JP2019083809A - 乳酸発酵食品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】β−グルカン、ヘリセノン類、エリナシン類をはじめとする各種の有効成分をバランスよく含んでいて機能性が複合的・総合的に高められており、有益な生菌を多く含み保存性に優れた乳酸発酵食品を効率よく確実に製造できる方法の提供。【解決手段】大豆由来原料、糖類、及び活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水を混合し、加熱殺菌し、植物性乳酸菌を添加して乳酸発酵を行わせ、乾燥固化し、ヤマブシタケ粉末及びイチョウ葉由来原料を混合することを含む固形状の乳酸発酵食品の製造方法。活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水と大豆との混合物を煮沸して、水相中に大豆エキスを溶出させ、ろ過して大豆残渣を除去し、得られた大豆エキスと、ヤマブシタケ粉末、イチョウ葉由来原料及び糖類とを混合し、加熱殺菌し、植物性乳酸菌を添加して乳酸発酵を行わせることを含む液体状の乳酸発酵食品の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、固形状乳酸発酵食品の製造方法に係り、特には大豆、ヤマブシタケ等の原料を乳酸発酵させてなる乳酸発酵食品及びその製造方法に関する。
キノコ類には有用な生理活性物質が多く含まれることが従来から知られている。例えば、カバノアナタケ、マンネンタケ、メシマコブなどは、免疫力増強機能が高いことから、抗ガン剤の原料として利用されている。さらに近年においては、ハナビラタケ、アガリクス、ハタケシメジなどが注目されている。これらキノコの抗ガン作用は、いずれもキノコ類が含有するβ−グルカン(多糖類)の生理活性によることが立証されているが、一部のキノコ類はそれ以外の機能性物質も含有している。例えば、ハナビラタケにおいては、血糖調整機能、抗高脂血症機能、抗アレルギー機能、抗高血圧症機能、QOL向上機能等があると言われている。また、ヤマブシタケ等に代表されるサンゴハリタケ(Hericium)属のきのこは、β−グルカンのほか、ヘリセノン類、エリナシン類などといった機能性物質を含有しており、抗認知症機能、抗痴呆機能などがあると言われている。
先に挙げたキノコ類のなかでもヤマブシタケは、種々の有用な機能性物質を含むことから、近年その需要は拡大する傾向にある。そして現状では、ヤマブシタケを健康食品として消化しやすい形態にするために種々の加工処理が施され、乾燥品、乾燥粉末品、抽出エキスなどの各種商品形態で市場に流通されている。そして、ヤマブシタケを利用した健康食品等としては、従来各種のものが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、ヤマブシタケの子実体又はその処理物を添加した抗痴呆効果を有する飲食品が開示されている。特許文献2には、ヤマブシタケ等に代表されるβ−グルカンを含有する素材と、乳酸菌の加熱処理菌体(ただし死滅菌)とを有効成分として含有することを特徴とする感染抑制組成物が開示されている。特許文献3には、ヤマブシタケの乾燥子実体を90容量%以上のエタノールで抽出し、エタノール抽出液を得る工程、上記エタノール抽出液を濃縮した後、水を添加する工程、4℃以上、10℃以下の低温下で放置し、液面の浮遊物を収集する工程を含む、ヤマブシタケ由来活性物質の製造方法が開示されている。特許文献4には、ヤマブシタケの子実体の水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、アルツハイマー病を含む老人痴呆症などの治療又は予防に神経成長因子産生増強を要する疾患の治療剤又は予防剤が開示されている。
特開平11−56300号公報 特開2003−40785号公報 特開2009−269911号公報 特許第4410555号公報
しかしながら、ヤマブシタケを利用した特許文献1,2の健康食品は、十分に消化吸収されやすい形態であるとは言えなかった。そのため、例えば乳酸菌を用いてヤマブシタケを乳酸発酵させることで消化吸収効率を向上させた健康食品に対する要望があった。
さらに近年においては、熱、酸、塩分等に強く「生きて腸まで届く」性質を有する植物性乳酸菌を用いた乳酸発酵食品に対する関心が強く、これをヤマブシタケにも適用し、ヤマブシタケ乳酸発酵食品としたいという要望もあった。また、そのためには、乳酸菌の生菌数の高いヤマブシタケ乳酸発酵食品を製造することが望ましく、さらにその高い生菌数を高く維持したまま腐敗せずに長く保存できることが望ましいとされているが、現状では未だ実現化されていなかった。また、ヤマブシタケ単独ではなく、ヤマブシタケ以外の好ましい原料(例えば大豆等)を併用することで、β−グルカン、ヘリセノン類、エリナシン類をはじめとする各種の有効成分をバランスよく含み、機能性が複合的・総合的に高められた乳酸発酵食品を求めるニーズもあった。そして、このような優れた健康食品を効率よく確実に製造できる方法についても、従来具体的には提案されていなかった。ちなみに、特許文献3,4の従来技術は、基本的にヤマブシタケから有効成分を抽出することを特徴としているものの、その種類は限られ、また、乳酸発酵食品でもないことから、機能性が複合的・総合的に高められたものであるとは言い難い。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、β−グルカン、ヘリセノン類、エリナシン類をはじめとする各種の有効成分をバランスよく含んでいて機能性が複合的・総合的に高められており、有益な生菌を多く含み保存性に優れた乳酸発酵食品を提供することにある。また、本発明の別の目的は、そのような優れた乳酸発酵食品を効率よく確実に製造することができる方法を提供することにある。
そこで、本願発明者らが上記課題に鑑みて鋭意研究を行ったところ、β−グルカン、ヘリセノン類、エリナシン類などの含有原料としてヤマブシタケ粉末を用いるとともに、ヤマブシタケ粉末以外の原料として、大豆サポニンやイソフラボン等の有効成分を有する大豆由来原料、ギンコライド、テルペン・ラクトン、フラボン・グリコシド等の有効成分を有するイチョウ葉由来原料を併用し、これと乳酸発酵時の炭素源である糖類と、ミネラル成分を多く含み、浸透性が高く、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水とを混合したものを出発原料として植物性乳酸菌により乳酸発酵を行わせることで、いくつかの点において極めて好適な結果が得られることを新規に知見した。そこで、本願発明者らはさらにこの知見を発展させ、最終的に下記の解決手段を想到するに至ったのである。以下、上記の課題を解決するための手段[1]〜[12]を列挙する。
[1]固形状の乳酸発酵食品を製造する方法であって、大豆由来原料、糖類、及び活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水を混合する第1原料混合工程と、前記原料の混合物を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、加熱殺菌後の前記混合物に植物性乳酸菌を添加して乳酸発酵を行わせる乳酸発酵工程と、乳酸発酵生成物を乾燥させて固化する乾燥固化工程と、ヤマブシタケ粉末及びイチョウ葉由来原料を混合する第2原料混合工程とを含むことを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法。
[2]液体状の乳酸発酵食品を製造する方法であって、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水と大豆との混合物を煮沸して、水相中に大豆エキスを溶出させるエキス抽出工程と、前記エキス抽出工程を経た前記混合物をろ過して大豆残渣を除去し、前記大豆エキスを得るエキス分離工程と、得られた前記大豆エキスと、ヤマブシタケ粉末、イチョウ葉由来原料及び糖類とを混合する原料混合工程と、前記原料混合工程を経た前記混合物を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、前記加熱殺菌工程を経た前記混合物に植物性乳酸菌を添加して乳酸発酵を行わせる乳酸発酵工程とを含むことを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法。
