JP2019112569A - フェノール類変性キシレン樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
キシレン樹脂がフェノール類により変性したフェノール類変性キシレン樹脂であって、
前記フェノール類が下記式(1)で表されるフェノール類であり、
重量平均分子量が2,000以上10,000以下であり、
軟化点が150℃以上200℃以下である、フェノール類変性キシレン樹脂。
[2]
前記フェノール類変性キシレン樹脂における、フェノール類由来のフェノール類単位(X)に対する、キシレン樹脂由来のキシレン単位(Y)のモル比(Y/X)が0.05≦Y/X<1.3である、[1]のフェノール類変性キシレン樹脂。
[3]
フェノール類変性キシレン樹脂を製造する方法であって、
芳香環当たりの平均置換基数が1.8以上3.0以下であるキシレン樹脂(A)、下記式(1)で表されるフェノール類(B)、及びホルムアルデヒド類(C)を酸性触媒下で縮合反応させる工程を含み、
前記工程において、フェノール類(B)の仕込みモル量に対する、キシレン樹脂(A)及びホルムアルデヒド類(C)の仕込みモル量全体のモル比(((A)+(C))/(B))が、1.0以上2.0以下である、製造方法。
[4]
前記フェノール類(B)がクレゾール類、キシレノール類、p−tert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール及びテルペンフェノールからなる群から選ばれる一種以上である、[3]のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
[5]
前記ホルムアルデヒド類(C)がホルマリン、パラホルムアルデヒド及びトリオキサンからなる群から選ばれる一種以上である、[3]又は[4]のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
[6]
酸性触媒が硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、及びシュウ酸からなる群から選ばれる一種以上である、[3]乃至[5]のいずれかのフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法は、芳香環当たりの平均置換基数が1.8以上3.0以下であるキシレン樹脂(A)(以下、「特定のキシレン樹脂(A)」ともいう。)、下記式(1)で表されるフェノール類(B)、及びホルムアルデヒド類(C)を酸性触媒下で縮合反応させる工程(縮合反応工程)を含み、縮合反応工程において、フェノール類(B)の仕込みモル量に対する、キシレン樹脂(A)及びホルムアルデヒド類(C)の仕込みモル量全体のモル比(((A)+(C))/(B))が、1.0以上2.0以下である。本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法は、上記の構成を備えることにより、重量平均分子量を過度に高めなくても、高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂を製造可能である。このようなフェノール類変性キシレン樹脂は、重量平均分子量が10,000以下であることに起因して、例えば、他の天然及び合成樹脂との十分な相溶性を有しており、また、軟化点が150℃以上であることに起因して、例えば、耐熱性に優れる。なお、本明細書において、「フェノール類変性キシレン樹脂」とは、キシレン樹脂が後述するフェノール類(B)により変性したものをいう。
キシレン樹脂(「キシレンホルムアルデヒド樹脂」ともいう。)は、例えば、キシレンと、ホルマリンとを酸触媒下の還流下により、2〜8時間程度で反応させることにより得られる。キシレンとしては、例えば、オルトキシレン、メタキシレン、及びパラキシレンが挙げられ、通常、メタキシレンが用いられることが多い。これらのキシレンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、フェノール類(B)とは、フェノール性水酸基を有する化合物をいう。フェノール類(B)としては、下記式(1)で表される化合物(以下、置換フェノール類(B)」ともいう。)である。
本実施形態の製造方法では、特定のキシレン樹脂(A)及びフェノール類(B)に加えて、さらにアルデヒド類(C)を所定の割合で反応させる。これにより、重量平均分子量を過度に高めることなく、150℃以上の高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂を得ることができる。この要因は、以下のように考えられるが、この要因により本発明は何ら限定されない。すなわち、アルデヒド類(C)は、フェノール類(B)同士を架橋するように働く。同等の分子量で比較した場合、キシレン樹脂(A)に対するフェノール類(B)の比率が高いほど、フェノール類変性キシレン樹脂の軟化点は、高い傾向にある。しかしながら、キシレン樹脂(A)の仕込み量に対してフェノール類(B)の仕込み量が過剰にあると、遊離フェノール類(フリーフェノール類)が残存し易くなり、これに起因して、軟化点が低下する傾向にある。これに対し、本実施形態では、アルデヒド類(C)を添加することにより、フェノール類(B)を全て樹脂化でき、その結果、重量平均分子量を過度に高めなくても、軟化点を向上できると考えられる。
本発明で使用する酸性触媒としては、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、燐酸)、有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、ギ酸等)、ルイス酸(例えば、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等)、固体酸(例えば、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸等)等が例示できる。これらの酸性触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、反応性の観点から、強酸の無機酸及び/又は強酸の有機酸であることが好ましく、入手容易性等の経済性の観点から、硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸であることがより好ましく、パラトルエンスルホン酸であることがさらに好ましい。
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法により得ることができる。
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の軟化点は、150℃以上200℃以下(例えば、150℃以上190℃以下)である。本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、150℃以上もの高い軟化点を有するため、例えば、耐熱性に優れる。同様の観点から、軟化点は、好ましくは152℃以上(例えば、152℃以上190℃以下)、より好ましくは155℃以上(例えば、155℃以上185℃以下)、さらに好ましくは158℃以上(例えば、158℃以上180℃以下)である。
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおいて、ポリスチレン換算で、2,000以上10,000以下である。重量平均分子量が2,000以上であることにより、軟化点を十分に向上することができ、重量平均分子量が10,000以下であることにより、相溶性を十分に維持することができる。同様の観点から、好ましくは2500以上9500以下、より好ましくは3000以上9300以下、さらに好ましくは3500以上9100以下である。重量平均分子量は、例えば、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の水酸基価(mgKOH/g)は、200mgKOH/g以上350mgKOH/g以下であることが好ましく、205mgKOH/g以上340mgKOH/g以下であることがより好ましく、210mgKOH/g以上330mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。水酸基価が200mgKOH/g以上であることにより、相溶性及び接着特性(例えば、剥離接着強さ)がより一層向上する傾向にある。
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、フェノール類変性キシレン樹脂特有の特性(例えば、相溶性)などを損なわず、高い軟化点を有しているため、例えば、耐熱性が要求される分野(例えば、電気及び電子部品の積層品、成形品、被覆材、封止材、粘接着剤、塗料の改質剤、好ましくは自動車部材、建材等に用いられる粘接着剤等)に好適に用いることができる。
