JP4421913B2 - 炭化水素類製造用触媒の製造方法およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法 - Google Patents

炭化水素類製造用触媒の製造方法およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法 Download PDF

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本発明は、水素と一酸化炭素を主成分とする混合ガス(以下「合成ガス」という)から炭化水素類を製造するための高活性触媒の製造方法および該触媒を用いた炭化水素類の製造方法に関する。さらに詳しくは、合成ガスを、マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物混合物を担体とするルテニウム系触媒に接触させ、炭化水素類、とりわけC1〜C4のガス成分が少なく、灯軽油留分や灯軽油留分に容易に変換できるワックス成分に富む炭化水素類を製造する触媒の製造方法および該触媒を用いる炭化水素類の製造方法に関する。
合成ガスから炭化水素類を合成する方法として、フィッシャー・トロプシュ反応(Fischer-Tropsch反応)、メタノール合成反応などが良く知られている。そして、フィッシャー・トロプシュ反応は、鉄やコバルトの鉄族、ルテニウム等の白金族触媒で、メタノール合成反応は銅系触媒で、C2含酸素(エタノール、アセトアルデヒド等)合成はロジウム系触媒で進行することが知られており、また、これらの炭化水素類の合成に用いる触媒の触媒能は、一酸化炭素の解離吸着(dissociative adsorption)能と強く関連することが知られている(例えば「均一触媒と不均一触媒」、千鯛、市川共著、丸善、昭和58年刊)。
ところで、近年、大気環境保全の観点から、低硫黄分の軽油が望まれており、今後その傾向はますます強くなるものと考えられる。また、原油資源は有限であるとの観点から、それに代わるエネルギー源の開発が望まれており、今後ますます強く望まれるようになるものと考えられる。これらの要望に応える技術として、エネルギー換算で原油に匹敵する可採埋蔵量があるといわれる天然ガス(主成分メタン)から灯軽油等の液体燃料を合成する技術であるGTL(gas to liquids)がある。天然ガスは、硫黄分を含まないか、含んでいても脱硫が容易な硫化水素(H2S)等であるため、得られる灯軽油等の液体燃料には、その中に殆ど硫黄分が無く、またセタン価の高い高性能ディーゼル燃料に利用できるなどの利点があるため、このGTLは近年ますます注目されるようになってきている。
上記GTLの一環として、合成ガスからフィッシャー・トロプシュ反応(以下「FT反応」という)によって炭化水素類を製造する方法(以下「FT法」という)が盛んに研究されている。このFT法によって炭化水素類を製造するに当り、灯軽油留分の収率を高めるためには、C10〜C16相当の炭化水素を効率的に合成することが肝要である。一般に、FT反応における炭化水素類生成物の炭化水素分布はシュルツ・フローリー(Shultz-Flory)則に従うとされており、シュルツ・フローリー則では、連鎖成長確率α値は、反応温度の上昇と共に大きく低下する傾向にある、つまり反応温度が上昇すると生成炭化水素類の炭素数が大きく低下する傾向にあるとしている。古くは、如何にシュルツ・フローリー則を外し、如何に特定の炭素数の炭化水素類を選択的に合成するかを課題として、盛んに触媒開発等の技術開発が行われたようであるが、未だこの課題を十分解決し得た技術は提案されていない。最近では、むしろ、シュルツ・フローリー則を外すことにはこだわらずに、ワックス分等の水素化分解により容易に灯軽油留分とすることのできる留分の収率を高め、該ワックス分等を水素化分解することにより、その結果として灯軽油留分の得率を高めようという考え方が一般的になっている。
しかしながら、現状の連鎖成長確率は0.85前後であり、これを如何に高めていくかが最近の技術的課題の一つになっている。とはいえ、あまり連鎖成長確率を高めていくと、生成炭化水素類は殆どがワックス分となるため、今度はプロセス運転においてワックスが固化しやすいため取り扱い上の問題が生じ、また触媒の一般的性能からしても、連鎖成長確率は0.95前後が事実上の上限と考えられている。
そこで、灯軽油留分の得率をなお一層高めるための他の方法としては、炭化水素類の製造能力(活性)が高いことに加えて、ガス成分の収率が低く、液収率および連鎖成長確率が高いといった優れた性能を有する触媒を用いることが有効と考えられる。
従来から、種々のFT反応用の触媒が提案されており、オレフィン類への高選択性を目的とした触媒として、マンガン酸化物担体にルテニウムを担持させた触媒、このルテニウム担持触媒にさらに第三成分を加えた触媒などのルテニウム系触媒が提案されている〔特許文献1(特公平3−70691号公報)、特許文献2(特公平3−70692号公報)等参照〕。
しかし、これらのルテニウム系触媒を用いたFT法では、上記灯軽油留分得率の向上を十分達成することができない。すなわち、上記ルテニウム系触媒は、オレフィン類の選択性には優れるが、触媒活性が低く、炭素数5以上の液状炭化水素留分(以下「C5+」と略称する)自体の得率は低いものである。
本発明者らは、先に、上記のような従来の状況に鑑み、連鎖成長確率が高く、オレフィン選択性に優れ、かつ高触媒活性で、安定して円滑に反応を行うことができ、なおかつC5+の生産性が高く、液状炭化水素類を効率的に製造できるFT法を提供することを目的として、アルミニウム酸化物およびマンガン酸化物からなる担体に、ナトリウム化合物を触媒基準で0.1〜10質量%担持し、さらに、ルテニウムを触媒基準で1〜30質量%担持した、比表面積60〜350m2/g、嵩密度0.8〜1.8g/mlを示す触媒を、予め還元処理を施した後、液状炭化水素類中に濃度1〜50質量%にて分散せしめ、該触媒に水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを、圧力1〜10MPa、反応温度170〜300℃で接触させる炭化水素類の製造方法を発明し、特許出願した〔特許文献3(特開2003−3174号公報)参照〕。
