JP2019068028A - 光電変換素子およびその製造方法 - Google Patents

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Yasunori Kamiya
保則 上谷
貴史 荒木
Takashi Araki
貴史 荒木
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Abstract

【課題】より優れた耐熱性を有する光電変換素子を提供する。【解決手段】陽極20と、陰極50と、陽極および陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層40と、陽極および活性層の間に設けられ、活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層30とを含み、ナノインデンテーション法を用いて測定された活性層と正孔輸送層との間の破壊圧力が0.57GPa未満である、光電変換素子。【選択図】図1

Description

本発明は、本発明は、光電変換素子、光電変換素子の製造方法および光電変換素子の活性層形成用塗布液に関する。
近年、ペロブスカイト型構造を有する化合物(以下、ペロブスカイト化合物という。)を活性層に用いた光電変換素子が提案されている。
例えば、非特許文献1には、透明電極であるインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)上に、アミンポリマーを含む溶液を塗布することによって正孔輸送層を形成し、正孔輸送層上にペロブスカイト化合物を含む溶液を塗布することによって活性層を形成し、活性層上にフラーレン誘導体である[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)を含む溶液を塗布することによって電子輸送層を形成し、電子輸送層上にC60フラーレン、バソクプロイン(BCP)、陰極材料を蒸着することによって陰極を形成した光電変換素子が記載されている。
Advanced Energy Materials、2015、5号、1401855ページ
しかしながら、上述の非特許文献1に記載された光電変換素子は、耐熱性が十分とはいえなかった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、高い耐熱性を有する光電変換素子を提供することにある。
そこで、本発明によれば、下記[1]〜[41]が提供される。
[1] 陽極と、
陰極と、
前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層とを含み、
ナノインデンテーション法を用いて測定された前記活性層と前記正孔輸送層との間の破壊圧力が0.57GPa未満である、光電変換素子。
[2] 前記破壊圧力が、0.4GPa以上0.57GPa未満である、[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記正孔輸送層および前記活性層のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
Figure 2019068028
[式(1)中、
Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
mは、1以上の整数を表す。
mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[4] Qが、置換基を有していてもよい、炭素原子数5〜12のm価の飽和脂環式炭化水素基である、[3]に記載の光電変換素子。
[5] Qが、置換基を有していてもよいm価のシクロヘキサン基または置換基を有していてもよいm価のビシクロヘキサン基である、[3]または[4]に記載の光電変換素子。
[6] mが、1〜3の整数である、[3]〜[5]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[7] 支持基板をさらに含み、前記支持基板、前記陽極、前記正孔輸送層、前記活性層および前記陰極がこの順に積層されている、[3]〜[6]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[8] 前記活性層および前記陰極の間に設けられた電子輸送層をさらに含む、[3]〜[7]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[9] [3]〜[8]のいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法において、
前記陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
を含み、
前記正孔輸送層を形成する工程および前記活性層を形成する工程のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である、光電変換素子の製造方法。
Figure 2019068028
[式(1)中、
Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
mは、1以上の整数を表す。
mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[10] 前記活性層を形成する工程が、前記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である、[9]に記載の製造方法。
[11] 前記活性層を形成する工程が、前記式(1)で表される化合物を含有する第1の塗布液を前記正孔輸送層に塗布し、次いで前記ペロブスカイト化合物を含有する第2の塗布液を塗布する工程を含む、[10]に記載の製造方法。
[12] 前記正孔輸送層が、下記式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(8)中、
Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
dおよびeは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦d+e≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は下記式(9)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(9)中、
は、ヒドロキシ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ基、−COORで表される基、スルファニル基、またはアミノ基を表す。
は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、またはハロゲン原子を表す。
は2価の連結基を表す。
は、0または1を表す。))
[13] 支持基板をさらに含み、前記支持基板、前記陽極、前記正孔輸送層、前記活性層および前記陰極がこの順に積層されている、[12]に記載の光電変換素子。
[14] 前記活性層および前記陰極の間に設けられた電子輸送層をさらに含む、[12]または[13]に記載の光電変換素子。
[15] 前記正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの上記式(1)で表される繰り返し単位の含有量が、1〜90重量%である、[12]〜[14]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[16] 前記正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの上記式(1)で表される繰り返し単位の含有量が、5〜50重量%である、[12]〜[14]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[17] 前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの下記式(15)で表される繰り返し単位の含有量が5〜90重量%である、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(15)中、
Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
[18] 支持基板をさらに含み、前記支持基板、前記陽極、前記正孔輸送層、前記活性層および前記陰極がこの順に積層されている、[17]に記載の光電変換素子。
[19] 前記活性層および前記陰極の間に設けられた電子輸送層をさらに含む、[17]または[18]に記載の光電変換素子。
[20] 前記式(16)で表される基が、下記式(18)で表される基である、[17]〜[19]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(18)中、R12、R13、R15およびR16は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12、R13、R15およびR16が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。q1は、1以上の整数を表す。)
[21] 前記式(16)で表される繰り返し単位の含有量が、10〜50重量%である、[17]〜[20]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[22] [17]〜[21]のいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法において、
前記陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
前記陽極が設けられた前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
を含み、
前記正孔輸送層を形成する工程が、高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程であり、前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの5〜90重量%が、下記式(15)で表される繰り返し単位である、光電変換素子の製造方法。
Figure 2019068028
(式(15)中、
Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
[23] 2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および、溶媒を含む、[1]または[2]に記載の光電変換素子の活性層形成用塗布液であって、
前記2価の金属イオン(M)、前記ハロゲン化物イオン(X)、および前記1価のカチオン(A)の含有モル比(M:X:A)が、x:(1+2x):1であり、
ここで、xは、下記式:
1.01≦x≦1.15を満たし、
前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンを含み、前記溶媒におけるN−メチル−2−ピロリドンの体積百分率が、1体積%以上15体積%以下である、活性層形成用塗布液。
[24] 前記2価の金属イオン(M)が、Pb2+およびSn2+のうちの一方またはその両方である、[23]に記載の活性層形成用塗布液。
[25] 前記1価のカチオン(A)が、1価の含窒素有機カチオンである、[23]または[24]に記載の活性層形成用塗布液。
[26] 前記1価の含窒素有機カチオンが、メチルアンモニウムおよびホルムアミジニウムのうちの一方またはその両方である、[25]に記載の活性層形成用塗布液。
[27] 前記1価の含窒素有機カチオンとして、メチルアンモニウムおよびホルムアミジニウムを1:99〜99:1のモル比で含む、[26]に記載の活性層形成用塗布液。
[28] 前記ハロゲン化物イオン(X)が、BrおよびIのうちの一方またはその両方である、[23]〜[27]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液。
[29] 前記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミドを含み、前記溶媒におけるN,N−ジメチルホルムアミドの体積百分率が、85体積%以上99体積%以下である、[23]〜[28]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液。
[30] [1]または[2]に記載の光電変換素子の製造方法において、
[23]〜[29]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液を用いる塗布法により前記活性層を形成する工程(Sa)を含む、光電変換素子の製造方法。
[31] 前記活性層が、ペロブスカイト型構造を有する化合物を含む、[30]に記載の光電変換素子の製造方法。
[32] 前記光電変換素子が、正孔輸送層を更に含み、前記正孔輸送層は、前記第1の電極と前記活性層との間に設けられ、高分子化合物を含み、
前記正孔輸送層を、前記高分子化合物を含む正孔輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Sh)を更に含む、[30]または[31]に記載の光電変換素子の製造方法。
[33] 前記光電変換素子が、電子輸送層を更に含み、前記電子輸送層は、前記活性層と前記第2の電極との間に設けられ、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選択される1種以上を含み、
前記電子輸送層を、前記フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選択される1種以上を含む電子輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Se)を更に含む、[30]〜[32]のいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
[34] 第1の電極と、活性層と、第2の電極とをこの順で含む光電変換素子であって、
前記活性層が、[23]〜[29]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Sa)を含む製造方法により得られる層である、光電変換素子。
[35] 前記活性層が、ペロブスカイト型構造を有する化合物を含む、[34]に記載の光電変換素子。
[36] 陽極と、
陰極と、
前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接する正孔輸送層とを含み、
前記正孔輸送層および前記活性層のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する、光電変換素子。
Figure 2019068028
[式(1)中、
Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
mは、1以上の整数を表す。
mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[37] 陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
を含み、
前記正孔輸送層を形成する工程および前記活性層を形成する工程のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である、光電変換素子の製造方法。
Figure 2019068028
[式(1)中、
Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
mは、1以上の整数を表す。
mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[38] 陽極と、
陰極と、
前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接する正孔輸送層とを含み、
前記正孔輸送層が、下記式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む、光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(8)中、
Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
dおよびeは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦d+e≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は下記式(9)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(9)中、
は、ヒドロキシ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ基、−COORで表される基、スルファニル基、またはアミノ基を表す。
は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、またはハロゲン原子を表す。
は2価の連結基を表す。
は、0または1を表す。))
[39] 陽極と、
陰極と、
前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層とを含み、
前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの下記式(15)で表される繰り返し単位の含有量が5〜90重量%である、光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(15)中、
Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
[40] 陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
前記陽極が設けられた前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
を含み、
前記正孔輸送層を形成する工程が、高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程であり、前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの5〜90重量%が、下記式(15)で表される繰り返し単位である、光電変換素子の製造方法。
Figure 2019068028
(式(15)中、
Ar18、Ar18、Ar19およびAr20は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
[41] 2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および、溶媒を含む、活性層形成用塗布液であって、
前記2価の金属イオン(M)、前記ハロゲン化物イオン(X)、および前記1価のカチオン(A)の含有モル比(M:X:A)が、x:(1+2x):1であり、
ここで、xは、下記式:
1.01≦x≦1.15を満たし、
前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンを含み、前記溶媒におけるN−メチル−2−ピロリドンの体積百分率が、1体積%以上15体積%以下である、
活性層形成用塗布液。
本発明によれば、より優れた耐熱性を有する光電変換素子を提供することができる。
図1は、光電変換素子の概略的な構成を示す図である。 図2は、効率保持率と破壊圧力との関係を示すグラフである。 図3は、PbI/MAI比と効率保持率との関係を示すグラフである。 図4は、NMP比率と効率保持率との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面には、本発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさおよび配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に説明する実施形態に係る構成要素は、必ずしも図示例の配置で、製造されたり、使用されたりするとは限らない。
<1>共通する用語の説明
本明細書において、1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。
本明細書において、2価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。
本明細書において、複素環式化合物とは、環式構造を有する有機化合物のうち、環を構成する原子が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む化合物をいう。
本明細書において、置換基または文言「置換」にかかる基の例には、特記しない限り、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびハロゲン原子が含まれる。
本明細書において、「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000以上である重合体を意味する。
本明細書において、「塗布液」とは、塗布法に用いられる液状物質を意味する。塗布液は、溶液であっても、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。本定義は、活性層形成用塗布液、正孔輸送層形成用塗布液、および電子輸送層形成用塗布液に適用されうる。
本明細書において、「塗布法」には、液状物質を用いて膜を形成する方法を包含し、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、およびキャピラリーコート法が挙げられる。
本明細書において、「イミン残基」とは、イミン化合物から、炭素原子−窒素原子二重結合を構成する炭素原子または窒素原子に直接結合する水素原子1つを除いた残りの原子団を意味する。
本明細書において、「アミド基」は、アミドから窒素原子に結合した水素原子1つを除いた残りの原子団を意味する。
本明細書において、「酸イミド基」とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子1つを除いた残りの原子団を意味する。
本明細書において、「置換カルボキシル基」とは、R’−O−(C=O)−で表される基を意味する。ここで、R’は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、または1価の複素環基を表す。
<2>光電変換素子の構成
光電変換素子は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、陽極および活性層の間に設けられ、活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層とを含む。
ここで、図1を参照して、本発明の一実施形態にかかる光電変換素子の構成についてより詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の模式的な図である。
光電変換素子100は、支持基板10と、支持基板10の一方の主表面に接合するように設けられている陽極20と、陽極20に接するように設けられている正孔輸送層30と、正孔輸送層30に接するように設けられている活性層40と、活性層40に接するように設けられている陰極50とを備えている。
本発明の光電変換素子は、ナノインデンテーション法を用いて測定された活性層と正孔輸送層との間の破壊圧力が0.57GPa未満である光電変換素子である。
破壊圧力は、例えば、耐熱性の確保の観点から、0.57GPa未満(0GPaを超えて0.57GPa未満)であることが好ましく、例えば、耐熱性および接着強度の観点から、0.1GPa以上0.57GPa未満であることがより好ましい。破壊圧力は、特に実施の確実性の観点から、0.4GPa以上0.57GPa未満であることが好ましい。
ここで、本発明における破壊強度の評価に用いられ得る「ナノインデンデーション法(連続剛性測定法)」について説明する。
〔1〕測定装置および測定条件
破壊圧力の測定装置としては、超微小硬度計(例えば、MTSシステムズ社製、Nano Indenter XP)を用いることができる。圧子は、測定が可能であることを前提として特に限定されない。圧子としては、例えば、ダイヤモンド三角錐圧子を用いることができる。測定は、常温、大気雰囲気下で行うことができる。
〔2〕測定用の構造体の形成
ナノインデンデーション法を実施するにあたり、測定用の構造体が用意される。本実施形態では、光電変換素子の活性層と正孔輸送層との間の破壊圧力、すなわち接着強度を測定することを目的としているため、実際の光電変換素子の製造方法に対応する工程と同様にして、また同じ材料を用いて、基板(例えば、ITO基板)上に、正孔輸送層と活性層とがこの順に形成された態様に相当する積層体を形成して、測定用の構造体として用いることができる。
〔3〕測定原理
(i)平均圧力(硬さ)の算出
上記のとおり形成された測定用の構造体を静置し、構造体のうちの活性層に対し、三角錐圧子を用いて押し込み負荷/除荷試験を行い、荷重―押しこみ深さ線図を取得する。
最大荷重時の硬さHは、荷重Pと押し込み後に弾性変形分が回復し、残存する圧痕の投影面積Aとを用いて下記数式(1)のとおり定義される。
Figure 2019068028
ここで、圧痕の投影面積Aは下記数式(2)から求めることができる。
Figure 2019068028
数式(2)中、ηは圧子の先端の形状の補正係数を表す。kは圧子の幾何学的な形状から求まる定数であって、Berkovich圧子の場合にはk=24.56である。hは有効接触深さであって、下記数式(3)で定義される。
Figure 2019068028
数式(3)中、hは測定された全変位を表す。dP/dhは得られた荷重―押しこみ深さ線図における除荷時の初期勾配を表す。εは圧子の幾何学な形状から求まる定数であって、Berkovich圧子の場合には0.75である。
上記数式(1)、数式(2)および数式(3)を用いて、最大荷重Pmaxにおける硬さが下記数式(4)により算出される。
Figure 2019068028
(ii)連続剛性測定法
上記数式(3)におけるdP/dhを、連続剛性測定法を用いて算出する。連続剛性測定法とは、押しこみ試験中に圧子を微小振動させ、振動に対する応答振幅、位相差を時間の関数として取得し、押しこみ深さの連続的変化に対応して、dP/dhを連続的に算出する方法である。
構造体に圧子が侵入する方向の力の総和(検出荷重成分)F(t)は、下記数式(5)で表される。
Figure 2019068028
数式(5)中、第1項は圧子軸由来の力(m:圧子軸の質量)を表す。第2項は積層体および圧子系の粘性的成分由来の力(D:損失定数)を表す。第3項は構造体、荷重系枠(ロードフレーム)のコンプライアンス、圧子軸を支える板バネの剛性が複合された力(K:複合剛性)を表す。tは時間を表す。Dは下記数式(6)で表される。Kは下記数式(7)で表される。
Figure 2019068028
数式(6)中、Cはロードフレームのコンプライアンスを表す。Kは圧子軸を支える板バネの剛性を表す。
数式(7)中、Dは圧子系の損失定数を表す。Dは構造体の損失定数を表す。
上記数式(5)のF(t)は、時間に依存することから、下記数式(8)で表される。
Figure 2019068028
数式(8)中、Fは定数を表す。ωは角振動数を表す。
数式(8)を数式(5)に代入して、常微分方程式の特別解である下記数式(9)を代入し、方程式を解くことにより、下記数式(10)のとおりdP/dhが計算される。
Figure 2019068028
数式(9)中、φは位相差を表す。数式(10)において、C、m、Kは測定時において既知であることから、構造体の破壊圧力の測定時に、変位の振動振幅(h)、位相差(φ)と励起振動振幅(F)を計測することによって、数式(10)から、押しこみ深さの連続的変化に対応して、dP/dhを連続的に算出することができる。そして、計算で得た値を数式(3)に代入することにより、上記〔2〕で既に説明した算出方法に基づいて、構造体の平均圧力を破壊圧力、すなわち活性層と正孔輸送層との間の破壊圧力として算出することができる。
この破壊圧力は、互いに接合している正孔輸送層と活性層との剥離時に加えられた応力に相当するので、正孔輸送層と活性層との接着強度に対応しており、破壊圧力の大小は活性層と正孔輸送層との接着性の良否を反映していると考えられる。
以下、本発明の光電変換素子、すなわちナノインデンテーション法を用いて測定された活性層と正孔輸送層との間の破壊圧力を0.57GPa未満とし得る光電変換素子およびその製造方法にかかる具体的な実施形態について説明する。
[第1実施形態]
<1>光電変換素子
第1実施形態の光電変換素子の活性層は、陽極および陰極の間に設けられている。活性層は、ペロブスカイト型構造を有する化合物(ペロブスカイト化合物)を含有する。正孔輸送層は、陽極および活性層の間に設けられており、活性層と接している。本発明の光電変換素子は、活性層および陰極の間に設けられた電子輸送層を含んでいてもよい。正孔輸送層および活性層のうちの一方または双方は、式(1)で表される化合物(以下、化合物(I)という場合がある。)を含有する。
(式(1)で表される化合物)
まず、正孔輸送層および活性層のうちの一方または双方に含有され得る、式(1)で表される化合物(I)について説明する。
Figure 2019068028
Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
mは、1以上の整数を表す。
mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
「m価の芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素を構成する環状構造から、m個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
芳香族炭化水素としては、例えば、環状構造を1つのみ有する、単環の芳香族炭化水素、縮合環を有する芳香族炭化水素、環状構造の集合である芳香族炭化水素が挙げられる。
芳香族炭化水素の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜30である。
芳香族炭化水素の例としては、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、アセナフテン、フルオレン、フェナントレン、インデン、ピレン、およびビフェニルが挙げられる。
「m価の飽和脂環式炭化水素基」とは、飽和脂環式炭化水素を構成する環状構造から、m個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
飽和脂環式炭化水素の炭素原子数は、通常3〜60であり、好ましくは3〜30である。
飽和脂環式炭化水素としては、例えば、環状構造を1つのみ有する単環の飽和脂環式炭化水素(例、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン)、環状構造を2以上有する多環の飽和脂環式炭化水素(例、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ビシクロウンデカン)、環状構造の集合である環集合飽和脂環式炭化水素(例、ビシクロヘキサン)が挙げられる。
「m価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基」とは、エチレン性不飽和脂環式炭化水素基を構成する環状構造から、m個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
「エチレン性不飽和脂環式炭化水素」とは、炭素−炭素二重結合を有する脂環式炭化水素を意味する。
エチレン性不飽和脂環式炭化水素に含まれる炭素−炭素二重結合の数には限定はないが、例えば、1〜10個であり、好ましくは1〜5個である。
エチレン性不飽和脂環式炭化水素の炭素原子数は、通常3〜60であり、好ましくは3〜30である。
エチレン性不飽和脂環式炭化水素としては、例えば、環状構造を1つのみ有する単環のエチレン性不飽和脂環式炭化水素、環状構造を2つ以上有する多環のエチレン性不飽和脂環式炭化水素、環状構造の集合である環集合エチレン性不飽和脂環式炭化水素が挙げられる。
エチレン性不飽和脂環式炭化水素としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。
Qで表される、m価の芳香族炭化水素基、m価の飽和脂環式炭化水素基、またはm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基は、さらに置換基を有していてもよく、好ましくは、さらにアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、および1価の複素環基から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。
m価の芳香族炭化水素基が有し得る置換基は、より好ましくは、アルキル基、またはアルケニル基である。
m価の飽和脂環式炭化水素基またはm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基が有し得る置換基は、より好ましくは、炭素原子数6〜60のアリール基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
Qは、好ましくは炭素原子数5〜12であるm価の飽和脂環式炭化水素基または炭素原子数5〜12であるm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Qは、より好ましくは炭素原子数5〜12であるm価の飽和脂環式炭化水素基を表す。
ここで、炭素原子数には、m価の飽和脂環式炭化水素基が有し得る置換基の炭素原子数およびm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基が有し得る置換基の炭素原子数は含まれない。
Qは、さらに好ましくは、置換基を有していてもよいm価のシクロヘキサン基または置換基を有していてもよいm価のビシクロヘキサン基を表す。
nが0を表す場合、QとXとが直結していることを表す。Aが複数個存在する場合、複数個あるAは、互いに異なっていてもよい。Xが複数個存在する場合、複数個存在するXは、互いに異なっていてもよい。Xが少なくとも2個存在し、少なくとも2個のXが水酸基およびカルボキシ基を表す場合、水酸基とカルボキシ基とは環状エステル(ラクトン)となっていてもよい。
mは、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。
式(1)で表される化合物としては、具体的には下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019068028
本発明の光電変換素子は、化合物(I)を、1種のみ単独で含んでいてもよく、2種以上の組み合わせで含んでいてもよい。
また、化合物(I)は、正孔輸送層および活性層のうちの一方または双方に含まれていればよく、正孔輸送層にのみ含まれていても、活性層のみに含まれていても、正孔輸送層および活性層の両方に含まれていてもよい。化合物(I)が、正孔輸送層および活性層の両方に含まれている場合、正孔輸送層に含まれる化合物(I)と、活性層に含まれる化合物(I)とは、同一であっても異なっていてもよい。
化合物(I)は、正孔輸送層の全体に散在していてもよく、正孔輸送層の特定領域、例えば、正孔輸送層および活性層の界面の近傍に偏在していてもよい。化合物(I)は、少なくとも活性層に接するように正孔輸送層中に偏在していることが好ましい。
化合物(I)は、活性層の全体に散在していてもよく、活性層の特定領域、例えば、正孔輸送層および活性層の界面の近傍に偏在していてもよい。化合物(I)が活性層の特定領域に偏在している場合、化合物(I)が少なくとも正孔輸送層に接するように活性層中に偏在していることが好ましい。
活性層が化合物(I)を含有する場合、化合物(I)の活性層に含まれるペロブスカイト化合物に対するモル比率は特に限定されないが、好ましくは0.001mol%以上、より好ましくは0.01mol%以上、さらに好ましくは0.05mol%以上であり、好ましくは100mol%以下であり、より好ましくは10mol%以下であり、さらに好ましくは1mol%以下である。
正孔輸送層が化合物(I)を含有する場合、化合物(I)の正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料に対する重量比率は特に限定されないが、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、好ましくは1000重量%以下であり、より好ましくは100重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下である。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極と活性層との間に設けられ、活性層から陽極へ正孔を輸送する機能を有する。また、活性層から陽極への電子の輸送を阻止し、再結合による光電変換効率の低下を防ぐ役割もある。正孔輸送層は、陽極に接して設けられることが好ましい。陽極と接して設けられる正孔輸送層を、特に正孔注入層という場合がある。
正孔輸送層は、正孔輸送性を有する正孔輸送材料を含む。正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料は、1種単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。正孔輸送材料としては、例えば、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物;チオフェン誘導体;芳香族アミン化合物;芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物;置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料と、1種以上の架橋基を有する化合物とを含む組成物を架橋させた架橋物;芳香族アミン残基を繰り返し単位に含み、かつ架橋基を有する高分子化合物を含む組成物を架橋させた架橋物;これらの組み合わせが挙げられる。
正孔輸送層の正孔輸送性を高めるためには、正孔輸送層は、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
置換基を有していてもよいチオフェン構造を含む繰り返し単位の例としては、下記式で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019068028
前記式中、Rは水素原子または置換基を表す。
ここで、置換基の例としては、水素原子、フッ素原子、炭素原子数1〜60のアルキル基、アルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基が挙げられる。これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。複数個あるRは、同一であっても、相異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物」の例としては、具体的には、下記式で表される高分子化合物が挙げられる。
Figure 2019068028
前記式中、nは1以上の整数であり、xおよびyは、共重合比を表す。
チオフェン誘導体の例としては、具体的には、下記式で表されるチオフェン誘導体が挙げられる。
Figure 2019068028
芳香族アミン化合物の例としては、具体的には、下記式で表される芳香族アミン化合物が挙げられる。
Figure 2019068028
芳香族アミン化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含む芳香族アミン化合物の例としては、具体的には、下記式で表される芳香族アミン化合物が挙げられる。
Figure 2019068028
芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物の例としては、具体的には、下記式で表される高分子化合物が挙げられる。
Figure 2019068028
前記式中、nは、1以上の整数である。
芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物において、「芳香族アミン残基を含む繰り返し単位」とは、芳香族アミン化合物から水素原子を2個取り除いた残りの原子団をいう。芳香族アミン残基を含む繰り返し単位の例としては、下記式(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
Figure 2019068028
前記式(2)中、
Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、下記アリーレン基(A1)または下記2価の複素環基(B1)を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、下記アリール基(A2)または下記1価の複素環基(B2)を表す。
aおよびbは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦a+b≦1である。
アリーレン基(A1):
アリーレン基(A1)は、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環または縮合環を含む基、および、独立したベンゼン環および縮合環から選ばれる2個以上の環が直接またはビニレン等の基を介して結合した基も含まれる。アリーレン基(A1)は置換基を有していてもよい。
アリーレン基(A1)としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレンジイル基、置換基を有していてもよいフェナントレンジイル基、置換基を有していてもよいアントラセンジイル基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいビフェニルジイル基、置換基を有していてもよいテルフェニルジイル基、置換基を有していてもよいペンタセンジイル基、および置換基を有していてもよいナフタセンジイル基が挙げられる。
ここで、アリーレン基(A1)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基、およびシアノ基等が挙げられる。
アリーレン基(A1)が有し得る置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基または1価の複素環基が好ましい。
無置換のアリーレン基の炭素原子数(すなわち、置換基の炭素原子数を含めないアリーレン基の炭素原子数)は、通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。
2価の複素環基(B1):
2価の複素環基(B1)は、置換基を有していてもよい2価の複素環基である。
ここで、2価の複素環基(B1)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基、イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基、およびシアノ基等が挙げられる。
2価の複素環基(B1)が有し得る置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基または1価の複素環基が好ましい。
無置換の2価の複素環基の炭素原子数(すなわち、置換基の炭素原子数を含めない2価の複素環基の炭素原子数)は、通常3〜60程度である。
アリール基(A2):
アリール基(A2)は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を有していてもよいアリール基である。ここで、無置換のアリール基(A2)の炭素原子数(すなわち、置換基の炭素原子数を含めないアリール基の炭素原子数)は、通常6〜60程度であり、好ましくは6〜30である。
1価の複素環基(B2):
1価の複素環基(B2)は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい1価の複素環基である。ここで、無置換の1価の複素環基(B2)の炭素原子数(すなわち、置換基の炭素原子数を含めない1価の複素環基の炭素原子数)は、通常4〜60程度である。
アリール基(A2)は、置換基を3個以上有するアリール基であることが好ましく、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基または置換基を3個以上有するアントリル基であることがより好ましく、下記式(3)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 2019068028
式(3)中、Re、RfおよびRgは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。
芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物は、さらに、下記式(4)、下記式(5)、下記式(6)または下記式(7)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
−Ar12− (4)

