JP4660039B2 - 二酸化炭素の共存下のフィッシャートロプシュ法による炭化水素類の製造方法 - Google Patents

二酸化炭素の共存下のフィッシャートロプシュ法による炭化水素類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素と一酸化炭素を主成分とする混合ガス(以下「合成ガス」という)から炭化水素類を製造する方法に関する。さらに詳しくは、合成ガスを、二酸化炭素の共存下に、液状炭化水素類中に分散せしめた、アルミニウム酸化物およびマンガン酸化物からなる担体を用いたルテニウム系触媒に接触させ、炭化水素類、とりわけ灯軽油留分に容易に変換できるワックス分と共にオレフィン分に富む炭化水素類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成ガスから炭化水素類を合成する方法として、フィッシャー・トロプシュ反応(Fischer−Tropsch 反応)、メタノール合成反応などが良く知られている。そして、フィッシャー・トロプシュ反応は鉄、コバルト、ルテニウム等の鉄系触媒で、メタノール合成反応は銅系触媒で、C2含酸素(エタノール、アセトアルデヒド)合成はロジウム系触媒で進行することが知られており、また、これらの炭化水素類の合成に用いる触媒の触媒能は、一酸化炭素の解離吸着(dissociative adsorption) 能と強く関連することが知られている(例えば「均一触媒と不均一触媒」、干鯛、市川共著、丸善、昭和58年刊)。
【0003】
ところで、近年、大気環境保全の観点から、低硫黄分の軽油が望まれており、今後その傾向はますます強くなるものと考えられる。また、原油資源は有限であるとの観点から、それに代わるエネルギー源の開発が望まれており、今後ますます強く望まれるようになるものと考えられる。これらの要望に応える技術として、エネルギー換算で原油に匹敵する可採埋蔵量があるといわれる天然ガス(主成分メタン)から灯軽油等の液体燃料を合成する技術である所謂GTL(gas to liquid)がある。天然ガスは、硫黄分を含まないか、含んでいても脱硫が容易な硫化水素(H2S)やメルカプタン(CH3SH)等であるため、得られる灯軽油等の液体燃料には、その中に殆ど硫黄分が無く、またセタン価の高い高性能ディーゼル燃料に利用できるなどの利点があるため、このGTLは近年ますます注目されるようになってきている。
【0004】
上記GTLの一環として、合成ガスからフィッシャー・トロプシュ反応(以下「FT反応」という)によって炭化水素類を製造する方法(以下「FT法」という)が盛んに研究されている。このFT法によって炭化水素類を製造するに当たり、灯軽油留分の収率を高めるためには、C10〜C16相当の炭化水素を効率的に合成することが肝要である。一般に、FT反応における炭化水素類生成物の炭素数分布はシュルツ・フローリー(Shultz-Flory)則に従うとされており、シュルツ・フローリー則では、連鎖成長確率α値は、反応温度の上昇と共に大きく減少する傾向にある、つまり反応温度が上昇すると生成炭化水素類の炭素数が大きく低下する傾向にあるとしている。古くは、如何にシュルツ・フローリー則を外し、如何に特定の炭素数の炭化水素類を選択的に合成するかを課題として、盛んに触媒開発等の技術開発が行われたようであるが、未だこの課題を十分解決し得た技術は提案されていない。最近では、寧ろ、シュルツ・フローリー則を外すことにはこだわらずに、ワックス分等の水素化分解により容易に灯軽油留分とすることのできる留分の収率を高め、該ワックス分等を水素化分解することにより、その結果として灯軽油留分の得率を高めようという考え方が一般的になっている。しかしながら、現状の連鎖成長確率は0.85前後であり、これを如何に高めていくかが最近の技術的課題の一つとなっている。とはいえ、あまり連鎖成長確率を高めていくと、生成炭化水素類はワックス分が殆どとなるため、今度はプロセス運転上の問題が生じ、また触媒の一般的性能からしても、連鎖成長確率は0.95前後が事実上の上限と考えられている。
【0005】
そこで、灯軽油留分の得率をなお一層高めるためには、ワックス分を生成させ、その水素化分解による灯軽油留分の得率の向上に加えて、低級オレフィンも生成させ、その二量化、三量化等により灯軽油留分を生成させることも視野に入れる必要がある。この灯軽油留分の得率のなお一層の向上は、連鎖成長確率が高く、かつ生成低級炭化水素中のオレフィン選択性に優れ、なおかつ炭素数5以上の液状炭化水素留分(以下「C5+」と略称する)の生産性に優れるFT反応を行うことにより達成することができると考えられる。
【0006】
また、上記GTLプロセスにおけるFT法による炭化水素類製造の原料である合成ガスについて見れば、該合成ガスは、主として、天然ガスを自己熱改質法(autothermal reforming) あるいは水蒸気改質法等の改質法にて水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスに改質することにより得られるが、この改質では、下記式(I)の改質反応の他に、下記式(II)の水性ガスシフト反応が並行して起こるため、得られる合成ガスにはどうしても炭酸ガスが含まれる。さらには、未利用の天然ガス田には炭酸ガスを含有するものが少なくなく、かかる炭酸ガスを含有する天然ガスを原料にすれば、得られる合成ガスの炭酸ガス含有量が一層多くなる。
【0007】
CH4+H2O=3H2+CO (I)
CO+H2O=H2+CO2 (II)
【0008】
そして、FT反応では、下記式(III)で示されるように合成ガスから液状炭化水素が合成されるが、反応系内に炭酸ガスが含有されると、炭化水素の合成が妨げられる傾向が強まる(鈴木ら 日本化学会第63春季年会予稿集 3C432 1992年)。また、炭酸ガス含有量が高まると、上記炭酸ガスの反応阻害に加えて、反応系内の水素分圧が低下するため、この点からもFT反応にとって好ましくない状況となる。
【0009】
nCO+2nH2=(CH2n+nH2O (III)
【0010】
したがって、従来、GTLプロセスでは、天然ガスから合成ガスを製造する工程と、合成ガスから液状炭化水素を合成する工程の間に、合成ガス中の炭酸ガスを除去する脱炭酸工程を組み込む事が必須となる。そして、この脱炭酸工程には、通常アミン吸収か、圧力変動吸着分離法(Pressure Swing Adsorption; PSA) が用いられるが、いずれにせよかかる脱炭酸工程は建設コストおよび運転コストの高騰を招くなど好ましくない。炭酸ガスの共存下でFT反応を好適に行い得て、上記脱炭酸工程を簡略化もしくは省略することができれば、GTLプロセスにおける液状炭化水素の製造コストの低減に大きく貢献することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現在のところ、連鎖成長確率が高く、かつオレフィン選択性およびC5+の生産性に優れていて、上記灯軽油留分得率のなお一層の向上を十分達成できるFT反応を行い得る触媒、プロセスは未だ提案されていない。従来から、種々のFT反応用の触媒が提案されており、オレフィン類への高選択性を目的とした触媒として、マンガン酸化物担体にルテニウムを担持させた触媒、このルテニウム担持触媒にさらに第三成分を加えた触媒などのルテニウム系触媒が提案されている(特公平3−70691号公報、同3−70692号公報等)。しかし、これらのルテニウム系触媒を用いたFT法では、上記灯軽油留分得率のなお一層の向上を十分達成することができない。すなわち、上記ルテニウム系触媒は、主として固定床式で用いることを目的として開発された触媒であって、このルテニウム系触媒を用いた固定床式のFT法では、このルテニウム系触媒の連鎖成長確率等もさることながら、固定床式の反応形式では、ワックス分が多量に生成したとき、この生成したワックス分が触媒の活性点に付着してそれを覆い、触媒の活性が低下する問題や、触媒床の局所が過熱するヒートスポットが生ずる等の問題が発生し易く、安定して円滑に反応を行うことができなくなるという問題がある。
【0012】
