JP2019063754A - 合成ガスから炭化水素を製造する触媒、触媒の製造方法、及び合成ガスから炭化水素を製造する方法 - Google Patents

合成ガスから炭化水素を製造する触媒、触媒の製造方法、及び合成ガスから炭化水素を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、触媒の強度や耐摩耗性を損なうことなく、高活性、長寿命及び高耐水性を発現する触媒と触媒の製造方法、及び該触媒を用いた炭化水素の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】合成ガスから炭化水素を製造する触媒であって、シリカを主成分とする触媒担体に、コバルト金属とチタニウム酸化物、又は、コバルト金属とコバルト酸化物とチタニウム酸化物を担持してなり、該触媒の不純物含有量が0.070質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、一酸化炭素と水素を主成分とする、いわゆる合成ガスから炭化水素を製造するための触媒とその製造方法、及び該触媒を用いた炭化水素の製造方法に関する。
近年、地球温暖化等の環境問題が顕在化し、他の炭化水素燃料、石炭等と比較してH/Cが高く、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素排出量を抑えることができ、埋蔵量も豊富な天然ガスの重要性が見直されてきており、今後ますますその需要は増加するものと予想されている。そのような状況の中、東南アジア・オセアニア地域等には、パイプライン・LNGプラント等のインフラが未整備の遠隔地で発見されたものの、その可採埋蔵量が巨額の投資を必要とするインフラ建設には見合わず、未開発のまま残されている数多くの中小規模ガス田が存在し、その開発促進が望まれている。その有効な開発手段の一つとして、天然ガスを合成ガスに変換した後、合成ガスからFischer−Tropsch(F−T、フィッシャー・トロプシュ)合成反応を用いて輸送性・ハンドリング性の優れた灯・軽油等の液体炭化水素燃料に転換する技術の開発が各所で精力的に行われている。
Figure 2019063754
このF−T合成反応は、触媒を用いて合成ガスを炭化水素に転換する発熱反応であるが、プラントの安定操業のためには反応熱を効果的に除去することが極めて重要である。現在までに実績のある反応形式には、気相合成プロセス(固定床、噴流床、流動床)と、有機溶媒中での液相合成プロセス(スラリー床)があり、それぞれ特徴を有しているが、近年、熱除去効率が高く、生成した高沸点炭化水素の触媒上への蓄積やそれに伴う反応管閉塞が起こらないスラリー床液相合成プロセスが注目を集め、精力的に開発が進められているところである。
一般的に触媒の活性は、高ければ高いほど好ましいことは言うまでもないが、特にスラリー床では、良好なスラリー流動状態を保持するためにはスラリー濃度を一定の値以下にする必要があるという制限が存在するため、触媒の高活性化は、プロセス設計の自由度を拡大する上で、非常に重要な要素となる。
現在までに報告されている各種F−T合成用触媒の活性は、一般的な生産性の指標である、炭素数が5以上の液状炭化水素の生産性(炭化水素生産性)で高々1(kg−炭化水素/kg−触媒/時間)程度であり、前記観点からは必ずしも十分とは言えない(非特許文献1参照)。ここで、液状炭化水素の生産性とは、触媒単位質量あたりの液体生成物の製造速度のことであり、触媒の活性を評価する指標として用いられる。
触媒の活性を向上させる方法の一つとして、担体として用いるシリカ中のナトリウム含有量を低下させることが有効であるとの報告があるが(非特許文献2参照)、ナトリウム含有量が0.01質量%を下回るものと、0.3質量%程度のものを比較したのみであり、ナトリウム含有量をどの程度低下させることで効果が発現するかという具体的な記述は一切無かった。
また、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの不純物が触媒の活性に与える影響を詳細に検討した結果、不純物濃度を一定範囲の触媒とすることで、従来の触媒と比較して活性を大きく向上させた例がある(特許文献1参照)。
また、一般的にF−T合成反応触媒の粒子径は、熱や物質の拡散が律速となる可能性を低くするという観点からは、小さいほど好ましい。しかし、スラリー床によるF−T合成反応では、生成する炭化水素の内、高沸点炭化水素は反応容器内に蓄積されるため、触媒と生成物との固液分離操作が必ず必要になることから、触媒の粒子径が小さすぎる場合、分離操作の効率が大きく低下するという問題が発生する。よって、スラリー床でのF−T合成反応用の触媒には最適な粒子径範囲が存在することになり、一般的に20〜250μm程度、平均粒径として40〜150μm程度が好ましいとされているが、以下に示すように、反応中に触媒が破壊、粉化を起こして、粒子径が小さくなることがあり、注意が必要である。
即ち、スラリー床でのF−T合成反応では相当高い原料ガス空塔速度(0.1m/秒以上)で運転されることが多く、触媒粒子は反応中に激しく衝突するため、触媒粒子の物理的な強度や耐摩耗性(耐粉化性)が不足すると、反応中に触媒粒径が低下して、上記分離操作に不都合をきたすことがある。更に、F−T合成反応では多量の水を副生するが、耐水性が低く、水により強度低下や破壊、粉化を起こし易い触媒を用いる場合は、反応中に触媒粒径が細かくなることがあり、上記と同様に分離操作に不都合をきたすことになる。
また、一般的に、スラリー床でのF−T合成反応用の触媒は、上記したような最適粒径となるように粉砕して粒度調整をして実用に供することが多い。ところが、このような破砕状の触媒には予亀裂が入っていたり、鋭角な突起が生じていたりすることが多く、機械的強度や耐摩耗性に劣る。そのため、破砕状の触媒をスラリー床でのF−T合成反応に用いた場合には、触媒が破壊して微粉が発生することになり、生成する高沸点炭化水素と触媒との分離が著しく困難になるという欠点を有していた。また、多孔質シリカをF−T合成反応用の触媒担体として用いると、比較的活性が高い触媒が得られることが広く知られているが、破砕による粒度調整を行った場合には、上述したような理由により触媒の強度が低下することはもちろん、シリカは耐水性が低く、水の存在により破壊、粉化することが多いため、特にスラリー床で問題となることが多かった。
F−T反応により副生する水が多量に存在する反応雰囲気下(特にCO転化率が高い雰囲気下)では、主に、活性金属である担持コバルトとシリカ担体との界面でコバルトシリケートを形成したりすること、担持コバルト自体が酸化されたり、シンタリングが起こること、等によると思われる触媒活性低下の現象が発生することがあり、問題となっていた。またこの現象は触媒の経時劣化速度の促進、即ち触媒寿命を低下させてしまうことにも繋がるため、操業コストを引き上げる要因となっていた。これら一連の問題は、活性を示すコバルト粒子の「耐水性が低い」と表現することができる。
上記の触媒活性低下は、特にCO転化率が高い雰囲気下において、副生水の分圧が増加することによって触媒の劣化速度が大きくなり顕著に現われる。しかしながら、40〜60%のようなCO転化率が高くない雰囲気下でも、副生水の分圧に応じて比較的小さい速度で触媒の劣化が進行し、触媒活性が低下することになる。従って、触媒寿命の観点からは、CO転化率が比較的低い条件においても、耐水性を向上することが重要である。
上述したような、コバルトシリケートの形成抑制、及び活性向上に関しては、ジルコニウムの添加が有効であるとされているが、その効果を発現させるためには、コバルト質量の約半分という多量のジルコニウムを必要としたり、多量のジルコニウムを添加した場合でも、その効果は十分ではなかった(特許文献2参照)。