[3]前記天然の硬水は、硬度が120mg/L以上であることを特徴とする手段1または2に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[4]前記天然の硬水は、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、前記ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であり、硬度が180mg/L以上であることを特徴とする手段1または2に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[5]前記天然の硬水は、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、前記ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であり、硬度が180mg/L以上であり、マグネシウム含有量が前記カルシウム含有量の1/5以下であり、カリウム含有量及びナトリウム含有量がともに前記マグネシウム含有量よりも少ないことを特徴とする手段1または2に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[6]前記天然の硬水は、酸化還元電位が0mV未満であることを特徴とする手段1乃至5のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[7]前記大豆由来原料は、前記天然の硬水に浸漬処理した大豆を煮沸処理後にろ過して得た大豆抽出液と、ろ過されずに残った大豆残渣を粉砕して得た大豆粉砕物との両方を含むことを特徴とする手段1乃至6のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[8]前記乳酸発酵食品は、粉末状あるいは粉末をカプセルに充填してなるものであることを特徴とする手段1、3乃至7のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[9]前記エキス抽出工程では、前記天然の硬水に前記大豆を5時間以上浸漬処理した後に1時間以上の煮沸処理を行うことを特徴とする手段2乃至6のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[10]前記乳酸発酵食品は、ドリンク剤であることを特徴とする手段2乃至6、9のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
[11]天然の硬水由来のミネラル成分、大豆由来成分、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来成分及び植物性乳酸菌の混合物である固形状の乳酸発酵食品であって、大豆由来成分は固形分を含むとともに、前記大豆由来成分における固形分の中に前記植物性乳酸菌の生菌が保持され、前記植物性乳酸菌の生菌数が1gあたり1.0×10個以上である乳酸発酵食品。
[12]活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水、大豆エキス由来成分、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来原料及び植物性乳酸菌の混合物である液体状の乳酸発酵食品であって、前記天然の硬水は、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、前記ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であり、硬度が180mg/L以上であるとともに、前記植物性乳酸菌の生菌数が1gあたり1.0×10個以上である乳酸発酵食品。
以上詳述したように、請求項11、12に記載の発明によると、β−グルカン、ヘリセノン類、エリナシン類をはじめとする各種の有効成分をバランスよく含んでいて機能性が複合的・総合的に高められており、有益な生菌を多く含み保存性に優れた乳酸発酵食品を提供することができる。また、請求項1〜10に記載の発明によると、そのような優れた乳酸発酵食品を効率よく確実に製造することができる方法を提供することができる。
本発明を具体化した実施例9の試験結果を示すグラフ。 実施例9の試験結果を示すグラフ。 実施例10の試験結果を示すグラフ。 実施例10の試験結果を示すグラフ。 実施例11の試験結果を示すグラフ。
以下、本発明を具体化した実施形態の乳酸発酵食品及びその製造方法について詳細に説明する。
本実施形態の乳酸発酵食品は、固形状または液体状を呈した乳酸発酵食品である。本実施形態における固形状の乳酸発酵食品は、天然の硬水由来のミネラル成分、大豆由来成分、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来成分及び植物性乳酸菌の混合物であり、例えば粉末状あるいは粉末をカプセルに充填してなるものとされる。このほか、粉末を成形して所定の形状とした錠剤、タブレット等とすることも可能である。なお、固形状の乳酸発酵食品の利点は、液状のものに比べて水分が少ないことから保存等に適していることである。
また、本実施形態における液体状の乳酸発酵食品は、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水、大豆エキス由来成分、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来原料及び植物性乳酸菌の混合物であり、好適な具体例としては、疲労回復や健康維持に効果が期待できる成分を含むドリンク剤などがある。この場合においてドリンク剤は、希釈を要さずそのまま飲むことができるストレートタイプであってもよいほか、飲むときに所定倍率に希釈する濃縮タイプであってもよい。また、本実施形態の液体状の乳酸発酵食品は、粘性が高い(流動性が低い)液状物(例えばペースト等)であってもよいほか、粘性が低い(流動性が高い)液状物であってもよい。
この乳酸発酵食品はヤマブシタケ由来成分を含んでいる。ここで、ヤマブシタケ由来成分とは、原料であるヤマブシタケに元々含まれている各種成分及び当該各種成分中に含まれる糖類の乳酸発酵によって生成される乳酸のことを指す。食用キノコ類の一種であるヤマブシタケ(山伏茸、学名:Hericium erinaceum)は、サンゴハリタケ科サンゴハリタケ属に属する食用キノコの一種であって、子実体はかさや柄を形成せず、ゆがんだ球塊状をなし、径及び高さが8cm〜25cm程度になる。一般的にヤマブシタケには、免疫力増強効果がある機能性物質であるβ−グルカン(特にβ1,3−グルカン)が最も多く含まれている(100g中に21.9g)。加えてヤマブシタケには、神経成長因子の生産を促進させる効果を持つ物質であるため抗認知症効果や抗腫瘍活性が期待されているヘリセノン類(Hericenone A,B,C,D,E,F,G,H等)、エリナシン類(erinacine A,B,C,D,E,F,G,H,I等)も含まれているほか、炭水化物、たんぱく質、灰分、糖類、アミノ酸等も含まれている。従って、乳酸発酵されたヤマブシタケ由来成分にも、これらのものが含まれているほか、発酵生成物である乳酸が含まれている。ちなみに、ヤマブシタケは、例えば、マイタケ、メシマコブ、ハタケシメジ、アガリクス、霊芝などに匹敵する量のβ1,3−グルカンが含まれており、有効成分の1つであるβ1,3−グルカンを効率よく取得するための原料として適している。ちなみに、β1,3−グルカンを多く含むヤマブシタケを摂取した場合には、血糖調整、抗高脂血症、抗アレルギー、抗高血圧症、QOL向上等の効果を期待することができる。
上記液体状の乳酸発酵食品は活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水を含んでおり、上記固形状の乳酸発酵食品は当該天然の硬水由来のミネラル成分を含んでいる。ここで、「天然の硬水由来のミネラル分」としては、カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等に代表されるアルカリ土類金属、カリウム(K)やナトリウム(Na)等に代表されるアルカリ金属、バナジウム(V)や亜鉛(Zn)等の微量元素などを挙げることができる。なお、天然の硬水のなかでも、アルカリ土類金属が多く含まれているものが好ましく、特にはカルシウムが多く含まれているものが好ましい。その理由は、カルシウム含有量が多いと、植物性乳酸菌の生育には殆ど影響を与えることなく大腸菌等の一般生菌の生育が抑制されることから、腐敗が防止され保存性の向上につながるからである。