ましてや、炭酸ガスの共存下に、上記のように連鎖成長確率が高く、かつオレフィン選択性に優れ、なおかつC5+の生産性に優れていて、上記灯軽油留分得率のなお一層の向上を十分達成できるFT反応を行い得る触媒、プロセスは未だ提案されていない。
【0013】
本発明の目的は、上記状況に鑑み、連鎖成長確率が高く、かつオレフィン選択性およびC5+の生産性に優れ、なおかつ触媒活性が高く、ヒートスポットの発生などを来たすことなく、安定して円滑に反応を行うことができ、かつ、かかる所望の反応を炭酸ガスの共存下に行い得るFT法を提供することにあり、他の目的は、生成したワックス分の水素化分解、生成したオレフィンの二量化、三量化等により、灯軽油留分の増産に従来より一層大きく寄与できると共に、合成ガス中の炭酸ガスを除去する脱炭酸工程を簡略化もしくは省略して灯軽油留分の製造コストの低減に大きく寄与できるFT法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、触媒として、アルミニウム酸化物および一定のマンガン酸化物からなる担体に、アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物とルテニウムを一定量担持した、比較的大きな一定の比表面積と比較的小さな一定の嵩密度を示す触媒を用い、該触媒を、予め還元処理した後、液状炭化水素類中に一定濃度で分散状態となし、この分散状態の触媒に原料合成ガスを接触せしめることにより、炭酸ガス(二酸化炭素)の共存下でも、FT反応を、高い連鎖成長確率にて、かつ優れたオレフィン選択性およびC5+の生産性にて、なおかつ高い触媒活性にて、ヒートスポットの発生などを来たすことなく安定して円滑に行うことができ、上記目的を達成し得ることを見出し、さらには、一定量の二酸化炭素の共存下に反応を行うと、FT反応が一層促進されて一酸化炭素の転化率が一層向上することを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、アルミニウム酸化物およびマンガンの平均荷電数がMn2+を超えるマンガン酸化物からなる担体に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類および元素周期律表第III族から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物を触媒基準で0.1〜10質量%担持し、さらに、ルテニウムを触媒基準で1〜30質量%担持した、比表面積60〜350m2/g、嵩密度0.8〜1.8g/mlを示す触媒を、予め還元処理を施した後、液状炭化水素類中に濃度1〜50質量%にて分散せしめ、該触媒に水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを、その水素および一酸化炭素の合計圧に対して0.5〜50%の二酸化炭素の共存下に、圧力1〜10MPa、反応温度200〜350℃で接触させる炭化水素類の製造方法を提供する。
【0016】
本発明では、上記のように触媒を一定濃度で液状炭化水素類中に分散させた状態で原料合成ガスと接触させるという特定の反応形式により、反応混合物中のワックス分が多量になっても、ワックス分の触媒活性点への付着に起因する触媒活性の低下を防止でき、また、ヒートスポットの発生などを抑制して反応を安定して円滑に行うことができる。また、上記特定の組成、物性の触媒は、上記特定の反応形式に最も適する触媒であると共に、連鎖成長確率が高く、かつオレフィン選択性およびC5+の生産性に優れたFT反応を実現できる触媒であり、かかる好適なるFT反応を一定量の二酸化炭素の共存下で実現できる触媒である。また、一定量の二酸化炭素の共存下で反応を行うことにより、二酸化炭素の非共存下に反応を行う場合に比べて、FT反応が一層促進されて一酸化炭素の転化率が一層向上する。
【0017】
一般に、触媒重量当たりの目的物の生産性を高めるためには、触媒の嵩密度を低減することが有効であると考えられるが、単に触媒の嵩密度を小さくするのみでは本発明の目的は達成できない。すなわち、例えば、後記比較例1に示すように、従来から知られている、嵩密度が小さいアルミナ担体にナトリウム化合物とルテニウムを担持させた触媒ではC5+の生産性が低く、連鎖成長確率およびオレフィン選択性も低くて、本発明の目的は達成できない。これに対して、本発明で用いる、アルミニウム酸化物および一定のマンガン酸化物からなる担体に、アルカリ金属等の金属の化合物とルテニウムを担持させた触媒では、その嵩密度を比較的小さい一定の範囲にすることによってC5+の生産性を高めることができると共に、高い連鎖成長確率およびオレフィン選択性も得ることができて、上記目的を達成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法では、触媒として、アルミニウム酸化物およびマンガンの平均荷電数がMn2+を超えるマンガン酸化物からなる担体に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類および元素周期律表III族から選ばれた金属の化合物(以下「アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物」という)の少なくとも1種およびルテニウムを担持させた触媒であって、そのアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムの担持量、比表面積、嵩密度の諸物性が以下に述べる一定の範囲内にある触媒が用いられる。
【0019】
本発明で用いる触媒において、その担体の一つの成分のアルミニウム酸化物としては、高い連鎖成長率や安定した反応活性を得るためには、中性アルミナやアルカリ性アルミナが好ましく用いられる。酸性アルミナを用いた場合は、連鎖成長確率の低下や反応活性の低下を招く恐れがあり、注意を要する。担体の他の一つの成分のマンガン酸化物としては、マンガンの平均荷電数がMn2+を超えるマンガン酸化物が用いられる。マンガンの平均荷電数がMn2+以下のマンガン酸化物は、例えば米国特許第4206134号明細書に示されているように、ガス状炭化水素(C2〜C4)のオレフィンの生成に適するものであり、本発明が目的とする液状炭化水素類の生産には適さない。マンガンの平均荷電数がMn2+を超えるマンガン酸化物の例としては、MnO2、Mn23、Mn34などが好ましく挙げられる。また、硝酸マンガンのような酸化物以外の塩を出発物質とし、これらから得られたマンガンの平均荷電数がMn2+を超えるマンガン酸化物を用いることもできる。例えば、硝酸マンガンを空気中で焼成して得られるMn23などを好ましく使用できる。担体におけるアルミニウム酸化物とマンガン酸化物の割合は、一般に、アルミニウム酸化物100質量部に対してマンガン酸化物5〜160質量部が適当であり、好ましくは10〜110質量部である。マンガン酸化物の割合が5質量部未満では、マンガン酸化物とアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムとの相互作用が低下し、連鎖成長率、C5+選択率およびオレフィン/パラフィン比がいずれも低下し、液状炭化水素の生産に適さなくなる恐れがあり、一方、160質量部を超える場合は、触媒の嵩密度あるいは比表面積が好適な範囲を満たすことができなくなる恐れがある。また、この担体の調製は、常法に従って行うことができ、所定割合のアルミニウム酸化物原料とマンガン酸化物原料とを混合、焼成して行うことができる。さらにまた、この担体は、粉末状、顆粒状、打錠成形体、押し出し成形体等の任意の形状であってよい。
【0020】
