JP6259047B1 - チョコレートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カカオ風味を増強させることができるチョコレートの製造方法を提供する。【解決手段】(A)未脱臭ココアバター及び/又は(B)カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された臭い成分を、チョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングする。臭い成分としては、未脱臭ココアバターの脱臭工程で除去される臭い成分を回収したものからなることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、カカオ風味を増強させたチョコレートの製造方法に関する。
一般に、チョコレートは、カカオマス、ココアバター、砂糖等の原料を混合し、リファイニング(微細化)、コンチング(精錬)、テンパリング(調温)の工程を経て得られるが、テンパリング工程を省略する目的や、焼成用チョコレートなどでは焼成をした後にテンパリングを行うことができないため、その際にブルーム(油脂結晶の粗大化による斑点模様、粗い表面、食感の低下)が生じるのを防ぐ目的で、カカオマスやココアバター等のカカオ由来油脂の配合を減量もしくはゼロにして、いわゆるノーテンパータイプのチョコレートとすることがある。また、ホワイトチョコレートなどでは、カカオマスを用いずにココアバターで調製されている。しかしながら、カカオマスの配合を抑えるとカカオ感の喪失をもたらすという問題があった。
一方、チョコレートの配合に各種カカオ由来原料からの抽出成分や調製成分を添加して、そのチョコレートにフレーバ属性を付与することが行なわれている。
例えば、特許文献1には、カカオ原料から液化炭酸ガスを利用して抽出した水溶性香味成分をチョコレートに配合することで、カカオマスの添加量が少なく、ミルク風味の強い配合でありながら、酸味、渋味を感じることなく、且つカカオ風味が強く感じられるチョコレートを製造することが記載されている。
また、例えば、特許文献2には、カカオマスの抽出成分であるチョコレートオイルや、テオブロミン、カフェインなどの天然苦味成分をホワイトチョコレートに配合することで、しつこい甘みが和らげられ、色が付くことなく、焦茶色のチョコレート特有の苦味を呈するホワイトチョコレートを製造することが記載されている。
また、例えば、特許文献3には、ココア又はココアを主成分とした製品由来の芳香が付与された液体を製造する方法が記載され、その液体は、チョコレートやチョコレートフレーバー製品の芳香プロファイルを変更し、改善するために使用可能であることが記載されている。
特開平10−179078号公報 特開平11−113495号公報 特表2014−522637号公報
しかしながら、上記特許文献1は、水溶性香味成分を取得するようにしており、油溶性の香味成分が含まれないので、カカオ風味の向上効果が充分でないと考えられる。
また、上記特許文献2には、カカオマスの抽出成分であるチョコレートオイルや、テオブロミン、カフェインなどの天然苦味成分をホワイトチョコレートに配合することが記載されているが、風味成分を添加することについては記載されていない。
更に、上記特許文献3には、ココア又はココアを主成分とした製品由来の芳香が付与された液体を製造する方法が記載されているが、芳香が付与された液体をチョコレートに適用する場合の添加時期等について検討はなされていない。
また、カカオマスやココアバター等に含まれる風味成分の中には、そのままでは雑味が生じて、好ましい風味を付与し得ないものが存在し、このため、ココアバターは、一般に脱臭処理を行って使用されているのが現状である。
したがって、本発明の目的は、カカオ風味を増強させることができるチョコレートの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、未脱臭ココアバターをチョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加すると、未脱臭ココアバターに含まれる臭い成分がコンチング工程中に好ましい香り成分に変化して、カカオ感が強いチョコレートが得られることを見出した。そして、チョコレート成分に含まれる、そのままでは好ましい香りとならない臭い成分も、チョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加することにより、コンチング工程中に好ましい香り成分に変化するという事実に着眼し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のチョコレートの製造方法は、(A)未脱臭ココアバター及び/又は(B)カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された臭い成分を、チョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングすることを特徴とする。
