JP2019073022A - モールド成形用離型フィルム及びモールド成形方法 - Google Patents

モールド成形用離型フィルム及びモールド成形方法 Download PDF

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惇 松本
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史広 白石
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研太 佐々木
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Abstract

【課題】離型性、成形性に優れるモールド成形用離型フィルムを提供する。【解決手段】本発明のモールド成形用離型フィルム(10)は、第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルム(10)であって、第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に、第3の樹脂組成物によって構成される離型層を積層する積層構造を有しており、離型層(2)及び基材層(1)が直接結合しており、積層構造の最外層は、離型層(2)を有しており、離型層(2)は、特定の構造の共重合体と、硬化剤とを架橋してなる。【選択図】図1

Description

本発明は、モールド成形用離型フィルム及びモールド成形方法に関する。
モールド成形用の離型フィルムとして、様々な技術が開発されている。例えば、特許文献1には、フレキシブルプリント配線基板等の電子基板の製造時における回路部の保護フィルム、または、半導体封止材料又は発光ダイオード封止材料のモールド成形において、封止材料とモールド成形機の金型との間に挟み込み、封止材料と金型とを離型するためのモールド成形用離型フィルムとして用いられる離型フィルムが記載されている。特許文献1によれば、離型フィルムが、特定の官能基を含有するフッ素樹脂及び離型成分を含む組成物から形成された塗膜と、非フッ素化ポリマーから形成された層とを含むことで、優れた離型性を有することが記載されている。
特開2015−074201号公報
本発明者らは、従来のモールド成形用離型フィルムを用いて、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物をモールド成形することについて検討した。その結果、特許文献1に記載のモールド成形用離型フィルムを用いる場合、特定の官能基を含有するフッ素樹脂及び離型成分を含む組成物から形成された塗膜と、非フッ素化ポリマーから形成された層とが剥離してしまうことがわかった。
なお、本明細書において、モールド成形とは、金型を用いて成形することを示す。
上述した塗膜及び層が剥離してしまう場合、モールド成形される樹脂組成物が、モールド成形用離型フィルムの離型性を備えない部材と接触してしまい、離型性が低下するという不都合があった。また、モールド成形用離型フィルムは、平滑な面を備え、モールド成形される樹脂組成物に鏡面を転写するが、剥離によって平滑な面が損なわれる。これにより、成形される樹脂組成物の表面に、剥離に由来する傷が転写されてしまい、成形性が低下するという不都合があった。
以上より、本発明は、離型性、成形性に優れるモールド成形用離型フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明者らは、従来のモールド成形用離型フィルムを用いて、電子素子を第1の樹脂組成物で封止するモールド成形を行い、次いで、第1の樹脂組成物の成形物に文字を印字した電子装置について、文字の可読性を検討した。その結果、電子装置に印字された文字の可読性が低いことが判明した。
ここで、本発明者らは、電子装置の表面の文字の可読性を向上させるために、第1の樹脂組成物の成形物の表面構造について検討した。その結果、第1の樹脂組成物の成形物の表面構造は、平滑ではなく、マット調などのエンボス模様であると、印字された文字の可読性が向上する事が判明した。
本発明者らは、エンボス模様を第1の樹脂組成物の成形物に付与する方法について検討した。その結果、モールド成形用離型フィルムが、基材層の上に、離型層を積層する積層構造を有し、さらに、基材層が、離型層が積層される面に凹凸を備えることによって、第1の樹脂組成物の成形物に対して、基材層の凹凸に由来するエンボス模様を付与できることを知見した。
ここで、上記モールド成形は、第1の樹脂組成物及び金型の間にモールド成形用離型フィルムを介在させ、第1の樹脂組成物にモールド成形用離型フィルムの離型層を密着させることで行った。
ここで、本発明者らは、印字された文字の可読性を向上させるために、離型層の厚みについて検討した。その結果、離型層の厚みが大きい場合、基材層の凹凸を離型層が埋設してしまい、可読性を向上させるのに十分なエンボス模様を第1の樹脂組成物の成形物に付与できないことが判明した。
一方、離型層の厚みを小さくする場合、例えば、基材層の凹凸の凸部分に適切に離型層を形成できず、第1の樹脂組成物と及びモールド成形用離型フィルムの離型性が低下してしまうという不都合があることが判明した。
以上より、本発明は、成形物に印字された文字の可読性と、離型性とをバランスよく発現できるモールド成形用離型フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明者らは、モールド成形用離型フィルムを、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物のモールド成形に用いることについて検討した。その結果、従来のモールド成形用離型フィルムは、モールド成形された樹脂組成物が離型する際に、樹脂組成物と、モールド成形用離型フィルムとが剥がれにくいことが判明した。また、モールド成形中、モールド成形用離型フィルムが溶融してしまい、樹脂組成物と接合した状態になってしまうことがあることが判明した。
そこで、本発明は、モールド成形用離型フィルムの離型性、耐熱性といったモールド成形性を向上することを目的とする。
本発明者は、モールド成形用離型フィルムの基材層及び離型層との剥離を抑制するために、基材層及び離型層の密着力を向上する方法について検討した。その結果、基材層に特定の表面改質をし、基材層の上に特定の共重合体と、硬化剤とを架橋してなる離型層を積層することで、基材層及び離型層の剥離を抑制できることを見出した。
これにより、離型性、成形性に優れるモールド成形用離型フィルムを実現できることを本発明者が見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者は、成形物に印字された文字の可読性と、離型性とをバランスよく発現するために、離型層を構成する原料成分と、離型層の厚みとを検討した。その結果、離型層をシリコーン化合物またはフッ素化合物によって形成することで、離型層を、モールド成形用離型フィルム全体で均一に形成し、基材層の凹凸の凸部分にも離型層を形成できることを見出した。また、離型層の厚みを適切な数値範囲とすることで、基材層の凹凸を埋設せず、成形物に対してエンボス模様を付与できることを見出した。
これにより、成形物に印字された文字の可読性と、離型性とをバランスよく発現するモールド成形用離型フィルムを実現できることを本発明者が見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、モールド成形用離型フィルムの溶融を防ぐため、モールド成形用離型フィルムの最外層に、特定のフッ素化合物によって形成される離型層を配置することを考えた。これにより、モールド成形用離型フィルムが、溶融することで樹脂組成物と接合することがなくなり、モールド成形用離型フィルムの耐熱性を向上することができた。しかしながら、モールド成形用離型フィルムの離型層を特定のフッ素化合物によって形成しただけでは、所望の離型性は得られなかった。
本発明者らは、離型性を向上するために、特定の溶媒に対する離型層の接触角について検討した。その結果、離型層に対する、ヘキサデカンの接触角が特定の数値範囲内であることで、優れた離型性を発揮することを見出した。
以上より、耐熱性及び離型性に優れるモールド成形用離型フィルムを実現できることを本発明者が見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、
第3の樹脂組成物によって構成される離型層が、第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に積層された積層構造を有しており、
前記離型層及び前記基材層が直接結合しており、
前記積層構造の最外層は、前記離型層を有しており、
前記離型層は、下記一般式(1)で示される共重合体と、硬化剤とを架橋してなる、モールド成形用離型フィルムが提供される。
Figure 2019073022
(一般式(1)中、
lおよびmは、それぞれ、共重合体中における、A及びBのモル含有率を示し、
l+m=1であり、
Aは、フルオロカーボン基を含み、
Bは、下記式(B1)により示される構造単位である。)
Figure 2019073022
(一般式(B1)中、
は、前記硬化剤と反応する官能基を含む基である。)
また、本発明によれば、
第1の樹脂組成物及び金型の間にモールド成形用離型フィルムを介在させ、前記第1の樹脂組成物に離型層を密着させてモールド成形を行うことで、前記第1の樹脂組成物の成形物にエンボス模様を付与するために使用される当該モールド成形用離型フィルムであって、
第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に、第3の樹脂組成物によって構成される前記離型層を積層する積層構造を有しており、
前記第3の樹脂組成物は、シリコーン化合物またはフッ素化合物を含み、
前記基材層は、前記離型層が積層される面に凹凸を備え、
前記離型層の厚みは15μm以下である、モールド成形用離型フィルムが提供される。
また、本発明によれば、
第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、
当該モールド成形用離型フィルムは最外層に離型層を有しており、
前記離型層は第3の樹脂組成物によって構成され、
前記第3の樹脂組成物は、フッ素化合物を含み、
前記フッ素化合物は、フルオロカーボン基を含み、
前記離型層の表面に対する、ヘキサデカンの接触角が20°以上77°以下である、モールド成形用離型フィルムが提供される。
また、本発明によれば、
上記モールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法であって、
該モールド成形用離型フィルムを金型に配置する配置工程と、
該モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間に第1の樹脂組成物を導入する導入工程と、を含む、モールド成形方法が提供される。
本発明によれば、離型性、成形性に優れるモールド成形用離型フィルム及びモールド成形方法が提供される。
また、本発明によれば、成形物に印字された文字の可読性と、離型性とをバランスよく発現するモールド成形用離型フィルム及びモールド成形方法が提供される。
また、本発明によれば、耐熱性及び離型性に優れるモールド成形用離型フィルム及び該モールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法を提供することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムの一例を示す断面図である。 第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムの一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態のモールド成形用離型フィルムの概要について説明する。
第1実施形態のモールド成形用離型フィルムは、第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、第3の樹脂組成物によって構成される離型層が、第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に積層された積層構造を有しており、上記離型層及び上記基材層が直接結合しており、上記積層構造の最外層は、上記離型層を有しており、上記離型層は、特定の構造の共重合体と、硬化剤とを架橋してなる。
第1実施形態のモールド成形用離型フィルムの使用方法としては、例えば、成形対象である第1の樹脂組成物及び金型を準備し、第1の樹脂組成物及び金型の間にモールド成形用離型フィルムを介在させ、第1の樹脂組成物に後述する離型層を密着させてモールド成形を行う方法が挙げられる。これにより、モールド成形時に、溶融した第1の樹脂組成物が金型などに付着して金型を汚染してしまうことを抑制できる。また、第1の樹脂組成物を、精度よく、所望の形状に成形することができる。
本発明者らは、従来のモールド成形用離型フィルムを用いて、エポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物をモールド成形することについて検討した。その結果、従来のモールド成形用離型フィルムを用いてモールド成形すると、離型層及び基材層が剥離してしまうことを知見した。詳細なメカニズムは明らかではないが、剥離が生じる原因は離型層及び基材層の密着力が低く、さらに、モールド成形時に、高温下で高荷重が加わることが原因であると推測された。
かりに、離型層及び基材層の剥離が生じる場合、溶融した第1の樹脂組成物が、離型層以外の部分、例えば、基材層に接触してしまう。溶融した第1の樹脂組成物が、基材層に接触した場合、第1の樹脂組成物及び基材層が融着してしまい、第1の樹脂組成物がモールド成形用離型フィルムから離れなくなる、すなわち、離型性が低下するという不都合があった。
また、かりに離型層及び基材層が剥離してしまう場合、モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間の形状が、所望の形状から変化してしまう。モールド成形は、当該成形空間に、第1の樹脂組成物を導入することで行われる。したがって、成形された第1の樹脂組成物の形状が、所望の形状から外れてしまう、すなわち、成形性が低下するといった不都合があった。
本発明者らは、モールド成形用離型フィルムの基材層及び離型層の剥離が生じることを抑制するために、モールド成形用離型フィルムの密着力を向上する方法について検討した。その結果、まず、基材層に後述する特定の表面改質を施し、次いで、当該基材層の上で、特定の共重合体と、硬化剤とを塗工し、架橋させることで離型層を形成することが、基材層及び離型層を直接結合し、密着力を向上するために重要であることを知見した。これにより、モールド成形用離型フィルムを使用する際に、基材層及び離型層に剥離が生じることを抑制できる。したがって、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、上述した離型性及び成形性の低下を抑制することができる。
以下、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムの構成について、さらに詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10の一例である。第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、離型層2が、基材層1の上に積層している積層構造を有している。
まず、基材層1、離型層2について説明する。
<基材層1>
まず、基材層1について説明する。基材層1は、第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムである。
基材層1の表面形状としては、例えば、平滑なフィルムであることが好ましい。これにより、基材層1の上に離型層2を形成する第3の樹脂組成物を塗工及び架橋し、離型層2を形成したときに、離型層2を平滑にすることができる。これにより、モールド成形される第1の樹脂組成物を成形する際に、離型層2及び第1の樹脂組成物が接する面を鏡面にすることが可能となる。モールド成形用離型フィルム10を用いて成形される第1の樹脂組成物は、例えば、電子素子などの電子部材を封止するために用いることができる。すなわち、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10は、例えば、平滑な面を有しつつ、電子組成などの電子部材を封止するために好適に用いることができる。
基材層1の厚みの下限値は、例えば、5μm以上であり、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、25μm以上であることが一層好ましく、50μm以上であることが殊更好ましい。これにより、基材層1の剛性を、モールド成形用離型フィルム10の追従性が損なわれない範囲で適切に向上することができる。したがって、モールド成形時にシワなどが発生することを抑制し、成形性を向上できる。
基材層1の厚みの上限値は、例えば、100μm以下であり、95μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがさらに好ましく、55mm以下であることが一層好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルムの剛性が大きくなり過ぎることを抑制し、微細な金型形状にも追従することができる。したがって、成形性を向上することができる。
基材層1は、その製造方法に応じて、例えば、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムであってもよい。
基材層1としては、例えば、延伸フィルムであることが好ましい。これにより、第2の樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の分子鎖を配向させることができる。したがって、モールド成形用離型フィルム10を金型に追従させる際にシワなどの物理的な変形が生じることを抑制できる。したがって、第1の樹脂組成物に不必要な傷を転写することを抑制し、成形性を向上することができる。
第2の樹脂組成物は、例えば、熱可塑性樹脂を含む。また、第2の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物のほかに、例えば、無機充填材、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、着色剤、加水分解安定剤、酸化防止剤、潤滑剤、結晶核剤を更に含んでもよい。
以下、第2の樹脂組成物の含有成分について、代表成分の詳細を説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合などのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニルなどのポリビニル樹脂;ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリオレフィン樹脂;シンジオタクチック構造を有するポリスチレン樹脂などのポリスチレン樹脂;トリアセチルセルロース樹脂などのセルロース樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、上記具体例のうち、ポリエステル樹脂であることが好ましい。ポリエステル樹脂としては、例えば、上記具体例のうち、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。これにより、後述する表面改質によって、基材層1の表面に形成された硬化剤と反応する官能基を形成し、好適に基材層1及び離型層2を直接結合できるようになる。
(無機充填材)
無機充填材としては限定されず、具体的には、カーボンブラック;シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、ケイ藻土、ワラストナイトなどのケイ酸塩;酸化鉄、酸化チタン、アルミナなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩;炭化珪素などの炭化物;窒化珪素、窒化ホウ素などの窒化物などが挙げられる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノ−ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエ−テル系酸化防止剤から選択される1種以上を使用できる。
フェノ−ル系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−6−ブチルフェノール)、2,−2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−ビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコ−ルビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス(2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジメチル−6−(1−メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4−ビス((オクチルチオ)メチル)−5−メチルフェノール、などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス−(2,6−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ−ノニルフェニルホスファイト)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−オクタデシルオキシカルボニルエチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
チオエ−テル系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ビス(2−メチル−4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては限定されず、具体的には、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタンなどを挙げることができる。着色剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
(スリップ剤)
スリップ剤としては限定されず、具体的には、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ヘベニン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のアミドなどが挙げられる。スリップ剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を配合することができる。
(アンチブロッキング剤)
アンチブロッキング剤としては限定されず、具体的には、微粉シリカ、微粉酸化アルミニウム、微粉クレー、微粉シリコーン樹脂、液体シリコーン樹脂、微粉テトラフロロエチレン樹脂、微粉アクリル樹脂、微粉メタクリル樹脂などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(帯電防止剤)
帯電防止剤としては限定されず、具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなどの無機帯電防止剤;N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネートなどの有機帯電防止剤などが挙げられる。帯電防止剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(加水分解安定剤)
加水分解安定剤としては限定されず、具体的には、カルボジイミド基を含む化合物などが挙げられる。
カルボジイミド基を含む化合物としては、具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどのモノカルボジイミド化合物;ポリ(4,4'−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(N,N'−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミドなどのポリカルボジイミド化合物などが挙げられる。加水分解安定剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、カルボジイミド化合物の市販品としては、具体的には、東京化成製のB2756;日清紡ケミカル社製のカルボジライトLA−1;ラインケミー社製のStabaxol P、Stabaxol P400、Stabaxol Iなどが挙げられる。