上記の発明に係る炭化水素類の製造方法は、上記目的を達し得る点で優れた方法であるが、C5+の生産性という観点からは、その一層の向上が望まれる。すなわち、一般に、触媒重量当たりの目的物の生産性の高い触媒ほど、同じ量の目的物を得るための触媒使用重量は少なくて済み、それに伴い反応器を小型化できるなど、触媒費用や装置費用の軽減が期待できる。したがって、上記の先の発明に係る炭化水素類の製造方法のような炭化水素類の製造方法においても、使用触媒のC5+の生産性の一層の向上が望まれる。
特公平3−70691号公報 特公平3−70692号公報 特開2003−3174号公報
本発明の目的は、触媒の活性が高く、ガス成分の生成が少なく、かつC5+の液状炭化水素留分の生産性が高い触媒の製造方法、および該触媒を用いる炭化水素類の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべくさらに研究を進めたところ、先に発明した上記のような炭化水素類の製造に用いる触媒の製造方法において、ルテニウム化合物担持後に、アンモニア水で処理し、その後空気中で焼成処理を行うと、触媒の活性が劇的に向上し、C1〜C4のガス成分の生成が少なくC5+の液状炭化水素留分の生産性も向上することを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記構成の炭化水素類製造用触媒の製造方法及び炭化水素類の製造方法である。
1.マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体にルテニウム化合物を担持した触媒前駆体を、150〜500℃で焼成処理することなくアンモニア水で処理する操作と、その後に空気中で150〜500℃で焼成処理する操作を行うことを特徴とする炭化水素類製造用触媒の製造方法。
2.触媒前駆体のルテニウム化合物の担持量が、触媒前駆体基準、金属換算で、0.5〜5質量%であることを特徴とする上記1に記載の触媒の製造方法。
3.触媒前駆体が、マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体にルテニウム化合物とアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び希土類化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを担持した触媒前駆体であることを特徴とする上記1または2に記載の触媒の製造方法。
4.アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び希土類化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の担持量が、触媒前駆体基準、酸化物換算で、0.01〜3質量%であることを特徴とする上記3に記載の触媒の製造方法。
5.触媒前駆体中のマンガン酸化物の割合が10〜70質量%であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の触媒の製造方法。
6.アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び希土類から選ばれる少なくとも1種の化合物が、ナトリウム化合物であることを特徴とする上記3〜5のいずれかに記載の触媒の製造方法。
7.上記1〜6のいずれかに記載の製造法で得られた触媒に、水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを接触させることを特徴とする炭化水素類の製造方法。
本発明によれば、触媒の活性が高く、かつガス成分の生成が少なく、C5+の液状炭化水素留分の生産性が高い触媒の調製方法、および該触媒を用いる炭化水素類の製造方法が提供される。
以下に発明を詳細に説明する。
本発明の触媒製造方法は、マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体に、ルテニウム化合物を担持後、乾燥して触媒前駆体を得る。この触媒前駆体をアルカリ性水溶液で処理する操作、その後、空気中で焼成処理をする操作を行うことを特徴とする。特に、上記二つの操作をこの順序で組み合わせて行うことが、本発明の目的を達成する上で技術的に重要である。以下、触媒および炭化水素類の製造方法を順次説明する。
〔炭化水素類製造用触媒の製造方法〕
本発明の触媒製造方法において、マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体のマンガン酸化物の例としては、MnO、Mn34、Mn23、MnO2などが好ましく挙げられる。また、硝酸マンガンや炭酸マンガン、酢酸マンガンなどの各種マンガン塩を出発物質とし、これから得られるマンガン酸化物を用いることもできる。例えば、硝酸マンガンを空気中焼成して得られるMn23などを好ましく使用できる。
アルミニウム酸化物の例としては、α、β、γ、η、θ、などの各種結晶状態のもの、あるいはジブサイト、バイアライト、ベーマイトなどのアルミニウム酸化物の水和物を用いることもできる。これらのアルミニウム酸化物は従来公知の方法で製造することができる。例えば、上記アルミニウム酸化物の水和物の熱分解により得られる。アルミニウム酸化物の水和物は、塩化アルミニウムや硝酸アルミニウム、アルミン酸アルカリなどの各種アルミニウム塩水溶液の加水分解や熱分解で得られる。ベーマイトのように結晶性の低いものを焼成して得られるアルミニウム酸化物(特に、γ−アルミニウム酸化物)は、バイヤライト、ジブサイト等のように結晶性の高いものを多く含むアルミニウム酸化物の水和物を焼成して得られるアルミニウム酸化物より、比表面積および細孔容積が大きく、好ましい。さらに、アルミニウムイソプロポキシドのようなアルミニウムアルコキシドを加水分解するゾルゲル法によって得られるアルミニウム酸化物も比表面積や、細孔容積が大きく好ましく用いることもできる。
