び信頼性を向上させるためになされたものであり、高温高湿下における放置後の接着強度の低下が少ないアクリル系接着剤組成物を得ることのできるアクリル系共重合体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高温高湿下における放置後の接着強度の低下が少ないアクリル系接着剤組成物に用いることのできるアクリル系樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、高温高湿下における放置後の接着強度の低下が少ないアクリル系接着剤組成物を提供することを目的とする。
特開昭61−138680号公報 特開2001−302998号公報 特許第3190044号公報
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、及び官能基含有メタクリル酸エステルを単量体成分として用いた共重合において、官能基含有メタクリル酸エステルの反応液への仕込み方法を変更して共重合させることで、高温高湿下における放置後の接着強度の低下が少ないアクリル系接着剤組成物に適したアクリル系共重合体を製造することができることを見出した。
すなわち本発明は、単量体成分全体を100重量%として、アクリル酸アルキルエステル54〜78重量%、アクリロニトリル20〜34重量%、及びカルボキシル基、ヒドロキシル基、酸無水物基、アミノ基、アミド基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する官能基含有メタクリル酸エステル2〜12重量%を重合する共重合体の製造方法であって、前記アクリル酸アルキルエステル及び前記アクリロニトリルの全量と、前記官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内の30〜70重量%とを混合し、重合率20〜50%まで重合した後、さらに、前記官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内の残りの30〜70重量%を混合して重合することを特徴とするアクリル系共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は、上記製造方法によって得られた共重合体を含むアクリル系樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、上記製造方法によって得られた共重合体、又は、上記アクリル系樹脂組成物を含むアクリル系接着剤組成物に関する。
本発明の製造方法によれば、アクリル系接着剤組成物の高温高湿下での接着強度の低下を抑えることが可能なアクリル系共重合体を得ることができる。また、本発明のアクリル系樹脂組成物を用いることにより、高温高湿下での接着強度の低下を抑えたアクリル系接着剤組成物を得ることができる。さらに、本発明のアクリル系接着剤組成物は、高温高湿下での接着強度の低下が抑えられているために、半導体装置に好ましく用いることができる。
本発明のアクリル系共重合体の製造方法について詳述する。
本発明の製造方法は、単量体成分全体を100重量%としてアクリル酸アルキルエステル54〜78重量%、アクリロニトリル20〜34重量%、及びカルボキシル基、ヒドロキシル基、酸無水物基、アミノ基、アミド基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する官能基含有メタクリル酸エステル2〜12重量%を重合する共重合体の製造方法である。
本発明の製造方法は、まず、前記アクリル酸アルキルエステル及びアクリロニトリルの全量と、前記官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内の30〜70重量%とを混合し、重合率20〜50%まで重合する工程(第1の工程)と、その後、前記官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内の残りの30〜70重量%を混合して重合する工程(第2の工程)とを有する。本発明の製造方法では、その後、さらに残存モノマーの量を減少させる工程(第3の工程)を有しても良い。
従来、この種のアクリル系共重合体の一般的な製造方法としては、アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル及び官能基含有メタクリル酸エステルの全量を反応器内で撹拌、分散させた後、反応器内温度を50℃〜80℃に昇温し重合反応させ、その後、80〜120℃において3〜5時間撹拌して残存モノマーを重合させる方法が広くとられていた。
本発明者らは、このような従来のアクリル系共重合体の製造方法では、アクリル酸アルキルエステル及びアクリロニトリルと、官能基含有メタクリル酸エステルという反応性の著しく異なるモノマーを重合開始前に全量混合し、モノマーを全量用いて重合反応を開始するため、重合反応速度の早い官能基含有メタクリル酸エステルが先に重合を完了してしまっていたこと、そのため、得られた共重合体中には、官能基含有メタクリル酸エステルが過多となった部分と、官能基含有メタクリル酸エステルをほとんど含有しない部分とが存在していたこと、さらには、このようなアクリル系共重合体を含有するアクリル系接着剤組成物が、高温高湿下で一定時間放置した後の接着強度を著しく低下させていたということを見出した。