本発明において「硬水」とは、WHO(世界保健機関)の基準で硬度が120mg/L以上の水のことをいい、硬度が120mg/L以上180mg/L未満の“硬水”が含まれるほか、硬度が180mg/L以上の“非常な硬水”も含まれる。ここで「硬度」とは、水1L中に溶けているカルシウム及びマグネシウムの含有量を、炭酸カルシウムの含有量に換算して表わした数値のことをいう。本発明ではカルシウム等が多く含まれる“非常な硬水”を使用することが好ましい。
具体的にいうと、この乳酸発酵食品に使用する天然の硬水としては、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であり、硬度が180mg/L以上のもの(即ち「非常な硬水」)であることが好ましい。この場合において、マグネシウム含有量がカルシウム含有量の1/5以下であり、カリウム含有量及びナトリウム含有量がともにマグネシウム含有量よりも少ないものであることが特に好ましい。このようなミネラルバランスを有するものは、以下のような点で好ましい。即ち、カルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であることから、上述した一般生菌生育抑制効果が得やすくなり、保存性の向上が達成されやすくなるからである。また、このようにカルシウム含有量が多いと、摂取することにより例えばインスリンの正常な分泌を促す効果を期待することができ、ひいては糖尿病発生リスクの低減につながるというメリットがある。加えて、骨粗鬆症発生のリスクの低減に関しても寄与しうる。さらに、マグネシウム含有量がカルシウム含有量の1/5以下であることから、これら成分のバランスが好適なものとなり、血流を改善する効果を期待することができる。勿論、カルシウムが少なからず含有されているため、摂取することにより例えば糖尿病発症のリスクの低減につながるというメリットがある。また、ナトリウム含有量がマグネシウム含有量よりも少ないことから、高血圧等の原因ともなりうるナトリウムの過剰接触を未然に防ぐことができる。
ここで、固形状の乳酸発酵食品は大豆由来成分を含んでいる。ここで、大豆由来成分とは、原料である大豆に元々含まれている各種成分及び当該各種成分中に含まれる糖類の乳酸発酵によって生成される乳酸のことを指す。大豆には、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、糖類、アミノ酸等が含まれているとともに、多くの機能性物質が含まれている。このような機能性物質としては、具体的には、総コレステロールを低下させる大豆レシチン、有益菌を増殖させる作用のあるオリゴ糖、抗酸化作用や血中脂質低下作用が期待できる大豆サポニン、骨粗鬆症の予防や更年期の不調を改善しうるイソフラボンなどが挙げられる。なお、乳酸発酵された大豆由来成分にも、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、糖類、アミノ酸、機能性物質等が含まれているほか、発酵生成物である乳酸が含まれている。大豆にはたんぱく質が最も多く含まれており、このたんぱく質の一部は乳酸発酵の際の窒素源としても利用される。この大豆由来成分は、液状分及び固形分のいずれであってもよいが、少なくとも固形分を含んでいることが好ましい。大豆由来成分における固形分は、後述する植物性乳酸菌の生菌を内部に保持する好適な保持体となりうるからである。
また、液体状の乳酸発酵食品は大豆エキス由来成分を含んでいる。ここで、大豆エキス由来成分とは、原料である大豆から抽出されたエキスに元々含まれている各種成分及び当該各種成分中に含まれる糖類の乳酸発酵によって生成される乳酸のことを指す。乳酸発酵された大豆エキス由来成分にも、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、糖類、アミノ酸、機能性物質等が含まれているほか、発酵生成物である乳酸が含まれている。大豆にはたんぱく質が最も多く含まれており、このたんぱく質の一部は乳酸発酵の際の窒素源としても利用される。なお、大豆エキスは、どのような溶媒を用いて抽出されたものであってもよいが、本実施形態では水を用いて抽出されたものであることが好ましく、特には上述した天然の硬水を用いて抽出されたものであることがより好ましい。
この乳酸発酵食品は植物性乳酸菌を含んでいる。植物性乳酸菌とは、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖などの様々な糖を分解することができるため、野菜、豆類、穀類などの植物素材などを原料として発酵を行うことができる乳酸菌のことをいう。この乳酸発酵食品に使用される好適な植物性乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、ロイコノストック属、バチルス属等が挙げられ、具体的には、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)等を挙げることができる。乳酸発酵食品にはここに列挙した植物性乳酸菌から選択される1種を単独で用いることができるほか、2種以上を混合して用いることもできる。なお、乳酸発酵食品には植物性乳酸菌として市販されているものを用いてもよいが、野菜、豆類、穀類などの植物素材にて生息しているものを採取して用いてもよく、あるいは植物以外の素材(例えばヤマブシタケ等のようなキノコ類)にて生息しているものを採取して用いることもできる。なお、植物性乳酸菌を摂取した場合には、免疫力の向上化、発がん物質の排出・分解、便秘・下痢の解消、病原菌感染の予防などの効果を期待することができる。
特にこの乳酸発酵食品には、活きたままの植物性乳酸菌が多く含まれており、具体的には生菌数が1gあたり1.0×10個以上含まれている。なお、植物性乳酸菌の生菌の多くは活性を維持したまま保持されており、例えば乳酸発酵された大豆由来成分における固形分がある存在する場合には、特にその中に保持されている。一方、乳酸発酵食品において植物性乳酸菌を除く一般細菌(大腸菌等)の生菌数は、植物性乳酸菌の生菌数に比べて非常に少ないことが要求され、具体的には1gあたり1.0×10個以下であることが好ましく、6.0×10個以下であることがより好ましく、1gあたり3.0×10個以下であることが特に好ましい。一般細菌の生菌数が少なければ少ないほど、腐敗しにくくなり保存性が向上するからである。
この乳酸発酵食品はイチョウ葉由来原料を含んでいる。イチョウ葉由来原料は、ギンコライド、テルペン・ラクトン、フラボン・グリコシド等の有効成分を含有している。ギンコライドは、イチョウ葉の香り成分の一種であって、動脈硬化の予防、冷え性や肩こりの改善、老人性痴呆症の治療などに効果があると言われている。テルペン・ラクトンには、血管に血栓ができるのを予防する効果、血流改善効果、アレルギー発作の炎症反応を抑制する効果などがあると言われている。フラボン・グリコシドはフラボノイドの一種であって、強力な抗酸化作用が特徴で、血管壁を丈夫にする働きや炎症を抑える効果などがあると言われている。
この乳酸発酵食品に含まれる天然の硬水(あるいは天然の硬水由来のミネラル成分)、大豆由来成分(あるいは大豆エキス由来成分)、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来原料及び植物性乳酸菌の比率は特に限定されず、任意の比率で混合されることができる。また、これらの成分は乳酸発酵食品における必須成分であるが、これら以外のものが任意成分として含まれていても勿論構わない。具体的には、体に良いと考えられるその他の有効成分が添加されていてもよく、あるいは風味、香り、色等を付与するための成分(香料等)が添加されていてもよい。
次に、本実施形態の乳酸発酵食品を製造する方法について説明する。
まず、固形状の乳酸発酵食品の製造方法について説明する。固形状の乳酸発酵食品は、基本的に第1原料混合工程、加熱殺菌工程、乳酸発酵工程、乾燥固化工程及び第2原料混合工程を経て製造される。
第1原料混合工程では、大豆由来原料、糖類、及び活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水を混合する。また、第2原料混合工程では、ヤマブシタケ粉末及びイチョウ葉由来原料を混合する。
