JP2019106951A - チョコレートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チョコレートに添加する成分の添加時期の工夫により、良好なカカオ感を付与することができる、チョコレートの製造方法を提供する。【解決手段】カオマスに含まれる香気成分を単離又は分離して得た化合物を、チョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングする。前記化合物としては、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた1種又は2種以上の化合物からなるものであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、カカオ感を付与したチョコレートの製造方法に関する。
一般に、チョコレートは、カカオマス、ココアバター、砂糖等の原料を混合し、リファイニング(微細化)、コンチング(精錬)、テンパリング(調温)の工程を経て得られるが、テンパリング工程を省略する目的や、焼成用チョコレートなどでは焼成をした後にテンパリングを行うことができないため、その際にブルーム(油脂結晶の粗大化による斑点模様、粗い表面、食感の低下)が生じるのを防ぐ目的で、カカオマスやココアバター等のカカオ由来油脂の配合を減量もしくはゼロにして、いわゆるノーテンパータイプのチョコレートとすることがある。また、ホワイトチョコレートなどでは、カカオマスを用いずにココアバターで調製されている。しかしながら、カカオマスの配合を抑えるとカカオ感の喪失をもたらすという問題があった。
一方、チョコレートの配合に各種カカオ由来原料からの抽出成分や調製成分を添加して、そのチョコレートにフレーバ属性を付与することが行なわれている。
例えば、特許文献1には、カカオ原料から液化炭酸ガスを利用して抽出した水溶性香味成分をチョコレートに配合することで、カカオマスの添加量が少なく、ミルク風味の強い配合でありながら、酸味、渋味を感じることなく、且つカカオ風味が強く感じられるチョコレートが得られると記載されている。
また、例えば、特許文献2には、カカオマスの抽出成分であるチョコレートオイルや、テオブロミン、カフェインなどの天然苦味成分をホワイトチョコレートに配合することで、しつこい甘みが和らげられ、色が付くことなく、焦茶色のチョコレート特有の苦味を呈するホワイトチョコレートが得られると記載されている。
また、例えば、特許文献3には、ココア又はココアを主成分とした製品由来の芳香が付与された液体を製造する方法が記載され、その液体は、チョコレートやチョコレートフレーバー製品の芳香プロファイルを変更し、改善するために使用可能であると記載されている。
特開平10−179078号公報 特開平11−113495号公報 特表2014−522637号公報
しかしながら、特許文献1〜3にみられるように、従来、チョコレートやチョコレートフレーバー製品に所望のフレーバ属性を付与しようとする技術は知られているものの、チョコレートに適用する添加時期等については、検討されていない。
本発明の目的は、チョコレートに添加する成分の添加時期の工夫により、良好なカカオ感を付与することができる、チョコレートの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、カカオマスに含まれる香気成分を単離又は分離して得た化合物をチョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加してコンチングすると、その化合物の添加により、良好なカカオ感を呈するチョコレートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のチョコレートの製造方法は、カカオマスに含まれる香気成分を単離又は分離して得た化合物を、チョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングすることを特徴とする。
本発明のチョコレートの製造方法によれば、チョコレート原料に添加した当該化合物がコンチングにより他の成分と相互作用する等して、チョコレートに良好なカカオ感が付与される。
本発明のチョコレートの製造方法においては、前記化合物は、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた1種又は2種以上の化合物からなるものであることが好ましい。
また、前記化合物は、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた少なくとも10種以上の化合物からなるものであることが好ましい。
また、前記コンチングを、前記化合物を添加してから、0.5〜48時間、30〜120℃で行うことが好ましい。
上記本発明のチョコレートの製造方法は、カカオマスの配合量が30質量%以下であるチョコレートに適用されることが好ましい。これによれば、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても、カカオ感の高いチョコレートが得られる。
上記本発明のチョコレートの製造方法は、ノンテンパータイプのチョコレートの製造に適用されることが好ましい。これによれば、ノンテンパータイプのチョコレートにおいては、カカオマスやココアバター等の使用量が制限されるため、カカオ感が乏しくなる傾向があるが、本発明を適用することにより、カカオ感の高いチョコレートが得られる。
本発明のチョコレートの製造方法によれば、チョコレート原料に添加した当該化合物がコンチングにより他の成分と相互作用する等して、チョコレートに良好なカカオ感が付与される。
本発明が適用されるチョコレートは、規約や法規上の規定によって限定されるものではなく、特にその種類等に制限はない。例えば、純チョコレート、チョコレート、準チョコレート、純ミルクチョコレート、ミルクチョコレート、準ミルクチョコレートなどであってもよく、カカオマスやココアパウダーを含まないホワイトチョコレートなどであってもよい。原料としては、カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、ココアバター代用脂、ココアバター代替脂、ココアバター類似脂、その他の植物性油脂、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、砂糖、乳糖、マルトース、トレハロースなどの糖類、レシチンなどの乳化剤、香料などが用いられる。