これに対し、本発明の製造方法においては、重合開始時の官能基含有メタクリル酸エステルの仕込み割合(官能基含有メタクリル酸エステル全量に対する割合)を少なくし、重合途中で官能基含有メタクリル酸エステルを追加で仕込むことにより、共重合体中に官能基含有メタクリル酸エステルを均一に存在させることが可能となる。そして、このようにして得られたアクリル系共重合体を用いることによって、アクリル系接着剤組成物の高温高湿下における放置後の接着強度の低下を抑えることができると考えられる。
第1の工程においては、まず、反応容器をN置換することが好ましい。N置換した反応容器に、アクリル酸アルキルエステルの全量及びアクリロニトリルの全量、並びに、官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内の30〜70重量%を加え、混合し、重合を開始する。この際、必要に応じて、ラジカル重合開始剤、反応溶剤、連鎖移動剤等を用いてもよい。
本発明においては、アクリル酸アルキルエステルを、単量体成分全体を100重量%として、54〜78重量%用いる。好ましくは62〜76重量%である。アクリル酸アルキルエステルの配合量は共重合体に求められるTgにより異なる。求められるTgが高い場合には、アクリル酸アルキルエステルを54重量%に近い範囲で減量し、低い場合には、78重量%に近い範囲で増量する。
本発明においては、アクリロニトリルを、単量体成分全体を100重量%として、20〜34重量%用いる。好ましくは20〜30重量%である。アクリロニトリルの配合量は共重合体に求められるTgにより異なる。求められるTgが高い場合には、34重量%に近い範囲で増量し、低い場合には20重量%に近い範囲で減量する。
本発明においては、官能基含有メタクリル酸エステルを、単量体成分全体を100重量%として、2〜12重量%用いる。好ましくは、4〜8重量%である。官能基含有メタクリル酸エステルの配合量は、求められる電気絶縁性、弾性率により異なる。求められる電気絶縁性が高い場合には、12重量%に近い範囲で増量し、低い場合には、2重量%に近い範囲で減量する。また、求められる弾性率が高い場合には、12重量%に近い範囲で増量し、低い場合には、2重量%に近い範囲で減量する。
官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内、第1の工程では、30〜70重量%を用い、好ましくは40〜60重量%用いる。70重量%を超えるかもしくは30重量%未満であると、この共重合体を用いた接着剤の高温高湿下における放置後の接着強度が低下する傾向がある。
第1の工程においては、原料を供給した後、Nで溶存酸素が1%以下になるまでバブリングすることが好ましい。次に、好ましくは、N気流下または密閉状態で、例えば、重合温度50〜65℃で原料を撹拌し、重合を開始する。その後、そのままの温度に保持し、重合率20〜50%まで重合する。重合時間は、例えば、1〜24時間である。
重合温度は、好ましくは、ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度より5〜40℃低い温度とすることができる。ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、ラジカル重合開始剤の種類により異なるが、例えば、55〜105℃である。第1の工程における好ましい重合温度は、50〜65℃である。
次に、第2の工程においては、第1の工程における重合率が20〜50%になったところで、官能基含有メタクリル酸エステルの全量の残りの30〜70重量%を添加する。好ましくは、40〜60重量%を添加する。添加後、例えば、重合温度50〜65℃で撹拌し、その後、重合率が80〜99%になるまで重合を続ける。また、重合時間は、例えば、1〜10時間である。
第3の工程では、好ましくは、ラジカル重合開始剤の99mol%が1〜10時間で熱分解する温度から該温度+15℃の範囲で撹拌して、重合させる。ラジカル重合開始剤の99mol%が1〜10時間で熱分解する温度から該温度+15℃の範囲は、ラジカル重合開始剤の種類により異なるが、例えば、78〜130℃である。第3の工程における好ましい重合温度は、90〜120℃である。
第3の工程により、重合率を99.5%以上とすることが可能であり、アクリル系共重合体を高収率で得ることができる。
なお、単量体の重合率は、例えば、用いた単量体成分全体の重量(g)に対する反応液に含まれる共重合体成分の重量(g)の割合×100(%)として求めることができる。
本発明において、エラストマーを製造するための重合方法としては塊状重合、懸濁重合、溶液重合、沈殿重合、乳化重合等の既存の方法を適用できる。中でもコストの面で懸濁重合法がもっとも好ましい。
本発明における上記のアクリル酸アルキルエステル単量体成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルへキシル、アクリル酸ラウリルが挙げられる。これらは単独で、また、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における官能基含有メタクリル酸エステル単量体成分としては、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−4,5−エポキシペンチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、メタクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル等を使用することができる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、保存安定性の点で、エポキシ基含有メタクリル酸エステル単量体が好ましく、メタクリル酸グリシジルがより好ましい。