大豆由来原料としては、大豆そのものを用いることができるほか、大豆を適宜加工、処理等したものを用いることもできる。加工、処理等した大豆由来原料としては、例えば、天然の硬水に浸漬処理した大豆を煮沸処理後にろ過して得た大豆抽出液を用いてもよく、天然の硬水に浸漬処理した大豆を煮沸処理後にろ過したときにろ過されずに残った大豆残渣を粉砕して得た大豆粉砕物を用いてもよいが、これらの両方を利用することが望ましい。その理由は、いずれか片方を用いる場合に比べて大豆の有効成分が余すことなく利用でき、収率の向上につながるばかりでなく、固形分を含むものとなることで植物性乳酸菌の生菌保持体としての機能も担保されるからである。別の言い方をすると、仮に大豆抽出液のみを用いた場合には、乾燥して固形化するための時間及びコストがかかり生産性・収率の低下を来すばかりでなく、強い乾燥条件を設定する必要があるため植物性乳酸菌が受けるダメージも大きくなる。
糖類としては、乳酸菌の発酵に利用可能なものであれは特に限定されず、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、シュークロース等のうちから選択される1種または2種以上を使用することができる。
天然の硬水としては、上述したように硬度が120mg/L以上のものを使用することが好ましく、さらには硬度が180mg/L以上のもの(即ち、非常な硬水)を使用することが好ましく、特には硬度が300mg/L以上のものを使用することが好ましい。また、ここで用いる天然の硬水としては、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であることが好適である。さらに、マグネシウム含有量がカルシウム含有量の1/5以下であり、カリウム含有量及びナトリウム含有量がともにマグネシウム含有量よりも少ないものであることがより好適である。
さらに、ここで使用する天然の硬水としては、酸化還元電位(ORP)がマイナスの値(即ち0mV未満である)を示すものであることが好ましく、より好ましくは−30mV以下であることがよく、特には−50mV以下であることがよい。酸化還元電位の値がこの程度のものであれば、活性水素を供与する還元力を持つものであるということができるからである。ちなみに、一般的な水道水の酸化還元電位は+500mV〜+700mV程度、純水の酸化還元電位は+200mV程度、市販のミネラルウォーターの酸化還元電位は+100mV〜+300mV程度であり、いずれもプラスの値であり、活性水素を供与する還元力を持たない。
なお、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水とは、例えば、DBNBS(3,5−ジブロモニトロソベンゼンスルホン酸ナトリウム)活性水素供与反応で陽性の反応性を示す天然の硬水であると定義することもできる。ここで、DBNBS活性水素測定法を用いた既知抗酸化物質の総抗酸化力の評価法においては、一般的に抗酸化力の基準物質としてトロロックス(商品名)が用いられるが、トロロックス相当量の1倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上の抗酸化力を示す天然の硬水を用いることがよい。なお、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水は、抗酸化力が高いというばかりでなく、浸透力や殺菌力が高いという性質も有する。よって、これを用いて乳酸発酵食品を製造すれば、他の原料中の有効成分を効率よく水相に溶出させることができるとともに、一般生菌の繁殖(特に好気性細菌の繁殖)も抑制することができ、腐敗等や変質劣化を防ぐことが期待できる。
そして、以上のような諸条件を満たす天然の硬水としては、例えば、三重県松阪市飯高町、大台山系台高山脈の地中深い鍾乳洞窟から湧き出た天然の還元水である「命の硬水(商品名)」などがある。
ヤマブシタケ粉末としては、従来公知の手法により、ヤマブシタケの子実体を乾燥、粉末化したものが使用できる。この場合、ヤマブシタケ粉末の粒度は特に限定されないが、一般的な摩砕物の粒度よりは小さいことがよく、具体的には20メッシュパスであることが好ましく、60メッシュパスかつ100メッシュオンであることが特に好ましい。このような範囲の粒度であると、ヤマブシタケ粉末から各種有効成分を効率よく溶出させることが可能になることに加え、舌触り等の食感も好適なものとなり、また溶解時に粉末が水面に浮いてしまう等の不具合も起こりにくくなるからである。
イチョウ葉由来原料としては、例えばアルコール等の溶媒を用いてイチョウ葉から有効成分を抽出して得られるイチョウ葉エキス等を使用することができる。
そして、上記第1原料混合工程では、大豆由来原料、糖類、及び活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水を、具体的には以下の手順で混合する。まず、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水に大豆を常温で浸漬処理し、大豆中の水溶性成分を抽出する。このときの天然の硬水の配合量は大豆の配合量よりも多く、例えば質量比で3倍〜20倍程度とされる。浸漬時間は例えば1時間〜48時間程度とされる。所定時間の浸漬処理の後、大豆及び天然の硬水の混合物を100℃で1時間〜5時間程度に加熱して煮沸処理し、殺菌する。この処理により混合物中に含まれている一般生菌の数を、乳酸発酵に支障がない程度まで減じることができる。次に、煮沸処理された前記混合物を従来公知のろ過装置を用いてろ過し、エキス分である大豆抽出液と、それ以外の固形分(大豆残渣)とに分ける。ここで、大豆残渣についてはミルを用いて細かく粉砕し、得られた大豆粉砕物を再び大豆抽出液と混合することにより、乳酸発酵に供する大豆由来原料とする。このようにすると、最終的に得られる乳酸発酵食品の収率が3倍〜10倍程度向上アップしうるため、例えば原料として使用する大豆の使用量を少なく抑えることも可能となる。
そして、上記の大豆由来原料と、グルコース等の糖類とを混合する。このとき、上記天然の硬水を適宜足してもよい。各原料の配合比は特に限定されず任意に設定されうるが、天然の硬水の配合比については最も多くする必要があり、例えば70質量%〜95質量%程度に設定される。なお、糖類を混合するタイミングはろ過処理の後でなくてもよく、ろ過処理の前でもよい。ただし、後者のタイミングを採用した場合には一般生菌によって糖分等が消費、分解され、乳酸発酵に用いる前にその量が減ってしまう可能性がある。また、一般生菌の繁殖により好ましくない味、臭い等が付与される可能性もある。従って、ここでは前者のタイミングを採用することが望ましいといえる。
ここで、β−グルカン等を含有する原料であるヤマブシタケ粉末及びイチョウ葉由来原料を混合する第2原料混合工程は、任意のタイミングで行うことが可能であり、例えば、上記第1原料混合工程中(言い換えると、加熱殺菌工程よりも前の段階)にて行ってもよい。あるいは、第1原料混合工程よりも後の段階で第2原料混合工程を行ってもよく、例えば、加熱殺菌工程と乳酸発酵工程との間、乳酸発酵工程と乾燥固化工程との間、または乾燥固化工程の後であってもよい。
また、大豆由来原料はヤマブシタケ粉末やイチョウ葉由来原料よりも多く配合されてもよく、糖類は乳酸発酵に必要な量だけ適宜配合される。より具体的な例を挙げると、大豆由来原料を3質量%〜10質量%程度配合し、ヤマブシタケ粉末を1質量%〜10質量%程度配合し、イチョウ葉由来原料(イチョウ葉エキス)を1質量%〜5質量%程度配合し、糖類を2質量%〜10質量%程度配合していてもよい。
加熱殺菌工程では、前記原料の混合物を100℃で1分〜60分ほど加熱殺菌する。この後、原料の混合物を乳酸菌が生育しやすい温度域(例えば約35℃)まで自然にまたは強制的に冷却し、発酵槽に投入する。そして、続く乳酸発酵工程では、加熱殺菌後の前記混合物に上述した植物性乳酸菌を添加し、35℃の温度を維持しつつ30時間〜100時間程度培養して、乳酸発酵を行わせる。
続く乾燥固化工程では、乳酸発酵生成物を乾燥させて固化する。乾燥の方法は限定されずどのような方法でもよいが、非加熱的な方法が好ましく、例えばフリーズドライ法により粉末化する方法が好適である。このような方法であると、植物性乳酸菌の活性を低下させるリスクも小さく、乳酸発酵生成物中に含まれている有効成分の変質、失活等も未然に防ぐことができるからである。そして、この粉末化された乳酸発酵生成物を容器詰めすることで、粉末状製品が完成する。あるいは、粉末化された乳酸発酵生成物をカプセルに充填したうえで容器詰めすることで、カプセル状製品が完成する。
次に、液体状の乳酸発酵食品の製造方法について説明する。液体状の乳酸発酵食品は、基本的にエキス抽出工程、エキス分離工程、原料混合工程、加熱殺菌工程及び乳酸発酵工程を経て製造される。