―Ar12−X―(Ar13−X―Ar14− (5)

−Ar12−X− (6)

−X− (7)
前記式(4)〜(7)中、
Ar12、Ar13およびAr14は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表す。
は、−CR=CR−で表される基、−C≡C−で表される基または−(SiR−で表される基を表す。
は、−CR=CR−で表される基、−C≡C−で表される基、−N(R)−で表される基、または−(SiR−で表される基を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基またはシアノ基を表す。
、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはアリールアルキル基を表す。
cは0〜2の整数を表す。dは1〜12の整数を表す。
Ar13、R、R、R、RおよびRがそれぞれ複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
前記式(2)で表される繰り返し単位であって、Ar、Ar、およびArが無置換のフェニレン基であり、a=1であり、b=0である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
Figure 2019068028
式(2)で表される繰り返し単位であって、Ar、ArおよびArが無置換のフェニレン基であり、a=0であり、b=1である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
Figure 2019068028
式(2)で表される繰り返し単位であって、Ar、およびArが無置換のフェニレン基であり、Arがビフェニレン基であり、a=1であり、b=0である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
前記式中、Meはメチル基を表し、Prはプロピル基を表し、iPrはイソプロピル基を表し、Buはブチル基を表し、MeOはメトキシ基を表し、BuOはブチルオキシ基をそれぞれ表す。
正孔輸送層は、正孔輸送材料および既に説明した化合物(I)以外の成分を含んでいてもよい。
(活性層)
活性層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する層である。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子の活性層は、ペロブスカイト化合物を含む。
ペロブスカイト化合物は、通常、結晶構造を有している。透明または半透明の電極側から入射した光は、活性層中において、結晶構造を有するペロブスカイト化合物に吸収されて電子および正孔を生成する。生成した電子と正孔とが活性層中を移動して互いに異なる電極に至ることにより、光電変換素子の外部に電気エネルギー(電流)として取り出される。
活性層は、ペロブスカイト化合物および既に説明した化合物(I)以外に、他の成分を含んでいてもよい。活性層が含み得るペロブスカイト化合物および既に説明した化合物(I)以外の他の成分の例としては、電子供与性化合物、電子受容性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線に対する安定性を増強するための光安定剤、および、機械的特性を高めるためのバインダーが挙げられる。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子が有する活性層に含有されるペロブスカイト化合物の具体例および好ましい例を、以下に示す。
本発明の実施形態にかかるペロブスカイト化合物は、有機物および無機物がペロブスカイト構造の構成要素となっているペロブスカイト化合物(有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物)であることが好ましい。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子において、活性層に含有されるペロブスカイト化合物は、下記式(a)〜式(d)で表される化合物であることが好ましい。
CHNH (a)
式(a)中、Mは、2価の金属であり、複数個あるXは、それぞれ独立に、F、Cl、BrまたはIである。
式(a)中、Mで表される2価の金属としては、例えば、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Euが挙げられる。
(R10NH (b)
式(b)中、R10は、炭素原子数が2以上である、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、1価の複素環基であり、MおよびXは、前記定義のとおりである。
式(b)中、R10で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、シクロアルキル基であってもよい。R10で表されるアルキル基の炭素原子数は、通常2〜40であり、2〜30であることが好ましい。
式(b)中、R10で表されるアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、イコサニル基、ドコサニル基、トリアコンタニル基、テトラコンタニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
式(b)中、R10で表されるアルケニル基の炭素原子数は、通常2〜30であり、2〜20であることが好ましい。R10で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、オレイル基、アリル基が挙げられる。
式(b)中、R10で表されるアラルキル基の炭素原子数は、通常7〜40であり、7〜30であることが好ましい。R10で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基が挙げられる。
式(b)中、R10で表されるアリール基の炭素原子数は、通常6〜30であり、6〜20であることが好ましい。R10で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基が挙げられる。
式(b)中、R10で表される1価の複素環基の炭素原子数は、通常1〜30であり、1〜20であることが好ましい。R10で表される1価の複素環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジニル基、モルホリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基、フタラジニル基が挙げられる。
HC(=NH)NH (c)
式(c)中、MおよびXは、前記定義のとおりである。
(d)
式(d)中、Mはカリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムから選ばれる1価の金属である。
式(d)中、MおよびXは、前記定義のとおりである。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子において、ペロブスカイト化合物は1種のみが活性層に含有されていてもよいし、複数種が活性層に含有されていてもよい。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子に用いられ得るペロブスカイト化合物は、式(a)または式(c)で表される化合物であることがより好ましい。式(a)で表される化合物のうち、CHNHPbI、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHSnI、CHNHSnClまたはCHNHSnBrがさらに好ましい。式(c)で表される化合物のうち、HC(=NH)NHPbI、HC(=NH)NHPbBr、HC(=NH)NHSnI、HC(=NH)NHSnBrがさらに好ましい。
(支持基板)
本発明の実施形態にかかる光電変換素子は、通常、支持基板上に形成される。支持基板には、光電変換素子を製造する際に化学的に変化しない材料が好適に用いられる。支持基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、およびシリコン基板等が挙げられる。
透明または不透明な電極側から光を取り込む形態であって、このような電極側に支持基板が設けられる光電変換素子の場合には、支持基板には光透過性の高い基板が好適に用いられる。
また、不透明な支持基板上に光電変換素子を製造する場合には、支持基板側の電極側から光を取り込むことができないため、支持基板側とは反対側の電極を透明または半透明な電極として構成することが好ましい。このような電極を用いることにより、たとえ不透明な支持基板を用いたとしても、支持基板側とは反対側の透明または半透明な電極側から光を取り込むことができる。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子において、陽極および陰極のうちの少なくとも一方の電極は、透明または半透明であることが好ましい。
(陽極)
陽極には、導電性の金属酸化物膜、金属薄膜、および、有機物を含む導電膜等が用いられる。陽極の材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素化スズ酸化物(FLUORINE Tin Oxide:FTO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ポリアニリンおよびその誘導体、並びに、ポリチオフェンおよびその誘導体等が用いられる。これらの中でも、陽極の材料としては、ITO、FTO、IZO、酸化スズが好適に用いられる。なお、陽極側から光を取り込む構成の光電変換素子では、通常、上述の陽極を構成する薄膜の厚さを、光が透過する程度の厚さとした透明または半透明な電極が、陽極として用いられる。
(陰極)
陰極は、単層の形態であっても、複数の層が積層された形態であってもよい。陰極は、導電性物質を含む。陰極の材料には、金属、導電性高分子等を用いることができる。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫等の金属;これらの金属からなる群より選ばれる2種類以上の金属を含む合金;グラファイト、グラファイト層間化合物等が用いられる。
合金の例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
透明または半透明の陰極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;これらの複合体であるITO、IZO等の導電性材料;NESA、金、白金、銀、銅が挙げられる。これらの中でも、ITO、IZO、酸化スズ等の導電性材料が好ましい。
陰極は、導電性物質のナノ粒子または導電性物質のナノワイヤーのみから構成されていてもよいし、特表2010−525526号公報に記載されているように、導電性物質のナノ粒子または導電性物質のナノワイヤーが、導電性ポリマー等の所定の媒体中に分散して構成されていてもよい。ここで、導電性物質の例としては、金、銀等の金属;ITO等の酸化物;カーボンナノチューブ等が挙げられる。
(電子輸送層)
本発明の実施形態にかかる光電変換素子は、活性層と陰極との間に設けられた電子輸送層をさらに含むことが好ましい。
電子輸送層は、電子輸送性材料を含む。電子輸送層を形成するための電子輸送性材料は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。電子輸送層に含まれる電子輸送性材料は、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
有機化合物である電子輸送性材料は、低分子有機化合物であっても、高分子有機化合物であってもよい。
低分子有機化合物である電子輸送性材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、C60フラーレン等のフラーレン類およびその誘導体、並びに、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。
高分子有機化合物である電子輸送性材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、並びに、ポリフルオレンおよびその誘導体等が挙げられる。
これらの電子輸送性材料の中でも、フラーレン類およびその誘導体、並びにカーボンナノチューブおよびその誘導体が好ましい。フラーレン類としては、C60フラーレン、炭素原子数が70以上であるフラーレン、および、それらの誘導体が挙げられる。C60フラーレンの誘導体の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019068028
無機化合物である電子輸送性材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛が好ましい。電子輸送層を形成する際には、粒子状の酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛またはアルミニウムドープ酸化亜鉛を含む塗布液を用いて、電子輸送層を形成することが好ましい。このような電子輸送性材料としては、酸化亜鉛のナノ粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子またはアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子を用いることが好ましく、酸化亜鉛のナノ粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子またはアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子のみからなる電子輸送性材料を用いて、電子輸送層を形成することがより好ましい。
酸化亜鉛のナノ粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子およびアルミニウムドープ酸化亜鉛のナノ粒子の球相当の平均粒子径は、1nm〜1000nmであることが好ましく、10nm〜100nmであることがより好ましい。平均粒子径は、例えば、レーザー光散乱法、X線回折法等によって測定することができる。
(その他の任意の層)
第1実施形態の光電変換素子は、既に説明した陽極、陰極、活性層、正孔輸送層および電子輸送層の他に、任意の層をさらに含んでいてもよい。
このような任意の層としては、例えば、水分および酸素などの侵入を阻止するための封止層、電子輸送層と陰極との間に設けられる電子注入層が挙げられる。
<2>光電変換素子の製造方法
第1実施形態の光電変換素子は、製造工程をより簡便にし得るので、支持基板に、陽極、正孔輸送層、活性層および陰極をこの順で形成することが好ましい。このような順で各層が形成されて得られる光電変換素子は、いわゆる逆積層構造である。以下、光電変換素子のかかる態様の製造方法について説明する。
第1実施形態の光電変換素子の製造方法は、
陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程とを含み、好ましくはこれら工程をこの順で含む。
前記正孔輸送層を形成する工程および前記活性層を形成する工程のうちの一方または双方は、上記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である。
第1実施形態の製造方法は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、陽極および活性層の間に設けられ、活性層と接する正孔輸送層とを含み、正孔輸送層および活性層のうちの一方または双方が、上記式(1)で表される化合物を含有する光電変換素子を製造する方法である。以下、各工程について説明する。
(陽極が設けられた支持基板を用意する工程)
本工程では、陽極が設けられた支持基板を用意する。
支持基板に陽極を設ける方法は特に限定されないが、例えば、陽極は、既に説明した陽極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって、既に説明した材料によって構成される支持基板上に形成することができる。陽極の材料として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機材料を用いる場合、有機材料を含む塗布液を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。また、金属インク、金属ペーストまたは溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。陽極は、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、既に説明した陽極の材料(例えば、ITOなど)で形成された導電性の薄膜が設けられた、既に説明した材料により構成される支持基板を市場より入手し、必要に応じて、導電性の薄膜をパターニングすることにより陽極を形成することによって、陽極が設けられた支持基板を用意することができる。
(正孔輸送層の形成工程)
本工程では、陽極が設けられた支持基板に正孔輸送層を形成する。
正孔輸送層の形成方法は特に限定されない。正孔輸送層の形成工程を簡易にする観点からは、塗布法によって正孔輸送層を形成することが好ましい。正孔輸送層は、例えば、既に説明した正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液(組成物)を塗布することにより形成することができる。
正孔輸送層が既に説明した化合物(I)を含有する場合には、正孔輸送層を形成する工程が、化合物(I)を含有する材料を用いて形成する工程である。化合物(I)を含有する材料を用いて正孔輸送層を形成する工程は、正孔輸送材料と化合物(I)と溶媒とを含む塗布液を塗布する工程を含むことが好ましい。
化合物(I)を含有する正孔輸送層は、正孔輸送材料と化合物(I)とを含む塗布液を、正孔輸送層が接合されるべき層(陽極が設けられた支持基板)に塗布する工程により形成してもよい。
塗布法で用いられる塗布液における溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、および炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、およびメトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、およびシクロヘキサノン等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、およびオルトジクロロベンゼン等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。塗布液における溶媒の量は、正孔輸送層の材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法(塗布法)としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、およびキャピラリーコート法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
本発明にかかる製造方法では、正孔輸送層は、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料と、1種以上の架橋基を有する化合物とを含む組成物を架橋させた架橋物;芳香族アミン残基を繰り返し単位に含み、かつ架橋基を有する高分子化合物を含む組成物を架橋させた架橋物から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
活性層がペロブスカイト化合物を含有するので、活性層は塗布液に含まれる溶媒を透過させやすい傾向がある。よって、電子輸送層の形成に用いられる塗布液が、形成された活性層を溶解しない場合であっても、さらに支持基板側に位置している正孔輸送層を溶解してしまうおそれがある。
しかしながら、正孔輸送層が、架橋基が架橋されて硬化された架橋物を含む場合、正孔輸送層の後に形成される、活性層または電子輸送層を形成するための塗布液(溶媒)に対して正孔輸送層が溶解しにくくなる。よって、正孔輸送層が物理的および電気的に劣化しにくくなり、そのため、光電変換素子の開放端電圧を向上させ、ひいては光電変換効率を向上させることができる。
正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布して得られる塗布膜を、加熱処理、風乾処理、減圧処理等に供することにより、塗布膜から溶媒を除くことが好ましい。
(活性層の形成工程)
本工程では、正孔輸送層が設けられた支持基板の正孔輸送層に接合するように、ペロブスカイト化合物を含む活性層を形成する。
活性層の形成方法は特に限定されない。活性層の形成工程をより簡易にする観点からは、塗布法によって活性層を形成することが好ましい。活性層は、例えば、既に説明したペロブスカイト化合物と、溶媒とを含む塗布液(ペロブスカイト化合物を含有する組成物)を塗布することにより形成することができる。
活性層が、既に説明した化合物(I)を含有する場合には、活性層を形成する工程が、化合物(I)を含有する材料を用いて形成する工程である。化合物(I)を含有する材料を用いて形成する工程は、化合物(I)を含有する材料(例、化合物(I)と溶媒とを含む塗布液)を正孔輸送層に塗布する工程を含むことが好ましい。
具体的には、化合物(I)を含有する活性層は、ペロブスカイト化合物と化合物(I)と溶媒とを含む塗布液を、正孔輸送層(正孔輸送層が設けられた支持基板)に塗布する工程により形成されてもよい。
活性層は、化合物(I)と溶媒とを含む塗布液(第1の塗布液)を、正孔輸送層(正孔輸送層が設けられた支持基板)に塗布し、次いでペロブスカイト化合物と溶媒とを含む塗布液(第2の塗布液)を塗布する工程により形成してもよい。
この工程により活性層が形成される場合において、第2の塗布液は、ペロブスカイト化合物および溶媒の他に、化合物(I)を含有していてもしていなくともよいが、好ましくは第2の塗布液は、化合物(I)を含有しない。
活性層をこの工程により製造すれば、化合物(I)が少なくとも正孔輸送層に接するように、正孔輸送層および活性層の界面の近傍に偏在させることができる。
ペロブスカイト化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、ペロブスカイト化合物の前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。
例えば、金属ハロゲン化物およびハロゲン化アンモニウムを溶媒中で加熱することにより、ペロブスカイト化合物を合成することができる。
ペロブスカイト化合物と化合物(I)と溶媒とを含む塗布液において、ペロブスカイト化合物の濃度は、例えば、0.1M以上とすることができ、例えば10M以下とすることができる。
ペロブスカイト化合物を含有する活性層は、ペロブスカイト化合物の前駆体を含む塗布液を塗布することにより形成してもよい。
具体的には、例えば、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、金属ハロゲン化物の膜に、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む塗布液またはハロゲン化アミンと溶媒とを含む塗布液を塗布する方法、あるいは、
金属ハロゲン化物と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、金属ハロゲン化合物の膜を、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む塗布液またはハロゲン化アミンと溶媒とを含む塗布液に浸漬させる方法によっても活性層を形成することができる。
さらに具体的には、活性層は、例えば、少なくとも正孔輸送層に、ヨウ化鉛と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、ヨウ化鉛の膜に、ヨウ化メチルアンモニウムと溶媒とを含む塗布液を塗布することによって形成することができる。
溶媒は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウムまたはハロゲン化アミンの1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
活性層は、正孔輸送層にペロブスカイト化合物を含有する塗布液を直接塗布して形成してもよいし、まず正孔輸送層に濡れ性を向上させるための塗布液(プリウェット液)を塗布してから、次いでペロブスカイト化合物を含有する塗布液を塗布して形成してもよい。ペロブスカイト化合物を含有する塗布液を塗布する前に正孔輸送層にプリウェット液を塗布する工程を「プリウェット工程」ともいう。正孔輸送層にプリウェット液を塗布して正孔輸送層上に溶媒が残るウェットな状態とすることで、ペロブスカイト化合物を含有する塗布液の正孔輸送層に対する濡れ性を改善することができる。
プリウェット工程に用いることができるプリウェット液は、正孔輸送層を溶解させず、ペロブスカイト化合物を溶解できる液(塗布液)であることが好ましい。
プリウェット液としては、溶媒および化合物(I)を含む塗布液、具体的には例えば化合物(I)を上記の特性を有する溶媒に溶解させて得られる塗布液を用いることができる。このようにすることで、化合物(I)を、化合物(I)が少なくとも正孔輸送層に接するように活性層中に偏在させることができる。
また、塗布法により活性層を形成する場合、塗布液の塗布中または塗布液の塗布後活性層の乾燥前であって、活性層が溶媒を含んだ状態で、ペロブスカイト化合物に対する貧溶媒を活性層に塗布してもよく、該貧溶媒に活性層を浸漬してもよい。このような処理により、活性層に含まれるペロブスカイト化合物が結晶化し、平滑な塗布膜を得ることができる。
上記の活性層の形成工程にかかる各塗布工程後においては、塗布膜を、加熱処理、風乾処理、減圧処理等に供することにより、溶媒を除くことが好ましい。
活性層を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、エステル類(例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例えば、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤(例えば、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボネート系溶剤(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、分岐構造を有していてもよく、環状構造を有していてもよい。また、これらの溶媒は、エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基(例えば、−O−で表される基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−OHで表される基)のいずれかを2つ以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分に結合している水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。また、塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
ペロブスカイト化合物と溶媒とを含む塗布液、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む溶液、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む溶液、および、ハロゲン化アミンと溶媒とを含む溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
(電子輸送層の形成工程)
本発明の製造方法は、活性層と陰極との間に設けられた電子輸送層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
具体的には、本発明にかかる光電変換素子の製造方法は、前記活性層を形成する工程の後であって、前記陰極を形成する工程の前に、電子輸送層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
電子輸送層の形成方法は特に限定されない。電子輸送層の形成工程を簡易にする観点からは、塗布法によって電子輸送層を形成することが好ましい。すなわち、活性層の形成後、かつ、陰極の形成前に、前述した電子輸送性材料と溶媒とを含む塗布液を活性層上に塗布し、必要に応じて乾燥処理(加熱処理)を行うなどして溶媒を除くことによって電子輸送層を形成することが好ましい。
本発明にかかる光電変換素子の製造方法が電子輸送層を形成する工程を含む場合、該電子輸送層を形成する工程が、フラーレン類およびフラーレン類の誘導体からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む塗布液を塗布することにより電子輸送層を形成する工程を含むことが好ましい。
電子輸送層の形成にかかる塗布法で用いる塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。塗布液は、塗布液が塗布される層(活性層等)に与える損傷が少ない塗布液であることが好ましく、具体的には、塗布液が塗布される層(活性層等)を溶解し難い塗布液とすることが好ましい。
既に説明した電子輸送性材料を含む塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、前記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。溶媒は、電子輸送性材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
(陰極の形成工程)
本工程では、活性層が設けられた支持基板に陰極を形成する。通常、活性層に陰極を形成するが、本発明にかかる光電変換素子の製造方法が、電子輸送層を形成する工程を含む場合、陰極の形成工程では、電子輸送層上に陰極を形成することが好ましい。
陰極の形成方法は特に限定されないが、陰極は、既に説明した陰極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等によって、陰極を形成すべき層(例、活性層、電子輸送層)上に成膜することで形成することができる。
陰極の材料が、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤーまたは導電性物質のナノチューブである場合には、これらの材料と、溶媒とを含むエマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等を用いて、塗布法によって陰極を形成することができる。
また、陰極の材料が、導電性物質を含む場合、導電性物質を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陰極を形成してもよい。陰極の材料と溶媒とを含む塗布液の塗布法としては、既に説明した活性層の形成工程と同様の方法が挙げられる。
陰極を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベゼン、tert−ブチルベンゼン等の炭化水素溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒;水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
(光電変換素子の適用例)
本発明の実施形態にかかる光電変換素子は、透明または半透明の電極側から太陽光等の光を入射させることにより、電極間に光起電力を発生させることができる。結果として、光電変換素子を太陽電池として動作させることができる。本実施形態にかかる光電変換素子を含む太陽電池は、有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物を活性層に含む太陽電池であることが好ましい。このような太陽電池を複数集積することにより、薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明または半透明の電極側から光を入射させることにより、光電流を流すことができるため、有機光センサーとして動作させることができる。このような有機光センサーを複数集積することにより、イメージセンサーとして用いることもできる。
太陽電池または有機光センサーに含まれる光電変換素子として、本発明の光電変換素子を使用することができる。
[第2実施形態]
<1>光電変換素子の構成
第2実施形態にかかる光電変換素子は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、陽極および活性層の間に設けられ、活性層と接する正孔輸送層とを含んでいる。
第2実施形態にかかる光電変換素子は、支持基板をさらに含み、支持基板、陽極、正孔輸送層、活性層および陰極がこの順に積層されていることが好ましい。
活性層は、陽極および陰極の間に設けられている。活性層は、ペロブスカイト化合物を含有する。正孔輸送層は、陽極および活性層の間に設けられており、活性層と接している。正孔輸送層は、好ましくは活性層と接合している。
正孔輸送層は、式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む(詳細は後述する。)。
第2実施形態の光電変換素子の正孔輸送層は、正孔輸送性を有する正孔輸送材料を含む。第2実施形態においては、正孔輸送層は正孔輸送材料である高分子化合物を含む。以下、第2実施形態の光電変換素子にかかる正孔輸送層が含み得る高分子化合物である(i)式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物および(ii)その他の正孔輸送材料(式(8)の繰り返し単位を含まない高分子化合物を含む。)について説明する。
(i)式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物
第2実施形態においては、正孔輸送層が、下記式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む。
Figure 2019068028
式(8)中、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基(A3)または置換基を有していてもよい2価の複素環基(B3)を表す。E、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基(A4)または置換基を有していてもよい1価の複素環基(B4)を表す。dおよびeは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦d+e≦1である。E、EおよびEのうちの少なくとも1個は下記式(9)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
式(9)中、Zはヒドロキシ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ基、−COORで表される基、スルファニル基、またはアミノ基を表す。Rは、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、またはハロゲン原子を表す。Xは2価の連結基を表す。nは、0または1を表す。
ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基の炭素原子数は、通常1〜20である。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピル基、およびシクロブチル基が挙げられる。
アルキル基が有していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。フッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基およびパーフルオロオクチル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基およびアントラセニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいヘテロアリール基の例としては、チエニル基、ピリジル基およびインドリル基が挙げられる。
は、好ましくはホルミル基、ヒドロキシ基、アミノ基、またはカルボキシ基であり、より好ましくは、ホルミル基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基であり、さらに好ましくは、ホルミル基である。
式(9)中、Xで表される2価の連結基としては、特に限定されないが、例えば、−O−で表される基、−S−で表される基、アルキレン基、およびアルケニレン基、並びに、−O−で表される基、−S−で表される基、アルキレン基、およびアルケニレン基からなる群1から選ばれる2個以上の基が組み合わされて得られる2価の基が挙げられる。組み合わされる2個以上の基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。n=0の場合は、式(9)で表される置換基が、Zで表される基であることを示す。
2価の連結基であるアルキレン基、および群1に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、それぞれ、通常1〜10であり、好ましくは1〜5である。
2価の連結基であるアルキレン基、および群1に含まれるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、およびテトラメチレン基が挙げられる。
2価の連結基であるアルキレン基、および群1に含まれるアルキレン基は、好ましくはメチレン基またはエチレン基である。
2価の連結基であるアルケニレン基、および群1に含まれるアルケニレン基の炭素原子数は、それぞれ、通常2〜10であり、好ましくは2〜5である。
2価の連結基であるアルケニレン基、および群1に含まれるアルケニレン基としては、特に限定されないが、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、およびブテニレン基が挙げられる。
で表される、群1から選ばれる2個以上の基が組み合わされて得られる2価の基の具体例としては、下記式で表される2価の基が挙げられる。
Figure 2019068028
上記式中、nは1以上の整数を表す。上記式中のnは、好ましくは1以上20以下の整数であり、より好ましくは1以上10以下の整数であり、さらに好ましくは1以上5以下の整数である。
式(9)で表される置換基の例としては、特に限定されないが、上述したXの例と、Zの例と、nがとり得る値との組み合わせのすべてが挙げられ、より具体的には、ホルミル基、ヒドロキシ基、アミノ基、−CHOHで表される基、−O−CHCH−O−CHCH−OHで表される基、−O−COOHで表される基、−S−CHCH−S−CHCH−OHで表される基、および−S−COOHで表される基が挙げられる。
式(9)で表される置換基は、好ましくは、ホルミル基、ヒドロキシ基、アミノ基、−CHOHで表される基、−O−CHCH−O−CHCH−OHで表される基、または−O−COOHで表される基であり、より好ましくは、ヒドロキシ基、アミノ基またはホルミル基であり、さらに好ましくは、ホルミル基である。
式(8)で表される芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。以下、式(8)で表される構成単位が含み得る構成(基)について説明する。
アリーレン基(A3):
アリーレン基(A3)は、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環または縮合環を含む基、および、独立したベンゼン環および縮合環から選ばれる2個以上の環が直接またはビニレン等の基を介して結合した基も含まれる。アリーレン基(A3)は置換基を有していてもよい。
アリーレン基(A3)としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレンジイル基、置換基を有していてもよいフェナントレンジイル基、置換基を有していてもよいアントラセンジイル基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいビフェニルジイル基、置換基を有していてもよいテルフェニルジイル基、置換基を有していてもよいペンタセンジイル基、および置換基を有していてもよいナフタセンジイル基が挙げられる。
ここで、アリーレン基(A3)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基、およびシアノ基が挙げられる。
アリーレン基(A3)が有し得る置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基または1価の複素環基が好ましい。
無置換のアリーレン基の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めないアリーレン基の炭素原子数は、通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。
2価の複素環基(B3):
2価の複素環基(B3)は、置換基を有していてもよい2価の複素環基である。
2価の複素環基(B3)としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよいピリジンジイル基、置換基を有していてもよいピラジンジイル基、置換基を有していてもよいピリミジンジイル基、置換基を有していてもよいキノリンジイル基、置換基を有していてもよいキノキサリンジイル基、置換基を有していてもよいアクリジンジイル基、置換基を有していてもよいチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいチエノチオフェンジイル基、置換基を有していても良いピロールジイル基、および置換基を有していてもよいチアゾールジイル基が挙げられる。
ここで、2価の複素環基(B3)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基、イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基、およびシアノ基が挙げられる。
2価の複素環基(B3)が有し得る置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基または1価の複素環基が好ましい。
無置換の2価の複素環基の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めない2価の複素環基の炭素原子数は、通常3〜60程度である。
アリール基(A4):
アリール基(A4)は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、および上記式(9)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい、アリール基である。ここで、無置換のアリール基(A4)の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めないアリール基の炭素原子数は、通常6〜60程度であり、好ましくは6〜30である。
アリール基(A4)としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいナフタセニル基、および置換基を有していてもよいペンタセニル基、置換基を有していてもよいフェナントリル基が挙げられる。
1価の複素環基(B4):
1価の複素環基(B4)は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、および上記式(9)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい、1価の複素環基である。ここで、無置換の1価の複素環基(B4)の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めない1価の複素環基の炭素原子数は、通常4〜60程度である。
1価の複素環基(B4)としては、例えば、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいチエニル基、置換基を有していてもよいチアゾリル基、置換基を有していてもよいピロリル基が挙げられる。
アリール基(A4)は、置換基を3個以上有するアリール基であることが好ましく、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基または置換基を3個以上有するアントリル基であることがより好ましく、下記式(10)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 2019068028
式(10)中、Re、RfおよびRgは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、または式(9)で表される置換基を表す。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は、好ましくは、式(10)で表される基であって、Rgが式(9)で表される置換基である基である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は、より好ましくは、式(10)で表される基であって、Rgが式(9)で表される置換基であり、ReおよびRfがアルキル基である基である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は、さらに好ましくは、式(10)で表される基であって、Rgが式(9)で表される置換基であり、ReおよびRfが炭素原子数1〜5のアルキル基である基である。
、EおよびEのうちのいずれか1個は、式(9)で表される置換基を1個のみ有していてもよいし、複数有していてもよい。
、EおよびEのうちの2個以上の各々は、式(9)で表される置換基を1個のみ有していてもよいし、複数有していてもよい。
好ましくは、E、EおよびEのうちの2個以上の各々は、式(9)で表される置換基を1個のみ有する。
式(8)で表される繰り返し単位が、式(9)で表される置換基を複数有する場合、該複数の式(9)で表される置換基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
前記式(8)で表される繰り返し単位であって、Ar、Ar、およびArが無置換のフェニレン基であり、d=1であり、e=0である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
式(8)で表される繰り返し単位であって、Ar、ArおよびArが無置換のフェニレン基であり、d=0であり、e=1である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
式(8)で表される繰り返し単位であって、Ar、およびArが無置換のフェニレン基であり、d=0であり、e=0である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、式(8)で表される繰り返し単位以外の任意の繰り返し単位を含んでいてもよい。かかる任意の繰り返し単位の例としては、特に限定されないが、下記式(8B)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
式(8B)中、Ar1B、Ar2B、Ar3BおよびAr4Bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基(A3)または置換基を有していてもよい2価の複素環基(B3)を表す。E1B、E2BおよびE3Bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基(A4)または置換基を有していてもよい1価の複素環基(B4)を表す。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦l+m≦1である。ただし、E1B、E2BおよびE3Bにより表される、アリール基(A4)または1価の複素環基(B4)が有していてもよい置換基には、上記式(9)で表される置換基は含まれない。
Ar1B、Ar2B、Ar3BおよびAr4Bの例および好ましい例は、Ar、Ar、ArおよびArの例および好ましい例と同様である。
1B、E2BおよびE3Bにより表されるアリール基は、置換基を3個以上有するアリール基であることが好ましく、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基または置換基を3個以上有するアントリル基であることがより好ましく、上記式(10)で表される基であって、式(10)中のRe、RfおよびRgが、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、またはハロゲン原子である基であることがさらに好ましく、上記式(10)で表される基であって、式(10)中のRe、RfおよびRgが、それぞれ独立に、アルキル基である基であることがさらに好ましく、上記式(10)で表される基であって、式(10)中のRe、RfおよびRgが、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基である基であることがさらに好ましい。
式(8B)で表される繰り返し単位の具体例としては、例えば、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、さらに、下記式(11)、下記式(12)、下記式(13)または下記式(14)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
−Ar15− (11)