本発明において使用されるラジカル重合開始剤としては、以下の例には限定されないが、有機過酸化物系およびアゾ化合物系が挙げられる。有機過酸化物系としては、過酸化水素、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、アルキルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類等が挙げられる。アゾ化合物系としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルに代表されるニトリル類、アミジン類、アルキル類、脂環類等が挙げられる。溶液重合のときは、使用した溶媒への溶解度が高い開始剤を使用し、懸濁重合のときは水への溶解度が低い、ラウリルパーオキサイドのような長鎖アルカンをもつ有機過酸化物を用いることが好ましい。
ラジカル重合開始剤を用いる場合、重合必要量の2〜10倍量用いることが好ましく、より好ましくは重合必要量の2〜5倍量である。ここで、重合必要量とは、用途に応じて目的の分子量まで重合するために必要な配合量のことである。例えば、単量体成分の全モル数に対し、好ましくは0.1〜1.0モル%、より好ましくは0.2〜0.6モル%である。
本発明において連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては以下の例には限定されないが、メルカプタン系およびダイマー系が挙げられる。メルカプタン系にはn−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどが挙げられる。またダイマー系にはα−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、例えば、単量体成分の全モル数に対し、好ましくは0.001〜0.1モル%、より好ましくは0.005〜0.05モル%である。
本発明において反応溶剤を使用することができる。反応溶剤としては、有機溶媒及び無機溶媒が使用でき、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン及び水等が挙げられる。
反応溶剤を用いる場合、その使用量は、例えば、単量体成分の全重量に対し、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%であるが、反応溶剤が水の場合は、単量体成分の全重量に対し、好ましくは100〜300重量%、より好ましくは150〜200重量%である。
また、分散助剤を加えてもよく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、でんぷん、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等の懸濁重合に使用する分散助剤、及び乳化重合に使用する乳化剤等が挙げられる。
分散助剤を用いる場合、その使用量は、例えば、単量体成分の全重量に対し、好ましくは0.01〜0.1重量%、より好ましくは0.02〜0.05重量%である。また、乳化剤を用いる場合、その使用量は、例えば、単量体成分の全重量に対し、好ましくは0.3〜5.0重量%、より好ましくは1.0〜3.0重量%である。
さらに、分子量調整剤として、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を必要に応じて添加することができる。
上記のようにして製造されるアクリル系共重合体は、その分子量について特に限定するものではないが、重量平均分子量(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン換算)が100,000〜1,500,000の範囲であることが好ましく、300,000〜1,200,000の範囲であることが特に好ましい。重量平均分子量が100,000未満であると接着性や強度が低くなる傾向があり、1,500,000を超えると、溶剤への溶解性が低下し加工性が悪化する傾向がある。
以上の方法により、アクリル系共重合体を製造することができる。
本発明の製造方法により得たアクリル系共重合体は、接着剤用に、溶媒に溶解して溶液状のアクリル系樹脂組成物として提供することもできる。溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン等、一般的な有機溶媒を用いることができる。これらの溶媒は、単独で、また、2種以上を混合して用いることができる。溶媒の使用量は、アクリル系共重合体との合計量に対し、アクリル系共重合体の含有割合(固形分濃度)が、10〜30重量%となる量が好ましく、15〜20重量%となる量がより好ましい。
本発明の製造方法により得られるアクリル系共重合体、及びアクリル系共重合体を含むアクリル系樹脂組成物は、これらを用いたアクリル系接着剤組成物の高温高湿下での接着強度の低下を抑制することができ、また、信頼性を向上させることができる。
アクリル系共重合体及びアクリル系樹脂組成物は、例えば、エポキシ樹脂及びその硬化剤、必要に応じて硬化促進剤、各種フィラー等、と混合してアクリル系接着剤組成物として使用することができる。その形態はフィルム状でもペースト状でも溶液状でもよい。
フィルム状にする場合の手法には特に制限はなく、例えば基材フィルム上に各種塗工装置を用いて上記アクリル系接着剤組成物のワニスを塗工し乾燥して製造することができる。
アクリル系重合体とエポキシ樹脂の混合割合には特に制限はなく、例えば前者/後者(重量比)で10/90〜90/10の割合で使用することが可能である。