触媒活性低下の要因としては、上記の他に、コバルト表面上、あるいは担持コバルトとシリカ担体の界面における炭素析出が挙げられる。炭素成分でコバルト表面が覆われることにより、原料ガスと接触可能なコバルト表面積が減少することになり、触媒活性は低下することになる。この他、原料ガス中の硫黄成分、窒素成分等による被毒や、コバルト金属が反応中に凝集してしまうシンタリングが触媒活性低下の要因として一般的に知られている。
特開2004−322085号公報 米国特許第6740621号明細書
R. Oukaci et al., Applied Catalysis A:Genaral, 186(1999)129-144 J. Chen, Cuihua Xuebao, Vol.21, 2000, P169-171
本発明は、触媒を用いて合成ガスから炭化水素を製造する際に、担持コバルトとシリカ担体との界面におけるシンタリングや炭素析出の発生、および副生水の発生に起因すると考えられる触媒の活性低下を抑制することを目的とするものである。すなわち、本発明の課題は、副生水が大量に発生する条件下、特に高いCO転化率条件下でも安定的に使用することが可能であり、かつ触媒寿命の長い、合成ガスから炭化水素を製造する触媒、及び当該触媒の製造方法、並びに当該触媒を用いた炭化水素の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、F−T合成反応を用いて合成ガスから炭化水素を製造する際、シリカを主成分とする担体に、コバルト金属とチタニウム酸化物、又は、コバルト金属及びコバルト酸化物並びにチタニウム酸化物を担持してなる不純物の少ない触媒を用いると、コバルト金属、又は、コバルト金属及びコバルト酸化物は担持するが、チタニウム酸化物を担持しない不純物の少ない触媒を用いた場合と比較して、副生水が大量に発生する条件下、特に高いCO転化率条件下において著しく触媒の耐水性が向上し、触媒の安定化を図れること、また、比較的低いCO転化率条件下においても触媒寿命が増加すること、を見出して本発明に至った。
尚、本発明でいう触媒中の不純物には、シリカを主成分とする触媒担体中の不純物も含まれる。更に詳しくは、以下に記す通りである。
(1)合成ガスから炭化水素を製造する触媒であって、シリカを主成分とする触媒担体に、コバルト金属とチタニウム酸化物、又は、コバルト金属とコバルト酸化物とチタニウム酸化物を担持してなり、該触媒中のナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が0.070質量%以下であることを特徴とする合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
(2)前記触媒中のナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が0.030質量%以下であることを特徴とする(1)に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
(3)前記触媒中のコバルト金属の担持率、又は前記触媒中のコバルト金属及びコバルト酸化物の担持率が、コバルト金属換算で5〜50質量%、かつ、前記触媒中のチタニウム酸化物の担持量と、前記触媒中のコバルト金属の担持量又は前記触媒中のコバルト金属及びコバルト酸化物の担持量とのモル比(Ti/Co)が0.03〜0.6であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
(4)前記触媒担体が球状であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
(5)(1)〜(4)の何れか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法であって、シリカを主成分とする触媒担体に、コバルト前駆体およびチタニウム前駆体を用いて、含浸法によって、コバルト化合物、チタニウム化合物を、それぞれ別々に担持し、前記各化合物の担持後に、乾燥処理、乾燥処理及び焼成処理、又は、乾燥処理、焼成処理及び還元処理を行って製造することを特徴とする合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(6)前記含浸法を用いて、前記コバルト化合物、前記チタニウム化合物を担持する際、最初に前記チタニウム化合物を担持し、次に前記コバルト化合物を担持することを特徴とする(5)に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(7)前記含浸法で使用する前記コバルト前駆体が、酢酸コバルトであることを特徴とする(5)又は(6)に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(8)前記触媒担体中に含まれるナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が、0.080質量%以下であることを特徴とする(5)〜(7)のいずれか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(9)前記触媒担体中に含まれるナトリウムの単体及び化合物の金属換算としての含有量が0.030質量%以下であることを特徴とする(5)〜(8)のいずれか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(10)前記シリカを主成分とする触媒担体を製造する際、珪酸アルカリ水溶液と酸水溶液とを混合して生成させたシリカゾルをゲル化し、酸処理、水洗処理の少なくともいずれかを行った後、焼成させて製造することを特徴とする(5)〜(9)の何れか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(11)前記シリカゾルのゲル化後の酸処理、水洗処理の少なくともいずれかにおいて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が0.06質量%以下である水を用いることを特徴とする(10)記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(12)前記ゲル化は、前記シリカゾルを、気体媒体中に噴霧させて球状に成形して成すことを特徴とする(10)又は(11)に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(13)前記シリカを主成分とする触媒担体に、イオン交換水、酸、アルカリのうち少なくとも何れかによる洗浄を施して、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの濃度を低下させてから、前記コバルト化合物及び前記チタニウム化合物を担持させることを特徴とする(5)〜(12)のいずれか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
(14)(1)〜(4)の何れか一項に記載の触媒を用いて、スラリー床での液相反応で、合成ガスから炭化水素を製造することを特徴とする合成ガスから炭化水素を製造する方法。
本発明によれば、副生水が大量に生成する条件下、特に高いCO転化率条件下でも、安定性が高く、寿命が長い、触媒及びその製造方法並びに当該触媒を用いた合成ガスから炭化水素を製造する方法を提供できる。
以下、本発明の合成ガスから炭化水素を製造する触媒、および当該触媒の製造方法、ならびに合成ガスから炭化水素を製造する方法の一実施形態を更に詳述する。まず、本実施形態に係る合成ガスから炭化水素を製造する際の触媒ついて説明する。
本実施形態における触媒は、F−T合成反応に活性を有するコバルト系触媒であり、シリカを主成分とする触媒担体(以下、単に担体とも言う)、活性触媒となるコバルト金属、助触媒となるチタニウム酸化物を有する。なお、活性触媒であるコバルト成分は、主に金属担体(コバルト金属)として存在するが、一部が酸化物(コバルト酸化物)として存在していてもよい。すなわち、本実施形態における触媒は、シリカを主成分とする触媒担体に、コバルト金属とチタニウム酸化物、又は、コバルト金属とコバルト酸化物とチタニウム酸化物を担持してなるものである。