エキス抽出工程では、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水と大豆との混合物を煮沸して、水相中に大豆エキスを溶出させる。ここで、「天然の硬水」としては、例えば固形状の乳酸発酵食品の製造方法にて用いた硬水と同様のものが使用され、具体的には天然の還元水である「命の硬水(商品名)」が好適である。
上記エキス抽出工程において、具体的には以下のようにすることが好適である。まず、活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水に大豆を常温で浸漬処理し、大豆に天然の硬水を十分に浸透させ、大豆中の水溶性成分(即ち大豆エキス)が水相中に溶出されやすいような状態とする。勿論、大豆エキスはこの時点でもある程度水に溶出している。このときの天然の硬水の配合量は大豆の配合量よりも多く、例えば質量比で3倍〜20倍程度とされる。浸漬処理の時間は例えば1時間〜48時間程度とされるが、抽出量を向上させるために例えば5時間以上とすることが好ましい。所定時間の浸漬処理の後、大豆及び天然の硬水の混合物を100℃で1時間〜5時間程度に加熱して煮沸処理し、殺菌する。この処理により混合物中に含まれている一般生菌の数を、乳酸発酵に支障がない程度まで減じることができる。
続くエキス分離工程では、エキス抽出工程を経た混合物を従来公知のろ過装置を用いてろ過して固形分である大豆残渣を除去し、大豆エキスを得るようにする。
続く原料混合工程では、得られた大豆エキスと、ヤマブシタケ粉末、イチョウ葉由来原料及び糖類とを混合する。このとき、上記天然の硬水を適宜足してもよい。なお、ヤマブシタケ粉末、イチョウ葉由来原料及び糖類としては、いずれも固形状の乳酸発酵食品の製造方法にて用いた材料と同様のものが使用される。
各原料の配合比は特に限定されず任意に設定されうるが、天然の硬水の配合比については最も多くする必要があり、例えば70質量%〜95質量%程度に設定される。また、大豆はヤマブシタケ粉末やイチョウ葉由来原料よりも多く配合されてもよく、糖類は乳酸発酵に必要な量だけ適宜配合される。より具体的な例を挙げると、大豆を3質量%〜10質量%程度配合し、ヤマブシタケ粉末を1質量%〜10質量%程度配合し、イチョウ葉由来原料(イチョウ葉エキス)を1質量%〜5質量%程度配合し、糖類を2質量%〜10質量%程度配合してもよい。
続く加熱殺菌工程では、原料混合工程を経た原料の混合物を加熱殺菌する。具体的には、前記混合物を加圧状態で100℃超の温度にて10分以上加熱する高圧滅菌処理を行い、乳酸発酵工程前に一般生菌の数を確実に減じておくことが好ましい。この後、原料の混合物を乳酸菌が生育しやすい温度域(例えば約35℃)まで自然にまたは強制的に冷却し、発酵槽に投入する。そして、続く乳酸発酵工程では、加熱殺菌後の前記混合物に上述した植物性乳酸菌を添加し、35℃の温度を維持しつつ30時間〜100時間程度培養して、乳酸発酵を行わせることにより、液体状の乳酸発酵食品が製造される。その後、これを所定の容器に充填することで製品が完成する。
以下、本実施形態の固形状乳酸発酵食品をより具体化したいくつかの実施例を示す。
<実施例1>
固形状乳酸発酵食品(粉末状)の作製
まず、天然の硬水である上記「命の硬水」10Lに大豆0.7kgを常温で1夜浸漬処理し、大豆中の水溶性成分を抽出した。浸漬処理の後、大豆及び水の混合物を100℃で3時間加熱して煮沸処理し、殺菌を行った。次に、煮沸処理された前記混合物をろ過し、エキス分である大豆抽出液と、それ以外の固形分(大豆残渣)とに分けた。ここで、大豆残渣についてはミルを用いて細かく粉砕し、得られた大豆粉砕物を再び大豆抽出液と混合することにより、乳酸発酵に供する大豆由来原料とした。この段階で、ヤマブシタケ粉末、イチョウ葉エキス粉末及びグルコースを混合した。その際、大豆が約6.0質量%、ヤマブシタケ粉末が約2.5質量%、イチョウ葉エキス粉末が約1.0質量%、グルコースが8.5質量%となるように混合し、残りが水となるように水を足した。次に、原料の混合物を100℃で10分加熱殺菌した後、35℃まで自然冷却し、発酵槽に投入した。続く乳酸発酵工程では、加熱殺菌後の前記混合物に植物性乳酸菌を添加し、35℃の温度を維持しつつ72時間培養して、乳酸発酵を行わせた。この後、乳酸発酵生成物をフリーズドライにより乾燥させて固化し、粉末状の乳酸発酵食品を作製した。そして、この製造方法によれば、粉末状の乳酸発酵食品を効率よく確実に、しかも比較的高い収率で製造することができた。
<実施例2>
固形状乳酸発酵食品(粉末状)の作製
まず、天然の硬水である上記「命の硬水」10Lに大豆0.7kgを常温で1夜浸漬処理し、大豆中の水溶性成分を抽出した。浸漬処理の後、大豆及び水の混合物を100℃で3時間加熱して煮沸処理し、殺菌を行った。次に、煮沸処理された前記混合物をろ過し、エキス分である大豆抽出液と、それ以外の固形分(大豆残渣)とに分けた。ここで、大豆残渣についてはミルを用いて細かく粉砕し、得られた大豆粉砕物を再び大豆抽出液と混合することにより、乳酸発酵に供する大豆由来原料とした。この段階でグルコースを8.5質量%混合し、残りが水となるように水を足した。次に、原料の混合物を121℃で20分加熱殺菌した後、35℃まで自然冷却し、発酵槽に投入した。続く乳酸発酵工程では、加熱殺菌後の前記混合物に植物性乳酸菌を添加し、35℃の温度を維持しつつ72時間培養して、乳酸発酵を行わせた。この後、乳酸発酵生成物をフリーズドライにより乾燥させて固化、粉末化した。この粉末にヤマブシタケ粉末及びイチョウ葉エキス粉末を混合することで、粉末状の乳酸発酵食品を作製した。そして、この製造方法であっても、粉末状の乳酸発酵食品を効率よく確実に製造することができた。
<実施例3>
固形状乳酸発酵食品(カプセル状)の作製
基本的に上記実施例1の手順を踏襲して植物性乳酸菌による乳酸発酵を行わせた後、乳酸発酵生成物をフリーズドライにより乾燥させて固化し、粉末状とした。次に、円筒形のボディとキャップとからなるゼラチン製の硬カプセルを用意しておき、従来公知のカプセル充填機を用いて上記粉末を硬カプセルに充填した後、ボディとキャップとを閉じて一体化することで、カプセル状の乳酸発酵食品を作製した。この製造方法によれば、カプセル状の乳酸発酵食品を効率よく確実に、しかも比較的高い収率で製造することができた。
<実施例4>
液体状乳酸発酵食品(ドリンク剤)の作製
まず、天然の硬水である上記「命の硬水」10Lに大豆2kgを常温で15時間浸漬処理し、上記天然の硬水を大豆に十分に浸透させることによって、大豆中の水溶性成分が水相中に溶出されやすいような状態にした。浸漬処理の後、大豆及び水の混合物を100℃で3時間加熱して煮沸処理することで、殺菌を行うとともに大豆中の水溶性成分の抽出を行った。次に、煮沸処理された前記混合物をろ過し、固形分である大豆残渣を除去し、乳酸発酵に供する大豆エキスを得た。この段階で、大豆エキスと、ヤマブシタケ粉末、イチョウ葉エキス粉末及び糖類とを混合した。その際、大豆エキスが約6.0質量%、ヤマブシタケ粉末が約2.5質量%、イチョウ葉エキス粉末が約1.0質量%、グルコースが8.5質量%となるように混合し、残りが水となるように上記天然の硬水を足した。次に、原料の混合物を121℃で20分の条件で高圧滅菌した後、35℃まで自然冷却し、発酵槽に投入した。続く乳酸発酵工程では、高圧滅菌後の前記混合物に植物性乳酸菌を添加し、35℃の温度を維持しつつ72時間培養して、乳酸発酵を行わせることにより、ドリンク剤の形態をなす液体状の乳酸発酵食品を作製した。そして、この製造方法によれば、液体状の乳酸発酵食品を効率よく確実に製造することができた。
<実施例5>
固形状乳酸発酵食品(錠剤状)の作製
基本的に上記実施例1の手順を踏襲して植物性乳酸菌による乳酸発酵を行わせた後、乳酸発酵生成物をフリーズドライにより乾燥させて固化し、粉末状とした。次に、従来公知の打錠機を用いて上記粉末を打錠し、偏平丸形を呈する錠剤状の乳酸発酵食品を作製した。なお、錠剤の形は丸形に限定されず、例えば、三角形、フットボール型などであってもよい。また、錠剤の表面に必要に応じて文字や模様等を刻印してもよい。あるいは、この打錠後に必要に応じてコーティング機で錠剤表面に高分子や白糖の皮膜を形成してもよい。この製造方法によれば、錠剤状の乳酸発酵食品を効率よく確実に、しかも比較的高い収率で製造することができた。
<実施例6>
固形状乳酸発酵食品(粉末状)について「水の種類」を変更して行った評価試験
