JP4267482B2 - 炭化水素類製造用触媒およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法 - Google Patents

炭化水素類製造用触媒およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4267482B2
JP4267482B2 JP2004047830A JP2004047830A JP4267482B2 JP 4267482 B2 JP4267482 B2 JP 4267482B2 JP 2004047830 A JP2004047830 A JP 2004047830A JP 2004047830 A JP2004047830 A JP 2004047830A JP 4267482 B2 JP4267482 B2 JP 4267482B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
reaction
ruthenium
hydrocarbons
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004047830A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005238014A (ja
Inventor
一仁 佐藤
治 岩本
宏明 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Co Ltd
Japan Oil Gas and Metals National Corp
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Japan Oil Gas and Metals National Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2004047830A priority Critical patent/JP4267482B2/ja
Application filed by Cosmo Oil Co Ltd, Japan Oil Gas and Metals National Corp filed Critical Cosmo Oil Co Ltd
Priority to EP12192544A priority patent/EP2559482A1/en
Priority to US10/585,109 priority patent/US7612013B2/en
Priority to AU2005215337A priority patent/AU2005215337B2/en
Priority to PCT/JP2005/003424 priority patent/WO2005079979A1/ja
Priority to EP05719739A priority patent/EP1719555A4/en
Publication of JP2005238014A publication Critical patent/JP2005238014A/ja
Priority to ZA200605443A priority patent/ZA200605443B/xx
Application granted granted Critical
Publication of JP4267482B2 publication Critical patent/JP4267482B2/ja
Priority to AU2009225378A priority patent/AU2009225378B2/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、水素と一酸化炭素を主成分とする混合ガス(以下「合成ガス」という)から炭化水素類を製造するための触媒および炭化水素類の製造方法に関する。さらに詳しくは、合成ガスを、マンガン酸化物とアルミニウム酸化物との混合物を担体とするルテニウム系触媒に接触させ、灯軽油留分や灯軽油留分に容易に変換できるワックス成分に富む炭化水素類を製造する方法に関する。
合成ガスから炭化水素類を合成する方法として、フィッシャー・トロプシュ反応(Fischer-Tropsch反応)、メタノール合成反応などが良く知られている。そして、フィッシャー・トロプシュ反応は鉄やコバルトの鉄族、ルテニウム等の白金族触媒で、メタノール合成反応は銅系触媒で、C2含酸素(エタノール、アセトアルデヒド等)合成はロジウム系触媒で進行することが知られており、また、これらの炭化水素類の合成に用いる触媒の触媒能は、一酸化炭素の解離吸着(dissociative adsorption)能と強く関連することが知られている〔例えば非特許文献1(「均一触媒と不均一触媒」、千鯛、市川共著、丸善、昭和58年刊)参照〕。
ところで、近年、大気環境保全の観点から、低硫黄分の軽油が望まれており、今後その傾向はますます強くなるものと考えられる。また、原油資源は有限であるとの観点から、それに代わるエネルギー源の開発が望まれており、今後ますます強く望まれるようになるものと考えられる。これらの要望に応える技術として、エネルギー換算で原油に匹敵する可採埋蔵量があるといわれる天然ガス(主成分メタン)から灯軽油等の液体燃料を合成する技術であるGTL(gas to liquids)がある。天然ガスは、硫黄分を含まないか、含んでいても脱硫が容易な硫化水素(H2S)等であるため、得られる灯軽油等の液体燃料には、その中に殆ど硫黄分が無く、またセタン価の高い高性能ディーゼル燃料に利用できるなどの利点があるため、このGTLは近年ますます注目されるようになってきている。
上記GTLの一環として、合成ガスからフィッシャー・トロプシュ反応(以下「FT反応」という)によって炭化水素類を製造する方法(以下「FT法」という)が盛んに研究されている。このFT法によって炭化水素類を製造するに当り、灯軽油留分の収率を高めるためには、C10〜C16相当の炭化水素を効率的に合成することが肝要である。一般に、FT反応における炭化水素類生成物の炭化水素分布はシュルツ・フローリー(Shultz-Flory)則に従うとされており、シュルツ・フローリー則では、連鎖成長確率α値は、反応温度の上昇と共に大きく低下する傾向にある、つまり反応温度が上昇すると生成炭化水素類の炭素数が大きく低下する傾向にあるとしている。古くは、如何にシュルツ・フローリー則を外し、如何に特定の炭素数の炭化水素類を選択的に合成するかを課題として、盛んに触媒開発等の技術開発が行われたようであるが、未だこの課題を十分解決し得た技術は提案されていない。最近では、むしろ、シュルツ・フローリー則を外すことにはこだわらずに、ワックス分等の水素化分解により容易に灯軽油留分とすることのできる留分の収率を高め、該ワックス分等を水素化分解することにより、その結果として灯軽油留分の得率を高めようという考え方が一般的になっている。しかしながら、現状の連鎖成長確率は0.85前後であり、これを如何に高めていくかが最近の技術的課題の一つになっている。とはいえ、あまり連鎖成長確率を高めていくと、生成炭化水素類は殆どがワックス分となるため、今度はプロセス運転においてワックスが固化しやすいため取り扱い上の問題が生じ、また触媒の一般的性能からしても、連鎖成長確率は0.95前後が事実上の上限と考えられている。