(潤滑剤)
潤滑剤としては限定されず、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルなどの長鎖脂肪酸およびそのエステルなどが挙げられる。潤滑剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(結晶核剤)
結晶核剤としては限定されず、具体的には、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライドなどの脂肪酸エステル;12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドなどのヒドロキシ脂肪酸エステル;12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド等のヒドロキシ脂肪酸モノアミド;エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミドなどの脂肪族ビスアミド;エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどのヒドロキシ脂肪酸ビスアミド;12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等のヒドロキシ脂肪酸金属塩などが挙げられる。結晶核剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<離型層2>
次に離型層2について説明する。
離型層2は、第3の樹脂組成物によって構成される薄膜である。第3の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される共重合体と、硬化剤とを含む。第3の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される共重合体と、硬化剤とが架橋することで薄膜として形成される。すなわち、離型層2は、下記一般式(1)で表される共重合体と、硬化剤とが架橋してなる。
Figure 2019073022
(一般式(1)中、
lおよびmは、それぞれ、共重合体中における、A及びBのモル含有率を示し、
l+m=1であり、
Aは、フルオロカーボン基を含み、
Bは、下記式(B1)により示される構造単位である。)
Figure 2019073022
(一般式(B1)中、
は、硬化剤と反応する官能基を含む基である。)
離型層2の厚みの上限値は、例えば、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましく、5μm以下であることが一層好ましく、2μm以下であることが殊更好ましい。これにより、離型層2に膜割れが生じることを抑制し、かつ、金型に対して良好な追従性を発揮することができる。したがって、成形される第1の樹脂組成物に傷を転写することを抑制し、成形性を向上できる。
また、離型層の厚みの下限値は限定されない。離型層の厚みの下限値は、例えば、0.1μm以上であって、0.2μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることが更に好ましく、0.4μm以上であることが一層好ましい。これにより、離型層に欠陥が生じる可能性を低減し、好適に離型性を発現することができる。
なお、第1実施形態において、離型層2の厚みとは、離型層2のドライ厚み、すなわち、第3の樹脂組成物を架橋して離型層2を作製し、溶媒を揮発させた後の厚みである。
以下に、第3の樹脂組成物が含む共重合体と、硬化剤とについて詳細を説明する。
(共重合体)
共重合体は、上記一般式(1)で表される。
上記一般式(1)で表される共重合体は、例えば、Aの構造単位を備えることで離型性を向上し、Bの構造単位を備えることで離型層2を形成することができる。具体的には、Bが含む基であるRと、硬化剤とが反応し、架橋構造を形成することで、薄膜である離型層2を作製することができる。また、後述するが、この架橋構造を形成する反応に、表面改質した基材層1の表面に存在する官能基を介在させることが、基材層1及び離型層2の密着強度を向上するのに重要である。
上記一般式(1)で表される共重合体において、A及びBの構造単位の配列は限定されない。上記一般式(1)で表される共重合体の配列としては、具体的には、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、周期共重合体などが挙げられる。上記一般式(1)で表される共重合体の配列としては、上記具体例のうち例えば、交互共重合体であることが好ましい。これにより、A及びBの構造単位を均一に分散させることができ、離型層2及び基材層1の密着性、離型層2の離型性を向上できる。また、Aの構造単位が均一に分散することで、紫外線、酸素などによって、離型層2が、経時によって劣化するのを抑制できる点でも都合がよい。
上記一般式(1)において、Aの構造単位は、フルオロカーボン基を含む。ここで、フルオロカーボン基とは、炭化水素基の水素原子の一部または全てが、フッ素原子で置換された基を示す。このようなフルオロカーボン基は、炭素原子及びフッ素原子の結合を有する。フルオロカーボン基は分極率が小さいため、フルオロカーボン基を備える離型層2の表面自由エネルギーが小さくなり、エポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物に対しても、優れた離型性を発現する。
Aの構造としては、具体的には、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレンが開裂した構造単位などを挙げることができる。開裂した構造単位について一例を挙げて説明する。例えば、トリフルオロエチレンCF=CHFが開裂した構造単位は、−CF−CHF−である。また、後述する一般式(A2)の構造単位のように、トリフルオロエチレンの水素原子からなる基が、他の基で置換された構造単位が開裂したものでもよい。ここで、トリフルオロエチレンの水素原子からなる基がほかの基で置換された構造単位としては、具体的には、クロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。
また、Aの構造としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などのテトラフルオロエチレンの共重合体;クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体などのトリフルオロエチレンの共重合体に由来する構造単位であってもよい。
また、Aの構造としては、上記具体例のうち、1種または2種以上の構造単位を組み合わせてよい。
Aとしては、例えば、下記式(A1)で表される構造単位を含むことが好ましく、下記一般式(A2)で表される構造単位を含むことがより好ましい。これにより、表面自由エネルギーを小さくし、離型性を向上できる。
Figure 2019073022
(上記式(A1)中、nは1以上の整数である。)
Figure 2019073022
(上記一般式(A2)中、Rは、水素原子、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される1種または2種以上の原子によって形成される基である。また、nは1以上の整数である。)
上記式(A1)、一般式(A2)において、nは、1以上の整数である。nは、例えば、1であってもよい。
上記一般式(A2)において、Rは、水素原子、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される1種または2種以上の原子によって形成される基である。
なお、共重合体中に含まれる複数のRは、例えば、同一の構造でもよく、異なる構造でもよい。
Aの構造単位において、炭素の配列としては、例えば、直鎖状、分岐状または環状とすることができる。これらの中でも直鎖状であることが好ましい。これにより、離型性を向上できる。
上記一般式(1)において、Bの構造単位は、下記一般式(B1)で表される構造単位である。
Figure 2019073022
(一般式(B1)中、
は、硬化剤と反応する官能基を含む基である。)
上記一般式(B1)において、Rは、後述する硬化剤と反応する官能基を含む基である。
ここで、硬化剤と反応する官能基としては、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。硬化剤と反応する官能基としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。なお、アミノ基としては、1級アミノ基または2級アミノ基であることが好ましい。
上記一般式(B1)において、Rは上述した硬化剤と反応する官能基を含む基であれば限定されない。
を構成する原子としては、具体的には、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、フッ素原子、塩素原子などが挙げられる。
としては、例えば、ケイ素原子を含むものが好ましい。また、ケイ素原子を含む場合、例えば、シリコーン結合−Si−O−を備えていてもよい。シリコーン結合は、第1の樹脂組成物に対する離型性発現すると考えられる。したがって、Bの構造単位に、硬化剤と反応させる構造に加えて、さらに離型性を向上させる構造とを導入でき、離型層2の離型性を向上できる。
としては、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基そのものであってもよい。
また、Rとしては、例えば、1価の有機基の水素原子を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基によって置換したものであってもよい。なお、1価の有機基の1価とは、原子価のことを示す。このような、1価の有機基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基;アリル基、ペンテニル基、ビニル基などのアルケニル基;エチニル基などのアルキニル基;メチリデン基、エチリデン基などのアルキリデン基;トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;トリル基、キシリル基などのアルカリル基などが挙げられる。
上記一般式(1)で表され、Aが上記式(A2)の構造単位を含み、Bが上記一般式(B1)の構造単位を含む共重合体の市販品としては、旭硝子社製のルミフロン、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rなどを挙げることができる。なお、AGCコーテック社製のオブリガートは、2官能以上のイソシアネート化合物を硬化剤としてさらに含む。
Aが上記式(A2)の構造単位を含み、Bが上記一般式(B1)の構造単位を含む共重合体を含むその他の市販品としては、具体的には、AGCコーテック社製のオブリガートSS0057、オブリガートSS0061、オブリガートPS291U−H、オブリガートSS0051、オブリガートPS309R、オブリガートPW501Uなどが挙げられる。なお、これらの市販品は、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rと同様に2官能以上のイソシアネート化合物を硬化剤としてさらに含む。
(硬化剤)
第3の樹脂組成物が含む硬化剤は、例えば、イソシアネート化合物を含む。このイソシアネート化合物は、2官能以上のイソシアネート化合物である。すなわち、イソシアネート化合物は、その構造単位中にシアネート基を2つ以上含む。なお、第1実施形態において、シアネート基とは、−N=C=Oのことを示す。これにより、第1実施形態にかかるモールド成形用離型フィルム10は、基材層1及び離型層2を、好適に直接結合させることができる。
上述したイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネートなどが挙げられる。
(溶媒)
離型層2は、第3の樹脂組成物を溶媒に溶解し、塗工することで作製される。すなわち、第3の樹脂組成物は、溶媒をさらに含んでよい。
溶媒としては限定されず、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、キシレン、エチルベンゼン等のうち、いずれか1種以上を溶媒として使用することができる。
(その他の成分)
なお、第3の樹脂組成物は、離型層の離型性を低下させない範囲で、さらにその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、限定されないが、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネートなどの帯電防止剤;酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、二酸化ケイ素などの無機充填材;オルガノシリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリアクリルパウダーなどの有機充填材;フッ素系ノニオン界面活性剤などのレベリング剤等が挙げられる。
<モールド成形用離型フィルム10の製造方法>
次に、モールド成形用離型フィルム10の製造方法について説明する。
第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10の製造方法は、例えば、まず、基材層1を準備する準備工程(S1)と、基材層1の表面改質処理をする表面改質工程(S2)と、表面改質した基材層1の上に、ワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工し、第3の樹脂組成物を架橋反応させ、離型層2を作製する塗工工程(S3)と、を含む。
また、モールド成形用離型フィルム10の製造方法としては、例えば、塗工工程(S3)の後、モールド成形用離型フィルム10を巻回体とする巻回工程(S4)を含んでもよい。
(準備工程(S1))
まず、準備工程(S1)では、基材層1を準備する。
第1実施形態において、基材層1を製造する方法は、第2の樹脂組成物により構成されるフィルムを作製する方法であれば限定されず、第2の樹脂組成物が含む成分に応じて公知の方法を用いることができる。基材層1を製造する方法としては限定されず、具体的には、インフレーション押出法、Tダイ押出法などが挙げられる。
(表面改質工程(S2))
表面改質工程では、基材層1の表面改質処理をする。
表面改質処理としては、基材層1の表面に、上述した硬化剤と反応する官能基を形成する方法であれば限定されない。表面改質処理としては、具体的には、コロナ放電処理などが挙げられる。
コロナ放電処理の条件としては、例えば、バッチコロナ処理機(例えば、春日電機(株)製、CORONA GENERATOR CT−0212)を用いて、出力0.1kW以上2kW以下、搬送速度が0.1m/分以上40m/分以下、放電隙間が0.1mm以上20mm以下で行うことが好ましい。
本発明者が基材層1及び離型層2の密着力を向上する方法を検討した結果、基材層1の表面改質処理する表面改質工程(S2)を行い、その後、ただちに第3樹脂組成物を塗工する塗工工程(S3)を行うことが重要であることを知見した。詳細なメカニズムは定かではないが、表面改質工程を行って長時間放置する場合、基材層1の表面に形成された硬化剤と反応する官能基が、例えば、大気中の酸素等と反応することで失活してしまい、硬化剤と反応可能な反応性を備えないと推測される。
ここで、表面改質工程(S2)及び塗工工程(S3)を行う間隔としては、例えば、10分間以上2週間以下であることが好ましい。なお、表面改質工程(S2)及び塗工工程(S3)を行う間隔が24時間以上である場合、基材層1のフィルムは、空気に触れないように保存されることが好ましい。これにより、基材層1及び空気が接触することで、基材層1の表面に形成された硬化剤と反応する官能基が失活することを抑制できる。したがって、第3の樹脂組成物中の硬化剤と、基材層1の表面とで好適に架橋反応を起こすことができる。したがって、第3の樹脂組成物中の硬化剤を介して、第3の樹脂組成物中の上記一般式(1)で表される共重合体と、基材層1の表面とを架橋することができる。第1実施形態においては、基材層1の表面と、第2の樹脂組成物とで架橋反応を起こし、基材層1及び離型層2が結合していることを直接結合と称している。このように、基材層1及び離型層2が直接結合している場合、基材層1及び離型層2は、熱及び応力といった成形時に加わる負荷によって剥離しない。すなわち、基材層1及び離型層2が直接結合している場合、基材層1から離型層2が剥離せず、離型性、成形性の観点で都合がよい。
なお、直接結合していないモールド成形用離型フィルムは、離型層2の表面に、例えば、ガムテープなどの梱包用途の粘着テープ(例えば、電気化学工業社製、カラリヤンPPカットE)を貼り、次いで、テープを剥がすことにより、基材層1から離型層2を剥離し、該テープに離型層2を転写することができるものである。
(塗工工程(S3))
塗工工程(S3)では、表面改質した基材層1の上に、ワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工し、第3の樹脂組成物を架橋反応させ、離型層2を作製する。
第3の樹脂組成物のワニスを塗工する方法としては、具体的には、グラビアロール塗工法、ドクターブレード塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、バーコーター塗工法、などが挙げられる。第3の樹脂組成物のワニスを塗工する方法としては、上記具体例のうち、グラビアロール塗工法、バーコーター塗工法、スプレー塗工法のいずれかを用いることが好ましい。これにより、均一な離型層2を作製することができる。したがって、モールド成形用離型フィルム10は、離型層2が形成される面全てにおいて、離型性をムラなく発現することができる。
第3の樹脂組成物を架橋反応させる条件としては、例えば、温度25℃であれば、1週間の静置で十分に架橋反応を進行させ、離型層2を形成できる。また、加熱によって架橋反応を促進することも可能である。例えば、温度120℃であれば20分間の加熱で、十分に架橋反応を進行させ、離型層2を形成できる。したがって、温度と時間の条件は、温度25℃以上120℃以下で、20分間以上1週間以下の条件で、適切に設定することができる。
(巻回工程(S4))
巻回工程(S4)では、モールド成形用離型フィルム10を巻回体とする。
ここで、巻回体の形状としては限定されず、例えば、ロール形状、すなわち、円柱形状であってもよく、枚葉形状のモールド成形用離型フィルム10を積層した矩形形状であってもよい。第1実施形態にかかる巻回体は、かりに、巻回体が円柱形状に巻回する場合、モールド成形用離型フィルム10の内径側の離型層2と、外径側の基材層1とが、直接接触しても、離型層2が剥がれることがない。したがって、モールド成形用離型フィルム10の離型性が損なわれない点で都合がよい。
<モールド成形用離型フィルム10>
次に、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10について説明する。
モールド成形用離型フィルム10は、離型層が、基材層の上に積層された積層構造を有している。そして、モールド成形用離型フィルム10は、最外層に離型層2を有している。
モールド成形用離型フィルム10は、第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられる際、最外層に配された離型層2が、第1の樹脂組成物と接するように使用される。
モールド成形用離型フィルム10の積層構造は、離型層が、基材層の上に積層された積層構造を有していれば限定されない。
モールド成形用離型フィルム10は、2層以上の基材層1を含んでもよいし、2層以上の離型層2を含んでもよい。
第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10の積層構造として、具体的には、離型層、基材層がこの順で積層された積層構造でもよく、離型層、第1の基材層、第2の基材層がこの順で積層された積層構造でもよく、離型層、第1の基材層、第2の基材層、第3の基材層がこの順で積層された積層構造でもよく、第1の離型層、基材層、第2の離型層がこの順で積層された積層構造でもよく、第1の離型層、第1の基材層、第2の基材層、第2の離型層がこの順で積層された積層構造などが挙げられる。
モールド成形用離型フィルム10の厚みの上限値は、例えば、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが一層好ましく、65μm以下であることが殊更好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルム10の剛性を適切に制御できる。したがって、金型の微細な構造に対する追従性を向上させ、成形性を向上できる。
また、モールド成形用離型フィルム10の厚みの下限値は、例えば、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることが更に好ましく、30μm以上であることが一層好ましく、35μm以上であることが殊更好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルム10が不必要に変形し、シワなどが生じることを抑制できる。したがって、モールド成形される第1の樹脂組成物に、モールド成形用離型フィルム10のシワが転写されることを抑制し、成形性を向上できる。
<用途>
第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられる。
モールド成形の方法としては、例えば、モールド成形用離型フィルムを金型に配置する配置工程(S1)と、次いで、モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間に第1の樹脂組成物を導入する導入工程(S2)とを含む。
(配置工程(S1))
配置工程では、モールド成形用離型フィルムを金型に配置する。
モールド成形用離型フィルムを配置する位置については限定されないが、例えば、後述の導入工程において、第1の樹脂組成物と金型とが接しないように、モールド成形用離型フィルムを、金型が形成する成形空間に配置する。これにより、モールド成形用離型フィルムは、金型が形成する成形空間内部に、モールド成形用離型フィルムの成形空間を形成する。なお、金型全面をモールド成形用離型フィルムで覆ってもよいが、金型の押出ピンなどが存在する場合など、成形方法に応じて、適宜金型が露出していてもよい。したがって、モールド成形用離型フィルムの成形空間は、モールド成形用離型フィルムのみではなく、金型及びモールド成形用離型フィルムによって形成されてもよい。
モールド成形用離型フィルムの基材層及び離型層を配置する位置については、限定されないが、後述の導入工程において、モールド成形用離型フィルムの成形空間に第1の樹脂組成物を導入することから、離型層がモールド成形用離型フィルムの成形空間を形成することが好ましい。すなわち、モールド成形用離型フィルムが最外層に備える離型層が、モールド成形用離型フィルムの成形空間を形成することが好ましい。例えば、モールド成形用離型フィルムが、離型層、基材層をこの順で積層した積層構造を有する場合、離型層成形空間を形成し、基材層が金型と接するよう配置することが好ましい。
モールド成形用離型フィルムを配置する方法については限定されないが、後述の導入工程において、モールド成形用離型フィルムの成形空間の外部に第1の樹脂組成物が溢れ出ることを抑制することが好ましい。したがって、モールド成形用離型フィルムは、金型が形成する成形空間における金型の露出面を覆い、さらに、モールド成形用離型フィルムを金型の成形空間に追従させることが好ましい。すなわち、モールド成形用離型フィルムは、金型の成形空間の形状に追従するために適切な剛性を備える必要がある。
モールド成形用離型フィルムを金型の成形空間に追従させる方法として、例えば、金型のキャビティに気体を吸引する孔部を設け、孔部から大気を吸引する方法が挙げられる。
配置工程において、モールド成形用離型フィルムを金型に配置する前または後に、金型のキャビティに電子素子などの電子部材を配置してもよい。
電子素子としては、限定されるものではないが、例えば、半導体素子が好ましい。半導体素子としては、限定されるものではないが、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子が挙げられる。
(導入工程(S2))
導入工程では、モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間に第1の樹脂組成物を導入する。
