JP2019080563A - 油溶性香料を含有する乳化組成物 - Google Patents

油溶性香料を含有する乳化組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】油溶性香料を含有する乳化組成物であって、油溶性香料の熱、光等に対する安定性が向上し、食品への添加に適する乳化組成物の提供。【解決手段】油溶性香料、ガティガム及び水を含有する乳化組成物。ガティガムの含有量が油溶性香料の含有量の0.1重量倍〜60重量倍であり、又、油溶性香料をガティガムにより水に乳化分散し、水中油型乳化組成物としたものが好ましい。乳化組成物は、50℃で2日間保存した後の油溶性香料の残存率が85%以上であり、20,000ルクスの光を3日間照射した後の油溶性香料の残存率が60%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、油溶性香料を含有する乳化組成物であって、該香料の安定性が向上し、種々の食品に好適に用いられる組成物に関する。
食品には、風味または香味を付与しまたは増強して嗜好性を向上させるために、天然香料、合成香料等多種多様な香料が使用されている。それら香料の中には、熱や光に対する安定性が低く、食品の加工、殺菌時の加熱工程や、保存、陳列等の間に、香味の劣化が生じるという問題のあるものも多く存在する。
香料を油脂に溶解させて乳化した乳化組成物では、香料を水性媒体に溶解または分散させた水性組成物に比べて、香料と酸素との接触が防止されるが、調理や殺菌等の加熱工程における香味劣化を防止するため、油脂中に油溶性の抗酸化剤が添加される(非特許文献1)。
一方、油溶性の香料を水性の食品に用いるために、香料を含有する乳化組成物が用いられ、前記組成物の調製に、グリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)等の界面活性剤、加工デンプン、レシチン、酵素分解レシチン、サポニン、アラビアガム、ガティガム等を乳化剤として用いることが提案されている。
たとえば、使用時の透明性と香味の発現性を向上させるため、油溶性香料と油溶性成分を100:1〜1:1の割合で混合または溶解した油相成分を、アラビアガム、ガティガム等の乳化剤の溶液中に微分散または乳化して得られる乳化香料組成物が開示されている(特許文献1)。
また、香料を、ガティガムおよび/またはアラビアガムにより、アルコールを高濃度で含有する水相に透明かつ安定に含有させる技術(特許文献2、3)や、合成の比重調整剤を用いずに、ガティガムおよび/または改質アラビアガムにより乳化する技術(特許文献4)が開示されている。
さらに、所定条件下の粘度が50mPa・s〜3,000mpa・sの範囲にあるガティガムを、油相成分の総量100重量部に対して25重量部より多くなるような割合で用いて、油溶性香料を乳化した乳化組成物が開示されている(特許文献5)。
しかし、特許文献1に記載された乳化組成物は、水への溶解性と香味発現性を改善するものであり、特許文献1には、乳化組成物を添加した飲料の保存安定性が良好であることが記載されているが、25℃で3か月間保存した後に、含有成分の沈殿や乳化粒子の浮上といった状態変化が見られないことが示されているに過ぎない。
また、特許文献2および3には、アラビアガムやガティガムを乳化剤として用いることにより、乳化粒子の平均粒子径が0.4μm以下の透明性の高い乳化組成物が得られることや、高濃度のアルコールを含有する飲料に、香料を含有する乳化組成物の乳化安定性を損なうことなく透明に分散できることが記載され、特許文献4には、ガティガムや改質アラビアガムを用いることにより、乳化粒子の平均粒子径が0.3μm〜0.7μmの乳化組成物が得られ、香料等の脂溶性成分のネックリング(液面に浮上した乳化粒子が飲料容器の上部壁面にリング状に付着する現象)や、クリーミング等の発生を防止できることが記載されている。
さらに、特許文献5には、油溶性香料等の油相成分をガティガムにより乳化した組成物が乳化安定性に優れ、水に添加して調製した溶液の透明性や保存安定性に優れることが記載されているが、特許文献5においても、保存後の不溶物の生成等の状態の変化が観察されているに過ぎない。
すなわち、特許文献1〜5には、香料の耐熱性や耐光性の向上に関しては、何ら記載も示唆もされていない。