そこで、灯軽油留分の得率をなお一層高めるための他の方法としては、炭化水素類の製造能力、すなわち活性が高く、ガス成分の収率が低く、液収率および連鎖成長確率が高く、長時間安定した活性を示すといった優れた性能を有する触媒を用いることが有効と考えられる。
従来から、種々のFT反応用の触媒が提案されており、オレフィン類への高選択性を目的とした触媒として、マンガン酸化物担体にルテニウムを担持させた触媒、このルテニウム担持触媒にさらに第三成分を加えた触媒などのルテニウム系触媒が提案されている〔特許文献1(特公平3−70691号公報)、特許文献2(特公平3−70692号公報)参照〕。
しかし、これらのルテニウム系触媒を用いたFT法では、上記灯軽油留分得率の向上を十分達成することができない。すなわち、上記ルテニウム系触媒は、オレフィン類の選択性には優れるが、触媒活性が低く、炭素数5以上の液状炭化水素留分(以下「C5+ 」と略称する)自体の得率は低いものである。
本発明者らは、アルミニウム酸化物およびマンガン酸化物からなる担体に、ナトリウム化合物を触媒基準で0.1〜10質量%担持し、さらに、ルテニウムを触媒基準で1〜30質量%担持した、比表面積60〜350m2/g、嵩密度0.8〜1.8g/mlを示す触媒を、予め還元処理を施した後、液状炭化水素類中に濃度1〜50質量%にて分散せしめ、該触媒に水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを、圧力1〜10MPa、反応温度170〜300℃で接触させる炭化水素類の製造方法を発明し、特許出願した〔特許文献3(特開2003−3174号公報)参照〕。
上記の発明に係る炭化水素類の製造方法は、連鎖成長確率が高く、オレフィン選択性に優れ、かつ高触媒活性で、安定して円滑に反応を行うことができる点で優れた方法であるが、C5+の生産性という観点からは、その一層の向上が望まれる。すなわち、一般に、触媒重量当たりの目的物の生産性の高い触媒ほど、同じ量の目的物を得るための触媒使用重量は少なくて済み、それに伴い反応器を小型化できるなど、触媒費用や装置費用の軽減が期待できる。したがって、上記の先の発明に係る炭化水素類の製造方法のような炭化水素類の製造方法においても、使用触媒のC5+の生産性の一層の向上が望まれる。
特公平3−70691号公報 特公平3−70692号公報 特開2003−3174号公報 「均一触媒と不均一触媒」、千鯛、市川共著、丸善、昭和58年発刊
本発明の目的は、FT法にあって、連鎖成長確率が高く、オレフィン選択性に優れ、かつ高触媒活性で、安定して円滑に反応を行うことができ、なおかつC5+の生産性が高く、液状炭化水素類を効率的に製造できる触媒、及び方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目標を達成すべくさらに研究を進めたところ、先に発明した上記のような炭化水素類の製造方法において、マンガン酸化物と特定のアルミニウム酸化物からなる担体にルテニウムを担持した触媒を用いることによって、触媒の活性が大幅に向上し、C1〜C4のガス成分の生成が少なくC5+の液状炭化水素留分の生産性も向上することを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記構成の炭化水素類製造触媒及び炭化水素類の製造方法である。
1.マンガン酸化物と、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積が全細孔容積の5割以上を占めるアルミニウム酸化物とからなる担体にルテニウム化合物を担持してなり、平均細孔径が21.5〜25nmであることを特徴とする炭化水素類製造触媒。
2.ルテニウム化合物の担持量が、触媒基準、ルテニウム金属量換算で、0.5〜5質量%であることを特徴とする上記1に記載の触媒。
3.マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体に、ルテニウム化合物とアルカリ金属化合物とを担持したことを特徴とする上記1または2に記載の触媒。
4.アルカリ金属化合物の担持量が、触媒基準、酸化物換算で0.01〜3質量%であることを特徴とする上記3に記載の触媒。
5.触媒中のマンガン酸化物の割合が10〜70質量%であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の触媒。
6.アルカリ金属化合物がナトリウム化合物であることを特徴とする上記3〜5のいずれかに記載の触媒。
7.上記1〜のいずれかに記載の触媒に、水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを接触させることを特徴とする炭化水素類の製造方法。
マンガン酸化物と、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積が全細孔容積の5割以上を占めるアルミニウム酸化物とからなる担体を用いて調製された本発明の触媒によりFT反応を行うと、生成するガス成分が少なく、高いCO転化率、高いC5+選択率を示す。即ち、C5+の生産性が高く、液状炭化水素留分の得率が高い。
換言すれば、本発明によれば、活性が高く、ガス成分の生成が少なく、しかもC5+の液状炭化水素留分の生産性が高い触媒及び該触媒を用いた炭化水素類の製造方法が提供される。
以下に発明を詳細に説明する。
本発明で用いる触媒は、マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体に、ルテニウムを担持後、乾燥して調製することができる。以下、触媒の調製から炭化水素類の製造方法までを順次説明する。
『触媒の調製』
本発明に用いる触媒において、マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体のマンガン酸化物の例としては、MnO、Mn34、Mn23、MnO2などが好ましく挙げられる。また、硝酸マンガンや炭酸マンガン、酢酸マンガンなどの各種マンガン塩を出発物質とし、これから得られるマンガン酸化物を用いることもできる。例えば、硝酸マンガンを空気中焼成して得られるMn23などを好ましく使用できる。
