JP6165536B2 - インク組成物及び有機光電変換素子の製造方法 - Google Patents

インク組成物及び有機光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インク組成物及びこれを用いる有機光電変換素子の製造方法に関する。
有機太陽電池等の有機光電変換素子は、一般に光電変換層である活性層と、電荷注入層や電荷輸送層等の機能層とを有しており、活性層上に機能層を塗布法により形成することが検討されている。例えば、特開2011−168747号公報(特許文献1)には溶媒としてエチルアルコールを含むインク組成物を用いて、電子輸送層を形成することが記載されている。また、特開2012−99592号公報(特許文献2)には、溶媒として2−プロパノールを含むインク組成物を用いて、正孔輸送層を形成することが記載されている。
特開2011−168747号公報 特開2012−99592号公報
活性層上に機能層を塗布法により形成する場合、インク組成物の溶媒としてエチルアルコールや2−プロパノールのごとき引火点が低い溶媒よりも、引火点が高い溶媒が安全性の観点から好ましい。また、インク組成物の溶媒には、活性層にダメージを与えにくく、有機光電変換素子の光電変換効率を低下させにくいことが求められる。
そこで本発明の目的は、活性層と前記活性層上に形成された機能層とを有する有機光電変換素子における、前記機能層を塗布法により形成するために用いられるインク組成物であって、引火点が高く、活性層にダメージを与えにくい溶媒を含むインク組成物を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、活性層と前記活性層上に形成された機能層とを有する有機光電変換素子における、前記機能層を塗布法により形成するために用いられるインク組成物であって、溶媒としてペンチルアルコールを溶媒の全量に対して50重量%以上含むインク組成物を提供する。
また本発明は、活性層と前記活性層上に形成された機能層とを有する有機光電変換素子の製造方法であって、前記インク組成物を用いて塗布法により前記機能層を形成する有機光電変換素子の製造方法を提供する。
本発明のインク組成物は、引火点が高く、活性層にダメージを与えにくい溶媒を含んでおり、これを用いることにより、光電変換効率が高い有機光電変換素子を安全に製造することができる。
本発明のインク組成物は、活性層と、前記活性層上に塗布法により形成された機能層とを有する有機光電変換素子における前記機能層を形成するためのインク組成物である。
<1>有機光電変換素子の構成
有機光電変換素子は活性層と機能層を有しており、典型的には支持基板上に、第一の電極、活性層、機能層及び第二の電極がこの順に積層された構成を有している。
第一の電極及び第二の電極のうちの少なくとも一方は、透明又は半透明の電極によって構成される。透明又は半透明の電極から入射した光は、活性層中において、後述の電子受容性化合物及び/又は電子供与性化合物に吸収され、それによって電子と正孔とが結合した励起子が生成される。この励起子が活性層中を移動し、電子受容性化合物と電子供与性化合物とが隣接するヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子と正孔とが分離し、独立して移動することのできる電荷(電子と正孔)が発生する。発生した電荷は、電荷注入及び/又は電荷輸送の機能を有する機能層を経由して、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出される。
(支持基板)
支持基板には、有機光電変換素子を作製する際に化学的に変化しないものが好適に用いられる。支持基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、シリコン板等が挙げられる。透明又は不透明な第一の電極から光を取り込む形態の有機光電変換素子の場合、支持基板には光透過性の高い基板が好適に用いられる。また不透明な基板上に有機光電変換素子を作製する場合には、第一の電極側から光を取り込むことができないため、第二の電極が透明又は半透明な電極から構成される。このような電極を用いることにより、たとえ不透明な支持基板を用いたとしても、支持基板側に設けられる第一の電極とは反対側の第二の電極から光を取り込むことができる。
(電極)
有機光電変換素子は第一の電極及び第二の電極からなる一対の電極を有する。第一の電極及び第二の電極のいずれか一方は陽極であり、他方は陰極である。第一の電極及び第二の電極のうち少なくとも一方は、透明又は半透明であることが好ましい。透明又は半透明の電極の材料としては、導電性を有する金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅が挙げられ、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。また、電極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
第一の電極及び第二の電極のいずれか一方は、不透明であってもよい。不透明の電極として、例えば、光を透過しない程度の膜厚の金属薄膜を用いることができる。不透明な電極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物が挙げられる。
電極の作成方法の例としては、真空蒸着方、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
(活性層)
活性層は、単層の形態または複数の層が積層された形態をとりうる。単層構成の活性層は、電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する層から構成される。
また複数の層が積層された構成の活性層は、たとえば電子供与性化合物を含有する第一の活性層と、電子受容性化合物を含有する第二の活性層とを積層した積層体から構成される。なおこの場合、第一の活性層が、第二の活性層に対して陽極寄りに配置される。
また、有機光電変換素子は、中間層を介して複数の活性層が積層された構成であっても構わない。このような場合は、マルチ接合型素子(タンデム型素子)となる。なおこの場合、各活性層は、電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する単層型であっても構わないし、電子供与性化合物を含有する第一の活性層と、電子受容性化合物を含有する第二の活性層とを積層した積層体から構成された積層型であっても構わない。
中間層は、単層の形態または複数の層が積層された形態をとりうる。中間層はいわゆる電荷注入層や電荷輸送層によって構成される。中間層には、たとえば後述の電子輸送性材料を含む機能層を用いることができる。
活性層は真空蒸着法や塗布法等により形成されるが、塗布法により形成されることが好ましい。また活性層は、高分子化合物を含むことが好ましく、高分子化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、活性層の電荷輸送性を高めるために、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物を混合してもよい。
有機光電変換素子に用いられる電子受容性化合物は、そのHOMOエネルギーが電子供与性化合物のHOMOエネルギーよりも高く、かつ、そのLUMOエネルギーが電子供与性化合物のLUMOエネルギーよりも高い化合物から成る。
前記電子供与性化合物は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。低分子の電子供与性化合物としては、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ポルフィリン、金属ポルフィリン、オリゴチオフェン、テトラセン、ペンタセン、ルブレン等が挙げられる。