また、本発明で用いる触媒において、アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムの担持量は活性点数と関連する。本発明で用いる触媒のアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物の担持量は、触媒基準で0.1〜10質量%であり、好ましくは0.2〜7質量%、さらに好ましくは0.2〜3質量%である。また、ルテニウムの担持量は、触媒基準で1〜30質量%であり、好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは1.5〜10質量%である。アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムの各担持量が上記範囲未満では、活性点数が不足となり十分な触媒活性が得られなくなる虞があるばかりか、アルカリ金属を始めとする一定の金属およびルテニウムなどの金属種と担体成分(アルミニウム、マンガン)との相乗効果が得られず、劣化勾配ならびに触媒安定性(寿命)に事欠く。また、アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムの各担持量が上記範囲を超過した際には、担体上にアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物とルテニウムが十分担持されなくなり、分散性の低下や担体成分と相互作用を持たないアルカリ金属を始めとする一定の金属の金属種やルテニウム種が発現するため、活性低下や選択性の低下などが著しくなる傾向が見られるため好ましくない。なお、触媒の化学組成は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP法)によって求めた。
【0021】
本発明で用いる触媒の比表面積は、60〜350m2/gであり、好ましくは80〜300m2/g、さらに好ましくは100〜250m2/gである。比表面積が60m2/g未満では、アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムの分散性が低下する恐れがあり好ましくない。また、比表面積の上限に関しては、一般に固体触媒を扱うに当たっては、広いほど気液固の接触頻度が高まるため好ましい。しかし、本発明で用いるアルミニウム酸化物およびマンガン酸化物からなる担体単独の比表面積の現実的な上限値は350〜380m2/g程度であることを考えると、これにアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウム化合物を担持した触媒のそれは最大350m2/g程度と考えられる。なお、触媒の比表面積は、高純度窒素をプローブとしBET法(Braunauer-Emett-Tailor 法)で求めた。
【0022】
また、本発明で用いる触媒の嵩密度は、0.8〜1.8g/mlであり、好ましくは0.9〜1.5g/ml、さらに好ましくは0.9〜1.3g/mlである。しかし、本発明で用いるアルミニウム酸化物およびマンガン酸化物からなる担体単独の嵩密度の現実的な下限値は0.7g/ml程度であることを考えると、これにアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウム化合物を担持した触媒のそれは最小0.8g/ml程度と考えられる。一方、嵩密度が1.8g/mlを超える場合は、触媒重量あたりのC5+生産性が低くなり、液状炭化水素の生産に適さなくなる恐れがある。
【0023】
また、本発明で用いる触媒は、その触媒粒子径の分布範囲が5〜200μmであることが好ましく、5〜180μmであることがさらに好ましく、10〜150μmであることがなおさらに好ましい。本発明では、触媒は液状炭化水素類中に分散させて分散状態で使用されるため、その粒子径分布を考慮することが望ましい。5μm未満のような細かい粒子は、フィルター等を通過して下流側に溢出して、反応容器内の触媒濃度が減少したり、下流側機器が触媒微粒子によって障害を受けるなどの問題が発生する可能性が高くなる。また、200μmを超えるような大きい粒子は、反応容器全体にわたって液状炭化水素類中に均一に分散させることが難しくなったり、触媒を分散したスラリーが不均一となったりして、反応活性が低下する可能性が高くなる。
【0024】
粒子径分布が上記5〜200μmの範囲内でも、液状炭化水素類中に分散させたとき、分散に偏りが生じる場合がある。かかる場合には、触媒粒子を液状炭化水素類中に偏りを生じることなく均一に分散させるために、平均粒子径をも考慮することが望ましい。本発明で用いる触媒の平均粒子径は、20〜100μmが好ましく、25〜100μmがさらに好ましく、25〜80μmがなおさらに好ましい。平均粒子径が、上記20〜100μmの範囲の上下限を外れた場合には、触媒粒子の液状炭化水素類中への分散が不均一となり、反応活性が低下する場合がある。
【0025】
本発明で用いる触媒の調製は、その調製方法自体は、従来から知られた担持触媒の一般的調製方法に準じて行うことができる。上記アルミニウム酸化物およびマンガン酸化物からなる担体に、アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムを担持させるに際しては、まずアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物を担持させ、水分を除去した後、焼成する。次にルテニウムを担持させ、水分を除去した後充分に乾燥する。また、担体へのアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物あるいはルテニウムの担持は、例えば、担体を、アルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物あるいはルテニウム化合物の如き触媒種化合物の溶液中に浸漬して、触媒種化合物を担体上に吸着させたり、イオン交換して付着させたり、アルカリなどの沈殿剤を加えて沈着させたり、溶液を蒸発乾固したり、あるいは触媒種化合物の溶液を担体上へ滴下して行うなど、担体と触媒種化合物の溶液とを接触させて行うことができる。この際、得られる目的の触媒におけるアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウムの担持量が上記所定量となるように、担体に含有させるこれらの触媒種化合物の量が調節される。上記担体に担持させるアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ベリリウム、バリウム、マグネシウム、セリウム、カルシウム、イットリウム等の塩化物、炭酸塩、硝酸塩、アンモニア塩等が挙げられ、中でもナトリウム、カリウム、カルシウム等の化合物が好ましく用いられる。これらのアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物は、一種用いることも、複数種を併用することもできる。また、ルテニウム化合物としては、従来からルテニウム担持触媒の調製に用いられている各種ルテニウム化合物を適宜選択して用いることができる。その例として、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、塩化六アンモニアルテニウムなどの水溶性ルテニウム塩や、ルテニウムカルボニル、ルテニウムアセチルアセトナートなどの有機溶剤に可溶なルテニウム化合物などが好ましく挙げられる。上記の如くしてアルカリ金属を始めとする一定の金属の化合物およびルテニウム化合物を含有させた担体は、乾燥される。この乾燥は、一般に、常温〜300℃で10〜48時間保持することにより行うことができる。乾燥された各触媒種化合物含有担体は、必要に応じて適宜粉砕し、分級して、所望の触媒粒子径分布、さらに必要に応じて所望の平均粒子径の粉末状とされ、かくして本発明で用いる所定の諸物性を有する触媒を得ることができる。
【0026】