アルミニウム酸化物の例としてはα、β、γ、η、θ、などの各種結晶状態のもの、あるいはジブサイト、バイアライト、ベーマイトなどのアルミニウム酸化物の水和物を用いることもできる。これらのアルミニウム酸化物は従来公知の方法で製造することができる。例えば、上記アルミニウム酸化物の水和物の熱分解により得られる。アルミニウム酸化物の水和物は、塩化アルミニウムや硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸アルカリなどの各種アルミニウム塩水溶液の加水分解や熱分解で得られる。ベーマイトのように結晶性の低いものを焼成して得られるアルミニウム酸化物(特にγ-アルミニウム酸化物)は、バイヤライト、ジブサイド等のように結晶性の高いものを多く含むアルミニウム酸化物の水和物を焼成して得られるアルミニウム酸化物より、比表面積および細孔容積が大きく、好ましい。さらに、アルミニウムイソプロポキシドのようなアルミニウムアルコキシドを加水分解するゾルゲル法によって得られるアルミニウム酸化物も比表面積や、細孔容積が大きく好ましく用いることができる。
さらに、本発明に用いる触媒を構成するアルミニウム酸化物は、特定の細孔構造を有することが重要な要因となる。すなわち、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積が、全細孔容積の5割以上、好ましくは6割以上、より好ましくは7割以上を占めるアルミニウム酸化物を用いることで活性が高く、C5+の生産性に優れる良好なFT反応を進行させることができ、またこの活性を長期間維持することができる。本効果が発現する詳細な機構については現在鋭意検討中であり、明らかとはなっていないが、細孔径が8nm以上の細孔によって形成される細孔容積が全細孔容積の5割未満、すなわち比較的小さい細孔が主となる場合では、FT反応によって生成するワックスのような高級炭化水素の細孔外への拡散や、原料ガスである合成ガスの細孔内への拡散が抑制されるためと考えている。
アルミニウム酸化物の全細孔容積については特に規定はしないが、活性金属の分散性等を考慮すると0.3cm3/g以上が好ましく、また、上限も特に限定しないが、細孔容積があまり大きくなると機械的強度が低下し、反応中に触媒の粉化等が起きるおそれがあることと、製造技術上の観点から、1.2cm3/g以下とすることが好ましい。
アルミニウム酸化物の細孔構造の制御については、従来公知の方法で調製することができ、具体的には、上記のアルミニウム酸化物の水和物を調製する際のpH、温度、熟成時間を調節したり、この水和物の焼成温度を調節することで可能である。また、細孔構造を種々調節した市販のアルミニウム酸化物を用いることもできる。
なお、上記した細孔径や細孔容積は、窒素吸着脱離等温線(−196℃)を測定し、これからD−H法により求めた。
触媒中のマンガン酸化物の割合は、10〜70質量%、好ましくは15〜60質量%となるように調製することでより一層活性を向上させることができる。すなわち、マンガン酸化物の割合を10質量%以上とすることで、より一層C1〜C4ガス成分の生成を抑制することができ、さらにはC5+留分の選択性の増加をはかることができる。また、マンガン酸化物の割合を70質量%以下とすることで、触媒の比表面積を十分に確保することが可能となり、ルテニウム金属等の活性金属の分散性を向上させ、それによって触媒の活性をさらに向上させることができる。
マンガン酸化物とアルミニウム酸化物からなる担体の調製は、常法に従って行うことができ、通常、担体前駆体調製後、乾燥・焼成を経て調製される。例えば、アルミニウム酸化物にマンガン酸化物原料である各種マンガン塩の水溶液を含浸させるか、その逆にマンガン酸化物にアルミニウム酸化物原料である各種アルミニウム塩の水溶液を含浸させる方法、あるいは両者の塩の水溶液の混合物にアルカリ性水溶液を加えて共沈させる方法で担体前駆体を得ることができる。さらに、マンガン酸化物原料とアルミニウム酸化物原料を物理的に混合して担体前駆体を得ることもできる。その他の担体前駆体の調製方法としては、マンガン酸化物原料とアルミニウム酸化物原料からなる混合物をスプレー法を用いて担体前駆体にすることが挙げられる。得られた担体前駆体は、乾燥後、焼成を行い担体が得られる。
このときの焼成温度は、一般には200〜900℃、好ましくは300〜800℃、より好ましくは400〜700℃で行う。焼成温度が900℃以下であれば担体の比表面積が適度な大きさに維持され、焼成温度が200℃以上であると活性化が図られ、酸化物が十分に形成されて担体の安定性に優れる結果となる。この担体の形状については特に限定しないが、後述の反応形式に応じて、粉末状、顆粒状、打錠成型体、押し出し成型体等の任意の形状のものを用いることができる。
上記の如くして得られた担体にルテニウム化合物を担持する。ルテニウム化合物の担持量は、触媒基準、ルテニウム金属量換算で、0.5〜5質量%、好ましくは0.8〜4.5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。ルテニウム化合物の担持量は活性点数と関連する。ルテニウムの担持量が上記範囲であれば、十分な活性点数が得られ、ルテニウムの分散性や担体成分との相互作用も十分であり、触媒活性及び選択性に優れる結果となる。
なお、触媒の化学組成は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP法)によって求めることができる。
本発明では、ルテニウム化合物の他に、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び希土類化合物(以下、総称して「アルカリ金属等の金属化合物」と言う)から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、さらに触媒性能を向上させることができる。アルカリ金属等の金属化合物の担持は、触媒基準、酸化物換算で、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.015〜2.5質量%、さらに好ましくは0.02〜2質量%である。アルカリ金属等の金属化合物を0.01質量%以上担持することで、C1〜C4のガス成分の生成を抑えることができ、C5+の液収率のより一層の向上をはかることができる。なお、アルカリ金属等の金属化合物の担持量が3質量%を超えても、上述の効果に変化がないが、大幅に超えると逆に活性や液収率の低下が著しくなる傾向が見られるため好ましくない。
アルカリ金属化合物等の金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、イットリウム、セリウム、ランタン等の塩化物、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられ、中でも炭酸ナトリウムや硝酸ナトリウム等のナトリウム化合物が好ましい。
