以下、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、本発明に係るコンバインは、機体1と、複数条(本実施形態においては八条)の植立穀稈を刈り取る刈取部2とを備えている。刈取部2は、機体1の前部において、機体1の支持台90(図4参照)に、横軸心P1まわりに揺動自在に連結され、機体1に備えられた昇降機構としてのリフトシリンダ3の伸縮によって圃場に対する仰俯角が変更可能に構成されている。
本実施形態においては、機体1の前後方向について、図1及び図2において刈取部2が備えられている側が前であり、その反対側が後である。したがって、機体1の縦幅方向が機体1の前後方向に対応している。機体1の左右方向について、機体1の前方側に進行する前進走行状態において、進行方向を目視する運転者の右手側が右であり、左手側が左である。したがって、機体1の横幅方向が機体1の左右方向に対応している。
機体1は、左右一対のクローラ式の走行装置4を備えるとともに、前部の右側に運転部5を備え、その後方に刈取部2により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置6と、脱穀処理によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンク7とを、機体1の左右方向に並ぶ状態で備えている。
走行装置4は姿勢変更機構4Aを備え、この姿勢変更機構4Aによって機体1に対する上下方向位置が可変に構成され、前後ないし左右で上下方向位置を異ならせることによって、機体1の前後ないし左右の傾斜姿勢が変更可能に構成されている。なお、姿勢変更機構4Aは、後述する制御機構600によって制御される。
運転部5はキャビン5Aによって覆われている。運転部5には、コンバインの各部の操作に係る操作具5Bが備えられている。
脱穀装置6は、刈取部2から搬送される刈取穀稈の株元を脱穀フィードチェーン8により挟持して搬送しながら、扱室内部で穂先側を扱き処理し、扱室の下部に備えられた選別部によって穀粒と塵埃に選別処理するように構成されている。なお、穀粒は穀粒タンク7に貯留され、塵埃は機外に排出される。穀粒タンク7に貯留された穀粒は排出装置7Aによって外部に排出可能である。脱穀処理後の排ワラは細断装置9によって細断したのちに機外に排出される。
〔刈取部〕
図1、図2、図3及び図6に示すように、刈取部2は、刈取対象条の植立穀稈を分草案内する複数(本実施形態においては刈取条数が八条であることから九個)の分草具10を刈取部2の前端部に備えており、その後方に刈取条数に対応した複数(すなわち八個)の引起し装置11と、植立穀稈の株元を切断する切断装置12と、刈取穀稈を機体1の後方に向けて搬送する搬送装置13と、これらを支持する刈取フレームFとを備えている。
刈取部2は、左側(未刈側)の走行装置4よりも大きく左側に突出する状態となっている。これにより、未刈穀稈を左側の走行装置4により踏み倒すおそれがなく、良好に刈取作業を行うことができる(図6参照)。なお、踏み代は、右側(右踏み代TR)に165mm程度が設けられ、左側(左踏み代TL)に650mm程度が設けられる。右踏み代TRが十分にとられていることによって、圃場の右端において、例えば畦際であっても、刈り取り作業がしやすい。
本実施形態においては、刈取部2のうち、右側六条分に対応する部分が第一刈取部2Rを構成し、左側二条分に対応する部分が第二刈取部2Lを構成している。
刈取部2の第二刈取部2Lは、駆動機構としてのアクチュエータの一例である電動シリンダ130の駆動によって、八個の引起し装置11のうち、刈取部2は、右端から六番目の引起し装置11と七番目の引起し装置11との間の境界Lに、引起し装置11の傾斜面と平行で且つ引起し装置11よりも機体1の前方側に設けられている折畳軸Xまわりに、非作用戻し経路H2どうしが近接する状態で、第一刈取部2Rに対して折り畳み可能に構成されている。
図4及び図6に、第二刈取部2Lが第一刈取部2Rに対して左右方向に一連に並ぶ通常状態にある刈取部2の様子が示され、図5及び図7に、第二刈取部2Lの前面が、第一刈取部2Rの前面に向かい合う状態で折り重なる折畳状態にある刈取部2の様子が示されている。ただし、図4及び図5においては、刈取部2の前方側面を覆うカバーC(図1及び図2参照)の記載が省略されている。
〔引起し装置〕
図1及び図4に示すように、引起し装置11は、下端側ほど機体1の前方側に位置し且つ上端側ほど機体1の後方側に位置する後倒れ傾斜した起立姿勢で備えられている。そして、図9に示すように、引起し装置11は、刈取フレームFの一部を構成する引起しケース14の内部に、上側に位置する駆動スプロケット15と緊張用スプロケット16、及び、下側に位置する従動スプロケット17のそれぞれに亘って巻回される無端回動チェーン18が備えられ、その無端回動チェーン18に、長手方向に沿って所定間隔をあけて複数の引起爪19が備えられている。引起爪19は、起立姿勢と倒伏姿勢とに姿勢変更自在に無端回動チェーン18に支持されている。
図9に示すように、八個の引起し装置11の上部どうしに亘って左右方向に延びる引起し駆動軸20が備えられている。この引起し駆動軸20からの動力が、中継伝動ケース21の内部に備えられた中継伝動軸22を介して駆動スプロケット15に伝達される。引起し駆動軸20は断面形状が六角形であり、角形嵌合状態で動力を伝達するように構成されている。
〔分草具〕
九個の分草具10のうち、機体1の左右方向において最も外側に位置する二個の分草具10は、植立穀稈を刈取対象と対象外とに分草し、刈取対象穀稈をその分草具10に隣接する引起し経路に導入し、対象外の穀稈をその引起し経路の横外側に案内する。その他の分草具10は、二つの植付条に植立する穀稈をその分草具10の両横側に分草して分草具10の両横側の引起し経路に導入する。
〔引起し作用経路、及び非作用戻り経路〕
引起し装置11は、引起爪19が横向きに突出する状態で移動する引起し作用経路H1と、引起爪19が引退した状態で移動する非作用戻し経路H2とを備えている。つまり、無端回動チェーン18の左右両側の上下移動経路のうちの一方が引起し作用経路H1として設定され、他方が非作用戻し経路H2として設定されている。引起し作用経路H1においては、無端回動チェーン18が通過する箇所に引起爪19を起立案内するガイド板(図示せず)が備えられている。
複数の引起し装置11は、引起し作用経路H1どうしが近接するとともに、非作用戻し経路H2どうしが近接する状態で、左右方向に並ぶように配置されている。そして、各引起し装置11は、引起し作用経路H1において引起爪19が上向きに移動するように回動方向が設定されている。つまり、離接する引起し装置11どうしは、無端回動チェーン18の回動方向が互いに逆向きに設定されている。