本実施例では、実施例1において使用した水の種類を変更して、いくつか粉末状の乳酸発酵食品のサンプルを作製した。ここで使用した水については表1に示す通りである。表1において「硬水1」と表したものは、実施例1にて使用した「命の硬水」である。「硬水2」は市販されているフランス産の天然水であって、硬度が291mg/Lであることから、これも“非常な硬水”の範疇に属するものである。「軟水1」は市販されている日本産の天然水であって、硬度が84mg/Lであることから、“硬水”の範疇には属しないものである。「軟水2」は市販されているフランス産の天然水であって、硬度が61mg/Lであることから、“硬水”の範疇には属しないものである。「軟水3」は市販されている日本産の天然水であって、硬度が38mg/Lであることから、“硬水”の範疇には属しないものである。「軟水4」は日本産(大阪市)の水道水であって、硬度が50mg/Lであることから、“硬水”の範疇には属しないものである。なお、表1には、それぞれの水のミネラル成分の値及びpHが記載されている。
そして、本実施例で用いた各種の水につき、市販の酸化還元電位計を用いて酸化還元電位(ORP)の値を測定した結果を表2に示すとともに、活性水素供与能の有無について調査した結果も表2に示す。ここでは、上述したDBNBS活性水素供与反応で陽性の反応性を示すものを「活性水素供与能有り」と判定し、陰性の反応性を示すものを「活性水素供与能無し」と判定した。また、各種の水を用いて作製した乳酸発酵食品の各サンプルを所定期間(3か月)のあいだ保管した後、食品1gあたりに含まれる植物性乳酸菌の生菌数を測定した。加えて、大腸菌等の一般生菌数も調査するとともに、サンプルの色、臭い等を調査し、これらの結果を総合して、保存性の良否を評価した。ここでは◎、〇、△、×の4段階評価とした。それら測定結果及び評価結果を併せて表2に示す。

以上の結果からすると、硬水1である「命の硬水」のみがマイナスの酸化還元電位を示したのに対し、他の水についてはプラスの酸化還元電位を示したことから、活性水素供与能について測定したところ、やはり「命の硬水」のみが「活性水素供与能有り」という結果になった。また、硬水1を用いたサンプルと軟水4を用いたサンプルとについて乳酸菌生菌数を比べたところ、明らかに前者のほうが多く、1gあたり1.0×10個以上という好適な値を示した。保存性に関して、硬水1を用いたサンプルは、一般生菌数も製造当初の低い値を維持しており(1gあたり3.0×10個以下)、また、色や臭い等の変化もなく腐敗や品質劣化が全く起こっていなかった。よって、保存性が極めて良好であるという結果が得られた。一方、他のサンプルについては、一般生菌数が製造当初の値から増加する傾向が認められ、一部のものでは色や臭い等に変化があり腐敗や品質劣化が起こっていることが示唆された。ゆえに、これらについては保存性があまり良好ではないという結果となった。
ちなみに、詳細な説明は割愛するが、実施例1において使用した水の種類を変更して、上記実施例4のような液体状の乳酸発酵食品のサンプルをいくつか作製して同じ調査を行ったところ、同様の結果が得られた。
<実施例7>
固形状乳酸発酵食品(粉末状)について、使用する「ヤマブシタケ原料の粒度」を変更して行った評価試験
実施例5では、原料であるヤマブシタケの粒度を表3に示すように4段階設定し、それぞれについて粉末状の乳酸発酵食品のサンプルを作製した。具体的には、20メッシュオン(摩砕物)の原料を用いたサンプル、20メッシュパス60メッシュオンの粉末状原料を用いたサンプル、60メッシュパス100メッシュオンの粉末状原料を用いたサンプル、100メッシュパスの粉末状原料を用いたサンプル、の4つとした。これらについて、液相へのβ−グルカンの溶出の程度を4段階で評価するとともに、風味及び食感の良否について4段階で評価した。その結果を表3に示す。
これによると、液相へのβ−グルカンの溶出の程度は、60メッシュパス100メッシュオンの粉末状原料を用いたサンプルにおいて最も多くなることがわかった。ちなみに、表3に具体的なデータを掲載してはいないが、実施例6にて用いた各種の水を使用し(ただし硬水1を除く)、同程度の粒度のヤマブシタケ粉末状原料を用いてサンプルを作製したとしても、本実施例の上記サンプルに匹敵するほど多くのβ−グルカンを溶出させることはできなかった。
また、風味、食感に関しては、60メッシュパスの粉末状原料を用いたサンプルにおいて良好であることがわかった。これに対し、60メッシュオンの粉末状原料を用いたサンプルにおいては、若干ざらついた舌触りとなり、食感が低下する傾向があった。ただし、100メッシュパスの粉末状原料を用いたサンプルの場合、原料の混合時に水面に浮き上ってしまう原料の割合が多くなるという傾向があった。
以上、実施例1〜7の結果を総合すると、本実施形態によれば、β−グルカン、ヘリセノン類、エリナシン類をはじめとする各種の有効成分(各種ミネラル成分、各種アミノ酸、大豆サポニン、大豆レシチン、イソフラボン、活性水素、ギンコライド、テルペン・ラクトン、フラボン・グリコシドなど)をバランスよく含んでいて機能性が複合的・総合的に高められており、有益な生菌を多く含み保存性に優れた乳酸発酵食品を提供することができる。また、本実施形態の製造方法によれば、そのような優れた乳酸発酵食品を効率よく確実に製造することができる。
<実施例8>
固形状乳酸発酵食品(粉末状)が好中球の形態変化に与える効果の確認試験
本実施例では、実施例1で作製した乳酸発酵食品を用い、これを処理して培養を行ったときの白血球の一種である好中球の形態変化を経時的に観察した。その際、乳酸発酵食品を処理しないものをコントロールとして位置付け、これについても好中球の形態変化を経時的に観察した。
β−グルカンを含む乳酸発酵食品を処理する前の時点では、好中球は球形を保っており、形態変化はまだ起こらない。β−グルカンを含む乳酸発酵食品を処理してから所定時間が経過した後の時点では、好中球は球形ではなくなり、明らかに形態変化が起こっていた。具体的には、細胞質内のアズール顆粒が増大化する結果、細胞核の分裂が盛んに起こっているようであった。そしてさらに時間が経過した後の時点では、細胞核の分裂が盛んに起こった結果、免疫細胞であるマクロファージ(貪食細胞)が多数生じていた。マクロファージ内には多くの液胞が見られ、それらの中には酵素(即ち異物を消化するための酵素)が多く入っていることがわかった。これに対し、β−グルカンを含まないコントロールでは、ある程度時間が経過しても、形態変化が認められなかった。
以上のことから、β−グルカンを多く含む本実施形態の乳酸発酵食品を人間等の哺乳類が摂取した場合、血液中にて白血球が活性化し、がん細胞やウィルス等の異物を捕食するマクロファージの増加につながり、ひいては免疫力の増強につながるものと推論される結果となった。
<実施例9>
液体状乳酸発酵食品を用いた、神経細胞の活性酵素による細胞死に対する効果の確認試験
認知症を代表とする神経変性疾患は、加齢に伴い神経細胞が細胞死を起こして脱落してしまい脳機能が低下する病気であると考えられている。加齢による神経細胞死の原因の一つとして、活性酸素産生量が増加することが考えられる。そこで、本実施例では、実施例4で作製した液体状乳酸発酵食品を(ドリンク剤)を用いるとともに、培養神経細胞の活性酵素による細胞死に対する液体状乳酸発酵食品の効果の有無を確認した。
この試験では、培養神経細胞としてSH−SY5Y細胞を選択した。具体的には、10%牛胎児血清添加D−MEM培地で継代培養し、増殖期にあるSH−SY5Y細胞を用いた。そして、この細胞を96wellプレートに播種した後、24時間後に培地を入れ換え、その際に過酸化水素水を複数の濃度(0μM、10μM、25μM、75μM、100μM)に設定して添加した。その後、細胞を24時間培養した後、細胞死の発生状況(具体的には細胞生存率(%))をMTTアッセイ法により解析した。その結果を図1のグラフに示す。このグラフにおいて横軸は過酸化水素水濃度(μM)であり、縦軸は細胞生存率(%)である。
図1のグラフから明らかなように、SH−SY5Y細胞に活性酸素である過酸化水素水を加えると、濃度依存的に細胞死を起こすことが判明した。また、この細胞死はMTTアッセイで検出することができるとともに、顕微鏡下での観察からアポトーシスではなくネクローシス様の細胞死であることがわかった。そこで、最も強い細胞死を起こした100μMの濃度で過酸化水素を添加して、以後の実験を行うこととした。