F−T合成反応に対する活性は、主にコバルト金属が担う。以下で記載するように、一旦はコバルト金属とコバルト酸化物が混合した状態で担体に担持されるが、水素気流中500℃程度の高温下で還元処理を施して大部分をコバルト金属とした後にF−T合成反応に供される。
コバルト金属やコバルト酸化物を担持する担体としては、シリカを主成分とするものを選定し、使用するものである。ここでいうシリカを主成分とする担体とは、シリカ以外にアルミナやマグネシアなどの複合酸化物が含まれても構わない。またシリカを主成分とする担体のシリカの質量割合は50%以上である。
本実施形態の担体としては、シリカ以外の成分として、シリカ担体の製造工程において不可避的に混入する不純物を少量含んでいる担体や、酸点を導入したい場合などに、アルミナ又はゼオライトとの複合酸化物にした担体、も含まれる。(以下、シリカを主成分とする担体を、単に「シリカ担体」とも言う)。
また後に詳述するが、本実施形態のシリカ担体における不純物とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの単体および化合物を指し、これら不純物の含有量を制限する。これら不純物は、主にシリカ担体の出発原料又はシリカ担体の製造工程で使用される洗浄水に含有されていたり、あるいは製造工程で使われる反応装置から直接混入することで、該触媒担体に不可避的に含有され得る不純物で、触媒能力に影響を及ぼす。また、シリカ担体にコバルト金属とチタニウム酸化物、又は、コバルト金属及びコバルト酸化物並びにチタニウム酸化物を担持する製造工程でも、前記と同様に不可避的に混入し得る。
前記の各々の製造工程で、一般的に不可避的に含有され得る不純物としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム以外に、鉄、アルミニウムも挙げられる。但し、不純物元素のアルミニウムは、シリカ担体の出発原料である珪砂に含まれるアルミニウム酸化物が殆どで、シリカ担体中ではアルミナやゼオライトの形態で存在するため、本発明における触媒能力に影響を及ぼさない。鉄についても、それ自体がF−T反応活性があることが知られており、前記のような各々の製造工程で混入されるレベルの量ではF−T反応活性にほとんど影響を及ぼさない。
以上のことから、本実施形態では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの各単体及びそれぞれの化合物の含有量を低減することとする。以下、本実施形態において、単に不純物と記載する場合には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのことを指す。
不純物であるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムは主に化合物の形態で存在し、特に酸化物の形態で存在するが、金属単体や酸化物以外の形態でも少量存在し得る。良好な触媒活性、寿命及び高い耐水性を発現させるためには、触媒中の不純物の総量は金属換算で0.070質量%以下(但し、シリカ担体を含めた触媒全体の質量を100%とする(金属換算しない質量))に抑える必要がある。この量を上回ると活性が大きく低下するため、著しく不利となる。特に好ましくは、触媒中の不純物の総量は金属換算で0.030質量%以下である。しかし、不純物量を必要以上に低減することは純度向上にコストがかかり不経済となるため、触媒中の不純物の総量は金属換算で0.01質量%以上とすることが好ましい。
不純物濃度の測定方法としては、フッ化水素酸を用いて担体や触媒を溶解した後、ICP発光分光分析の手法を用いればよい。触媒全体中の不純物濃度を測定するには、触媒全体を、フッ化水素酸を用いて溶解した後、ICP発光分光分析で各不純物成分を分析すればよい。また、触媒の製造工程は多段階であるため、各段階での不純物を分析することが好ましい。例えば、まず使用する担体のみで不純物分析を行い、次にチタン酸化物を担持した段階で不純物分析を行い、さらにコバルト金属を担持した段階で不純物分析を行うことで、担体のみの不純物の量、担体にチタン酸化物を担持したことによる不純物増加量、さらにコバルト金属を担持したことによる不純物増加量、などを見積もることが出来る。
該分析法では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが酸化物の状態でも金属の状態でも、金属換算の濃度を得ることになるため、本発明では不純物濃度を金属換算値で定義する。
本実施形態における触媒は、シリカを主成分とする担体に、コバルト金属とチタニウム酸化物、又はコバルト金属及びコバルト酸化物並びにチタニウム酸化物を担持してなる不純物の少ない触媒である。このように、不純物を低減し、かつ助触媒としてチタニウム酸化物を用いることで、チタニウム酸化物を用いない触媒に比べ、前記のF−T合成用触媒の課題である耐水性向上において著しく改善された触媒とすることができる。
耐水性向上効果は、(1)シリカ担体上にチタニウム酸化物が存在することで、活性を示すコバルト粒子とシリカ担体の界面を減少することにより、副生水により形成が加速されるコバルトシリケートの形成が抑制されること、(2)チタニウム酸化物と活性を示すコバルト粒子の相互作用はシリカ担体と活性を示すコバルト粒子の相互作用よりも大きいため、コバルト化合物とチタニウム化合物を担持してなる触媒の活性を示すコバルト粒子間ではシンタリングが比較的起こり難いこと、によると推定され、シンタリングが起こり易い副生水が存在する雰囲気においても耐水性は向上すると考えられる。触媒の寿命延長効果は、上記の耐水性向上とシンタリング抑制により、活性を発現する触媒構造をより長く保持できることによると考えられる。
不純物が多い触媒では、耐水性向上や触媒寿命の延長等の効果を十分に発現させるために必要なチタニウムの添加量が極めて多く不経済であったり、その効果が十分得られなかったりしたが、本実施形態の触媒では、少量のチタニウムを添加するだけでも十分かつ高度な効果が得られることが判明した。これは、触媒中の不純物が少ないことでシリカ担体とチタニウムの複合化合物が均質に形成されやすく、少量のチタニウムでも効率的にシリカ担体表面の特性を変えることができたためと推定される。
コバルトの担持率の適正範囲は、活性を発現するための最低量以上であり、担持したコバルトの分散度が極端に低下して、反応に寄与できないコバルトの割合が増大してしまう担持量以下であればよい。具体的にはコバルト金属換算で5〜50質量%(但し、シリカ担体を含めた触媒全体の質量を100%とする(金属換算しない質量))が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%である。この範囲を下回ると活性を十分発現することができず、また、この範囲を上回ると分散度が低下して、担持したコバルトの利用効率が低下して不経済となるため、好ましくない。ここでいうコバルトの担持率とは、担持したコバルトが最終的に100%還元されるとは限らないため、100%還元されたと考えた場合の金属コバルトの質量が触媒質量全体に占める割合を指す。前記のコバルトの担持率は、不純物と同様にICP発光分析の手法を用いて分析することが可能である。
コバルトと共に担持するチタニウムの担持量の適正範囲は、耐水性向上効果、触媒の寿命延長効果、活性向上効果、再生促進効果を発現するための最低量以上であり、担持したチタニウムの分散度が極端に低下して、添加したチタニウムのうち効果発現に寄与しないチタニウムの割合が高くなり不経済となる担持量以下であればよい。具体的には、コバルト金属及びコバルト酸化物の担持量とチタニウム担持量のモル比が、Ti/Co=0.03〜0.6となるよう、チタニウムの担持量を調整することが好ましい。さらに好ましくはTi/Co=0.05〜0.3である。この範囲を下回ると耐水性向上効果、寿命延長効果を十分発現することができず、また、この範囲を上回ると担持したチタニウムの利用効率が低下して不経済となるため、好ましくない。尚、チタニウムの担持量もICP発光分析の手法を用いて分析することが可能である。