上記マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体にルテニウム化合物を担持させるに際しては、例えば、担体を、ルテニウム化合物溶液中に浸漬して、ルテニウム化合物を担体上に吸着させたり、イオン交換して付着させたり、アルカリなどの沈殿剤を加えて沈着させたり、溶液を蒸発乾固したり、あるいは触媒種化合物の溶液を担体上へ滴下して行うなど、担体と触媒種化合物の溶液とを接触させて行うことができる。この際、ルテニウム化合物の担持量は上記所定量となるように調節する。ルテニウム化合物としては、従来からルテニウム担持触媒の調製に用いられている各種ルテニウム化合物を適宜選択して用いることができる。その例として、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、塩化六アンモニアルテニウムなどの水溶性ルテニウム塩や、ルテニウムカルボニル、ルテニウムアセチルアセトナートなどの有機溶剤に可溶なルテニウム化合物などが好ましく挙げられる。ルテニウム化合物担持後は水分を除去し、80〜110℃で乾燥する。
ルテニウム化合物に加えて、アルカリ金属等の金属化合物を担持する場合にも、ルテニウム化合物の担持方法と同様の手法で担持することができる。その際、ルテニウム化合物とアルカリ金属等の金属化合物の担持順序はいずれが先であってもまた同時であっても良いが、より高活性の触媒とするためには、アルカリ金属等の金属化合物を担持後にルテニウム化合物を担持することが好ましい。その際、まずアルカリ金属等の金属化合物を担持させ水分を除去した後、200〜900℃で焼成し、次にルテニウム化合物を担持させ、水分を除去した後に乾燥することが最も好ましい。
本発明の触媒の比表面積は、20〜300m2/gであり、好ましくは30〜250m2/g、さらに好ましくは40〜200m2/gである。比表面積が20m2/g以上となると、アルカリ金属等の化合物およびルテニウムの分散性が良好であり好ましい。また、比表面積の上限に関しては、一般に固体触媒を扱うに当たっては、広いほど、気体、液体、固体の接触頻度が高まるため好ましい。
また、本発明の触媒の細孔容積は、好ましくは0.1〜1.2cm3/g、より好ましくは0.2〜1.1cm3/g、さらに好ましくは0.3〜1.0cm3/gである。細孔容積が0.1cm3/g未満では、活性金属種の分散性が低下するおそれがあり好ましくない。また、細孔容積があまり大きくなると機械的強度が低下し、反応中に触媒の粉化等が起きるおそれがあることと、製造技術上の観点から、1.2cm3/g以下とすることが好ましい。
さらに、本発明の触媒の平均細孔径は、21.5〜25nmである。触媒の平均細孔径が上記範囲であると、触媒表面での反応ガスや生成物の拡散が良好であり、また機械的強度も高く、反応中に触媒の粉化等が起きることがない。
『炭化水素類の製造方法』
次に、本発明の炭化水素類の製造方法について説明する。
本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如くして調製された触媒を、FT反応に供する。FT反応の反応器の形式に関しては、固定床、流動床、懸濁床、スラリー床などが挙げられ、特に限定はしないが、その一例として、以下に、スラリー床による炭化水素類の製造方法を記載する。なお、スラリー床にて触媒の活性評価を行う場合は、触媒の形状としては粉末状が好ましく、触媒粒子分布として好ましい範囲は0.5μm以上150μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上120μm以下、もっとも好ましくは1.0μm以上105μm以下である。スラリー床反応形式の場合は、液状の炭化水素中などに触媒を分散させて使用する。この際、触媒粒子分布が上記範囲であると、粒子の大きさが適切であるので、反応容器内の触媒濃度を保持することが容易であり、触媒微粒子が下流側に溢出する可能性が少なく、また反応容器内全体に触媒粒子が均一に分散し反応活性が維持される。
本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如くして調製された触媒は、FT反応に供する前に予め還元処理(活性化処理)される。この還元処理により、触媒がFT反応において所望の触媒活性を示すように活性化される。この還元処理を行わなかった場合には、担体上に担持されたルテニウム化合物が十分に還元されず、FT反応において所望の触媒活性を示さない。この還元処理は、触媒を液状炭化水素類に分散させたスラリー状態で還元性ガスと接触させる方法でも、炭化水素類を用いず単に触媒に還元性ガスを通気、接触させる方法でも好ましく行うことができる。前者の方法における触媒を分散させる液状炭化水素類としては、処理条件下において液状のものであれば、オレフィン類、アルカン類、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素を始めとする種々の炭化水素類を使用できる。また、含酸素、含窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素であっても良い。これらの炭化水素類の炭素数は、処理条件下において液状のものであれば特に制限する必要はないが、一般にC6 〜C40のものが好ましく、C9 〜C40のものがより好ましく、C9〜C35のものが最も好ましい。炭素数が上記範囲の炭化水素類であれば、蒸気圧が適度であり処理条件幅が広く、かつ還元性ガスの溶解度も高く十分な還元処理が可能である。
また、炭化水素類中に分散させる触媒量は、1〜50質量%の濃度が適当あり、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%の濃度である。触媒量が上記範囲であれば、触媒の還元効率が高く、かつ炭化水素類に触媒を分散させたスラリーの粘性が適度で気泡分散が良好であり、触媒の還元が十分なされる。なお、触媒の還元効率の低下を防ぐ方法として、還元性ガスの通気量を減少させる方法があるが、還元性ガスの通気量を低下させると気(還元性ガス)−液(溶媒)−固(触媒)の分散が損なわれるため好ましくない。
還元処理温度は、140〜310℃が好ましく、150〜250℃がより好ましく、160〜220℃が最も好適である。上記温度範囲で還元処理を行えば、ルテニウムが十分に還元され、十分な反応活性が得られる。また、担体のマンガン酸化物などの相転位、酸化状態の変化等が進行してルテニウムとの複合体を形成し、これによって触媒がシンタリング(sintering) して、活性低下を招くこともない。
この還元処理には、水素を主成分とする還元性ガスを好ましく用いることができる。用いる還元性ガスには、水素以外の成分、例えば水蒸気、窒素、希ガスなどを、還元を妨げない範囲である程度の量を含んでいても良い。
この還元処理は、上記処理温度と共に、水素分圧および処理時間にも影響されるが、水素分圧は、0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜6MPaがより好ましく、1〜5MPaが最も好ましい。還元処理時間は、触媒量、水素通気量等によっても異なるが、触媒の活性化を十分とするために、一般に0.1〜72時間が好ましく、1〜48時間がより好ましく、4〜48時間が最も好ましい。なお、72時間を超える長時間還元処理しても、触媒に与える悪影響は無いが、触媒性能の向上も見られないのに処理コストが嵩むなどの好ましくない問題を生じる。