本発明のチョコレートの製造方法によれば、未脱臭ココアバターに含まれる臭い成分、又は、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された臭い成分が、コンチング工程中に好ましい香り成分に変化して、カカオ感が強いチョコレートが得られる。
本発明のチョコレートの製造方法においては、前記臭い成分が、未脱臭ココアバターの脱臭工程で除去される臭い成分を回収したものからなることが好ましい。これによれば、未脱臭ココアバターの脱臭工程で除去される臭い成分は、これまで捨てられていたものであるが、この臭い成分を有効に利用して、カカオ風味を充分に感じる、カカオ感の高いチョコレートが得られる。
また、前記コンチングを、前記未脱臭ココアバター及び/又は前記臭い成分を添加してから、0.5〜48時間、30〜120℃で行うことが好ましい。これによれば、未脱臭ココアバターに含まれる臭い成分、又は、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された臭い成分が、コンチング工程中に十分に醸成して、好ましい香り成分に変化し、カカオ感の高いチョコレートが得られる。
上記本発明のチョコレートの製造方法は、カカオマスの配合量が30質量%以下であるチョコレートに適用されることが好ましい。これによれば、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても、カカオ感の高いチョコレートが得られる。
上記本発明のチョコレートの製造方法は、ノンテンパータイプのチョコレートの製造に適用されることが好ましい。これによれば、ノンテンパータイプのチョコレートにおいては、カカオマスやココアバター等の使用量が制限されるため、カカオ感が乏しくなる傾向があるが、本発明を適用することにより、カカオ感の高いチョコレートが得られる。
本発明のチョコレートの製造方法によれば、未脱臭ココアバターに含まれる臭い成分、又は、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された臭い成分が、コンチング工程中に好ましい香り成分に変化して、カカオ感の高いチョコレートが得られる。
本発明が適用されるチョコレートは、規約や法規上の規定によって限定されるものではなく、特にその種類等に制限はない。例えば、純チョコレート、チョコレート、準チョコレート、純ミルクチョコレート、ミルクチョコレート、準ミルクチョコレートなどであってもよく、カカオマスやココアパウダーを含まないホワイトチョコレートなどであってもよい。原料としては、カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、ココアバター代用脂、ココアバター代替脂、ココアバター類似脂、その他の植物性油脂、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、砂糖、乳糖、マルトース、トレハロースなどの糖類、レシチンなどの乳化剤、香料などが用いられる。
本発明は、好ましくは、カカオマスを含まないかその配合を減量して成るチョコレートに適用される。具体的には、カカオマスの含有量が0〜30質量%であるチョコレートが好ましく、カカオマスの含有量が0〜25質量%であるチョコレートがより好ましい。本発明によれば、このようなチョコレートであっても効果的にカカオ感を付与することができる。
本発明は、好ましくは、ノンテンパータイプのチョコレートに適用される。ノンテンパータイプのチョコレートとは、テンパリングを経なくてもブルーム(油脂結晶の粗大化による斑点模様、粗い表面、食感の低下)が生じないチョコレートである。一般に、カカオマスやココアバター等のカカオ由来油脂の配合を減量もしくはゼロにして、代わりにいわゆるノンテンパー型油脂が配合されている。本発明によれば、このようなチョコレートにカカオ感を付与することができる。ここで「ノンテンパー型油脂」とは、チョコレートを構成する、カカオ豆に由来しない油脂であって、チョコレートにブルームが発生するのを防ぐためのテンパリング処理を不要とする、該油脂のことである。ブルームが発生するのを防ぐ油脂であるか否かは、それをココアバターで置き換えたときとの比較により、容易に判別できる。具体的には、パーム油等の分画軟質部や大豆油等の液状油をトランス異性化硬化して得られるトランス酸型油脂、ヤシ油、パーム核油、ババス油のようなラウリン酸基を多く含むグリセリドからなる油脂及びその分画油より得られるラウリン酸型油脂、1,2−ジ飽和脂肪酸−3−モノ不飽和脂肪酸グリセリド(SSU)といった非対称型グリセリドや、それを2−不飽和脂肪酸−1,3−ジ飽和脂肪酸のトリグリセリドといったSUS型のグリセリドと共存させた油脂などである。