―Ar15−X―(Ar16−X―Ar17− (12)

−Ar15−X− (13)

−X− (14)
前記式(11)〜(14)中、
Ar15、Ar16およびAr17は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表す。
は、−CR=CR−で表される基、−C≡C−で表される基または(SiR1011−で表される基を表す。
は、−CR=CR−で表される基、−C≡C−で表される基、−N(R)−で表される基、または(SiR1011−で表される基を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基またはシアノ基を表す。
、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはアリールアルキル基を表す。
fは0〜2の整数を表す。gは1〜12の整数を表す。
Ar16、R、R、R、R10およびR11が、それぞれ複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を構成するその他の任意の繰り返し単位の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン構造を含む繰り返し単位が挙げられる。
式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、式(8)で表される1種または2種以上の繰り返し単位のみから構成されていてもよい。
式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物における繰り返し単位の重合の態様(配列の態様)は特に限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれであってもよい。かかる重合の態様は純度の観点からは、交互共重合であることが好ましい。
式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、正孔輸送層に1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうち式(8)で表される繰り返し単位の含有量は、
好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは2重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上であり、
好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下であり、
好ましくは1重量%以上90重量%以下であり、より好ましくは5重量%以上50重量%以下である。このような範囲とすることにより、光電変換素子の耐熱性をより向上させることができる。
ここで、正孔輸送層に含まれる高分子化合物の総重量に対する、式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の含有率をW(8)(重量%)とし、式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物中の、式(8)で表される繰り返し単位の含有率をX(8)(重量%)とすると、正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうち式(8)で表される繰り返し単位の含有量X(重量%)は、下記式から算出される。
X=W(8)×X(8)÷100(重量%)
通常、式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物中の、式(8)で表される繰り返し単位の含有率X(8)(重量%)は、式(8)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を製造する際に用いた単量体の総重量に対する、式(8)で表される繰り返し単位を含む単量体の重量割合(重量%)(仕込み率)である。
(ii)その他の正孔輸送材料
本発明の光電変換素子にかかる正孔輸送層が含み得るその他の正孔輸送材料(式(1)の繰り返し単位を含まない高分子化合物を含む。)としては、例えば、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料と、1種以上の架橋基を有する化合物とを含む組成物を架橋させた架橋物、芳香族アミン残基を繰り返し単位に含み、かつ架橋基を有する高分子化合物を含む組成物を架橋させた架橋物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
ここで、架橋基の例としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリルアミド基、アレーン基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、フリル基、ピロール基、チオフェン基、シロール基等)、小員環(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)を有する基、ラクトン基、ラクタム基、およびシロキサン誘導体を含有する基等が挙げられる。また、上記基の他に、架橋基の例として、縮合反応を起こす基(例えば、メチロール基、アルコキシメチロール基)が挙げられる。架橋基は、異種の架橋基の組み合わせであってもよく、異種の架橋基の組み合わせとしては、例えば、エステル結合またはアミド結合を形成可能な基の組み合わせなどが挙げられる。このような基の組み合わせとしては、例えば、エステル基(例、アルコキシカルボニル基)とアミノ基との組み合わせ、エステル基とヒドロキシ基との組み合わせ等の組み合わせが挙げられる。
正孔輸送層の正孔輸送性を高めるためには、正孔輸送層は、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
「置換基を有していてもよいチオフェン構造」を含む繰り返し単位の例、「置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物」の例、チオフェン誘導体の例、芳香族アミン化合物の例、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含む芳香族アミン化合物の例、芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物の例は、既に説明した第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
正孔輸送層は、本発明の目的を損なわないことを条件として、既に説明した正孔輸送材料以外の成分を含んでいてもよい。
(活性層)
活性層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する層である。
本発明の実施形態にかかる光電変換素子の活性層は、ペロブスカイト化合物を含む。
ペロブスカイト化合物は、通常、結晶構造を有している。透明または半透明の電極側から入射した光は、活性層中において、結晶構造を有するペロブスカイト化合物に吸収されて電子および正孔を生成する。生成した電子と正孔とが活性層中を移動して互いに異なる電極に至ることにより、光電変換素子の外部に電気エネルギー(電流)として取り出される。
活性層は、ペロブスカイト化合物以外に、他の成分を含んでいてもよい。活性層が含み得るペロブスカイト化合物以外の他の成分の例としては、電子供与性化合物、電子受容性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線に対する安定性を増強するための光安定剤、および、機械的特性を高めるためのバインダーが挙げられる。
本発明の実施形態にかかるペロブスカイト化合物は、有機物および無機物がペロブスカイト構造の構成要素となっているペロブスカイト化合物(有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物)であることが好ましい。
第2実施形態にかかる光電変換素子において、活性層に含有されるペロブスカイト化合物は、第1実施形態において既に説明した式(a)〜式(d)で表される化合物であることが好ましい。
第2実施形態の光電変換素子の支持基板、電子輸送層、陽極および陰極等の上記以外の構成要素については第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
<2>光電変換素子の製造方法
第2実施形態の光電変換素子の製造方法は、特に限定されないが、製造工程をより簡便にし得るので、支持基板に、陽極、正孔輸送層、活性層および陰極をこの順で形成することが好ましい。このような順で各層が形成されて得られる光電変換素子は、いわゆる逆積層構造である。以下、光電変換素子のかかる態様の製造方法について説明する。
第2実施形態にかかる光電変換素子は、例えば、陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、陽極が設けられた支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、正孔輸送層が設けられた支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、活性層が設けられた支持基板に陰極を形成する工程とを含み、正孔輸送層を形成する工程が、上記式(1)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程である、製造方法により製造され得る。以下、各工程について説明する。
(陽極が設けられた支持基板を用意する工程)
本工程では、陽極が設けられた支持基板を用意する。
支持基板に陽極を設ける方法は特に限定されないが、例えば、陽極は、既に説明した陽極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって、既に説明した材料によって構成される支持基板上に形成することができる。陽極の材料として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機材料を用いる場合、有機材料を含む塗布液を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。また、金属インク、金属ペーストまたは溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。陽極は、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、既に説明した陽極の材料(例えば、ITOなど)で形成された導電性の薄膜が設けられた、既に説明した材料により構成される支持基板を市場より入手し、必要に応じて、導電性の薄膜をパターニングすることにより陽極を形成することによって、陽極が設けられた支持基板を用意することができる。
(正孔輸送層を形成する工程)
本工程では、陽極が設けられた支持基板に正孔輸送層を形成する。
正孔輸送層の形成方法は特に限定されない。正孔輸送層の形成工程を簡易にする観点からは、塗布法によって正孔輸送層を形成することが好ましい。正孔輸送層は、例えば、既に説明した正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液(組成物)を塗布することにより形成することができる。
本工程は、上記式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程である。
塗布法で用いられる塗布液における溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、およびメトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、およびシクロヘキサノン等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびテトラリンが挙げられる。ハロゲン化炭化水素の具体例としては、クロロベンゼン、およびオルトジクロロベンゼン等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。塗布液における溶媒の量は、正孔輸送層の材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法(塗布法)としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、およびキャピラリーコート法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
本実施形態にかかる製造方法では、正孔輸送層は、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料と、1種以上の架橋基を有する化合物とを含む組成物を架橋させた架橋物;芳香族アミン残基を繰り返し単位に含み、かつ架橋基を有する高分子化合物を含む組成物を架橋させた架橋物から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
本実施形態にかかる製造方法では、活性層がペロブスカイト化合物を含有するので、活性層は塗布液に含まれる溶媒を透過させやすい傾向がある。よって、電子輸送層の形成に用いられる塗布液が、形成された活性層を溶解しない場合であっても、さらに支持基板側に位置している正孔輸送層を溶解してしまうおそれがある。
しかしながら、正孔輸送層が、架橋基が架橋されて硬化された架橋物を含む場合、正孔輸送層の後に形成される、活性層または電子輸送層を形成するための塗布液(溶媒)に対して正孔輸送層が溶解しにくくなる。よって、正孔輸送層が物理的および電気的に劣化しにくくなり、そのため、光電変換素子の開放端電圧を向上させ、ひいては光電変換効率を向上させることができる。
正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布して得られる塗布膜を、加熱処理、風乾処理、減圧処理等に供することにより、塗布膜から溶媒を除くことが好ましい。
(活性層を形成する工程)
本工程では、正孔輸送層が設けられた支持基板の正孔輸送層に接合するように、ペロブスカイト化合物を含む活性層を形成する。
活性層の形成方法は特に限定されない。活性層の形成工程をより簡易にする観点からは、塗布法によって活性層を形成することが好ましい。活性層は、例えば、既に説明したペロブスカイト化合物と、溶媒とを含む塗布液(ペロブスカイト化合物を含有する組成物)を塗布することにより形成することができる。
ペロブスカイト化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、ペロブスカイト化合物の前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。
例えば、金属ハロゲン化物およびハロゲン化アンモニウムを溶媒中で加熱することにより、ペロブスカイト化合物を合成することができる。
ペロブスカイト化合物を含有する活性層は、ペロブスカイト化合物の前駆体を含む塗布液を塗布することにより形成してもよい。
具体的には、例えば、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、金属ハロゲン化物の膜に、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む塗布液またはハロゲン化アミンと溶媒とを含む塗布液を塗布する方法、あるいは、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、金属ハロゲン化合物の膜を、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む塗布液またはハロゲン化アミンと溶媒とを含む塗布液に浸漬させる方法によっても活性層を形成することができる。
さらに具体的には、活性層は、例えば、少なくとも正孔輸送層に、ヨウ化鉛と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、ヨウ化鉛の膜に、ヨウ化メチルアンモニウムと溶媒とを含む塗布液を塗布することによって形成することができる。
本工程では、溶媒は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウムまたはハロゲン化アミンの1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
活性層は、正孔輸送層にペロブスカイト化合物を含有する塗布液を直接塗布して形成してもよいし、まず正孔輸送層に濡れ性を向上させるための塗布液(プリウェット液)を塗布してから、次いでペロブスカイト化合物を含有する塗布液を塗布して形成してもよい。ペロブスカイト化合物を含有する塗布液を塗布する前に正孔輸送層にプリウェット液を塗布する工程を「プリウェット工程」ともいう。正孔輸送層にプリウェット液を塗布して正孔輸送層の表面をウェットな状態としておくことで、ペロブスカイト化合物を含有する塗布液の正孔輸送層に対する濡れ性を改善することができる。
プリウェット工程に用いることができるプリウェット液は、正孔輸送層を溶解させず、ペロブスカイト化合物を溶解できる液(塗布液)であることが好ましい。
また、塗布法により活性層を形成する場合、塗布液の塗布中または塗布液の塗布後、活性層の乾燥前であって、活性層が溶媒を含んだ状態で、ペロブスカイト化合物に対する貧溶媒を活性層に塗布してもよく、該貧溶媒に活性層を浸漬してもよい。このような処理により、活性層に含まれるペロブスカイト化合物が結晶化し、平滑な塗布膜を得ることができる。
上記の活性層の形成工程にかかる各塗布工程後においては、塗布膜を、加熱処理、風乾処理、減圧処理等に供することにより、溶媒を除くことが好ましい。
活性層を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、エステル類(例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例えば、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤(例えば、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボネート系溶剤(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、分岐構造を有していてもよく、環状構造を有していてもよい。また、これらの溶媒は、エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基(例えば、−O−で表される基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−OHで表される基)のいずれかを2つ以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分に結合している水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。また、塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
ペロブスカイト化合物と溶媒とを含む塗布液、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む溶液、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む溶液、および、ハロゲン化アミンと溶媒とを含む溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
(電子輸送層の形成工程)
本実施形態にかかる製造方法は、活性層と陰極との間に設けられた電子輸送層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
具体的には、本実施形態にかかる光電変換素子の製造方法は、前記活性層を形成する工程の後であって、前記陰極を形成する工程の前に、電子輸送層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
電子輸送層の形成方法は特に限定されない。電子輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、塗布法によって電子輸送層を形成することが好ましい。すなわち、活性層の形成後、かつ、陰極の形成前に、前述した電子輸送性材料と溶媒とを含む塗布液を活性層上に塗布し、必要に応じて乾燥処理(加熱処理)を行うなどして溶媒を除くことによって電子輸送層を形成することが好ましい。
本実施形態にかかる光電変換素子の製造方法が電子輸送層を形成する工程を含む場合、該電子輸送層を形成する工程が、フラーレン類およびフラーレン類の誘導体からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む塗布液を塗布することにより前記電子輸送層を形成する工程を含むことが好ましい。
電子輸送層の形成にかかる塗布法で用いる塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。塗布液は、塗布液が塗布される層(活性層等)に与える損傷が少ない塗布液であることが好ましく、具体的には、塗布液が塗布される層(活性層等)を溶解し難い塗布液とすることが好ましい。
既に説明した電子輸送性材料を含む塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびテトラリンが挙げられ、ハロゲン化炭化水素の具体例としては、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、前記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。溶媒は、電子輸送性材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
(陰極の形成工程)
本工程では、活性層が設けられた支持基板に陰極を形成する。通常、活性層に陰極を形成するが、本発明にかかる光電変換素子の製造方法が、電子輸送層を形成する工程を含む場合には、電子輸送層上に陰極が形成される。
陰極の形成方法は特に限定されない。陰極は、既に説明した陰極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法、塗布法等によって、陰極を形成すべき層(例、活性層、電子輸送層)上に形成することができる。
陰極の材料が、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤーまたは導電性物質のナノチューブである場合には、これらの材料と、溶媒とを含むエマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等を用いて、塗布法によって陰極を形成することができる。
また、陰極の材料が、導電性物質を含む場合、導電性物質を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陰極を形成してもよい。陰極の材料と溶媒とを含む塗布液の塗布法としては、既に説明した活性層の形成工程と同様の方法が挙げられる。
陰極を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の炭化水素溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒;水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
[第3実施形態]
<1>光電変換素子の構成
第3実施形態にかかる光電変換素子は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、陽極および活性層の間に設けられ、活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層とを含んでいる。
第3実施形態にかかる光電変換素子は、支持基板をさらに含み、支持基板、陽極、正孔輸送層、活性層および陰極がこの順に積層されていることが好ましい。
活性層は、陽極および陰極の間に設けられている。活性層は、ペロブスカイト化合物を含有する。正孔輸送層は、陽極および活性層の間に設けられており、活性層と接している。正孔輸送層は、好ましくは活性層と接合している。
正孔輸送層が含有するすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの5〜90重量%は、式(15)で表される繰り返し単位である(詳細は後述する。)。
以下、第3実施形態の光電変換素子を構成する上記の構成要素それぞれについて説明する。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極と活性層との間に設けられ、活性層から陽極へ正孔を輸送する機能を有する。また、活性層から陽極への電子の輸送を阻止し、再結合による光電変換効率の低下を防ぐ役割もある。正孔輸送層は、陽極に接して設けられることが好ましい。陽極と接して設けられる正孔輸送層を、特に正孔注入層という場合がある。
正孔輸送層は、正孔輸送性を有する正孔輸送材料を含む。本発明においては、正孔輸送層は正孔輸送材料である高分子化合物を含む。以下、本発明の光電変換素子にかかる正孔輸送層が含み得る高分子化合物である(i)式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物および(ii)その他の正孔輸送材料(式(15)の繰り返し単位を含まない高分子化合物を含む。)について説明する。
(i)式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物
本発明においては、正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの下記式(15)で表される繰り返し単位の含有量が5〜90重量%である。
Figure 2019068028
式(15)中、Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基(A5)または置換基を有していてもよい2価の複素環基(B5)を表す。E、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基(A6)または置換基を有していてもよい1価の複素環基(B6)を表す。hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。E、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1はそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
式(15)で表される芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。以下、式(15)で表される構成単位が含み得る構成(基)について説明する。
アリーレン基(A5):
アリーレン基(A5)は、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環または縮合環を含む基、および、独立したベンゼン環および縮合環から選ばれる2個以上の環が直接またはビニレン等の基を介して結合した基も含まれる。アリーレン基(A5)は置換基を有していてもよい。
アリーレン基(A5)としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレンジイル基、置換基を有していてもよいフェナントレンジイル基、置換基を有していてもよいアントラセンジイル基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいビフェニルジイル基、置換基を有していてもよいテルフェニルジイル基および置換基を有していてもよいナフタセンジイル基が挙げられる。
ここで、アリーレン基(A5)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基、およびシアノ基等が挙げられる。
アリーレン基(A5)が有し得る置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基または1価の複素環基が好ましい。
無置換のアリーレン基の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めないアリーレン基の炭素原子数は、通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。
2価の複素環基(B5):
2価の複素環基(B5)は、置換基を有していてもよい2価の複素環基である。
2価の複素環基(B5)としては、例えば、置換基を有していてもよいピリジンジイル基、置換基を有していてもよいピラジンジイル基、置換基を有していてもよいピリミジンジイル基、置換基を有していてもよいキノリンジイル基、置換基を有していてもよいキノキサリンジイル基、置換基を有していてもよいアクリジンジイル基、置換基を有していてもよいチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいチエノチオフェンジイル基および置換基を有していてもよいピロールジイル基が挙げられる。
ここで、2価の複素環基(B5)が有し得る置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基、イミド基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基、およびシアノ基等が挙げられる。
2価の複素環基(B5)が有し得る置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基または1価の複素環基が好ましい。
無置換の2価の複素環基の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めない2価の複素環基の炭素原子数は、通常3〜60程度である。
アリール基(A6):
アリール基(A6)は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基およびハロゲン原子および上記式(16)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよいアリール基である。ここで、無置換のアリール基(A6)の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めないアリール基の炭素原子数は、通常6〜60程度であり、好ましくは6〜30である。
アリール基(A6)としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいナフタセニル基および置換基を有していてもよいフェナントリル基が挙げられる。
1価の複素環基(B6):
1価の複素環基(B6)は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基およびハロゲン原子および上記式(16)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい1価の複素環基である。ここで、無置換の1価の複素環基(B6)の炭素原子数および置換基の炭素原子数を含めない1価の複素環基の炭素原子数は、通常4〜60程度である。
1価の複素環基(B6)としては、例えば、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいチエニル基、置換基を有していてもよいチアゾリル基、置換基を有していてもよいピロリル基および置換基を有していてもよいチエノチエニル基が挙げられる。
アリール基(A6)は、置換基を3個以上有するアリール基であることが好ましく、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基または置換基を3個以上有するアントリル基であることがより好ましく、下記式(17)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 2019068028
式(17)中、Rh、RiおよびRjは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子、または式(16)で表される置換基を表す。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は、好ましくは、式(17)で表される基であって、Rjが式(16)で表される置換基である基である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は、より好ましくは、式(17)で表される基であって、Rjが式(16)で表される置換基であり、RhおよびRiがアルキル基またはアルコキシ基である基である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は、さらに好ましくは、式(17)で表される基であって、Rjが式(16)で表される置換基であり、RhおよびRiがアルキル基である基である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は、特に好ましくは、式(17)で表される基であって、Rjが式(16)で表される置換基であり、RhおよびRiが炭素原子数1〜5のアルキル基である基である。
、EおよびEのうちのいずれか1個は、式(16)で表される置換基を1個のみ有していてもよいし、複数個有していてもよい。
、EおよびEのうちの2個以上の各々は、式(16)で表される置換基を1個のみ有していてもよいし、複数個有していてもよい。
好ましくは、E、EおよびEのうちの2個以上の各々は、式(16)で表される置換基を1個のみ有する。
式(15)で表される繰り返し単位が、式(16)で表される置換基を複数個有する場合、該複数個の式(16)で表される置換基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
次に、式(16)で表される置換基について説明する。式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
12、R13およびR14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基であることが好ましい。特にR14はハロゲン原子を有していてもよいアルキル基であることが好ましい。
ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基の炭素原子数は、通常1〜20である。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、環状であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプタニル基およびシクロオクタニル基が挙げられる。
アルキル基が有していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。フッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基およびパーフルオロオクチル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基およびアントラニル基が挙げられる。置換基を有していてもよいヘテロアリール基の例としては、チエニル基、ピリジル基およびインドリル基が挙げられる。
ハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜20である。アルコキシ基中のアルキル基部分は、鎖状であっても環状であってもよい。このアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基およびラウリルオキシ基が挙げられる。
アルコキシ基が有していてもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。フッ素原子を有するアルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基およびパーフルオロオクチルオキシ基が挙げられる。
式(16)中、p1およびq1は1以上4以下の整数であることが好ましく、2以上3以下の整数であることがより好ましい。
前記式(16)で表される基は、下記式(18)で表される基であることが好ましい。
Figure 2019068028
式(18)中、R12、R13、R15およびR16は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12、R13、R15およびR16が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。q1は、1以上の整数を表す。
式(18)におけるR12、R13、R15およびR16の好適な例、q1の好ましい範囲は、前記式(16)における前記R12、R13の好適な例、q1の好ましい範囲とそれぞれ同じである。
式(18)におけるR14の好適な例は、前記式(16)における前記R14の好適な例と同じである。
前記式(18)で表される基の好適な具体例としては、炭素原子数が3〜30であり、好ましくは3〜20であるアルキルオキシアルコキシ基、および炭素原子数が5〜30であり、好ましくは5〜20であるアルキルオキシアルキルオキシアルコキシ基が挙げられる。
前記式(15)で表される繰り返し単位であって、Ar18、Ar19、およびAr20が無置換のフェニレン基であり、h=1であり、i=0である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
式(15)で表される繰り返し単位であって、Ar18、Ar20およびAr21が無置換のフェニレン基であり、h=0であり、i=1である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
式(15)で表される繰り返し単位であって、Ar18、およびAr20が無置換のフェニレン基であり、h=0であり、i=0である繰り返し単位の例としては、具体的には、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
前記式中、Meはメチル基を表し、Prはプロピル基を表し、Buはブチル基を表し、MeOはメトキシ基を表し、BuOはブチルオキシ基をそれぞれ表す。
式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、式(15)で表される1種または2種以上の繰り返し単位のみから構成されていてもよい。式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物における式(15)で表される繰り返し単位の重合の態様(配列の態様)は特に限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれであってもよい。かかる重合の態様は純度の観点からは、交互共重合であることが好ましい。
式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、正孔輸送層に1種のみ含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうち式(15)で表される繰り返し単位の含有量は、既に説明したとおり、通常5〜90重量%であり、10重量%以上であることが好ましく、14重量%以上であることがより好ましく、50重量%以下であることが好ましく、43重量%以下であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、光電変換素子の耐熱性をより向上させることができる。
ここで、正孔輸送層に含まれる高分子化合物の総重量に対する、式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の含有率をW(15)(重量%)とし、式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物中の、式(15)で表される繰り返し単位の含有率をX(15)(重量%)とすると、正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうち式(15)で表される繰り返し単位の含有量X(重量%)は、下記式から算出される。
X=W(15)×X(15)÷100(重量%)
通常、式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物中の、式(15)で表される繰り返し単位の含有率X(15)(重量%)は、式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を製造する際に用いた単量体の総重量に対する、式(15)で表される繰り返し単位を含む単量体の重量割合(重量%)(仕込み率)である。
式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、さらに、下記式(19)、下記式(20)、下記式(21)または下記式(22)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
−Ar22− (19)