第1の樹脂組成物を導入する方法としては限定されるものではないが、例えば、液体状の第1の樹脂組成物を導入する方法、顆粒状の第1の樹脂組成物を導入する方法、シート状の第1の樹脂組成物を導入する方法などが挙げられる。具体的には、射出成形による液体状の第1の樹脂組成物の導入、圧縮成形による顆粒状の第1の樹脂組成物の導入などを従来公知の方法で行うことができる。
次いで、第1の樹脂組成物を硬化させることで、電子素子を第1の樹脂組成物でモールド成形し、電子装置を作製することができる。すなわち、モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間と略同一の形状に、電子素子を含む第1の樹脂組成物を成形することができる。
電子素子を第1の樹脂組成物でモールド成形することによって、電子装置が得られる。電子装置としては、限定されるものではないが、例えば、半導体素子をモールドすることにより得られる半導体装置が好ましい。
半導体装置の種類としては、限定されるものではないが、MAP(Mold Array Package)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non−leaded Package)、SON(Small Outline Non−leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)、LF−BGA(Lead Flame BGA)、FCBGA(Flip Chip BGA)、MAPBGA(Molded Array Process BGA)、eWLB(Embedded Wafer−Level BGA)、FOWLP (Fan Out Wafer Level Package)などのタイプが挙げられる。
第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムを使用した、モールド成形の方法としては、配置工程(S1)と、導入工程(S2)とを備えていれば、限定されるものではない。
具体的なモールド成形の方法としては、トランスファーモールド成形法またはコンプレッションモールド成形法(圧縮成形法)が挙げられる。
具体的なトランスファーモールド成形法の手順について説明する。ただし、第1実施形態に係るトランスファーモールド成形法は以下の例に限定されるものではない。
まず、金型内を真空引きしながら、モールド成形用離型フィルムを該金型内における上型に追従させる。次に、下型に電子素子または電子素子を搭載した基板を配置して固定する。次いで、上型と下型とを締めてから金型内部に流動状態にある第1の樹脂組成物を注入した後、該第1の樹脂組成物を硬化させる。その後、上型と下型とを開くことにより、成形品とモールド成形用離型フィルムとを離型する。
なお、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムを上述したトランスファーモールド成形法に適用する場合、使用する第1の樹脂組成物の形状は、タブレット状であることが好ましい。
次に、具体的なコンプレッションモールド成形法(圧縮成形法)の手順について、以下に説明する。ただし、第1実施形態に係るコンプレッションモールド成形法(圧縮成形法)は以下の例に限定されるものではない。
まず、金型内を真空引きしながら、モールド成形用離型フィルムを該金型内における上型に追従させる。次に、下型に電子素子または電子素子を搭載した基板を配置して固定する。次いで、減圧下、金型の上型と下型の間隔を狭めながら、樹脂材料供給容器の底面を構成するシャッター等の樹脂材料供給機構により、秤量された第1の樹脂組成物を下型が備える下型キャビティ内へ供給する。これにより、第1の樹脂組成物は、下型キャビティ内で所定温度に加熱され、流動状態となる。次いで、金型の上型と下型を結合させることにより、流動状態にある第1の樹脂組成物を上型に固定された成形対象物に対して押し当てた後、金型の上型と下型を結合させた状態を保持しながら、第1の樹脂組成物を硬化させる。その後、上型と下型とを開くことにより、成形品とモールド成形用離型フィルムとを離型する。
なお、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムを上述したコンプレッションモールド成形法(圧縮成形法)に適用する場合、使用する第1の樹脂組成物の形状は、タブレット状、顆粒状、封粒状またはシート状に加工されたものであることが好ましい。
モールド成形温度の下限値は、例えば、120℃以上としてもよく、140℃以上としてもよく、150℃以上としてもよく、160℃以上としてもよく、175℃以上としてもよい。なお、第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、上記下限値以上で成形した場合においても、好適なモールド成形性を発揮することができる。
第1の樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む場合、モールド成形温度は、例えば、上記下限値以上に設定される。従来のモールド成形用離型フィルムであれば、上記下限値以上の高温におけるモールド成形において、基材層1及び離型層2が剥離してしまうという不都合があった。これは、高温下において、基材層1及び離型層2の界面における分子運動が活発になり、基材層1及び離型層2の密着性を保持できないためと推測される。一方、第1実施形態におけるモールド成形用離型フィルム10は、基材層1及び離型層2が直接結合しているため、基材層1及び離型層2の剥離が生じないという点で不都合がない。
また、モールド成形温度の上限値は、例えば、240℃以下としてもよく、200℃以下としてもよく、185℃以下としてもよい。
<第1の樹脂組成物>
第1実施形態に係る第1の樹脂組成物は限定されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂組成物または熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。第1実施形態に係るモールド成形用離型フィルムはエポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物のモールド成形に好適に用いられる。なぜなら、エポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物のモールド成形温度は、例えば175℃以上であるが、175℃以上の高温においても基材層1及び離型層2が剥離することなく、成形性を維持できるためである。
熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含むものが挙げられる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、その分子量、分子構造に関係なく、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を使用することが可能である。このようなエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂などのナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂;N,N,N',N'−テトラグリシジルメタキシレンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン類や、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との共重合物、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物から選択される一種または二種以上を含むことができる。
(硬化剤)
硬化剤としては、具体的には、例えば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプが挙げられる。
上記硬化剤として用いられる重付加型の硬化剤は、具体的には、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドラジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルフェノール、アラルキル型フェノール樹脂などのフェノール樹脂系硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などが挙げられる。重付加型の硬化剤としては、上記具体例の中から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
上記硬化剤として用いられる触媒型の硬化剤は、具体的には、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)などの3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物;BF3錯体などのルイス酸などが挙げられる。触媒型の硬化剤としては、上記具体例の中から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
上記硬化剤として用いられる縮合型の硬化剤は、具体的には、レゾール型フェノール樹脂;メチロール基含有尿素樹脂などの尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂などのメラミン樹脂などが挙げられる。縮合型の硬化剤としては、上記具体例の中から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
上記硬化剤の中でも、フェノール樹脂系硬化剤を含むことが好ましい。
フェノール樹脂系硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は限定されない。
硬化剤として用いられるフェノール樹脂系硬化剤は、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック、フェノール−ビフェニルノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール;トリフェニルメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、等のビスフェノール化合物などが挙げられる。フェノール樹脂系硬化剤としては、上記具体例の中から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
(無機充填材)
無機充填材としては、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤、カップリング剤、離型剤、難燃剤、イオン捕捉剤、着色剤及び低応力剤等の各種添加剤のうち一種または二種以上を配合してもよい。
以下に代表成分について説明する。
(硬化促進剤)
熱硬化性樹脂組成物には、硬化促進剤をさらに含有させてもよい。この硬化促進剤は、エポキシ基と硬化剤との硬化反応を促進させるものであればよい。
上記硬化促進剤としては、具体的には、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体;トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物;2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;ベンゾキノンをアダクトしたトリフェニルホスフィン等が挙げられる。硬化促進剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(カップリング剤)
熱硬化性樹脂組成物には、カップリング剤をさらに含有させてもよい。
カップリング剤としては、具体的には、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランカップリング剤、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤などのシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤などが挙げられる。カップリング剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(離型剤)
熱硬化性樹脂組成物には、離型剤をさらに含有させてもよい。
離型剤としては、具体的には、カルバナワックスなどの天然ワックス;モンタン酸エステル等の合成ワックス;高級脂肪酸もしくはその金属塩類;パラフィン;酸化ポリエチレン等が挙げられる。離型剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(難燃剤)
熱硬化性樹脂組成物には、難燃剤をさらに含有させてもよい。
難燃剤としては、具体的には、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼンなどが挙げられる。難燃剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(着色剤)
熱硬化性樹脂組成物には、着色剤をさらに含有させてもよい。
着色剤としては、具体的には、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタンなどを挙げることができる。着色剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
(イオン捕捉剤)
熱硬化性樹脂組成物には、イオン捕捉剤をさらに含有させてもよい。
イオン捕捉剤としては、具体的には、ハイドロタルサイト;ゼオライト;マグネシウム、アルミニウム、ビスマス、チタン、ジルコニウムから選ばれる元素の含水酸化物などを挙げることができる。イオン捕捉剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(低応力剤)
熱硬化性樹脂組成物には、低応力剤をさらに含有させてもよい。
低応力剤としては、具体的には、ポリブタジエン化合物、アクリロニトリルブタジエン共重合化合物、シリコーンオイル、シリコーンゴム等のシリコーン化合物などが挙げられる。低応力剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムについて説明するが、上述した第1実施形態との相違点を中心に説明する。説明の無い事項については、第1実施形態と同様とすることができる。
第2実施形態のモールド成形用離型フィルムの概要について説明する。
第2実施形態のモールド成形用離型フィルムは、第1の樹脂組成物及び金型の間にモールド成形用離型フィルムを介在させ、上記第1の樹脂組成物に後述する離型層を密着させてモールド成形を行うことで、上記第1の樹脂組成物の成形物にエンボス模様を付与するために使用されるモールド成形用離型フィルムであって、第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に、第3の樹脂組成物によって構成される上記離型層を積層する積層構造を有しており、上記第3の樹脂組成物は、シリコーン化合物またはフッ素化合物を含み、上記基材層は、上記離型層が積層される面に凹凸を備え、上記離型層の厚みは15μm以下である。
近年、電子装置の微細化に伴い、電子装置に印字される文字を小さくすることが要求されている。本発明者は、従来のモールド成形用離型フィルムを用いて、電子素子を第1の樹脂組成物で封止するモールド成形を行い、次いで、第1の樹脂組成物の成形物に文字を印字した電子装置について、文字の可読性を検討した。その結果、電子装置に印字された文字の可読性が低いことが判明した。可読性が低い理由としては、詳細なメカニズムは定かではないが、以下のように推測される。
従来のモールド成形用離型フィルムの離型層は、その表面が、平滑であった。したがって、第1の樹脂組成物に離型層を密着させてモールド成形を行う場合、第1の成形物表面が鏡面となり、その表面で鏡面反射が生じる。この場合、印字部分に光沢が生じ、明暗のコントラスト、色味の差、焦点などといった印字されている部分及び印字されていない部分を識別する要素を、検出器または人体が認識できないと推測される。以上より、従来のモールド成形用離型フィルムを用いて作成した成形物、電子装置は、印字された文字の可読性が低いと推測される。
ここで、電子装置としては、具体的には、半導体装置などが挙げられる。また、電子装置に印字される文字としては、具体的には、ロットなどの製造情報を示す情報、自動化した製造工程において電子装置の位置を示す情報などが挙げられる。これにより、文字の可読性が低い場合、電子装置の管理、電子装置の製造工程の自動化といった観点で不都合があった。なお、文字としては限定されず、具体的には、ひらがな、カタカナ、アルファベットなどの言語記号;多角形、球形、不定形、線形、縞模様、バーコード、マトリックス型二次元コード、スタック型二次元コードなどの非言語記号;、アラビア数字、ギリシア数字などの数字;ロゴマーク、概略図などの絵柄などが挙げられる。
本発明者は、電子装置の表面の文字の可読性を向上させるために、第1の樹脂組成物の成形物の表面構造について検討した。その結果、第1の樹脂組成物の成形物の表面構造は、平滑ではなく、マット調などのエンボス模様であると、印字された文字の可読性が向上する事が判明した。詳細なメカニズムは定かではないが、この理由は以下のように推測される。まず、前提として、反射光は、正反射光及び乱反射光の和である。ここで、第1の樹脂組成物の成形物の表面に適切なエンボス模様が形成されることによって、成形物の表面が平滑である場合と比べて、正反射光の強度が減少し、乱反射光の強度が増加すると推測される。これにより、正反射光に起因する光沢が、印字部分に生じにくくなると考えられる。以上より、第1の樹脂組成物の成形物の表面構造がマット調などのエンボス模様であると、印字された文字の可読性が向上すると推測される。
そこで、本発明者は、印字された文字の可読性を向上させるために、離型層の厚みについて検討した。その結果、離型層の厚みが大きい場合、離型層が基材層の凹凸を埋設してしまい、可読性を向上させるのに適当なエンボス模様を、第1の樹脂組成物の成形物に付与できないことが判明した。
一方、離型層の厚みを小さくする場合、例えば、基材層の凹凸の凸部分に適切に離型層を形成できず、第1の樹脂組成物と及びモールド成形用離型フィルムの離型性が低下してしまうという不都合があることが判明した。
以上より、成形物に印字された文字の可読性と、離型性とは、離型層の厚みに依存して、トレードオフの関係にあった。
本発明者は、成形物に印字された文字の可読性と、離型性とをバランスよく発現するために、離型層を構成する原料成分を検討した。その結果、離型層を、シリコーン化合物またはフッ素化合物によって形成することで、モールド成形用離型フィルム全体に、薄く均一に離型層を形成できることを見出した。これにより、基材層の凹凸を埋設せず、成形物に対して、基材層の凹凸に由来するエンボス模様を付与できることを見出した。
また、本発明者が、モールド成形用離型フィルムの離型性について検討した結果、シリコーン化合物またはフッ素化合物を用いた場合、離型層の厚みが小さい場合でも、十分な離型性を発現できることを見出した。
以上より、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、成形物に印字された文字の可読性と、離型性とをバランスよく発現するモールド成形用離型フィルムを実現できる。
以下、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムの構成について、さらに詳細に説明する。
図2は、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10の一例である。第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、基材層1の上に、離型層2を積層する積層構造を有している。
まず、基材層1、離型層2について説明する。
<基材層1>
まず、第2実施形態に係る基材層1について説明する。基材層1は、第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムである。
基材層1の少なくとも片方の面は、凹凸を備える面である。第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10は、基材層1の凹凸を備える面の上に、離型層を積層する積層構造を有している。これにより、基材層1の凹凸に由来するエンボス模様を、第1の樹脂組成物の成形物に付与することができる。
なお、上記記載は、基材層1の両面が凹凸を備える面であることを限定するものではない。第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10は、例えば、金型の形状に応じて、基材層1の両面に凹凸を配し、基材層1の両面に離型層2を積層する積層構造を備えていてもよい。
基材層1の凹凸の形状は限定されず、第1の樹脂組成物の成形物に転写するエンボス模様に応じて、設定することができる。凹凸の形状及びエンボス模様の形状としては、具体的には、マット調;メッシュ調;布目調;花崗岩の劈開面などの石目調;皮目調;導管溝、年輪、髄線などの木目調;タイル調;レンガ調;梨地調などが挙げられる。凹凸の形状及びエンボス模様の形状としては、上記具体例のうち、例えば、マット調であることが好ましい。また、マット調のうちでもサンドブラストによって形成されるサンドマット調であることがより好ましい。これにより、正反射光の光束を減じ、乱反射光の光束を増やすことができると考えられる。したがって、印字の可読性を向上できる。また、離型の際に、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状及び第1の樹脂組成物の成形物の間に空隙である離型部分を形成できる。これにより、空隙である離型部分を起点として、モールド成形用離型フィルム10及び第1の樹脂組成物の成形物の密着部分全体を離型できる。したがって、離型性を向上できる。
基材層1の凹凸を備える面について、算術平均粗さRaの下限値としては、例えば、0.10μm以上であることが好ましく、0.30μm以上であることがより好ましく、0.40μm以上であることが更に好ましく、0.50μm以上であることが一層好ましく、0.65μm以上であることが殊更好ましい。上記下限値以上であることにより、基材層1の全体の粗さを適切に大きくすることができる。これにより、離型層を形成する場合でも、離型層を介して、適切なエンボス模様を第1の樹脂組成物の成形物に付与することができる。したがって、文字の可読性を向上できる。
また、基材層1の凹凸を備える面について、算術平均粗さRaの上限値としては、例えば、1.0μm以下でもよく、0.90μm以下でもよく、0.80μm以下でもよい。これにより、基材層1の全体で、凹凸が大きくなり過ぎることを抑制できる。これにより、エンボス形状が、第1の樹脂組成物に食い込み過ぎて、離型層が低下することを抑制できる。
なお、第2実施形態において、算術平均粗さRaは、例えば、JIS B 0601−2013に準拠して測定することができる。
基材層1の凹凸を備える面について、10点平均表面粗さRzの下限値としては、例えば、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましく、3.0μm以上であることが更に好ましく、4.0μm以上であることが一層好ましく、4.5μm以上であることが殊更好ましい。これにより、基材層1の局所的な粗さを適切に大きくすることができる。これにより、離型層を形成する場合でも、離型層を介して、適切なエンボス模様を第1の樹脂組成物の成形物に付与することができる。したがって、文字の可読性を向上できる。
また、Rzが上記下限値以上であることにより、離型性が向上できる。詳細なメカニズムは定かではないが、離型層及び第1の樹脂組成物の成形物の界面の形状を、より剥離しやすい形状にできると推測される。
また、基材層1の凹凸を備える面について、10点平均表面粗さRzの上限値としては、例えば、10.0μm以下としてもよく、8.0μm以下としてもよく、6.0μm以下としてもよい。これにより、基材層1について局所的な観点で、凹凸が大きくなり過ぎることを抑制できる。これにより、エンボス形状が、第1の樹脂組成物に食い込み過ぎて、離型層が低下することを抑制できる。
なお、第2実施形態において、10点平均表面粗さRzは、例えば、JIS B 0601−1994に準拠して測定することができる。
基材層1の厚みの下限値は、例えば、5μm以上であり、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、25μm以上であることが一層好ましく、30μm以上であることが殊更好ましい。これにより、基材層1の剛性を、モールド成形用離型フィルム10の追従性が損なわれない範囲で適切に向上することができる。したがって、モールド成形用離型フィルム10にシワができることを抑制し、第1の樹脂組成物の成形物に対して、所望のエンボス模様を付与できる。