本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如くして調製された触媒は、FT反応に供する前に予め還元処理(活性化処理)される。この還元処理により、触媒がFT反応において所望の触媒活性を示すように活性化される。この還元処理を行わなかった場合には、担体上に担持されたアルカリ金属を始めとする一定の金属種およびルテニウム種が十分に還元されず、FT反応において所望の触媒活性を示さない。この還元処理は、触媒を液状炭化水素類に分散させたスラリー状態で還元性ガスと接触させる方法でも、炭化水素類を用いず単に触媒に還元性ガスを通気、接触させる方法でも好ましく行うことができる。前者の方法における触媒を分散させる液状炭化水素類としては、処理条件下において液状のものであれば、オレフィン類、アルカン類、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素を始めとする種々の炭化水素類を使用できる。また、含酸素、含窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素であっても良い。これらの炭化水素類の炭素数は、処理条件下において液状のものであれば特に制限する必要はないが、一般にC6〜C40のものが好ましく、C9〜C40のものがより好ましく、C9〜C35のものが最も好ましい。C6の炭化水素類より軽質なものでは溶媒の蒸気圧が高くなり、処理条件幅が制限されるようになる。また、C40の炭化水素類より重質のものでは還元性ガスの溶解度が低下して、十分な還元処理ができなくなる懸念がある。また、炭化水素類中に分散させる触媒量は、1〜50質量%の濃度が適当あり、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%の濃度である。触媒量が1質量%未満では、触媒の還元効率が低下する。触媒の還元効率の低下を防ぐ方法として、還元性ガスの通気量を減少させる方法があるが、還元性ガスの通気量を低下させると気(還元性ガス)−液(溶媒)−固(触媒)の分散が損なわれるため好ましくない。一方、触媒量が50質量%を超えて多量の場合は、炭化水素類に触媒を分散させたスラリーの粘性が高くなり過ぎ、気泡分散が悪くなり、触媒の還元が十分なされなくなるため好ましくない。還元処理温度は、140〜310℃が好ましく、150〜250℃がより好ましく、160〜220℃が最も好適である。140℃未満では、ルテニウムが十分に還元されず、十分な反応活性が得られない。また、310℃を超える高温では、担体のマンガン酸化物などの相転位、酸化状態の変化等が進行してルテニウムとの複合体を形成したり、これによって触媒がシンタリング(sintering) して、活性低下を招く可能性が高くなる。この還元処理には、水素を主成分とする還元性ガスを好ましく用いることができる。用いる還元性ガスには、水素以外の成分、例えば水蒸気、窒素、希ガスなどを、還元を妨げない範囲である程度の量を含んでいても良い。この還元処理は、上記処理温度と共に、水素分圧および処理時間にも影響されるが、水素分圧は、0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜6MPaがより好ましく、1〜5MPaが最も好ましい。還元処理時間は、触媒量、水素通気量等によっても異なるが、一般に、0.1〜72時間が好ましく、1〜48時間がより好ましく、4〜48時間が最も好ましい。処理時間が0.1時間未満では、触媒の活性化が不十分となる。また、72時間を超える長時間還元処理しても、触媒に与える悪影響は無いが、触媒性能の向上も見られないのに処理コストが嵩むなどの好ましくない問題を生じる。
【0027】
上記還元処理後の触媒は、そのルテニウムの分散性が一定範囲を示すことが好ましい。すなわち、一般に、このルテニウムの分散性とは、還元処理後の触媒の吸着一酸化炭素(CO)モル数の触媒中のルテニウムモル数に対する百分率のことであって、下記式で定義される。
【0028】
【数1】
Figure 0004660039
【0029】
このルテニウムの分散性は、触媒中のルテニウムの内、COの水素化に活性を示すルテニウム種の割合を示し、同一ルテニウム担持量においては、ルテニウムの分散性が高い触媒ほど反応に寄与する触媒中のルテニウム種数が多く、COの水素化に高活性を示すことになる。ところで、FT反応に用いる触媒では、COの水素化活性と連鎖成長活性の両活性が必要であり、COの水素化活性を高めても、連鎖成長活性が低くなっては、本発明で目的とする液状炭化水素類の製造には適さない。したがって、本発明で用いる触媒は、還元処理後におけるルテニウムの分散性が16〜50%を示すものであることが好ましい。
【0030】
しかして、本発明の炭化水素類の製造方法においては、上記の如く還元処理した触媒がFT反応、すなわち炭化水素類の合成反応に供せられる。本発明におけるFT反応は、触媒を液状炭化水素類中に分散せしめた分散状態となし、この分散状態の触媒に合成ガスを接触させる。この際、触媒を分散させる炭化水素類としては、上記の予め行う還元処理で用いられる炭化水素類と同様のものを用いることができる。すなわち、反応条件下において液状のものであれば、オレフィン類、アルカン類、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素を始めとする種々の炭化水素類、含酸素、含窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素等を用いることができ、その炭素数は特に制限する必要はないが、一般にC6〜C40のものが好ましく、C9〜C40のものがより好ましく、C9〜C35のものが最も好ましい。C6の炭化水素類より軽質なものでは溶媒の蒸気圧が高くなり、反応条件幅が制限されるようになる。また、C40の炭化水素類より重質のものでは原料の合成ガスの溶解度が低下して、反応活性が低下する懸念がある。上記の予め行う還元処理において、触媒を液状炭化水素類に分散させて行う方法が採用されている場合は、該還元処理で用いられた液状炭化水素類をそのままこのFT反応において用いることができる。炭化水素類中に分散させる触媒量は、1〜50質量%の濃度であり、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%の濃度である。触媒量が1質量%未満では活性が低下する。活性の低下を防ぐ方法として、合成ガスの通気量を減少させる方法があるが、合成ガスの通気量を低下させると気(合成ガス)−液(溶媒)−固(触媒)の分散が損なわれるため好ましくない。一方、触媒量が50質量%を超えて多量の場合は、炭化水素類に触媒を分散させたスラリーの粘性が高くなりすぎ、気泡分散が悪くなり、反応活性が十分得られなくなるため好ましくない。
【0031】
FT反応に用いる合成ガスは、水素および一酸化炭素を主成分としていれば良く、FT反応を妨げない他の成分が混入されていても差し支えない。FT反応の速度(k)は、水素分圧に約一次で依存するので、水素および一酸化炭素の分圧比(H2/COモル比)が0.6以上であることが望まれる。この反応は、体積減少を伴う反応であるため、水素および一酸化炭素の分圧の合計値が高いほど好ましい。水素および一酸化炭素の分圧比は、その上限は特に制限されないが、現実的なこの分圧比の範囲としては0.6〜2.7が適当であり、好ましくは0.8〜2.5、より好ましくは1〜2.3である。この分圧比が0.6未満では、生成する炭化水素類の収量が低下し、また、この分圧比が2.7を超えると生成する炭化水素類において軽質分が増える傾向が見られる。
【0032】
共存させる二酸化炭素としては、例えば石油製品の改質反応や天然ガス等から得られるものでも問題なく用いることができ、FT反応を妨げない他の成分が混入されていても差し支えなく、例えば、石油製品等の水蒸気改質反応から出るもののように水蒸気や部分酸化された窒素等が含有されたものでも良い。また、この二酸化炭素は、二酸化炭素の含有されてない合成ガスに積極的に添加することもできるし、また、天然ガスを自己熱改質法あるいは水蒸気改質法等で改質して得られた、二酸化炭素を含有する合成ガス中の二酸化炭素を利用すること、すなわち二酸化炭素を含有する合成ガスを脱炭酸処理することなくそのままFT反応に供することもできる。二酸化炭素を含有する合成ガスをそのままFT反応に供すれば、脱炭酸処理に要する設備建設コストおよび運転コストを削減することができ、FT反応で得られる炭化水素類の製造コストを低減することができる。共存させる二酸化炭素の量は、FT反応に供する合成ガスの水素および一酸化炭素の合計圧に対して0.5〜50%であり、好ましくは0.5〜30%であり、さらに好ましくは1〜10%である。FT反応に供する合成ガス(混合ガス)中の二酸化炭素の分圧が上記範囲未満の低いものである場合は、二酸化炭素によるFT反応の促進効果が得られず、上記範囲を超える高いものである場合は、FT反応に供する合成ガス(混合ガス)中の水素および一酸化炭素の分圧が低下し、炭化水素類の収量が低下して経済的に不利となる。二酸化炭素を共存させる時期は、FT反応の初期から反応系内に共存させても良いが、二酸化炭素のFT反応促進効果をより有効に発揮させてより一酸化炭素の転化率を向上させるためには、FT反応開始後10〜100時間の間に反応系内に導入して共存させることが好ましい。