―Ar22−X―(Ar23−X―Ar24− (20)

−Ar22−X− (21)

−X− (22)
前記式(19)〜(22)中、
Ar22、Ar23およびAr24は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表す。
は、−CR17=CR18−で表される基、−C≡C−で表される基または−(SiR2021−で表される基を表す。
は、−CR17=CR18−で表される基、−C≡C−で表される基、−N(R19)−で表される基、または−(SiR2021−で表される基を表す。
17およびR18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシ基、置換カルボキシ基またはシアノ基を表す。
19、R20およびR21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはアリールアルキル基を表す。
jは0〜2の整数を表す。kは1〜12の整数を表す。
Ar23、R17、R18、R19、R20およびR21が、それぞれ複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
式(15)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を構成するその他の任意の繰り返し単位の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン構造を含む繰り返し単位が挙げられる。
(ii)その他の正孔輸送材料
本発明の光電変換素子にかかる正孔輸送層が含み得るその他の正孔輸送材料(式(15)の繰り返し単位を含まない高分子化合物を含む。)としては、例えば、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料と、1種以上の架橋基を有する化合物とを含む組成物を架橋させた架橋物、芳香族アミン残基を繰り返し単位に含み、かつ架橋基を有する高分子化合物を含む組成物を架橋させた架橋物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
ここで、架橋基の例としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリルアミド基、アレーン基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、フリル基、ピロール基、チオフェン基、シロール基等)、小員環(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)を有する基、ラクトン基、ラクタム基、およびシロキサン誘導体を含有する基等が挙げられる。また、上記基の他に、架橋基の例として、縮合反応を起こす基(例えば、メチロール基、アルコキシメチロール基)が挙げられる。架橋基は、異種の架橋基の組み合わせであってもよく、異種の架橋基の組み合わせとしては、例えば、エステル結合やアミド結合を形成可能な基の組み合わせなどが挙げられる。このような基の組み合わせとしては、例えば、エステル基(例、アルコキシカルボニル基)とアミノ基との組み合わせ、エステル基とヒドロキシ基との組み合わせなどの組み合わせが挙げられる。
正孔輸送層の正孔輸送性を高めるためには、正孔輸送層は、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
「置換基を有していてもよいチオフェン構造」を含む繰り返し単位の例、「置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物」の例、チオフェン誘導体の例、芳香族アミン化合物の例、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含む芳香族アミン化合物の例、芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物の例は、既に説明した第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
正孔輸送層は、本発明の目的を損なわないことを条件として、既に説明した正孔輸送材料以外の成分を含んでいてもよい。
第3実施形態の光電変換素子の活性層、支持基板、陽極、陰極、電子輸送層については既に説明した第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
(その他の任意の層)
第3実施形態にかかる光電変換素子は、既に説明した陽極、陰極、活性層、正孔輸送層および電子輸送層の他に、任意の層をさらに含んでいてもよい。
このような任意の層としては、例えば、水分および酸素などの侵入を阻止するための封止層、電子輸送層と陰極との間に設けられる電子注入層が挙げられる。
<2>光電変換素子の製造方法
第3実施形態の光電変換素子の製造方法は、製造工程をより簡便にし得るので、支持基板に、陽極、正孔輸送層、活性層および陰極をこの順で形成することが好ましい。このような順で各層が形成されて得られる光電変換素子は、いわゆる逆積層構造である。以下、光電変換素子のかかる態様の製造方法について説明する。
第3実施形態にかかる光電変換素子の製造方法は、陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、陽極が設けられた支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、正孔輸送層が設けられた支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、活性層が設けられた支持基板に陰極を形成する工程とを含み、正孔輸送層を形成する工程が、高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程であり、正孔輸送層が含有するすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの5〜90重量%が、既に説明した式(15)で表される繰り返し単位である、光電変換素子の製造方法である。以下、各工程について説明する。
(陽極が設けられた支持基板を用意する工程)
本工程では、陽極が設けられた支持基板を用意する。
支持基板に陽極を設ける方法は特に限定されないが、例えば、陽極は、既に説明した陽極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって、既に説明した材料によって構成される支持基板上に形成することができる。陽極の材料として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機材料を用いる場合、有機材料を含む塗布液を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。また、金属インク、金属ペーストまたは溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。陽極は、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、既に説明した陽極の材料(例えば、ITOなど)で形成された導電性の薄膜が設けられた、既に説明した材料により構成される支持基板を市場より入手し、必要に応じて、導電性の薄膜をパターニングすることにより陽極を形成することによって、陽極が設けられた支持基板を用意することができる。
(正孔輸送層を形成する工程)
本工程では、陽極が設けられた支持基板に正孔輸送層を形成する。
正孔輸送層の形成方法は特に限定されない。正孔輸送層の形成工程を簡易にする観点からは、塗布法によって正孔輸送層を形成することが好ましい。正孔輸送層は、例えば、既に説明した正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液(組成物)を塗布することにより形成することができる。
本工程は、高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程である。本工程では、既に説明したとおり、用いられるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの所定量が、既に説明した式(15)で表される繰り返し単位とされる。
塗布法で用いられる塗布液における溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、炭化水素およびハロゲン化炭化水素が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、およびメトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、およびシクロヘキサノン等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびテトラリンが挙げられる。ハロゲン化炭化水素の具体例としては、クロロベンゼン、およびオルトジクロロベンゼン等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。塗布液における溶媒の量は、正孔輸送層の材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法(塗布法)としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、およびキャピラリーコート法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
第3実施形態にかかる製造方法では、正孔輸送層は、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料と、1種以上の架橋基を有する化合物とを含む組成物を架橋させた架橋物;芳香族アミン残基を繰り返し単位に含み、かつ架橋基を有する高分子化合物を含む組成物を架橋させた架橋物から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
第3実施形態にかかる製造方法では、活性層がペロブスカイト化合物を含有するので、活性層は塗布液に含まれる溶媒を透過させやすい傾向がある。よって、電子輸送層の形成に用いられる塗布液が、形成された活性層を溶解しない場合であっても、さらに支持基板側に位置している正孔輸送層を溶解してしまうおそれがある。
しかしながら、正孔輸送層が、架橋基が架橋されて硬化された架橋物を含む場合、正孔輸送層の後に形成される、活性層または電子輸送層を形成するための塗布液(溶媒)に対して正孔輸送層が溶解しにくくなる。よって、正孔輸送層が物理的および電気的に劣化しにくくなり、そのため、光電変換素子の開放端電圧を向上させ、ひいては光電変換効率を向上させることができる。
正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布して得られる塗布膜を、加熱処理、風乾処理、減圧処理等に供することにより、塗布膜から溶媒を除くことが好ましい。
(活性層を形成する工程)
本工程では、正孔輸送層が設けられた支持基板の正孔輸送層に接合するように、ペロブスカイト化合物を含む活性層を形成する。
活性層の形成方法は特に限定されない。活性層の形成工程をより簡易にする観点からは、塗布法によって活性層を形成することが好ましい。活性層は、例えば、既に説明したペロブスカイト化合物と、溶媒とを含む塗布液(ペロブスカイト化合物を含有する組成物)を塗布することにより形成することができる。
ペロブスカイト化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、ペロブスカイト化合物の前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。
例えば、金属ハロゲン化物およびハロゲン化アンモニウムを溶媒中で加熱することにより、ペロブスカイト化合物を合成することができる。
ペロブスカイト化合物を含有する活性層は、ペロブスカイト化合物の前駆体を含む塗布液を塗布することにより形成してもよい。
具体的には、例えば、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、金属ハロゲン化物の膜に、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む塗布液またはハロゲン化アミンと溶媒とを含む塗布液を塗布する方法、あるいは、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、金属ハロゲン化合物の膜を、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む塗布液またはハロゲン化アミンと溶媒とを含む塗布液に浸漬させる方法によっても活性層を形成することができる。
さらに具体的には、活性層は、例えば、少なくとも正孔輸送層に、ヨウ化鉛と溶媒とを含む塗布液を塗布した後、ヨウ化鉛の膜に、ヨウ化メチルアンモニウムと溶媒とを含む塗布液を塗布することによって形成することができる。
本工程では、溶媒は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウムまたはハロゲン化アミンの1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
活性層は、正孔輸送層にペロブスカイト化合物を含有する塗布液を直接塗布して形成してもよいし、まず正孔輸送層に濡れ性を向上させるための塗布液(プリウェット液)を塗布してから、次いでペロブスカイト化合物を含有する塗布液を塗布して形成してもよい。ペロブスカイト化合物を含有する塗布液を塗布する前に正孔輸送層にプリウェット液を塗布する工程を「プリウェット工程」ともいう。正孔輸送層にプリウェット液を塗布して正孔輸送層の表面をウェットな状態としておくことで、ペロブスカイト化合物を含有する塗布液の正孔輸送層に対する濡れ性を改善することができる。
プリウェット工程に用いることができるプリウェット液は、正孔輸送層を溶解させず、ペロブスカイト化合物を溶解できる液(塗布液)であることが好ましい。
また、塗布法により活性層を形成する場合、塗布液の塗布中または塗布液の塗布後、活性層の乾燥前であって、活性層が溶媒を含んだ状態で、ペロブスカイト化合物に対する貧溶媒を活性層に塗布してもよく、該貧溶媒に活性層を浸漬してもよい。このような処理により、活性層に含まれるペロブスカイト化合物が結晶化し、平滑な塗布膜を得ることができる。
上記の活性層の形成工程にかかる各塗布工程後においては、塗布膜を、加熱処理、風乾処理、減圧処理等に供することにより、溶媒を除くことが好ましい。
活性層を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、エステル類(例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例えば、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤(例えば、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボネート系溶剤(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、分岐構造を有していてもよく、環状構造を有していてもよい。また、これらの溶媒は、エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基(例えば、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを2つ以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分に結合している水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。また、塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
ペロブスカイト化合物と溶媒とを含む塗布液、金属ハロゲン化物と溶媒とを含む溶液、ハロゲン化アンモニウムと溶媒とを含む溶液、および、ハロゲン化アミンと溶媒とを含む溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
(電子輸送層の形成工程)
第3実施形態の製造方法は、活性層と陰極との間に設けられた電子輸送層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
具体的には、第3実施形態にかかる光電変換素子の製造方法は、前記活性層を形成する工程の後であって、前記陰極を形成する工程の前に、電子輸送層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
電子輸送層の形成方法は特に限定されない。電子輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、塗布法によって電子輸送層を形成することが好ましい。すなわち、活性層の形成後、かつ、陰極の形成前に、前述した電子輸送性材料と溶媒とを含む塗布液を活性層上に塗布し、必要に応じて乾燥処理(加熱処理)を行うなどして溶媒を除くことによって電子輸送層を形成することが好ましい。
第3実施形態にかかる光電変換素子の製造方法が電子輸送層を形成する工程を含む場合、該電子輸送層を形成する工程が、フラーレン類およびフラーレン類の誘導体からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む塗布液を塗布することにより前記電子輸送層を形成する工程を含むことが好ましい。
電子輸送層の形成にかかる塗布法で用いる塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。塗布液は、塗布液が塗布される層(活性層等)に与える損傷が少ない塗布液であることが好ましく、具体的には、塗布液が塗布される層(活性層等)を溶解し難い塗布液とすることが好ましい。
既に説明した電子輸送性材料を含む塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、炭化水素およびハロゲン化炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびテトラリンが挙げられ、ハロゲン化炭化水素の具体例としては、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、前記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。溶媒は、電子輸送性材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
(陰極の形成工程)
本工程では、活性層が設けられた支持基板に陰極を形成する。通常、活性層に陰極を形成するが、本発明にかかる光電変換素子の製造方法が、電子輸送層を形成する工程を含む場合には、電子輸送層上に陰極が形成される。
陰極の形成方法は特に限定されない。陰極は、既に説明した陰極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等によって、陰極を形成すべき層(例、活性層、電子輸送層)上に成膜することで形成することができる。
陰極の材料が、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤーまたは導電性物質のナノチューブである場合には、これらの材料と、溶媒とを含むエマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等を用いて、塗布法によって陰極を形成することができる。
また、陰極の材料が、導電性物質を含む場合、導電性物質を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陰極を形成してもよい。陰極の材料と溶媒とを含む塗布液の塗布法としては、既に説明した活性層の形成工程と同様の方法が挙げられる。
陰極を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の炭化水素溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒;水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
[第4実施形態]
<1>活性層形成用塗布液
第4実施形態に係る活性層形成用塗布液は、光電変換素子の活性層を形成するための塗布液である。以下、光電変換素子の活性層を形成するための塗布液を、塗布液(L1)ともいう。
塗布液(L1)は、2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および溶媒を含む。
2価の金属イオン(M)
塗布液(L1)には、2価の金属イオン(M)が含まれる。2価の金属イオン(M)としては、例えば、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、およびEu2+が挙げられる。2価の金属イオン(M)は、塗布液(L1)に、1種単独で含まれていても、2種以上の任意の比率の組み合わせで含まれていてもよい。
2価の金属イオン(M)は、好ましくはSn2+および/またはPb2+であり、より好ましくはSn2+またはPb2+であり、更に好ましくはPb2+である。
ハロゲン化物イオン(X)
塗布液(L1)には、ハロゲン化物イオンが含まれる。ハロゲン化物イオン(X)としては、例えば、F、Cl、Br、およびIが挙げられる。ハロゲン化物イオン(X)は、塗布液(L1)に、1種単独で含まれていても、2種以上の任意の比率の組み合わせで含まれていてもよい。
ハロゲン化物イオン(X)は、好ましくはF、Cl、Br、およびIからなる群より選択される1種以上であり、より好ましくは、BrおよびIからなる群より選択される1種以上であり、更に好ましくはIである。
1価のカチオン(A)
塗布液(L1)には、1価のカチオン(A)が含まれる。
1価のカチオン(A)としては、例えば、1価の金属イオン(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、およびFrなどの、アルカリ金属イオン)、および1価の含窒素有機カチオンが挙げられる。
1価のカチオンは、塗布液(L1)に、1種単独で含まれていても、2種以上の任意の比率の組み合わせで含まれていてもよい。
塗布液(L1)が、1価のカチオン(A)として1価の金属イオンを含む場合、1価のカチオン(A)は、好ましくは、K、Rb、Cs、およびFrからなる群より選択される1種以上である。
塗布液(L1)に含まれうる、1価の含窒素有機カチオンの例としては、R22NH で表されるカチオン、および[HC(=NH)NH(ホルムアミジニウム)が挙げられる。
ここで、R22は、炭素原子数が1〜5のアルキル基を表す。R22は、好ましくは、メチル基を表す。R22がメチル基のとき、R22NH はメチルアンモニウムと称される。
1価のカチオン(A)は、好ましくは1価の含窒素有機カチオンであり、より好ましくは、R22NH で表されるカチオンおよびホルムアミジニウムからなる群より選択される1種以上であり、更に好ましくは、メチルアンモニウムおよび/またはホルムアミジニウムである。
塗布液(L1)の一実施形態においては、塗布液(L1)は、1価のカチオン(A)として、メチルアンモニウムを含む。
塗布液(L1)の別の実施形態においては、塗布液(L1)は、1価のカチオン(A)として、メチルアンモニウムおよびホルムアミジニウムを含む。この実施形態において、塗布液(L1)に含まれるメチルアンモニウムおよびホルムアミジニウムのモル比(メチルアンモニウム:ホルムアミジニウム)は、好ましくは(1:99)〜(99:1)であり、より好ましくは(10:90)〜(90:10)であり、更に好ましくは1:1である。
塗布液成分のモル比
塗布液(L1)において、2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、および1価のカチオン(A)の含有モル比(M:X:A)は、通常x:(1+2x):1である。ここで、xは、式:1.01≦x≦1.15を満たす。
xは、好ましくは1.01以上であり、より好ましくは1.02以上であり、更に好ましくは1.03以上であり、好ましくは1.15以下であり、より好ましくは1.14以下であり、更に好ましくは1.13以下である。
第4実施形態の塗布液(L1)の成分が、上記モル比を満たすことにより、塗布液(L1)を用いて得られる活性層を備える光電変換素子の耐熱性を高くすることができる。
溶媒
塗布液(L1)は、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう。)を含み、溶媒におけるN−メチルピロリドンの体積百分率は、通常1体積%以上15体積%以下である。これにより、塗布液(L1)を用いて得られる活性層を備える光電変換素子の耐熱性を高くすることができる。
溶媒におけるN−メチル−2−ピロリドンの体積百分率は、通常1体積%以上であり、好ましくは2体積%以上であり、より好ましくは3体積%以上であり、通常15体積%以下であり、好ましくは14体積%以下であり、好ましくは13体積%以下である。
塗布液(L1)に含まれる、NMP以外の溶媒としては、例えば、エステル類(例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤(例えば、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボネート系溶剤(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、分岐構造を有していてもよく、環状構造を有していてもよい。また、これらの溶媒は、エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基(例えば、−O−で表される基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−OHで表される基)のいずれかを2つ以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分に結合している水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
塗布液(L1)に含まれる、NMP以外の溶媒は、1種単独でも、2種以上の任意の比率の組み合わせであってもよい。
塗布液(L1)に含まれる、NMP以外の溶媒は、好ましくはアミド系溶媒であり、より好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、ジホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選択される1種以上であり、更に好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミドである。
塗布液(L1)が、NMP以外の溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミドを含む場合、塗布液(L1)が含む全溶媒中のN,N−ジメチルホルムアミドの体積百分率は、好ましくは85体積%以上であり、より好ましくは86体積%以上であり、更に好ましくは87体積%以上であり、好ましくは99体積%以下であり、より好ましくは98体積%以下であり、更に好ましくは97体積%以下である。
塗布液(L1)に含まれる全溶媒は、2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、および1価のカチオン(A)の合計1重量部に対して、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
塗布液が含みうる任意の成分
塗布液(L1)は、上記2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および溶媒以外に、任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、電子供与性化合物、電子受容性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線に対する安定性を増強するための光安定剤、および、機械的特性を高めるためのバインダーが挙げられる。
塗布液(L1)における、2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および溶媒以外の任意成分の含有率は、2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、および1価のカチオン(A)の合計重量を100重量%とすると、好ましくは100重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。任意成分の含有率は、0重量%以上としうる。
塗布液(L1)は、溶液であってもよく、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。塗布液(L1)は、好ましくは溶液である。
<2>塗布液の製造方法
塗布液(L1)は、任意の製造方法で製造することができる。例えば、1価のカチオン(A)とハロゲン化物イオン(X)とを1:1のモル比で含む塩(AX)と、2価の金属イオン(M)とハロゲン化物イオン(X)とを、1:2のモル比で含む塩(MX)とを、NMPの体積百分率が1体積%以上15体積%以下である溶媒に含有させる方法が挙げられる。本方法において、塩(AX)と塩(MX)とのモル比(AX:MX)は、通常(1:1.15)〜(1:1.01)である。
塩(AX)は、1価のカチオン(A)およびハロゲン化物イオン(X)以外に、任意の構成要素を含んでいてもよく、例えば、結晶水を含んでいてもよい。
塩(MX)は、2価の金属イオン(M)とハロゲン化物イオン(X)以外に、任意の構成要素を含んでいてもよく、例えば、結晶水を含んでいてもよい。
塩(AX)と塩(MX)との組み合わせとしては、例えば、
・ヨウ化メチルアンモニウムとPbIとの組み合わせ、塩化メチルアンモニウムとPbClとの組み合わせ、臭化メチルアンモニウムとPbBrとの組み合わせ、ヨウ化メチルアンモニウムとSnIとの組み合わせ、塩化メチルアンモニウムとSnClとの組み合わせ、臭化メチルアンモニウムとSnBrとの組み合わせ、
・ヨウ化ホルムアミジニウムとPbIとの組み合わせ、臭化ホルムアミジニウムとPbBrとの組み合わせ、ヨウ化ホルムアミジニウムとSnIとの組み合わせ、臭化ホルムアミジニウムとSnBrとの組み合わせ、
・ヨウ化メチルアンモニウムおよびヨウ化ホルムアミジニウムとPbIとの組み合わせ、塩化メチルアンモニウムおよび塩化ホルムアミジニウムとPbClとの組み合わせ、臭化メチルアンモニウムおよび臭化ホルムアミジニウムとPbBrとの組み合わせ、
・ヨウ化メチルアンモニウムおよびヨウ化ホルムアミジニウムとSnIとの組み合わせ、塩化メチルアンモニウムおよび塩化ホルムアミジニウムとSnClとの組み合わせ、臭化メチルアンモニウムおよび臭化ホルムアミジニウムとSnBrとの組み合わせ
が挙げられる。
溶媒に塩(AX)および塩(MX)を含有させた後、得られた液を加熱して塩(AX)および塩(MX)の溶解を促進してもよい。加熱温度は、塩(AX)および塩(MX)の熱安定性、溶媒の種類などに応じて適宜設定することができ、例えば、70℃とすることができる。
塗布液(L1)の用途
塗布液(L1)から形成された活性層を備える光電変換素子は、高い耐熱性を有する。したがって、塗布液(L1)は、光電変換素子の活性層を形成するために好適である。塗布液(L1)は、光電変換素子の活性層を塗布法により形成する工程(Sa)における塗布液として使用できる。
<3>光電変換素子の製造方法
第4実施形態の製造方法により製造される光電変換素子は、第1の電極と、活性層と、第2の電極とをこの順で含む。
第4実施形態の製造方法は、陽極としての第1の電極と、正孔輸送層と、活性層と、電子輸送層と、陰極としての第2の電極とをこの順で含む光電変換素子を製造する方法である。
第4実施形態の製造方法は、活性層を、上記塗布液(L1)を用いる塗布法により形成する工程(Sa)を含む。本発明の製造方法は、正孔輸送層を形成する工程を含んでいてもよく、電子輸送層を形成する工程を含んでいてもよい。本発明の製造方法が、正孔輸送層を形成する工程および/または電子輸送層を形成する工程を含む場合、各層を形成する方法に特に制限はない。
製造工程をより簡便にできるので、支持基板に、陽極、正孔輸送層、活性層、電子輸送層、および陰極をこの順で形成することが好ましい。このような順で各層が形成されて得られる光電変換素子は、いわゆる逆積層構造である。
第4実施形態の製造方法により製造される光電変換素子は、正孔輸送層を更に含んでもよい。正孔輸送層は、第1の電極と活性層との間に設けられ、好ましくは高分子化合物を含む。第4実施形態の製造方法は、正孔輸送層を、正孔輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Sh)を更に含んでもよい。
第4実施形態の製造方法により製造される光電変換素子は、電子輸送層を更に含んでもよい。電子輸送層は、活性層と第2の電極との間に設けられ、好ましくはフラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選択される1種以上を含む。第4実施形態の製造方法は、電子輸送層を、電子輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Se)を更に含んでもよい。
<4>光電変換素子
第4実施形態の光電変換素子を構成する構成要素について説明する。
第4実施形態の光電変換素子の支持基板、陽極、陰極、電子輸送層については既に説明した第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
(活性層)
活性層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する層である。第4実施形態に係る光電変換素子の活性層は、上記塗布液(L1)を用いた塗布法により形成されうる。塗布液(L1)を用いる塗布法により活性層を形成する工程(Sa)については、後述する。
第4実施形態に係る活性層は、2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、および1価のカチオン(A)を所定のモル比で含む塗布液(L1)から形成されるので、ペロブスカイト型構造を有する化合物を含む。ペロブスカイト型構造を有する化合物は、格子欠陥を含んでいてもよい。
ペロブスカイト型構造を有する化合物(ペロブスカイト化合物)は、通常、結晶構造を有している。透明または半透明の電極側から入射した光は、活性層中において、結晶構造を有するペロブスカイト化合物に吸収されて電子および正孔を生成する。生成した電子と正孔とが活性層中を移動して互いに異なる電極に至ることにより、光電変換素子の外部に電気エネルギー(電流)として取り出される。
第4実施形態に係る活性層は、ペロブスカイト型構造を有する化合物として、下記式で表される化合物を含みうる。
式:AMX
ここで、Aは、1価のカチオンを表し、Mは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲン化物イオンを表す。Aで表される1価のカチオン、Mで表される2価の金属イオン、およびXで表されるハロゲン化物イオンの例および好ましい例は、塗布液(L1)に含まれる1価のカチオン(A)、2価の金属イオン(M)、およびハロゲン化物イオン(X)の、それぞれの例および好ましい例と同様である。
第4実施形態に係る活性層は、好ましくは、第1実施形態において既に説明した式(a)、式(c)および式(d)のいずれかで表される化合物を含む。
本発明の実施形態に係る光電変換素子において、ペロブスカイト化合物は1種のみが活性層に含有されていてもよいし、複数種が活性層に含有されていてもよい。
第4実施形態に係る光電変換素子に含まれうるペロブスカイト化合物は、式(a)または式(c)で表される化合物であることがより好ましい。式(a)で表される化合物のうち、CHNHPbI、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHSnI、CHNHSnClまたはCHNHSnBrが更に好ましい。式(c)で表される化合物のうち、HC(=NH)NHPbI、HC(=NH)NHPbBr、HC(=NH)NHSnI、HC(=NH)NHSnBrが更に好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極と活性層との間に設けられ、活性層から陽極へ正孔を輸送する機能を有する。また、活性層から陽極への電子の輸送を阻止し、再結合による光電変換効率の低下を防ぐ役割もある。光電変換素子が正孔輸送層を含むことで、より光電変換効率が高い光電変換素子とすることができる。
正孔輸送層は、陽極に接して設けられることが好ましい。陽極に接して設けられる正孔輸送層を、特に正孔注入層という場合がある。
陽極に接して設けられる正孔輸送層(正孔注入層)は、陽極への正孔の注入を促進する機能を有する。
正孔輸送層(正孔注入層)は、活性層に接していてもよい。
正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む。正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料は、1種単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
正孔輸送層の材料としては、例えば、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物等の、高分子化合物、アニリン、チオフェン、ピロール、芳香族アミン化合物等の、低分子化合物、CuSCN、CuI等の、無機化合物が挙げられる。正孔輸送層は、好ましくは、高分子化合物(例、ポリチオフェンおよびその誘導体、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物)、芳香族アミン化合物、CuSCNおよびCuIからなる群より選ばれる1種以上を含み、より好ましくは、高分子化合物を含み、更に好ましくは、光電変換素子の寿命をより長くできるので、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物を含む。
芳香族アミン化合物の具体例としては、下記式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2019068028
芳香族アミン化合物の具体例として、更に、下記式で示される、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含む芳香族アミン化合物が挙げられる。芳香族アミン化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
Figure 2019068028
芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物において、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位とは、芳香族アミン化合物から水素原子を2個取り除いた残りの原子団である繰り返し単位である。芳香族アミン残基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記式(7)で表される繰り返し単位が挙げられる。前記芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
Figure 2019068028
式(23)中、Ar25、Ar26、Ar27およびAr28は、それぞれ独立にアリーレン基(A1)または2価の複素環基(B1)を表す。E10、E11およびE12は、それぞれ独立にアリール基(A2)または1価の複素環基(B2)を表す。jおよびkはそれぞれ独立に0または1を表し、0≦j+k≦1である。
アリーレン基(A1):芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団であり、ベンゼン環または縮合環をもつ2価の基、並びに、独立したベンゼン環および縮合環から選ばれる2個以上の環が直接またはビニレン等の基を介して結合した2価の基も含まれる。アリーレン基(A1)は置換基を有していてもよい。
アリーレン基(A1)としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレンジイル基、置換基を有していてもよいフェナントレンジイル基、置換基を有していてもよいアントラセンジイル基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいビフェニルジイル基、置換基を有していてもよいテルフェニルジイル基、置換基を有していてもよいペンタセンジイル基、および置換基を有していてもよいナフタセンジイル基が挙げられる。
アリーレン基(A1)が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、およびシアノ基が挙げられる。
アリーレン基(A1)が有していてもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、および1価の複素環基からなる群より選択される1種以上である。置換基の炭素原子数を含めないアリーレン基の炭素原子数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。
2価の複素環基(B1):
2価の複素環基(B1)は置換基を有していてもよい。
2価の複素環基(B1)としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよいピリジンジイル基、置換基を有していてもよいピラジンジイル基、置換基を有していてもよいピリミジンジイル基、置換基を有していてもよいキノリンジイル基、置換基を有していてもよいキノキサリンジイル基、置換基を有していてもよいアクリジンジイル基、置換基を有していてもよいチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいチエノチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいピロールジイル基、および置換基を有していてもよいチアゾールジイル基が挙げられる。
2価の複素環基(B1)が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、およびシアノ基等が挙げられる。
2価の複素環基(B1)が有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、および1価の複素環基からなる群より選択される1種以上である。
置換基の炭素原子数を含めない2価の複素環基の炭素原子数は通常3〜60程度である。
アリール基(A2):
アリール基は、置換基を有していてもよい。
アリール基(A2)としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいナフタセニル基、および置換基を有していてもよいペンタセニル基、置換基を有していてもよいフェナントリル基が挙げられる。
アリール基(A2)は、好ましくは、置換基を有しないアリール基であるか、または、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1個以上有しているアリール基であり、より好ましくは3個以上の該置換基を有するアリール基であり、更に好ましくは3個の該置換基を有するアリール基である。
1価の複素環基(B2):
1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。
1価の複素環基(B2)としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいチエニル基、置換基を有していてもよいチアゾリル基、および置換基を有していてもよいピロリル基が挙げられる。
1価の複素環基(B2)は、好ましくは、置換基を有しない1価の複素環基であるか、またはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1個以上有している1価の複素環基であり、より好ましくは、該置換基の数と複素環のヘテロ原子の数の和が3以上である1価の複素環基であり、更に好ましくは、該置換基の数と複素環のヘテロ原子の数の和が3である1価の複素環基である。
アリール基(A2)は、好ましくは、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基、または置換基を3個以上有するアントラセニル基であり、より好ましくは下記式(24)で表される基である。
Figure 2019068028
式(24)中、Rk、RlおよびRmは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、またはハロゲン原子を表す。
芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は、更に、下記式(25)、式(26)、式(27)または式(28)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
−Ar29− (25)

―Ar29−X―(Ar30−X―Ar31− (26)

−Ar29−X− (27)