このような構成の引起し装置11は、引起し作用経路H1においては、横向きに突出する引起爪19が穀稈に梳き上げ作用しながら上昇移動し、上昇終端に到達すると、穀稈から外れて引起しケース14の非作用戻し経路H2を下降して引起し作用経路H1側に戻っていく。これにより、各引起し装置11は、引起し経路に導入された植立穀稈を、上昇移動する引起爪19によって引起し処理して切断装置12に供給する。
〔切断装置〕
図4、図10及び図11に示すように、切断装置12は、全ての刈取対象条(八条)の植立穀稈に作用するように左右方向(刈幅方向に対応する)の全幅に亘る長尺状に形成され、周知構造のバリカン型刈刃から構成されている。
切断装置12は、八条の刈取条のうち、右側六条の刈取条に作用する右側切断部12R(第一刈取部2R側の切断部である。)と、左側二条の刈取条に作用する左側切断部12L(第二刈取部2L側の切断部である。)とに分割されて構成されている。
右側切断部12Rについて説明する。
図10及び図11に示すように、右側切断部12Rは、左右方向に並設した二分割された二組のバリカン型の刈刃25と、二組の刈刃25をそれぞれ駆動する左右の刈刃駆動機構26とを備えている。
図12に示すように、左右の刈刃25は、それぞれ左右方向に多数の歯27Aが並設された固定刃27と、この固定刃27の上側に摺接する状態で多数の歯28Aが並設された可動刃28と、固定刃27を受止め支持する受け台29と、可動刃28の浮き上がりを防止する複数のナイフクリップ30とを備えている。
図10に示すように、左右の各可動刃28の外側寄り近くに可動刃操作体31が備えられ、この可動刃操作体31に作用する刈刃駆動機構26の駆動によって、可動刃28を固定刃27に対して左右方向に沿って左右往復駆動するように構成されている。
可動刃操作体31には平面視U字状の係入溝32を備えている。刈刃駆動機構26は、可動刃操作体31の係入溝32に係入する操作ローラ33を一端部に備えたアーム34、このアーム34の他端部に一端側が連結された連動ロッド35、この連動ロッド35の他端側に連結されたクランクアームとして機能する駆動回転体36を備えている。そして、駆動回転体36の回転駆動力を往復動力に変換して可動刃28を左右往復駆動する。
可動刃28が左右方向に往復スライド駆動することによって、可動刃28と固定刃27とにより植立穀稈が切断される。左右両側の刈刃25におけるそれぞれの可動刃28は、互いに逆向きにスライド移動するように構成され、可動刃28のスライド操作に伴う振動をできるだけ少なくするようにしている。
図12及び図13に示すように、左右両側の刈刃25における左右中間の突き合わせ部には、左右両側の可動刃28の上側に位置する上部側の固定刃37が備えられている。このように突き合わせ部では、固定刃37が上側に位置することで、突き合わせ箇所において、塵埃が固定刃37と可動刃28との間に噛み込まれることを防止している。上部側の固定刃37は、左右の刈刃25にそれぞれ各別に備えられている。
左側切断部12Lについて説明する。
図10に示すように、左側切断部12Lは、右側切断部12Rにおける刈刃25と同様な構成のバリカン型の刈刃38と、その刈刃38を駆動する刈刃駆動機構39とを備えている。刈刃38は、刈取条数が異なる点以外は、右側切断部12Rの刈刃25と同じであるから詳細な説明は省略する。刈刃駆動機構39についても、右側切断部12Rの刈刃駆動機構26と同じであるから詳細な説明は省略する。このように、右側切断部12R及び左側切断部12Lは、それぞれ各別に、刈刃駆動機構26,39を備えている。
右側切断部12Rにおける刈刃25と、左側切断部12Lの刈刃38との突き合わせ部には、右側切断部12Rにおける突き合わせ部と同様に、可動刃28の上側に位置する上部側の固定刃37が備えられている。この上部側の固定刃37は、右側切断部12Rにおける刈刃25と左側切断部12Lの刈刃38とにそれぞれ各別に備えられている。左側切断部12Lの刈刃38における可動刃28は、右側切断部12Rにおける刈刃25における可動刃28のスライド移動方向と逆向きにスライド移動するように構成されている。
右側切断部12R及び左側切断部12Lは、可動刃28、固定刃27、受け台29のそれぞれが、各別に分離可能に形成されており、突き合わせ状態では近接して並ぶ状態で備えられる。
〔搬送装置〕
図4及び図6に示すように、搬送装置13は、刈取穀稈を二条分ずつ寄せ集めながら後方に掻き込む複数の掻き込み部40、右側から一番目の条と二番目の条の二条分の刈取穀稈を左後方側の合流箇所に搬送する第一中間搬送部41、右側から三番目の条と四番目の条の二条分の刈取穀稈を後方側の合流箇所に搬送する第二中間搬送部42、右側から五番目の条と六番目の条の二条分の刈取穀稈を合流箇所に搬送する第三中間搬送部43、右側から七番目の条と八番目の条の二条分、すなわち左側端部二条分の刈取穀稈を後方に搬送する第四中間搬送部44、第四中間搬送部44により搬送される刈取穀稈を受け継いで合流箇所に搬送する左側合流搬送部45、合流箇所において合流した八条の刈取穀稈を脱穀フィードチェーン8の始端部にまで搬送する供給搬送部46、第一中間搬送部41によって搬送される刈取穀稈並びに合流箇所において合流された刈取穀稈の穂先側に作用して穂先側を係止案内する穂先係止搬送装置47を備えている。
図6に示すように、掻き込み部40は、切断装置12の上方近くに機体1の左右方向に並んで位置して噛み合い回動する一対の穀稈掻き込み用の回転式のパッカー48,49(外形が略星形に形成された掻き込み回転体である。)からなる下側掻き込み装置50と、その下側掻き込み装置50よりも上方に位置する一対の突起付きの無端回動ベルト51からなる上側掻き込み装置52とを備える。そして、このような掻き込み部40が、左右方向(刈幅方向)に並ぶ状態で四組(掻き込み部40A〜40D)備えられている。
下側掻き込み装置50は、切断装置12で刈り取り処理された二条分の刈取穀稈の株元側を一対のパッカー48,49の間に掻き込んでパッカー間から機体1の後方に向けて送り出す。この下側掻き込み装置50は、一対のパッカー48,49のうちのいずれか一方のパッカー48は、動力が伝達される駆動側パッカーとして構成され、他方のパッカー49は、パッカー48に噛み合って従動する従動側パッカーとして構成されている。
上側掻き込み装置52における一対の無端回動ベルト51は、左右のパッカー48,49からそれぞれ動力が伝達されて回動するように構成され、二条分の刈取穀稈の株元側を係止搬送により掻き込み後方に送り出す。