【0033】
しかして、FT反応に供する合成ガス(混合ガス)の全圧(全成分の分圧の合計値)は、1〜10MPaが好ましく、1.5〜6MPaがさらに好ましく、1.8〜4.5MPaがなおさらに好ましい。1MPa未満では、連鎖成長が不十分となりガソリン分、灯軽油分、ワックス分などの収率が低下する傾向が見られるため好ましくない。平衡上は、水素および一酸化炭素の分圧が高いほど有利になるが、該分圧が高まるほどプラント建設コスト等が高まったり、圧縮に必要な圧縮機などの大型化により運転コストが上昇するなどの産業上の観点から該分圧の上限は規制される。
【0034】
このFT反応においては、一般に、合成ガスのH2/COモル比が同一であれば、反応温度が低いほど連鎖成長が進み、かつオレフィン選択性が高くなるが、CO転化率は低くなる。逆に、反応温度が高くなれば、連鎖成長、オレフィン選択性は低くなるが、CO転化率は高くなる。また、H2/CO比が高くなれば、CO転化率が高くなり、連鎖成長、オレフィン選択性は低下し、H2/CO比が低くなれば、その逆となる。これらのファクターが反応に及ぼす効果は、用いる触媒の種類等によってその大小が異なるが、本発明においては、反応温度は200〜350℃を採用し、210〜310℃が好ましく、220〜290℃がさらに好ましい。
【0035】
以上述べた本発明の炭化水素類の製造方法に従って、水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスから、二酸化炭素の共存下に炭化水素類を合成すれば、CO転化率がワンパス(once through conversion) で60%以上、連鎖成長確率(α)が0.86〜0.95、低級炭化水素中のオレフィン/パラフィン比が、例えばC3炭化水素では3〜5、C5+の生産性が400〜1100g/kg/hrになるという好結果が得られる。また、二酸化炭素を含有する合成ガスをそのままFT反応に供することにより、脱炭酸処理に要する設備建設コストおよび運転コストを削減することができ、また、二酸化炭素を多量に含有する劣質な天然ガスから誘導された、二酸化炭素を多量に含有する合成ガスを原料として用いることもできる。
なお、CO転化率、連鎖成長確率(α)およびC5+の生産性は下記式で定義されるものである。
〔CO転化率〕
【0036】
【数2】
Figure 0004660039
【0037】
〔連鎖成長確率(α)〕
炭素数nの炭化水素の生成物中の質量分率をMn、連鎖成長確率をαとした場合、シュルツ・フローリー分布に従うと、下式のような関係が成り立つ。従って、log(Mn/n)とnをプロットしたときの傾きlog αからα値を知ることができる。
【0038】
log(Mn/n)=log((1−α)2/α)+n・logα
【0039】
〔C5+の生産性〕
5+の生産性とは、触媒重量当たりの単位時間におけるC5+の生成量を指し、下式で定義される。
【0040】
5+生産性=C5+生産量[g]/触媒重量[kg]/[hr]
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、COおよびCH4の分析には、Active Carbon (60/80mesh) を分離カラムに用い熱伝導度型ガスクロマトグラフ(TCD-GC)で行った。なお、Arを内部標準として10vol%添加した合成ガスを用いた。なお、COおよびCH4のピーク位置、ピーク面積をArと比較することで定性および定量分析した。C1〜C6炭化水素類の分析には、Capillary Column(Al23/KCl PLOT)を分離カラムに用い水素炎イオン化検出型ガスクロマトグラフ(FID-GC)を用い、TCD−GC共通に分析できるC1(メタン)と比較して該炭化水素類の定性、定量を行った。さらに、C5〜C40炭化水素類の分析にはCapillary Column(TC-1)を備えたFID−GCを用い、軽質炭化水素(C1〜C6)と共通に分析できるC5およびC6と比較して該炭化水素類の定性、定量を行った。触媒(担体を含む)比表面積の測定は自動表面積測定装置(ベルソープ28、日本ベル製)を用い窒素をプローブ分子に用いてBET法で測定した。触媒の化学成分の同定はICP(CQM-10000P、島津製作所製)により、粒度分布はレーザー光散乱法による粒度測定装置(Mastersizer MSX-46型、マルバーン製)により、マンガン酸化物の構造はX線回析(RINT2500、理想電機工業製)で求めた。
触媒上への吸着COモル数の測定には、TCDガスクロマトグラフを内蔵した全自動触媒ガス吸着量測定装置(R−6015、大倉理研製)を用いた。吸着COモル数の測定手順は、触媒を試験管に入れ、キャリアガスにヘリウムガスを用い、還元ガスに水素ガスを用いて、先ず、水素ガスを流して還元温度まで加熱し、還元を行い、ついで、ヘリウムガスに切り替えて50℃まで冷却し、その後、COガスを試験管に一定量流して吸着COモル数を測定することにより行った。
【0042】
実施例1
予め充分乾燥したアルカリ性アルミナ粉末に純水(以下水と略記)を滴下し、飽和吸水量を求めた。この時の飽和吸水量は0.9ml/gだった。水27mlに硝酸マンガン6水和物168gを溶解した水溶液を酸化アルミニウム30gに含浸させ、約4時間放置した後、空気中、温度110℃で乾燥し、マッフル炉にて空気中600℃で3時間焼成した。得られたアルミニウム酸化物とマンガン酸化物からなる担体に水27gに硝酸カルシウム4水和物(Ca Assay 17質量%)0.8gを溶解した水溶液を含浸した。これを、空気中、温度110℃で乾燥し、マッフル炉にて温度600℃で3時間焼成した。その後、アルミニウム酸化物およびマンガン酸化物からなる担体にカルシウムを含浸した担体に、水27gに塩化ルテニウム(Ru Assay 36質量%)2.2gを溶解した水溶液を含浸し、1時間放置した後、空気中、温度50℃で乾燥した。これをメノウ乳鉢に移して粉砕し、触媒粒子分布5〜200μmに篩分けして触媒Aを得た。触媒Aの平均粒子径は95μm、嵩密度は1.6g/ml、比表面積は100m2/gであった。X線回析にて構造分析を行った結果、酸化マンガンはMn23であり、平均荷電数Mn3+であった。また、ICPを用いて組成分析を行った結果、Ru換算で1質量%、Ca換算で0.1質量%、Mn2360質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物154質量部)であった。触媒A0.3gを分散媒のノルマルヘキサデカン(n−C1634、以下溶媒という)30ml(スラリー濃度1g/100ml)と共に内容積100mlの反応器に充填し、水素分圧10MPa・G、温度140℃、流量100ml/min(STP:standard temperature and pressure)で水素を触媒Aに接触させて1時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃、圧力を常圧にした。還元後の触媒AのRu分散性は38%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素56.3vol.%、残り水素の混合ガス(H2/CO比 0.6、以下合成ガスという)に切り換え、温度210℃、水素および一酸化炭素の分圧合計圧力(以下H2+CO圧力という)10MPa・GにてFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.05MPa の分圧で導入してFT反応を行った。合成ガスの通気量は、ワンパスCO転化率(以下転化率という)60%となるように調節し、W/F(weight/flow[g・hr/mol])10.7g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.91、C5+選択率は89%、C3中のオレフィン/パラフィン比は4、およびC5+生産性は435g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.92、C5+選択率は92%、C3中のオレフィン/パラフィン比は4、およびC5+生産性は420g/kg/hrであった。