高分子の電子供与性化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
前記電子受容性化合物は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。低分子の電子受容性化合物としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60等のフラーレン類及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。高分子の電子受容性化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。これらのなかでも、とりわけフラーレン類及びその誘導体が好ましい。
フラーレン類としては、C60、C70などのフラーレンやカーボンナノチューブが挙げられる。フラーレン類の誘導体としては、たとえばC60フラーレンの誘導体の具体的構造については、以下のようなものが挙げられる。
Figure 0006165536
活性層が、フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体からなる電子受容性化合物と、電子供与性化合物とを含有する構成では、フラーレン類及びフラーレン類の誘導体の割合が、電子供与性化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、50〜500重量部であることがより好ましい。また有機光電変換素子としては、前述の単層構成の活性層を備えることが好ましく、ヘテロ接合界面を多く含むという観点からは、フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体からなる電子受容性化合物と、電子供与性化合物とを含有する単層構成の活性層を備えることがより好ましい。
中でも活性層は、共役高分子化合物と、フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体とを含むことが好ましい。活性層に用いられる共役高分子化合物としては、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等があげられる。
活性層の膜厚は、通常、1nm〜100μmであり、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらに好ましくは20nm〜200nmである。
(機能層)
機能層は、少なくとも1つは本発明のインク組成物を用いて活性層上に塗布法により形成される。さらに機能層は本発明のインク組成物を用いて形成されるものに限らず、複数形成されてもよい。機能層は第一の電極及び第二の電極の少なくとも一方の電極と活性層の間及び/又は活性層が複数ある場合は活性層と活性層の間に形成されてもよく、単層の形態又は複数の層が積層された形態をとりうる。
機能層が複数形成される場合、真空蒸着法や塗布法等により形成されるが、塗布法により形成されることが好ましい。活性層又は機能層を塗布法により形成する場合、塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法及びキャピラリーコート法が挙げられる。
機能層としては、電荷輸送層、電荷注入層が挙げられる。電荷輸送層、電荷注入層、即ち、ホール輸送層、電子輸送層、ホール注入層、電子注入層に用いられる材料として、それぞれ前述の電子供与性化合物、電子受容性化合物を用いることができる。その他電荷輸送層、電荷注入層として用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物等を用いることができる。また、酸化チタン、酸化亜鉛等酸化物の微粒子を用いることもできる。
本発明のインク組成物は、機能層に用いる材料と溶媒とを含くむ混合液である。インク組成物に含まれる溶媒は、溶媒の全重量を100重量%として、ペンチルアルコールが50重量%以上含有され、引火点を高くする観点からペンチルアルコールが60重量%以上含有されることが好ましく、80重量%以上含有されることがより好ましい。ペンチルアルコールは、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3-メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール及び2,2−ジメチル−1−プロパノールからなる群より選ばれる1種以上の溶媒よりなり、このうち活性層へのダメージを防ぐ観点から、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール及び3-メチル−1−ブタノールからなる群より選ばれることが好ましく、1−ペンタノール、2−ペンタノール及び3−ペンタノールからなる群より選ばれることがより好ましく、とりわけ3−ペンタノールであることが最も好ましい。
インク組成物に含まれてもよいペンチルアルコール以外の溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール及び水が挙げられる。これらの溶媒は、引火点が低くならない程度の割合で、2種類以上混合してもよい。ペンチルアルコールより短鎖のアルコールは、活性層上に塗布した場合、活性層にダメージを与えず、光電変換効率が低下しないので好ましい。活性層へのダメージは、主に活性層に含まれる化合物が溶媒へ溶解するために起こると考えられる。
本発明の有機光電変換素子の製造方法は、活性層上に上記のインク組成物を用いて塗布法により機能層を形成することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法である。上述の通り、典型的には、支持基板上に、第一の電極、活性層、機能層及び第二の電極がこの順に積層することによって製造される。
有機光電変換素子は、透明又は半透明の電極に太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。また有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
また、有機光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明又は半透明の電極に光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例において、重合体の分子量として、GPCラボラトリー製GPC(PL−GPC2000)を用いてポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。重合体の濃度が約1重量%となるようにo−ジクロロベンゼンに重合体を溶解させた。GPCの移動相にはo−ジクロロベンゼンを用い、測定温度140℃で、1mL/分の流速で流した。カラムは、PLGEL 10μm MIXED−B(PLラボラトリー製)を3本直列で繋げた。
合成例1
(化合物2の合成)
Figure 0006165536
化合物1 化合物2
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、国際公開第2011/052709号の記載に従って合成した化合物1を2.00g(3.77 mmol)、脱水テトラヒドロフランを100mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ち、該溶液に1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液5.89mL(9.42mmol)を10分かけて滴下した。滴下後、反応液を−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で2時間攪拌した。その後、フラスコを−78℃に冷却し、反応液にトリブチルスズクロリドを3.37g(10.4mmol)加えた。添加後、反応液を−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で3時間攪拌した。その後、反応液に水200mlを加えて反応を停止し、酢酸エチルを加えて反応生成物を含む有機層を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、濾液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られたオイル状の物質を展開溶媒がヘキサンであるシリカゲルカラムで精製した。シリカゲルカラムのシリカゲルには、あらかじめ10重量%のトリエチルアミンを含むヘキサンに5分間浸し、その後、ヘキサンで濯いだシリカゲルを用いた。精製後、化合物2を3.55g(3.20mmol)得た。