本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如く還元処理した触媒がFT反応、すなわち炭化水素類の合成反応に供せられる。本発明におけるFT反応は、触媒を液状炭化水素類中に分散せしめた分散状態となし、この分散状態の触媒に水素と一酸化炭素からなる合成ガスを接触させる。この際、触媒を分散させる炭化水素類としては、上記の予め行う還元処理で用いられる炭化水素類と同様のものを用いることができる。すなわち、反応条件下において液状のものであれば、オレフィン類、アルカン類、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素を始めとする種々の炭化水素類、含酸素、含窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素等を用いることができ、その炭素数は特に制限する必要はないが、一般にC6〜C40のものが好ましく、C9〜C40のものがより好ましく、C9〜C35のものが最も好ましい。炭素数が上記範囲の炭化水素類であれば、蒸気圧が適度であって反応条件幅が広く、かつ合成ガスの溶解度も高く十分な反応活性が得られる。
上記の予め行う還元処理において、触媒を液状炭化水素類に分散させて行う方法が採用されている場合は、該還元処理で用いられた液状炭化水素類をそのままこのFT反応において用いることができる。炭化水素類中に分散させる触媒量は、1〜50質量%の濃度であり、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%の濃度である。
触媒量が上記範囲であれば、触媒の活性が高く、かつ炭化水素類に触媒を分散させたスラリーの粘性が適度で気泡分散が良好であり、触媒の反応活性が十分得られる。なお、反応活性の低下を防ぐ方法として、合成ガスの通気量を減少させる方法があるが、合成ガスの通気量を低下させると気(合成ガス)−液(溶媒)−固(触媒)の分散が損なわれるため好ましくない。
FT反応に用いる合成ガスは、水素および一酸化炭素を主成分としていれば良く、FT反応を妨げない他の成分が混入されていても差し支えない。FT反応の速度(k)は、水素分圧に約一次で依存するので、水素および一酸化炭素の分圧比(H2/COモル比)が0.6以上であることが望まれる。この反応は、体積減少を伴う反応であるため、水素および一酸化炭素の分圧の合計値が高いほど好ましい。水素および一酸化炭素の分圧比は、生成する炭化水素類の収量の増加及び生成する炭化水素類に含有される軽質分の割合を抑制する観点から、その上限は特に制限されないが、現実的なこの分圧比の範囲としては0.6〜2.7が適当であり、好ましくは0.8〜2.5、より好ましくは1〜2.3である。
さらに、本発明の炭化水素類の製造方法においては、合成ガス中に二酸化炭素が共存しても問題ない。共存させる二酸化炭素としては、例えば石油製品の改質反応や天然ガス等から得られるものでも問題なく用いることができ、FT反応を妨げない他の成分が混入されていても差し支えなく、例えば、石油製品等の水蒸気改質反応から出るもののように水蒸気や部分酸化された窒素等が含有されたものでも良い。また、この二酸化炭素は、二酸化炭素の含有されてない合成ガスに積極的に添加することもできるし、また、天然ガスを自己熱改質法あるいは水蒸気改質法等で改質して得られた、二酸化炭素を含有する合成ガス中の二酸化炭素を利用すること、すなわち二酸化炭素を含有する合成ガスを脱炭酸処理することなくそのままFT反応に供することもできる。二酸化炭素を含有する合成ガスをそのままFT反応に供すれば、脱炭酸処理に要する設備建設コストおよび運転コストを削減することができ、FT反応で得られる炭化水素類の製造コストを低減することができる。
FT反応に供する合成ガス(混合ガス)の全圧(全成分の分圧の合計値)は、1〜10MPaが好ましく、1.5〜6MPaがさらに好ましく、1.8〜5MPaがなおさらに好ましい。合成ガス(混合ガス)の全圧が1MPa以上であれば、連鎖成長が十分大きくなりガソリン分、灯軽油分、ワックス分などの収率が増大する傾向が見られるため好ましい。平衡上は、水素および一酸化炭素の分圧が高いほど有利になるが、該分圧が高まるほどプラント建設コスト等が高まったり、圧縮に必要な圧縮機などの大型化により運転コストが上昇するなどの産業上の観点から該分圧の上限は規制される。
このFT反応においては、一般に、合成ガスのH2/CO(モル比)が同一であれば、反応温度が低いほど連鎖成長確率やC5+選択性が高くなるが、CO転化率は低くなる。逆に、反応温度が高くなれば、連鎖成長確率、C5+選択性は低くなるが、CO転化率は高くなる。また、H2/CO比が高くなれば、CO転化率が高くなり、連鎖成長確率、C5+選択性は低下し、H2/CO比が低くなれば、その逆となる。これらのファクターが反応に及ぼす効果は、用いる触媒の種類等によってその大小が異なるが、本発明においては、反応温度は200〜350℃を好ましく採用し、210〜310℃がより好ましく、220〜290℃がさらに好ましい。
なお、CO転化率、連鎖成長確率(α)およびC5+の生産性は、下記式等で定義され、算出される値である。
〔CO転化率〕
CO転化率=[(単位時間当たりの原料ガス中のCOモル数)−(単位時間当たりの出口ガス中のCOモル数)]/単位時間当たりの原料ガス中のCOモル数×100(%)
〔連鎖成長確率(α)〕
炭素数nの炭化水素の生成物中の質量分率をMn、連鎖成長確率をαとした場合、シュルツ・フローリー分布に従うと、下式のような関係が成り立つ。従って、log(Mn/n)とnをプロットしたときの傾きlog αからα値を算出する。
log(Mn/n)=log((1−α)2/α)+n・logα
〔C5+の生産性〕
5+の生産性は、触媒重量当たりの単位時間におけるC5+の生成量を指し、下式で定義される。
5+の生産性=C5+生産量[g]/触媒重量[kg]/[hr]
以下、実施例および比較例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、COおよびCH4の分析には、Active Carbon(60/80mesh)を分離カラムに用いた熱伝導度型ガスクロマトグラフ(TCD−GC)で行った。なお、原料ガスにはArを内部標準として10vol%添加した合成ガス(H2とCOの混合ガス)を用いた。なお、COおよびCH4のピーク位置、ピーク面積をArと比較することで定性および定量分析した。
1〜C6炭化水素の分析には、Capillary Column(Al23/KCl PLOT)を分離カラムに用いた水素炎イオン化検出型ガスクロマトグラフ(FID−GC)を用い、TCD−GCと共通に分析できるCH4と比較して該炭化水素類の定性、定量分析を行った。