【0043】
実施例2
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン113gを、次いで、炭酸カリウム(K Assay 28.3質量%)0.4gを、次いで塩化ルテニウム2.7gを含浸させ、粒子分布5〜200μm、平均粒子径95μm、嵩密度1.45g/mlおよび比表面積140m2/gの物性を有し、Ru換算で1.5質量%、K換算で0.2質量%、Mn2350質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物104質量部)からなる触媒Bを得た。触媒B0.9gを溶媒30ml(スラリー濃度3g/100ml)と共に反応器に充填し、水素分圧6MPa・G、温度150℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Bに接触させて0.5時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃、圧力を常圧にした。還元後の触媒BのRu分散性は39%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素50vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比0.8)に切り換え、温度230℃、H2+CO圧力6MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.06MPa の分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F10.1g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.91、C5+選択率は88%、C3中のオレフィン/パラフィン比は4、およびC5+生産性は405g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.92、C5+選択率は90%、C3中のオレフィン/パラフィン比は4、およびC5+生産性は380g/kg/hrであった。
【0044】
実施例3
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン114.8gを、次いで、炭酸ナトリウム(Na Assay 43.2質量%)0.7gを、次いで、塩化ルテニウム3.6gを含浸させ、粒子分布10〜180μm、平均粒子径80μm、嵩密度1.45g/mlおよび比表面積140m2/gの物性を有し、Ru換算2質量%、Na換算0.5質量%、Mn2350質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物105質量部)からなる触媒Cを得た。触媒C1.5gを反応器に充填し、水素分圧5MPa・G、温度160℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Cに接触させて72時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃、圧力を常圧とした後、溶媒30ml(スラリー濃度5g/100ml)を反応器に圧送した。還元後の触媒CのRu分散性は33%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素45vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比 1)に切り換え、温度240℃、H2+CO圧力4.5MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.45MPaの分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F7.5g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.90、C5+選択率は86%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.9、C5+生産性は485g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.91、C5+選択率は88%、C3中のオレフィン/パラフィン比は4、C5+生産性は420g/kg/hrであった。
【0045】
実施例4
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン49.5gを、次いで、炭酸ナトリウム1gを、次いで、塩化ルテニウム3.9gを含浸させ、粒子分布20〜150μm、平均粒子径60μm、嵩密度1.25g/mlおよび比表面積165m2/gの物性を有し、Ru換算3質量%、Na換算0.9質量%、Mn2330質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物45質量部)からなる触媒Dを得た。触媒D9gを溶媒30ml(スラリー濃度30g/100ml)と共に反応器に充填し、水素分圧2MPa・G、温度170℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Dに接触させて4時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃まで降温し、圧力を常圧まで降圧した。還元後の触媒DのRu分散性は33%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素30vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比 2)に切り換え、温度270℃、H2+CO圧力2MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.2MPaの分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F4.0g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.89、C5+選択率は85%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.9、およびC5+生産性は595g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.9、C5+選択率は85%、C3中のオレフィン/パラフィン比は4、およびC5+生産性は500g/kg/hrであった。
【0046】
実施例5