本発明は、好ましくは、カカオマスを含まないかその配合を減量して成るチョコレートに適用される。具体的には、カカオマスの含有量が0〜30質量%であるチョコレートが好ましく、カカオマスの含有量が0〜25質量%であるチョコレートがより好ましい。本発明によれば、このようなチョコレートであっても効果的にカカオ感を付与することができる。
本発明は、好ましくは、ノンテンパータイプのチョコレートに適用される。ノンテンパータイプのチョコレートとは、テンパリングを経なくてもブルーム(油脂結晶の粗大化による斑点模様、粗い表面、食感の低下)が生じないチョコレートである。一般に、カカオマスやココアバター等のカカオ由来油脂の配合を減量もしくはゼロにして、代わりにいわゆるノンテンパー型油脂が配合されている。本発明によれば、このようなチョコレートにカカオ感を付与することができる。ここで「ノンテンパー型油脂」とは、チョコレートを構成する、カカオ豆に由来しない油脂であって、チョコレートにブルームが発生するのを防ぐためのテンパリング処理を不要とする、該油脂のことである。ブルームが発生するのを防ぐ油脂であるか否かは、それをココアバターで置き換えたときとの比較により、容易に判別できる。具体的には、パーム油等の分画軟質部や大豆油等の液状油をトランス異性化硬化して得られるトランス酸型油脂、ヤシ油、パーム核油、ババス油のようなラウリン酸基を多く含むグリセリドからなる油脂及びその分画油より得られるラウリン酸型油脂、1,2−ジ飽和脂肪酸−3−モノ不飽和脂肪酸グリセリド(SSU)といった非対称型グリセリドや、それを2−不飽和脂肪酸−1,3−ジ飽和脂肪酸のトリグリセリドといったSUS型のグリセリドと共存させた油脂などである。
本発明がノンテンパータイプのチョコレートに適用される場合、上記ノンテンパー型油脂の含有量は、用いるノンテンパー型油脂の種類にもよるが、典型的にはチョコレート中に5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
本発明のチョコレートの製造方法においては、第1には、カカオマスに含まれる香気成分を単離又は分離して得た化合物を用いることが必要であり、第2には、それをチョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングすることが必要である。
本発明において、「カカオマスに含まれる香気成分」とは、カカオマスを60℃にしたときに気体として検出できる成分を意味し、具体的には、例えば、下記表に示すように、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、複素芳香環化合物等が挙げられる(Industrial Chocolate Manufacture and Use Fourth Edition, pp. 183, Table 8.2など参照)。
Figure 2019106951
Figure 2019106951
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Figure 2019106951
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本発明においては、上記香気成分を単離又は分離して得た化合物をチョコレートの製造に用いる。ここで、「単離又は分離して得た化合物」とは、適切な原料から抽出して精製すること等により、化合物の純度が高められていることを意味する(以下、単に「香気化合物」という場合がある。)。その純度は1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが更により好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、80質量%以上であることが更に特に好ましく、90質量%以上であることが最も好ましく、95質量%以上であることが更に最も好ましい。更に、本発明に用いる上記香気化合物は、当業者に周知の有機合成の方法により得られたものであってもよい。あるいは、市販のものを入手して用いてもよい。
以下には、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス、又は未脱臭ココアバター等の原料からカカオマスに含まれる香気成分を単離又は分離する方法について、更に具体的に説明する。ただし、本発明に利用可能な香気成分の範囲は、これらの調製方法により何ら制限を受けるものではない。
原料がカカオ豆やカカオニブの場合には、好ましくは発酵及び/又は乾燥の後、全体の80質量%が10メッシュの篩をパスする程度に粉砕して、水、アルコール、含水アルコール等の極性溶媒や、場合によってはヘキサン、石油エーテル等の非極性溶媒などを溶媒にして溶媒抽出したり、二酸化炭素による超臨界抽出法により抽出したり、水蒸気蒸留、常圧蒸留、減圧蒸留、加圧蒸留、炭酸ガス蒸留、分子蒸留、共沸蒸留等の各種の蒸留法により抽出したりすることなどにより、目的の香気成分を得ることができる。これら抽出法は、複数の方法を組み合わせてもよい。また、得られた抽出物は、更に、蒸留濃縮法、RO膜濃縮法、凍結濃縮法などによる濃縮の処理や、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、合成吸着剤、イオン交換樹脂、多孔質ガラス等の吸着剤に吸着させてその後適当な溶媒で脱着させる、吸着・脱着の処理や、カラムクロマト法などによる精製の処理を施して、目的の香気成分を得てもよい。