担体にルテニウムを担持した触媒前駆体中のマンガン酸化物の割合は、10〜70質量%、好ましくは15〜60質量%となるように調製することでより一層活性を向上させることができる。すなわち、マンガン酸化物の割合を10質量%以上とすることで、より一層C1〜C4ガス成分の生成を抑制することができ、さらにはC5+留分の選択性の増加をはかることができる。また、マンガン酸化物の割合を70質量%以下とすることで、触媒の比表面積を十分に確保することが可能となり、ルテニウム金属等の活性金属の分散性を向上させ、それによって触媒の活性をさらに向上させることができる。
マンガン酸化物とアルミニウム酸化物からなる担体の調製は、常法に従って行うことができ、通常、担体前駆体調製後、乾燥・焼成を経て調製される。例えば、アルミニウム酸化物にマンガン酸化物原料である各種マンガン塩の水溶液を含浸させるか、その逆にマンガン酸化物にアルミニウム酸化物原料である各種アルミニウム塩の水溶液を含浸させる方法、あるいは両者の塩の水溶液の混合物にアルカリ性水溶液を加えて共沈させる方法で担体前駆体を得ることができる。さらに、マンガン酸化物原料とアルミニウム酸化物原料を物理的に混合して担体前駆体を得ることもできる。その他の担体前駆体の調製方法としては、マンガン酸化物原料とアルミニウム酸化物原料からなる混合物をスプレー法を用いて担体前駆体にすることが挙げられる。得られた担体前駆体は、乾燥後、焼成を行い担体が得られる。このときの焼成温度は一般には200〜900℃、好ましくは300〜800℃、より好ましくは400〜700℃で行う。焼成温度が上記範囲であると、担体の比表面積が適度であり、十分に酸化物が形成されて、活性化した安定な担体が得られる。この担体は、粉末状、顆粒状、打錠成型体、押し出し成型体等の任意の形状のものを用いることができる。
上記の如くして得られた担体にルテニウム化合物を担持する。ルテニウム化合物の担持量は、触媒前駆体基準、ルテニウム金属量換算で、0.5〜5質量%、好ましくは0.8〜4.5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。ルテニウムの担持量は活性点数と関連する。ルテニウムの担持量が上記範囲であれば、十分な活性点数が得られると共に、担体成分との相互作用も十分であり、触媒活性及び選択性に優れる結果となる。
なお、触媒の化学組成は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP法)によって求めることができる。
本発明では、ルテニウム化合物の他に、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び希土類化合物(以下、総称して「アルカリ金属化合物等の金属化合物」と言う)から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することでさらに活性を向上させることができる。アルカリ金属化合物等の金属化合物の担持は、触媒前駆体基準、酸化物換算で0.01〜3質量%、好ましくは0.015〜2.5質量%、より好ましくは、0.02〜2質量%である。アルカリ金属化合物等の金属化合物を0.01質量%以上担持することで、C1〜C4のガス成分の生成を抑えることができ、C5+の液収率のより一層の向上をはかることができる。なお、アルカリ金属等の金属化合物の担持量が3質量%を超えても、上述の効果に変化がないが、大幅に超えると逆に活性や液収率の低下が著しくなる傾向が見られるため好ましくない。
アルカリ金属化合物等の金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、イットリウム、セリウム、ランタン等の塩化物、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられ、中でも、炭酸ナトリウムや硝酸ナトリウム等のナトリウム化合物が好ましい。
上記マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体にルテニウム化合物を担持させるに際しては、例えば、担体を、ルテニウム化合物溶液中に浸漬して、ルテニウム化合物を担体上に吸着させたり、イオン交換して付着させたり、アルカリなどの沈殿剤を加えて沈着させたり、溶液を蒸発乾固したり、あるいは触媒種化合物の溶液を担体上へ滴下して行うなど、担体と触媒種化合物の溶液とを接触させて行うことができる。この際、ルテニウム化合物の担持量は上記所定量となるように調節する。ルテニウム化合物としては、従来からルテニウム担持触媒の調製に用いられている各種ルテニウム化合物を適宜選択して用いることができる。その例として、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、塩化六アンモニアルテニウムなどの水溶性ルテニウム塩や、ルテニウムカルボニル、ルテニウムアセチルアセトナートなどの有機溶剤に可溶なルテニウム化合物などが好ましく挙げられる。ルテニウム化合物担持後は水分を除去し、80〜110℃で乾燥し触媒前駆体とする。
ルテニウム化合物に加えて、アルカリ金属等の金属化合物を担持する場合にも、ルテニウム化合物の担持方法と同様の手法で担持することができる。その際、ルテニウム化合物とアルカリ金属等の金属化合物の担持順序はいずれが先であってもまた同時であっても良いが、より高活性の触媒とするためには、アルカリ金属等の金属化合物を担持後にルテニウム化合物を担持することが好ましい。その際、まずアルカリ金属等の金属化合物を担持させ水分を除去した後、200〜900℃で焼成し、次にルテニウム化合物を担持させ、水分を除去した後に乾燥することが最も好ましい。なお、ルテニウム化合物を先に担持する場合には、ルテニウム化合物担持、乾燥後に、後述するアルカリ水溶液による処理と焼成を行う必要があり、その上で、アルカリ金属等の金属化合物を担持し、150〜500℃で焼成を行うことが好ましい。