株式会社メイテック製品「環球式自動軟化点試験器ASP−MG2型」を用いて、JIS K−2207に準じて、各実施例1〜4及び比較例1〜4
で得られたp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂の軟化点を測定した。
各実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂の水酸基価(mgKOH/g)をピリジン溶媒中で、過剰量の無水酢酸によりアセチル化した。次に、アセチル化反応に消費されなかった余剰の無水酢酸を水酸化ナトリウム水溶液で滴定することにより、各p−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂の水酸基価(mgKOH/g)求めた。
各実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂の重量平均分子量を、以下の条件にて標準ポリスチレン換算にて算出した。
使用機器:
昭和電工株式会社製品「Shodex GPC system−11(カラム:LF804 3本)」
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量:1.0ml/min
温度計及び攪拌機を備えた500mlセパラブルフラスコに、芳香環当たりの置換基数の平均値が2.0であるキシレン樹脂(キシレンホルムアルデヒド樹脂)(フドー株式会社製品、「ニカノールG」)91.1g(0.65mol)、p−tert−ブチルフェノール(DIC株式会社製品)115.5g(0.77mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学株式会社製品、92%PFA)7.84g(0.24mol)、無水マレイン酸(日本触媒株式会社製品)0.40g、及びパラトルエンスルホン酸(和光純薬株式会社製品の特級試薬)0.064g(0.37mmol)を仕込んで90℃に加熱し、脱水しながら反応させ、最終的に210℃まで到達させた。反応時間は6時間であった。次に、尿素0.128g(東京化成工業株式会社)を添加して反応を停止し、p−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂198gを得た。結果を表に示す。
パラホルムアルデヒド7.84gに代えて、ホルマリン(三菱ガス化学株式会社製品、HCHO40%、MeOH3%)22.5gを用いたこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.011gに代えたこと、さらには尿素の添加量を0.128gから0.023gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂197gを得た。
ニカノールGの仕込み量を91.1gから75.4g(0.54mol)に代えたこと、p−tert−ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから125.5g(0.84mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから12.28g(0.38mol)に代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.38gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂197gを得た。
ニカノールGの仕込み量を91.1gから55.0g(0.39mol)に代えたこと、p−tert−ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから148.5g(0.99mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから22.57g(0.69mol)に代えたこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.068g(0.39mmol)に代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.38gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂195gを得た。
ニカノールGの仕込み量を91.1gから5.50g(0.04mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから23.70g(0.73mol)に代えたこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.043g(0.25mmol)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂127gを得た。
ニカノールGの仕込み量を91.1gから130.0g(0.92mol)に代えたこと、p−tert−ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから111.2g(0.74mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドを用いなかったこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.012gに代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.39gに代えたこと、尿素の添加量を0.128gから0.024gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂223gを得た。
ニカノールGの仕込み量を91.1gから117.1g(0.83mol)に代えたこと、p−tert−ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから100.0g(0.67mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドを用いなかったこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.005gに代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.38gに代えたこと、尿素の添加量を0.128gから0.024gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂190gを得た。
ニカノールG91.1gに代えて、芳香環当たりの置換基数の平均値が1.7であるキシレン樹脂(キシレンホルムアルデヒド樹脂)97.5g(0.65mol)を用いたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから7.32g(0.22mol)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂204gを得た。
ニカノールG91.1gに代えて、芳香環当たりの置換基数の平均値が1.7であるキシレン樹脂(キシレンホルムアルデヒド樹脂)91.1g(0.60mol)を用いたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから8.70g(0.27mol)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてp−tert−ブチルフェノール変性キシレン樹脂199gを得た。
Claims (6)
- 前記フェノール類変性キシレン樹脂における、フェノール類由来のフェノール類単位(X)に対する、キシレン樹脂由来のキシレン単位(Y)のモル比(Y/X)が0.05≦Y/X<1.3である、請求項1記載のフェノール類変性キシレン樹脂。
- 前記フェノール類(B)がクレゾール類、キシレノール類、p−tert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール及びテルペンフェノールからなる群から選ばれる一種以上である、請求項3に記載のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
- 前記ホルムアルデヒド類(C)がホルマリン、パラホルムアルデヒド及びトリオキサンからなる群から選ばれる一種以上である、請求項3又は4に記載のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
- 酸性触媒が硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、及びシュウ酸からなる群から選ばれる一種以上である、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
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