前述のとおり、本実施形態においては、触媒中の不純物の含有量を低減することが重要である。本発明者らによれば、前記のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムから成る触媒中の不純物は、主にシリカ担体の製造工程で使用する洗浄水や担体の出発原料に由来することが分かった。このことから、担体中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの各単体およびそれぞれの化合物としての含有量の合計は、金属換算で0.080質量%以下(但し、シリカ担体の質量を100%とする)とすることが好ましく、より好ましくは金属換算で0.06質量%以下、更に好ましくは金属換算で0.04質量%以下、特に好ましくは金属換算で0.030質量%以下である。但し、ここでも前記と同様に、担体中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの含有量を必要以上に低減することは不経済となるため、触媒活性に悪影響を与えない範囲で含有していても構わない。担体中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの含有量の合計を金属換算で0.01質量%程度まで低下させれば、十分な効果が得られることから、担体中のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの含有量の合計は金属換算で0.01質量%以上とすることが、コスト面から好ましい。
また、ナトリウムは、カリウム、マグネシウム、カルシウムと比較して、触媒性能により悪影響を与えることも分かった。担体中のナトリウムの単体および化合物としての含有量は、金属換算で0.030質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは金属換算で0.02質量%以下、更に好ましくは金属換算で0.01質量%以下である。ここでも前記と同様に、担体中のナトリウムの含有量を必要以上に低減することは不経済となるため、触媒活性に悪影響を与えない範囲で含有していても構わない。担体中のナトリウムの含有量はそれぞれ金属換算で0.002質量%以上とすることが、コスト面から好ましい。
F−T合成反応方式に供する触媒には、前記の物理的強度、耐摩耗性(耐粉化性)が要求される。一般的に、スラリー床でのF−T合成反応用の触媒は、上記したような最適粒径となるように粉砕して粒度調整をして実用に供することが多い。ところが、このような破砕状の触媒には予亀裂が入っていたり、鋭角な突起が生じていたりすることが多く、機械的強度や耐摩耗性に劣るため、破砕状の担体ではなく、球状の担体を用いた触媒が好ましい。
次に、本実施形態の触媒の製造方法について説明する。
本実施形態の触媒の製造方法は、シリカを主成分とする触媒担体に、コバルト前駆体およびチタニウム前駆体を用いて、含浸法によって、コバルト化合物、チタニウム化合物を、それぞれ別々又は同時に担持し、前記各化合物の担持後に、乾燥処理、乾燥処理及び焼成処理、又は、乾燥処理、焼成処理及び還元処理を行って製造する。
コバルト金属とチタニウム酸化物、又はコバルト金属及びコバルト酸化物とチタニウム酸化物の担持方法は、通常の含浸法やその一種であるインシピエントウェットネス(Incipient Wetness)法、あるいは沈殿法やイオン交換法等によればよい。担持において使用する原料(前駆体)であるコバルト化合物やチタニウム化合物としては、担持後に還元処理、又は焼成処理及び還元処理する際に、カウンターイオン(例えば酢酸塩であればCo(CH3COO)2中の(CH3COO))が揮散や分解をするものであり、溶媒に溶解するものであれば特に制限はない。例えば、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、有機化合物などが使用可能であるが、担持操作をする際に水溶液を用いることができる水溶性の化合物を用いることが製造コストの低減や安全な製造作業環境の確保のためには好ましい。具体的には、酢酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルトや塩化チタニウムなどは、焼成時にコバルト酸化物や、チタニウム酸化物に容易に変化し、その後のコバルト酸化物の還元処理も容易であるため好ましい。中でも酢酸コバルトを前駆体として使用すると、シリカを主成分とする担体へ高分散に担持可能であり安定性が高くなるため、より好ましい。安定性が高くなる要因は、触媒の製造によって形成されるコバルト粒子と担体との相互作用が強くなり、副生水との接触によって促進されると考えられるシンタリング等の活性低下が抑制されるためと推定される。
コバルト化合物、チタニウム化合物のシリカを主成分とする担体への担持は、前述の担持方法によって行うことが可能であり、コバルト化合物、チタニウム化合物を担持するタイミングは、別々でも同時でも行うことができるが、別々に担持することが好ましい。
コバルト化合物、チタニウム化合物を同時に担持する際には、コバルト化合物、チタニウム化合物の混合溶液を調製して担持する。担持後は必要に応じて乾燥処理(例えば空気中100℃‐1h)を行い、引き続き還元処理(例えば、常圧水素気流中450℃‐15h)、又は焼成処理(例えば空気中450℃℃‐5h)及び還元処理を行う。このような処理を施すことにより、コバルト化合物の全部を金属化、又は一部を金属化し残りを酸化物化して、且つ、チタニウム化合物を酸化物化する。ただし、コバルト化合物、チタニウム化合物を同時に担持した際には、チタニウム化合物を担持しない触媒と比較して、かえって耐水性が低下する場合があることが明らかとなった。これはコバルト化合物、チタニウム化合物を同時に担持した触媒では、副生水との接触によって活性を示すコバルト粒子の表面積が減少するような不安定な形態を、活性を示すコバルト粒子、チタニウム酸化物がとっているためと推定される。
コバルト化合物、チタニウム化合物を別々に担持する際にはコバルト化合物の溶液、チタニウム化合物の溶液をそれぞれ調製し、最初に一方の溶液を用いてシリカを主成分とする担体へ担持し、乾燥処理を行い、引き続き還元処理、又は、焼成処理及び還元処理を行い、その後に残りのもう一方の溶液を用いて更に担体へ担持する。担持後は必要に応じて乾燥処理を行い、引き続き還元処理、又は、焼成処理及び還元処理を行う。このような処理を施すことにより、コバルト化合物の全部を金属化、又は一部を酸化物化し残りを金属化して、且つ、チタニウム化合物を酸化物化する。
尚、上記の還元処理において、一部のコバルト化合物はコバルト金属に還元されずに残存することがあるが、良好な活性を発現するためにはコバルト金属に還元されるコバルト化合物が、還元されないコバルト化合物よりも多い方が好ましい。これは化学吸着法によって確認することが可能である。
還元処理後の触媒は、大気に触れて酸化失活しないように取り扱う必要があるが、担体上のコバルト金属の表面を大気から遮断するような安定化処理を行うと、大気中での取り扱いが可能となり好適である。この安定化処理には、低濃度の酸素を含有する窒素、二酸化炭素、不活性ガスを触媒に触れさせて、担体上のコバルト金属の極表層のみを酸化するいわゆるパッシベーション(不動態化処理)を行ったり、F−T合成反応を液相で行う場合には反応溶媒や溶融したFTワックスなどに浸漬して大気と遮断したりする方法があり、状況に応じて適切な安定化処理を行えばよい。