−X− (28)
式(25)、式(26)、式(27)および式(28)中、Ar29、Ar30およびAr31は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または金属錯体構造を有する2価の基を示す。Xは、−CR22=CR23−で表される基、−C≡C−で表される基、または−(SiR2526−で表される基を示す。Xは、−CR22=CR23−で表される基、−C≡C−で表される基、−N(R24)−で表される基、または−(SiR2526−で表される基を示す。R22およびR23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、またはシアノ基を示す。R24、R25、およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、またはアリールアルキル基を表す。lは0〜2の整数を表す。mは1〜12の整数を表す。Ar30、X、R22、R23、R25およびR26がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
前記式(23)で示される繰り返し単位として、例えば、Ar25およびAr27が置換基を有しないフェニレン基であって、j=0、k=0である繰り返し単位が挙げられ、具体的には下記式で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
前記式(23)で示される繰り返し単位として、例えば、Ar25、Ar26、およびAr27が置換基を有しないフェニレン基であって、j=1、k=0である繰り返し単位が挙げられ、具体的には下記式で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
Figure 2019068028
前記式(23)で示される繰り返し単位として、例えば、Ar25、Ar26、およびAr27が置換基を有しないフェニレン基であって、j=0、k=1である繰り返し単位が挙げられ、具体的には、下記式で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019068028
Figure 2019068028
上記式中、Meはメチル基を示し、Prはプロピル基を示し、Buはブチル基を示し、MeOはメトキシ基を示し、BuOはブチルオキシ基を示す。
正孔輸送層は、置換基を有していてもよいチオフェン構造を繰り返し単位に含む高分子化合物、チオフェン誘導体、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン残基を繰り返し単位に含む高分子化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料と、1種以上の架橋基を有する化合物とを含む組成物を架橋させた架橋物;芳香族アミン残基を繰り返し単位に含み、かつ架橋基を有する高分子化合物を含む組成物を架橋させた架橋物から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
本実施形態にかかる製造方法では、活性層がペロブスカイト化合物を含有するので、活性層は塗布液に含まれる溶媒を透過させやすい傾向がある。よって、電子輸送層の形成に用いられる塗布液が、形成された活性層を溶解しない場合であっても、さらに支持基板側に位置している正孔輸送層を溶解してしまうおそれがある。
しかしながら、正孔輸送層が、架橋基が架橋されて硬化された架橋物を含む場合、正孔輸送層の後に形成される、活性層または電子輸送層を形成するための塗布液(溶媒)に対して正孔輸送層が溶解しにくくなる。よって、正孔輸送層が物理的および電気的に劣化しにくくなり、そのため、光電変換素子の開放端電圧を向上させ、ひいては光電変換効率を向上させることができる。
(電子注入層)
電子注入層は、陰極への電子注入を促進する機能を有する。電子注入層の材料としては、従来公知の任意好適な材料を用いることができる。電子注入層の材料としては、例えば、カルシウム、バリウム、LiF、KF、NaF、CsF、CaF、BaF、CsCO、アルカリ土類金属酸化物(例えばBaO、CaO、SrO、)が挙げられる。電子注入層の材料としては、光電変換効率をより向上させることができるので、好ましくはBaOおよびSrOから選ばれる1種以上であり、より好ましくはBaOである。
(その他の任意の層)
第4実施形態に係る光電変換素子は、上述した層以外に、任意の層を更に含んでいてもよい。このような任意の層としては、例えば、水分および酸素などの侵入を阻止するための封止層が挙げられる。
(工程(Sa))
第4実施形態の製造方法は、活性層を、上記塗布液(L1)を用いる塗布法により形成する工程(Sa)を含む。
活性層を形成するための塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、およびキャピラリーコート法が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、またはディスペンサー印刷法が好ましい。
工程(Sa)は、下記工程(Sa−1)および(Sa−2)を含んでいてもよい。
工程(Sa−1):活性層を形成すべき層に、上記塗布液(L1)を塗布して塗布層を形成する工程
工程(Sa−2):得られた塗布層から溶媒を除去する工程
工程(Sa−2)において、塗布層から溶媒を除去する方法としては、例えば、加熱処理、風乾処理、減圧処理が挙げられる。これらの処理は、単独で行っても、組み合わせて行ってもよい。
工程(Sa−2)において、加熱処理を行う場合、加熱温度は、塗布液(L1)に含まれる成分の熱安定性、溶媒の種類などに応じて適宜設定しうる。加熱処理は、例えば、50℃以上400℃以下で行いうる。加熱処理の時間は、例えば、1秒以上24時間以下としうる。
工程(Sa)は、工程(Sa−1)の前に、工程(Sa−1’):活性層を形成すべき層(本実施形態では正孔輸送層)に、プリウェット溶媒を塗布する工程を含んでいてもよい。工程(Sa−1’)により、活性層を形成すべき層にプリウェット溶媒を塗布して該層の表面をウェットな状態としておくことで、塗布液(L1)の該層に対する濡れ性を改善することができる。
プリウェット溶媒は、活性層を形成すべき層を溶解せず、塗布液(L1)に含まれる成分を溶解できる溶媒であることが好ましい。具体的には、例えば、塗布液(L1)に含まれうる溶媒として挙げた例と同様の溶媒が挙げられる。プリウェット溶媒は、1種単独の溶媒であっても、2種以上の溶媒の組み合わせであってもよい。
工程(Sa)は、工程(Sa−1)の後、工程(Sa−2)の前に、工程(Sa−2’):塗布層に、貧溶媒を塗布する工程を含んでいてもよい。
ここで、貧溶媒とは、塗布液(L1)に含まれる成分を溶解しない溶媒であり、1種単独の溶媒であっても、2種以上の溶媒の組み合わせであってもよい。具体的には、貧溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸ペンチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、ピリジン、アセトニトリルが挙げられる。工程(Sa−2’)により、塗布液(L1)に含まれる成分の結晶化が促進され、表面が平滑な塗布層を得ることができる。
(工程(Sh))
第4実施形態の製造方法は、正孔輸送層を、正孔輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Sh)を更に含んでもよい。好ましくは、第4実施形態の製造方法では、工程(Sa)の前に、工程(Sh)が行われる。
正孔輸送層形成用塗布液は、通常、溶媒および正孔輸送性材料を含み、好ましくは、高分子化合物を含む。正孔輸送層形成用塗布液に含まれる高分子化合物の例および好ましい例としては、正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料と例および好ましい例として挙げた、高分子化合物と同様の例が挙げられる。高分子化合物は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正孔輸送層形成用塗布液が含みうる溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびテトラリンが挙げられ、ハロゲン化炭化水素の具体例としては、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。
正孔輸送層形成用塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。塗布液における溶媒の量は、正孔輸送層の材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
正孔輸送層を形成するための塗布法としては、例えば、活性層を形成するための塗布法として例示した方法が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、またはディスペンサー印刷法が好ましい。
工程(Sh)は、下記工程(Sh−1)および(Sh−2)を含んでいてもよい。
工程(Sh−1):正孔輸送層を形成すべき層に、正孔輸送層形成用塗布液を塗布して塗布層を形成する工程
工程(Sh−2):得られた塗布層から溶媒を除去する工程
工程(Sh−2)において、塗布層から溶媒を除去する方法としては、例えば、加熱処理、風乾処理、減圧処理が挙げられる。これらの処理は、単独で行っても、組み合わせて行ってもよい。
工程(Sh−2)において、加熱処理を行う場合、加熱温度は、正孔輸送層形成用塗布液に含まれる成分の熱安定性、溶媒の種類などに応じて適宜設定しうる。加熱処理は、例えば、50℃以上400℃以下で行いうる。加熱処理の時間は、例えば、1秒以上24時間以下としうる。
[工程(Se)]
本実施形態の製造方法は、電子輸送層を、電子輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Se)を更に含んでもよい。本実施形態の製造方法では、好ましくは、工程(Sa)の後に、工程(Se)が行われる。
電子輸送層形成用塗布液は、通常、溶媒および電子輸送性材料を含み、好ましくは、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選択される1種以上を含む。電子輸送層形成用塗布液に含まれうるフラーレンおよび/またはフラーレン誘導体の例および好ましい例としては、電子輸送層に含まれる電子輸送性材料の例および好ましい例として挙げた、フラーレンおよびフラーレン誘導体が挙げられる。
電子輸送層形成用塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。塗布液は、塗布液が塗布される層(活性層等)に与える損傷が少ない塗布液であることが好ましく、具体的には、塗布液が塗布される層(活性層等)を溶解し難い塗布液とすることが好ましい。
電子輸送層形成用塗布液が含みうる溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらの具体例としては、正孔輸送層形成用塗布液に含まれうる溶媒について挙げた例と同様の例が挙げられる。
電子輸送層形成用塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、前記例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。溶媒は、電子輸送性材料1重量部に対し、1重量部以上10000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上1000重量部以下であることがより好ましい。
電子輸送層を形成するための塗布法としては、例えば、電子輸送層を形成するための塗布法として例示した方法が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、またはディスペンサー印刷法が好ましい。
工程(Se)は、下記工程(Se−1)および(Se−2)を含んでいてもよい。
工程(Se−1):電子輸送層を形成すべき層に、電子輸送層形成用塗布液を塗布して塗布層を形成する工程
工程(Se−2):得られた塗布層から溶媒を除去する工程
工程(Se−2)において、塗布層から溶媒を除去する方法としては、例えば、加熱処理、風乾処理、減圧処理が挙げられる。これらの処理は、単独で行っても、組み合わせて行ってもよい。
工程(Se−2)において、加熱処理を行う場合、加熱温度は、電子輸送層形成用塗布液に含まれる成分の熱安定性、溶媒の種類などに応じて適宜設定しうる。加熱処理は、例えば、50℃以上400℃以下で行いうる。加熱処理の時間は、例えば、1秒以上24時間以下としうる。
(その他の工程)
第4実施形態の製造方法は、上記工程の他に、例えば、下記の工程を含んでいてもよい。
(陽極が設けられた支持基板を用意する工程)
本工程では、陽極が設けられた支持基板を用意する。
支持基板に陽極を設ける方法は特に限定されないが、例えば、陽極は、既に説明した陽極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって、既に説明した材料によって構成される支持基板上に形成することができる。陽極の材料として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機材料を用いる場合、有機材料を含む塗布液を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。また、金属インク、金属ペーストまたは溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。陽極は、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、既に説明した陽極の材料(例えば、ITOなど)で形成された導電性の薄膜が設けられた、既に説明した材料により構成される支持基板を市場より入手し、必要に応じて、導電性の薄膜をパターニングすることにより陽極を形成することによって、陽極が設けられた支持基板を用意することができる。
本工程は、通常、正孔輸送層を形成する工程の前に行われる。
(電子注入層の形成工程)
本工程では、電子注入層を形成すべき層の上に電子注入層を形成する。本工程は、通常電子輸送層を形成する工程の後に行われる。電子注入層を形成する方法は特に限定されないが、好ましくは真空蒸着法、スパッタ法、または塗布法であり、より好ましくは真空蒸着法である。本工程は、通常陰極を形成する工程の前に行われる。
(陰極の形成工程)
本工程では、陰極を形成すべき層の上に陰極を形成する。本工程は、通常電子輸送層を形成する工程の後に行われる。
陰極の形成方法は特に限定されない。陰極は、既に説明した陰極の材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等によって、陰極を形成すべき層(例、活性層、電子輸送層)上に成膜することで形成することができる。
陰極の材料が、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤーまたは導電性物質のナノチューブである場合には、これらの材料と、溶媒とを含むエマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等を用いて、塗布法によって陰極を形成することができる。
また、陰極の材料が、導電性物質を含む場合、導電性物質を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陰極を形成してもよい。陰極の材料と溶媒とを含む塗布液の塗布法としては、既に説明した活性層の形成工程と同様の方法が挙げられる。
陰極を塗布法により形成する際に用いる塗布液に含まれる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の炭化水素溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒;水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。塗布液は、1種類単独の溶媒を含んでいてもよく、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
[実施例]
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示す。本発明は下記の実施例に限定されない。
(合成例1)高分子化合物P1の合成
まず、下記のスキームに沿って、化合物1を用いて、化合物2を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した300mL四つ口フラスコに、化合物1を12.1g(60.0mmol)と、1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン(1−Bromo−2−(2−methoxyethoxy)ethane)を12.1g(66.0mmol)と、炭酸カリウム(KCO)を41.5g(300mmol)と、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−dimethylformamide:DMF)を150mL入れ、50℃で3時間30分間攪拌した。得られた反応液を常温まで冷却後、水を加えることで反応を停止させ、ヘキサン/酢酸エチル混合液(混合比1:1)を抽出溶媒として用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後ろ過し、溶媒を減圧下留去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)を用いて精製することで、化合物2を17.3g(57.1mmol、収率95%)得た。
次に、下記のスキームに沿って、下記式で表される化合物2を用いて、下記式で表される化合物3を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した500mL四つ口フラスコに、化合物2を15.2g(50.0mmol)と、ジフェニルアミン(diphenylamine)を8.46g(50.0mmol)と、ナトリウム tert−ブトキシド(sodium t−butoxide)を7.21g(75.0mmol)と、脱水トルエン(toluene)を250mL入れ、アルゴンガスバブリングを30分間行い脱気した。得られた反応液にビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(Pd[P(t−Bu))を1.02g加え、100℃まで昇温した。100℃で4時間攪拌し、反応液を常温まで冷却後、水に加えることで反応を停止させ、トルエンを抽出溶媒として用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後ろ過し、溶媒を減圧下で留去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)を用いて精製することで、化合物3を17.0g(43.5mmol、収率87%)得た。
次いで、下記のスキームに沿って、化合物3を用いて、下記式で表される化合物4を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した500mL三つ口フラスコに、化合物3を15.7g(40.0mmol)と、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−dimethylformamide:DMF)を200mL入れ、均一な溶液とした。得られた溶液を0℃に冷却し、そこに粉状のN−ブロモスクシンイミド(NBS)15.0g(84.0mmol)をゆっくりと加え、0℃で30分間攪拌した後、常温まで昇温し、さらに30分間攪拌した。得られた反応液に亜硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させ、有機層をヘキサン/酢酸エチル混合液で抽出したのち、水で洗浄した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後ろ過し、減圧下で溶媒を留去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することで、化合物4を20.5g(37.3mmol、収率93%)得た。
次に、下記のスキームに沿って、下記式で表される化合物5を用いて、下記式で表される化合物6を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した100mL三つ口フラスコに、特開2004−162059に記載の方法で合成した化合物5を4.45g(10.0mmol)と、ビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)を5.84g(23.0mmol)と、酢酸カリウム(potassium acetate)を5.89g(60.0mmol)と、1,2−ジメトキシエタン(1,2−dimethoxyethane:DME)を100mL入れ、アルゴンガスバブリングを30分間行って脱気した。得られた溶液にPdCl(dppf)CHClを0.245mg(3.0mol%)加え、80℃設定のオイルバスのスイッチを入れ、加熱を開始した。80℃で6時間攪拌し、反応液を常温まで冷却後、水に加えることで反応を停止させ、トルエン(toluene)を用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後ろ過し、溶媒を減圧下で留去することで粗製物を得た。その粗製物をメタノール/2−プロパノール/トルエン混合液(混合比1:1:1)を用いて再結晶を行うことにより、化合物6を4.48g(7.55mmol、収率75%)得た。
下記のスキームに沿って、化合物4および化合物6を用いて、下記式で表される高分子化合物P1を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した100mL三つ口フラスコに、化合物4を275mg(0.500mmol)と、化合物6を270mg(0.500mmol)と、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(tris(2−methoxyphenyl)phosphine:P(o−OMePh))を26.4mg(0.075mmol、15mol%)と、トルエン(toluene)7.0mLを入れ、30分間窒素ガスバブリングを行った。得られた溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0):Pd(dba))を11.4mg(0.013mmol)と、20%テトラエチルアンモニウム ヒドロキシド溶液(Tetraethylammonium Hydroxide Solution:20% EtNOH aq.)を3.7mL加え、100℃設定のオイルバスのスイッチを入れ、反応を開始させた。100℃まで昇温し、100℃で6時間半加熱攪拌後、常温まで冷却し、水層を廃棄して有機層を得た。得られた有機層をヘキサンに加えて沈殿させ、得られた固体を回収した。回収された固体を乾燥後、トルエンを15mL加え、50℃で15分間かけて溶解させた。その後、得られた溶液をシリカゲル/アルミナカラムを通過させることでろ過を行い、得られたろ液をヘキサンに加えて沈殿させ、得られた固体を回収することで、高分子化合物P1を128mg(収率38%)得た。
(合成例2)高分子化合物P2の合成
下記のスキームに沿って、化合物4、化合物5および化合物6を用いて、下記式で表される高分子化合物P2を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した100mL三つ口フラスコに、化合物5を111.3mg(0.250mmol)と、化合物4を137.3mg(0.250mmol)と、化合物6を269.7mg(0.500mmol)と、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(tris(2−methoxyphenyl)phosphine:P(o−OMePh))を13.2mg(0.038mmol、15mol%)と、トルエン(toluene)を7.0mL入れ、30分間窒素ガスバブリングを行った。得られた溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0):Pd(dba))を5.7mg(0.006mmol、5.0mol%)と、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(Tetraethylammonium hydroxide solution:20% EtNOH aq.)を3.7mL加え、100℃設定のオイルバスのスイッチを入れ、反応を開始させた。100℃まで昇温し、100℃で6時間30分間加熱攪拌した後、常温まで冷却し、水層を廃棄した。得られた有機層に10%酢酸を10mL加え、さらに5分間攪拌し、有機層を洗浄した。水層を廃棄して有機層を分離し、得られた有機層に純水を10mL加えて洗浄し、洗浄後、水層を廃棄した。この洗浄操作を4回繰り返した後、有機層をヘキサンに加えて沈殿させ、得られた固体を回収した。回収された固体を乾燥後、トルエンを15mL加え、50℃で加熱しつつ15分間かけて溶解させた。その後、シリカゲル/アルミナカラムを通過させることでろ過を行い、得られたろ液をヘキサンに加えて沈殿させ、得られた固体を回収することで、高分子化合物P2を120mg(収率38%)得た。
(合成例3)高分子化合物3の合成
下記のスキームに沿って、化合物4を用いて、下記式で表される高分子化合物P3を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した100mL三つ口フラスコに、化合物4を385mg(0.700mmol)と、2,2’−ビピリジル(2,2’−bipyridyl)を481mg(3.08mmol)と、1,5−シクロオクタジエン(1,5−cyclooctadiene)を167mg(1.54mmol)と、トルエン(toluene)を15.0mLと、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−dimethylformamide:DMF)を5.0mL入れ、30分間窒素ガスバブリングを行った。得られた溶液にビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Bis(1,5−cyclooctadiene)nickel(0):Ni(COD))を424mg(1.54mmol)加え、80℃設定のオイルバスのスイッチを入れ、反応を開始した。80℃で6時間加熱攪拌後、常温まで冷却し、得られた溶液をメタノールに加えて沈殿させ、得られた固体を回収した。回収された固体を乾燥後、トルエンを10mL加え、50℃で15分間かけて溶解させた。その後、得られた溶液をシリカゲル/アルミナカラムを通過させることでろ過し、得られたろ液をメタノールに加えて沈殿させ、得られた固体を回収することで、高分子化合物P3を110mg(収率40%)得た。
(調製例1)組成物H1の調製
下記式で表される繰り返し単位を含む高分子化合物P4(シグマアルドリッチ社製、Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn:7000−10000)を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物H1を調製した。
Figure 2019068028
(調製例2)組成物H2の調製
高分子化合物P1を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物H2(後述する第3実施形態にかかる実施例の組成物32)を調製した。
(調製例3)組成物H3の調製
組成物H1と組成物H2とを1/1の割合(体積比、以下の例においても同様である。)で混合し、組成物H3(後述する第3実施形態にかかる実施例の組成物36)を調製した。
(調製例4)組成物H4の調製
高分子化合物P3を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物H4(後述する第3実施形態にかかる実施例の組成物34)を調製した。
(調製例5)組成物A1の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを159mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1:1)とを0.60mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積比でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物A1を調製した。組成物A1に含まれる2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンのモル比(Pb2+:I:CHNH )は、1:3:1である。
(調製例6)組成物A4の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを145mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.10:1)とを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積比でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物A4を調製した。組成物A4に含まれる2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンのモル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.10:3.2:1である。
(調製例7)組成物A12の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを159mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1:1)とを0.50mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.167mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積比でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=75/25)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物A12を調製した。組成物A12に含まれる2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンのモル比(Pb2+:I:CHNH )は、1:3:1である。
(調製例8)組成物E1の調製
フラーレンの誘導体である下記式で表される化合物(1.5重量部)と、溶媒である100重量部のアニソールとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物E1を調製した。
Figure 2019068028
(実施例1)光電変換素子の製造および性能評価
<陽極が設けられた基板を用意する工程>
光電変換素子の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板(24mm×24mmの正方形)を用意した。
ITO薄膜はスパッタリング法によって形成された。ITO薄膜の厚さは150nmであった。ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。
<正孔輸送層(正孔注入層)を形成する工程>
次に、組成物H1をスピンコート法によりITO薄膜である陽極上に塗布した。
次いで、大気中、120℃で10分間加熱することにより、正孔輸送層を形成した。
なお、ガラス基板と同じ大きさ(24mm×24mmの正方形)であるダミーガラスの上に、正孔輸送層の形成と同様の条件で組成物H1を塗布し、得られた塗布膜を加熱して乾燥させて、ダミーガラス上の乾燥膜の厚さを触針式膜厚計(Bruker Nano社製、DEKTAK)にて測定したところ、厚さは、約10nmであった。したがって、形成された正孔輸送層の厚さも、約10nmであると推定される。
以下に説明する活性層または電子輸送層の厚さの推定値も、同様の方法で推定された値である。すなわち、ダミーガラスの上に、活性層または電子輸送層の形成工程と同様の条件で、活性層または電子輸送層を形成するための組成物を塗布し、得られた塗布膜を乾燥させ、得られた乾燥膜の厚さを測定して、活性層または電子輸送層の厚さの推定値とした。
<活性層を形成する工程>
次に、正孔輸送層上に、濡れ性改良のための塗布液(プリウェット液という場合がある。)であるN,N−ジメチルホルムアミドを、2000rpmの回転数で10秒間の条件でスピンコート法により塗布し、プリウェット液によるプリウェット工程を行った。その直後、組成物A4を、2000rpmの回転数で40秒間の条件でスピンコート法により塗布した。回転開始から30秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した。得られた塗布膜を大気中120℃で10分間加熱することにより、活性層を形成した。形成された活性層の厚さの推定値は約500nmであった。
<電子輸送層を形成する工程>
次に、活性層上に、組成物E1を2000rpmの回転数の条件でスピンコート法により塗布して塗布膜を形成し、次に、窒素ガス雰囲気中、120℃で10分間加熱して、電子輸送層を形成した。形成された電子輸送層の厚さの推定値は、約20nmであった。
<電子注入層を形成する工程>
形成された電子輸送層上に、真空蒸着機により酸化バリウムを厚さが2nmとなるように蒸着して電子注入層を形成した。
<陰極を形成する工程>
次いで、金(Au)を厚さが60nmとなるように蒸着して陰極を形成した。蒸着の際の真空度は、いずれも1×10−3〜9×10−3Paとした。
<封止層を形成する工程>
陰極の形成後、窒素ガス雰囲気下で、ガラス板をUV硬化型接着剤で陰極を覆うように接着することで封止を行い、実施例1の光電変換素子を製造した。製造された光電変換素子の平面形状は、2mm×2mmの正方形であった。
(光電変換素子の評価)
得られた光電変換素子にソーラーシミュレーター(山下電装社製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定することにより、初期の光電変換効率(初期効率)を評価した。
初期性能評価の結果は、光電変換効率が15.42%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.034Vであり、FF(フィルファクター)が0.674であった。
その後、光電変換素子を85℃の恒温槽で24時間暗所保管し耐熱性試験を行った。常温に戻した後再びソーラーシミュレーターで性能評価を行った。測定は5回行い、5回目の数値を耐熱性試験後の性能とした。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が15.87%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.98mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.080Vであり、FF(フィルファクター)が0.700であった。初期効率に対する耐熱性試験後の効率の比である効率保持率は、1.00であった。結果を表1にも示す。ここで、効率保持率が高いほど、耐熱性が良好であるといえる。
(実施例2)光電変換素子の製造および評価
実施例1における組成物H1を組成物H3に変えて正孔輸送層を形成し、組成物A4を組成物A1に変えて活性層を形成した以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を製造し、実施例1と同様にして性能評価を行った。
初期性能評価の結果は、光電変換効率が16.86%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.036Vであり、FF(フィルファクター)が0.735であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.20%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.067Vであり、FF(フィルファクター)が0.729であった。効率保持率は、1.02であった。結果を表1にも示す。
(比較例1)光電変換素子の製造および評価
実施例1における組成物A4を組成物A1に変えた以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を製造し、実施例1と同様にして性能評価を行った。
初期性能評価の結果は、光電変換効率が17.67%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.38mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.071Vであり、FF(フィルファクター)が0.738であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が12.53%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.33mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.009Vであり、FF(フィルファクター)が0.611であった。効率保持率は、0.71であった。結果を表1にも示す。
(比較例2)光電変換素子の製造および評価
実施例1における組成物A4を組成物A6に変え、2000rpmの回転数で30秒間の条件でスピンコート法により塗布し、回転開始から20秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を製造し、実施例1と同様にして性能評価を行った。
初期性能評価の結果は、光電変換効率が16.34%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.050Vであり、FF(フィルファクター)が0.703であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が11.45%であり、Jsc(短絡電流密度)が19.60mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.983Vであり、FF(フィルファクター)が0.594であった。効率保持率は、0.70であった。結果を表1にも示す。
(比較例3)光電変換素子の製造および評価
実施例1における組成物A4を組成物A12に変えて活性層を形成した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を製造し、実施例1と同様にして性能評価を行った。
初期性能評価結果は、光電変換効率が17.23%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.69mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.051Vであり、FF(フィルファクター)が0.758であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が13.03%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.75mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.027Vであり、FF(フィルファクター)が0.612であった。効率保持率は、0.76であった。結果を表1にも示す。
(比較例4)光電変換素子の製造および評価
実施例1における組成物H1を組成物H4に変えて正孔輸送層を形成し、組成物A4を組成物A1に変えて活性層を形成した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を製造し、実施例1と同様にして性能評価を行った。
初期性能評価結果は、光電変換効率が17.35%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.90mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.983Vであり、FF(フィルファクター)が0.771であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が15.20%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.80mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.017Vであり、FF(フィルファクター)が0.718であった。効率保持率は、0.88であった。結果を表1にも示す。
(実施例3)破壊圧力の測定
実施例1および2、並びに比較例1−4の光電変換素子の製造方法に対応する工程と同様にして、また同じ材料を用いて、ITO基板上に、正孔輸送層と活性層とがこの順に積層された構造体を形成した。
既に説明した実施例1および2、並びに比較例1−4に対応する得られた構造体を用いて、既に説明した「ナノインデンテーション法」により、平均圧力と押しこみ深さとの関係を調べた。
具体的には、押しこみ深さが約330nm〜400nm程度の範囲で生じる不連続点の平均圧力を、「破壊圧力」として測定した。
破壊圧力の測定には、超微小硬度計(MTSシステムズ社製、Nano Indenter XP)を用いた。使用圧子としては、ダイヤモンド三角錐圧子(Berkovich圧子)を用いた。測定は、常温、大気雰囲気下で行った。結果を下記表1および図2に示す。
図2は、効率保持率と破壊圧力との関係を示すグラフである。図2から明らかなとおり、破壊圧力が0.57GPa未満である場合(実施例1(後述する第4実施形態にかかる実施例3の光電変換素子)および2(後述する第3実施形態の実施例2の光電変換素子))には、効率保持率が高く、85℃耐久性に優れていることが示されている一方で、破壊圧力が0.57GPa以上である場合(比較例1(後述する第4実施形態の比較例1の光電変換素子)、2(後述する第4実施形態の比較例3の光電変換素子)、3、4(後述する第3実施形態の比較例2の光電変換素子))には、効率保持率および85℃耐久性のいずれも劣っていた。
Figure 2019068028
ここで、第1実施形態の光電変換素子にかかる実施例について説明する。
(調製例9)組成物1の調製
ヨウ化鉛460mg、ヨウ化メチルアンモニウム159mgを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=9/1)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、1.5Mのモル濃度のCHNHPbI溶液である組成物1を調製した。
(調製例10)組成物2の調製
フラーレンの誘導体である下記式で表される化合物(2重量部)と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物2を調製した。
Figure 2019068028
(調製例11)組成物3の調製
高分子化合物P4(シグマアルドリッチ社製、Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn:7000−10000)を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物3を調製した。
(調製例12)組成物4の調製
下記式で表される1,4−シクロヘキサンジオール(シス、トランス混合物)をCHNHPbIの量に対して0.5モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物4を調製した。
Figure 2019068028
(調製例13)組成物5の調製
下記式で表される1,3−アダマンタンジオールをCHNHPbIの量に対して0.5モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物5を調製した。
Figure 2019068028
(調製例14)組成物6の調製
下記式で表される5−ヒドロキシノルボルナン2,6−ラクトンをCHNHPbIの量に対して0.5モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物6を調製した。
Figure 2019068028
(調製例15)組成物7の調製
下記式で表される1,2,3−シクロヘキサントリオール(シス、トランス混合物)をCHNHPbIの量に対して0.5モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物7を調製した。
Figure 2019068028
(調製例16)組成物8の調製
下記式で表される4,4‘−ビシクロヘキサノールをCHNHPbIの量に対して0.5モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物8を調製した。
Figure 2019068028
(調製例17)組成物9の調製
4,4‘−ビシクロヘキサノールをCHNHPbIの量に対して2モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物9を調製した。
(調製例18)組成物10の調製
下記式で表されるトランス−2−フェニル−1−シクロヘキサノールをCHNHPbIの量に対して0.3モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物10を調製した。
Figure 2019068028
(調製例19)組成物11の調製