合成例2
(重合体1の合成)
Figure 0006165536
化合物3 化合物2 化合物4
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに、国際公開第2011/052709号の記載に従って合成した化合物3を800mg(0.760 mmol)、化合物2を840mg(0.757mmol)、国際公開第2011/052709号の記載に従って合成した化合物4を471mg(1.43mmol)、トルエンを107ml入れて均一な溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを19.6mg(0.0214mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを39.1mg(0.128mmol)加え、100℃で6時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミドを660mg加え、さらに5時間攪拌した。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメチルアルコール2000mLに注いだ。析出したポリマーを濾過して集め、得られたポリマーを円筒濾紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて、メチルアルコール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ5時間抽出した。円筒濾紙内に残ったポリマーを、o−ジクロロベンゼン53mLに溶解させ、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1.21gと水12mLとを加え、8時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水200mlで2回洗浄し、次いで、3重量%の酢酸水溶液200mLで2回洗浄し、次いで、水200mLで2回洗浄し、得られた溶液をメチルアルコールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーを濾過後、乾燥させ、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン62mLに再度溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメチルアルコールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体802mgを得た。以下、この重合体を重合体1と呼称する。
合成例1
(重合体2の合成)
Figure 0006165536
内部の気体をアルゴン置換した2L四つ口フラスコに、上記化合物A(7.928g、16.72mmol)、上記化合物B(13.00g、17.60mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH27CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)(4.979g)、およびトルエン405mlを入れ、撹拌しながら系内を30分間アルゴンバブリングした。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.02g)を加え、105℃に昇温、撹拌しながら2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液42.2mlを滴下した。滴下終了後5時間反応させ、フェニルボロン酸(2.6g)とトルエン1.8mlを加えて105℃で16時間撹拌した。トルエン700mlおよび7.5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物水溶液200mlを加えて85℃で3時間撹拌した。水層を除去後、60℃のイオン交換水300mlで2回、60℃の3%酢酸300mlで1回、さらに60℃のイオン交換水300mlで3回洗浄した。有機層をセライト、アルミナ、シリカを充填したカラムに通し、熱トルエン800mlでカラムを洗浄した。溶液を700mlまで濃縮した後、2Lのメチルアルコールに注加、再沈殿させた。重合体をろ過して回収し、500mlのメチルアルコール、アセトン、メチルアルコールで洗浄した。50℃で一晩真空乾燥することにより、下記式:
Figure 0006165536
で表される繰返し単位を有するペンタチエニル−フルオレンコポリマー(以下、「重合体2」という)を12.21g得た。重合体1のポリスチレン換算の数平均分子量は5.4×104、重量平均分子量は1.1×105であった。
(組成物1の製造)
フラーレン類の誘導体として10重量部の[6,6]−フェニルC71−酪酸メチルエステル(C70PCBM)(アメリカンダイソース社製ADS71BFA)と、電子供与体化合物として5重量部の重合体1と、溶媒として1000重量部のo−ジクロロベンゼンとを混合した。次に、混合した溶液を、孔径1.0μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して組成物1を調製した。
(組成物2の製造)
フラーレン類の誘導体として15重量部の[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)(フロンティアカーボン社製E100)と、電子供与体化合物として5重量部の重合体2と、溶媒として1000重量部のo−ジクロロベンゼンとを混合した。次に、混合した溶液を、孔径1.0μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して組成物2を調製した。
参考例1
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEDOT:PSS溶液(ヘレウス社製、CleviosP VP AI4083)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。この正孔注入層上に、前記組成物1をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約100nm)を形成した。
次に、その後、真空蒸着機によりカルシウムを4nm、その後、アルミニウムを膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10-3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
実験例1
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
参考例1において、活性層を形成後、活性層上に機能層を塗布形成した際の溶媒による活性層への影響を確認するため、活性層上に1−ペンタノールを滴下し、4000rpmの回転速度でスピンさせることにより溶媒リンスを行った。