また、本発明者らが鋭意検討した結果、コバルト化合物、チタニウム化合物を別々に担持する際は、チタニウム化合物、コバルト化合物の順に逐次担持させることが好ましい。逆にコバルト化合物、チタニウム化合物の順で担持した触媒は、前者と比較して寿命延長効果及び耐水性向上効果が低下することが明らかとなった。これは、シリカ担体上にチタニウム酸化物が存在し、活性を示すコバルト粒子が当該チタニウム酸化物上に存在する触媒構造が好ましいと推定している。
具体的な調製方法としては、チタニウム化合物の担持後には乾燥処理(例えば空気中100℃‐1h)を行い、引き続き焼成処理(例えば空気中450℃‐5h)を行っても、前記乾燥処理を行うだけで次工程であるコバルト含浸担持を行ってもよい。なお、チタニウム化合物がコバルト含浸担持操作中にコバルト化合物の中に取り込まれることでチタニウムの添加効率が低下しないようにするためには、乾燥処理後に焼成処理を行ってチタニウム酸化物に変換しておくとよい。
その後、コバルト化合物の含浸担持を行った後、必要に応じて乾燥処理を行い、引き続き担体表面のコバルト化合物をコバルト金属に還元(例えば、常圧水素気流中450℃‐15h)することで触媒が得られる。なお、コバルト化合物の含浸担持後は、焼成して酸化物に変化させた後に還元処理を行っても、焼成せずに直接還元処理を行ってもよい。
不純物の少ない触媒を得る方法の一つとして、前記の担持において使用する原料(前駆体)であるコバルト化合物及びチタニウム酸化物、例えば酢酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルトや塩化チタニウムなどに含有する不純物量を低減することが有効である。具体的には、これら原料(前駆体)中のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの各元素の含有量の合計を金属換算で5質量%以下に抑えることが効果的である。
効果的に触媒中の不純物を低減するもう一つの手法は、シリカを主成分とする担体の製造工程で不純物が入らないようにすることである。
一般にシリカ担体の製造方法は、乾式法と湿式法に大別される。乾式法としては燃焼法、アーク法等、湿式法としては沈降法、ゲル法等があり、いずれの製造方法でも触媒担体を製造することは可能である。しかしながら、ゲル法を除く上記方法では触媒担体を球状に成形することが技術的、経済的に困難である為、シリカゾルを気体媒体中又は液体媒体中で噴霧させて、ゲルを容易に球状に成形することが可能であるゲル法が好ましい。
上記ゲルは、珪酸アルカリ水溶液と酸水溶液とを混合して生成させたシリカゾルを気体媒体中又は液体媒体中で噴霧させて球状に成形したもので、その後、酸処理、ないし水洗処理の少なくともいずれかを行った後、焼成することでシリカ担体となる。
上記ゲル法にてシリカ担体を製造する際には、通常多量の洗浄水を用いるが、工業用水等の不純物を多く含んだ洗浄水を用いると、担体中に多量の不純物が残留することになり、触媒の活性が大幅に低下して好ましくない。しかし、この洗浄水として不純物の含有率が低い、あるいはイオン交換水などの不純物を全く含まないものを用いることで、不純物含有量の少ない良好なシリカ担体を得ることが可能となる。この場合、洗浄水中の不純物であるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの含有量の合計は金属換算で0.06質量%以下とすることが好ましく、これを上回ると、シリカ担体中の不純物含有量が多くなり、調製後の触媒の活性が大きく低下するため好ましくない。理想的にはイオン交換水の使用が好ましく、イオン交換水を得るためには、イオン交換樹脂などを用いて製造しても良いが、シリカ担体の製造ラインにて規格外品として発生するシリカゲルを用いてイオン交換を行い、製造することも可能である。
スラリー床を用いたF−T合成反応用の触媒(F−T合成触媒)には、耐摩耗性、強度が要求される。また、F−T合成反応では、多量の水が副生するために、水の存在下で破壊、粉化するような触媒又は担体を用いると、前述したような不都合が生じることになるために注意を要する。よって、予亀裂が入っている可能性が高く、鋭角な角が折損、剥離し易い破砕状の担体ではなく、球状の担体を用いた触媒が好ましい。球状の担体を製造する際には、前記ゲル法をベースに、一般的なスプレードライ法などの噴霧法を用いて球状に成形すればよい。特に、20〜250μm程度の粒径の球状シリカ担体を製造する際には、噴霧法が適しており、耐摩耗性、強度、耐水性に優れた球状シリカ担体が得られる。
このようなシリカ担体の製造法を以下に例示する。
珪酸アルカリ水溶液と酸水溶液とを混合し、pHが2〜10.5となる条件で生成させたシリカゾルを、空気などの気体媒体中又は前記ゾルと不溶性の有機溶媒中へ噴霧してゲル化させ、次いで、酸処理、水洗、乾燥する。ここで、珪酸アルカリとしては珪酸ソーダ水溶液が好適で、NaO:SiOのモル比は1:1〜1:5、シリカの濃度は5〜30質量%が好ましい。用いる酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、有機酸等が使用できるが、製造する際の容器への腐食を防ぎ、有機物が残留しないという観点からは、硫酸が好ましい。酸の濃度は1〜10mol/Lが好ましく、この範囲を下回るとゲル化の進行が著しく遅くなり、また、この範囲を上回るとゲル化速度が速すぎてその制御が困難となり、所望の物性値を得ることが難しくなるため、好ましくない。また、ゲル化させる際に、有機溶媒中へ噴霧する方法を採用する場合には、有機溶媒として、ケロシン、パラフィン、キシレン、トルエン等を用いることができる。
触媒担体の物理的、化学的特性を大きく変化させずに、水による洗浄、酸による洗浄、アルカリによる洗浄等の前処理を施すことで、シリカ担体中の不純物を低下させることができる場合には、これらの前処理が触媒の活性向上に極めて有効である。
例えば、シリカ担体の洗浄には、硝酸、塩酸、酢酸等の酸性水溶液にて洗浄することや、イオン交換水にて洗浄することが特に効果的である。これらの酸による洗浄処理の後に、酸の一部が担体中に残留することが障害となる場合には、イオン交換水等の清浄な水で更に洗浄するのが効果的である。
また、シリカ担体の製造においては、粒子強度向上、表面シラノール基活性向上などを目的とした焼成処理がよく行われる。しかしながら、担体中の不純物が比較的多い状態で、焼成を行うと、シリカ担体を洗浄して不純物濃度を低下させる際に、シリカ骨格内に不純物元素が取り込まれて、不純物含有量を低減させることが困難となる。よって、シリカ担体を洗浄して不純物濃度を低下させたい場合には、未焼成シリカゲルを用いることが好ましい。
洗浄水中の不純物をシリカが捕捉するのは、シリカ表面のシラノール中水素とナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの各イオンとがイオン交換することによる。よって、少々不純物を含んだ洗浄水であっても、洗浄水のpHを低めに調整することで、不純物の捕捉をある程度防ぐことが可能となり、触媒の活性低下を抑制することができる。また、イオン交換量(不純物混入量)は用いる洗浄水の量に比例するため、洗浄水量を低減すること、換言すれば水洗終了までの水の使用効率を上げることでも、シリカ担体中の不純物量の低減が可能となる。
尚、製造工程における原料としての担体中の不純物濃度は、コバルト金属等を担持する前の担体についてのICP発光分析により評価することが可能である。また、洗浄前後の担体中の不純物濃度を測定することにより、担体の洗浄による担体中の不純物低減効果を評価することができる。