さらに、C5〜C40以上の炭化水素類の分析にはCapillary Column(TC−1)を分離カラムに用いた水素炎イオン化検出型ガスクロマトグラフ(FID−GC)を用い、軽質炭化水素(C1〜C6)と共通に分析できるC5およびC6と比較して該炭化水素類の定性、定量を行った。触媒の化学成分の同定はICP(CQM−10000P、島津製作所製)により求めた。
実施例1
アルミニウム酸化物として日本ケッチェン製のHCK−841を使用した。このアルミニウム酸化物の細孔径分布を測定した結果、全細孔容積は0.561cm3/gで、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積は0.53cm3/gであり、全細孔容積に占める割合は約94%であった。予め充分乾燥した後、粉砕した酸化アルミニウム粉末に純水(以下水と略記)を滴下し、飽和吸水量を求めた。この時の飽和吸水量は1.2g/g−触媒だった。水7.93gに硝酸マンガン6水和物10.9gを溶解した水溶液を酸化アルミニウム6.61gに含浸させ、約3時間放置した後、空気中、110℃で乾燥し、マッフル炉にて空気中600℃で3時間焼成した。得られた酸化アルミニウムと酸化マンガンからなる担体に水7.93gに炭酸ナトリウム0.15gを溶解した水溶液を含浸した。これを、空気中、110℃で乾燥し、マッフル炉にて600℃で3時間焼成した。その後、酸化アルミニウムおよび酸化マンガンからなる担体にナトリウムを含浸した担体に、水7.93gに塩化ルテニウム(Ru Assay 41.5質量%)0.72gを溶解した水溶液を含浸し、1時間放置した後、空気中、110℃で乾燥した。これをメノウ乳鉢に移して粉砕し、触媒Aを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Aの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.88質量%、Mn23は30.0質量%であった。
窒素吸着によるBET法および吸着脱離等温線から求めた触媒Aの物性を表1に示す。
Figure 0004267482
触媒A、2.0gを分散媒のノルマルヘキサデカン(n−C1634、以下溶媒と略記)40ml(スラリー濃度5質量%)と共に内容積100mlの反応器に充填し、水素分圧2MPa・G、温度170℃、流量100(STP)ml/min(STP:standard temperature and pressure)で水素を触媒Aに接触させて3時間還元した。還元後、H2/CO比約2の合成ガス(Ar約10vol.%含む)に切り換え、温度270℃、H2+CO圧力2.0MPa・GにしてFT反応を行った。W/F(weight/flow[g・hr/mol]は約4.7g・hr/molであった。FT反応開始50時間後のCO転化率は約80%、CH4選択率は約9%、C5+選択率約88%、連鎖成長確率は約0.90、およびC5+生産性は約701g/kg/hrであった。
比較例1
アルミニウム酸化物としてCondea製のPural SBを使用した。このアルミニウム酸化物の細孔径分布を測定した結果、全細孔容積は0.411cm3/gで、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積は0.115cm3/gであり、全細孔容積に占める割合は約28%であった。実施例1と同様に飽和吸水量を測定した結果、0.9g/g−触媒だった。実施例1と同じ調製手法にて、アルミニウム酸化物6.61gに硝酸マンガン10.9gを、次いで、炭酸ナトリウム0.15gを、次いで塩化ルテニウム0.72gを含浸させ、触媒Bを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Bの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、Na2O換算で0.89質量%、Mn23は30.0質量%であった。
この触媒Bを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約60%、CH4選択率は約10%、C5+選択率約85%、連鎖成長確率は約0.90、およびC5+生産性は約507g/kg/hrであった。
参考例
アルミニウム酸化物として日本ケッチェン製のNK607を使用した。このアルミニウム酸化物の細孔径分布を測定した結果、全細孔容積は0.622cm3/gで、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積は0.560cm3/gであり、全細孔容積に占める割合は約90%であった。実施例1と同様に、飽和吸水量を測定した結果、1.3g/g−触媒だった。実施例1と同じ調製手法にて、酸化アルミニウム4.87gに硝酸マンガン18.16gを、次いで、炭酸ナトリウム0.05gを、次いで塩化ルテニウム0.24gを含浸させ、触媒Cを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Cの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で1.0質量%、Na2O換算で0.29質量%、Mn23は50.0質量%であった。
この触媒Cを実施例1と同様の方法で還元後、H2/CO比約2の合成ガス(Ar約10vol%含む)に切り換え、温度260℃、H2+CO圧力2.4MPa・GにしてFT反応を行なった。W/F(weight/flow [g・hr/mol]は約9.4g・hr/molであった。FT反応開始50時間後のCO転化率は約76%、CH4選択率は約5%、C5+選択率約88%、連鎖成長確率は約0.90、およびC5+生産性は約333g/kg/hrであった。
比較例2
アルミニウム酸化物として住友化学製のKHA−24を使用した。このアルミニウム酸化物の細孔径分布を測定した結果、全細孔容積は0.418cm3/gで、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積は0.200cm3/gであり、全細孔容積に占める割合は約48%であった。実施例1と同様に、飽和吸水量を測定した結果、0.9g/g−触媒だった。実施例1と同じ調製手法にて、酸化アルミニウム4.87gに硝酸マンガン18.16gを、次いで、炭酸ナトリウム0.05gを、次いで塩化ルテニウム0.24gを含浸させ、触媒Dを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Dの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で1.0質量%、Na2O換算で0.29質量%、Mn23は50.0質量%であった。この触媒Dを実施例2と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約61%、CH4選択率は約7%、C5+選択率約85%、連鎖成長確率は約0.90、およびC5+生産性は約258g/kg/hrであった。
参考例