前記エポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を呈するものであればよく、一般に二官能以上(1分子中にエポキシ基を2個以上含有)のエポキシ樹脂が使用できる。二官能エポキシ樹脂(1分子中にエポキシ基を2個含有するエポキシ樹脂)としては、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂等が例示される。また、三官能以上(1分子中にエポキシ基を3個以上含有)の多官能エポキシ樹脂を用いてもよく、三官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。
エポキシ樹脂の硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として通常用いられているものを使用でき、アミン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三弗化硼素、及びフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物であるビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSや、フェノール樹脂が使用できる。吸湿時の耐電食性に優れる点からはフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂等を用いることが好ましい。
硬化剤は、一般に、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤のエポキシ基と反応する基が0.6〜1.4当量となるように使用することが好ましく、0.8〜1.2当量となるように使用することがより好ましい。硬化剤が少なすぎたり多すぎたりすると耐熱性が低下する傾向がある。
さらに硬化剤とともに硬化促進剤を用いることもでき、硬化促進剤としては、各種イミダゾール類等が挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の配合量は好ましくは、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計100重量部に対して0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜15重量部である。0.1重量部未満であると硬化速度が遅くなる傾向にあり、また20重量部を超えると可使期間が短くなる傾向がある。
本発明の製造方法により得られるアクリル系共重合体、及びこれを含むアクリル系樹脂組成物は、アクリル系接着剤組成物として用いることが可能である。さらにアクリル系接着剤組成物は、半導体用接着剤、フレキシブル配線板用基板材料及びそれに用いられる接着剤、回路接続用接着フィルム等の電子材料に好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管および排出管、加熱ジャケットによって構成された4リットルフラスコを反応器とし、まずフラスコ内を窒素パージし、30mL/minで窒素を流した。次いで、フラスコに、モノマー混合物の反応初期敷液とし水2000g、分散助剤としてポリビニルアルコール0.2gを仕込んだ。
このように保持されたフラスコに、溶存酸素を1%以下にしたアクリル酸ブチル340g、アクリル酸エチル320g、アクリロニトリル280g、メタクリル酸グリシジル30g(総供給量の50重量%)からなるモノマー混合物、さらにラウリルパーオキサイド(10時間半減期温度61.6℃、99mol%が1〜10時間で熱分解する温度79.5℃)をモノマー混合物に対して0.6mol%、n−オクチルメルカプタンをモノマー混合物に対して0.007mol%加えた後、ジャケットを用いて加熱して、フラスコ内温度を55℃に保持し、重合を開始した。その後、重合率が30%になったところでメタクリル酸グリシジルを30g(総供給量の50重量%)を加え、さらに5時間反応を継続させた。その後、重合率80%以上を確認し、90℃に昇温して2時間反応させた。反応後の重合率は99.6%であった。
なお、重合率は、重合中の反応液を一部採取し、加熱して残存モノマー、水分及びその他の揮発分を揮発させて、固形分濃度(a重量%)を求め、この値(a重量%)から、次式によって求めた。
Figure 0005391590
しかる後、フラスコ内容物を冷却し、生成したアクリル系共重合体全量を取り出し、この共重合体を水洗、脱水、乾燥し、酢酸エチルとトルエンの混合溶媒に加熱残分が15重量%となるように溶解し、樹脂ワニスを作製した。
次いで樹脂ワニス470重量部、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828)20重量部、フェノール樹脂(大日本インキ化学(株)製、LF2882)20重量部、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製、キュアゾール2PZ−CN)0.2重量部からなる接着剤組成物を作製した。この接着剤組成物を、基材として厚さ25μmのポリイミドフィルム(宇部興産性のユーピレックスSGA−25を使用)に塗布し、温度80℃で30分、温度100℃で30分乾燥した。乾燥後の接着剤組成物層の厚さは、50μmであった。その後、乾燥した接着剤組成物層上に、上記と同じポリイミドフィルムを重ね、金型温度170℃、圧力1.8MPa、圧力保持時間18秒の条件でホットロールラミネーターを用いて貼り付け、170℃で1時間硬化させ、接着剤組成物層を備えた接着フィルムを作製した。
(評価)
この接着フィルムを、幅10mmに切断し、テスター産業株式会社製90度ピール強度測定機を用いて接着強度を測定した(チャック間距離50mm、引っ張り速度50mm/分)。