金属の分散度を高く保ち、担持した活性金属の反応に寄与する効率を向上させるためには、高比表面積の担体を使用することが好ましい。しかし、担体の比表面積を大きくするためには、気孔径を小さくする、細孔容積を大きくする必要があるものの、この二つの要因を増大させると、耐摩耗性や強度が低下することになり、好ましくない。担体の物理性状としては、細孔径が8〜50nm、比表面積が80〜550m/g、細孔容積が0.2〜1.5mL/gを同時に満足するものが、触媒用の担体として、好適である。細孔径が8〜30nm、比表面積が150〜450m/g、細孔容積が0.3〜1.2mL/gを同時に満足するものであればより好ましく、細孔径が8〜20nm、比表面積が200〜400m/g、細孔容積が0.4〜1.0mL/gを同時に満足するものであれば更に好ましい。上記の比表面積はBET法で、細孔容積は水銀圧入法や水滴定法で測定することができる。また、細孔径はガス吸着法や水銀ポロシメーターなどによる水銀圧入法で測定可能であるが、比表面積、細孔容積から計算で求めることもできる。
F−T合成反応に十分な活性を発現する触媒を得るためには、触媒担体の比表面積は80m/g以上であることが必要である。この比表面積を下回ると、担持した金属の分散度が低下してしまい、活性金属の反応への寄与効率が低下するため好ましくない。また、触媒担体の比表面積を550m/g超とすると、細孔容積と細孔径が上記範囲を同時に満足することが困難となり好ましくない。そのため、触媒担体の比表面積は80〜550m/gとすることが好ましい。
触媒担体の細孔径を小さくするほど比表面積を大きくすることが可能となるが、8nmを下回ると、細孔内のガス拡散速度が水素と一酸化炭素では異なり、細孔の奥へ行くほど水素分圧が高くなるという結果を招き、F−T合成反応では副生成物といえるメタンなどの軽質炭化水素が、多量に生成することになるため、好ましくない。加えて、生成した炭化水素の細孔内拡散速度も低下し、結果として、見かけの反応速度を低下させることとなり、好ましくない。また、一定の細孔容積で比較を行うと、細孔径が大きくなるほど比表面積が低下するため、細孔径が50nmを超えると、比表面積を増大させることが困難となり、活性金属の分散度が低下してしまうため、好ましくない。そのため、触媒担体の細孔径は8〜50nmとすることが好ましい。
触媒担体の細孔容積は0.2〜1.5mL/gの範囲内にあるものが好ましい。細孔容積が0.2mL/gを下回るものでは、細孔径と比表面積が上記範囲を同時に満足することが困難となり好ましくなく、また、細孔容積が1.5mL/gを上回る値とすると、極端に強度が低下してしまうため、好ましくない。
以上述べたような、本実施形態による触媒を用いることにより、高効率かつ低コストでF−T合成反応を行うことができ、安定して炭化水素を製造することが可能となる。即ち、本実施形態に得られる触媒を用いて、スラリー床を用いた液相反応でF−T合成反応を行うと、主製品である、炭素数が5以上の液体生成物の選択率が高く、また、触媒単位質量あたりの液体生成物の製造速度(炭化水素生産性)も極めて大きい。更に、本実施形態の触媒は、使用中(合成反応中)の触媒粉化の程度や副生水などによる活性の低下も非常に小さいために触媒寿命が長いという特徴を有する。これらの特徴により、効率の高い、かつ低コストでのF−T合成反応の実行が可能となる。
また、本実施形態による触媒を用いて、合成ガスから炭化水素を製造すれば、副生水などによる活性の低下が非常に小さく、高い触媒活性を長期間発揮することができるために、副生水の分圧が非常に高くなる条件下、特にワンパスCO転化率が60〜95%という条件下でも良好なF−T合成反応を安定して行うことができる。ここでいうワンパスCO転化率とは、反応器から排出される未反応原料ガスを含むガスを再度反応器に供給するものとは異なり、原料ガスを反応器に一度通すのみでCOの転化率を求めたものである。ワンパスCO転化率が40〜60%の比較的低い場合でも、副生水などによる活性低下が非常に小さいため触媒寿命が長くなり、触媒コストを低減することが可能となる。ワンパスCO転化率が40%以下になるとテールガスリサイクル設備の設備コストが増大するため、40%以上で操業することが一般的である。
尚、本実施形態の炭化水素の製造方法におけるF−T合成反応に使用する合成ガスには、水素と一酸化炭素の合計が全体の50体積%以上であるガスが生産性の面から好ましく、特に、水素と一酸化炭素のモル比(水素/一酸化炭素)が0.5〜4.0の範囲であることが望ましい。これは、水素と一酸化炭素のモル比が0.5未満の場合には、原料ガス中の水素の存在量が少な過ぎるため、一酸化炭素の水素化反応(FT合成反応)が進みにくく、液状炭化水素の生産性が高くならないためであり、一方、水素と一酸化炭素のモル比が4.0を超える場合には、原料ガス中の一酸化炭素の存在量が少な過ぎるため、触媒活性に関わらず液状炭化水素の生産性が高くならないためである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1〜13、比較例1〜5に係る触媒を、以下の方法により製造した。
TiおよびCoを担持したシリカ担体(比較例1〜3はCoのみ担持)は、富士シリシア化学(株)製である。
詳しくは、まず珪酸アルカリ水溶液と酸水溶液とを混合して生成させたシリカゾルを調製した後、気体中で噴霧させて平均粒径100μmの球形の乾燥ゾルを得て、水洗処理を行った後に焼成することでシリカ担体としたものである。ただし、比較例4、比較例5を除くその他の比較例、および実施例では、焼成前の前記水洗処理の際、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの含有量の合計が金属換算で0.06質量%以下であるイオン交換水を用いて水洗処理したロットのシリカ担体を入手した。比較例4、比較例5ではナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの含有量の合計が金属換算でそれぞれ0.08質量%、0.09質量%の水を用いて前記水洗処理した。
コバルト金属などを担持する前の該担体をフッ化水素酸を用いて溶解した後、ICP発光分光分析の手法を用いて、不純物であるNa、K、Ca、Mgの含有量を分析した(表中の担体中の各元素濃度として記載)。
担持用の金属溶液については、硝酸コバルト、塩化チタニウムをイオン交換水に溶解し、硝酸コバルト水溶液、塩化チタニウム水溶液を調製した。実施例13では、硝酸コバルトに替えて、酢酸コバルトを用いて調製した。実施例4では、イオン交換水に替えて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの含有量の合計が金属換算で0.1質量%の水を用いて、硝酸コバルト、塩化チタニウムの金属溶液を調製した。
シリカ担体は担持の前処理として、実施例2、3を除きイオン交換水で洗浄を施した。実施例2では、3%硝酸水溶液にて洗浄の後にさらにイオン交換水にて洗浄した。また、実施例3では、3%水酸化カリウム水溶液にて洗浄の後にさらにイオン交換水にて洗浄した。
洗浄後に、含浸法で最初にTiを担持して、乾燥処理(空気中100℃‐1h)、および焼成処理(空気中450℃‐5h)を行った。次いで、含浸法でさらにCoを担持して、乾燥処理(空気中100℃‐1h)、焼成処理(空気中450℃‐5h)、還元処理(常圧水素気流中450℃‐15h)、ならびにパッシベーションを順に施して触媒を調製した。なおCo担持率は20〜30質量%、Ti/Co=0〜0.6である。
得られた触媒中の金属成分の含有量の評価は、フッ化水素酸を用いて上記触媒を溶解した後、ICP発光分光分析の手法を用いて、Co、Ti、Na、K、Ca、Mgの含有量を分析することで行った(表中の触媒中の各元素濃度として記載)。
触媒活性の評価は、以下のようにして行った。
内容積300mLのオートクレーブを用い、1gの上記触媒と50mLのn−C16(n−ヘキサデカン)を仕込んだ後、230℃、2.0MPa‐Gの条件下で、撹拌子を800min−1で回転させながら、W(触媒質量)/F(合成ガス流量)=1.5(g・h/mol)となるようにF(合成ガス(H/CO=2(モル比))流量)を調整して合成ガスを流通させた。そして、合成反応中、供給ガス及びオートクレーブ出口ガスの組成をガスクロマトグラフィーにより求め、下記式(1)により、CO転化率、CH選択率、CO選択率、ならびに炭素数5以上の炭化水素の生産性(炭化水素生産性)を得ることで触媒活性の評価をおこなった。
また、触媒の耐水性を評価するため、以下の実験を実施した。
2gの上記触媒と50mLのn−C16(n−ヘキサデカン)を仕込んだ後、2.0MPa‐G、W(触媒質量)/F(合成ガス流量)=3(g・h/mol)の条件下で合成ガス(H/CO=2(モル比))を流通させて、撹拌子を800min−1で回転させながら、CO転化率が70%程度となるように反応温度を調整し、F−T合成反応を行った。
反応開始より20h経過した時点で、撹拌を停止して1h保持した後、再度撹拌子を800min−1で回転させながら7h保持した。その後、撹拌停止して1h保持、撹拌を再開して7h保持を繰り返し、これら操作を試験中に6回実施した。6回目の撹拌停止状態より撹拌を800min−1で再開後、同様に7h保持して反応を停止した。反応中は供給ガス及びオートクレーブ出口ガスの組成をガスクロマトグラフィーにより求め、CO転化率を得た。
撹拌停止中には反応器内は混合状態では無くなり、触媒粒子は底部に沈降する。触媒の活性金属であるコバルト金属上ではF−T合成反応が進行し、炭化水素と共に水が副生する。副生した水は撹拌状態であれば還元性の原料ガスと直ちに混合するため、活性金属近傍の局所的な水分圧は高くないが、撹拌停止中には活性金属近傍に水が滞留することになり、局所的な水分圧は高くなる。このような状況下、活性金属であるコバルト金属は酸化や、凝集・合体が進行し易くなる。
撹拌停止操作を6回繰り返す前後のCO転化率、すなわち、反応開始より20h経過後に撹拌を停止した時点のCO転化率(20h時点のCO転化率)と、撹拌と停止の各操作を6回繰り返した後のCO転化率(撹拌停止を6回繰り返した後のCO転化率)とを比較し、時間経過によるCO転化率の変動(触媒活性の変動)の度合を比較することで副生する水の分圧が高い条件下での触媒の耐性を比較することが可能である。
活性保持率は以下の式(1)により算出した。この活性保持率が高い触媒である程、活性の低下が抑制された触媒であると言え、副生する水の分圧が高い条件下での耐性が高く、長期間に亘って連続的に使用可能な触媒であると評価できる。
Figure 2019063754
以下、実施例、比較例により、本発明の効果を示す。
(実施例1)
表1のAに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率42.5%、CH4選択率6.8%、CO2選択率0.2%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.28(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は66.5%であった。
(実施例2)
表1のBに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率48.1%、CH4選択率5.9%、CO2選択率0.3%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.47(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は70.4%であった。
(実施例3)
表1のCに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率48.8%、CH4選択率5.9%、CO2選択率0.2%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.49(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は72.9%であった。
(実施例4)
表1のDに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率45.5%、CH4選択率6.5%、CO2選択率0.2%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.37(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は68.2%であった。
(実施例5)
表1のEに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率49.5%、CH4選択率5.8%、CO2選択率0.2%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.51(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は75.6%であった。
(実施例6)
表1のFに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率51.4%、CH4選択率5.5%、CO2選択率0.2%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.56(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は74.0%であった。
(実施例7)
表2のGに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率65.1%、CH4選択率4.9%、CO2選択率0.4%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.98(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は70.5%であった。
(実施例8)
表2のHに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率59.0%、CH4選択率5.6%、CO2選択率0.2%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.78(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は75.1%であった。
(実施例9)
表2のIに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率73.0%、CH4選択率4.5%、CO2選択率0.6%、炭素数5以上の炭化水素生産性は2.24(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は71.9%であった。
(実施例10)
表2のJに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率72.7%、CH4選択率4.7%、CO2選択率0.6%、炭素数5以上の炭化水素生産性は2.22(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は72.6%であった。
(実施例11)
表2のKに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率65.0%、CH4選択率5.3%、CO2選択率0.3%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.97(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は71.6%であった。
(実施例12)
表2のLに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率65.1%、CH4選択率4.9%、CO2選択率0.5%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.98(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は67.1%であった。