一方、原料がカカオマスや未脱臭ココアバターの場合には、上記カカオ豆やカカオニブと同様にして目的の香気成分を得てもよいが、好ましくは、通常のココアバターの脱臭処理の条件に準じ20〜260℃で、圧力1.0×10〜1.0×10Pa下、15〜90分の水蒸気蒸留、より好ましくは160〜240℃で、圧力1.0×10〜1.0×10Pa下、30〜60分の水蒸気蒸留によって揮発性成分を生じさせ、これを集めて冷却槽に導入する等して回収することによって、目的の香気成分を得ることができる。この工程は、未脱臭ココアバターの脱臭工程に組み込まれていてもよい。すなわち、カカオマスや未脱臭ココアバターから脱臭ココアバターを製造することができるとともに、そのときに生じる揮発性成分を集めて冷却層に導入する等して回収することによって、目的の香気成分を得ることができる。あるいは、水、アルコール、含水アルコール等の極性溶媒、より具体的には、含水量5〜95質量%、より好ましくは含水量10〜50質量%の含水エタノールを、カカオマスや未脱臭ココアバターの1質量部に対して、0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜3質量部加えて、0〜100℃で0.5〜24時間撹拌することで、その溶媒中に目的の香気成分を抽出してもよい。得られた水蒸気蒸留物や溶媒抽出物は、濃縮したり溶媒を溜去したりしてもよい。なお、上記カカオ豆やカカオニブについても、その粉砕物や更に磨り潰してペースト状にしたものを、上記のような条件の処理により揮発性成分を回収して、目的の香気成分を得ることができる。
本発明に用いる上記香気化合物は、後述の実施例に示されるように、1種類の化合物からなるものでよく、2種以上の化合物からなるものでもよい。すなわち、例えば、10種類以上の化合物の組み合わせからなるものであってもよく、20種類以上の化合物の組み合わせからなるものであってもよく、30種類以上の化合物の組み合わせからなるものであってもよい。ただし、100種類を超えると、作業が煩雑となる場合があるので、好ましいとは言えない。
上記香気化合物のチョコレート中の含有量は、カカオ感の付与とその他の風味等のバランスにより、適宜定めればよい。チョコレート原料の種類等によっても異なり、一概にはできないが、典型的には、例えば、得られるチョコレート中に、(複数種類の香気化合物を用いる場合はその合計量換算で)0.000001〜1質量%含有することが好ましく、0.00001〜0.1質量%含有することがより好ましく、0.0001〜0.01質量%含有することが更に好ましい。
上記香気化合物をチョコレート原料に添加するタイミングはチョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中であることが必要である。すなわち、チョコレート原料に添加して、一定時間コンチング(精錬)の処理に付されることが必要である。これにより、雑味のないカカオ感が醸成される。コンチングは、上記香気化合物を添加してから、0.5〜48時間、30〜120℃で行うことが好ましく、0.5〜24時間、40〜80℃で行うことがより好ましい。
コンチングの後には、必要に応じて残りの原料を添加して混合したり、テンパリングの処理を施したり、含気したり、型に入れて成形したり、成形後に焼成したりしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
表6に示す配合でチョコレートを製造した。具体的には、表6に示す比較例又は実施例ごとの配合で原料Aを混合し、常法によりリファイニング(微細化)、コンチング(精錬)を行った。コンチングは、65℃で1.5時間行った。次いで、表6に示す比較例又は実施例ごとの配合で原料Bを加えて混合し、常法によりテンパリング(調温)後、型に入れて成形してチョコレートを得た。
Figure 2019106951

香気化合物としては、以下に示すものを用いた。
(香気化合物1)
表7に示す11種類の化合物のそれぞれをおよそ同程度の量で組み合わせた。
(香気化合物2)
表7に示す12種類の化合物のそれぞれをおよそ同程度の量で組み合わせた。
(香気化合物3)
表7に示す19種類の化合物のそれぞれをおよそ同程度の量で組み合わせた。
(香気化合物4)
表7に示す24種類の化合物のそれぞれをおよそ同程度の量で組み合わせた。
(香気化合物5)
表7に示す31種類の化合物のそれぞれをおよそ同程度の量で組み合わせた。
Figure 2019106951
得られたチョコレートについて、専門パネラー10人によって以下の評価基準により官能評価を行った。
(カカオ感の強さ)
×:弱い
○:強い
◎:特にバランスよく強い
(カカオ感の広がり)
×:ない
○:有る
◎:特にバランスよく有している
(カカオ感のまとまり)
×:ない
○:有る
◎:特にバランスよく有している
パネラー全員の共通の評価として、下記表8に示す評価結果を得た。
Figure 2019106951
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)比較例1と比較例2の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた11種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を強める効果が得られた。ただし、カカオ感の広がりやまとまりの面で、良好なカカオ感が付与されたとは言い難い結果であった。
(2)比較例1と比較例3の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、カルボニル類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた12種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を強める効果が得られた。ただし、カカオ感の広がりやまとまりの面で、良好なカカオ感が付与されたとは言い難い結果であった。
(3)比較例1と比較例4の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた19種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を強める効果が得られた。ただし、カカオ感の広がりやまとまりの面で、良好なカカオ感が付与されたとは言い難い結果であった。
(4)比較例1と比較例5の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、カルボニル類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた24種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を強める効果が得られた。ただし、上記(1)同様、カカオ感の広がりやまとまりの面で、良好なカカオ感が付与されたとは言い難い結果であった。