次に、過酸化水素による細胞死を実施例4の乳酸発酵食品が抑制するか否かについて検討した。この試験では、上記の過酸化水素添加培養液に対して、乳酸発酵食品を複数の濃度(0.05%、0.1%、0.5%、1%、5%)で添加し、細胞死の発生状況をMTTアッセイ法により解析した。ここでは対照として、無添加区を1つ、ヤマブシタケ抽出物のみを添加した試験区を1つ、イチョウ葉抽出物のみを添加した試験区を2つ設定し、乳酸発酵食品添加区と比較検討した。その結果を図2のグラフに示す。このグラフにおいて横軸は各被検液の濃度であり、縦軸は細胞生存率(%)である。
無添加区の細胞生存率を100とした場合、図2のグラフから明らかなように、ヤマブシタケ抽出物のみを添加した試験区、イチョウ葉抽出物のみを添加した試験区の細胞生存率は100以下となった。即ち、これらの試験区では、試験に供したいずれの濃度においても細胞死を抑制することはなかった。それに対し、乳酸発酵食品を0.1%以上添加した試験区においては、細胞生存率が100を超える値を示し、過酸化水素による細胞死を抑制する傾向が認められた。とりわけ、乳酸発酵食品を5%添加した試験区においては、細胞生存率が30%ほど増加し、明らかに過酸化水素による細胞死を抑制することがわかった。
以上のことから、本実施形態の乳酸発酵食品は、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来成分のほかいくつかの有効成分をバランスよく含んでいるため、機能性が複合的・総合的に高まり、その結果として上記のような細胞死抑制効果が得られるに至ったものと考えられた。そして、本実施形態の乳酸発酵食品を人間等の哺乳類が適量摂取した場合には、神経細胞であるニューロンの活性酵素による細胞死の抑制につながり、ひいてはアルツハイマー型認知症の予防または治療につながるものと推論される結果となった。
<実施例10>
炎症血管内皮細胞及びヒト単球/マクロファージの遺伝子発現に対し、液体状乳酸発酵食品が及ぼす効果の確認試験
認知症などの神経変性疾患の発症には、血管内皮や血中免疫関連細胞の炎症が影響を与えると考えられている。本実施形態の乳酸発酵食品に含まれるヤマブシタケには、神経成長を促すヘリセノンや、自然免疫賦活作用のあるβ−グルカンなどが含まれており、認知機能障害を抑制する作用があると言われている。そこで本実施例では、ヒト血管内皮細胞及びヒト末梢血単球/マクロファージの遺伝子発現に及ぼす乳酸発酵食品含有成分の影響を解析した。
この試験では、炎症性血管内皮細胞として、コラーゲン処理培養プレートで培養したヒト血管内皮細胞(HUVEC)を選択した。この細胞に対し、最終濃度0%〜2.0%となるように乳酸発酵食品を添加した後、細菌毒素エンドトキシン(LPS)を10μg/mL)添加して24時間培養した。その後、各ウェルの細胞からRNAを抽出してcDNAを調製し、血管内皮細胞における血液凝固・炎症関連遺伝子の発現量をRT−PCRを用いて測定した。ここでは、炎症・凝固惹起タンパクである組織因子(TF:tissue factor)、抗血栓性タンパクであるトロンボモジュリン(TM:thrombomodulin)、プロテインC受容体(EPCR:endothelial protein C receptor)、細胞接着タンパクのVCAM−1(vascular cell adhesion molecule−1)、ICAM−1(intercellular adhesion molecule−1)、血管内皮細胞一酸化窒素合成酵素(e−NOS:endothelial nitric oxide synthase)、及び線溶阻害因子である組織プラスミノゲンアクチベータインヒビタ−1(PA−1:tissue plasminogen activatorinhibitor−1)を測定因子として選択して調査を行った。その結果を図3(a)〜(c)のグラフに示す。各グラフにおいて横軸は濃度(%)であり、縦軸はmRNAの発現量である。
炎症・凝固惹起因子の組織因子(TF)遺伝子の発現はLPS刺激で増加するとともに、乳酸発酵食品は濃度依存的にTF遺伝子の発現量を高めることがわかった(図3(a)参照)。プロテインC受容体(EPCR)遺伝子の発現はLPS刺激で低下するものの、乳酸発酵食品は濃度依存的に同遺伝子の発現量を高めることがわかった(図3(b)参照)。血管内皮NO産生酵素(e−NOS)遺伝子の発現はLPS刺激で増加することがわかった。また、乳酸発酵食品は、0.02%を至的濃度としてe−NOSの発現量を高め、それ以上の濃度では逆に発現量を低下させることもわかった(図3(c)参照)。これらに対して、細胞接着タンパク(VCAM−1、ICAM−1)、抗凝固因子(TM)、線溶阻害因子(PAI−1)遺伝子の発現量には変化がみられなかった。
次の試験では、ミクログリア細胞の機能に及ぼす効果を解析するために、ミクログリア細胞と機能が類似するとされるヒト末梢血単球を用いた。そしてこの単球を0%〜5%の乳酸発酵食品を含む専用無血清培地で7日間培養した後、各ウェルの培養細胞からRNAを抽出してcDNA を調製した。そして、単球/マクロファージにおける血液凝固・炎症関連遺伝子、神経細胞栄養因子などの遺伝子発現量をRT−PCRを用いて測定した。その結果を図4(a)〜(e)のグラフに示す。各グラフにおいて横軸は濃度(%)であり、縦軸はmRNAの発現量である。
抗凝固因子(TM)遺伝子の発現量は、乳酸発酵食品の添加により濃度依存的に著しく増加することがわかった(図4(a)参照)。EPCR遺伝子の発現量は、乳酸発酵食品の添加により濃度依存的に著しく増加することがわかった(図4(b)参照)。炎症・凝固惹起因子TF遺伝子の発現量は、乳酸発酵食品の添加により濃度依存的に著しく増加することがわかった(図4(c)参照)。線溶阻害因子PAI−1遺伝子の発現量は、乳酸発酵食品の添加により濃度依存的に増加し、特に1%以上の乳酸発酵食品の存在下で著しく増加することがわかった(図4(d)参照)。神経栄養因子(BDNF)遺伝子の発現量は、0.2%〜1%の乳酸発酵食品を至的濃度として増加し、それ以上の濃度では逆に低下することがわかった(図4(e)参照)。
以上のことから、いくつかの有効成分をバランスよく含み機能性が複合的・総合的に高められている本実施形態の乳酸発酵食品には、炎症血管内皮細胞に対して、傷害局所における止血機能の促進と炎症の拡大を阻止する作用、 血管弛緩による血液流動性を高める作用があると考えられた。また、本実施形態の乳酸発酵食品には、単球/マクロファージに対して、細胞周囲の体液の流動性を高める作用、傷害時には凝固促進と線溶阻止とにより出血を阻止するとともに、神経の成長を促す神経栄養因子(BDNF)の産生を高める作用があるものと考えられた。そして、本実施形態の乳酸発酵食品を人間等の哺乳類が適量摂取した場合には、脳内の血管内皮細胞の炎症が阻止され当該細胞の機能障害が起きにくくなるとともに、脳ミクログリア細胞の生存・成長等が促進され、ひいては血管性認知症の予防または治療につながるものと推論される結果となった。
<実施例11>
糖負荷マウスモデルにおける身体状態、認知機能の変化に対し、液体状乳酸発酵食品が及ぼす影響の確認試験
近年、the action to control cardiovascular risk in diabetes−memory in diabetes(ACCORD−MIND)研究など、多くの研究から血糖の上昇に伴う認知機能の低下が報告されている。ヤマブシダケには、抗腫瘍活性や認知機能改善効果が期待されているほか、D−スレイトール、D−アラビニトール、パルミチン酸などの抗酸化物質を含むことから血中脂質量を調整し、血糖値を低減させる効果も期待されている。そこで本実施例では、認知機能や脳組織への糖負荷の影響、及びヤマブシダケの乳酸発酵食品の影響を糖負荷モデル動物を用いて検討した。
試験に用いる動物としては、ddY系雄性マウス3週齢を用いた。このマウスをコントロール群(a群)、乳酸発酵食品摂取群(b群)、糖負荷(高血糖)群(c群)、糖負荷(高血糖)+乳酸発酵食品摂取群(d群)、の4つに群分けし、各群6匹として4か月間糖負荷試験を行った。食事については、糖負荷を加えない群(即ちa、b群)に対し通常餌を与える一方、糖負荷を加える群(即ちc、d群)に対しIO Rodent P.D. with 60% Kcal from Fat(Dyed Blue)(SLC)を与えた。飲水については、コントロール群(即ちa群)に対し通常の水道水を与える一方、 糖負荷を加える群(即ちc、d群)に対し10%LD104 (Meltodextrin)(SLC)を水道水で10%に希釈したものを与えた。また、乳酸発酵食品を摂取させる群(即ちb群)に対しては、実施例4で作製した液体状乳酸発酵食品を(ドリンク剤)を水道水で30%に希釈したものを、飲水として与えた。そして、上記a〜dの各群について、身体状況の変化を調査するために、体重及び血糖値を各月の初旬に測定して比較した。その結果を表4に示す。また、認知機能の変化を調査するために、各群のマウスを前日から絶食させて八方迷路にて試験した。この八方迷路試験では、報酬である食餌に対する探索行動における試行達成時間を上記a〜dの各群について測定し、それらを比較した。その結果を図5のグラフに示す。このグラフにおいて縦軸は1回目のトライアルのときの試行達成時間(秒)であり、横軸は試験日(試験開始から経過した月数)である。