下記式で表されるニトロシクロヘキサンをCHNHPbIの量に対して0.3モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物11を調製した。
Figure 2019068028
(調製例20)組成物12の調製
下記式で表されるシクロヘキサンカルボン酸をCHNHPbIの量に対して0.3モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物12を調製した。
Figure 2019068028
(調製例21)組成物13の調製
下記式で表される1,4−シクロヘキサンジメタノールをCHNHPbIの量に対して0.3モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物13を調製した。
Figure 2019068028
(調製例22)組成物14の調製
下記式で表される1,10−デカンジオールをCHNHPbIの量に対して0.3モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物14を調製した。
Figure 2019068028
(調製例23)組成物15の調製
下記式で表される5−フェニル吉草酸をCHNHPbIの量に対して0.3モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物15を調製した。
Figure 2019068028
(調製例24)組成物16の調製
高分子化合物7(Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn:7000〜10000)を0.45重量部と、下記式で表される4−シクロヘキシルシクロヘキサノールを0.05重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物16を調製した。
Figure 2019068028
(調製例25)組成物17の調製
高分子化合物7(Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn:7000〜10000)を0.45重量部と、下記式で表される1−ドデカノールを0.05重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物17を調製した。
Figure 2019068028
(調製例26)組成物18の調製
4,4’−ビシクロヘキサノールをN,N−ジメチルホルムアミドに3重量%の濃度で溶解させ、組成物18を調製した。
(調製例27)組成物19の調製
下記式で表される1,4−ベンゼンジメタノールをCHNHPbIの量に対して0.5モル%の割合で組成物1に溶解させ、組成物19を調製した。
Figure 2019068028
(調製例28)組成物20の調製
ポリ(アクリル酸)(シグマ−アルドリッチ製、平均Mw=1800)をCHNHPbIの量に対して1重量%の割合で組成物1に溶解させ、組成物20を調製した。
(調製例29)組成物21の調製
下記式で表されるTriton X−100(シグマ−アルドリッチ製、n=9〜10)をCHNHPbIの量に対して1重量%の割合で組成物1に溶解させ、組成物21を調製した。
Figure 2019068028
(実施例4)光電変換素子の製造および性能評価
光電変換素子の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。
ITO薄膜はスパッタリング法によって形成された。ITO薄膜の厚さは150nmであった。ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。
次に、組成物3をスピンコート法によりITO薄膜である陽極上に塗布した。
次いで、大気中、120℃で10分間加熱することにより、厚さが約10nmである正孔輸送層を形成した。
次に、正孔輸送層上に、濡れ性改良のための塗布液(プリウェット液という場合がある。)としてのN,N−ジメチルホルムアミドを、2000rpmの回転数で10秒間の条件でスピンコート法により塗布し、プリウェット液によるプリウェット工程を行った。その直後、組成物4を、2000rpmの回転数で40秒間の条件でスピンコート法により塗布した。回転開始から30秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した。得られた塗布膜を大気中120℃で10分間加熱することにより、活性層を形成した。形成された活性層の厚さは約450nmであった。
次に、活性層上に、組成物2を2000rpmの回転数の条件でスピンコート法により塗布し、厚さが約50nmの塗布膜を形成し、次に、窒素ガス雰囲気中、120℃で10分間加熱して、電子輸送層を形成した。形成された電子輸送層上に、真空蒸着機により酸化バリウムを厚さが2nmとなるように蒸着し、次いで、金(Au)を厚さが60nmとなるように蒸着して陰極を形成した。蒸着の際の真空度は、いずれも1×10−3〜9×10−3Paとした。
陰極の形成後、窒素ガス雰囲気下で、ガラス板をUV硬化型接着剤で陰極を覆うように接着することで封止を行い、実施例1にかかる光電変換素子を製造した。製造された光電変換素子の平面形状は、2mm×2mmの正方形であった。
得られた光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名:YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度:100mW/cm)を用いて一定の強度で光を照射し、発生する電流および電圧を測定した。
(性能評価)
製造された光電変換素子を用いて、初期性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率(初期効率)が18.67%であり、Jsc(短絡電流密度)が23.20mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.076Vであり、FF(フィルファクター)が0.748であった。初期効率を表2に示す。
その後、有機光電変換素子を85℃の恒温槽で24時間暗所保管し耐熱性試験を行った。室温に戻した後再びソーラーシミュレーターで性能評価を行った。測定は5回行い、5回目の数値を耐熱性試験後の性能とした。光電変換効率は18.25%であり、Jsc(短絡電流密度)は22.43mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.089Vであり、FF(フィルファクター)は0.747であった。耐熱性試験後の効率および初期効率に対する耐熱性試験後の効率の保持率と併せて、結果を表2に示す。
(実施例5)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物5に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が18.18%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.33mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.073Vであり、FF(フィルファクター)が0.759であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が16.43%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.68mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.080Vであり、FF(フィルファクター)が0.702であった。結果を表2に示す。
(実施例6)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物6に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が18.25%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.50mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.071Vであり、FF(フィルファクター)が0.758であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.49%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.90mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.082Vであり、FF(フィルファクター)が0.738であった。結果を表2に示す。
(実施例7)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物7に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.67%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.10mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.058Vであり、FF(フィルファクター)が0.756であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.16%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.70mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.071Vであり、FF(フィルファクター)が0.739であった。結果を表2に示す。
(実施例8)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物8に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価は、光電変換効率が16.79%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.78mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.083Vであり、FF(フィルファクター)が0.712であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が16.80%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.55mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.094Vであり、FF(フィルファクター)が0.713であった。結果を表2に示す。
(実施例9)光電変換素子の製造および評価
実施例4におけるプリウェット液をN,N−ジメチルホルムアミドからN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=9/1(体積比率)の混合液に代え、組成物4を組成物8に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.01%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.78mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.075Vであり、FF(フィルファクター)が0.726であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.14%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.75mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.087Vであり、FF(フィルファクター)が0.725であった。結果を表2に示す。
(実施例10)光電変換素子の製造および評価
実施例9における組成物8を組成物9に代えた以外は、実施例9と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が16.57%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.60mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.071Vであり、FF(フィルファクター)が0.716であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が16.79%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.93mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.088Vであり、FF(フィルファクター)が0.704であった。結果を表2に示す。
(実施例11)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物10に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が18.32%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.23mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.088Vであり、FF(フィルファクター)が0.758であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が16.98%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.83mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.104Vであり、FF(フィルファクター)が0.705であった。結果を表2に示す。
(実施例12)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物11に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が18.16%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.18mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.084Vであり、FF(フィルファクター)が0.755であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.05%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.93mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.097Vであり、FF(フィルファクター)が0.709であった。結果を表2に示す。
(実施例13)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物12に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が18.00%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.089Vであり、FF(フィルファクター)が0.747であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.25%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.70mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.085Vであり、FF(フィルファクター)が0.732であった。結果を表2に示す。
(実施例14)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物13に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.91%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.00mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.092Vであり、FF(フィルファクター)が0.746であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.45%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.75mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.097Vであり、FF(フィルファクター)が0.732であった。結果を表2に示す。
(実施例15)光電変換素子の製造および性能評価
実施例4における組成物3を組成物16に代え、組成物4を組成物1に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.71%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.80mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.072Vであり、FF(フィルファクター)が0.725であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.63%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.25mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.087Vであり、FF(フィルファクター)が0.729であった。結果を表2に示す。
(実施例16)光電変換素子の製造および評価
実施例4におけるプリウェット液のN,N−ジメチルホルムアミドを組成物18に代え、組成物4を組成物1に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.60%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.75mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.076Vであり、FF(フィルファクター)が0.719であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.55%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.53mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.100Vであり、FF(フィルファクター)が0.708であった。結果を表2に示す。
(実施例17)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物19に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.96%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.80mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.081Vであり、FF(フィルファクター)が0.762であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.21%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.90mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.091Vであり、FF(フィルファクター)が0.720であった。結果を表2に示す。
(比較例5)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物1に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.78%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.10mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.060Vであり、FF(フィルファクター)が0.759であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が13.44%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.55mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.034Vであり、FF(フィルファクター)が0.632であった。結果を表2に示す。
(比較例6)光電変換素子の製造および評価
実施例9における組成物8を組成物1に代えた以外は、実施例9と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が18.65%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.85mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.082Vであり、FF(フィルファクター)が0.754であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が15.86%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.65mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.065Vであり、FF(フィルファクター)が0.688であった。結果を表2に示す。
(比較例7)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物14に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が18.11%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.083Vであり、FF(フィルファクター)が0.756であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が13.90%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.53mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.036Vであり、FF(フィルファクター)が0.654であった。結果を表2に示す。
(比較例8)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物15に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が18.20%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.83mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.085Vであり、FF(フィルファクター)が0.735であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が13.67%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.83mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.069Vであり、FF(フィルファクター)が0.586であった。結果を表2に示す。
(比較例9)光電変換素子の製造および評価
実施例15における組成物16を組成物17に代えた以外は、実施例15と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が18.29%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.75mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.076Vであり、FF(フィルファクター)が0.747であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が14.31%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.78mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.042Vであり、FF(フィルファクター)が0.661であった。結果を表2に示す。
(比較例10)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物20に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が16.68%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.93mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.083Vであり、FF(フィルファクター)が0.736であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が12.20%であり、Jsc(短絡電流密度)が17.58mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.064Vであり、FF(フィルファクター)が0.652であった。結果を表2に示す。
(比較例11)光電変換素子の製造および評価
実施例4における組成物4を組成物21に代えた以外は、実施例4と同様にして光電変換素子を作成し、実施例4と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が16.88%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.93mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.098Vであり、FF(フィルファクター)は0.701であった。耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が14.75%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.70mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.087Vであり、FF(フィルファクター)が0.625であった。結果を表2に示す。
Figure 2019068028
表2中、「効率保持率」とは、初期効率を1とした場合の耐熱性試験後の効率の値(耐熱性試験後の効率/初期効率)を意味する。また、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「NMP」はN−メチル−2−ピロリドンを意味する。
表2から明らかなように、実施例4〜17の光電変換素子は、良好な効率保持率を有しており、85℃における耐熱性が良好であることがわかる。
実施例4〜8、実施例11〜14の光電変換素子は、化合物(I)をいずれの層にも含まない比較例5の光電変換素子と比較して、また実施例9および10の光電変換素子は、化合物(I)をいずれの層にも含まない比較例6の光電変換素子と比較して、効率保持率が高く、85℃における耐熱性に優れていることがわかる。
実施例11〜14の光電変換素子は、化合物(I)の代わりに化合物(I)ではない化合物を用いた以外は実施例11〜14と同様にして製造された比較例7、8の光電変換素子と比較して、効率保持率が高く、85℃における耐熱性に優れていることがわかる。
以上の結果は、本発明の第1実施形態にかかる光電変換素子が、耐熱性に優れていることを示す。
ここで、第2実施形態の光電変換素子にかかる実施例について説明する。
(合成例4)高分子化合物P5の合成
下記のスキームに沿って、下記式で表される化合物7を用いて、下記式で表される化合物8を合成した。
Figure 2019068028
窒素ガスで内部の気体を置換した100mL三つ口フラスコに、特開2004−162059号公報に記載の方法で合成した化合物7を4.45g(10.0mmol)と、ビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)を5.84g(23.0mmol)と、酢酸カリウム(potassium acetate)を5.89g(60.0mmol)と、1,2−ジメトキシエタン(1,2−dimethoxyethane:DME)100mLとを入れ、アルゴンガスバブリングを30分間行って脱気した。得られた溶液にPdCl(dppf:1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’−Bis(diphenylphosphino)ferrocene)CHClを0.245mg(3.0mol%)加え、80℃設定のオイルバスのスイッチを入れ、加熱を開始した。80℃で6時間攪拌し、反応液を常温まで冷却後、水に加えることで反応を停止させ、トルエン(toluene)を用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後濾過し、溶媒を減圧下で留去することで粗製物を得た。その粗製物をメタノール/2−プロパノール/トルエン混合液(混合体積比1:1:1)を用いて再結晶を行うことにより、化合物8を4.48g(7.55mmol、収率75%)得た。
窒素ガスで内部の気体を置換した100mL三つ口フラスコに、化合物9(東京化成工業株式会社製)を216mg(0.500mmol)と、化合物8を270mg(0.500mmol)と、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(tris(2−methoxyphenyl)phosphine:P(o−OMePh))を26.4mg(0.075mmol、15mol%)と、トルエン(toluene)を15.0mL入れ、30分間窒素ガスバブリングを行った。得られた溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0):Pd(dba))を11.9mg(0.013mmol、5.0mol%)と、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(Tetraethylammonium hydroxide aqueous solution:20% EtNOH aq.)を3.7mL加え、100℃設定のオイルバスのスイッチを入れ、反応を開始させた。100℃まで昇温し、100℃で6時間加熱攪拌した後、常温まで冷却し、水層を廃棄した。得られた有機層に10%酢酸を10mL加え、さらに5分間攪拌し、有機層を洗浄した。水層を廃棄して有機層を分離し、得られた有機層に純水を10mL加えて洗浄し、洗浄後、水層を廃棄した。この洗浄操作を4回繰り返した後、有機層をメタノールに加えて沈殿させ、得られた固体を回収した。回収された固体を乾燥後、クロロホルムを15mL加え、50℃で加熱しつつ30分間かけて溶解させた。その後、シリカゲル/アルミナカラムを通過させることで濾過を行い、得られた濾
液をメタノールに加えて沈殿させ、得られた固体を回収することで、高分子化合物P5を235mg(収率81%)得た。
Figure 2019068028
(調製例30)組成物22の調製
ヨウ化鉛を460mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを159mgとを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=9/1)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、1.5Mのモル濃度のCHNHPbI溶液である組成物22を調製した。
(調製例31)組成物23の調製
フラーレンの誘導体である下記式で表される化合物(2重量部)と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物23を調製した。
Figure 2019068028
(調製例32)組成物24の調製
高分子化合物P4(シグマアルドリッチ社製、Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn:7000−10000)を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物24を調製した。
(調製例33)組成物25の調製
高分子化合物P5を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物25を調製した。
(調製例34)組成物26の調製
組成物24と組成物25とを1/1の割合(体積比、以下の例においても同様である。)で混合し、組成物26を調製した。
(調製例35)組成物27の調製
組成物24と組成物25とを3/1の割合で混合し、組成物27を調製した。
(調製例36)組成物28の調製
組成物24と組成物25とを7/1の割合で混合し、組成物28を調製した。
(実施例18)光電変換素子の製造および性能評価
光電変換素子(太陽電池)の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。
ITO薄膜はスパッタリング法によって形成された。ITO薄膜の厚さは150nmであった。ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。
次に、組成物26をスピンコート法によりITO薄膜である陽極上に塗布した。
次いで、大気中、120℃で10分間加熱することにより、厚さが約10nmである正孔輸送層を形成した。
次に、正孔輸送層上に、濡れ性改良のための塗布液(プリウェット液という場合がある。)としてのN,N−ジメチルホルムアミドを、2000rpmの回転数で10秒間の条件でスピンコート法により塗布し、プリウェット液によるプリウェット工程を行った。その直後、組成物1を、2000rpmの回転数で40秒間の条件でスピンコート法により塗布した。回転開始から30秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した。得られた塗布膜を大気中120℃で10分間加熱することにより、活性層を形成した。形成された活性層の厚さは約450nmであった。
次に、活性層上に、組成物22を2000rpmの回転数の条件でスピンコート法により塗布し、厚さが約50nmの塗布膜を形成し、次に、窒素ガス雰囲気中、120℃で10分間加熱して、電子輸送層を形成した。形成された電子輸送層上に、真空蒸着機により酸化バリウムを厚さが2nmとなるように蒸着し、次いで、金(Au)を厚さが60nmとなるように蒸着して陰極を形成した。蒸着の際の真空度は、いずれも1×10−3〜9×10−3Paとした。
陰極の形成後、窒素ガス雰囲気下で、UV硬化型接着剤で陰極を覆うように封止基板であるガラス板を接着することで封止を行い、実施例18にかかる光電変換素子を製造した。製造された光電変換素子の平面形状は、2mm×2mmの正方形であった。
得られた光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名:YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度:100mW/cm)を用いて一定の強度で光を照射し、発生する電流および電圧を測定した。
(性能評価)
製造された光電変換素子を用いて、初期性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率(初期効率)が8.86%であり、Jsc(短絡電流密度)が16.75mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.953Vであり、FF(フィルファクター)が0.555であった。初期効率を表3に示す。
その後、有機光電変換素子を85℃の恒温槽で24時間暗所保管し耐熱性試験を行った。常温に戻した後再びソーラーシミュレーターで性能評価を行った。測定は3回行い、3回目の数値を耐熱性試験後の性能とした。光電変換効率は8.54%であり、Jsc(短絡電流密度)は20.85mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.883Vであり、FF(フィルファクター)は0.464であった。結果を表3に示す。
加えて、耐熱性の指標として、初期効率に対する耐熱性試験後の効率の割合、すなわち初期効率を1とした場合の耐熱性試験後の効率の値(耐熱性試験後の効率/初期効率)である「効率保持率」を併せて表3に示す。
(実施例19)光電変換素子の製造および評価
実施例18における組成物26を組成物27に代えた以外は、実施例18と同様にして光電変換素子を作成し、実施例18と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が11.19%であり、Jsc(短絡電流密度)が18.23mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.974Vであり、FF(フィルファクター)が0.631であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が10.86%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.00mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.976Vであり、FF(フィルファクター)が0.530であった。結果を表3に示す。
(実施例20)光電変換素子の製造および評価
実施例18における組成物26を組成物28に代えた以外は、実施例18と同様にして光電変換素子を作成し、実施例18と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が13.46%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.43mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.002Vであり、FF(フィルファクター)が0.658であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が14.44%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.83mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.071Vであり、FF(フィルファクター)が0.618であった。結果を表3に示す。
(比較例12)光電変換素子の製造および評価
実施例18における組成物26を組成物24に代えた以外は、実施例18と同様にして光電変換素子を作成し、実施例18と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.78%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.10mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.060Vであり、FF(フィルファクター)が0.759であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が12.23%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.80mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.998Vであり、FF(フィルファクター)が0.589であった。結果を表3に示す。
また、表3には正孔輸送層が含有するすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの式(8)で表される繰り返し単位の含有量を併せて記載した。
Figure 2019068028
表3から明らかなように、式(8)の繰り返し単位の含有量が所定量である実施例18〜20の光電変換素子は、良好な効率保持率を有しており、85℃における耐熱性が良好であった。実施例20にかかる効率保持率は、特に良好であり、耐熱性がより優れていた。
ここで、第3実施形態の光電変換素子にかかる実施例について説明する。
(調製例37)組成物29の調製
ヨウ化鉛を460mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを159mgとを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=9/1)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、1.5Mのモル濃度のCHNHPbI溶液である組成物29を調製した。
(調製例38)組成物30の調製
フラーレンの誘導体である下記式で表される化合物(2重量部)と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物30を調製した。
Figure 2019068028
(調製例39)組成物31の調製
高分子化合物P4(シグマアルドリッチ社製、Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn:7000−10000)を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物31を調製した。
(調製例40)組成物32の調製
高分子化合物P1を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物32を調製した。
(調製例41)組成物33の調製
高分子化合物P2を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物33を調製した。
(調製例42)組成物34の調製
高分子化合物P3を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物34を調製した。
(調製例43)組成物35の調製
組成物31と組成物32とを1/3の割合(体積比、以下の例においても同様である。)で混合し、組成物35を調製した。
(調製例44)組成物36の調製
組成物31と組成物32とを1/1の割合で混合し、組成物36を調製した。
(調製例45)組成物37の調製
組成物31と組成物32とを3/1の割合で混合し、組成物37を調製した。
(調製例46)組成物38の調製
組成物31と組成物33とを1/1の割合で混合し、組成物38を調製した。
(実施例21)光電変換素子の製造および性能評価)
光電変換素子(太陽電池)の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。
ITO薄膜はスパッタリング法によって形成された。ITO薄膜の厚さは150nmであった。ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。
次に、組成物35をスピンコート法によりITO薄膜である陽極上に塗布した。
次いで、大気中、120℃で10分間加熱することにより、厚さが約10nmである正孔輸送層を形成した。
次に、正孔輸送層上に、濡れ性改良のための塗布液(プリウェット液という場合がある。)としてのN,N−ジメチルホルムアミドを、2000rpmの回転数で10秒間の条件でスピンコート法により塗布し、プリウェット液によるプリウェット工程を行った。その直後、組成物29を、2000rpmの回転数で40秒間の条件でスピンコート法により塗布した。回転開始から30秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した。得られた塗布膜を大気中120℃で10分間加熱することにより、活性層を形成した。形成された活性層の厚さは約450nmであった。
次に、活性層上に、組成物30を2000rpmの回転数の条件でスピンコート法により塗布し、厚さが約50nmの塗布膜を形成し、次に、窒素ガス雰囲気中、120℃で10分間加熱して、電子輸送層を形成した。形成された電子輸送層上に、真空蒸着機により酸化バリウムを厚さが2nmとなるように蒸着し、次いで、金(Au)を厚さが60nmとなるように蒸着して陰極を形成した。蒸着の際の真空度は、いずれも1×10−3〜9×10−3Paとした。
陰極の形成後、窒素ガス雰囲気下で、ガラス板をUV硬化型接着剤で陰極を覆うように接着することで封止を行い、実施例21にかかる光電変換素子を製造した。製造された光電変換素子の平面形状は、2mm×2mmの正方形であった。
得られた光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名:YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度:100mW/cm)を用いて一定の強度で光を照射し、発生する電流および電圧を測定した。
(性能評価)