基材層1の厚みの上限値は、例えば、100μm以下であり、95μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがさらに好ましく、55mm以下であることが一層好ましい。微細な電子装置は、金型も微細な凹凸を備えており、その金型形状に対して、モールド成形用離型フィルム10の金型に対する追従性が求められる。基材層1の厚みが上記上限値以下であることにより、モールド成形用離型フィルム10の剛性が大きくなり過ぎることを抑制し、金型の微細な凹凸にも追従することができる点で都合がよい。
第2実施形態に係る第2の樹脂組成物としては、第1実施形態と同様の物を使用できる。
なお、熱可塑性樹脂としては、例えば、上記具体例のうち、ポリエステル樹脂であることが好ましい。ポリエステル樹脂としては、例えば、上記具体例のうち、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。これにより、基材層の微細な凹凸にも、耐熱性及び強度を付与することができる。したがって、モールド成形において、モールド成形用離型フィルム10が高温高圧に晒されても、基材層1の凹凸が崩壊することを抑制し、第1の樹脂組成物の成形物に対して、所望のエンボス模様を付与することができる。
<離型層2>
次に第2実施形態に係る離型層2について説明する。
離型層2は、第3の樹脂組成物によって構成される薄膜である。離型層2は、上述した基材層1の凹凸を備える面の上に形成する。したがって、モールド成形用離型フィルムは、離型層を備える面に、基材層の凹凸を反映したエンボス形状を有する。
モールド成形用離型フィルム10の製造方法にて詳述するが、離型層2の製造方法は、例えば、基材層1の上に、ワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工し、第3の樹脂組成物を架橋反応させる方法を用いることができる。
離型層2の厚みの上限値は、15μm以下であり、例えば、10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましく、3μm以下であることが一層好ましく、0.6μm以下であることが殊更好ましい。これにより、上述した基材層1の凹凸を埋設せずに、離型層2を形成することができる。すなわち、モールド成形用離型フィルム10はエンボス形状を備えることができる。したがって、モールド成形時に、第1の樹脂組成物の成形物に対して、エンボス模様を好適に付与することができ、印字の可読性を向上できる。
また、離型層2の厚みの下限値は、例えば、0.1μm以上であって、0.2μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることが更に好ましく、0.4μm以上であることが一層好ましい。これにより、基材層1の凹凸の凸部分に離型層2が形成されないことを抑制できる。したがって、モールド成形用離型フィルム10は、好適に離型性を発現することができる。
なお、第2実施形態において、離型層2の厚みとは、離型層2のドライ厚み、すなわち、第3の樹脂組成物を架橋して離型層2を作製し、溶媒を揮発させた後の厚みである。
第3の樹脂組成物は、例えば、シリコーン化合物またはフッ素化合物と、硬化剤とを含む。これにより、シリコーン化合物またはフッ素化合物を、硬化剤によって架橋して、離型層2を形成する。すなわち、離型層2は、シリコーン化合物またはフッ素化合物と、硬化剤とを架橋してなる。
ここで、第3の樹脂組成物は、例えば、フッ素化合物を含むことが好ましい。これにより、より離型性を向上できる。また、薄膜化した際でも、離型層2を均一に形成できる観点からも都合がよい。
以下、第3の樹脂組成物が含む各成分について詳細を説明する。
(フッ素化合物)
第2実施形態に係るフッ素化合物としては、第1の実施形態にて説明した一般式(1)で示される共重合体を用いることができる。
(シリコーン化合物)
シリコーン化合物としては、具体的には、ポリジアルキルシロキサンを含むものが挙げられる。このようなシリコーン化合物は、フルオロポリエーテルと併用してもよい。ポリジアルキルシロキサンとしては、例えば、下記一般式(SI1)で表されるものが挙げられる。また、フルオロポリエーテルとしては、例えば、下記一般式(SI2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2019073022
(上記一般式(SI1)中、複数のRは、それぞれ独立して、炭素数1以上30以下の有機基を表す。少なくとも1つのRは、少なくとも1つ以上の硬化剤と反応する官能基を備える。a、bは、それぞれ独立して、1以上の整数である。)
Figure 2019073022
(上記一般式(SI2)中、複数のRは、それぞれ独立して、炭素数1以上30以下の有機基を表す。少なくとも1つのRは、少なくとも1つ以上の硬化剤と反応する官能基を備える。d、e、fは、それぞれ独立して、1以上の整数である。)
上記一般式(SI1)及び(SI2)で表されるポリジアルキルシロキサン、フルオロポリエーテルにおいて、少なくとも1つのRは、少なくとも1つ以上の硬化剤と反応する官能基を備える。
ここで、硬化剤と反応する官能基としては、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。硬化剤と反応する官能基としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。なお、アミノ基としては、1級アミノ基または2級アミノ基であることが好ましい。
上記一般式(SI1)及び(SI2)において、Rとしては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基;アリル基、ペンテニル基、ビニル基などのアルケニル基;エチニル基などのアルキニル基;メチリデン基、エチリデン基などのアルキリデン基;トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;トリル基、キシリル基などのアルカリル基などが挙げられる。
また、硬化剤と反応する官能基を備えるRは、上記具体例における水素原子を、該硬化剤と反応する官能基で置換したものを用いることができる。
(硬化剤)
第2実施形態に係る硬化剤としては、第1の実施形態の硬化剤と同様のものを用いることができる。
(溶媒)
また、離型層2は、例えば、第3の樹脂組成物を溶媒に溶解し、塗工することで作製される。すなわち、第3の樹脂組成物は溶媒を更に含んでもよい。
第2実施形態に係る溶媒としては、上述した第1実施形態の溶媒と同様のものを用いることができる。
(その他の成分)
なお、第3の樹脂組成物は、課題を解決できる範囲で、さらにその他の成分を含んでもよい。
第2実施形態に係るその他の成分としては、上述した第1実施形態と同様の帯電防止剤、無機充填材、有機充填材、レベリング剤などを用いることができる。
<モールド成形用離型フィルム10の製造方法>
次に、モールド成形用離型フィルム10の製造方法について説明する。
第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10の製造方法は、例えば、まず、第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムを準備し、該フィルムに凹凸を付与して基材層1とする基材作製工程(S1)と、ワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工し、第3の樹脂組成物を架橋反応させ、離型層2を作製する塗工工程(S3)と、を含む。
なお、モールド成形用離型フィルム10の製造方法としては、例えば、基材作製工程(S1)の後、塗工工程(S3)の前に、基材層1の表面改質処理をする表面改質工程(S2)を含んでもよい。また、モールド成形用離型フィルム10の製造方法としては、例えば、塗工工程(S3)の後、モールド成形用離型フィルム10を巻回体とする巻回工程(S4)を含んでもよい。
(基材作製工程(S1))
まず、基材作製工程(S1)では、第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムを準備し、該フィルムに凹凸を付与して基材層1とする。
第2実施形態において、第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムを製造する方法は限定されず、第2の樹脂組成物が含む成分に応じて公知の方法を用いることができる。第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムを製造する方法としては、具体的には、インフレーション押出法、Tダイ押出法などが挙げられる。
次いで、基材作製工程(S1)では、第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムに、凹凸を付与する。
基材層1に凹凸を付与する方法は限定されず、フィルムに凹凸を形成する従来公知の手法を採用することができる。基材層1に凹凸を付与する方法としては、具体的には、基材層1の製造中または製造後にエンボスロールの凹凸を転写成形する方法、あるいは、基材層1の製造後にサンドブラスト法またはエッチング法を用いて基材層1の表面を削る方法などが挙げられる。基材層1に凹凸を付与する方法としては、上記具体例のうち例えば、サンドブラスト法を用いることが好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を、第1の樹脂組成物に対する食い込みが少ないものとし、離型性の向上に好適なものにできる。
なお、基材層1としては、例えば、サンドブラスト法を用いて凹凸を付与した市販品を用いてもよい。
(表面改質工程(S2))
基材作製工程の後、塗工工程の前に、基材層1の表面改質処理をする表面改質工程を行ってもよい。表面改質工程では、基材層1の表面改質処理をする。これにより、第3の樹脂組成物中の硬化剤と、基材層1の表面とで架橋反応を起こすことができると推測される。したがって、基材層1及び離型層2の密着力を向上でき、モールド成形時に、基材層1及び離型層2が剥離してしまうという不都合が生じることを抑制できる。
表面改質処理としては、基材層1の表面に、上述した硬化剤と反応する官能基を形成する処理を行うことができる。表面改質処理としては、具体的には、コロナ放電処理などが挙げられる。
コロナ放電処理の条件としては、例えば、バッチコロナ処理機(例えば、春日電機(株)製、CORONA GENERATOR CT−0212)を用いて、出力0.1kW以上2kW以下、搬送速度が0.1m/分以上40m/分以下、放電隙間が0.1mm以上20mm以下で行うことが好ましい。
ここで、表面改質工程(S2)及び塗工工程(S3)を行う間隔としては、例えば、10分間以上2週間以下であることが好ましい。なお、表面改質処理として、コロナ放電を行った場合、表面改質工程(S2)及び塗工工程(S3)を行う間隔が24時間以上である場合、基材層1のフィルムを空気に触れないよう保存することが好ましい。これにより、基材層1及び空気が接触することで、基材層1の表面に形成された硬化剤と反応する官能基が失活することを抑制できる。したがって、第3の樹脂組成物中の硬化剤と、基材層1の表面とで好適に架橋反応を起こすことができ、離型層2及び基材層1が適切に密着できる。したがって、基材層1の凹凸形状が存在しても、好適な離型性を発現できる。
(塗工工程(S3))
塗工工程(S3)では、基材層1の上に、ワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工し、第3の樹脂組成物を架橋反応させ、離型層2を作製する。
塗工工程の方法、条件は、上述した第1実施形態の塗工工程(S3)と同様とすることができる。
(巻回工程(S4))
巻回工程(S4)では、モールド成形用離型フィルム10を巻回体とする。
ここで、巻回体の形状としては限定されず、例えば、円柱形状であってもよく、矩形形状であってもよい。第2実施形態にかかる巻回体は、かりに、巻回体が円柱形状に巻回する場合、モールド成形用離型フィルム10の内径側の離型層2と、外径側の基材層1とが、直接接触しても、基材層1の凹凸に由来するモールド成形用離型フィルム10のエンボス形状が損なわれない。したがって、モールド成形用離型フィルム10の離型性が損なわれない点で都合がよい。
<モールド成形用離型フィルム10>
次に、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10について説明する。
モールド成形用離型フィルム10は、第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に、第3の樹脂組成物によって構成される離型層を積層する積層構造を有している。これにより、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10は、基材層1の凹凸に由来するエンボス形状を備える。
なお、モールド成形用離型フィルム10は、最外層に離型層2を有している。これにより、モールド成形を行う際に、第1の樹脂組成物に離型層2を密着させてモールド成形を行うことができる。
モールド成形用離型フィルム10の積層構造は、基材層1の上に、離型層2を積層する積層構造を有していれば限定されない。なお、基材層1の凹凸を適切に離型層2に反映し、モールド成形用離型フィルム10に所望のエンボス形状を形成する観点から、基材層1及び離型層2の間には、例えば、接着層などを備えないことが好ましい。
なお、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルム10の積層構造は、第1実施形態のものと同様とすることができる。
モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を備える面について、入射角度60°における光の反射率である光沢度の上限値は、例えば、23以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、17以下であることが更に好ましく、15以下であることが一層好ましく、12以下であることが殊更好ましい。これにより、第1の樹脂組成物の成形物のエンボス模様によって、正反射光の強度を低減し、乱反射光の強度を向上できる。
ここで、本発明者は、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を備える面の光沢度を制御する方法について検討した。その結果、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、基材層1の凹凸を備える面の算術平均粗さRa及び10点平均表面粗さRzと、離型層2を構成する第3の樹脂組成物の配合成分と、離型層2の厚みとを適切に制御することで、光沢度を上記上限値以下に制御できることが判明した。これにより、第1の樹脂組成物の成形物に、印字の可読性を向上するのに好適なエンボス模様を転写できる。
また、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を備える面について、入射角度60°における光の反射率である光沢度の下限値は、例えば、1以上でもよく、2以上でもよい。
なお、第2実施形態において、光沢度は、JIS Z 8741に準拠して測定することができる。光沢度の具体的な測定方法について説明する。前提として、屈折率が1.567である表面において、入射角度60°の場合における、反射率10%の光の強度を光沢度100とし、さらに、反射率0%の光の強度を0と仮定する。これにより、反射率10%の光の強度の100分の1の値が、光沢度1に相当する。ここで、入射角度60°の幾何条件の反射率計を用いてモールド成形用離型フィルム10のエンボス模様を備える面の光の強度を測定する。そして、得られた光の強度を上述した反射率10%の光の強度の100分の1の値で割ることで、光沢度を算出できる。
モールド成形用離型フィルム10の全体の厚みの上限値は、例えば、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが一層好ましく、65μm以下であることが殊更好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルム10の剛性を、金型に対する追従性が損なわれない範囲で適切に向上することができる。したがって、モールド成形用離型フィルム10が所望の成形空間を侵すことが無く、第1の樹脂組成物の成形物に対して、所望のエンボス模様を付与できる点で都合がよい。
また、モールド成形用離型フィルム10の全体の厚みの下限値は、例えば、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることが更に好ましく、30μm以上であることが一層好ましく、35μm以上であることが殊更好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルム10が不必要に変形し、シワなどが生じることを抑制できる。したがって、第1の樹脂組成物の成形物に対して、所望のエンボス模様を付与できる。
<用途>
第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられる。
第2実施形態に係るモールド成形の方法、得られる電子装置としては、上述した第1実施形態と同様とすることができる。
なお、配置工程(S1)において、例えば、モールド成形用離型フィルムが、離型層、基材層をこの順で積層した積層構造を有する場合、離型層成形空間を形成し、基材層が金型と接するよう配置することが好ましい。これにより、第1の樹脂組成物及び金型の間にモールド成形用離型フィルムを介在させ、第1の樹脂組成物に離型層を密着させてモールド成形を行うことで、第1の樹脂組成物の成形物にエンボス模様を付与できる。
モールド成形温度の下限値は、例えば、120℃以上としてもよく、140℃以上としてもよく、150℃以上としてもよく、160℃以上としてもよく、175℃以上としてもよい。第1の樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む場合、モールド成形温度は、例えば、上記下限値以上に設定される。従来のモールド成形用離型フィルムであれば、上記下限値以上の高温におけるモールド成形では耐熱性が不足し、エンボス形状が崩壊してしまうという不都合があった。しかしながら、第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、その基材層1及び離型層2を構成する第2の樹脂組成物及び第3の樹脂組成物の原料成分の選択によって、上記下限値以上の高温におけるモールド成形でもエンボス形状が崩壊しないという点で都合がよい。これにより、第1の樹脂組成物の成形物に対して、好適にエンボス模様を付与できる。したがって、印字の可読性を向上できる。
なお、第2実施形態にかかるモールド成形用離型フィルムは、高温高圧のモールド成形に用いても、基材層1及び離型層2が剥離しないという点で都合がよい。詳細なメカニズムは定かではないが、基材層1の微細な凹凸に、離型層2が食い込み、あたかもアンカー効果のように作用するため、基材層1及び離型層2の密着性が高いと推測される。
また、モールド成形温度の上限値は、例えば、240℃以下としてもよく、200℃以下としてもよく、185℃以下としてもよい。
<第1の樹脂組成物>
第2実施形態に係る第1の樹脂組成物は限定されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂組成物または熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。第2実施形態に係るモールド成形用離型フィルムはエポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物のモールド成形に好適に用いられる。なぜなら、エポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物のモールド成形温度は、例えば175℃以上であるが、175℃以上の高温においても基材層1の凹凸が崩壊することがないためである。
熱硬化性樹脂組成物としては、上述した第1実施形態と同様のものを用いることができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムについて説明するが、上述した第1実施形態との相違点を中心に説明する。説明の無い事項については、第1実施形態と同様とすることができる。
第3実施形態におけるモールド成形用離型フィルムは、第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、当該モールド成形用離型フィルムは最外層に離型層を有しており、前記離型層は第3の樹脂組成物によって構成され、前記第3の樹脂組成物は、フッ素化合物を含み、前記フッ素化合物は、フルオロカーボン基を含み、前記離型層の表面に対する、ヘキサデカンの接触角が20°以上77°以下である、モールド成形用離型フィルムが提供される。
本発明者らは、エポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物をモールド成形する際における、モールド成形用離型フィルムの耐熱性について検討した。その結果、従来のモールド成形用離型フィルムは溶融してしまい、第1の樹脂組成物に対して接合した状態となってしまうことがあることが判明した。これは、エポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物は、モールド成形の温度が、例えば、175℃以上と高温であり、従来のモールド成形用離型フィルムは、高温に耐えられないためと推測された。
本発明者らは、モールド成形用離型フィルムの溶融を防ぐため、モールド成形用離型フィルムの最外層に、特定のフッ素化合物によって形成される離型層を配置することを考えた。これにより、モールド成形用離型フィルムの耐熱性を向上することができた。詳細なメカニズムは定かではないが、この理由は以下のように推測される。上記特定のフッ素化合物は、フルオロカーボン基を含む。フルオロカーボン基とは、炭化水素基の水素原子の一部または全てが、フッ素原子で置換された基を示す。このようなフルオロカーボン基は、炭素原子及びフッ素原子の結合を有する。炭素原子及びフッ素原子の結合は、炭素原子同士の結合、炭素原子及び水素原子の結合、炭素原子及び酸素原子の結合と比べて、振動、回転などの結合の分子運動に必要な熱エネルギーが大きいと推測される。したがって、熱による分子鎖の運動を制限し、耐熱性が向上すると考えられる。
次いで、本発明者らがエポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物をモールド成形する際における、モールド成形用離型フィルムの離型性について検討した。その結果、特定のフッ素化合物によって離型層を単に形成するだけでは、離型性が求められる水準まで向上しないことが判明した。そこで、本発明者らは、離型性を向上するために、特定の溶媒に対する離型層の接触角、すなわち、離型層の濡れ性について検討した。その結果、離型層に対する、ヘキサデカンの接触角が特定の数値範囲内であることで、優れた離型性を発揮することを見出した。詳細なメカニズムは明らかではないが、この理由は以下のように推測される。
まず、エポキシ樹脂は、極性を示すグリシジル基を有する。離型層のヘキサデカンに対する接触角が特定の数値範囲以下であることにより、グリシジル基との親和性が高くなり過ぎることを抑制できる。また、エポキシ樹脂は、非極性の骨格を有する。離型層のヘキサデカンに対する接触角が特定の数値範囲以上であることにより、非極性の骨格に対する親和性が高くなり過ぎることを抑制できる。したがって、離型層のヘキサデカンに対する接触角が特定の数値範囲内であることにより、離型層と、エポキシ樹脂との親和性が高くなり過ぎることを抑制でき、離型性を向上できると推測される。
以上より、第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、耐熱性及び離型性に優れ、モールド成形性を向上できるものと推測される。
以下、第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムの構成について、さらに詳細に説明する。
<離型層>
まず、離型層について説明する。
第3実施形態におけるモールド成形用離型フィルムは、少なくとも最外層に離型層を有している。離型層は、第3の樹脂組成物によって構成されるフィルムである。
<第3の樹脂組成物>
離型層を形成する第3の樹脂組成物について説明する。
第3の樹脂組成物は、少なくともフッ素化合物を含む。
フッ素化合物は、フルオロカーボン基を含むものであればよい。フッ素化合物としては、具体的には、下記一般式(2)に示すものが好ましい。
Figure 2019073022
(上記一般式(2)中、
Xはフルオロカーボン基を含む基である。