(実施例13)
表2のMに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率49.5%、CH4選択率5.8%、CO2選択率0.3%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.49(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は78.8%であった。
(比較例1)
表3のNに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率48.7%、CH4選択率5.9%、CO2選択率0.3%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.49(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は58.1%であった。
(比較例2)
表3のOに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率66.1%、CH4選択率4.9%、CO2選択率0.4%、炭素数5以上の炭化水素生産性は2.02(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は59.9%であった。
(比較例3)
表3のPに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率71.3%、CH4選択率4.7%、CO2選択率0.2%、炭素数5以上の炭化水素生産性は2.15(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は60.8%であった。
(比較例4)
表3のQに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率39.8%、CH4選択率6.9%、CO2選択率0.3%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.17(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は59.6%であった。
(比較例5)
表3のRに示すような触媒を用いて、F−T合成反応を行ったところ、CO転化率57.3%、CH4選択率6.2%、CO2選択率0.4%、炭素数5以上の炭化水素生産性は1.72(kg-炭化水素/kg-触媒/時間)、活性保持率は57.3%であった。
Figure 2019063754
Figure 2019063754
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Claims (14)

  1. 合成ガスから炭化水素を製造する触媒であって、
    シリカを主成分とする触媒担体に、コバルト金属とチタニウム酸化物、又は、コバルト金属とコバルト酸化物とチタニウム酸化物を担持してなり、
    該触媒中のナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が0.070質量%以下であることを特徴とする合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
  2. 前記触媒中のナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が0.030質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
  3. 前記触媒中のコバルト金属の担持率、又は前記触媒中のコバルト金属及びコバルト酸化物の担持率が、コバルト金属換算で5〜50質量%、かつ、前記触媒中のチタニウム酸化物の担持量と、前記触媒中のコバルト金属の担持量、又は前記触媒中のコバルト金属及びコバルト酸化物の担持量とのモル比(Ti/Co)が0.03〜0.6であることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
  4. 前記触媒担体が球状であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法であって、シリカを主成分とする触媒担体に、コバルト前駆体およびチタニウム前駆体を用いて、含浸法によって、コバルト化合物、チタニウム化合物を、それぞれ別々に担持し、前記各化合物の担持後に、乾燥処理、乾燥処理及び焼成処理、又は、乾燥処理、焼成処理及び還元処理を行って製造することを特徴とする合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  6. 前記含浸法を用いて、前記コバルト化合物、前記チタニウム化合物を担持する際、最初に前記チタニウム化合物を担持し、次に前記コバルト化合物を担持することを特徴とする請求項5に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  7. 前記含浸法で使用する前記コバルト前駆体が、酢酸コバルトであることを特徴とする請求項5又は6に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  8. 前記触媒担体中に含まれるナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が、0.080質量%以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  9. 前記触媒担体中に含まれるナトリウムの単体及び化合物の金属換算としての含有量が0.030質量%以下であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  10. 前記シリカを主成分とする触媒担体を製造する際、珪酸アルカリ水溶液と酸水溶液とを混合して生成させたシリカゾルをゲル化し、酸処理、水洗処理の少なくともいずれかを行った後、焼成させて製造することを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  11. 前記シリカゾルのゲル化後の酸処理、水洗処理の少なくともいずれかにおいて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの各単体、及びそれぞれの化合物の金属換算としての含有量の合計が0.06質量%以下である水を用いることを特徴とする請求項10に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  12. 前記ゲル化は、前記シリカゾルを、気体媒体中に噴霧させて球状に成形して成すことを特徴とする請求項10又は11に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  13. 前記シリカを主成分とする触媒担体に、イオン交換水、酸、アルカリのうち少なくとも何れかによる洗浄を施して、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの濃度を低下させてから、前記コバルト化合物及び前記チタニウム化合物を担持させることを特徴とする請求項5〜12のいずれか一項に記載の合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法。
  14. 請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒を用いて、スラリー床での液相反応で、合成ガスから炭化水素を製造することを特徴とする合成ガスから炭化水素を製造する方法。
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