本発明がノンテンパータイプのチョコレートに適用される場合、上記ノンテンパー型油脂の含有量は、用いるノンテンパー型油脂の種類にもよるが、典型的にはチョコレート中に5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
本発明のチョコレートの製造方法においては、第1には、(A)未脱臭ココアバター及び/又は(B)カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された臭い成分を用いることが必要であり、第2には、それをチョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングすることが必要である。
未脱臭ココアバターは、例えば、発酵、乾燥させたカカオ豆を焙炒し、焙煎後のカカオ豆から皮と胚芽を除いて胚乳部分を得、これを磨り潰してカカオマスを得、このカカオマスから搾油することにより得ることができる。あるいは、カカオ豆から皮と胚芽を除いて胚乳部分を取り出して、これを焙煎して、後は同様にしてもよい。また、市販のカカオマスを材料にして、これから搾油することにより得ることができる。更に、市販のものを用いてもよい。未脱臭ココアバターは、脱臭を目的とした処理の施されていないココアバターを用いればよく、これらのものに限られない。なお、「脱臭を目的とした処理の施されていない」とは、通常160〜260℃で、圧力1.0×102〜1.0×103Pa下、15〜90分の処理によって施される水蒸気蒸留による脱臭の処理や、それに相当する処理が施されていないことを意味する。好ましくは、搾油後に加熱の処理が一切加えられていないものを用いる。
未脱臭ココアバターのチョコレート中の含有量は、1〜35質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。なお、コンチング工程ではある程度原料生地の硬さを確保する必要があり、油脂の配合量が多いと、原料生地が柔らかくなりすぎる場合がある。そのような場合には、チョコレートに配合する油脂全量のうちの一部をコンチング工程の後に分けてチョコレート原料に添加してもよい。そして、コンチング後に添加する油脂としては、風味の観点から、脱臭ココアバターなどの脱臭植物油脂を添加するのが好ましい。
カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された臭い成分(以下、単に「臭い成分」という場合がある。)は、例えば、以下のようにして得ることができる。
カカオ豆やカカオニブの場合には、好ましくは発酵及び/又は乾燥の後、全体の80質量%が10メッシュの篩をパスする程度に粉砕して、水、アルコール、含水アルコール等の極性溶媒や、場合によってはヘキサン、石油エーテル等の非極性溶媒などを溶媒にして溶媒抽出したり、二酸化炭素による超臨界抽出法により抽出したり、水蒸気蒸留、常圧蒸留、減圧蒸留、加圧蒸留、炭酸ガス蒸留、分子蒸留、共沸蒸留等の各種の蒸留法により抽出したりすることなどにより、目的の臭い成分を得ることができる。これら抽出法は、複数の方法を組み合わせてもよい。また、得られた抽出物は、更に、蒸留濃縮法、RO膜濃縮法、凍結濃縮法などによる濃縮の処理や、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、合成吸着剤、イオン交換樹脂、多孔質ガラス等の吸着剤に吸着させてその後適当な溶媒で脱着させる、吸着・脱着の処理や、カラムクロマト法などによる精製の処理を施して、目的の臭い成分を得てもよい。
一方、カカオマスや未脱臭ココアバターの場合には、上記カカオ豆やカカオニブと同様にして目的の臭い成分を得てもよいが、好ましくは、通常のココアバターの脱臭処理の条件に準じ20〜260℃で、圧力1.0×102〜1.0×104Pa下、15〜90分の水蒸気蒸留、より好ましくは160〜240℃で、圧力1.0×102〜1.0×103Pa下、30〜60分の水蒸気蒸留によって揮発性成分を生じさせ、これを集めて冷却槽に導入する等して回収することによって、目的の臭い成分を得ることができる。この工程は、未脱臭ココアバターの脱臭工程に組み込まれていてもよい。すなわち、未脱臭ココアバターから脱臭ココアバターを製造することができるとともに、そのときに生じる揮発性成分を集めて冷却層に導入する等して回収することによって、目的の臭い成分を得ることができる。あるいは、水、アルコール、含水アルコール等の極性溶媒、より具体的には、含水量5〜95質量%、より好ましくは含水量10〜50質量%の含水エタノールを、カカオマスや未脱臭ココアバターの1質量部に対して、0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜3質量部加えて、0〜100℃で0.5〜24時間撹拌することで、その溶媒中に目的の臭い成分を抽出してもよい。得られた水蒸気蒸留物や溶媒抽出物は、濃縮したり溶媒を溜去したりしてもよい。なお、上記カカオ豆やカカオニブについても、その粉砕物や更に磨り潰してペースト状にしたものを、上記のような条件の処理により揮発性成分を回収して、目的の臭い成分を得ることができる。
更に、臭い成分としては、後述の実施例の試験例2において、未脱臭ココアバターに含まれていて脱臭ココアバターではその量が減じている成分として同定された116種の物質、あるいは、後述の実施例の試験例3において未脱臭ココアバターからの香気成分回収物に含まれる成分として同定された53種の物質のうち、その1種もしくは2種以上の組み合わせを用いることもできる。
上記臭い成分のチョコレート中の含有量は、その臭い成分の調製条件によっても異なり、一概にはできない。カカオ感の付与とその他の風味等のバランスにより、適宜定めればよい。
上記未脱臭ココアバターや臭い成分をチョコレート原料に添加するタイミングはチョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中であることが必要である。すなわち、チョコレート原料に添加して、一定時間コンチング(精錬)の処理に付されることが必要である。これにより、雑味のないカカオ感が醸成される。コンチングは、前記未脱臭ココアバター及び/又は前記臭い成分を添加してから、0.5〜48時間、30〜120℃で行うことが好ましく、0.5〜24時間、40〜80℃で行うことがより好ましい。
コンチングの後には、必要に応じて残りの原料を添加して混合したり、テンパリングの処理を施したり、含気したり、型に入れて成形したり、成形後に焼成したりしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
表1に示す配合でチョコレートを製造した。具体的には、表1に示す例毎の配合で原料Aを混合し、常法によりリファイニング(微細化)、コンチング(精錬)を行った。コンチングは、65℃で1.5時間行った。次いで、表1に示す例毎の配合で原料Bを加えて混合し、常法によりテンパリング(調温)後、型に入れて成形してチョコレートを得た。
Figure 0006259047
なお、未脱臭ココアバターや脱臭ココアバターは、ともに森永製菓株式会社製を使用した。また、植物油脂を配合する場合には、カカオ豆由来ではないパーム、シア由来のものを用いた。また、未脱臭ココアバターからの香気回収品を以下のように調製して用いた。
(香気回収品)
未脱臭ココアバター(森永製菓株式会社製)の300gに70質量%含水エタノール33gを加えて50℃で1時間撹拌し、静置後、含水エタノール層及び乳化層を抽出液として回収した。回収した抽出液を4℃に冷却し、析出した固形物を濾別により除去し、香気回収品11g(液状)を得た。
得られたチョコレートについて、専門パネラー10人によって官能評価を行ったところ、パネラー全員の共通の評価として、以下の評価結果であった。
(評価結果)
実施例1: 参考例1と同様に強いカカオ感を有し、大変好ましい
比較例1: 実施例1に比べてカカオ感が弱い
比較例2: 比較例1に比べて、よりカカオ感が弱い
比較例3: 雑味が多く、好ましくない
参考例1: 強いカカオ感を有し、大変好ましい
実施例2: 比較例4に比べて、よりカカオ感が強く、大変好ましい
比較例4: 実施例2に比べてカカオ感が弱い
実施例1と参考例1との比較から、カカオマスの配合をココアパウダーと未脱臭ココアバターで置き換えることで、カカオマスを配合したチョコレートと同様に強いカカオ感を有するチョコレートが得られることが明らかとなった。
実施例1と比較例1との比較から、未脱臭ココアバターにかえて脱臭ココアバターを用いると、未脱臭ココアバターを用いた場合に比べ、カカオ感が弱くなってしまうことが明らかとなった。
実施例1と比較例1と比較例2との比較から、未脱臭ココアバターにかえて植物油脂を用いると、未脱臭ココアバターを用いた場合に比べ、カカオ感が弱くなり、脱臭ココアバターを用いた場合に比べても、カカオ感が更に弱くなってしまうことが明らかとなった。
実施例1と比較例1と比較例3との比較から、未脱臭ココアバターをコンチング後に添加すると、雑味が増してしまうことが明らかとなった。