(5)比較例1と比較例6の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた31種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を強める効果が得られた。ただし、カカオ感のまとまりの面で、良好なカカオ感が付与されたとは言い難い結果であった。
(6)比較例1及び比較例2と実施例1の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた11種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を増強する効果が得られ、更に、その化合物の組み合わせをコンチング工程の後に添加した比較例2に比べ、その化合物の組み合わせをコンチング工程の前に添加した実施例1では、カカオ感の広がりやまとまりの面でも、良好なカカオ感が付与された。
(7)比較例1及び比較例3と実施例2の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、カルボニル類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた12種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を増強する効果が得られ、更に、その化合物の組み合わせをコンチング工程の後に添加した比較例3に比べ、その化合物の組み合わせをコンチング工程の前に添加した実施例2では、カカオ感の広がりやまとまりの面でも、良好なカカオ感が付与された。
(8)比較例1及び比較例4と実施例3の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた19種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を増強する効果が得られ、更に、その化合物の組み合わせをコンチング工程の後に添加した比較例4に比べ、その化合物の組み合わせをコンチング工程の前に添加した実施例3では、カカオ感の広がりやまとまりの面でも、良好なカカオ感が付与された。
(9)比較例1及び比較例5と実施例4の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、カルボニル類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた24種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を増強する効果が得られ、更に、その化合物の組み合わせをコンチング工程の後に添加した比較例5に比べ、その化合物の組み合わせをコンチング工程の前に添加した実施例4では、カカオ感の広がりやまとまりの面でも、更に良好なカカオ感が付与された。
(10)比較例1及び比較例6と実施例5の比較から、カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた31種類の化合物を組み合わせてチョコレートに添加することで、カカオ感を増強する効果が得られ、更に、その化合物の組み合わせをコンチング工程の後に添加した比較例6に比べ、その化合物の組み合わせをコンチング工程の前に添加した実施例5では、カカオ感の広がりやまとまりの面でも、更に良好なカカオ感が付与された。
以上から、カカオマスに含まれる香気成分のうちの10種類程度以上の化合物の組み合わせをチョコレートのコンチング工程時に添加してチョコレートに配合することにより、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても十分なカカオ感を付与でき、そのカカオ感の葉が広さやまとまりの面でも良好なカカオ感を付与できることが明らかとなった。
<試験例2>
表9に示す比較例ごと、又は表10に示す実施例ごとの配合で、試験例1と同様にして、チョコレートを製造した。
Figure 2019106951
Figure 2019106951
香気化合物としては、以下に示すものを用いた。
(香気化合物6)
アルコール類化合物に属するβ−フェニルエチルアルコール(上述の表1、表7中ではNo.16)。
(香気化合物7)
アルコール類化合物に属するイソアミルアルコール(上述の表1、表7中ではNo.18)。
(香気化合物8)
硫黄化合物に属するジメチルジスルフィド(上述の表2、表7中ではNo.26)。
(香気化合物9)
硫黄化合物に属するジメチルトリスルフィド(上述の表2中ではNo.27)。
(香気化合物10)
カルボニル類化合物に属するデカン酸エチル(上述の表3、表7中ではNo.107)。
(香気化合物11)
カルボニル類化合物に属するベンズアルデヒド(上述の表3、表7中ではNo.130)。
(香気化合物12)
テルペン類化合物に属するβ−ミルセン(上述の表4、表7中ではNo.138)。
(香気化合物13)
テルペン類化合物に属するリモネン(上述の表4、表7中ではNo.141)。
(香気化合物14)
複素芳香環化合物に属する2,3,5,6−テトラメチルピラジン(上述の表5、表7中ではNo.142)。
(香気化合物15)
複素芳香環化合物に属する2,3,5−トリメチルピラジン(上述の表5、表7中ではNo.144)。
得られたチョコレートについて、試験例1と同様にして、専門パネラー10人によって官能評価を行い、パネラー全員の共通の評価として、下記表10に示す評価結果を得た。
Figure 2019106951