Yは、末端に極性官能基を少なくとも1つ有する基であり、該極性官能基は、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群より選択される1種または2種以上である。)
本発明者が、ヘキサデカンに対する接触角を特定の数値範囲にすることについて検討した結果、フッ素化合物が末端に極性官能基を有することが、当該接触角の制御に有効であることを見出した。詳細なメカニズムは定かではないが、この理由は以下のように推測される。
フッ素化合物の分子鎖は、フッ素原子同士の相互作用による影響で分子鎖同士の凝集力が低い。しかしながら、フッ素化合物が末端に極性官能基を有すると、極性官能基同士が結合すると推測される。これにより、末端に極性官能基を有するフッ素化合物は、末端に極性官能基を有さないものと比べて、分子鎖の凝集力が高い。したがって、離型層のフッ素原子の密度を向上することができ、ヘキサデカンに対する接触角を特定の数値範囲以下にできると考えられる。
また、フッ素化合物の分子鎖の凝集力が向上することで、離型層の強度が向上する。これにより、離型層にヒケなどの凹凸形状が生じることを防ぐことができる。このような離型層を備えるモールド成形用離型フィルムを、モールド成形に用いる場合、前記凹凸形状が転写されないという意味で不都合がない。したがって、第3実施形態のモールド成形用離型フィルムは、モールド成形性を向上できるものである。
上記一般式(2)におけるYは、末端に極性官能基を少なくとも1つ有する基である。
上記極性官能基としては、具体的には、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基などが挙げられる。極性官能基としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性官能基としては、上記具体例のうち、シラノール基または炭素数1以上10以下のアルコキシシラン基を含むことが好ましい。これにより、フッ素化合物の分子鎖同士が好適に結合できる。したがって、フッ素化合物中に極性基が残存し、エポキシ樹脂との離型性が低下することを抑制できる。
シラノール基または炭素数1以上10以下のアルコキシシラン基を含むフッ素化合物としては、例えば、下記一般式(3)で示されるものが好ましい。なお、下記一般式(3)においてAがヒドロキシ基の場合、フッ素化合物はシラノール基を含む。また、下記一般式(3)においてAがアルコキシ基の場合、フッ素化合物はアルコキシシラン基を含む。
Figure 2019073022
(上記一般式(3)中、Xは上記一般式(2)と同様である。
複数のAはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子及びケイ素原子からなる群より選択される1種または2種以上の原子によって形成される基である。Aは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。Aのうち少なくとも一つは、ヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基である。)
上記一般式(3)において、複数のAは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子及びケイ素原子からなる群より選択される1種または2種以上の原子によって形成される基である。
上記一般式(3)において、複数のAのうち少なくとも一つは、ヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基であり、ヒドロキシ基または炭素数1以上7以下のアルコキシ基であることが好ましく、ヒドロキシ基または炭素数1以上4以下のアルコキシ基であることが更に好ましく、炭素数1以上2以下のアルコキシ基であることが一層好ましい。
上記一般式(3)において、複数のAは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。
Aのうち少なくとも1つがヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基であればよく、Aのうち2つ以上がヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基であることが好ましく、Aのうち3つがヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基であることがより好ましい。これにより、後述するプライマー層または基材層が存在する場合、極性官能基を含むAと、プライマー層または基材層と、が結合を形成することにより、プライマー層または基材層上に離型層を安定して形成することができる。
上記一般式(3)において、Aのうち2つ以上がヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基であることにより、フッ素化合物の分子鎖間でA同士が反応し、分子鎖がAを介して結合し、均一かつフッ素原子の密度が高い離型層を形成することができる。したがって、離型層を形成する分子鎖の欠陥が生じることを抑制でき、離型性をさらに向上することができる。
上記一般式(3)において、ヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基以外のAとしては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基;アリル基、ペンテニル基、ビニル基などのアルケニル基;エチニル基などのアルキニル基;メチリデン基、エチリデン基などのアルキリデン基;トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;トリル基、キシリル基などのアルカリル基などが挙げられる。
上記一般式(2)及び(3)において、Xは、フルオロカーボン基を含む1価の基である。第3実施形態において、フルオロカーボン基とは、炭化水素基の水素原子の一部または全てが、フッ素原子で置換された官能基を指す。また、1価の基とは、原子価のことを示す。すなわち、Xがほかの原子と結合する手が1個であることを示す。
Xとしては、例えば、下記式(X1)で表される構造単位を含むことが好ましい。これにより、離型層のフッ素原子密度を向上させることができる。
Figure 2019073022
(上記式(X1)中、nは、2以上の整数である。)
Xとしては、例えば、エーテル結合、すなわち、炭素原子−酸素原子−炭素原子の結合を含むことが好ましい。これにより、上記一般式(2)及び(3)におけるXの部分の運動性が大きくなると推測される。したがって、離型層の柔軟性が向上し、モールド成形などで変形が加わったとしても、離型層に欠陥が生じづらくなる。以上より、成形性を向上できる。
Xの構造としては、具体的には、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体等のテトラフルオロエチレンに由来する構造単位を挙げることができる。Xの構造としては、上記具体例のうち、1種または2種以上の構造単位を組み合わせてよい。
Xの炭素の配列としては、例えば、直鎖状、分岐状または環状とすることができる。これらの中でも直鎖状であることが好ましい。これにより、フッ素化合物のフッ素原子の密度を向上することができる。
上記一般式(2)で表され、上記(X1)の構造単位を含むフッ素化合物の市販品としては、具体的には、フロロテクノロジー社製のFG−5084SHまたは6050、ネオス社製のフリリース85、AGCセイミケミカル社製のサイトップCTX−809A、ネオス社製のRB−5910EX−IIIなどに含まれる。フッ素化合物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。これにより、離型性を向上できる。
第3の樹脂組成物は、離型層の離型性を低下させない範囲で、さらにその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、限定されないが、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネートなどの帯電防止剤;酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、二酸化ケイ素などの無機充填材;オルガノシリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリアクリルパウダーなどの有機充填材;フッ素系ノニオン界面活性剤などのレベリング剤等が挙げられる。
<離型層の製造方法>
第3実施形態において、離型層を製造する方法は限定されず、第3の樹脂組成物にあわせて従来公知の方法を用いることができる。具体的には、溶媒によってワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工し、乾燥する方法を用いることが好ましい。塗工する方法としては、グラビアロール塗工法、ドクターブレード塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、バーコーター塗工法、紙による直接塗工法などが挙げられる。
離型層を作製する方法としては、例えば、後述する基材層に対して、第3の樹脂組成物を直接塗工し、第3の樹脂組成物を乾燥させてモールド成形用離型フィルムを得ることが好ましい。これにより、寸法精度よく、離型層及びモールド成形用離型フィルムを作製することができる。
なお、塗工した第3の樹脂組成物を乾燥させる条件は限定されず、溶媒など揮発成分を乾燥できればよい。具体的には、乾燥の温度条件を25℃以上150℃以下とすることができる。
離型層及び第1の樹脂組成物の親和性が高くなりすぎることを抑制し、モールド成形用離型フィルムの離型性を向上させる観点から、離型層の表面に対するヘキサデカンの接触角の下限値は、25℃において、20°以上であって、30°以上であることが好ましく、50°以上であることが好ましい。
また、同様の観点から、離型層の表面に対するヘキサデカンの接触角の上限値は、25℃において、75°以下であり、70°以下であることが好ましい。
ヘキサデカンの接触角の測定方法としては限定されず、例えば、協和界面科学社製、DROPMASTER−501等の市販の接触角計を使用し、測定対象を平面に静置し、測定対象表面にヘキサデカン2μLを着滴して7秒後の接触角を液適法にて測定することができる。
離型層の表面に対する水の接触角の上限値は、25℃において、例えば、118°以下であることが好ましく、113°以下であることがより好ましく、110°以下であることが更に好ましく、109°以下であることが一層好ましい。これにより、第1の樹脂組成物の非極性基と、離型層との親和性が高くなり過ぎることを抑制できる。したがって、離型性を向上できる。
また、離型層の表面に対する水の接触角の下限値は、25℃において、例えば、100°以上であることが好ましく、105°以上であることがより好ましい。これにより、エポキシ樹脂を含む第1の樹脂組成物をモールド成形する場合、エポキシ樹脂のグリシジル基などの極性基と、離型層との親和性が高くなり過ぎることを抑制できる。したがって、離型性を向上できる。
水の接触角の測定方法としては、限定されず、例えば、協和界面科学社製、DROPMASTER−501等の市販の接触角計を使用し、測定対象を平面に静置し、測定対象表面に精製水2μLを着滴して7秒後の接触角を液適法にて測定することができる。
離型層の厚みの上限値は、例えば、80μm以下であり、55μm以下であり、40μm以下であり、30μm以下とすることもできる。これにより、単一の離型層により形成されるモールド成形用離型フィルムとすることができ、かつ、金型に対して良好な追従性を発揮することができる。
なお、離型層を、基材に塗工して作製する場合薄膜化してもよい。薄膜化する場合、離型層の厚みの上限値は、例えば、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが更に好ましく、0.5μm以下であることが一層好ましく、0.1μm以下であることが殊更好ましい。これにより、上述したように、フッ素化合物の分子を好適に整列させることができ、ヘキサデカンの接触角を上記数値範囲内に制御することができる。
また、離型層の厚みの下限値はとくに限定されない。例えば、0.0001μm以上であって、0.0005μm以上であることが好ましく、0.001μm以上であることが更に好ましく、0.005μm以上であることが一層好ましい。これにより、離型層に欠陥が生じる可能性を低減し、第1の樹脂組成物に対する離型性が低下することを抑制できる。
本発明者らが、離型層の表面におけるヘキサデカンの接触角を上記特定の数値範囲とする方法について検討した結果、上述したフッ素化合物を5μm以下に塗工することが有効であることがわかった。詳細なメカニズムは定かではないが、フッ素化合物を5μm以下となるように塗工することで、フッ素化合物の分子鎖を好適に整列させることができると推測される。
<基材層>
第3実施形態にかかるモールド成形用離型フィルムは、上述した離型層に加えて、基材層を備えていてもよい。すなわち、モールド成形用離型フィルムは、離型層と、基材層と、が積層された積層構造を有してもよい。これにより、モールド成形用離型フィルムに適切な剛性を付与することができる。したがって、モールド成形用離型フィルムに、シワなどの変形が生じることを抑制することができる。
ここで、基材層は第2の樹脂組成物によって構成されるフィルムである。
<第2の樹脂組成物>
第2の樹脂組成物は、例えば、熱可塑性樹脂を含む。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニルなどのポリビニル樹脂;ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリオレフィン樹脂;シンジオタクチック構造を有するポリスチレン樹脂などのポリスチレン樹脂;スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2の樹脂組成物が含む熱可塑性樹脂としては、上記具体例のうち、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂としては、上記具体例のうち、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。これにより、離型性を向上できる。この理由について、詳細なメカニズムは定かではないが、以下のように推測される。まず、基材層の表面にわずかにカルボキシル基の残渣が存在すると推測される。これにより、離型層を形成するフッ素化合物の極性官能基と、基材層の表面のカルボキシル基の残渣が結合を形成すると考えられる。したがって、離型層を基材層表面に均一に形成することができ、離型層の欠陥が生じることを抑制する。以上より、離型性を向上できる。
さらに、熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合、優れた離型性を実現できる。ポリエチレンテレフタレートは、耐熱性が高く、高温時の強度にも優れる。これにより、モールド成形用離型フィルムに熱と荷重が加わったとしても、歪み速度の大きな変形がおこることを抑制できる。これにより、離型層が、基材層に追従して破壊されてしまうことを抑制できる。したがって、優れた離型性を実現することができる。
第2の樹脂組成物は、必要に応じて、さらにその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、限定されないが、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等の着色剤;安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコーンゴム等の耐衝撃性付与剤;酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填材等が挙げられる。
<基材層の製造方法>
第3実施形態において、基材層を製造する方法は限定されず、第2の樹脂組成物の種類に応じて、従来公知の方法を用いることができる。基材層である第2の樹脂組成物を含むフィルムは、未延伸フィルムでもよく、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。これらのなかでも一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムを用いることが好ましい。これにより、基材層に含まれる第2の樹脂組成物の分子鎖を配向させることができる。これにより、強度と耐熱性を向上することができ、モールド成形用離型フィルムにシワなどの変形が生じることを抑制できる。
基材層の表面は、例えば、表面処理によって改質してもよい。表面処理としては、具体的には、コロナ処理、プラズマ処理などが挙げられる。表面処理としては、上記具体例のうち、コロナ処理するのが好ましい。コロナ処理により、基材層の表面を改質することができる。表面の改質としては、具体的には、コロナ処理を施した基材層表面に、ヒドロキシ基、カルボキシル基などの極性官能基を形成することができる。したがって、離型層、または、後述するプライマー層を基材層表面に形成する場合、離型層またはプライマー層をより均一に形成することができる。したがって、離型層またはプライマー層を形成する分子鎖の欠陥が生じることを抑制し、離型性が低下するのを抑制することができる。
また、上記表面処理を行うことで、基材層表面と、離型層またはプライマー層との密着強度を向上できる。これにより、モールド成形中に、モールド成形用離型フィルムの積層構造が分離してしまうことを抑制できる。したがって、モールド成形性を向上できる。また、密着強度が向上することで、例えば、モールド成形用離型フィルムを搬送する際に、モールド成形用離型フィルムが変形したとしても、積層構造が分離することを抑制できる点で不都合がない。
なお、基材層の表面形状は、離型性に影響を与えない範囲で、平滑な鏡面形状であってもよく、凹凸形状があってもよい。
また、本発明者が検討した結果、基材層が存在する場合に、離型層のヘキサデカンに対する接触角、及び、水に対する接触角を上述した特定の数値範囲内とするには、下記特定の条件のコロナ処理を基材層に施すことが好ましいことを見出した。詳細なメカニズムは定かではないが、上述したフッ素化合物の末端極性官能基が、基材層表面の極性官能基と結合を形成すると推測される。これにより、フッ素化合物の分子鎖が、適切に配列する。したがって、接触角を特定の数値範囲とできると考えられる。
ここで、接触角を上述した数値範囲内とする際のコロナ処理の条件としては、例えば、バッチコロナ処理機(例えば、春日電機(株)製、CORONA GENERATOR CT−0212)を用いて、出力が0.1kW以上大きく2.0kW以下、搬送速度が0.1m/分以上40m/分以下、放電隙間が0.1mm以上20mm以下で行うことが好ましい。
第3実施形態に係る基材層の厚みの下限値は、例えば、10μm以上であり、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルムの剛性が小さくなり過ぎることを防ぐことができる。したがって、成形時及び離型時に、モールド成形用離型フィルムにシワが生じ、モールド成形される第1の樹脂組成物の表面に該シワの形状を転写することを防ぐことができる。
また、基材層の厚みの上限値は、例えば、150μm以下であり、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることが一層好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルムの剛性が大きくなり過ぎることを防ぐことができる。したがって、成形時及び離型時に、シワを生じさせずにモールド成形用離型フィルムの金型に対する追従性を向上できる。
第3実施形態に係る基材層の融点の下限値は、例えば、160℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、220℃以上であることが更に好ましく、225℃以上であることが一層好ましく、230℃以上であることが殊更好ましい。これにより、基材層が金型と接する場合でも、モールド成形用離型フィルムの溶融を抑制できる。したがって、モールド成形用離型フィルムの耐熱性を向上できる。
また、基材層の融点の上限値は限定されず、例えば、300℃以下とすることができる。これにより、モールド成形時においても基材層は適切な剛性を発揮することができる。したがって、モールド成形用離型フィルムにシワ等の変形が生じることを抑制でき、モールド成形性を向上できる。
<プライマー層>
第3実施形態にかかるモールド成形用離型フィルムの積層構造は、上述した離型層及び基材層に加えて、さらに、プライマー層を備えていてもよい。ここで、モールド成形用離型フィルムの積層構造は、前記離型層と、前記基材層との間に、プライマー層を有してもよい。これにより、離型層及び基材層の接着性を向上し、さらに、モールド成形用離型フィルムの離型性を安定して発現することができる。
<第4の樹脂組成物>
プライマー層は第4の樹脂組成物によって構成される。
第4の樹脂組成物は限定されないが、例えば、シロキサン化合物を含むことが好ましい。
シロキサン化合物の中でも、加水分解によってシラノール基を形成するものが好ましい。さらに、第3の樹脂組成物のフッ素化合物がシラノール基を含む場合、上記シロキサン化合物及びフッ素化合物のシラノール基同士が脱水縮合反応できることがより好ましい。これにより、離型層をより安定して形成することができる。したがって、離型層に欠陥が生じることにより離型性が低下することを抑制できる。
第4の樹脂組成物が含む具体的なシロキサン化合物としては、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、スチリルシラン、メタクリルシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン等が挙げられる。
シロキサン化合物の具体的な物質名としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。第4の樹脂組成物は、これらの中から1種を単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
<プライマー層の製造方法>
第3実施形態において、プライマー層である第4の樹脂組成物を含む薄膜を製造する方法は限定されず、第4の樹脂組成物にあわせて従来公知の方法を用いることができる。具体的には、溶媒によってワニスに調製した第4の樹脂組成物を塗工し、乾燥する方法を用いることが好ましい。塗工する方法としては、ロール塗工法、ドクターブレード塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、バーコーター塗工法、紙による直接塗工法などが挙げられる。
例えば、プライマー層を作製する際、上述した基材層に対して、第4の樹脂組成物を直接塗工し、第4の樹脂組成物を乾燥させてプライマー層を得ることが好ましい。これにより、寸法精度よく、プライマー層を作製することができる。
なお、プライマー層の厚みは限定されない。プライマー層の厚みの下限値としては、例えば、0.0005μm以上であって、0.001μm以上であることが好ましく、0.005μm以上であることが更に好ましく、0.01μm以上であることが一層好ましい。これにより、離型層と、基材層との接着性を向上させることができる。したがって、離型層、プライマー層、基材層がこの順で積層される積層構造を有するモールド成形用離型フィルムを安定して成形することができる。
また、プライマー層の厚みの上限値としては、例えば、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることが好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルムの表面にクラックが生じることを抑制でき、さらに、モールド成形用離型フィルムの金型追従性を向上できる。
<モールド成形用離型フィルムの製造方法>
第3実施形態におけるモールド成形用離型フィルムは、その積層構造に応じた従来公知の方法を用いて作成することができる。
離型層、プライマー層、基材層がこの順で積層された積層構造を有するモールド成形用離型フィルムは、例えば、上述した基材層を準備し、基材層上にプライマー層、離型層をこの順で塗工し、形成することによって、作製することができる。
モールド成形用離型フィルムの積層構造は、少なくとも最外層に離型層を有する。積層構造は、離型層、基材層、プライマー層を、それぞれ1層または2層以上含んでもよい。
積層構造として、具体的には、離型層、基材層がこの順で積層された積層構造;離型層、プライマー層、基材層がこの順で積層された積層構造;第1の離型層、基材層、第2の離型層がこの順で積層された積層構造;第1の離型層、第1のプライマー層、基材層、第2のプライマー層、第2の離型層がこの順で積層された積層構造;離型層、第1の基材層、第2の基材層、第3の基材層がこの順で積層された積層構造などが挙げられる。