その結果、表4に示されるように、体重は各群で経月的に増加し、とりわけ糖負荷を加える群(即ちc、d群)では糖負荷を加えない群(即ちa、b群)よりも体重増加が大きくなる傾向があった。具体的には、4か月目においては、糖負荷群であるc群の体重は、コントロール群であるa群の約150%程度となった。糖負荷を加えつつ乳酸発酵食品を自由摂取させたd群の体重は、コントロール群であるa群の約120%となり、c群ほど体重の増加が顕著ではなかった。なお、糖負荷を加えずに乳酸発酵食品を自由摂取させたb群の体重は、コントロール群であるa群の約85%となった。
また、コントロール群であるa群、糖負荷に加えずに乳酸発酵食品を自由摂取させたb群、糖負荷を加えつつ乳酸発酵食品を自由摂取させたd群の血糖値は、いずれも4か月を通じて平均120mg/dLであった。これに対して、糖負荷群であるc群の血糖値は、経月的に上昇し、4か月目には約220mg/dLとなった。つまり、血糖値は糖負荷を加えることで増加するものの、糖負荷を加えつつ乳酸発酵食品を自由摂取させることにより、コントロール群であるa群と同程度まで血糖値が回復する傾向が認められた。
八方迷路試験を行ったところ、図5のグラフに示されるように、試験開始から経過した月数が増えるにつれて、全体として試行達成時間が短くなる傾向が認められた。また、コントロール群であるa群に比べて、糖負荷を加えたc群のほうが、試行達成時間が長くなる傾向が認められたため、マウスの認知機能に何らかの障害が起きていることが示唆された。これに対し、糖負荷を加えつつ乳酸発酵食品を自由摂取させたd群では、糖負荷を加えたc群より試行達成時間が短くなる傾向があり、糖負荷による認知機能障害の発生が抑制されていることが示唆された。なお、糖負荷を加えずに乳酸発酵食品を自由摂取させたb群では、他の群よりも試行達成時間が短くなる傾向が認められ、マウスの認知機能が向上していることが示唆された。
以上のことから、いくつかの有効成分をバランスよく含み機能性が複合的・総合的に高められている本実施形態の乳酸発酵食品には、マウスに対して高血糖による認知機能障害を抑制する作用、血糖値の上昇を抑制する作用、記憶力を改善する作用があることがわかった。そして、本実施形態の乳酸発酵食品をマウスと同じ哺乳類である人間が適量摂取した場合においても、同様の作用が期待できるものと考えられた。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更してもよい。

Claims (12)

  1. 固形状の乳酸発酵食品を製造する方法であって、
    大豆由来原料、糖類、及び活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水を混合する第1原料混合工程と、
    前記原料の混合物を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、
    加熱殺菌後の前記混合物に植物性乳酸菌を添加して乳酸発酵を行わせる乳酸発酵工程と、
    乳酸発酵生成物を乾燥させて固化する乾燥固化工程と、
    ヤマブシタケ粉末及びイチョウ葉由来原料を混合する第2原料混合工程と
    を含むことを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法。
  2. 液体状の乳酸発酵食品を製造する方法であって、
    活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水と大豆との混合物を煮沸して、水相中に大豆エキスを溶出させるエキス抽出工程と、
    前記エキス抽出工程を経た前記混合物をろ過して大豆残渣を除去し、前記大豆エキスを得るエキス分離工程と、
    得られた前記大豆エキスと、ヤマブシタケ粉末、イチョウ葉由来原料及び糖類とを混合する原料混合工程と、
    前記原料混合工程を経た前記混合物を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、
    前記加熱殺菌工程を経た前記混合物に植物性乳酸菌を添加して乳酸発酵を行わせる乳酸発酵工程と
    を含むことを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法。
  3. 前記天然の硬水は、硬度が120mg/L以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  4. 前記天然の硬水は、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、前記ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であり、硬度が180mg/L以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  5. 前記天然の硬水は、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、前記ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であり、硬度が180mg/L以上であり、マグネシウム含有量が前記カルシウム含有量の1/5以下であり、カリウム含有量及びナトリウム含有量がともに前記マグネシウム含有量よりも少ないことを特徴とする請求項1または2に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  6. 前記天然の硬水は、酸化還元電位が0mV未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  7. 前記大豆由来原料は、前記天然の硬水に浸漬処理した大豆を煮沸処理後にろ過して得た大豆抽出液と、ろ過されずに残った大豆残渣を粉砕して得た大豆粉砕物との両方を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  8. 前記乳酸発酵食品は、粉末状あるいは粉末をカプセルに充填してなるものであることを特徴とする請求項1、3乃至7のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  9. 前記エキス抽出工程では、前記天然の硬水に前記大豆を5時間以上浸漬処理した後に1時間以上の煮沸処理を行うことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  10. 前記乳酸発酵食品は、ドリンク剤であることを特徴とする請求項2乃至6、9のいずれか1項に記載の乳酸発酵食品の製造方法。
  11. 天然の硬水由来のミネラル成分、大豆由来成分、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来成分及び植物性乳酸菌の混合物である固形状の乳酸発酵食品であって、
    大豆由来成分は固形分を含むとともに、前記大豆由来成分における固形分の中に前記植物性乳酸菌の生菌が保持され、前記植物性乳酸菌の生菌数が1gあたり1.0×10個以上である乳酸発酵食品。
  12. 活性水素を供与する還元力を持った天然の硬水、大豆エキス由来成分、ヤマブシタケ由来成分、イチョウ葉由来原料及び植物性乳酸菌の混合物である液体状の乳酸発酵食品であって、
    前記天然の硬水は、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムをミネラル成分として少なくとも含有するとともに、前記ミネラル成分のうちカルシウム含有量が最も多くかつ100mg/L以上であり、硬度が180mg/L以上であるとともに、前記植物性乳酸菌の生菌数が1gあたり1.0×10個以上である乳酸発酵食品。
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