製造された光電変換素子を用いて、初期性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率(初期効率)が17.42%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.40mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.025Vであり、FF(フィルファクター)が0.758であった。初期効率を表4に示す。
その後、光電変換素子を85℃の恒温槽で24時間暗所保管し耐熱性試験を行った。常温に戻した後再びソーラーシミュレーターで性能評価を行った。測定は5回行い、5回目の数値を耐熱性試験後の性能とした。光電変換効率は16.68%であり、Jsc(短絡電流密度)は21.90mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.039Vであり、FF(フィルファクター)は0.733であった。結果を表4に示す。
加えて、耐熱性の指標として、初期効率に対する耐熱性試験後の効率の割合、すなわち初期効率を1とした場合の耐熱性試験後の効率の値(耐熱性試験後の効率/初期効率)である「効率保持率」を表4に示す。
(実施例22)光電変換素子の製造および評価
実施例21における組成物35を組成物36に代えた以外は、実施例21と同様にして光電変換素子を作成し、実施例21と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が16.86%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.036Vであり、FF(フィルファクター)が0.735であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.20%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.067Vであり、FF(フィルファクター)が0.729であった。結果を表4に示す。
その後、光電変換素子を85℃の恒温槽で、累計1336時間暗所保管し耐熱性試験を行った。常温に戻した後再びソーラーシミュレーターで性能評価を行った。測定は5回行い、5回目の数値を耐熱性試験後の性能とした。光電変換効率は、16.54%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.58mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.076Vであり、FF(フィルファクター)が0.713であった。初期効率を1とした時の初期効率に対する効率の保持率は0.98であった。このように実施例22の光電変換素子は、1336時間という長期の耐熱性試験後であっても高い保持率を示した。
(実施例23)光電変換素子の製造および評価
実施例21における組成物35を組成物37に代えた以外は、実施例21と同様にして光電変換素子を作成し、実施例21と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が17.10%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.48mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.033Vであり、FF(フィルファクター)が0.736であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が16.07%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.98mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.053Vであり、FF(フィルファクター)が0.694であった。結果を表4に示す。
(実施例24)光電変換素子の製造および評価
実施例21における組成物35を組成物33に代えた以外は、実施例21と同様にして光電変換素子を作成し、実施例21と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が15.59%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.989Vであり、FF(フィルファクター)が0.712であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が14.92%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.60mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.045Vであり、FF(フィルファクター)が0.661であった。結果を表4に示す。
(実施例25)光電変換素子の製造および評価
実施例21における組成物35を組成物38に代えた以外は、実施例21と同様にして光電変換素子を作成し、実施例21と同様にして性能評価を行った。初期性能評価は、光電変換効率が17.10%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.43mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.031Vであり、FF(フィルファクター)が0.740であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が16.28%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.95mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.053Vであり、FF(フィルファクター)が0.704であった。結果を表4に示す。
(比較例13)光電変換素子の製造および評価
実施例21における組成物35を組成物31に代えた以外は、実施例21と同様にして光電変換素子を作成し、実施例21と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.78%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.10mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.060Vであり、FF(フィルファクター)が0.759であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が13.44%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.55mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.034Vであり、FF(フィルファクター)が0.632であった。結果を表4に示す。
(比較例14)光電変換素子の製造および評価
実施例21における組成物35を組成物34に代えた以外は、実施例21と同様にして光電変換素子を作成し、実施例21と同様にして性能評価を行った。初期性能評価結果は、光電変換効率が17.35%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.90mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.983Vであり、FF(フィルファクター)が0.771であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が15.20%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.80mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.017Vであり、FF(フィルファクター)が0.718であった。結果を表4に示す。
表4には正孔輸送層が含有するすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの式(15)で表される繰り返し単位の含有量を併せて記載した。
Figure 2019068028
表4から明らかなように、式(15)の繰り返し単位の含有量が所定量である実施例21〜25の光電変換素子は、良好な効率保持率を有しており、85℃における耐熱性が良好であった。実施例2にかかる効率保持率は、特に良好であり、耐熱性がより優れていた。
ここで、第4実施形態の光電変換素子にかかる実施例について説明する。
(調製例47)組成物39の調製
高分子化合物P4(シグマアルドリッチ社製、Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn:7000−10000)を0.5重量部と、溶媒である100重量部のクロロベンゼンとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物39を調製した。
(調製例48)組成物40の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを159mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1:1)とを0.60mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物40を調製した。組成物40において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1:3:1である。
(調製例49)組成物41の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを155mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.025:1)とを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物41を調製した。組成物41において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.025:3.05:1である。
(調製例50)組成物42の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを151mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.05:1)とを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物42を調製した。組成物42において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.05:3.1:1である。
(調製例51)組成物43の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを145mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.10:1)とを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物43を調製した。組成物43において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.10:3.2:1である。
(調製例52)組成物44の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを133mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.20:1)とを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物44を調製した。組成物44において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.20:3.4:1である。
(調製例53)組成物45の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを145mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.10:1)とを0.67mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物45を調製した。組成物45において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.10:3.2:1である。
(調製例54)組成物46の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを145mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.10:1)とを0.5mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.17mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=75/25)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物46を調製した。組成物46において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.10:3.2:1である。
(調製例55)組成物47の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを145mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.10:1)とを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのジメチルスルホキシド(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物47を調製した。組成物47において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.10:3.2:1である。
(調製例56)組成物48の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化ホルムアミジニウムを78mgおよびヨウ化メチルアンモニウムを72mg(モル比として、ヨウ化鉛:(ヨウ化ホルムアミジニウム+ヨウ化メチルアンモニウム)=1.10:1、ヨウ化ホルムアミジニウム:ヨウ化メチルアンモニウム=1:1)とを0.6mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.067mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=90/10)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物48を調製した。組成物48において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、および、メチルアンモニウムイオンとホルムアミジニウムイオンとの合計の、含有モル比(Pb2+:I:CHNH +[HC(=NH)NH)は、1.10:3.2:1である。また、メチルアンモニウムイオンおよびホルムアミジニウムイオンの含有モル比(CHNH :[HC(=NH)NH)は、1:1である。
(調製例57)組成物49の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化ホルムアミジニウムを78mgおよびヨウ化メチルアンモニウムを72mg(モル比として、ヨウ化鉛:(ヨウ化ホルムアミジニウム+ヨウ化メチルアンモニウム)=1.10:1、ヨウ化ホルムアミジニウム:ヨウ化メチルアンモニウム=1:1))とを0.55mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.12mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=82/18)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物49を調製した。組成物49において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、および、メチルアンモニウムイオンとホルムアミジニウムイオンとの合計の、含有モル比(Pb2+:I:CHNH +[HC(=NH)NH)は、1.10:3.2:1である。また、メチルアンモニウムイオンおよびホルムアミジニウムイオンの含有モル比(CHNH :[HC(=NH)NH)は、1:1である。
(調製例58)組成物50の調製
ヨウ化鉛を461mgと、ヨウ化メチルアンモニウムを145mg(モル比として、ヨウ化鉛:ヨウ化メチルアンモニウム=1.10:1)とを0.63mLのN,N−ジメチルホルムアミドと0.033mLのN−メチル−2−ピロリドン(体積割合でN,N−ジメチルホルムアミド/N−メチル−2−ピロリドン=95/5)に溶解させた後、70℃で攪拌して完溶させることにより、組成物50を調製した。組成物50において、2価の鉛イオン、ヨウ化物イオン、およびメチルアンモニウムイオンの含有モル比(Pb2+:I:CHNH )は、1.10:3.2:1である。
(調製例59)組成物51の調製
フラーレンの誘導体である下記式で表される化合物(1.5重量部)と、溶媒である100重量部のアニソールとを混合し、完溶させた。次に、得られた溶液を、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過することにより、組成物51を調製した。
Figure 2019068028
(実施例26)光電変換素子の製造および性能評価
光電変換素子(太陽電池)の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板(24mm×24mmの正方形)を用意した。
ITO薄膜はスパッタリング法によって形成された。ITO薄膜の厚さは150nmであった。ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。
<正孔輸送層(正孔注入層)を形成する工程>
次に、組成物39をスピンコート法によりITO薄膜である陽極上に塗布した。
次いで、大気中、120℃で10分間加熱することにより、正孔輸送層を形成した。
なお、ガラス基板と同じ大きさ(24mm×24mmの正方形)であるダミーガラスの上に、正孔輸送層の形成と同様の条件で組成物39を塗布し、得られた塗布膜を加熱して乾燥させて、ダミーガラス上の乾燥膜の厚さを触針式膜厚計(DEKTAK (Bruker Nano社製))にて測定したところ、厚さは、約10nmであった。したがって、形成された正孔輸送層の厚さも、約10nmであると推定される。
活性層または電子輸送層の厚さ推定値も、同様の方法で推定された値である。すなわち、ダミーガラスの上に、活性層または電子輸送層の形成と同様の条件で、活性層または電子輸送層を形成するための組成物を塗布し、得られた塗布膜を乾燥させ、得られた乾燥膜の厚さを測定して、活性層または電子輸送層の厚さ推定値とした。
<活性層を形成する工程>
次に、正孔輸送層上に、濡れ性改良のための塗布液(プリウェット液)としてのN,N−ジメチルホルムアミドを、2000rpmの回転数で10秒間の条件でスピンコート法により塗布し、プリウェット液によるプリウェット工程を行った。その直後、組成物41を、2000rpmの回転数で40秒間の条件でスピンコート法により塗布した。回転開始から30秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した。得られた塗布膜を大気中120℃で10分間加熱することにより、活性層を形成した。形成された活性層の厚さ推定値は約500nmである。
<電子輸送層を形成する工程>
次に、活性層上に、組成物51を2000rpmの回転数の条件でスピンコート法により塗布して塗布膜を形成し、次に、窒素ガス雰囲気中、120℃で10分間加熱して、電子輸送層を形成した。
形成された電子輸送層の厚さ推定値は、約20nmである。
<電子注入層を形成する工程>
形成された電子輸送層上に、真空蒸着機により酸化バリウムを厚さが2nmとなるように蒸着して電子注入層を形成した。
<陰極を形成する工程>
次いで、金(Au)を厚さが60nmとなるように蒸着して陰極を形成した。蒸着の際の真空度は、いずれも1×10−3〜9×10−3Paとした。
<封止層を形成する工程>
陰極の形成後、窒素ガス雰囲気下で、ガラス板をUV硬化型接着剤で陰極を覆うように接着することで封止を行い、実施例26に係る光電変換素子を製造した。製造された光電変換素子の平面形状は、2mm×2mmの正方形であった。
<光電変換素子(太陽電池)の評価>
得られた光電変換素子(太陽電池)にソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定することにより、初期の光電変換効率(初期効率)を評価した。初期性能評価の結果は、光電変換効率(初期効率)が18.78%であり、Jsc(短絡電流密度)が23.15mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.094Vであり、FF(フィルファクター)が0.741であった。初期効率を表5に示す。
その後、光電変換素子を85℃の恒温槽で24時間暗所保管し耐熱性試験を行った。常温に戻した後、再びソーラーシミュレーターで性能評価を行った。測定は5回行い、5回目の数値を耐熱性試験後の性能とした。光電変換効率は18.18%であり、Jsc(短絡電流密度)は22.60mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.088Vであり、FF(フィルファクター)は0.739であった。耐熱性試験後の効率および初期効率に対する耐熱性試験後の効率の保持率と併せて、結果を表5に示す。効率保持率が高いほど、耐熱性が良好であることを示す。
(実施例27)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物42に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が17.98%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.30mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.067Vであり、FF(フィルファクター)が0.756であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が17.71%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.28mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.075Vであり、FF(フィルファクター)が0.740であった。結果を表5に示す。
(実施例28)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物43に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が15.42%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.034Vであり、FF(フィルファクター)が0.674であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が15.87%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.98mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.080Vであり、FF(フィルファクター)が0.700であった。結果を表5に示す。
(実施例29)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物48に変え、活性層のベーク温度を150℃に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が15.65%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.58mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.030Vであり、FF(フィルファクター)が0.673であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が15.88%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.83mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.060Vであり、FF(フィルファクター)が0.686であった。結果を表5に示す。
(実施例30)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物50に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が16.57%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.78mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.050Vであり、FF(フィルファクター)が0.725であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が16.24%であり、Jsc(短絡電流密度)が21.65mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.076Vであり、FF(フィルファクター)が0.697であった。結果を表5に示す。
(比較例15)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物40に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が17.67%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.38mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.071Vであり、FF(フィルファクター)が0.738であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が12.53%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.33mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.009Vであり、FF(フィルファクター)が0.611であった。結果を表5に示す。
(比較例16)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物44に変え、2000rpmの回転数で35秒間の条件でスピンコート法により塗布し、回転開始から25秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が15.46%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.93mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.062Vであり、FF(フィルファクター)が0.695であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が11.98%であり、Jsc(短絡電流密度)が19.40mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.052Vであり、FF(フィルファクター)が0.587であった。結果を表5に示す。
(比較例17)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物45に変え、2000rpmの回転数で30秒間の条件でスピンコート法により塗布し、回転開始から20秒後に、酢酸エチルを回転中の塗布膜上に滴下した以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が16.34%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.13mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.050Vであり、FF(フィルファクター)が0.703であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が11.45%であり、Jsc(短絡電流密度)が19.60mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.983Vであり、FF(フィルファクター)が0.594であった。結果を表5に示す。
(比較例18)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物46に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が18.76%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.53mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.068Vであり、FF(フィルファクター)が0.780であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が14.06%であり、Jsc(短絡電流密度)が20.03mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.027Vであり、FF(フィルファクター)が0.683であった。結果を表5に示す。
(比較例19)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物47に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が18.79%であり、Jsc(短絡電流密度)が22.38mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.080Vであり、FF(フィルファクター)が0.778であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が12.96%であり、Jsc(短絡電流密度)が19.28mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が0.981Vであり、FF(フィルファクター)が0.685であった。結果を表5に示す。
(比較例20)光電変換素子の製造および評価
実施例26における組成物41を組成物49に変え、活性層のベーク温度を150℃に変えた以外は、実施例26と同様にして光電変換素子を作成し、実施例26と同様にして性能評価を行った。初期性能評価の結果は、光電変換効率が18.41%であり、Jsc(短絡電流密度)が24.10mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.026Vであり、FF(フィルファクター)が0.745であった。
耐熱性試験後の性能評価結果は、光電変換効率が15.39%であり、Jsc(短絡電流密度)が23.43mA/cmであり、Voc(開放端電圧)が1.059Vであり、FF(フィルファクター)が0.621であった。結果を表5に示す。
実施例26〜28、比較例15、16の結果から、横軸を、活性層を形成するために用いた組成物中のPbI(ヨウ化鉛)/MAI(ヨウ化メチルアンモニウム)比とし、縦軸を耐熱性試験後の効率保持率として両者の関係を示すグラフを、図3に示す。ここで、PbI(ヨウ化鉛)/MAI(ヨウ化メチルアンモニウム)比は、組成物に含まれるPb2+の、メチルアンモニウムイオンに対するモル比x(Pb/CHNH )に相当する。
実施例28、実施例30、比較例17、18の結果から、横軸を、活性層を形成するために用いた組成物中のNMP(N−メチル−2−ピロリドン)比率とし、縦軸を耐熱性試験後の効率保持率として両者の関係を示すグラフを、図4に示す。
Figure 2019068028
表5、図3、図4から明らかなように、含有されるPbIとヨウ化アンモニウムおよびヨウ化アミジニウムとのモル比が(1.01〜1.15):1であり(即ち、Pb2+:I:(CHNH +[HC(=NH)NH)=x:(1+2x):1、ここでxは1.01≦x≦1.15を満たす。)かつ塗布溶媒中のNMPの比率が1〜15%である組成物(活性層形成用塗布液)を用いる塗布法により形成した、実施例26〜30の光電変換素子は、良好な効率保持率を有しており、耐熱性が良好であった。
本発明は、下記[1]〜[9]にも関する。
[1] 陽極と、
陰極と、
前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接する正孔輸送層とを含み、
前記正孔輸送層および前記活性層のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する、光電変換素子。
Figure 2019068028
[式(1)中、
Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
mは、1以上の整数を表す。
mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[2] 前記Qが、置換基を有していてもよい、炭素原子数5〜12のm価の飽和脂環式炭化水素基である、[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記Qが、置換基を有していてもよいm価のシクロヘキサン基または置換基を有していてもよいm価のビシクロヘキサン基である、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
[4] 前記mが、1〜3の整数である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[5] 支持基板をさらに含み、前記支持基板、前記陽極、前記正孔輸送層、前記活性層および前記陰極がこの順に積層されている、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[6] 前記活性層および前記陰極の間に設けられた電子輸送層をさらに含む、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[7] 陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
を含み、
前記正孔輸送層を形成する工程および前記活性層を形成する工程のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である、光電変換素子の製造方法。
Figure 2019068028
[式(1)中、
Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
mは、1以上の整数を表す。
mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[8] 前記活性層を形成する工程が、前記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である、[7]に記載の製造方法。
[9] 前記活性層を形成する工程が、前記式(1)で表される化合物を含有する第1の塗布液を前記正孔輸送層に塗布し、次いで前記ペロブスカイト化合物を含有する第2の塗布液を塗布する工程を含む、[8]に記載の製造方法。
本発明は、さらに下記[1]〜[5]にも関する。
[1] 陽極と、
陰極と、
前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接する正孔輸送層とを含み、
前記正孔輸送層が、下記式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む、光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(8)中、
Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
dおよびeは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦d+e≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1個は下記式(9)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(9)中、
Zは、ヒドロキシ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ基、−COORで表される基、スルファニル基、またはアミノ基を表す。
は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、またはハロゲン原子を表す。
Xは2価の連結基を表す。
nは、0または1を表す。))
[2] 支持基板をさらに含み、前記支持基板、前記陽極、前記正孔輸送層、前記活性層および前記陰極がこの順に積層されている、[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記活性層および前記陰極の間に設けられた電子輸送層をさらに含む、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
[4] 前記正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの上記式(8)で表される繰り返し単位の含有量が、1〜90重量%である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[5] 前記正孔輸送層に含まれるすべての高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの上記式(8)で表される繰り返し単位の含有量が、5〜50重量%である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
本発明は、さらにまた下記[1]〜[6]にも関する。
[1] 陽極と、
陰極と、
前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層とを含み、
前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの下記式(15)で表される繰り返し単位の含有量が5〜90重量%である、光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(15)中、
Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
[2] 支持基板をさらに含み、前記支持基板、前記陽極、前記正孔輸送層、前記活性層および前記陰極がこの順に積層されている、[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記活性層および前記陰極の間に設けられた電子輸送層をさらに含む、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
[4] 前記式(16)で表される基が、下記式(18)で表される基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2019068028
(式(18)中、R12、R13、R15およびR16は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12、R13、R15およびR16が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。q1は、1以上の整数を表す。)
[5] 前記式(15)で表される繰り返し単位の含有量が、10〜50重量%である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[6] 陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
前記陽極が設けられた前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
を含み、
前記正孔輸送層を形成する工程が、高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程であり、前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの5〜90重量%が、下記式(15)で表される繰り返し単位である、光電変換素子の製造方法。
Figure 2019068028
(式(15)中、
Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
Figure 2019068028
(式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
加えて、本発明は、下記[1]〜[13]にも関する。
[1] 2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および、溶媒を含む、活性層形成用塗布液であって、
前記2価の金属イオン(M)、前記ハロゲン化物イオン(X)、および前記1価のカチオン(A)の含有モル比(M:X:A)が、x:(1+2x):1であり、
ここで、xは、下記式:
1.01≦x≦1.15を満たし、
前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンを含み、前記溶媒におけるN−メチル−2−ピロリドンの体積百分率が、1体積%以上15体積%以下である、
活性層形成用塗布液。
[2] 前記2価の金属イオン(M)が、Pb2+およびSn2+のうちの一方またはその両方である、[1]に記載の活性層形成用塗布液。
[3] 前記1価のカチオン(A)が、1価の含窒素有機カチオンである、[1]または[2]に記載の活性層形成用塗布液。
[4] 前記1価の含窒素有機カチオンが、メチルアンモニウムおよびホルムアミジニウムのうちの一方またはその両方である、[3]に記載の活性層形成用塗布液。
[5] 前記1価の含窒素有機カチオンとして、メチルアンモニウムおよびホルムアミジニウムを1:99〜99:1のモル比で含む、[4]に記載の活性層形成用塗布液。
[6] 前記ハロゲン化物イオン(X)が、BrおよびIのうちの一方またはその両方である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液。
[7] 前記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミドを含み、前記溶媒におけるN,N−ジメチルホルムアミドの体積百分率が、85体積%以上99体積%以下である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液。
[8] 第1の電極と、活性層と、第2の電極とをこの順で含む光電変換素子の製造方法であって、
[1]〜[7]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液を用いる塗布法により前記活性層を形成する工程(Sa)を含む、光電変換素子の製造方法。
[9] 前記活性層が、ペロブスカイト型構造を有する化合物を含む、[8]に記載の光電変換素子の製造方法。
[10] 前記光電変換素子が、正孔輸送層を更に含み、前記正孔輸送層は、前記第1の電極と前記活性層との間に設けられ、高分子化合物を含み、
前記正孔輸送層を、前記高分子化合物を含む正孔輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Sh)を更に含む、[8]または[9]に記載の光電変換素子の製造方法。
[11] 前記光電変換素子が、電子輸送層を更に含み、前記電子輸送層は、前記活性層と前記第2の電極との間に設けられ、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選択される1種以上を含み、
前記電子輸送層を、前記フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選択される1種以上を含む電子輸送層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Se)を更に含む、[8]〜[10]のいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
[12] 第1の電極と、活性層と、第2の電極とをこの順で含む光電変換素子であって、
前記活性層が、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の活性層形成用塗布液を用いる塗布法により形成する工程(Sa)を含む製造方法により得られる層である、光電変換素子。
[13] 前記活性層が、ペロブスカイト型構造を有する化合物を含む、[12]に記載の光電変換素子。
10 支持基板
20 陽極
30 正孔輸送層
40 活性層
50 陰極
100 光電変換素子