積層構造としては、上記具体例のうち、離型層、プライマー層、基材層がこの順で積層された積層構造であることが好ましい。これにより、離型性及び耐熱性を向上できる。
なお、複数の離型層が存在する場合、離型層は同様のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。また、複数の基材層が存在する場合、基材層は同様のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。また、複数のプライマー層が存在する場合、プライマー層は同様の物を用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
モールド成形用離型フィルムの厚みの上限値は、例えば255μm以下であり、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更に好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルムが、金型の形状に対する追従性を確保することができる。
また、モールド成形用離型フィルムの厚みの下限値は、例えば、0.0001μm以上であり、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、25μm以上であることがさらに好ましく、30μm以上であることが一層好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルムは離型性を好適に発現することができる。
<用途>
第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられる。
第3実施形態に係るモールド成形の方法、得られる電子装置としては、上述した第1実施形態と同様とすることができる。
第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムを使用した、モールド成形の方法としては、配置工程(S1)と、導入工程(S2)とを備えていれば、限定されるものではない。
具体的なモールド成形の方法としては、トランスファーモールド成形法またはコンプレッションモールド成形法(圧縮成形法)が挙げられる。これらの中でも、第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、トランスファーモールド成形において、好適に用いられる。なぜなら、第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、耐熱性、追従性のバランスが良い。これにより、トランスファーモールド成形において第1の樹脂組成物を導入したとしても、モールド成形用離型フィルムが溶融したり、ずれたりすることがなく、良好な離型性を発揮できるからである。
なお、トランスファーモールド成形法、コンプレッションモールド成形法は、上述した第1実施形態と同様の方法とすることができる。
なお、第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、175℃よりも低温におけるモールド成形においても好適に用いることができる。第1の樹脂組成物の成形温度としては限定されず、後述する第1の樹脂組成物が含む原料成分に応じて成形温度を設定することができる。
モールド成形温度の下限値は、例えば、120℃以上としてもよく、140℃以上としてもよく、150℃以上としてもよく、160℃以上としてもよく、175℃以上としてもよい。第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは、上記下限値以上で成形した場合においても、好適なモールド成形性を発揮することができる。
また、モールド成形温度の上限値は、例えば、240℃以下としてもよく、200℃以下としてもよく、185℃以下とすることが好ましい。これにより、モールド成形用離型フィルムの耐熱性、成形性の低下を抑制することができる。
<第1の樹脂組成物>
第3実施形態に係る第1の樹脂組成物は限定されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂組成物または熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。第3実施形態に係るモールド成形用離型フィルムは耐熱性に優れる。これにより、例えば、175℃以上で行われる熱硬化性樹脂組成物のモールド成形においても好適に用いることができる。
熱硬化性樹脂組成物としては、上述した第1実施形態と同様のものを用いることができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、
離型層が、基材層の上に積層された積層構造を有しており、
前記離型層及び前記基材層が直接結合しており、
前記積層構造の最外層は、前記離型層を有しており、
前記離型層は、下記一般式(1)で示される共重合体と、硬化剤とを架橋してなる、モールド成形用離型フィルム。
Figure 2019073022
(一般式(1)中、
lおよびmは、それぞれ、共重合体中における、A及びBのモル含有率を示し、
l+m=1であり、
Aは、フルオロカーボン基を含み、
Bは、下記式(B1)により示される構造単位である。)
Figure 2019073022
(一般式(B1)中、
は、前記硬化剤と反応する官能基を含む基である。)
2. 1.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記基材層の、前記離型層と直接結合する面が平滑である、モールド成形用離型フィルム。
3. 1.または2.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記一般式(1)において、Aは、下記式(A1)で示される構造単位を含む、モールド成形用離型フィルム。
Figure 2019073022
(上記式(A1)中、nは1以上の整数である。)
4. 1.から3.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記硬化剤は、イソシアネート化合物を含む、モールド成形用離型フィルム。
5. 1.から4.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記Rの、前記硬化剤と反応する官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基からなる群より選択される1種または2種以上からを含む、モールド成形用離型フィルム。
6. 1.から5.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記第1の樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含み、
前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
7. 1.から6.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記基材層は第2の樹脂組成物によって構成され、
前記第2の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
当該モールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法は、トランスファーモールド成形法またはコンプレッションモールド成形法である、モールド成形用離型フィルム。
9. 1.から8.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法であって、
前記モールド成形の温度は120℃以上240℃以下である、モールド成形用離型フィルム。
10. 1.から9.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法であって、
該モールド成形用離型フィルムを金型に配置する配置工程と、
該モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間に第1の樹脂組成物を導入する導入工程と、を含む、モールド成形方法。
11. 10.に記載のモールド成形方法であって、
前記第1の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であり、
前記熱硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む、モールド成形方法。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1の樹脂組成物及び金型の間にモールド成形用離型フィルムを介在させ、前記第1の樹脂組成物に離型層を密着させてモールド成形を行うことで、前記第1の樹脂組成物の成形物にエンボス模様を付与するために使用される当該モールド成形用離型フィルムであって、
第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に、第3の樹脂組成物によって構成される離型層を積層する積層構造を有しており、
前記第3の樹脂組成物は、シリコーン化合物またはフッ素化合物を含み、
前記基材層は、前記離型層が積層される面に凹凸を備え、
前記離型層の厚みは15μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
2. 1.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
当該モールド成形用離型フィルムは、前記離型層を備える面にエンボス形状を有する、モールド成形用離型フィルム。
3. 2.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
当該モールド成形用離型フィルムの、前記エンボス形状を備える面について、JIS Z 8741に準拠して測定した、入射角度60°における光の反射率である光沢度が、1以上23以下である、モールド成形用離型フィルム。
4. 1.から3.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記第3の樹脂組成物は、前記フッ素化合物と、硬化剤とを含み、
前記フッ素化合物は、下記一般式(1)で示される共重合体であり、
前記離型層は前記フッ素化合物と、前記硬化剤とを架橋してなる、モールド成形用離型フィルム。
Figure 2019073022
(一般式(1)中、
lおよびmは、それぞれ、共重合体中における、A及びBのモル含有率を示し、
l+m=1であり、
Aは、フルオロカーボン基を含み、
Bは、下記一般式(B1)により示される構造単位である。)
Figure 2019073022
(一般式(B1)中、
は、前記硬化剤と反応する官能基を含む基である。)
5. 4.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記一般式(1)で示される共重合体において、Aは、下記式(A1)で示される構造単位を含む、モールド成形用離型フィルム。
Figure 2019073022
(上記式(A1)中、nは1以上の整数である。)
6. 4.または5.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記Rが備える前記硬化剤と反応する官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基からなる群より選択される1種または2種以上を含む、モールド成形用離型フィルム。
7. 4.から6.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記硬化剤は、イソシアネート化合物を含む、モールド成形用離型フィルム。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記基材層の前記凹凸を備える面について、算術平均粗さRaが、0.10μm以上1.0μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
9. 1.から8.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記基材層の前記凹凸を備える面について、10点平均表面粗さRzが、1.0μm以上10.0μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
10. 1.から9.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記第1の樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含み、
前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である、モールド成形用離型フィルム。
11. 1.から10.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記第2の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
12. 1.から11.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記モールド成形の方法は、トランスファーモールド成形法またはコンプレッションモールド成形法である、モールド成形用離型フィルム。
13. 1.から12.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記モールド成形の温度は120℃以上240℃以下である、モールド成形用離型フィルム。
14. 1.から13.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法であって、
該モールド成形用離型フィルムを金型に配置する配置工程と、
該モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間に第1の樹脂組成物を導入する導入工程と、を含む、モールド成形方法。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、
当該モールド成形用離型フィルムは最外層に離型層を有しており、
前記離型層は第2の樹脂組成物によって構成され、
前記第2の樹脂組成物は、フッ素化合物を含み、
前記フッ素化合物は、フルオロカーボン基を含み、
前記離型層の表面に対する、ヘキサデカンの接触角が20°以上77°以下である、モールド成形用離型フィルム。
2. 1.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
該モールド成形用離型フィルムは、前記離型層と、基材層と、が積層された積層構造を有し、
前記基材層は第3の樹脂組成物によって構成され、
前記第3の樹脂組成物は熱可塑性樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
3. 2.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記基材層の融点が160℃以上300℃以下である、モールド成形用離型フィルム。
4. 2.または3.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記フッ素化合物は、下記一般式(2)で示される、モールド成形用離型フィルム。
Figure 2019073022
(上記一般式(2)中、Xはフルオロカーボン基を含む基である。
Yは、末端に極性官能基を少なくとも1つ有する基であり、該極性官能基は、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群より選択される1種または2種以上である。)
5. 4.に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記フッ素化合物は、下記一般式(3)で示される、モールド成形用離型フィルム。
Figure 2019073022
(上記一般式(3)中、Xは前記一般式(2)におけるXと同様である。
複数のAはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子及びケイ素原子からなる群より選択される1種または2種以上の原子によって形成される基である。Aは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。Aのうち少なくとも一つは、ヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基である。)
6. 2.から5.のいずれか一つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記積層構造は、前記離型層と、前記基材層との間に、プライマー層を有し、
前記プライマー層は、第4の樹脂組成物によって構成され、
前記第4の樹脂組成物は、シロキサン化合物を含む、モールド成形用離型フィルム。
7. 1.から6.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記第1の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であり、
前記熱硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記モールド成形は、トランスファーモールド成形法またはコンプレッションモールド成形法である、モールド成形用離型フィルム。
9. 1.から8.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記離型層の表面に対する、水の接触角が100°以上118°以下である、モールド成形用離型フィルム。
10. 1.から9.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムであって、
前記離型層の厚みが0.0001μm以上5μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
11. 1.から10.のいずれか1つに記載のモールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法であって、
該モールド成形用離型フィルムを金型に配置する配置工程と、
該モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間に第1の樹脂組成物を導入する導入工程と、を含む、モールド成形方法。
12. 11.に記載のモールド成形方法であって、
前記第1の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であり、
前記熱硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含むモールド成形方法。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例A]
まず、実施例A−1〜A−4、比較例A−1〜A−2のモールド成形用離型フィルムについて、詳細を説明する。
(実施例A−1)
まず、基材層1を準備した。基材層1としては、厚み50μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、E5100)を準備した。基材層1は両面が平滑なフィルムであった。
次いで、基材層1に表面改質処理を施した。表面改質処理としては、コロナ放電処理を行った。コロナ放電処理は、具体的には、バッチコロナ処理機(春日電機(株)製、CORONA GENERATOR CT−0212)を用いて、出力2kW、搬送速度が40m/分、放電隙間が20mmで行った。
コロナ放電処理した基材層は、空気に触れないようにして静置した。静置して168時間後、表面改質した基材層1の表面に、ワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工した。ここで、第3の樹脂組成物としては、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの主剤13重量部及び硬化剤1重量部を、メチルエチルケトン28重量部に溶解させて用いた。ここで、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの主剤は、本実施形態の項で述べた、一般式(1)で表され、Aとして上記式(A2)の構造単位を含み、Bとして上記一般式(B1)の構造単位を含む共重合体を含む。また、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの硬化剤は、2官能のイソシアネート化合物を含む。第3の樹脂組成物の塗工は、グラビアロール塗工法を用いて行った。塗工後、温度120℃、20分間の条件で第3の樹脂組成物を十分に架橋反応させ、基材層1の上に離型層2を形成することで、実施例A−1のモールド成形用離型フィルム10を得た。なお、離型層2のドライ厚みは0.8μmであった。
なお、実施例A−1のモールド成形用離型フィルムは、離型層2の表面に、粘着テープ(電気化学工業社製、カラリヤンPPカットE)を貼り、次いで、粘着テープを剥がすことにより、基材層1から離型層2を剥離できなかった。
(実施例A−2)
第3の樹脂組成物として、AGCコーテック社製のオブリガートの主剤13重量部及び硬化剤1重量部を、メチルエチルケトン42重量部に溶解させて用いた以外は、実施例A−1に記載の方法で、実施例A−2のモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、離型層2のドライ厚みは0.4μmであった。
なお、実施例A−2のモールド成形用離型フィルムは、離型層2の表面に、粘着テープ(電気化学工業社製、カラリヤンPPカットE)を貼り、次いで、粘着テープを剥がすことにより、基材層1から離型層2を剥離できなかった。
(実施例A−3)
基材層として、厚み38μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、E5100)を準備した以外は、実施例A−1に記載の方法で、実施例A−3のモールド成形用離型フィルムを作製した。ここで、基材層1は両面が平滑なフィルムであった。
なお、実施例A−3のモールド成形用離型フィルムは、離型層2の表面に、粘着テープ(電気化学工業社製、カラリヤンPPカットE)を貼り、次いで、粘着テープを剥がすことにより、基材層1から離型層2を剥離できなかった。
(実施例A−4)
基材層として、厚み38μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、E5100)を準備し、さらに、第3の樹脂組成物として、AGCコーテック社製のオブリガートの主剤13重量部及び硬化剤1重量部を、メチルエチルケトン42重量部に溶解させて用いた以外は、実施例A−1に記載の方法で、実施例A−4のモールド成形用離型フィルムを作製した。ここで、基材層1は両面が平滑なフィルムであった。
なお、離型層2のドライ厚みは0.4μmであった。
また、実施例A−4のモールド成形用離型フィルムは、離型層2の表面に、粘着テープ(電気化学工業社製、カラリヤンPPカットE)を貼り、次いで、粘着テープを剥がすことにより、基材層1から離型層2を剥離できなかった。
(比較例A−1)
基材層1に表面改質処理を施さなかった以外は、実施例A−1に記載の方法で、比較例A−1のモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、比較例A−1のモールド成形用離型フィルムは、離型層2の表面に、粘着テープ(電気化学工業社製、カラリヤンPPカットE)を貼り、次いで、粘着テープを剥がすことにより、基材層1から離型層2を剥離し、該粘着テープに離型層2を転写することができるものであり、離型層2及び基材層1が直接結合していないことを確認した。
(比較例A−2)
比較例A−1で作製したモールド成形用離型フィルムについて、離型層2の表面に、粘着テープ(電気化学工業社製、カラリヤンPPカットE)を貼って、剥がすことにより、基材層1から離型層2を剥離し、該粘着テープに離型層2を転写した。次いで、基材層1にアクリル接着剤(ローム・アンド・ハース社製、プライマルN580)を50g/mの塗布量で塗布し、粘着テープに転写した離型層2を密着し、乾燥することで、基材層1、乾燥したアクリル接着剤、離型層2をこの順で積層してなる、比較例A−2のモールド成形用離型フィルムを作製した。なお、乾燥したアクリル接着剤からなる層の厚みは0.1mmであった。