上記の如くして、担体にルテニウム化合物あるいはルテニウム化合物とアルカリ金属等の金属化合物を含有させて得られた触媒前駆体は、アルカリ性水溶液に浸漬して後処理する。アルカリ性水溶液としては、アンモニア水を用いる。アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、この後処理により発現する効果及び未反応のアルカリ分や洗浄工程に要する水量と時間等の経済的要因を考慮して、0.05〜1モル/リットル、好ましくは0.05〜0.5モル/リットル、より好ましくは0.05〜0.2モル/リットルである。後処理の時間はアルカリ分の濃度にも依るが、通常1〜10時間が好ましい。アルカリ性水溶液で後処理した後、水洗し、余剰のアルカリ分を充分に洗浄し常温〜120℃で乾燥する。
本発明においては、上記アルカリ性水溶液処理を施した触媒前駆体を空気中で焼成処理をする。焼成温度は、焼成処理による触媒活性の向上及びルテニウム金属の過度の凝集の進行による活性点数の低下の抑制の観点から、150〜500℃、好ましくは200〜450℃である。焼成時間は、処理量によって一概には決まらないが、焼成処理効果の発現及び作業性や生産性を考慮して、通常1〜10時間である。実際、焼成時間が10時間を超えても、焼成効果による触媒活性の向上は10時間以下の場合とほとんど変わらないため、10時間以下が好ましい。なお、この焼成処理は空気中で行うことが必須であり、還元条件下で行っても十分な触媒活性の向上が認められない。
アルカリ水溶液処理およびそれに続く焼成処理による大幅な触媒活性の向上の要因についての詳細は明らかとなっていないが、本発明の製造方法で調製された触媒は、焼成処理のみを行った場合、アルカリ性水溶液処理のみの場合、および焼成処理を行った後に、アルカリ性水溶液処理を行った触媒のいずれよりも、大幅に活性が向上することが認められ、これら両処理が必要で、かつアルカリ性水溶液処理後に焼成処理を行うことが必須である。
〔炭化水素類の製造方法〕
次に、本発明の炭化水素類の製造方法について説明する。
本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如くして調製された触媒を用い、FT反応に供する。FT反応の反応器の形式に関しては、固定床、流動床、懸濁床、スラリー床などが挙げられ、その一例として、以下に、スラリー床による炭化水素類の製造方法を記載する。なお、スラリー床にて触媒の活性評価を行う場合は、触媒の形状としては粉末状が好ましく、触媒粒子分布として好ましい範囲は0.5μm以上150μm、さらに好ましくは0.5μm以上120μm、もっとも好ましくは1.0μm以上105μmである。スラリー床反応形式の場合は液状の炭化水素中などに触媒を分散させて使用する。この際、触媒粒子分布が上記範囲であると、粒子の大きさが適切であるので、反応容器内の触媒濃度を保持することが容易であり、触媒微粒子が下流側に溢出する可能性が少なく、また反応容器内全体に触媒粒子が均一に分散し反応活性が維持される。
本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如くして調製された触媒は、FT反応に供する前に予め還元処理(活性化処理)される。この還元処理により、触媒がFT反応において所望の触媒活性を示すように活性化される。この還元処理を行わなかった場合には、担体上に担持されたルテニウム化合物が十分に還元されず、FT反応において所望の触媒活性を示さない。
この還元処理は、触媒を液状炭化水素類に分散させたスラリー状態で還元性ガスと接触させる方法でも、炭化水素類を用いず単に触媒に還元性ガスを通気、接触させる方法でも好ましく行うことができる。
前者の方法における触媒を分散させる液状炭化水素類としては、処理条件下において液状のものであれば、オレフィン類、アルカン類、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素を始めとする種々の炭化水素類を使用できる。また、含酸素、含窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素であっても良い。これらの炭化水素類の炭素数は、処理条件下において液状のものであれば特に制限する必要はないが、一般にC6〜C40のものが好ましく、C9〜C40のものがより好ましく、C9〜C35のものが最も好ましい。炭素数が上記範囲の炭化水素類であれば、蒸気圧が適度であり処理条件幅が広く、かつ還元性ガスの溶解度も高く十分な還元処理が可能である。
また、炭化水素類中に分散させる触媒量は、1〜50質量%の濃度が適当であり、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%の濃度である。
触媒量が上記範囲であれば、触媒の還元効率が高く、かつ炭化水素類に触媒を分散させたスラリーの粘性が適度で気泡分散が良好であり、触媒の還元が十分なされる。なお、触媒の還元効率の低下を防ぐ方法として、還元性ガスの通気量を減少させる方法があるが、還元性ガスの通気量を低下させると気(還元性ガス)−液(溶媒)−固(触媒)の分散が損なわれるため好ましくない。
還元処理温度は、140〜310℃が好ましく、150〜250℃がより好ましく、160〜220℃が最も好適である。上記温度範囲で還元処理を行えば、ルテニウムが十分に還元され、十分な反応活性が得られる。また、担体のマンガン酸化物などの相転位、酸化状態の変化等が進行してルテニウムとの複合体を形成し、これによって触媒がシンタリング(sintering) して、活性低下を招くこともない。
この還元処理には、水素を主成分とする還元性ガスを好ましく用いることができる。
用いる還元性ガスには、水素以外の成分、例えば水蒸気、窒素、希ガスなどを、還元を妨げない範囲である程度の量を含んでいても良い。
この還元処理は、上記処理温度と共に、水素分圧および処理時間にも影響されるが、水素分圧は、0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜6MPaがより好ましく、1〜5MPaが最も好ましい。
還元処理時間は、触媒量、水素通気量等によっても異なるが、触媒の活性化を十分とするために、一般に、0.1〜72時間が好ましく、1〜48時間がより好ましく、4〜48時間が最も好ましい。なお、72時間を超える長時間還元処理しても、触媒に与える悪影響は無いが、触媒性能の向上も見られないのに処理コストが嵩むなどの好ましくない問題を生じる。
本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如く還元処理した触媒がFT反応、すなわち炭化水素類の合成反応に供せられる。本発明におけるFT反応は、触媒を液状炭化水素類中に分散させた分散状態とし、この分散状態の触媒に水素と一酸化炭素からなる合成ガスを接触させる。この際、触媒を分散させる炭化水素類としては、上記の予め行う還元処理で用いられる炭化水素類と同様のものを用いることができる。すなわち、反応条件下において液状のものであれば、オレフィン類、アルカン類、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素を始めとする種々の炭化水素類、含酸素、含窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素等を用いることができ、その炭素数は特に制限する必要はないが、一般にC6〜C40のものが好ましく、C9〜C40のものがより好ましく、C9〜C35のものが最も好ましい。炭素数が上記範囲の炭化水素類であれば、蒸気圧が適度であって反応条件幅が広く、かつ合成ガスの溶解度も高く十分な反応活性が得られる。
上記の予め行う還元処理において、触媒を液状炭化水素類に分散させて行う方法が採用されている場合は、該還元処理で用いられた液状炭化水素類をそのままこのFT反応において用いることができる。炭化水素類中に分散させる触媒量は、1〜50質量%の濃度であり、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%の濃度である。
触媒量が上記範囲であれば、触媒の活性が高く、かつ炭化水素類に触媒を分散させたスラリーの粘性が適度で気泡分散が良好であり、触媒の反応活性が十分得られる。なお、反応活性の低下を防ぐ方法として、合成ガスの通気量を減少させる方法があるが、合成ガスの通気量を低下させると気(合成ガス)−液(溶媒)−固(触媒)の分散が損なわれるため好ましくない。
FT反応に用いる合成ガスは、水素および一酸化炭素を主成分としていれば良く、FT反応を妨げない他の成分が混入されていても差し支えない。FT反応の速度(k)は、水素分圧に約一次で依存するので、水素および一酸化炭素の分圧比(H2/COモル比)が0.6以上であることが望まれる。この反応は、体積減少を伴う反応であるため、水素および一酸化炭素の分圧の合計値が高いほど好ましい。水素および一酸化炭素の分圧比は、生成する炭化水素類の収量の増加及び生成する炭化水素類に含有される軽質分の割合を抑制する観点から、その上限は特に制限されないが、現実的なこの分圧比の範囲としては、0.6〜2.7が適当であり、好ましくは0.8〜2.5、より好ましくは1〜2.3である。
さらに、本発明の炭化水素類の製造方法においては、合成ガス中に二酸化炭素が共存しても問題ない。共存させる二酸化炭素としては、例えば石油製品の改質反応や天然ガス等から得られるものでも問題なく用いることができ、FT反応を妨げない他の成分が混入されていても差し支えなく、例えば、石油製品等の水蒸気改質反応から出るもののように水蒸気や部分酸化された窒素等が含有されたものでも良い。
また、この二酸化炭素は、二酸化炭素の含有されてない合成ガスに積極的に添加することもできるし、また、天然ガスを自己熱改質法あるいは水蒸気改質法等で改質して得られた、二酸化炭素を含有する合成ガス中の二酸化炭素を利用すること、すなわち二酸化炭素を含有する合成ガスを脱炭酸処理することなくそのままFT反応に供することもできる。 二酸化炭素を含有する合成ガスをそのままFT反応に供すれば、脱炭酸処理に要する設備建設コストおよび運転コストを削減することができ、FT反応で得られる炭化水素類の製造コストを低減することができる。
FT反応に供する合成ガス(混合ガス)の全圧(全成分の分圧の合計値)は、1〜10MPaが好ましく、1.5〜6MPaがさらに好ましく、1.8〜5MPaがなおさらに好ましい。合成ガス(混合ガス)の全圧が1MPa以上であれば、連鎖成長が十分大きくなりガソリン分、灯軽油分、ワックス分などの収率が増大する傾向が見られるため好ましい。平衡上は、水素および一酸化炭素の分圧が高いほど有利になるが、該分圧が高まるほどプラント建設コスト等が高まったり、圧縮に必要な圧縮機などの大型化により運転コストが上昇するなどの産業上の観点から該分圧の上限は規制される。
このFT反応においては、一般に、合成ガスのH2/CO(モル比)が同一であれば、反応温度が低いほど連鎖成長確率やC5+選択性が高くなるが、CO転化率は低くなる。 逆に、反応温度が高くなれば、連鎖成長確率、C5+選択性は低くなるが、CO転化率は高くなる。また、H2/CO比が高くなれば、CO転化率が高くなり、連鎖成長確率、C5+選択性は低下し、H2/CO比が低くなれば、その逆となる。これらのファクターが反応に及ぼす効果は、用いる触媒の種類等によってその大小が異なるが、本発明においては、反応温度は200〜350℃を好ましく採用し、210〜310℃がより好ましく、220〜290℃がさらに好ましい。
なお、CO転化率、連鎖成長確率(α)およびC5+の生産性は、下記式等で定義され、測定される値である。
〔CO転化率〕
CO転化率=[(単位時間当たりの原料ガス中のCOモル数)−(単位時間当たりの出口ガス中のCOモル数)]/単位時間当たりの原料ガス中のCOモル数×100(%)
〔連鎖成長確率(α)〕
炭素数nの炭化水素の生成物中の質量分率をMn、連鎖成長確率をαとした場合、シュルツ・フローリー分布に従うと、下式のような関係が成り立つ。従って、log(Mn/n)とnをプロットしたときの傾きlog αからα値を算出する。
log(Mn/n)=log((1−α)2/α)+n・logα
〔C5+の生産性〕
5+の生産性は、触媒重量当たりの単位時間におけるC5+の生成量を指し、下式で定義される。
5+の生産性=C5+生産量[g]/触媒重量[kg]/[hr]
以下、実施例および比較例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、COおよびCH4の分析には、Active Carbon(60/80mesh)を分離カラムに用いた熱伝導度型ガスクロマトグラフ(TCD−GC)で行った。なお、原料ガスにはArを内部標準として10vol%添加した合成ガス(H2とCOの混合ガス)を用いた。なお、COおよびCH4のピーク位置、ピーク面積をArと比較することで定性および定量分析した。
1〜C6炭化水素の分析には、Capillary Column(Al23/KCl PLOT)を分離カラムに用いた水素炎イオン化検出型ガスクロマトグラフ(FID−GC)を用い、TCD−GCと共通に分析できるCH4と比較して該炭化水素類の定性、定量分析を行った。
さらに、C5〜C40以上の炭化水素類の分析にはCapillary Column(TC−1)を分離カラムに用いた水素炎イオン化検出型ガスクロマトグラフ(FID−GC)を用い、軽質炭化水素(C1〜C6)と共通に分析できるC5およびC6と比較して該炭化水素類の定性、定量を行った。
触媒の化学成分の同定は、ICP(CQM-10000P、島津製作所製)により行った。
実施例1
予め充分乾燥した酸化アルミニウム粉末(Pural SB, Condea製)に純水(以下水と略記)を滴下し、飽和吸水量を求めた。この時の飽和吸水量は0.9g/g−酸化アルミニウムだった。水3.48gに硝酸マンガン6水和物21.8gを溶解した水溶液を酸化アルミニウム3.77gに含浸させ、約3時間放置した後、空気中、110℃で乾燥し、マッフル炉にて空気中600℃で3時間焼成した。得られた酸化アルミニウムと酸化マンガンからなる担体に水3.48gに炭酸ナトリウム0.05gを溶解した水溶液を含浸した。これを、空気中、110℃で乾燥し、マッフル炉にて600℃で3時間焼成した。その後、酸化アルミニウムおよび酸化マンガンからなる担体にナトリウムを含浸した担体に、水3.48gに塩化ルテニウム(Ru Assay 41.5質量%)0.24gを溶解した水溶液を含浸し、1時間放置した後、空気中、110℃で乾燥した。これをメノウ乳鉢に移して粉砕し、触媒前駆体Aを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Aの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で1.0質量%、Na2O換算で0.29質量%、Mn23は60.0質量%であった。
この触媒前駆体Aに100mlの0.05モル/リットルのアンモニア水を加えマグネチックスターラーで約1時間アルカリ水溶液処理した後ろ過し、300mlの水で洗浄ろ過した。これを空気中110℃で乾燥後、マッフル炉にて200℃で5時間焼成し、触媒Aを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Aの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で1.0質量%、Na2O換算で0.10質量%、Mn23は60.3質量%であった。
触媒A2.0gを分散媒のノルマルヘキサデカン(n−C1634、以下溶媒と略記)40ml(スラリー濃度5質量%)と共に内容積100mlの反応器に充填し、水素分圧2MPa・G、温度170℃、流量100(STP)ml/min(STP:standard temperature and pressure)で水素を触媒Aに接触させて3時間還元した。還元後、H2/CO比約2の合成ガス(Ar約10vol.%含む)に切り換え、温度260℃、H2+CO圧力2.4MPa・GにしてFT反応を行った。W/F(weight/flow[g・hr/mol]は約4.7g・hr/molであった。FT反応開始50時間後のCO転化率は約62%、CH4選択率は約4%、C5+選択率約92%、連鎖成長確率は0.91、およびC5+生産性は568g/kg/hrであった。
実施例2
実施例1と同じ調製手法にて、酸化アルミニウム4.54gに硝酸マンガン18.16gを、次いで、炭酸ナトリウム0.1gを、次いで塩化ルテニウム0.48gを含浸させ、触媒前駆体Bを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Bの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で2.0質量%、Na2O換算で0.58質量%、Mn23は50.0質量%であった。この触媒前駆体Bに100mlの0.08モル/リットルのアンモニア水を加えマグネチックスターラーで約1時間アルカリ水溶液処理した後、ろ過し、さらに300mlの水で洗浄ろ過した。これを空気中110℃で乾燥後、マッフル炉にて250℃で5時間焼成し、触媒Bを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Bの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で2.0質量%、Na2O換算で0.30質量%、Mn23は50.5質量%であった。
この触媒Bを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約70%、CH4選択率は約3%、C5+選択率約93%、連鎖成長確率は0.91、およびC5+生産性は648g/kg/hrであった。
実施例3
実施例1と同じ調製手法にて、酸化アルミニウム6.31gに硝酸マンガン10.9gを、次いで、炭酸ナトリウム0.15gを、次いで塩化ルテニウム0.72gを含浸させ、触媒前駆体Cを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Cの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.88質量%、Mn23は30.0質量%であった。この触媒前駆体Cに100mlの0.1モル/リットルのアンモニア水を加えマグネチックスターラーで約1時間アルカリ水溶液処理した後ろ過し、300mlの水で洗浄ろ過した。さらに、これに100mlの0.1モル/リットルのアンモニア水を加えマグネチックスターラーで約1時間アルカリ水溶液処理した後ろ過し、300mlの水で洗浄ろ過した。これを空気中110℃で乾燥後、マッフル炉にて300℃で5時間焼成し、触媒Cを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Cの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.03質量%、Mn23は30.7質量%であった。
この触媒Cを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約81%、CH4選択率は約3%、C5+選択率約93%、連鎖成長確率は0.90、およびC5+生産性は750g/kg/hrであった。
実施例4
実施例1と同じ調製手法にて、酸化アルミニウム7.08gに硝酸マンガン7.27gを、次いで、炭酸ナトリウム0.21gを、次いで塩化ルテニウム0.96gを含浸させ、触媒前駆体Dを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Dの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で4.0質量%、Na2O換算で1.19質量%、Mn23は20.0質量%であった。この触媒前駆体Dに100mlの0.15モル/リットルのアンモニア水を加えマグネチックスターラーで約1時間アルカリ水溶液処理した後ろ過し、300mlの水で洗浄ろ過した。これを空気中110℃で乾燥後、マッフル炉にて450℃で3時間焼成し、触媒Dを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Dの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で4.0質量%、Na2O換算で0.50質量%、Mn23は20.3質量%であった。
この触媒Dを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約88%、CH4選択率は約4%、C5+選択率約90%、連鎖成長確率は0.90、およびC5+生産性は788g/kg/hrであった。
実施例5
実施例1と同じ調製手法で、酸化アルミニウム6.28gに硝酸マンガン10.9gを、次いで、硝酸マグネシウム6水和物0.76gを、次いで塩化ルテニウム0.72gを含浸させ、触媒前駆体Eを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Eの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、MgO換算で1.20質量%、Mn23は30.0質量%であった。この触媒前駆体Eに100mlの0.10モル/リットルのアンモニア水を加えマグネチックスターラーで約1時間アルカリ水溶液処理した後ろ過し、300mlの水で洗浄ろ過した。これを空気中110℃で乾燥後、マッフル炉にて400℃で5時間焼成し、触媒Eを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Eの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で3.0質量%、MgO換算で0.40質量%、Mn23は30.3質量%であった。
この触媒Eを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約85%、CH4選択率は約4%、C5+選択率約90%、連鎖成長確率は0.90、およびC5+生産性は761g/kg/hrであった。
実施例6
実施例1と同じ調製手法で、酸化アルミニウム6.25gに硝酸マンガン10.9gを、次いで、硝酸ランタン6水和物0.4gを、次いで塩化ルテニウム0.72gを含浸させ、触媒前駆体Fを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Fの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、La23換算で1.50質量%、Mn23は30.0質量%であった。この触媒前駆体Fに100mlの0.10モル/リットルのアンモニア水を加えマグネチックスターラーで約1時間アルカリ水溶液処理した後ろ過し、300mlの水で洗浄ろ過した。これを空気中110℃で乾燥後、マッフル炉にて400℃で5時間焼成し、触媒Fを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Fの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で3.0質量%、La23換算で1.41質量%、Mn23は30.1質量%であった。
この触媒Fを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約82%、CH4選択率は約5%、C5+選択率約90%、連鎖成長確率は0.90、およびC5+生産性は734g/kg/hrであった。
比較例1
300℃の焼成処理を行わない以外は、実施例3と同様の方法で触媒前駆体Gおよび触媒Gを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Gの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.88質量%、Mn23は30.0質量%であった。さらに、触媒Gの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.03質量%、Mn23は31.0質量%であった。
この触媒Gを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約50%、CH4選択率は約7%、C5+選択率約85%、連鎖成長確率は0.90、およびC5+生産性は423g/kg/hrであった。
比較例2
アルカリ水溶液処理を行わない以外は、実施例3と同様の方法で触媒前駆体Hおよび触媒Hを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Hの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O金属換算で0.89質量%、Mn23は30.0質量%であった。さらに、触媒Hの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.90質量%、Mn23は30.0質量%であった。
この触媒Hを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約31%、CH4選択率は約25%、C5+選択率約57%、連鎖成長確率は0.72、およびC5+生産性は176g/kg/hrであった。
比較例3
焼成処理をヘリウム気流中にて行った以外は、実施例3と同様の方法で触媒前駆体Iおよび触媒Iを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒前駆体Iの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O金属換算で0.88質量%、Mn23は30.0質量%であった。さらに、触媒Iの化学組成分析を行った結果、触媒基準で、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.03質量%、Mn23は30.5質量%であった。
この触媒Iを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約52%、CH4選択率は約6%、C5+選択率約86%、連鎖成長確率は0.90、およびC5+生産性は445g/kg/hrであった。
上記実施例1〜4、および比較例1〜3の実験結果を表1および表2に示す。
Figure 0004421913
Figure 0004421913
表1および表2から明かなように、アルカリ水溶液処理後に空気中で焼成処理を行った触媒は、ガス成分(CH4選択率)が低く、高いCO転化率、C5+選択率を示し、よってC5+の生産性が高く、すなわち液状炭化水素留分の得率が高い優れた性能を示す。

Claims (7)

  1. マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体にルテニウム化合物を担持した触媒前駆体を、150〜500℃で焼成処理することなくアンモニア水で処理する操作と、その後に空気中で150〜500℃で焼成処理する操作を行うことを特徴とする炭化水素類製造用触媒の製造方法。
  2. 触媒前駆体のルテニウム化合物の担持量が、触媒前駆体基準、金属換算で、0.5〜5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
  3. 触媒前駆体が、マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体にルテニウム化合物とアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び希土類化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを担持した触媒前駆体であることを特徴とする請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
  4. アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び希土類化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の担持量が、触媒前駆体基準、酸化物換算で、0.01〜3質量%であることを特徴とする請求項3に記載の触媒の製造方法。
  5. 触媒前駆体中のマンガン酸化物の割合が10〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の触媒の製造方法。
  6. アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び希土類から選ばれる少なくとも1種の化合物が、ナトリウム化合物であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の触媒の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造法で得られた触媒に、水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを接触させることを特徴とする炭化水素類の製造方法。
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