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン50.3gを、次いで、炭酸ナトリウム1gを、次いで、塩化ルテニウム5.3gを含浸させ、粒子分布20〜125μm、平均粒子径50μm、嵩密度1.25g/mlおよび比表面積165m2/gのRu換算4質量%、Na換算0.9質量%、Mn2330質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物46質量部)からなる触媒Eを得た。触媒E9gを溶媒30ml(スラリー濃度30g/100ml)と共に反応器に充填し、水素分圧2MPa・G、温度170℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Eに接触させて4時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃まで降温し、圧力を常圧まで降圧した。還元後の触媒EのRu分散性は30%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素30vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比 2)に切り換え、温度270℃、H2+CO圧力2MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.2MPa の分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F2.3g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.89、C5+選択率は85%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.9、およびC5+生産性は1050g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.9、C5+選択率は85%、C3中のオレフィン/パラフィン比は4、およびC5+生産性は900g/kg/hrであった。
【0047】
実施例6
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン6.6gを、次いで、炭酸カリウム3.2gを、次いで、塩化ルテニウム10.5gを含浸させ、粒子分布10〜180μm、平均粒子径90μm、嵩密度0.8g/mlおよび比表面積300m2/gのRu換算10質量%、K換算3質量%、Mn235質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物6質量部)からなる触媒Fを得た。触媒F10.5gを反応器に充填し、水素分圧1MPa・G、温度220℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Fに接触させて48時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃、圧力を常圧とした後、溶媒30ml(スラリー濃度35g/100ml)を圧送した。還元後の触媒FのRu分散性は29%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素27.3vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比 2.3)に切り換え、温度280℃、H2+CO圧力1.8MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.9MPa の分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F2.0g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.89、C5+選択率は81%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.7、およびC5+生産性は1030g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.89、C5+選択率は82%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.8、およびC5+生産性は930g/kg/hrであった。
【0048】
実施例7
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン17.3gを、次いで、硝酸カルシウム34.2gを、次いで、塩化ルテニウム27.2gを含浸させ、粒子分布5〜40μm、平均粒子径20μm、嵩密度0.9g/mlおよび比表面積220m2/gのRu換算20質量%、Ca換算7質量%、Mn2310質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物16質量部)からなる触媒Gを得た。触媒G12gを反応器に充填し、水素分圧0.5MPa・G、温度250℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Gに接触させて24時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃、圧力とした後、溶媒30ml(スラリー濃度40g/100ml)を圧送した。還元後の触媒GのRu分散性は22%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素25.7vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比 2.5)に切り換え、温度300℃、H2+CO圧力1.5MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.45MPaの分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F1.8g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.87、C5+選択率は79%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.8、およびC5+生産性は1100g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.88、C5+選択率は80%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.9、およびC5+生産性は1000g/kg/hrであった。
【0049】
実施例8
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン85.7gを、次いで、硝酸カルシウム102.7gを、次いで、塩化ルテニウム85.7gを含浸させ、粒子分布5〜70μm、平均粒子径25μm、嵩密度1.8g/mlおよび比表面積60m2/gのRu換算30質量%、Ca換算10質量%、Mn2330質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物100質量部)からなる触媒Hを得た。触媒H15gを反応器に充填し、水素分圧0.1MPa・G、温度310℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Hに接触させて6分間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃、圧力を常圧とした後、溶媒30ml(スラリー濃度50g/100ml)を圧送した。還元後の触媒HのRu分散性は18%であった。その後、アルゴン10vol.%、一酸化炭素24.3vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比 2.7)に切り換え、温度320℃、H2+CO圧力1MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.3MPaの分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F2.0g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.86、C5+選択率は78%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.6、およびC5+生産性は930g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.88、C5+選択率は80%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.8、およびC5+生産性は830g/kg/hrであった。