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物に属するβ−フェニルエチルアルコールをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例6では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例7では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(2)カカオマスに含まれる香気成分のうち、アルコール類化合物に属するイソアミルアルコールをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例7では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例8では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(3)カカオマスに含まれる香気成分のうち、硫黄化合物に属するジメチルジスルフィドをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例8では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例9では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(4)カカオマスに含まれる香気成分のうち、硫黄化合物に属するジメチルトリスルフィドをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例9では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例10では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(5)カカオマスに含まれる香気成分のうち、カルボニル類化合物に属するデカン酸エチルをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例10では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例11では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(6)カカオマスに含まれる香気成分のうち、カルボニル類化合物に属するベンズアルデヒドをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例11では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例12では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(7)カカオマスに含まれる香気成分のうち、テルペン類化合物に属するβ−ミルセンをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例12では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例13では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(8)カカオマスに含まれる香気成分のうち、テルペン類化合物に属するリモネンをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例13では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例14では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(9)カカオマスに含まれる香気成分のうち、複素芳香環化合物に属する2,3,5,6−テトラメチルピラジンをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例14では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例15では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
(10)カカオマスに含まれる香気成分のうち、複素芳香環化合物に属する2,3,5−トリメチルピラジンをコンチング工程の前に添加してチョコレートを製造した実施例15では、良好なカカオ感を付与する効果が得られた。これに対して、その化合物をコンチング工程の後に添加した比較例16では、不自然でまとまりのない香りの付与しか得られなかった。
以上から、カカオマスに含まれる香気成分のうちのアルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、又は複素芳香環化合物に属する化合物をチョコレートのコンチング工程時に添加してチョコレートに配合することにより、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても十分なカカオ感を付与できすことが明らかとなった。

Claims (6)

  1. カカオマスに含まれる香気成分を単離又は分離して得た化合物を、チョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングすることを特徴とするチョコレートの製造方法。
  2. 前記化合物は、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた1種又は2種以上の化合物からなるものである請求項1記載のチョコレートの製造方法。
  3. 前記化合物は、アルコール類化合物、硫黄化合物、カルボニル類化合物、テルペン類化合物、及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれた少なくとも10種以上の化合物からなるものである請求項1記載のチョコレートの製造方法。
  4. 前記コンチングを、前記化合物を添加してから、0.5〜48時間、30〜120℃で行う請求項1〜3のいずれか1つに記載のチョコレートの製造方法。
  5. カカオマスの配合量が30質量%以下であるチョコレートの製造に適用される請求項1〜4のいずれか1つに記載のチョコレートの製造方法。
  6. ノンテンパータイプのチョコレートの製造に適用される請求項1〜5のいずれか1つに記載のチョコレートの製造方法。
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