実施例2と参考例1との比較から、カカオマスの配合をココアパウダーと未脱臭ココアバターからの香気回収品で置き換えることで、カカオマスを配合したチョコレートと同様のカカオ感を有するチョコレートが得られることが明らかとなった。
実施例2と比較例4との比較から、未脱臭ココアバターからの香気回収品をコンチング後に添加すると、コンチング前に添加する場合に比べて、カカオ感を付与する効果が弱くなってしまうことが明らかとなった。
以上の結果から、未脱臭ココアバターをチョコレートのコンチング工程時に添加してチョコレートに配合することにより、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても十分なカカオ感を付与できることが明らかとなった。また、そのような未脱臭ココアバターの作用効果は、未脱臭ココアバターからの香気回収品によっても奏されることが明らかとなった。
<試験例2>
試験例1の結果から、未脱臭ココアバター中に存在していて脱臭ココアバターでその量が減じている何らかの成分(臭い成分)に、カカオ感を付与する作用効果があり、これをチョコレートのコンチング工程時に添加してチョコレートに配合することにより、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても十分なカカオ感を付与できると考えられた。
そこでココアバターの脱臭工程で失われる成分を同定し、カカオ感を付与する作用効果のある物質の同定を試みた。
試験は、上記試験例1で用いられた未脱臭ココアバターと脱臭ココアバターについて、それぞれの成分分析をガスクロマトグラフィー質量分析法により行い、両者の成分分析の結果を比較して、未脱臭ココアバター中に存在する成分であって、脱臭ココアバターでその量が所定の割合以下に減じているものを同定した。その結果、下記表2に示す116種の物質が同定された。
Figure 0006259047
Figure 0006259047
Figure 0006259047
以上の結果から、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから、これらの成分(臭い成分)を抽出又は回収して、これをチョコレートのコンチング工程時に添加してチョコレートに配合することにより、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても十分なカカオ感を付与できると考えられた。
<試験例3>
試験例1の結果から、未脱臭ココアバターからの香気回収品中に存在している何らかの成分(臭い成分)に、カカオ感を付与する作用効果があり、これをチョコレートのコンチング工程時に添加してチョコレートに配合することにより、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても十分なカカオ感を付与できると考えられた。
そこで、試験例2で同定されたココアバターの脱臭工程で失われる成分のうち、未脱臭ココアバターからの香気回収品中に存在している成分を同定し、カカオ感を付与する作用効果のある物質の同定を試みた。具体的には、上記試験例1で用いられた未脱臭ココアバターからの香気回収品について、ガスクロマトグラフィー質量分析法によりその成分分析を行った。その結果、下記表3に示す53種の物質が同定された。
Figure 0006259047
以上の結果から、カカオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから、これらの成分(臭い成分)を抽出又は回収して、これをチョコレートのコンチング工程時に添加してチョコレートに配合することにより、カカオマスの配合を減量もしくはゼロにしたチョコレートであっても十分なカカオ感を付与できると考えられた。

Claims (4)

  1. カオ豆、カカオニブ、カカオマス又は未脱臭ココアバターから抽出又は回収された組成物であって、溶媒抽出により抽出された組成物であるか、又は、蒸留により回収された組成物である該組成物を、チョコレート製造工程のコンチング工程の前又は途中にチョコレート原料に添加して、コンチングすることを特徴とするチョコレートの製造方法。
  2. 前記コンチングを、前記抽出又は回収された組成物を添加してから、0.5〜48時間、30〜120℃で行う請求項1記載のチョコレートの製造方法。
  3. カカオマスの配合量が30質量%以下であるチョコレートの製造に適用される請求項1又は2記載のチョコレートの製造方法。
  4. ノンテンパータイプのチョコレートの製造に適用される請求項1〜のいずれか1つに記載のチョコレートの製造方法。

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