各実施例および各比較例の各モールド成形用離型フィルムについて、成形性、離型性の評価に用いる熱硬化性樹脂組成物のタブレットを作製した。その作製方法について詳細を説明する。
成形性、離型性の評価に用いた熱硬化性樹脂組成物の原料として、以下のものを用いた。
・エポキシ樹脂1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)
・エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL6677)
・硬化剤1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂(日本化薬社製、GPH−65)
・硬化剤2:ホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE910−20)
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、TPP)
・無機充填材:溶融球状シリカ(電気化学工業社製、FB−950FC)
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学社製、MA−600)
・カップリング剤:N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−573)
・離型剤:カルナバワックス(日興ファイン社製、ニッコウカルナバ)
まず、上述した、エポキシ樹脂1を4.5重量部、エポキシ樹脂2を4.5重量部、硬化剤1を2.8重量部、硬化剤2を2.8重量部、硬化促進剤を0.4重量部、無機充填材を84.2重量部、着色剤を0.2重量部、カップリング剤を0.4重量部、離型剤を0.2重量部準備した。次いで、各原料成分を常温でミキサーを用いて混合した後、45℃及び90℃の2本ロールで加熱しながらロール混練し、混練物を得た。次いで、前記混練物を冷却した後、これを粉砕し、粉砕物を得た。次いで、粉砕物を打錠成形することで、タブレット形状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
<モールド成形>
トランスファーモールド成型機(TOWA社製、Y−SERIES)にモールド成形用離型フィルムをセットした後、成型機が備える金型の内部空間を真空引きすることにより、該離型フィルムを金型に追従させた。次に、熱硬化性樹脂組成物のタブレットを所定の位置に配置した。その後、成型機が備える金型をクランプ圧力300kg/cmの条件で締めてから、溶融させた状態にある上記熱硬化性樹脂組成物を射出圧力80kg/cmの条件で成型機が備える金型の内部空間に流し込み、175℃で2分間成形した。成形後、金型を開いて、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を金型から取り出した。
(成形性)
上記モールド成形後、モールド成形用離型フィルム10の外観、及び、得られた熱硬化性樹脂組成物の硬化物の外観を目視で観察し、成形性を以下の基準で評価した。評価結果を以下の表1に示す。
◎:成形後のモールド成形用離型フィルムについて、基材層1及び離型層2の剥離が観察されなかった。また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の表面を目視で観察したところ、鏡面に仕上がっており、モールド成形用離型フィルムの剥離に由来する跡が転写することによる傷はなかった。
○:成形後のモールド成形用離型フィルムについて、基材層1及び離型層2の剥離が観察されなかった。また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の表面を目視で観察したところ、モールド成形用離型フィルムのシワに由来する微細な跡があるものの、鏡面としては問題ない程度であった。また、モールド成形用離型フィルムの剥離はなく、該剥離に由来する跡が転写した傷はなかった。
×:熱硬化性樹脂組成物の硬化物の表面を目視で観察したところ、基材層1及び離型層2の剥離が観察された。また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の表面を目視で観察したところ、モールド成形用離型フィルムの剥離に由来する跡が転写し、所望の鏡面が得られていなかった。
(離型性)
上記モールド成形において、金型を開いた際における、モールド成形用離型フィルムと、熱硬化性樹脂組成物との離型性を以下の基準で評価した。評価結果を以下の表1に示す。
○:金型を開いた際に、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、自然と離型した。
×:金型を開いた際に、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、離型しなかった。
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1に示す。
Figure 2019073022
表1に示すように、実施例A−1〜A−4のモールド成形用離型フィルム10は、基材層1及び離型層2が、モールド成形によって剥離することなく、優れた成形性、離型性を示した。
一方、比較例A−1〜A−2のモールド成形用離型フィルム10は、基材層1及び離型層2が、モールド成形によって剥離し、成形性、離型性が、実施例A−1〜A−4のモールド成形用離型フィルムに比べて劣ることが確認された。
[実施例B]
また、実施例B−1〜B−4、比較例B−1〜B−2のモールド成形用離型フィルムについて、詳細を説明する。
(実施例B−1)
まず、基材層1を準備した。基材層1としては、厚み50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(開成工業社製、タイプA)を準備した。ここで、基材層1は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にサンドブラスト処理を施したものである。すなわち、基材層1の一方面は凹凸を備え、もう一方面は平滑である。
次いで、基材層1の凹凸を備える面に表面改質処理を施した。表面改質処理としては、コロナ放電処理を行った。コロナ放電処理は、具体的には、バッチコロナ処理機(春日電機(株)製、CORONA GENERATOR CT−0212)を用いて、出力2kW、搬送速度が40m/分、放電隙間が20mmで行った。
ここで、基材層1の凹凸について、JIS B 0601−2013に準拠して算術平均粗さRaを測定したところ、0.62μmであった。また、JIS B 0601−1994に準拠して10点平均表面粗さRzを測定したところ、4.97μmであった。
コロナ放電処理した基材層は、空気に触れないように静置した。静置して168時間後、基材層1の凹凸を備える一方面に、ワニスに調製した第3の樹脂組成物を塗工した。ここで、第3の樹脂組成物としては、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの主剤13重量部及び硬化剤1重量部を、メチルエチルケトン42重量部に溶解させて用いた。ここで、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの主剤は、本実施形態の項で述べた、一般式(1)で表され、Aとして上記式(A2)の構造単位を含み、Bとして上記一般式(B1)の構造単位を含む共重合体を含む。また、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの硬化剤は、2官能のイソシアネート化合物を含む。ここで、第3の樹脂組成物の塗工は、グラビアロール塗工法を用いて行った。塗工後、温度100℃で1分間乾燥させ、次いで、温度120℃で20分間熱処理することで第3の樹脂組成物を架橋反応させ、第3の樹脂組成物を十分に架橋反応させ、基材層1の上に離型層2を形成することで、実施例B−1のモールド成形用離型フィルム10を得た。ここで、モールド成形用離型フィルム10は、離型層が形成されている面にエンボス形状を備えることが目視にて確認された。
なお、離型層2のドライ厚みは0.4μmであった。また、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を備える面について、光沢度は11.0であった。なお、光沢度は、JIS Z 8741に準拠して、光の入射角度を60°として測定した。
(実施例B−2)
基材層1として、厚み50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(開成工業社製、タイプAZ)を準備した以外は実施例B−1に記載の方法で、実施例B−2のモールド成形用離型フィルム10を作製した。ここで、モールド成形用離型フィルム10は、離型層が形成されている面にエンボス形状を備えることが目視にて確認された。
なお、基材層1は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にサンドブラスト処理を施したものである。すなわち、基材層1の一方面は凹凸を備え、もう一方面は平滑である。
なお、基材層1の凹凸について、JIS B 0601−2013に準拠して算術平均粗さRaを測定したところ、0.67μmであった。また、JIS B 0601−1994に準拠して10点平均表面粗さRzを測定したところ、5.24μmであった。
なお、離型層2のドライ厚みは0.4μmであった。さらに、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を備える面について、光沢度は10.0であった。なお、光沢度は、JIS Z 8741に準拠して、光の入射角度を60°として測定した。
(実施例B−3)
基材層1として、厚み50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(開成工業社製、タイプD)を準備した以外は実施例B−1に記載の方法で、実施例B−3のモールド成形用離型フィルム10を作製した。ここで、モールド成形用離型フィルム10は、離型層が形成されている面にエンボス形状を備えることが目視にて確認された。
なお、基材層1は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にサンドブラスト処理を施したものである。すなわち、基材層1の一方面は凹凸を備え、もう一方面は平滑である。
なお、基材層1の凹凸について、JIS B 0601−2013に準拠して算術平均粗さRaを測定したところ、0.43μmであった。また、JIS B 0601−1994に準拠して10点平均表面粗さRzを測定したところ、4.10μmであった。
なお、離型層2のドライ厚みは0.4μmであった。また、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を備える面について、光沢度は14.4であった。なお、光沢度は、JIS Z 8741に準拠して、光の入射角度を60°として測定した。
(実施例B−4)
基材層1として、厚み50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(開成工業社製、タイプAZ)を準備し、さらに、第3の樹脂組成物としては、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの主剤13重量部及び硬化剤1重量部を、メチルエチルケトン28重量部に溶解させて用い、さらに、第3の樹脂組成物の塗工は、バーコーター塗工法を用いて行った以外は、実施例B−1に記載の方法で、実施例B−4のモールド成形用離型フィルム10を作製した。ここで、モールド成形用離型フィルム10は、離型層が形成されている面にエンボス形状を備えることが目視にて確認された。
なお、基材層1は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にサンドブラスト処理を施したものである。すなわち、基材層1の一方面は凹凸を備え、もう一方面は平滑である。
なお、基材層1の凹凸について、JIS B 0601−2013に準拠して算術平均粗さRaを測定したところ、0.67μmであった。また、JIS B 0601−1994に準拠して10点平均表面粗さRzを測定したところ、5.24μmであった。
また、離型層2のドライ厚みは0.8μmであった。また、モールド成形用離型フィルム10のエンボス形状を備える面について、光沢度は12.7であった。なお、光沢度は、JIS Z 8741に準拠して、光の入射角度を60°として測定した。
(比較例B−1)
第3の樹脂組成物としては、AGCコーテック社製のオブリガートPS306Rの主剤13重量部及び硬化剤1重量部を、メチルエチルケトン42重量部に溶解させて用いた以外は、実施例B−1に記載の方法で、比較例B−1のモールド成形用離型フィルム10を作製した。
なお、離型層2のドライ厚みは、16μmであった。
(比較例B−2)
基材層1として、厚み50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(開成工業社製、タイプA)を準備した。ここで、基材層1は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にサンドブラスト処理を施したものである。すなわち、基材層1の一方面は凹凸を備え、もう一方面は平滑である。
ここで、基材層1の凹凸について、JIS B 0601−2013に準拠して算術平均粗さRaを測定したところ、0.62μmであった。また、JIS B 0601−1994に準拠して10点平均表面粗さRzを測定したところ、4.97μmであった。
この基材層1をそのまま、比較例B−2のモールド成形用離型フィルム10として用いた。なお、後述する評価において、モールド成形は、基材層1の凹凸を備える面が、第1の樹脂組成物と密着するようにして行った。
なお、比較例B−2のモールド成形用離型フィルムでモールド成形を行うと、離型できないため、印字の可読性試験は行わなかった。
実施例B−1〜B−4および比較例B−1〜B−2のモールド成形用離型フィルムについて、印字の可読性、離型性の評価に用いる熱硬化性樹脂組成物のタブレットを作製した。その作製方法について詳細を説明する。
成形性、離型性の評価に用いた熱硬化性樹脂組成物の原料として、以下のものを用いた。
・エポキシ樹脂1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)
・エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL6677)
・硬化剤1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂(日本化薬社製、GPH−65)
・硬化剤2:ホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE910−20)
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、TPP)
・無機充填材:溶融球状シリカ(電気化学工業社製、FB−950FC)
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学社製、MA−600)
・カップリング剤:N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−573)
・離型剤:カルナバワックス(日興ファイン社製、ニッコウカルナバ)
まず、上述した、エポキシ樹脂1を4.5重量部、エポキシ樹脂2を4.5重量部、硬化剤1を2.8重量部、硬化剤2を2.8重量部、硬化促進剤を0.4重量部、無機充填材を84.2重量部、着色剤を0.2重量部、カップリング剤を0.4重量部、離型剤を0.2重量部準備した。次いで、各原料成分を常温でミキサーを用いて混合した後、45℃及び90℃の2本ロールで加熱しながらロール混練し、混練物を得た。次いで、前記混練物を冷却した後、これを粉砕し、粉砕物を得た。次いで、粉砕物を打錠成形することで、タブレット形状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
<モールド成形>
トランスファーモールド成型機(TOWA社製、Y−SERIES)にモールド成形用離型フィルムをセットした後、成型機が備える金型の内部空間を真空引きすることにより、該離型フィルムを金型に追従させた。次に、熱硬化性樹脂組成物のタブレットを所定の位置に配置した。その後、成型機が備える金型をクランプ圧力300kg/cmの条件で締めてから、溶融させた状態にある上記熱硬化性樹脂組成物を射出圧力80kg/cmの条件で成型機が備える金型の内部空間に流し込み、175℃で2分間成形した。なお、モールド成形は、モールド成形用離型フィルムのエンボス形状、及び、熱硬化性樹脂組成物が密着するようにおこなった。成形後、金型を開いて、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を金型から取り出した。
(印字の可読性)
まず、熱硬化性樹脂組成物の硬化物のエンボス模様が転写された面に、レーザー印字を用いて、長さ2mm×幅2mmのアルファベット及びアラビア数字からなるランダムな10文字の文字列を印字した。なお、熱硬化性樹脂組成物の硬化物は黒色であり、印字は白色であった。次いで、1.0mの距離から、46mm×46mmの上記文字列が印字された領域を固定カメラで撮影し、画像データを得た。得られた画像データを二値化し、上記文字列を読み取る試験を行った。この試験を100個の熱硬化性樹脂組成物の硬化物について行い、以下の基準で評価した。評価結果を以下の表2に示す。なお、比較例B−2では、熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、モールド成形用離型フィルムとが剥離できないため、評価を行わなかった。
◎:熱硬化性樹脂組成物の硬化物に印字された文字列について、全て認識することができた。また、文字列を構成する文字についても好適に識別することができた。
○:熱硬化性樹脂組成物の硬化物に印字された文字列について、文字列を形成する記号の一部分が光沢に起因して欠けて認識されることがあったが、記号の識別上は問題なかった。
×:熱硬化性樹脂組成物の硬化物について、光沢に起因して文字列が認識できないものが、1個以上あった。
(離型性)
上記モールド成形において、金型を開いた際における、モールド成形用離型フィルムと、熱硬化性樹脂組成物との離型性を以下の基準で評価した。評価結果を以下の表2に示す。
○:金型を開いた際に、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、自然と離型した。
×:金型を開いた際に、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、離型しなかった。
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表2に示す。
Figure 2019073022
表2に示すように、実施例B−1〜B−4のモールド成形用離型フィルム10を用いた成形物は、比較例B−1〜B−2のモールド成形用離型フィルムを用いた場合と比べて、成形物の印字の可読性に優れるものであった。
また、表2に示すように、実施例B−1〜B−4のモールド成形用離型フィルム10は、比較例B−1〜B−2のモールド成形用離型フィルムと比べて、優れた離型性を示した。
[実施例C]
また、実施例C−1〜C−8、比較例C−1〜C−5のモールド成形用離型フィルムについて、詳細を説明する。
(実施例C−1)
まず、基材層として、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、O−PETフィルムという。)(東洋紡社製、エステルフィルム、型番E5100)を準備した。O−PETフィルムの表面には、コロナ処理を、出力0.26kW、搬送速度12m/分、放電隙間が4mmで行った。
次いで、基材層の表面にプライマー層を成形した。具体的には、基材層の片面に、シロキサン化合物であるシランカップリング剤1(フロロテクノロジー社製、PC−3B)を、塗工厚み4μmとなるようにバーコーターで塗工した。次いで、120℃、10分の条件で、シランカップリング剤を乾燥させ、プライマー層を成形した。乾燥後のプライマー層の厚みは0.03μmであった。
次いで、プライマー層の表面に、離型層を成形した。具体的には、プライマー層表面に、フッ素化合物1(フロロテクノロジー社製、FG−5084SH)を、塗工厚み4μmとなるようにバーコーターで塗工した。次いで、25℃、90分の条件でフッ素化合物1を乾燥した。乾燥後、もう一度、フッ素化合物1(フロロテクノロジー社製、FG−5084SH)を、塗工厚み4μmとなるようにバーコーターで塗工した。次いで、25℃、90分の条件で、フッ素化合物1を乾燥し、離型層を成形した。離型層の厚みは0.008μmであった。
以上の工程より、基材層、プライマー層、離型層をこの順で積層してなるモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、フッ素化合物1は、上述した(X1)で示される構造単位を含む。また、フッ素化合物1は、分子鎖の末端にアルコキシシラン基を含む。当該アルコキシシラン基において、ケイ素原子と炭素数1以上10以下のアルコキシ基とが結合する。すなわち、フッ素化合物1は、上述した一般式(2)において、Xが上述した(X1)で示される構造単位を含み、さらに、Aのうち3つが炭素数1以上10以下のアルコキシ基である。
(実施例C−2)
離型層の成形方法を以下のように変更した以外は、実施例C−1と同様にして、モールド成形用離型フィルムを作製した。
プライマー層表面に、フッ素化合物1(フロロテクノロジー社製、FG−5084SH)を、塗工厚み2μmとなるように紙により塗工した。次いで、25℃、90分の条件で、フッ素化合物1を乾燥し、離型層を成形した。乾燥後、離型層の厚みは0.002μmであった。
以上の工程より、基材層、プライマー層、離型層をこの順で積層してなるモールド成形用離型フィルムを作製した。
(実施例C−3)
離型層の成形方法を以下のように変更した以外は、実施例C−1と同様にして、モールド成形用離型フィルムを作製した。
プライマー層表面に、フッ素化合物1(フロロテクノロジー社製、FG−5084SH)を、塗工厚み2μmとなるように紙により塗工した。次いで、25℃、90分の条件で、フッ素化合物1を乾燥した。乾燥後、もう一度、フッ素化合物1(フロロテクノロジー社製、FG−5084SH)を、塗工厚み2μmとなるように紙により塗工した。次いで、25℃、90分の条件で、乾燥し、離型層を成形した。乾燥後、離型層の厚みは0.004μmであった。
以上の工程より、基材層、プライマー層、離型層をこの順で積層してなるモールド成形用離型フィルムを作製した。
(実施例C−4)
離型層の成形方法を、フッ素化合物1の乾燥条件を120℃、10分に変更した以外は実施例C−1と同様にして、モールド成形用離型フィルムを作製した。乾燥後、離型層の厚みは0.008μmであった。
(実施例C−5)
まず、基材層として、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、O−PETフィルムという。)(東洋紡社製、エステルフィルム、型番E5100)を準備した。O−PETフィルムの表面には、コロナ処理を、出力0.26kW、搬送速度12m/分、放電隙間が4mmで行った。
次いで、基材層表面に、離型層を形成した。具体的には、基材層の片面に、フッ素化合物2(ネオス社製、フリリース85)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで成形した。次いで、25℃、24時間の条件で、フッ素化合物2を乾燥し、離型層を成形した。乾燥後、離型層の厚みは0.12μmであった。
以上の工程より、基材層、離型層をこの順で積層してなるモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、フッ素化合物2は、上述した(X1)で示される構造単位を含む。また、フッ素化合物2は、分子鎖の末端にカルボキシル基を含む。すなわち、フッ素化合物2は、上述した一般式(1)において、Xが上述した(X1)で示される構造単位を含み、さらに、Yが末端にカルボキシル基を含むものである。
(実施例C−6)
まず、基材層として、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、O−PETフィルムという。)(東洋紡社製、エステルフィルム、型番E5100)を準備した。O−PETフィルムの表面には、コロナ処理を、出力0.26kW、搬送速度12m/分、放電隙間が4mmで行った。