次に、その後、真空蒸着機によりカルシウムを4nm、その後、アルミニウムを膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10-3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
実験例2
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに2−ペンタノールを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
実験例3
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに3−ペンタノールを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例1
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに2−プロパノールを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例2
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりにエチルアルコールを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例3
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに1−ヘキサノールを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例4
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに2−ヘキサノールを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例5
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに1−オクタノールを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例6
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりにメチルエチルケトンを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例7
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりにプロピレングリコールモノメチルエーテルを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
比較実験例8
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりにエチレングリコールモノn−ブチルエーテルを使用した以外は、実験例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表1に光電変換効率を示す。
以上に用いたリンス溶媒の引火点を表1に示す。引火点は国際化学物質安全カード(ICSC)からの引用である。
表1
Figure 0006165536
参考例2
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEDOT:PSS溶液(ヘレウス社製、CleviosP VP AI4083)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。この正孔注入層上に、前記組成物2をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約100nm)を形成した。
次に、その後、真空蒸着機によりカルシウムを4nm、その後、アルミニウムを膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10-3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。表2に光電変換効率を示す。
実験例4
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
参考例2において、活性層を形成後、活性層上に機能層を塗布形成した際の溶媒による活性層への影響を確認するため、活性層上に1−ペンタノールを滴下し、4000rpmの回転速度でスピンさせることにより溶媒リンスを行った。
次に、その後、真空蒸着機によりカルシウムを4nm、その後、アルミニウムを膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10-3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。表2に光電変換効率を示す。
実験例5
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに2−ペンタノールを使用した以外は、実験例4と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表2に光電変換効率を示す。
実験例6
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに3−ペンタノールを使用した以外は、実験例4と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表2に光電変換効率を示す。
比較実験例9
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに2−プロパノールを使用した以外は、実験例4と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表2に光電変換効率を示す。
比較実験例10
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
1−ペンタノールの代わりに1−ヘキサノールを使用した以外は、実験例4と同様にして有機薄膜太陽電池を作成し、光電変換効率を測定した。表2に光電変換効率を示す。
以上に用いたリンス溶媒の引火点を表1に示す。引火点は国際化学物質安全カード(ICSC)からの引用である。
表2
Figure 0006165536
表1、2に示すように、2−プロパノールやエチルアルコールは、光電変換効率の低下が見られないが、引火点が低い。また、1−ヘキサノールや1−オクタノール等の引火点が高い溶媒は、光電変換効率の低下が大きく、活性層にダメージを与えていると考えられる。一方、ペンチルアルコールは、引火点が高く、かつ、活性層にダメージを与えにくいことがわかった。よって、溶媒がペンチルアルコールを50重量%以上含む本発明のインク組成物は、溶媒の引火点が高く、かつ、活性層にダメージを与えにくいため有効である。

Claims (3)

  1. フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体と共役高分子化合物とを含む活性層と前記活性層上に形成された機能層とを有する有機光電変換素子における、前記機能層を塗布法により形成するために用いられるインク組成物であって、溶媒としてペンチルアルコールを溶媒の全量に対して50重量%以上含むインク組成物。
  2. 前記ペンチルアルコールが3−ペンタノールである請求項1に記載のインク組成物。
  3. フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体と共役高分子化合物とを含む活性層と前記活性層上に形成された機能層とを有する有機光電変換素子の製造方法であって、請求項1又は2に記載のインク組成物を用いて塗布法により前記機能層を形成する有機光電変換素子の製造方法。
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