また、この接着フィルムを温度85℃、湿度85%に調整した恒温恒湿槽に48時間又は100時間放置した後の接着フィルムについて、上記と同様に接着強度を測定した。
(実施例2)
実施例1と同様のモノマー配合と製造方法で、初期に供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を40g(総供給量の67重量%)、重合率30%で供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を20g(総供給量の33重量%)にし、アクリル系共重合体を製造した。得られたアクリル系共重合体を用いて、実施例1と同様な方法で樹脂ワニス、接着剤組成物、接着剤フィルムを作製し、接着強度を測定した。
(実施例3)
実施例1と同様の製造方法で、モノマー混合比をアクリル酸ブチル370g、アクリル酸エチル250g、アクリロニトリル280gとし、初期に供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を50g(総供給量の50重量%)、重合率30%で供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を50g(総供給量の50重量%)にし、アクリル系共重合体を製造した。得られたアクリル系共重合体を用いて、実施例1と同様な方法で樹脂ワニス、接着剤組成物、接着剤フィルムを作製し、接着強度を測定した。
(比較例1)
実施例1と同様のモノマー配合と製造方法で、初期に供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を60g(総供給量の100重量%)にし、アクリル系共重合体を製造した。得られたアクリル系共重合体を用いて、実施例1と同様な方法で樹脂ワニス、接着剤組成物、接着剤フィルムを作製し、接着強度を測定した。
(比較例2)
実施例1と同様のモノマー配合と製造方法で、初期のメタクリル酸グリシジルの配合量を0g、重合率30%で供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を60g(総供給量の100重量%)にし、アクリル系共重合体を製造した。得られたアクリル系共重合体を用いて、実施例1と同様な方法で樹脂ワニス、接着剤組成物、接着剤フィルムを作製し、接着強度を測定した。
(比較例3)
実施例1と同様のモノマー配合と製造方法で、初期に供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を30g(総供給量の50重量%)、重合率60%で供給するメタクリル酸グリシジルの配合量を30g(総供給量の50重量%)にし、アクリル系共重合体を製造した。得られたアクリル系共重合体を用いて、実施例1と同様な方法で樹脂ワニス、接着剤組成物、接着剤フィルムを作製し、接着強度を測定した。
Figure 0005391590
実施例1〜実施例3において製造したアクリル系共重合体を用いた接着フィルムは、85℃/85%RH放置後のピール強度低下が少なかった。従来の方法でメタクリル酸グリシジルを初期に全量供給した比較例1では、初期のピール強度も450N/mと低く、85℃/85%RH放置後のピール強度も150N/mと約70%低下した。また、初期には供給せず、重合開始後にメタクリル酸グリシジルを全量供給した比較例2では、比較例1と同様にピール強度が低下した。重合開始後の重合率60%でメタクリル酸グリシジルを供給した比較例3では、初期のピール強度は925N/mと高かったものの、85℃/85%RH放置後のピール強度は70〜80%低下した。
本発明では、官能基含有メタクリル酸エステルの重合反応を制御し、共重合体構造を均一化させることで、これを用いた接着剤組成物の高温高湿下に放置した後の接着強度の低下を抑制することが可能であった。それと共に、本発明では、初期の接着強度が高い接着剤組成物を得ることができた。
本発明の製造方法により、半導体デバイスの高密度化・薄肉化に対応することのできる高機能化に対応した性能及び長期にわたる信頼性を有するアクリル系接着剤組成物に適したアクリル系共重合体を製造することが可能である。

Claims (3)

  1. 単量体成分全体を100重量%として、アクリル酸アルキルエステル54〜78重量%、アクリロニトリル20〜34重量%、及びカルボキシル基、ヒドロキシル基、酸無水物基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する官能基含有メタクリル酸エステル2〜12重量%を重合する共重合体の製造方法であって、前記アクリル酸アルキルエステル及び前記アクリロニトリルの全量と、前記官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内の30〜70重量%とを混合し、重合率20〜50%まで重合した後、さらに、前記官能基含有メタクリル酸エステルの全量の内の残りの30〜70重量%を混合して重合することを特徴とするアクリル系共重合体の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法によって得られた共重合体を含むアクリル系樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の製造方法によって得られた共重合体、又は、請求項2記載のアクリル系樹脂組成物を含むアクリル系接着剤組成物。
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