食品が調理や殺菌の過程で加熱されることや、店頭等において照明の下に陳列されること等を考慮すると、香料、特に油溶性香料を食品に添加するのに用いられる組成物において、香料の熱、光等に対する安定性の向上した組成物が求められる。
特開2006−257246号公報 特開2010−126718号公報 特開2014−195477号公報 特開2010−124817号公報 国際公開第2013/084518号
奥田隆英ら;FFI Reports 219 (2) 193-196 (2014)
そこで、本発明は、油溶性香料を含有する乳化組成物であって、当該香料の熱、光等に対する安定性が向上し、食品への添加に適する乳化組成物を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、油溶性香料をガティガムで水中に乳化分散させて、該香料を含有する乳化組成物とすることにより、加温もしくは加熱または光照射による香味の劣化が良好に抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]油溶性香料、ガティガムおよび水を含有する乳化組成物であって、油溶性香料の安定性が向上した乳化組成物。
[2]50℃で2日間保存した後の油溶性香料の残存率が85%以上である、[1]に記載の組成物。
[3]20,000ルクスの光を3日間照射した後の油溶性香料の残存率が60%以上である、[1]に記載の組成物。
[4]ガティガムの含有量が油溶性香料の含有量の0.1重量倍〜60重量倍である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]乳化組成物が水中油型乳化組成物である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]油溶性香料をガティガムにより水に乳化分散することを含む、油溶性香料の安定性を向上させる方法。
[7]50℃で2日間保存した後の油溶性香料の残存率が85%以上となる、[6]に記載の方法。
[8]20,000ルクスの光を3日間照射した後の油溶性香料の残存率が60%以上となる、[6]に記載の方法。
[9]ガティガムを油溶性香料の含有量の0.1重量倍〜60重量倍含有させる、[6]〜[8]のいずれかに記載の方法。
本発明により、油溶性香料を含有する乳化組成物であって、油溶性香料の安定性が向上した組成物を提供することができる。
本発明の油溶性香料を含有する乳化組成物は、良好な耐熱性および耐光性を有し、食品に添加された際に、加温もしくは加熱による香味の劣化や光照射による香味の劣化が良好に抑制され得る。
従って、本発明の油溶性香料を含有する乳化組成物は、調理や殺菌工程で加温または加熱され、また店頭等において照明の下で陳列される食品に好適に用いることができる。
試験例1において、実施例1の乳化組成物および比較例1の水溶性製剤を添加した各試験用酸糖液について、50℃で2日間保存した後のデカナール残存率を示す図である。 試験例2において、実施例2の乳化組成物および比較例2の水溶性製剤を添加した各試験用酸糖液について、20,000ルクスの光を3日間照射した後のシトラール残存率を示す図である。 試験例3において、実施例3の乳化組成物および比較例3の水溶性製剤を使用した各漬物調味液について、加熱殺菌処理した後のペリラアルデヒド残存率を示す図である。 試験例3において、実施例3の乳化組成物および比較例3の水溶性製剤を使用した各漬物調味液を加熱殺菌処理し、加熱殺菌処理後の調味液を使用して調製した大根の浅漬けについて、シソの香気の強度の評価結果を示す図である。 試験例3において、実施例3の乳化組成物および比較例3の水溶性製剤を使用した各漬物調味液について、光照射後のペリラアルデヒド残存率を示す図である。 試験例3において、実施例3の乳化組成物および比較例3の水溶性製剤を使用した各漬物調味液を光照射し、光照射後の調味液を使用して調製した大根の浅漬けについて、シソの香気の強度の評価結果を示す図である。
本発明は、油溶性香料を含有する乳化組成物であって、油溶性香料の安定性が向上した組成物(以下、本明細書において「本発明の乳化組成物」とも称する)を提供する。
本発明の乳化組成物は、油溶性香料、ガティガムおよび水を含有する。
本発明の乳化組成物は、油溶性香料を、乳化剤を用いて水を含む水性の溶媒に乳化分散させてなる組成物であり、好ましくは、水中油型乳化組成物として調製される。
ここで、「油溶性香料」とは、香気成分を含有する油溶性または脂溶性の物質であり、その限りにおいて特に制限されないが、食品に配合可能な可食性香料であることが好ましい。