次いで、基材層表面に、離型層を形成した。具体的には、基材層の片面に、フッ素化合物3(AGCセイミケミカル社製、サイトップ CTX−809A)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで塗工した。次いで、25℃、20分の条件で、フッ素化合物3を乾燥した。乾燥後、もう一度、フッ素化合物3(AGCセイミケミカル社製、サイトップ CTX−809A)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで塗工した。次いで、25℃、20分の条件でフッ素化合物3を乾燥し、離型層を成形した。離型層の厚みは1.2μmであった。
以上の工程より、基材層、離型層をこの順で積層してなるモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、フッ素化合物3は、上述した(X1)で示される構造単位を含む。また、フッ素化合物3は、分子鎖の末端にカルボキシル基を含む。すなわち、フッ素化合物3は、上述した一般式(1)において、Xが上述した(X1)で示される構造単位を含み、さらに、Yが末端にカルボキシル基を含むものである。
(実施例C−7)
まず、基材層として、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、O−PETフィルムという。)(東洋紡社製、エステルフィルム、型番E5100)を準備した。O−PETフィルムの表面には、コロナ処理を、出力0.26kW、搬送速度12m/分、放電隙間が4mmで行った。
次いで、基材層の表面に、離型層を形成した。具体的には、基材層の片面に、フッ素化合物4(フロロテクノロジー社製、6050)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで成形した。次いで、80℃、10分の条件で、フッ素化合物4を乾燥した。乾燥後、もう一度、フッ素化合物4(フロロテクノロジー社製、6050)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで成形した。次いで、80℃、10分の条件で、フッ素化合物4を乾燥し、離型層を成形した。離型層の厚みは0.24μmであった。
以上の工程より、基材層、離型層をこの順で積層してなるモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、フッ素化合物4は、上述した(X1)で示される構造単位を含む。また、フッ素化合物4は、分子鎖の末端にスルホン酸基を含む。すなわち、フッ素化合物4は、上述した一般式(1)において、Xが上述した(X1)で示される構造単位を含み、さらに、Yが末端にスルホン酸基を含むものである。
(実施例C−8)
まず、基材層として、両面に対してコロナ放電処理を施した厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、O−PETフィルムという。)(東洋紡社製、エステルフィルム、型番E5100)を準備した。O−PETフィルムの表面には、コロナ処理を、出力0.26kW、搬送速度12m/分、放電隙間が4mmで行った。
次いで、基材層表面に、離型層を形成した。具体的には、離型層片面に、フッ素化合物5(ネオス社製、RB−5910EX−III)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで成形した。次いで、100℃、60分の条件で、フッ素化合物5を乾燥し、離型層を成形した。離型層の厚みは0.1μmであった。
以上の工程より、基材層、離型層をこの順で積層してなるモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、フッ素化合物5は、上述した(X1)で示される構造単位を含む。また、フッ素化合物5は、分子鎖の末端にアルコキシシラン基を含む。当該アルコキシシラン基において、ケイ素原子と炭素数1以上10以下のアルコキシ基とが結合する。すなわち、フッ素化合物5は、上述した一般式(2)において、Xが上述した(X1)で示される構造単位を含み、さらに、Aのうち3つが炭素数1以上10以下のアルコキシ基のものである。
(比較例C−1)
基材層として、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、O−PETフィルムという。)(東洋紡社製、エステルフィルム、型番E5100)を準備した。
以上の工程より、基材層からなるモールド成形用離型フィルムを準備した。
(比較例C−2)
基材層として、ポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標))(三井化学社製、TPX DX845)を用いて、押出Tダイ法にて厚さ50μmTPXフィルムを作製した。
以上の工程より、基材層からなるモールド成形用離型フィルムを準備した。
(比較例C−3)
離型層として、フッ化ビニリデン単独重合体(Solvay社製、ソレフ(登録商標)9009)を用いて、押出Tダイ法にて厚さ38μmのPVDFフィルムを作製した。
以上の工程より、離型層からなるモールド成形用離型フィルムを準備した。
(比較例C−4)
離型層として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィルム(以下、PTFEという。)(ダイキン工業淀川ヒューテック製、ヨドフロンPTFE、50μm)を準備した。
以上の工程より、離型層からなるモールド成形用離型フィルムを準備した。
(比較例C−5)
基材層として、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、O−PETフィルムという。)(東洋紡社製、エステルフィルム、型番E5100)を準備した。O−PETフィルムの表面には、コロナ処理を、出力0.26kW、搬送速度12m/分、放電隙間が4mmで行った。
次いで、コロナ放電処理を施した基材層の表面に、離型層を成形した。具体的には、基材層の片面に、フッ素化合物6(フロロテクノロジー社製、FS−1010TH)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで塗工した。次いで、25℃、90分の条件で、フッ素化合物6を乾燥した。乾燥後、もう一度、フッ素化合物6(フロロテクノロジー社製、FS−1010TH)を、塗工厚み12μmとなるようにバーコーターで塗工した。成形後、25℃、90分の条件で乾燥し、離型層を成形した。乾燥後、離型層の厚み3.0μmであった。
以上の工程より、基材層、離型層をこの順で積層してなる比較例C−5に係るモールド成形用離型フィルムを作製した。
なお、フッ素化合物6は、上述した(X1)で示される構造単位を含む。また、フッ素化合物6は、分子鎖の末端に極性官能基を含まない。
実施例C−1〜C−8および比較例C−1〜C−5の各モールド成形用離型フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
(基材層の融点)
実施例C−1〜C−8、比較例C−1〜C−5の基材層について、示唆走査熱量測定(DSC、セイコーインスツル社製、DSC6220)を用い、試料質量10mg、測定温度範囲20℃〜280℃、昇温速度5℃/min、試料用容器Alパン、窒素フロー30ml/minの条件で、昇温過程にて融点の測定を行った。評価結果を下記表3に示す。
なお、比較例C−3の基材層の融点として、PVDFフィルムの融点を評価した。また、比較例C−4の基材層の融点として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィルムの融点を評価した。
(熱硬化性樹脂組成物)
離型性、耐熱性の評価に用いる熱硬化性樹脂組成物のタブレットを作製した。その作製方法について詳細を説明する。
離型性、耐熱性の評価に用いた熱硬化性樹脂組成物の原料として、以下のものを用いた。
・エポキシ樹脂1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)
・エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL6677)
・硬化剤1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂(日本化薬社製、GPH−65)
・硬化剤2:ホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE910−20)
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、TPP)
・無機充填材:溶融球状シリカ(電気化学工業社製、FB−950FC)
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学社製、MA−600)
・カップリング剤:N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−573)
・離型剤:カルナバワックス(日興ファイン社製、ニッコウカルナバ)
まず、上述した、エポキシ樹脂1を4.5質量部、エポキシ樹脂2を4.5質量部、フェノール樹脂硬化剤1を2.8質量部、フェノール樹脂硬化剤2を2.8質量部、硬化促進剤を0.4質量部、無機充填材を84.2質量部、着色剤を0.2質量部、シランカップリング剤を0.4質量部、離型剤を0.2質量部準備した。次いで、各原料成分を常温でミキサーを用いて混合した後、45℃及び90℃の2本ロールで加熱しながらロール混練し、混練物を得た。次いで、前記混練物を冷却した後、これを粉砕し、粉砕物を得た。次いで、粉砕物を打錠成形することで、タブレット形状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
(離型性)
トランスファーモールド成形機(TOWA社製、Y−SERIES)にモールド成形用離型フィルムをセットした後、成形機が備える金型の内部空間を真空引きすることにより、該モールド成形用離型フィルムを金型に追従させた。次に、熱硬化性樹脂組成物のタブレットを、成形機の所定の位置に配置した。その後、成形機が備える金型をクランプ圧力300kg/cmの条件で締めてから、溶融させた状態にある上記熱硬化性樹脂組成物を射出圧力80kg/cmの条件で成形機が備える金型の内部空間に流し込み、175℃で2分間成形し、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を作製した。次いで、金型を開いた際における、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物との離型性を以下の基準で評価した。
◎:金型を開いた際に、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、自然と離型した。また、得られた硬化物の表面に、目視で荒れが観察されなかった。
○:金型を開いた際に、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、離型した。また、得られた硬化物の表面に、目視で荒れが観察されたが、実用上問題のない荒れであった。
×:金型を開いた際に、モールド成形用離型フィルムと熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、離型しなかった。
(耐熱性)
トランスファーモールド成形機(TOWA社製、Y−SERIES)に、モールド成形用離型フィルムをセットした後、成形機が備える金型の内部空間を真空引きすることにより、該離型フィルムを金型に追従させた。このときの金型に対する上記離型フィルムの耐熱性を以下の基準で評価した。
○:離型フィルムにシワや浮きが生じることなく金型に追従していることが確認された。
×:モールド成形用離型フィルムにシワ、浮きまたは破れの発生が確認された。または、モールド成形用離型フィルムが、溶融または半溶融し、金型に対して接合した状態になった。
(水の接触角)
得られたモールド成形用離型フィルムの離型面について、接触角計(協和界面科学社製、DROPMASTER−501)を用い、測定面に精製水2μLを着滴してから7秒後の接触角を液滴法にて測定した。測定温度は、25℃とした。なお、単位は、°である。
(ヘキサデカンの接触角)
得られたモールド成形用離型フィルムの離型面について、接触角計(協和界面科学社製、DROPMASTER−501)を用い、測定面にヘキサデカン2μLを着滴してから7秒後の接触角を液滴法にて測定した。測定温度は、25℃とした。なお、単位は、°である。
Figure 2019073022
表3に示すように、実施例C−1〜C−8のモールド成形用離型フィルムは、比較例C−1〜C−5のモールド成形用離型フィルムと比較して、離型性及び耐熱性に優れることが確認された。
この出願は、2017年6月16日に出願された日本出願特願2017−119070、2017年6月16日に出願された日本出願特願2017−119072、2017年3月24日に出願された日本出願特願2017−59177を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (28)

  1. 第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、
    第3の樹脂組成物によって構成される離型層が、第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に積層された積層構造を有しており、
    前記離型層及び前記基材層が直接結合しており、
    前記積層構造の最外層は、前記離型層を有しており、
    前記離型層は、下記一般式(1)で示される共重合体と、硬化剤とを架橋してなる、モールド成形用離型フィルム。
    Figure 2019073022
    (一般式(1)中、
    lおよびmは、それぞれ、共重合体中における、A及びBのモル含有率を示し、
    l+m=1であり、
    Aは、フルオロカーボン基を含み、
    Bは、下記式(B1)により示される構造単位である。)
    Figure 2019073022
    (一般式(B1)中、
    は、前記硬化剤と反応する官能基を含む基である。)
  2. 請求項1に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記基材層の、前記離型層と直接結合する面が平滑である、モールド成形用離型フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記一般式(1)において、Aは、下記式(A1)で示される構造単位を含む、モールド成形用離型フィルム。
    Figure 2019073022
    (上記式(A1)中、nは1以上の整数である。)
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記硬化剤は、イソシアネート化合物を含む、モールド成形用離型フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記Rの、前記硬化剤と反応する官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基からなる群より選択される1種または2種以上を含む、モールド成形用離型フィルム。
  6. 第1の樹脂組成物及び金型の間にモールド成形用離型フィルムを介在させ、前記第1の樹脂組成物に離型層を密着させてモールド成形を行うことで、前記第1の樹脂組成物の成形物にエンボス模様を付与するために使用される当該モールド成形用離型フィルムであって、
    第2の樹脂組成物によって構成される基材層の上に、第3の樹脂組成物によって構成される前記離型層を積層する積層構造を有しており、
    前記第3の樹脂組成物は、シリコーン化合物またはフッ素化合物を含み、
    前記基材層は、前記離型層が積層される面に凹凸を備え、
    前記離型層の厚みは15μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
  7. 請求項6に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    当該モールド成形用離型フィルムは、前記離型層を備える面にエンボス形状を有する、モールド成形用離型フィルム。
  8. 請求項7に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    当該モールド成形用離型フィルムの、前記エンボス形状を備える面について、JIS Z 8741に準拠して測定した、入射角度60°における光の反射率である光沢度が、1以上23以下である、モールド成形用離型フィルム。
  9. 請求項6から8のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記第3の樹脂組成物は、前記フッ素化合物と、硬化剤とを含み、
    前記フッ素化合物は、下記一般式(1)で示される共重合体であり、
    前記離型層は前記フッ素化合物と、前記硬化剤とを架橋してなる、モールド成形用離型フィルム。
    Figure 2019073022
    (一般式(1)中、
    lおよびmは、それぞれ、共重合体中における、A及びBのモル含有率を示し、
    l+m=1であり、
    Aは、フルオロカーボン基を含み、
    Bは、下記一般式(B1)により示される構造単位である。)
    Figure 2019073022
    (一般式(B1)中、
    は、前記硬化剤と反応する官能基を含む基である。)
  10. 請求項9に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記一般式(1)で示される共重合体において、Aは、下記式(A1)で示される構造単位を含む、モールド成形用離型フィルム。
    Figure 2019073022
    (上記式(A1)中、nは1以上の整数である。)
  11. 請求項9または10に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記Rが備える前記硬化剤と反応する官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基からなる群より選択される1種または2種以上を含む、モールド成形用離型フィルム。
  12. 請求項9から11のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記硬化剤は、イソシアネート化合物を含む、モールド成形用離型フィルム。
  13. 請求項6から12のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記基材層の前記凹凸を備える面について、算術平均粗さRaが、0.10μm以上1.0μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
  14. 請求項6から13のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記基材層の前記凹凸を備える面について、10点平均表面粗さRzが、1.0μm以上10.0μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
  15. 第1の樹脂組成物のモールド成形に用いられるモールド成形用離型フィルムであって、
    当該モールド成形用離型フィルムは最外層に離型層を有しており、
    前記離型層は第3の樹脂組成物によって構成され、
    前記第3の樹脂組成物は、フッ素化合物を含み、
    前記フッ素化合物は、フルオロカーボン基を含み、
    前記離型層の表面に対する、ヘキサデカンの接触角が20°以上77°以下である、モールド成形用離型フィルム。
  16. 請求項15に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    当該モールド成形用離型フィルムは、前記離型層と、基材層と、が積層された積層構造を有し、
    前記基材層は第2の樹脂組成物によって構成され、
    前記第2の樹脂組成物は熱可塑性樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
  17. 請求項16に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記基材層の融点が160℃以上300℃以下である、モールド成形用離型フィルム。
  18. 請求項16または17のいずれか一項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記積層構造は、前記離型層と、前記基材層との間に、プライマー層を有し、
    前記プライマー層は、第4の樹脂組成物によって構成され、
    前記第4の樹脂組成物は、シロキサン化合物を含む、モールド成形用離型フィルム。
  19. 請求項15から18のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記フッ素化合物は、下記一般式(2)で示される、モールド成形用離型フィルム。
    Figure 2019073022
    (上記一般式(2)中、Xはフルオロカーボン基を含む基である。
    Yは、末端に極性官能基を少なくとも1つ有する基であり、当該極性官能基は、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群より選択される1種または2種以上である。)
  20. 請求項19に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記フッ素化合物は、下記一般式(3)で示される、モールド成形用離型フィルム。
    Figure 2019073022
    (上記一般式(3)中、Xは前記一般式(2)におけるXと同様である。
    複数のAはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子及びケイ素原子からなる群より選択される1種または2種以上の原子によって形成される基である。Aは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。Aのうち少なくとも一つは、ヒドロキシ基または炭素数1以上10以下のアルコキシ基である。)
  21. 請求項15から20のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記離型層の表面に対する、水の接触角が100°以上118°以下である、モールド成形用離型フィルム。
  22. 請求項15から21のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記離型層の厚みが0.0001μm以上5μm以下である、モールド成形用離型フィルム。
  23. 請求項1から22のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記第1の樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含み、
    前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
  24. 請求項1から14、または、請求項16から23のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記第2の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含む、モールド成形用離型フィルム。
  25. 請求項1から24のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムであって、
    前記モールド成形の方法は、トランスファーモールド成形法またはコンプレッションモールド成形法である、モールド成形用離型フィルム。
  26. 請求項1から25のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法であって、
    前記モールド成形の温度は120℃以上240℃以下である、モールド成形用離型フィルム。
  27. 請求項1から26のいずれか1項に記載のモールド成形用離型フィルムを用いたモールド成形方法であって、
    当該モールド成形用離型フィルムを金型に配置する配置工程と、
    当該モールド成形用離型フィルムが形成する成形空間に第1の樹脂組成物を導入する導入工程と、を含む、モールド成形方法。
  28. 請求項27に記載のモールド成形方法であって、
    前記第1の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であり、
    前記熱硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含む、モールド成形方法。
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