Claims (14)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
    前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層とを含み、
    ナノインデンテーション法を用いて測定された前記活性層と前記正孔輸送層との間の破壊圧力が0.57GPa未満である、光電変換素子。
  2. 前記破壊圧力が、0.4GPa以上0.57GPa未満である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記正孔輸送層および前記活性層のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する、請求項1または2に記載の光電変換素子。
    Figure 2019068028
    [式(1)中、
    Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
    Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
    Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
    nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
    mは、1以上の整数を表す。
    mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  4. 請求項3に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
    前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
    前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
    を含み、
    前記正孔輸送層を形成する工程および前記活性層を形成する工程のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である、光電変換素子の製造方法。
    Figure 2019068028
    [式(1)中、
    Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
    Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
    Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
    nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
    mは、1以上の整数を表す。
    mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  5. 前記正孔輸送層が、下記式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む、請求項1または2に記載の光電変換素子。
    Figure 2019068028
    (式(8)中、
    Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
    、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    dおよびeは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦d+e≦1である。
    、EおよびEのうちの少なくとも1個は下記式(9)で表される置換基を有する。
    Figure 2019068028
    (式(9)中、
    Zは、ヒドロキシ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ基、−COORで表される基、スルファニル基、またはアミノ基を表す。
    は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、またはハロゲン原子を表す。
    Xは2価の連結基を表す。
    nは、0または1を表す。))
  6. 前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの下記式(15)で表される繰り返し単位の含有量が5〜90重量%である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
    Figure 2019068028
    (式(15)中、
    Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
    、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
    、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
    Figure 2019068028
    (式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
  7. 請求項6に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
    前記陽極が設けられた前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
    前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
    を含み、
    前記正孔輸送層を形成する工程が、高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程であり、前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの5〜90重量%が、下記式(15)で表される繰り返し単位である、光電変換素子の製造方法。
    Figure 2019068028
    (式(15)中、
    Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
    、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
    、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
    Figure 2019068028
    (式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
  8. 2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および、溶媒を含む、請求項1または2に記載の光電変換素子の活性層形成用塗布液であって、
    前記2価の金属イオン(M)、前記ハロゲン化物イオン(X)、および前記1価のカチオン(A)の含有モル比(M:X:A)が、x:(1+2x):1であり、
    ここで、xは、下記式:
    1.01≦x≦1.15を満たし、
    前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンを含み、前記溶媒におけるN−メチル−2−ピロリドンの体積百分率が、1体積%以上15体積%以下である、請求項1または2に記載の光電変換素子の活性層形成用塗布液。
  9. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
    前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接する正孔輸送層とを含み、
    前記正孔輸送層および前記活性層のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する、光電変換素子。
    Figure 2019068028
    [式(1)中、
    Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
    Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
    Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
    nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
    mは、1以上の整数を表す。
    mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  10. 陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
    前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
    前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
    を含み、
    前記正孔輸送層を形成する工程および前記活性層を形成する工程のうちの一方または双方が、下記式(1)で表される化合物を含有する材料を用いて形成する工程である、光電変換素子の製造方法。
    Figure 2019068028
    [式(1)中、
    Qは、置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す。
    Aは、炭素原子数1〜3のアルキレン基を表す。
    Xは、水酸基、カルボキシ基、またはニトロ基を表す。
    nは、Qが置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す場合は1を表し、Qが置換基を有していてもよいm価の飽和脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよいm価のエチレン性不飽和脂環式炭化水素基を表す場合は0または1を表す。
    mは、1以上の整数を表す。
    mが2以上の整数を表す場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数あるnは、互いに同一でも異なっていてもよい。mが2以上の整数を表し、かつAが複数ある場合、複数あるAは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  11. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
    前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接する正孔輸送層とを含み、
    前記正孔輸送層が、下記式(8)で表される繰り返し単位を含有する高分子化合物を含む、光電変換素子。
    Figure 2019068028
    (式(8)中、
    Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
    、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    dおよびeは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦d+e≦1である。
    、EおよびEのうちの少なくとも1個は下記式(9)で表される置換基を有する。
    Figure 2019068028
    (式(9)中、
    Zは、ヒドロキシ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ基、−COORで表される基、スルファニル基、またはアミノ基を表す。
    は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、またはハロゲン原子を表す。
    Xは2価の連結基を表す。
    nは、0または1を表す。))
  12. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極および前記陰極の間に設けられ、ペロブスカイト化合物を含有する活性層と、
    前記陽極および前記活性層の間に設けられ、前記活性層と接しており、高分子化合物を含有する正孔輸送層とを含み、
    前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの下記式(15)で表される繰り返し単位の含有量が5〜90重量%である、光電変換素子。
    Figure 2019068028
    (式(15)中、
    Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
    、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
    、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
    Figure 2019068028
    (式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
  13. 陽極が設けられた支持基板を用意する工程と、
    前記陽極が設けられた前記支持基板に正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層が設けられた前記支持基板に、ペロブスカイト化合物を含有する活性層を形成する工程と、
    前記活性層が設けられた前記支持基板に陰極を形成する工程と
    を含み、
    前記正孔輸送層を形成する工程が、高分子化合物を含む材料を用いて正孔輸送層を形成する工程であり、前記正孔輸送層が含有するすべての前記高分子化合物を構成するすべての繰り返し単位のうちの5〜90重量%が、下記式(15)で表される繰り返し単位である、光電変換素子の製造方法。
    Figure 2019068028
    (式(15)中、
    Ar18、Ar19、Ar20およびAr21は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
    、EおよびEは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    hおよびiは、それぞれ独立に、0または1を表し、かつ0≦h+i≦1である。
    、EおよびEのうちの少なくとも1つは下記式(16)で表される置換基を有する。
    Figure 2019068028
    (式(16)中、R12およびR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基を表す。R14は、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R12が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R13が複数個ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。p1およびq1は、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。))
  14. 2価の金属イオン(M)、ハロゲン化物イオン(X)、1価のカチオン(A)、および、溶媒を含む、活性層形成用塗布液であって、
    前記2価の金属イオン(M)、前記ハロゲン化物イオン(X)、および前記1価のカチオン(A)の含有モル比(M:X:A)が、x:(1+2x):1であり、
    ここで、xは、下記式:
    1.01≦x≦1.15を満たし、
    前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンを含み、前記溶媒におけるN−メチル−2−ピロリドンの体積百分率が、1体積%以上15体積%以下である、
    活性層形成用塗布液。
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