【0050】
比較例1
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末40gに炭酸ナトリウム0.9gを、次いで、塩化ルテニウム3.6gを含浸させ、粒子分布10〜150μm、平均粒子径80μm、嵩密度0.75g/mlおよび比表面積360m2/gのRu換算3質量%、Na換算0.9質量%、残りアルミニウム酸化物(マンガン酸化物なし)からなる触媒Iを得た。触媒I9gを溶媒30ml(スラリー濃度30g/100ml)と共に反応器に充填し、水素分圧2MPa・G、温度170℃、流量100ml/min(STP)で水素を触媒Iに接触させて4時間還元した。還元後、ヘリウムガスで置換し、温度を100℃、圧力を常圧とした。還元後の触媒IのRu分散性は65%であった。その後、アルゴン10.vol%、一酸化炭素30vol.%、残り水素の合成ガス(H2/CO比2)に切り換え、温度270℃、H2+CO圧力2MPa・Gの条件でFT反応を開始し、20時間経過後に二酸化炭素を0.2MPaの分圧で導入してFT反応を行った。転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F12.9g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.75、C5+選択率は69%、C3中のオレフィン/パラフィン比は0.1、およびC5+生産性は150g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.8、C5+選択率は73%、C3中のオレフィン/パラフィン比は0.5、およびC5+生産性は210g/kg/hrであった。
上記実験例では、触媒にマンガン酸化物が用いられないので、連鎖成長確率、C5+選択率およびC3中のオレフィン/パラフィン比のいずれも小さく、C5+生産性も低く、二酸化炭素を共存させた場合にこれらが一層低下している。
【0051】
比較例2
硝酸マンガン145gを焼成し、これに炭酸ナトリウム0.9gを、次いで、塩化ルテニウム0.1gを含浸させた以外は実施例1と同じ手法で触媒を調製し、粒子分布10〜150μm、平均粒子径80μm、嵩密度2.4g/mlおよび比表面積40m2/gのRu換算3質量%、Na換算0.9質量%、残りMn23(アルミニウム酸化物なし)からなる触媒Jを得た。触媒J9gを溶媒30ml(スラリー濃度30g/100ml)と共に反応器に充填し、比較例1と同様にして触媒を水素還元し、この触媒に比較例1と同様にしてアルゴン、一酸化炭素および水素の合成ガスを接触させてFT反応を開始し、その後二酸化炭素を導入してFT反応を行った。還元後の触媒JのRu分散性は14%であった。また、転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F8.3g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.89、C5+選択率は83%、C3中のオレフィン/パラフィン比は5、およびC5+生産性は280g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.9、C5+選択率は85%、C3中のオレフィン/パラフィン比は6、およびC5+生産性は150g/kg/hrであった。
この実験例では、触媒中にアルミニウム酸化物が用いられず、触媒の比表面積が小さ過ぎ、かつ触媒の嵩密度が大き過ぎるので、C5+生産性が低い。ただし、二酸化炭素の共存下では幾分向上している。
【0052】
比較例3
実施例1と同じ調製手法にて、アルカリ性アルミナ粉末30gに硝酸マンガン49.5gを、次いで、塩化ルテニウム3.9gを含浸させ、粒子分布10〜150μm、平均粒子径80μm、嵩密度1.25g/mlおよび比表面積160m2/gのRu換算3質量%(Na担持なし)、Mn2330質量%、残りアルミニウム酸化物(アルミニウム酸化物100質量部:マンガン酸化物45質量部)からなる触媒Kを得た。触媒K9gを溶媒30ml(スラリー濃度30g/100ml)と共に反応器に充填し、比較例1と同様にして触媒を水素還元し、この触媒に比較例1と同様にしてアルゴン、一酸化炭素および水素の合成ガスを接触させてFT反応を開始し、その後二酸化炭素を導入してFT反応を行った。還元後の触媒KのRu分散性は35%であった。また、転化率60%となる合成ガスの通気量は、W/F5.8g・hr/molであった。反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.81、C5+選択率は72%、C3中のオレフィン/パラフィン比は1以下、およびC5+生産性は350g/kg/hrであった。また、比較のために、二酸化炭素の導入を行わなかったこと以外は、上記と同様に操作してFT反応を行った。その結果、連鎖成長確率は0.85、C5+選択率は79%、C3中のオレフィン/パラフィン比は1以下、およびC5+生産性は380g/kg/hrであった。
この実験例では、触媒にナトリウム化合物が担持されてないので、連鎖成長確率、C5+選択率およびC3中のオレフィン/パラフィン比のいずれも小さく、二酸化炭素を共存させた場合にこれらが一層低下している。
【0053】
比較例4
実施例4において、FT反応開始から20時間経過後導入する二酸化炭素の分圧を1.2MPaとしたこと以外は、実施例4と同様にしてFT反応を行った。
反応開始から48時間後における連鎖成長確率は0.88、C5+選択率は81%、C3中のオレフィン/パラフィン比は3.5、およびC5+生産性は330g/kg/hrであった。
この実験例では、共存させる二酸化炭素量が多過ぎるので、C5+生産性が低い。
【0054】
上記実施例および比較例における反応条件および結果を、表1(実施例)および表2(比較例)に纏めて表示した。
【0055】
【表1】
Figure 0004660039
【0056】
【表2】
Figure 0004660039
【0057】
【発明の効果】
本発明の炭化水素類の製造方法によれば、二酸化炭素の共存下に、高い連鎖成長確率、優れたオレフィン選択性およびC5+の生産性、かつ高触媒活性で、ヒートスポットの発生などを来たすことなく安定して円滑にFT反応を行うことができ、さらに合成ガス中の炭酸ガスを除去する脱炭酸工程を簡略化もしくは省略することができ、なおさらには二酸化炭素の非共存下に反応を行う場合に比べて一酸化炭素の転化率を一層向上させることができて、液状炭化水素類を効率的に製造することができる。本発明方法は、生成したワックス分の水素化分解や、生成したオレフィンの二量化、三量化をすることも含めて、灯軽油留分の増産に大きく寄与できる方法である。

Claims (3)

  1. アルミニウム酸化物およびマンガンの平均荷電数がMn2+を超えるマンガン酸化物からなる担体に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類および元素周期律表第III族から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物を触媒基準で0.1〜10質量%担持し、さらに、ルテニウムを触媒基準で1〜30質量%担持した、比表面積60〜350m2/g、嵩密度0.8〜1.8g/mlを示す触媒を、予め還元処理を施した後、液状炭化水素類中に濃度1〜50質量%にて分散せしめ、該触媒に水素および一酸化炭素を主成分とする混合ガスを、その水素および一酸化炭素の合計圧に対して0.5〜50%の二酸化炭素の共存下に、圧力1〜10MPa、反応温度200〜350℃で接触させる炭化水素類の製造方法。
  2. 担体におけるアルミニウム酸化物とマンガン酸化物の割合が、アルミニウム酸化物100質量部に対してマンガン酸化物5〜160質量部である請求項1に記載の炭化水素類の製造方法。
  3. 担体の一つの成分のアルミニウム酸化物が、中性アルミナまたはアルカリ性アルミナである請求項1または2に記載の炭化水素類の製造方法。
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