アルミニウム酸化物として住友化学製のKHS−46を使用した。このアルミニウム酸化物の細孔径分布を測定した結果、全細孔容積は0.483cm3/gで、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積は0.340cm3/gであり、全細孔容積に占める割合は約70%であった。実施例1と同様に、飽和吸水量を測定した結果、1.0g/g−触媒だった。実施例1と同じ調製手法にて、酸化アルミニウム6.61gに硝酸マンガン10.9gを、次いで、硝酸マグネシウム6水和物0.76gを、次いで塩化ルテニウム0.72gを含浸させ、触媒Eを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Eの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、MgO換算で1.20質量%、Mn23は30.0質量%であった。
この触媒Eを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約72%、CH4選択率は約10%、C5+選択率約86%、連鎖成長確率は約0.89、およびC5+生産性は約616g/kg/hrであった。
参考例
アルミニウム酸化物として住友化学製のNK−124を使用した。このアルミニウム酸化物の細孔径分布を測定した結果、全細孔容積は0.453cm3/gで、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積は0.380cm3/gであり、全細孔容積に占める割合は約84%であった。実施例1と同様に、飽和吸水量を測定した結果、1.0g/g−触媒だった。実施例1と同じ調製手法にて、酸化アルミニウム6.61gに硝酸マンガン10.9gを、次いで、硝酸ランタン6水和物0.4gを、次いで塩化ルテニウム0.72gを含浸させ、触媒Fを得た。X線回折にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であった。また、ICPにて触媒Fの化学組成分析を行った結果、Ru金属換算で3.0質量%、La23換算で1.50質量%、Mn23は30.0質量%であった。
この触媒Fを実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開始50時間後のCO転化率は約75%、CH4選択率は約9%、C5+選択率約87%、連鎖成長確率は約0.89、およびC5+生産性は約649g/kg/hrであった。
実施例5
実施例1で行ったFT反応の10時間後、50時間後、100時間後、200時間後の触媒活性の経時的な変化を表4に示す。
上記実施例1、参考例2〜4、および比較例1〜2の実験結果を表2〜表4に示す。
Figure 0004267482
Figure 0004267482
Figure 0004267482
表2及び表3に示される結果より以下のことが明らかである。
本発明の触媒を用いた場合(実施例)、CO転化率、CH4選択率、C5+選択率、連鎖成長確率、C5+生産性のいずれにも優れる。一方、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積が全細孔容積の5割に満たない触媒を用いた場合(比較例1、2)、CO転化率及びC5+生産性に劣る。
また、表4に示される結果より、本発明の触媒を用いた場合、長期間運転しても、上記性能が維持され、安定して目的物が製造できることが分かる。

Claims (7)

  1. マンガン酸化物と、細孔径8nm以上の細孔によって形成される細孔容積が全細孔容積の5割以上を占めるアルミニウム酸化物とからなる担体にルテニウム化合物を担持してなり、平均細孔径が21.5〜25nmであることを特徴とする炭化水素類製造用触媒。
  2. ルテニウム化合物の担持量が、触媒基準、ルテニウム金属量換算で、0.5〜5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
  3. マンガン酸化物およびアルミニウム酸化物からなる担体に、ルテニウム化合物とアルカリ金属化合物とを担持したことを特徴とする請求項1または2に記載の触媒。
  4. アルカリ金属化合物の担持量が、触媒基準、酸化物換算で0.01〜3質量%であることを特徴とする請求項3に記載の触媒。
  5. 触媒中のマンガン酸化物の割合が10〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の触媒。
  6. アルカリ金属化合物がナトリウム化合物であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の触媒。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の触媒に、水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを接触させることを特徴とする炭化水素類の製造方法。
JP2004047830A 2004-02-24 2004-02-24 炭化水素類製造用触媒およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法 Expired - Fee Related JP4267482B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004047830A JP4267482B2 (ja) 2004-02-24 2004-02-24 炭化水素類製造用触媒およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法
US10/585,109 US7612013B2 (en) 2004-02-24 2005-02-23 Hydrocarbon-producing catalyst, process for producing the same, and process for producing hydrocarbons using the catalyst
AU2005215337A AU2005215337B2 (en) 2004-02-24 2005-02-23 Catalyst for producing hydrocarbons, method for preparing the same, and method for producing hydrocarbons using the same
PCT/JP2005/003424 WO2005079979A1 (ja) 2004-02-24 2005-02-23 炭化水素類製造用触媒、その製造方法、及びその触媒を用いた炭化水素類の製造方法
EP12192544A EP2559482A1 (en) 2004-02-24 2005-02-23 Catalyst and process for producing hydrocarbons