たとえば、動物性・植物性の天然原料から、不揮発性溶剤または揮発性溶剤による抽出、超臨界抽出等により得られる抽出物、水蒸気蒸留、熱水蒸留、アンフルラージュ、圧搾法等により得られる精油、回収フレーバー等の天然香料;精油等の天然物から単離精製操作により得られた単離香料、化学合成または発酵等微生物を利用して生成された合成香料;これらの香料を調合して得られた香料ベース等が例示される。
本発明においては、油溶性香料として、天然原料から抽出、単離精製等し、または公知の製造方法に従って製造して用いてもよく、油溶性香料として市販されている製品を用いてもよい。
また、目的とする香味に合せて調製した香料ベースや、市販の香料ベースを用いることもできる。
具体的には、天然香料としては、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ダイダイ等の柑橘類の果皮から得られる精油;バラ、ジャスミン、ダイダイ、カミツレ、イランイラン等の花、蕾から得られる精油;ゼラニウム、ユーカリ、ティートリー等の葉から得られる精油;シナモン、ビャクダン、マツ、ヒノキ等の樹皮から得られる精油;スパイス(オールスパイス、アニスシード、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、ガーリック、ジンジャー、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、ブラックペパー等)、ジュニバー、バニラ等の種子、果実から得られる精油またはオレオレジン;ラベンダー、レモングラス、バジル、ローズマリー、ペパーミント、スペアミント等の全草から得られる精油;紅茶、緑茶、ウーロン茶等の抽出物等が挙げられる。
また、合成香料としては、単環式モノテルペン(d−リモネン、α−テルピネン、γ−テルピネン等)、複環式モノテルペン(α−ピネン、β−ピネン等)、テルペンアルコール(リナロール、l−メントール、シネオール等)、テルペンアルデヒド(シトロネラール、シトラール(ゲラニアールおよびネラール)、ペリラアルデヒド等)等のテルペン類;アネトール、オイゲノール等のフェニルプロパノイド;オクタナール、デカナール等の鎖状アルデヒド等、精油から単離された単離香料;エチルバニリン、エチルマルトール等の全合成香料等が挙げられる。
本発明においては、油溶性香料として、上記した天然香料、合成香料、香料ベース等は、1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記した油溶性香料は、油剤に溶解させて用いることもできる。用い得る油剤としては、上記油溶性香料を溶解し得る油剤であれば特に限定されないが、食品に配合可能な可食性の油剤であることが好ましく、たとえば、菜種油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ヤシ油等の植物性油脂;ホホバ油等の植物性ロウ;ロジン、エレミ樹脂、マスティック樹脂、ダンマル樹脂等の植物性樹脂;牛脂、豚脂等の動物性油脂;ショ糖酢酸イソ酪酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド等の中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられ、これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の目的には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、および植物性油脂等がより好ましく用いられ、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび中鎖脂肪酸トリグリセリド等がさらに好ましく用いられる。
本発明の乳化組成物における油溶性香料の含有量は、乳化組成物の全量に対し、0.01重量%〜30重量%であることが好ましく、0.1重量%〜20重量%であることがより好ましい。
油溶性香料を油剤に溶解して用いる場合、油剤の使用量は、乳化組成物の全量に対する含有量が0.01重量%〜30重量%となる量であることが好ましく、0.1重量%〜20重量%となる量であることがより好ましい。
本発明の乳化組成物において、ガティガムは乳化剤として機能し、上記油溶性香料を水に良好に乳化分散させることができる。
ガティガムは、主にインド中部の森林に自生する落葉高木であるシクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られるガム質であり、アラビノース、ガラクトース、マンノース、キシロースおよびグルクロン酸を構成糖とする水溶性多糖類を主成分とし、約3%のタンパク質を含み、「多糖タンパク質複合体」を形成することを特徴とする。
本発明の目的には、ガティガムは、水に溶解して15重量%の濃度になるように調製した水溶液(20℃)の粘度が、下記条件で測定した場合に、50mPa・s〜3,000mPa・sであるものが好ましく、50mPa・s〜2,500mPa・sであるものがより好ましく、50mPa・s〜1,500mPa・sであるものがさらに好ましく、100mPa・s〜700mPa・sであるものがさらにより好ましい。
<粘度の測定方法>
20℃の恒温状態になるように調製した15重量%のガティガム水溶液を、B型回転粘度計(東京計器株式会社製、モデルBM型)を用いて、回転数=30rpmで1分間回転させて粘度を測定する。なお、測定は、50mPa・s〜500mPa・sの粘度範囲ではローターNo.2を、500mPa・s〜4,000mPa・sの粘度範囲ではローターNo.3を使用して行う。
かかるガティガムとしては、市販の製品を利用することができる。
本発明の乳化組成物におけるガティガムの含有量は、油溶性香料の含有量の0.1重量倍〜60重量倍であることが好ましく、0.2重量倍〜50重量倍であることがより好ましく、0.3重量倍〜40重量倍であることがさらに好ましい。
本発明の乳化組成物に含有される水としては、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水等、食品製造用水として適合する水であることが好ましい。
さらに本発明の乳化組成物には、本発明の特徴を損なわない範囲で、他の乳化剤、増粘剤、安定剤、保存料、酸化防止剤、防黴剤、製造用剤等、食品の製造に使用される一般的な添加物を含有させることができる。
たとえば、油溶性香料または油溶性香料を溶解した油剤には、パラオキシ安息香酸ブチル等の親油性保存料、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン等の油溶性酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の溶解補助剤等を含有させることができる。
また、水には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル等の水溶性保存料、アスコルビン酸、エリソルビン酸等の水溶性抗酸化剤、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、グアーガム等の増粘剤、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の溶解補助剤等を含有させることができる。
さらに、ガティガムに加えて、有機酸モノグリセリド(酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド等)、サポニン(キラヤ抽出物、ダイズサポニン、チャ種子サポニン等)、レシチン(植物レシチン、卵黄レシチン等)等の乳化剤を用いることもできる。
これらは適宜必要に応じて、1種または2種以上を用いることができ、本発明の乳化組成物における含有量についても、食品添加物としての一般的な含有量に準じて、適宜設定することができる。
上記した通り、本発明の乳化組成物は、好ましくは水中油型乳化組成物として調製され、通常の水中油型乳化組成物の製造方法に従って製造することができる。
たとえば、油溶性香料または油剤に溶解した油溶性香料に、必要に応じて油溶性添加物を加えて混合して油相を調製し、この油相を、ガティガムおよび必要に応じて水溶性添加物を水に溶解して調製した水相に添加、混合して乳化し、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等で均一化処理して製造することができる。
本発明の乳化組成物は、良好な安定性、特に良好な耐熱性および耐光性を示し、乳化組成物に含有される油溶性香料の安定性、特に耐熱性および耐光性の向上が認められる。
具体的には、耐熱性について、本発明の乳化組成物を50℃で2日間保存した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
耐光性について、本発明の乳化組成物に15℃程度の温度にて20,000ルクスの光を3日間照射した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上である。
さらに、食品に添加した場合の耐熱性について、6重量%〜7重量%の食塩を含有し、pHが4程度の弱酸性の調味液に本発明の乳化組成物を添加し、80℃で30分間加熱処理した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
また、食品に添加した場合の耐光性について、6重量%〜7重量%の食塩を含有し、pHが4程度の弱酸性の調味液に本発明の乳化組成物を添加し、室温程度の温度にて20,000ルクスの光を1週間照射した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上である。
従って、本発明の乳化組成物は、調理や殺菌工程で加温または加熱され、また店頭等において照明の下で陳列される食品に、好適に用いられる。
本発明はまた、油溶性香料の安定性を向上させる方法(以下、本明細書において「本発明の方法」ともいう)を提供する。
本発明の方法は、油溶性香料をガティガムにより水に乳化分散することを含む。
油溶性香料およびガティガム、ならびにこれらの含有量および含有量比については、上記した通りである。また、さらに、本発明の方法においては、油溶性香料を水に乳化分散する際に、必要に応じて、上記した一般的な食品添加物を用いることもできる。
本発明の方法により、油溶性香料の安定性、特に耐熱性および耐光性を向上させることができる。
具体的には、耐熱性について、本発明の方法により、50℃で2日間保存した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは85%以上となり得、より好ましくは90%以上となり得る。
耐光性について、本発明の方法により、15℃程度の温度にて20,000ルクスの光を3日間照射した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは60%以上となり得、より好ましくは65%以上となり得る。
さらに、食品に添加した場合の耐熱性について、食塩含有量が6重量%〜7重量%の食塩を含有し、pHが4程度の弱酸性の調味液に本発明の乳化組成物を添加し、80℃で30分間加熱処理した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは85%以上となり得、より好ましくは90%以上となり得る。
また、食品に添加した場合の耐光性について、6重量%〜7重量%の食塩を含有し、pHが4程度の弱酸性の調味液に本発明の乳化組成物を添加し、室温程度の温度にて20,000ルクスの光を1週間照射した後の油溶性香料の残存率は、好ましくは80%以上となり得、より好ましくは85%以上となり得る。
従って、本発明の方法は、調理や殺菌工程で加温または加熱され、また店頭等において照明の下で陳列される食品に用いられる油溶性香料の安定性を向上させる方法として、有用である。
以下、実施例および試験例により、さらに本発明について詳細に説明する。
[実施例1]トマト香料を含有する乳化組成物
油性トマト香料8重量%を、ガティガム6重量%によりイオン交換水に乳化分散して、実施例1の乳化組成物を調製した。
なお、同量の油性トマト香料を、可溶化剤(エタノール)62重量%によりイオン交換水に可溶化して、比較例1の水溶性製剤を調製した。
[試験例1]耐熱性試験
上記実施例1の乳化組成物および比較例1の水溶性製剤を、それぞれ試料として添加して、表1に示す試験用酸糖液を調製し、200mLのポリエチレンテレフタレート(PET)製容器に充填して、50℃の恒温器内で2日間保存した(各試料についてn=3)。
次いで、各試料を添加した試験用酸糖液各100mLに内部標準(3−ヘプタノール、50μg/mL)1.0mLを添加し、ジクロロメタン100mLで室温下にて溶剤抽出した。
抽出後、有機層を回収して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)によりデカナール含有量を測定した。50℃で保存する前(未処理)の各試験用酸糖液(各試料についてn=3)についても同様にデカナール含有量を測定した。50℃で2日間保存した各試料および未処理の各試料について、それぞれ試験用酸糖液中のデカナール含有量の平均値を算出し、未処理の場合のデカナール含有量を100%とした場合のデカナールの残存率を算出した。
実施例1および比較例1の各試料を添加した試験用酸糖液を、50℃で2日間保存した場合のデカノールの残存率を、表2および図1に示した。
表2および図1に示されるように、本発明の実施例1の乳化組成物を酸糖液に添加して50℃で2日間保存した場合には、デカナールの残存率は90%を超えており、比較例1の水溶性製剤に比べて高いデカナール残存率が認められた。
以上の結果より、本発明の乳化組成物において、油溶性香料の耐熱性が向上したことが確認された。
[実施例2]ジンジャー香料を含有する乳化組成物
油性ジンジャー香料8重量%を、ガティガム6重量%によりイオン交換水に乳化分散して、実施例2の乳化組成物を調製した。
なお、同量の油性ジンジャー香料を可溶化剤(エタノール)62重量%によりイオン交換水に可溶化して、比較例2の水溶性製剤を調製した。
[試験例2]耐光性試験
上記実施例2の乳化組成物および比較例2の水溶性製剤を、それぞれ試料として添加して、表3に示す試験用酸糖液を調製し、200mLのPET製容器に充填して、15℃にて、20,000ルクスの光の照射下3日間保存した。
次いで、各試料を添加した試験用酸糖液各100mLに内部標準(3−ヘプタノール、50μg/mL)2.0mLを添加し、ジクロロメタン100mLで室温下にて溶剤抽出した。
抽出後、有機層を回収して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、GC/MSによりネラールおよびゲラニアール含有量を測定した。光照射下に保存する前(未処理)の各試験用酸糖液についても同様にネラールおよびゲラニアール含有量を測定した。未処理の場合のネラールおよびゲラニアールの各含有量を100%とした場合のネラールおよびゲラニアールの各残存率を求め、それらの平均値をシトラールの残存率として表した。
結果を表4および図2に示した。
表4および図2に示されるように、本発明の実施例2の乳化組成物を酸糖液に添加して、15℃にて光照射下に3日間保存した場合には、シトラールの残存率は65%を超えており、比較例2の水溶性製剤に比べて高いシトラール残存率が認められた。
以上の結果より、本発明の乳化組成物において、油溶性香料の耐光性が向上したことが確認された。
[実施例3]シソ香料を含有する乳化組成物
油性シソ香料2重量%を、ガティガム6重量%によりイオン交換水に乳化分散して、実施例3の乳化組成物を調製した。
なお、同量の油性シソ香料を、可溶化剤(エタノール)60重量%によりイオン交換水に可溶化して、比較例3の水溶性製剤を調製した。
[試験例3]漬物調味液中における安定性の検討
(1)耐熱性
表5中の(1)〜(6)を(8)に加え、80℃に加熱して溶解し、次いで(7)を加えて撹拌し、均一に溶解して、実施例3の乳化組成物および比較例3の水溶性製剤のそれぞれを含有する漬物調味液を調製した。前記漬物調味液のpHは4.1であった。
上記で調製した漬物調味液各200gを透明なパウチ袋に充填し、80℃で30分間加熱殺菌処理した。
加熱殺菌処理前および加熱殺菌処理後の各漬物調味液100gに、内部標準(3−ヘプタノール、50μg/mL)2mLを添加し、ジクロロメタン100mLで室温下にて溶剤抽出してペリラアルデヒドを回収し、GCによりペリラアルデヒド含有量を測定した。加熱殺菌処理前の各漬物調味液中のペリラアルデヒド含有量を100%として、加熱殺菌処理後の各漬物調味液中におけるペリラアルデヒドの残存率を求め、図3に示した。
また、上記の加熱殺菌処理を行った各漬物調味液を用いて大根の浅漬けを調製し、シソの香気の強度について、11名のパネラーによる官能評価を行った。官能評価は、上記処理を行う前の各漬物調味液を用いて調製した浅漬けにおけるシソの香気の強度を10点とし、シソの香気を感じない場合を1点として、感じた香気の強度を10段階にて評価させて行い、11名のパネラーの評価点の平均値を算出した。結果を図4に示した。
図3に示されるように、実施例3の乳化組成物を使用した漬物調味液では、80℃で30分間の加熱殺菌処理を行っても、90%を超えるペリラアルデヒドが残存した。これに対し、比較例3の水溶性製剤を使用した漬物調味液では、加熱殺菌処理後のペリラアルデヒド残存率は80%に満たなかった。
また、図4に示されるように、実施例3の乳化組成物を使用した漬物調味液を加熱殺菌処理して用いて調製した浅漬けについては、7点強の評価点が得られており、かなり強いシソの香気が認められた。これに対し、比較例3の水溶性製剤を使用した漬物調味液を加熱殺菌処理して用いて調製した浅漬けについては、3.5点程度の評価点が得られたに過ぎず、感じられるシソの香気はかなり弱いものであることが認められた。
(2)耐光性
上記(1)の場合と同様に調製した漬物調味液各200gを透明のPET製ボトルに充填し、室温にて20,000ルクスの光を1週間照射した。
上記光照射前および光照射後の各漬物調味液100gに、内部標準(3−ヘプタノール、50μg/mL)2mLを添加し、ジクロロメタン100mLで室温下にて溶剤抽出してペリラアルデヒドを回収し、GCによりペリラアルデヒド含有量を測定した。光照射前の各漬物調味液中のペリラアルデヒド含有量を100%として、光照射後の各漬物調味液中におけるペリラアルデヒドの残存率を求め、図5に示した。
また、上記光照射を行った各漬物調味液を用いて大根の浅漬けを調製し、シソの香気の強度について、11名のパネラーによる官能評価を行った。官能評価は、上記処理を行う前の各漬物調味液を用いて調製した浅漬けにおけるシソの香気の強度を10点とし、シソの香気を感じない場合を1点として、感じた香気の強度を10段階にて評価させて行い、11名のパネラーの評価点の平均値を算出した。結果を図6に示した。
図5に示されるように、実施例3の乳化組成物を使用した漬物調味液では、20,000ルクスの光を1週間照射した後においても、90%近いペリラアルデヒドが残存した。これに対し、比較例3の水溶性製剤を使用した漬物調味液では、光照射後のペリラアルデヒド残存率は75%弱であった。
また、図6に示されるように、実施例3の乳化組成物を使用した漬物調味液を光照射した後に用いて調製した浅漬けについては、6.5点程度の評価が得られており、かなり強いシソの香気が感じられた。これに対し、比較例3の水溶性製剤を使用した漬物調味液を光照射した後に用いて調製した浅漬けについての評価点は3点弱であり、感じられるシソの香気は、かなり弱いものであった。
試験例3の上記結果から、本発明の乳化組成物では、漬物のような弱酸性で塩分を含有する食品に使用する場合においても、加熱殺菌処理や、光照射下での保存に対し、油溶性香料の安定性が向上したことが確認された。
上述した通り、本発明により、油溶性香料を含有する乳化組成物であって、油溶性香料の安定性が向上した乳化組成物を提供することができる。
本発明の油溶性香料を含有する乳化組成物は、良好な耐熱性および耐光性を有し、食品に添加された際に、加温もしくは加熱による香味の劣化や光照射による香味の劣化が良好に抑制され得る。
従って、本発明の油溶性香料を含有する乳化組成物は、調理や殺菌工程で加温または加熱され、また店頭等において照明の下で陳列される食品に好適に用いることができる。
本願は、わが国にて出願された特願2017−210142を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (9)

  1. 油溶性香料、ガティガムおよび水を含有する乳化組成物であって、油溶性香料の安定性が向上した乳化組成物。
  2. 50℃で2日間保存した後の油溶性香料の残存率が85%以上である、請求項1に記載の組成物。
  3. 20,000ルクスの光を3日間照射した後の油溶性香料の残存率が60%以上である、請求項1に記載の組成物。
  4. ガティガムの含有量が油溶性香料の含有量の0.1重量倍〜60重量倍である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 乳化組成物が水中油型乳化組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 油溶性香料をガティガムにより水に乳化分散することを含む、油溶性香料の安定性を向上させる方法。
  7. 50℃で2日間保存した後の油溶性香料の残存率が85%以上となる、請求項6に記載の方法。
  8. 20,000ルクスの光を3日間照射した後の油溶性香料の残存率が60%以上となる、請求項6に記載の方法。
  9. ガティガムを油溶性香料の含有量の0.1重量倍〜60重量倍含有させる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
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