図11に示すように、右側に位置する三組の下側掻き込み装置50(50A〜50C)は、各パッカー48,49が同一の上下高さに位置するように配置してあり、左側端部に位置する一組の下側掻き込み装置50(50D)は、下側掻き込み装置50(50A〜50C)よりも低い高さに位置するように配置している。
伝動構造については後述するが、右側に位置する三組の掻き込み部40(40A〜40C)は、同一の伝動軸からの動力によって駆動されるので、それらは同期回転する。したがって、隣り合う下側掻き込み装置50(50A〜50C)のパッカー48,49どうしが平面視で一部重なり合うことがあっても良好な噛み合い状態を維持できる。
図6及び図8に示すように、第一中間搬送部41は、最右側の掻き込み部40(40A)により掻き込まれた二条分の刈取穀稈の株元を挟持しながら左後方側の合流箇所に向けて搬送する第一株元挟持搬送装置53と、穂先係止搬送装置47の前半部分である前部側無端回動体47Fとから構成される。
第一株元挟持搬送装置53は、複数のスプロケットに亘って巻回された無端回動チェーンを備えている。無端回動チェーンに対向して挟持レール(図示せず)が備えられ、無端回動チェーンと挟持レールとにより刈取穀稈の株元を挟持して後方に搬送する。
穂先係止搬送装置47は、複数のスプロケットに亘って巻回された係止突起付きの無端回動チェーン57と、刈取穀稈の穂先部を載置しながら案内する穂先案内板58(図4及び図5参照)とを備えている。無端回動チェーン57に所定ピッチをあけて係止突起59が備えられ、無端回動チェーン57が回動することで刈取穀稈の穂先側を係止しながら、且つ、刈取穀稈の穂先部を穂先案内板58によって載置案内しながら左後方に搬送するように構成されている。この穂先係止搬送装置47の後半部分である後部側無端回動体47Bは、合流箇所において合流された八条分の刈取穀稈に対する穂先側の係止搬送を行うように構成されている。
第二中間搬送部42は、右端から二番目の掻き込み部40(40B)により掻き込まれた二条分の刈取穀稈の株元を挟持しながら後方側の合流箇所に向けて搬送する第二中間株元挟持搬送装置61と、二条分の刈取穀稈の穂先側を係止搬送しながら後方側の合流箇所に向けて搬送する第二中間穂先係止搬送装置62とを備えている。
第二中間株元挟持搬送装置61は、第一株元挟持搬送装置53と同様に構成されている。第二中間穂先係止搬送装置62は、複数のスプロケットに亘って巻回された係止突起付きの無端回動チェーンを備え、無端回動チェーンが回動することで刈取穀稈の穂先側を係止しながら後方に搬送する。
第三中間搬送部43は、右端から三番目の掻き込み部40(40C)により掻き込まれた二条分の刈取穀稈の株元を挟持しながら後方側の合流箇所に向けて搬送する第三中間株元挟持搬送装置67と、二条分の刈取穀稈の穂先側を係止搬送しながら後方側に向けて搬送する第三中間穂先係止搬送装置68とを備えている。
第三中間株元挟持搬送装置67は、第一株元挟持搬送装置53と同様に構成されている。第三中間穂先係止搬送装置68は、第二中間穂先係止搬送装置62と同様に構成されている。
第四中間搬送部44は、最左側の掻き込み部40(40D)により掻き込まれた二条分の刈取穀稈の株元を挟持しながら後方側の合流箇所に向けて搬送する第四中間株元挟持搬送装置74を備えている。この第四中間株元挟持搬送装置74は、第一株元挟持搬送装置53と同様に構成されている。
左側合流搬送部45は、第四中間搬送部44により搬送される刈取穀稈を受け継いで、株元を挟持しながら後方側の合流箇所に向けて搬送する左側合流用株元挟持搬送装置77と、刈取穀稈の穂先側を係止搬送しながら後方側の合流箇所に向けて搬送する左側合流用穂先係止搬送装置78とを備えている。
左側合流用株元挟持搬送装置77は、第一株元挟持搬送装置53と同様に構成されている。左側合流用穂先係止搬送装置78は、第二中間穂先係止搬送装置62と同様に構成されている。
第二刈取部2L側の合流用搬送体である第四中間搬送部44と、第一刈取部2R側の合流用搬送体である左側合流搬送部45とにより、第二刈取部2Lによって刈り取られた刈取穀稈を合流箇所まで搬送する合流用搬送部120が構成される。
供給搬送部46は、第一中間搬送部41、第二中間搬送部42、第三中間搬送部43、及び、左側合流搬送部45により搬送されて、合流箇所において合流した刈取穀稈の株元を挟持して脱穀フィードチェーン8に向けて搬送する扱深さ用搬送装置84と、その扱深さ用搬送装置84から脱穀フィードチェーン8の始端部に刈取穀稈を受け渡す受け渡し供給装置85とを備えている。
扱深さ用搬送装置84及び受け渡し供給装置85は、ともに、第一株元挟持搬送装置53と同様に構成されている。
図示はしないが、扱深さ用搬送装置84は、搬送始端側を支点にして搬送終端側が稈長方向に移動するように揺動自在に支持され、合流箇所から受け継いだ刈取穀稈を稈長方向(上下方向)に位置変更して、脱穀装置6に対する入り込み深さを変更調整できるように構成されている。
搬送装置13は、第一刈取部2Rに設けられた右側搬送部13Rと、第二刈取部2Lに設けられた左側搬送部13Lとに分けられ、図6に示すように、右側に位置する三組の掻き込み部40、第一中間搬送部41、第二中間搬送部42、第三中間搬送部43、左側合流搬送部45、供給搬送部46のそれぞれが右側搬送部13Rに対応し、第四中間搬送部44及び最左側の掻き込み部40が左側搬送部13Lに対応している。
〔刈取フレーム〕
次に、刈取フレームFについて説明する。
図14から図19に示すように、刈取フレームFは、以下に説明するような複数のフレームが連結されて構成されている。なお、刈取フレームFのうち、第一刈取部2Rに属する部分が第一フレームFRであり、第二刈取部2Lに属する部分が第二フレームFLである。
刈取フレームFは、刈取部2の全体を支持する前後向きの円筒状の支持フレーム91が備えられている。この支持フレーム91は、後上部の基端側に備えられた横向きの枢支部92が、機体側の支持台90に横軸心P1まわりに回動自在に支持されている。支持フレーム91は、支持台90から機体1の前方下方に向けて延びている。なお、支持フレーム91は、刈取フレームFの左右方向の略中央に配置されている。
支持フレーム91の前端部に左右方向すなわち刈幅方向に延びる円筒状の下部横向きフレーム93が連結されている。この下部横向きフレーム93の両端部のそれぞれに機体1の前方に向けて延びる円筒状の分草フレーム94が連結されている。これら二本の分草フレーム94の前後途中部どうしに亘って、刈幅方向に延びる角筒状の刈刃支持フレーム95が架設されている。この刈刃支持フレーム95に切断装置12が支持される。
二本の分草フレーム94の間に、間隔をあけて七本の分草フレーム94が備えられている。これら間隔をあけて備えられた複数の分草フレーム94は、後端部が刈刃支持フレーム95に連結された片持ち姿勢に配置されている。これら九本の分草フレーム94の前端部に分草具10が備えられる。
下部横向きフレーム93の右端部に、概して機体1の前方上に向けて延びる円筒状の右部縦向きフレーム97が連結され、下部横向きフレーム93の左端部に、概して機体1の前方上に向けて延びる円筒状の左部縦向きフレーム96が連結されている。
これら二本の縦向きフレーム96,97の上端部どうしに亘って、刈幅方向に延びる上部横向きフレーム98が連結されている。この上部横向きフレーム98は、八個の引起し装置11のそれぞれの上端部どうしに亘って左右方向に沿って延びている。
図17及び図18に示すように、下部横向きフレーム93のうち第一フレームFR側に属する右側部分93Rの左端側から上方に向けて円筒状の中間縦向きフレーム99が延設されている。中間縦向きフレーム99は、刈取部2に備えられる搬送装置13を迂回し得る高さまで立ち上がり、そこから水平右方へ屈曲した後、前方上方へと屈曲し、上部横向きフレーム98に連結されている。なお、中間縦向きフレーム99のうち前方上方へと屈曲した部分にギア変速機構111が備えられる。
八個の引起し装置11はそれぞれ、上端部が上部横向きフレーム98に連結され、下端部が分草フレーム94に連結される。したがって、各引起し装置11は、連結された状態では、上部横向きフレーム98と分草フレーム94とを連結するフレーム部材としても機能する。
各引起し装置11は、上部横向きフレーム98に対して、中継伝動ケース21と一体的に、横向き軸心まわりに相対回動自在に支持されている。したがって、分草フレーム94に対する連結を解除すると、引起し装置11全体を横向き軸心まわりに回動させて、刈取部2の前部を大きく開放させることができる。
この刈取部2の前部の開放状態であるときには、上部横向きフレーム98に荷重が掛かる。そこで、刈取部2の剛性を確保するために、図17から図19に示すように、上部横向きフレーム98と分草フレーム94とを連結する縦向きの補助連結杆100が複数備えられている。
さらに、刈取部2の剛性を確保するために、搬送装置13の上方を迂回する状態で、支持フレーム91の上端部と上部横向きフレーム98の左右方向中間部とを連結する上部迂回フレーム101が備えられ、中間縦向きフレーム99の中間縦向きフレーム99の立ち上がり部の上端近傍と上部横向きフレーム98の左右方向の中央やや左とを連結する引起し支えフレーム102が備えられている。
引起し支えフレーム102は、中間縦向きフレーム99の立ち上がり部の上端近傍に備えられたブラケットから後方上方へ延びた後、そこから立ち上がり、側面視において上部迂回フレーム101と同じように前方へ延び、その先端が上部横向きフレーム98に連結されている。
上述したような複数種のフレームが連結されて刈取フレームFが構成されている。この刈取フレームFは、左右方向における両端部に位置する分草フレーム94と、左右の縦向きフレーム96,97と、左右方向における両端部に位置する引起し装置11とが、機体1の側面視で略三角形状に配置され連結されている。その結果、左右方向における両端部において強固な支持構造が形成されている。
〔刈取部連結構造〕
刈取部2は、第一刈取部2R側に属する右端から六番目の引起し装置11と、第二刈取部2L側に属する七番目の引起し装置11との間の境界Lにおいて、引起し装置11の傾斜面と平行で且つ引起し装置11よりも機体1の前方側に設定されている折畳軸Xまわりに、引起し装置11、切断装置12、及び、搬送装置13のそれぞれが一体的に折り畳み可能に構成されている。
〔刈取部連結構造〕
第二刈取部2Lを第一刈取部2Rに対して折り畳み可能とするために、刈取フレームFは、下部横向きフレーム93、刈刃支持フレーム95及び上部横向きフレーム98が、境界Lにおいて、互いに分離可能に構成されている。
図14から図19に示すように、第一刈取部2R側の第一フレームFR及び第二刈取部2L側の第二フレームFLのそれぞれにおいて、境界Lの近傍に、上部横向きフレーム98と分草フレーム94とに亘って上下方向に延びる角筒状の連結用フレーム121,122が備えられている。
図17及び図18に示すように、第一刈取部2R側の第一フレームFRに設けられた連結用フレーム121は、上部横向きフレーム98のうち右側部分98Rの左端部と、右端から七番目の分草フレーム94とに亘って連結されている。連結用フレーム121は、側面視において概して引起し装置11の引起しケース14の前面に略平行な後上がりに傾斜した形状であるが、下方は、分草具10を迂回するように屈曲して後退した形状となっている。
図14、図15及び図16に示すように、第二刈取部2L側の第二フレームFLに設けられた連結用フレーム122は、上部横向きフレーム98のうち左側部分98Lの右端部と、下部横向きフレーム93から機体1の前方に向けて延設され、かつ植立穀稈を踏み倒さないように、右端から七番目の分草フレーム94に対して少し上方に位置する前後向き支持杆123とに亘って連結されている。前後向き支持杆123の前端部及び上部横向きフレーム98は、縦向きの補助連結杆124により、連結用フレーム122に対する支持強度が補強されている。
連結用フレーム122も、連結用フレーム121と同様に、側面視において概して引起し装置11の引起しケース14の前面に略平行な後上がりに傾斜した形状であるが、下方は、分草具10を迂回するように屈曲して後退した形状となっている。
〔前部連結部〕
連結用フレーム121,122には、境界Lにおいて、第一刈取部2Rと第二刈取部2Lとを分離可能に連結する前部連結部200が備えられている。
図17、図18及び図22に示すように、第一フレームFR側に属する連結用フレーム121には、上中下の三箇所に右側上方ボス部201、右側中央ボス部202及び右側下方ボス部203が備えられている。
右側上方ボス部201は、連結用フレーム121の前方に配置された一つの円筒部材201Aの周囲が、一枚の平板部201Bによって巻回された形状に構成されている。
右側中央ボス部202は、連結用フレーム121の前方において、後述する左側中央ボス部205の円筒部材205Aを適度な遊びをもって挟んで配置し得るだけの間隔を上下にあけて配置された二つの円筒部材202Aの周囲が、一枚の平板部材202Bによって巻回された形状に構成されている。平板部材202Bは、上下の円筒部材202Aの間に対応する部分が切り欠かれた形状に構成されている。右側下方ボス部203は、右側中央ボス部202と同様に構成されている。
なお、円筒部材201A,202A,203Aは、それぞれが有する貫通孔201C,202C,203Cの軸心が一致するように配置されている。
図14、図15、図16及び図22に示すように、第二フレームFL側に属する連結用フレーム122には、右側上方ボス部201に対応する位置に、左側上方ボス部204が備えられ、右側中央ボス部202に対応する位置に左側中央ボス部205が備えられ、右側下方ボス部203に対応する位置に、左側下方ボス部206が備えられている。
左側上方ボス部204は、後述する従動部材303に備えられた円筒部材204Aから構成されている。
左側中央ボス部205は、連結用フレーム122の前方右側において、一つの円筒部材205Aを正面視においてL字形状のブラケット205Bによって支える形状に構成されている。左側下方ボス部206は、左側中央ボス部205と同様に構成されている。
なお、円筒部材204A,205A,206Aは、それぞれが有する貫通孔204C,205C,206Cの軸心が一致するように配置されるとともに、第一フレームFR及び第二フレームFLを互いに連結するための所定位置に配置したときに、円筒部材201A,202A,203Aの貫通孔201C,202C,203Cの軸心とも一致するように配置されている。
図22に示すように、右側上方ボス部201の円筒部材201Aの上に、左側上方ボス部204の円筒部材204Aを配置し、貫通孔201C及び貫通孔204Cを貫くように、挿込部材としてのボルト207を挿通し、ボルト207の先端にナット208を螺合することによって、右側上方ボス部201と左側上方ボス部204とが連結される。
右側中央ボス部202の二つの円筒部材202A間に、左側中央ボス部205の円筒部材205Aを配置し、貫通孔202C及び貫通孔205Cを貫くように、ボルト207の先端にナット208を螺合することによって、右側中央ボス部202と左側中央ボス部205とが連結される。
同様に、右側下方ボス部203の二つの円筒部材203A間に、左側下方ボス部206の円筒部材206Aを配置し、貫通孔203C及び貫通孔206Cを貫くように、ボルト207の先端にナット208を螺合することによって、右側下方ボス部203と左側下方ボス部206とが連結される。
すなわち、右側上方ボス部201、右側中央ボス部202及び右側下方ボス部203、並びに、左側上方ボス部204、左側中央ボス部205及び左側下方ボス部206、並びに挿込部材としてのボルト207が、前部連結部を構成する。また、ボルト207が、第二刈取部2Lの第一刈取部2Rに対する折畳軸Xを構成する。
なお、上述した実施形態においては、ボルト207に抜止のためのナット208が螺合される場合について説明したが、挿込部材として頭部を有する軸状部材を用い、この先端に割りピンを取り付ける構成であってもよい。
〔後部連結部〕
図23から図25に示すように、下部横向きフレーム93は、境界Lにおいて、第一フレームFR側に属する右側部分93Rと、第二フレームFL側に属する左側部分93Lとに分割形成され、右側部分93R及び左側部分93Lには、第一刈取部2Rと第二刈取部2Lとを分離可能に連結する後部連結部210が備えられている。
右側部分93Rの左端部の後方には、右側後方ボス部211が備えられている。右側後方ボス部211は、後述する左側後方ボス部212の平板部材212Aを適度な遊びをもって挟んで配置し得るだけの間隔を上下にあけて平行に配置された二枚の平板部材211Aから構成され、それぞれが有する貫通孔211Cの軸心が一致するように配置されている。貫通孔211Cの軸心は、折畳軸Xと平行に設けられている。
左側部分93Lの右端部の後方から右方に突出した左側後方ボス部212が備えられている。左側後方ボス部212は、右側後方ボス部211の上下二枚の平板部材211A間に挟入され得る平板部材212Aから構成されている。平板部材212Aには平板部材211A間に挟入さたときに、貫通孔211Cと同一軸心となる貫通孔212Cが備えられている。
図23に示すように、貫通孔211Cと貫通孔212Cとを貫くように挿込部材213の軸状部213Aを挿通することによって、右側部分93R及び左側部分93Lが連結される。
すなわち、右側後方ボス部211が、本発明に係る第一ボス部であり、左側後方ボス部212が本発明に係る第二ボス部であり、挿込部材213が本発明に係る挿込部材であり、これら第一ボス部、第二ボス部及び挿込部材が後部連結部を構成する。右側部分93R及び左側部分93Lの連結によって、第二刈取部2Lは第一刈取部2Rに対して折畳軸Xまわりに回動不可能となる。
なお、挿込部材213は、軸状部213Aの右側後方ボス部211及び左側後方ボス部212に対する挿通方向と交差する方向に操作部213Bが延設されている。
抜止部材214は、左側部分93Lの右端部に螺子止めされた平板部材から構成され、該平板部材は、螺子止め部分から後方に伸び、後端が下方に幾らか屈曲した形状に形成されている。
抜止部材214は、操作部213Bのうち軸状部213Aの挿通方向とは反対側の面に当接し、挿込部材213は軸状部213Aの右側後方ボス部211及び左側後方ボス部212に対する挿通方向とは反対方向に移動することが容易に規制される。
なお、挿込部材213は、右側後方ボス部211及び左側後方ボス部212への取り付けに際して、右側後方ボス部211と操作部213Bとの間に、付勢手段としてのコイルバネ215が挟設されている。挿込部材213は、このコイルバネ215によって操作部213Bが抜止部材214に当接する方向へ付勢されていることから、挿通方向とは反対方向へ付勢される。
したがって、挿込部材213の操作部213Bを軸状部213Aの軸心まわりに回動させて、抜止部材214に当接した抜止規制位置から、抜止部材214に当接しない抜止解除位置に移動させようとしても、操作部213Bが抜止部材214の後端の屈曲箇所において引っかかる。このように、操作部213Bが抜止規制位置から抜止解除位置へと意図せず移動してしまうことが防止されている。
操作部213Bを抜止規制位置から抜止解除位置へと位置変更するためには、操作部213Bをコイルバネ215の付勢力に抗して軸状部213Aの挿通方向へ移動させる。これにより、操作部213Bを、抜止部材214の後端の屈曲箇所に引っかけることなく、抜止規制位置から抜止解除位置へと移動させることができ、挿込部材213の軸状部213Aを、右側後方ボス部211及び左側後方ボス部212から抜き出すことができ、右側部分93Rと左側部分93Lとの連結が解除される。
なお、刈取部2の刈取フレームFは、左右方向における両端部に位置する分草フレーム94と、左右の縦向きフレーム96,97と、左右方向における両端部に位置する引起し装置11とが、機体1の側面視で略三角形状に配置され連結されていることから、刈取部2を、境界Lにおいて分離しても、第一刈取部2R及び第二刈取部2Lのそれぞれにおいて、強固なフレーム構造体が形成され、支持強度を有する構成となっている。
〔下部連結部〕
図23から図25に示すように、刈刃支持フレーム95は、境界Lにおいて、第一フレームFR側に属する右側部分95Rと、第二フレームFL側に属する左側部分95Lとに分割形成され、右側部分95R及び左側部分95Lに下部連結部220が備えられている。
下部連結部220として、本実施形態においては、左側部分95Lに右側部分95Rに対して挿し込み可能な円柱部材95Aが備えられている。円柱部材95Aは、概して右側部分95Rの内面に外接し得る外径を有しており、右側部分95Rに対する挿し込み先端側がやや縮径した形状に構成されている。
第一刈取部2Rと第二刈取部2Lとが分離されているときは、左側部分95Lの離間とともに円柱部材95Aは右側部分95Rから引き抜かれ、第一刈取部2Rと第二刈取部2Lとが連結されるときは、左側部分95Lの近接とともに円柱部材95Aは右側部分95Rから挿し込まれる。円柱部材95Aが右側部分95Rに挿し込まれることによって、右側部分95R及び左側部分95Lは一体的に荷重を支えることができる。
なお、下部連結部220は、上述の構成に限らず、円柱部材95Aにかえて、角柱部材が備えられてもよい。
上述のように、後部連結部210における連結のみを解除し、前部連結部200を連結させたままであると、刈取部2は、第二刈取部2Lを第一刈取部2Rに対して折畳軸Xまわりに回動させることによって折り畳むことができる。
第二刈取部2Lが第一刈取部2Rに対して折り畳まれていない通常状態から、折畳軸Xまわりに回動させて折り畳まれた折畳状態へと姿勢変更することによって、刈取部2の横幅が狭められる。折り畳みにより刈取部2の横幅を狭めることができるため、引起し装置11、切断装置12、及び、搬送装置13や、それらを構成する大型の構成部品等を個別に取り外したり、取り外した装置類を別途管理する等の作業が不要である。
図5及び図7に示すように、第二刈取部2Lに備えられる分草フレーム94と、第一刈取部2Rに備えられる分草フレーム94とが、折畳状態において、平面視において刈幅方向に位置ずれするとともに、側面視において重なり合う状態となるように設けられている。
右端から六番目の引起し装置11と七番目の引起し装置11とは、非作用戻し経路H2どうしが近接する状態で隣り合うので、それらの境界Lに設定された折畳軸Xまわりに回動させて折り畳むと、引起爪19どうしが接触することがない。
なお、折畳状態においては、第二刈取部2Lの前面が、第一刈取部2Rの前面に向かい合って折り重なる構成となっている。この場合、第二刈取部2Lの分草具10は、他の分草具10との接触を回避するために、取り外される。
〔伝動構造〕
次に、図8に基づいて、刈取部2における動力の伝動構造について説明する。
機体1は、動力源としてのエンジン(図示せず)を備えており、エンジンから出力された動力が刈取用の無段変速装置(図示せず)によって変速された後に、支持フレーム91の枢支部92の内部に備えられた横向き伝動軸103に伝達される。そして、横向き伝動軸103から支持フレーム91の内部に備えられた前下がりの駆動軸としての動力伝達軸104を介して刈取部2の下部横向きフレーム93の内部に備えられた横向きの入力軸105に伝達される。なお、図9及び図10に示すように、動力伝達軸104は、刈取部2の左右方向の略中央に配置され、動力伝達軸104から伝達された動力は、入力軸105の左右方向の略中央に入力される。
入力軸105に伝達された動力は、入力軸105において左右両端部及び下部横向きフレーム93の右側部分93Rの左端近傍に設けられた分岐部106を介して、切断装置12のうち右側切断部12Rに属する二組の刈刃25と、左側切断部12Lに属する一組の刈刃38とにそれぞれ伝達される。
入力軸105に伝達された動力は、入力軸105において下部横向きフレーム93の右側部分93Rの左端近傍に設けられた分岐部107を介して、縦向きフレーム96の内部に備えられた縦向き伝動軸109に伝達される。縦向き伝動軸109に伝達された動力は、縦向き伝動軸109において、途中に設けられた分岐部108を介して左側合流搬送部45に伝達される。
入力軸105に伝達された動力は、入力軸105において、左端側に備えられた分岐部110を介して第四中間搬送部44に伝達され、第四中間搬送部44を介して最左側の掻き込み部40(40D)に伝達される。
右側に位置する三組の掻き込み部40(40A〜40C)、第一中間搬送部41、第二中間搬送部42、第三中間搬送部43、供給搬送部46のそれぞれには、動力伝達軸104の伝動途中部から動力が伝達される。
図8に示すように、動力伝達軸104の伝動途中部に設けられた第二分岐部117において第三分岐伝動軸118と第四分岐伝動軸119に動力が分岐伝達され、第三分岐伝動軸118から第一中間搬送部41の第一株元挟持搬送装置53に動力が伝達され、第一株元挟持搬送装置53の動力が最右側の掻き込み部40(40A)に伝達される。なお、穂先係止搬送装置47における無端回動チェーン57には、横向き伝動軸103から動力伝達され、扱深さ用搬送装置84には、第四分岐伝動軸119から動力が伝達される。
動力伝達軸104の伝動途中部に設けられた第一分岐部112において第一分岐伝動軸113に動力が分岐伝達され、その第一分岐伝動軸113から第二中間搬送部42の第二中間株元挟持搬送装置61及び第二中間穂先係止搬送装置62に動力が伝達される。そして、第二中間株元挟持搬送装置61の動力が右側から二番目の掻き込み部40(40B)に伝達される。
第一分岐伝動軸113の途中部から第二分岐伝動軸114に動力が分岐伝達され、第二分岐伝動軸114から第三中間搬送部43の第三中間株元挟持搬送装置67及び第三中間穂先係止搬送装置68に動力が伝達される。そして、第三中間株元挟持搬送装置67の動力が右端から三番目の掻き込み部40(40C)に伝達される。
したがって、右側に位置する三組の掻き込み部40(40A〜40C)は、同一の伝動軸である動力伝達軸104からの動力によって駆動されることになり、最左側の一組の掻き込み部40(40D)は、動力伝達軸104から入力軸105を経由して伝達される動力によって駆動されることになる。
上部横向きフレーム98には、左右方向の全幅に亘る状態で、各引起し装置11に動力を伝達する引起し駆動軸20が備えられている。縦向き伝動軸109からの動力が、ギア変速機構111により変速されたのち、引起し駆動軸20に伝達される。引起し駆動軸20から、八個の引起し装置11のそれぞれに動力が伝達される。
〔伝動軸連結構造〕
次に、伝動軸連結構造について説明する。
図8に示すように、下部横向きフレーム93の内部に備えられる入力軸105と、上部横向きフレーム98の下部に備えられている引起し駆動軸20は、それぞれ、動力源からの動力を、第一刈取部2Rに備えられた引起し装置11等に伝達する第一動力伝達機構DRに属する部分と、第二刈取部2Lに備えられた引起し装置11等に伝達する第二動力伝達機構DLに属する部分とに分割され、それぞれ、分割箇所において接続分離自在な継手機構105C、20Cを介して動力伝達可能に構成されている。
図23、図24及び図25に示すように、継手機構105Cは、左側部分105Rと右側部分105Lとを突き合わせたときに突き合わせ方向に嵌り合い動力伝達状態となり、左側部分105Rと右側部分105Lとを引き離したときに嵌め合いが引き離され非動力伝達状態となる、公知の構造の噛み合い式クラッチから構成されている。
図26に示すように、引起し駆動軸20は、第一動力伝達機構DRに属する右側部分20R(以下、動力伝達軸20Rと記す。)と、第二動力伝達機構DLに属する左側部分20L(以下、動力被伝達軸20Lと記す。)とが、接続分離自在な継手機構20Cを介して動力伝達可能に構成されている。
継手機構20Cは、断面形状が六角形の動力伝達軸20Rの左端部に備えられた雌ネジに対して螺子止めされ、動力被伝達軸20Lの右端部を受け入れ可能に構成された有底筒状の受入部20Bと、同じく断面形状が六角形の動力被伝達軸20Lの右端部に、動力被伝達軸20Lから、径方向に突設された二本の挿込部20Pとを備えている。
受入部20Bには、動力被伝達軸20L側に備えられた挿込部20Pを、動力被伝達軸20Lの軸心に沿って嵌め入れ可能な切欠部20Kが備えられ、受入部20B及び挿込部20Pは、動力伝達軸20Rと動力被伝達軸20Lとを突き合わせたときに、挿込部20Pが受入部20Bの切欠部20Kに嵌り合って動力伝達状態となり、動力伝達軸20Rと動力被伝達軸20Lとを引き離したときに嵌め合いが引き離され非動力伝達状態となる。
したがって、刈取部2の通常状態から折畳状態への切り替えに際して、下部横向きフレーム93と上部横向きフレーム98とを連結箇所において分離させるのに伴って、入力軸105及び引起し駆動軸20は継手機構105C,20Cによって自動的に分離され非動力伝達状態となる。刈取部2の折畳状態から通常状態への切り替えに際して、入力軸105及び引起し駆動軸20は継手機構105C,20Cによって自動的に接続され動力伝達状態となる。
〔駆動機構〕
刈取部2は、図19から図22に示すように、第二刈取部2Lを折畳軸Xまわりに回動させて、第一刈取部2Rに対して折り畳まれた折畳状態と、折り畳まれていない通常状態とに切り替える駆動機構としてのアクチュエータを備えている。
本実施形態においては、アクチュエータは、シリンダ機構としての電動シリンダ130から構成されている。電動シリンダ130は、定格推力が430kgf、ロッドの最大ストロークが350mmのものが用いられる。ロッドの進出側と引退側とにそれぞれ約10mmの遊びが設定され、両端の遊びを除いた330mm分の伸縮が、第二刈取部2Lの折り畳みに利用される。
図5に示すように、電動シリンダ130は、伸縮方向が折畳軸Xに対して交差、好ましくは直交するように配置されている。刈取部2の通常状態から折畳状態への切り替え及び折畳状態から通常状態への切り替えに際して、電動シリンダ130は、伸縮方向が折畳軸Xに対して交差するように配置されていることから、伸縮による力は、無駄なく第二刈取部2Lに伝達される。
電動シリンダ130の一方の端部に設けられている接続部、例えばナックルジョイント130Aは、引起し支えフレーム102の立ち上がり部のうち第二刈取部2Lの第一刈取部2Rに対する折畳軸Xと平行な部分に、ブラケット131によって折畳軸Xと平行な軸心まわりに回動自在に支持されている。
電動シリンダ130の他方の端部に設けられている接続部、例えばナックルジョイント130Bは、上部横向きフレーム98側に備えられたリンク機構300に設けられた支持部132によって、折畳軸Xと平行な軸心まわりに回動自在に支持されている。
〔リンク機構〕
図22に示すように、リンク機構300は、折畳軸Xとは異なる軸心を有し、かつ第一フレームFR側に軸支された回動軸Mと、折畳軸X及び回動軸Mとは異なる軸心を有する摺動軸Nとを下面側に有する回動部材301と、回動軸Mまわりに回動可能、かつ第二フレームFL側に固定された従動部材303が設けられている。
回動部材301は、二等辺三角形状をした平板部材から構成され、二等辺三角形の頂角部分に摺動軸Nが配置され、一方の底角に電動シリンダ130のナックルジョイント130Bの支持部132が配置され、他方の底角に回動軸Mが配置されている。
なお、回動軸Mは円柱部材から構成され、第一フレームFR側に設けられたブラケット302に回動自在に支持されている。摺動軸Nは円柱部材から構成され、回動部材301の下面に突設されている。
従動部材303は、第二フレームFL側に取り付けられる部材であって、曲げ加工された複数の部材303A,303B,303Cから構成されている。上側部材303Aは、第二フレームFLの上部横向きフレーム98の左側部分98Lの後面側の取り付け箇所から上方に延びた後、第二フレームFLに対して約45度の角度をもって、上部横向きフレーム98を右前方に通り越すように延びるように構成されている。下側部材303Bは、上部横向きフレーム98の左側部分98Lの上面側の取り付け箇所から、上側部材303Aと同様に右前方へ延びた後、上方へ立ち上がり、その先端が上側部材303Aの先端に連なるように構成されている。下側部材303Bの下面に左側上方ボス部204が下方に向けて取り付けられている。
上側部材303Aの下面には、上側部材303Aを補強する補強部材303Cが備えられ、上側部材303A及び補強部材303Cに溝部Jが備えられ、該溝部Jに摺動軸Nが遊挿される。
図20に示すように、第二刈取部2Lが通常状態であるときに、電動シリンダ130を伸ばすと、図21に示すように、回動部材301は回動軸Mまわりに時計回りに回動する。これに伴って摺動軸Nが時計回りに円弧状に移動する。この摺動軸Nの移動が従動部材の溝部Jによって受けられ、従動部材303を前方へ押し出すことによって、第二フレームFLは時計回りに回動し、刈取部2が折畳状態となる。
一方、図21に示すように、刈取部2が折畳状態であるときに、電動シリンダ130のロッドを縮めると、図20に示すように、回動部材301は回動軸Mまわりに反時計回りに回動する。これに伴って摺動軸Nが反時計回りに円弧状に移動する。この摺動軸Nの移動が従動部材303の溝部Jによって受けられ、従動部材303を後方へ引き戻すことによって、第二フレームFLは反時計回りに回動し、刈取部2が通常状態となる。
このように、リンク機構300によって電動シリンダ130の伸縮方向の運動が、第二刈取部2Lの第一刈取部2Rに対する回動に変換される。
以上の説明のように、刈取部2は、電動シリンダ130が伸びることによって通常状態から折畳状態へ切り替えられ、電動シリンダ130が縮むことによって折畳状態から通常状態へ切り替えられる。したがって、刈取条数を多くしながらも、手間のかかる作業を要することなく、非作業時に刈取部2の横幅を狭くすることが可能である。そして、刈取部2の折畳状態と通常状態との切り替えは駆動機構によって行われるため人力が不要である。
〔制御機構〕
コンバインは、図27に示すように、各種センサと、制御機構600とを備えている。
制御機構600は、マイクロコンピュータや、マイクロコンピュータで実行されるプログラム等を記憶したメモリ等の周辺機器から構成され、運転部5の操作具5Bに対する作業者の操作や、各種センサから入力された信号に基づいて、所定のプログラムを実行し、コンバインのエンジン、リフトシリンダ3、姿勢変更機構4A、電動シリンダ130、その他各部を制御する。
各種センサとして、刈取部2に、後部連結部210に、抜止部材214によって挿込部材213が挿通方向とは反対方向に移動することが規制されている規制状態を検知可能な検知手段としての接触センサ602が備えられている。接触センサ602は、操作部213Bが抜止規制位置にあるときに接触することによって、操作部213Bが抜止規制位置にあるか否かを検出可能に構成されている。
制御機構600は、接触センサ602によって、操作部213Bが抜止規制位置にあることを検知したときは、電動シリンダ130が刈取部2を通常状態から折畳状態に切り替えることができないように構成されている。
運転部5には、報知手段5Cとしての警告ランプや警告ブザーが備えられており、制御機構600は、操作部213Bが抜止規制位置にあることを、接触センサ602が検知したときは、警告ランプを点滅ないし点灯させたり、警告ブザーを鳴動させたりして、その旨を報知するように構成されている。
〔別実施形態〕
(1)上述した実施形態においては、折畳状態において、第二刈取部2Lの分草具10は、他の分草具10との接触を回避するために取り外すようにしたが、この構成にかえて、次のように構成してもよい。第二刈取部2Lに備えられる分草フレーム94と、他の第一刈取部2Rに備えられる分草フレーム94との間の、折畳状態における刈幅方向への位置ずれ量を大きくすることで、第二刈取部2Lの分草具10を取り外すことなく、折畳状態に切り替えることができるようにしてもよい。
(2)上述した実施形態においては、八条刈りのコンバインにおいて、刈取部2における左二条分に対応する第二刈取部2Lと、残り六条分に対応する他の第一刈取部2Rとに折り畳み可能な構成としたが、このような構成に限らず、左側の二条分と右端の二条分とをそれぞれ第二刈取部2Lとし、両第二刈取部2Lを、中間に位置する四条分に対応する第一刈取部2Rに対して折り畳み可能な構成としてもよい。第二刈取部2Lは、二条分に限らず、非作用戻し経路H2どうしが近接する状態で隣り合うものであれば、一条あるいは三条以上に構成してもよい。
(3)上述した実施形態においては、第二刈取部2Lが、駆動機構としての電動シリンダ130によって第一刈取部2Rに対して折り畳まれる構成について説明したが、第二刈取部2Lは、駆動機構によらずに手動により第一刈取部2Rに対して折り畳まれる構成であってもよい。
(4)上述した実施形態においては、第二刈取部2Lが第一刈取2部Aに対して回動させられる構成について説明したが、刈取部2は、前部連結部200及び後部連結部210によって、境界Lにおいて分離可能に連結される構成であることから、前部連結部200及び後部連結部210における連結を解除することによって、第二刈取部2Lを第一刈取部2Rから取り外すことが可能である。つまり、刈取部2は、第二刈取部2Lは、左右方向へ移動させることによって第一刈取部2Rに対して着脱可能である。
第二刈取部2Lの取り外しに際しては、第二刈取部2Lの底部に台車を配置し、前部連結部200及び後部連結部210における連結を解除する。これによって、第二刈取部2Lと第一刈取部2Rとの連結が解除され、台車を移動させることによって第二刈取部2Lを取り外すことができる。第二刈取部2Lの第一刈取部2Rへの取り付けは逆の手順で行われる。このように、刈取部2の第二刈取部2Lは、左右方向へ移動させることによって第一刈取部2Rに対して着脱可能である。
なお、第二刈取部2Lを支持する構成として、台車にかえて、ジャッキや専用のスタンドを用いることも可能である。この場合は、コンバインを移動させて、第一刈取部2Rに対して、第二刈取部2Lを相対的に左右方向へ移動させる。
左右方向とは、第一刈取部2R及び第二刈取部2Lが並ぶ方向であることから、コンバインが水平な圃場にあるときは、水平方向である。なお、第二刈取部2Lは第一刈取部2Rに対して、前方連結部200及び後部連結部210が有する遊び、例えば右側中央ボス部202の二つの円筒部材202Aと、左側中央ボス部205の円筒部材205Aとの遊びの分だけ上下方向にも移動させ得る。したがって、第二刈取部2Lが移動する左右方向とは、斜め方向を含む。
なお、刈取部2は第二刈取部2Lが第一刈取部2Rに取り付けられた幅広状態(図6参照)であっても、第二刈取部2Lが第一刈取部2Rから取り外された幅狭状態(図31参照)であっても刈り取り作業が可能に構成されている。
刈取部2は、幅広状態(図6参照)であっても、幅狭状態(図31参照)であっても、刈幅が左右の走行装置4の走行幅Wよりも広く構成されるとともに、機体1に対して、左右の走行装置4の走行幅Wが刈幅内に収まるような位置に備えられていることが好ましい。なお、刈幅は、右踏み代TR、走行幅W及び左踏み代TLの合計である。
なお、刈取部2が幅狭状態であるとき、右踏み代TRは上述のとおり165mm程度である一方、左踏み代TLは5mm程度である。このように幅狭状態であるときであっても、走行装置4の左側にも踏み代として左踏み代TLを確保することにより、未刈穀稈を左側の走行装置4により踏み倒すおそれがない。
(5)上述した実施形態においては、八条刈りコンバインを示したが、七条刈りや八条刈り等でもよく、刈取条数は八条に限るものではない。