EP05719739A EP1719555A4 (en) 2004-02-24 2005-02-23 CATALYST FOR PRODUCTION OF HYDROCARBONS, PREPARATION METHOD THEREFOR, AND HYDROCARBON PRODUCTION PROCESS USING SAME
ZA200605443A ZA200605443B (en) 2004-02-24 2006-06-30 Catalyst for producing hydrocarbons, method for preparing the same, and method for producing hydrocarbons using the same
AU2009225378A AU2009225378B2 (en) 2004-02-24 2009-10-15 Catalyst for producing hydrocarbons, method for preparing the same, and method for producing hydrocarbons using the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004047830A JP4267482B2 (ja) 2004-02-24 2004-02-24 炭化水素類製造用触媒およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005238014A JP2005238014A (ja) 2005-09-08
JP4267482B2 true JP4267482B2 (ja) 2009-05-27

Family

ID=35020314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004047830A Expired - Fee Related JP4267482B2 (ja) 2004-02-24 2004-02-24 炭化水素類製造用触媒およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4267482B2 (ja)
ZA (1) ZA200605443B (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010023022A (ja) * 2008-06-17 2010-02-04 Cosmo Oil Co Ltd フィッシャー・トロプシュ合成用触媒、及びその製造方法、並びにその触媒を用いる炭化水素類の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005238014A (ja) 2005-09-08
ZA200605443B (en) 2007-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2005215337B2 (en) Catalyst for producing hydrocarbons, method for preparing the same, and method for producing hydrocarbons using the same
US20070167323A1 (en) Porous carrier for steam-reforming catalysts, steam-reforming catalyst and process for producing reactive mixed gas
JP5128526B2 (ja) フィッシャー・トロプシュ合成用触媒及び炭化水素類の製造方法
JP5354142B2 (ja) 水蒸気改質用触媒及び反応混合ガスの製造方法
JP5129037B2 (ja) フィッシャー・トロプシュ合成用触媒及び炭化水素類の製造方法
AU2009263607B8 (en) Catalyst for Fischer-Tropsch synthesis and method for producing hydrocarbons
WO2002102932A1 (en) Method for producing hydrocarbons by fischer-tropsch process
JP4773116B2 (ja) 合成ガスから炭化水素を製造する触媒の製造方法、並びに当該触媒を用いた合成ガスから炭化水素を製造する方法
JP4205301B2 (ja) フィッシャートロプシュ法による炭化水素類の製造方法
JP4660039B2 (ja) 二酸化炭素の共存下のフィッシャートロプシュ法による炭化水素類の製造方法
JP4118503B2 (ja) 二酸化炭素共存下の炭化水素類の製造方法
JP4421913B2 (ja) 炭化水素類製造用触媒の製造方法およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法
JP4267482B2 (ja) 炭化水素類製造用触媒およびその触媒を用いた炭化水素類の製造方法
JP4006328B2 (ja) フィッシャー・トロプシュ法による炭化水素類の製造方法
JP4660021B2 (ja) フィッシャートロプシュ法による炭化水素類の製造方法
US20130289145A1 (en) Catalyst for fischer-tropsch synthesis, production method therefor, and production method using fischer-tropsch synthesis catalyst
WO2009154099A1 (ja) フィッシャー・トロプシュ合成用触媒、及びその製造方法、並びにその触媒を用いる炭化水素類の製造方法
JP5553880B2 (ja) フィッシャー・トロプシュ合成用触媒の製造方法
JP2012152665A (ja) フィッシャー・トロプシュ合成用触媒及びその製造方法
JP2012152666A (ja) フィッシャー・トロプシュ合成用触媒の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080709

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080901

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081127

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090210

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130227

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140227

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees