JPH11179204A - 一酸化炭素及び二酸化炭素を含有するガスのメタン化触媒及びその製造方法 - Google Patents

一酸化炭素及び二酸化炭素を含有するガスのメタン化触媒及びその製造方法

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JPH11179204A
JPH11179204A JP9351342A JP35134297A JPH11179204A JP H11179204 A JPH11179204 A JP H11179204A JP 9351342 A JP9351342 A JP 9351342A JP 35134297 A JP35134297 A JP 35134297A JP H11179204 A JPH11179204 A JP H11179204A
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ruthenium
catalyst
carrier
activated alumina
methanation
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JP9351342A
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English (en)
Inventor
Osamu Iwamoto
治 岩本
Hiroshi Mizuguchi
博史 水口
Yoshihisa Sakurai
敬久 桜井
Takashi Suzuki
崇 鈴木
Tomohiro Yoshinari
知博 吉成
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐硫黄被毒性と耐炭素析出性とを兼ね備えてお
り、高活性で高選択性を有し、しかも、十分な機械的強
度を有するメタン化触媒とその製造方法を提供すること
にある。 【解決手段】本発明によるメタン化触媒は、(a) 酸化ア
ルミニウム又はその前駆体と(b) オキシ酸とを400〜
600℃で焼成して、活性アルミナ担体を調製し、この
担体にルテニウムを0.5〜4重量%担持させ、これをア
ルカリ水溶液にて不溶・固定化した後、80〜500℃
で還元処理することによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタンリッチ、即
ち、メタン分の多い代替天然ガスを製造するプロセスに
おいて、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、水素、水蒸
気等を含む混合ガス中の一酸化炭素と二酸化炭素をメタ
ンに変換するための触媒とその触媒の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】代替天然ガス(Substitute Natural Gas
又は Synthesis Natural Gas)とは、天然ガス(N
G)や液化天然ガス(LNG)に代わる発熱量約400
00kJ/m3 の高カロリー燃料ガスをいい、一般に、
SNGと呼ばれている。
【0003】我が国における都市ガスは、IGF21
(Integrated Gas Family 21、高カロリーガス種の集約
化(通産省))計画によって、高カロリー化(熱量変
換)に向かっており、SNGの需要が益々増加する傾向
にある。従って、都市ガス原料として、ナフサや液化石
油ガス(LPG)等の軽質石油留分を用いる場合には、
これらを改質してSNGを製造する必要がある。
【0004】例えば、ルテニウム系触媒を用いて、45
0℃付近で軽質石油留分を低温水蒸気改質すれば、メタ
ン分の多い混合ガスを得ることができる(例えば、鈴
木、岩波ら、第25回石油・石油化学討論会要旨集、石
油学会編、1995年)。このように、軽質石油留分の
低温改質反応を行なうと、ほぼメタン、水素及び二酸化
炭素からなる生成ガスを得ることができるが、一酸化炭
素も1%前後生成する。このように、一酸化炭素が生成
するのは、軽質石油留分が水蒸気と反応して、水素や一
酸化炭素を経て、メタンや炭酸ガスに転化する際に、一
酸化炭素が残存することによると考えらている。よく知
られているように、一酸化炭素は非常に有毒であって、
これを人間が微量でも吸入すれば、中毒を引き起こすの
で、都市ガス中の一酸化炭素濃度は、法的に0.1%未満
に厳しく規制されている。
【0005】しかし、製品ガス中の一酸化炭素濃度を上
記所定範囲内に抑えるには、膜分離法では困難であり、
深冷分離によらざるを得ないが、大量のガスを安価に安
定供給することを要求される都市ガス事業の観点から
は、分離という手法によらず、一酸化炭素を触媒工学的
手法でメタンに変換するのが望ましい。ここに、一酸化
炭素のメタン化反応は次式で示される発熱反応である。
【0006】CO+3H2 →CH4+H2O 前述したように、軽質石油留分を低温水蒸気改質すれ
ば、その生成ガスには、通常、メタンが60〜70%前
後含まれており、更に、水蒸気の吐出も考えられるの
で、上記改質反応の生成ガスをメタン化のための原料ガ
スとして用いるときは、上記メタン化反応の生成系(右
辺)が大量に存在する条件で反応を進行させる必要があ
る。工業的プロセスにおいては、メタン化反応は、断熱
式反応器内において、改質反応の余熱を利用して行なわ
れるので、反応温度も200〜350℃前後に限られ
る。加えて、一酸化炭素からの炭素析出反応等の副反応
の抑制も強く求められるので、工業的プロセスにおい
て、軽質石油留分の低温水蒸気改質反応器からの出口ガ
スをメタン化するには、高活性で高選択性を有するメタ
ン化触媒が不可欠である。
【0007】また、軽質石油留分の低温水蒸気改質によ
る生成ガスには、前述したように、二酸化炭素も相当量
含まれている。一般に、二酸化炭素は、一酸化炭素に比
べれば、メタン化の反応性に非常に乏しいが、しかし、
二酸化炭素もメタン化することができる。この反応も、
次式で示される発熱反応である。 CO2+4H2 →CH4+2H2
【0008】従って、軽質石油留分の低温水蒸気改質に
よる生成ガスのメタン化によって、一酸化炭素のみなら
ず、二酸化炭素をもメタン化できれば、メタンの収率を
一層、向上させることができる。
【0009】従来、軽質石油留分の低温水蒸気改質によ
る生成ガスのメタン化の工業的プロセスにおいては、ニ
ッケル系触媒が用いられている。しかし、ニッケル系触
媒は、炭素析出を引き起こしやすいこと、反応活性が低
い等の問題を有しているので、従来、ニッケル系触媒に
代わる新たなメタン化触媒の開発が強く要望されてい
る。
【0010】ここに、SNGの工業的な製造プロセスに
用いるメタン化触媒は、メタン化反応の温度が低温域に
限られており、しかも、水蒸気雰囲気に曝される条件下
に長期間にわたって安定した活性と選択性を有すること
はもとより、十分な機械的強度を有することが必要であ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のメタ
ン化触媒における上述したような問題を解決し、上述し
たような要望に応えて、一酸化炭素及び二酸化炭素を含
有するガスの高性能のメタン化触媒、即ち、耐硫黄被毒
性と耐炭素析出性とを兼ね備えており、高活性で高選択
性を有し、しかも、十分な機械的強度を有するメタン化
(メタネーション)触媒とその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による一酸化炭素
及び二酸化炭素を含有するガスのメタン化触媒は、(a)
酸化アルミニウム又はその前駆体と(b) オキシ酸とを4
00〜600℃で焼成して、活性アルミナ担体を調製
し、この担体にルテニウムを0.5〜4重量%担持させ、
これをアルカリ水溶液にて不溶・固定化した後、80〜
500℃で還元処理することによって得られるものであ
る。
【0013】本発明によれば、上記活性アルミナ担体
は、周期律表第2族、第3族及びランタノイド元素から
選ばれる少なくとも1種の酸化物を含んでもよい。
【0014】本発明によるこのようなメタン化触媒は、
後述するように、ルテニウム分散性が60%以上、一酸
化炭素吸着量が50℃において標準状態換算で0.95m
L/g以上であることが好ましい。
【0015】本発明によるこのようなメタン化触媒の製
造方法は、(a) 酸化アルミニウム又はその前駆体と(b)
オキシ酸とを400〜600℃で焼成して、活性アルミ
ナ担体を調製し、この担体にルテニウムを0.5〜4重量
%担持させ、アルカリ水溶液にて不溶・固定化した後、
80〜500℃で還元処理するものである。
【0016】本発明によれば、この方法において、(a)
及び(b) 成分と共に、(c) 周期律表第2族、第3族及び
ランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の酸化物
又はその前駆体を焼成して、活性アルミナ担体を調製し
てもよい。
【0017】本発明によれば、このような方法おいて、
還元処理に先立ち、100℃以下で乾燥することが好ま
しい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明による一酸化炭素及び二酸
化炭素を含有するガスのメタン化触媒は、(a) 酸化アル
ミニウム又はその前駆体と(b) オキシ酸とを400〜6
00℃で焼成して、活性アルミナ担体を調製し、この担
体にルテニウムを0.5〜4重量%担持させ、これをアル
カリ水溶液にて不溶・固定化した後、80〜500℃で
還元処理することによって得られる。
【0019】先ず、活性アルミナ担体の調製について説
明する。活性アルミナ担体は、(a)酸化アルミニウム又
はその前駆体と(b) オキシ酸とを酸化性雰囲気中、40
0〜600℃に加熱、焼成することによって得ることが
できる。
【0020】活性アルミナの調製において、(a) 成分で
ある酸化アルミニウム又はその前駆体としては、通常の
アルミナのほか、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウ
ム等のように、400〜600℃の範囲の温度での焼成
によって酸化アルミニウムを生成するアルミニウム化合
物が用いられる。しかし、α−アルミナ等のように、比
表面積が極端に小さいものは、使用を避けることが望ま
しい。より詳細には、本発明によれば、(a) 成分とし
て、アルミナを用いるとき、その比表面積は、60m2
/g以上であることが好ましい。
【0021】本発明によれば、活性アルミナ担体の調製
において、(b) 成分として、オキシ酸を用いる目的は、
担体の多孔質化にある。即ち、オキシ酸は、容易に熱分
解による脱炭酸を起こすので、(a) 成分と共に加熱する
ことによって、担体の多孔質化を促進する。
【0022】従って、400〜600℃の範囲の温度で
の焼成によって、脱炭酸を起こして、熱分解するもので
あれば、任意のオキシ酸を用いることができるが、具体
的には、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル
酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族オキシ酸、サリチ
ル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食
子酸、マンデル酸、トロバ酸等の芳香族オキシ酸、これ
ら脂肪族オキシ酸や芳香族オキシ酸をアルキル化処理し
たもの(即ち、オキシ酸のカルボキシル基の一部をメチ
ル化等のアルキル化処理したもの)等、種々のものを挙
げることができる。これらのオキシ酸は、単独で、又は
2種以上を混合して用いることができる。2種以上を用
いる場合には、脂肪族オキシ酸と芳香族オキシ酸とを用
いてもよい。
【0023】本発明によれば、必要に応じて、上記活性
アルミナ担体の調製に際して、上記(a) 成分及び(b) 成
分と共に、(c) 成分として、周期律表第2族(以下、単
に2族という。)、第3族(以下、単に3族という。)
及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の酸
化物又はその前駆体(以下、第三成分ということがあ
る。)を400〜600℃で焼成して、上記2族、3族
及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の酸
化物を得られる活性アルミナ担体に含有させることがで
きる。
【0024】上記(c) 成分は、得られる触媒に耐硫黄被
毒性を付与するために活性アルミナ担体に加えられるも
のである。ルテニウムは、メタン化反応時に炭素の析出
を抑える特性、即ち、耐炭素析出性にすぐれる金属であ
るが、しかし、一旦、硫黄により被毒されれば、この効
果が弱まって、硫黄被毒と炭素析出の両面から、触媒性
能が損なわれる欠点がある。そこで、原料ガス中に硫黄
分が混入するおそれがあるときには、担体に上記(c) 成
分を添加することによって、触媒の硫黄被毒を防止する
ことができる。即ち、このように、担体に(c) 成分を加
えることによって、原料ガス中に一時的に10ppm程
度の硫黄化合物が混入しても、触媒の硫黄被毒を防止し
て、触媒の性能を維持することができる。
【0025】本発明において、(c) 成分中、2族元素の
酸化物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムの酸化物を挙
げることができるが、特に、マグネシウムやバリウムの
酸化物が好ましい。3族元素の酸化物としては、スカン
ジウムやイットリウムの酸化物を挙げることができる
が、特に、イットリウムの酸化物が好ましい。
【0026】ランタノイド元素の酸化物としては、ラン
タン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウ
ム、サマリウム等の酸化物を挙げることができるが、な
かでも、セリウムやランタンの酸化物が好ましい。
【0027】これらの2族、3族又はランタノイド元素
の酸化物は、いずれか1種を単独で用いてもよく、ま
た、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】また、2族、3族又はランタノイド元素の
酸化物の前駆体としては、例えば、炭酸塩を挙げること
ができるが、これに限定されるものではない。
【0029】本発明によれば、活性アルミナ担体の調製
に際して、(b) 成分のオキシ酸は、粉末状で用いて、
(a) 成分や、必要に応じて、(c) 成分の粉末と機械的に
乾式混合してもよいし、また、オキシ酸が解離しない有
機溶媒や分散媒等に分散させて、これを(a) 成分や、必
要に応じて、(c) 成分の粉末と湿式混合してもよい。
(a) 及び(b) 成分、必要に応じて、(c) 成分を混合する
場合、その順序は、何ら限定されない。
【0030】上記有機溶媒や分散媒としては、飽和、不
飽和の炭化水素、芳香族化合物、脂環式有機化合物等の
極性の低いものが好ましく、また、加熱、焼成時に残渣
が残らないもの、腐食性ガスや有害ガスの発生がないも
のを選ぶべきである。
【0031】本発明において、活性アルミナ担体を調製
するに際して、(a) 、(b) 及び(c)成分の配合割合は、
それぞれ次のとおりてある。
【0032】(b) 成分であるオキシ酸は、得られる活性
アルミナ担体100重量部に対して、3〜25重量部、
好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜15重
量部の範囲であるように用いられる。(b) 成分の割合
が、得られる活性アルミナ担体100重量部に対して、
3重量部未満では、担体の多孔質化が十分に進まず、所
要量のルテニウムを担持させることができないのみなら
ず、得られる触媒におけるルテニウム分散性も低い。し
かし、(b) 成分の割合が、得られる活性アルミナ担体1
00重量部に対して、25重量部を越えるときは、担体
の多孔質化は進むが、担体中にマクロ孔が生じたり、焼
成時のオキシ酸の不完全燃焼による炭素残渣がみられる
場合がある等、触媒性能を損ねる要因が増える。
【0033】(c) 成分である2族、3族及びランタノイ
ド元素から選ばれる少なくとも1種の酸化物又はその前
駆体は、最終的に得られる触媒中に、酸化物として、2
〜20重量%、好ましくは2〜10重量%、より好まし
くは3〜7.5重量%の範囲で含まれるような割合で用い
られる。
【0034】最終的に得られる触媒において、(c) 成分
が酸化物として、2重量%未満では、目的とする耐硫黄
被毒性を触媒に十分に与えることができず、従って、メ
タン化反応において、硫黄被毒を受けやすく、更には、
炭素析出を伴うようになり、かくして、触媒は、所要の
性能を長期間にわたって安定に保つことができないおそ
れがある。しかしながら、本発明に従って、(c) 成分が
酸化物として上記範囲で存在するとき、原料ガス中に硫
黄化合物が含まれていても、それは担体中の上記2族、
3族又はランタノイド元素の酸化物に吸着、吸収される
ので、触媒の活性成分であるルテニウムの被毒が起こり
難くなり、寿命が延長する。
【0035】他方、(c) 成分が酸化物として、触媒中、
20重量%を越えるときは、触媒中の(a) 成分、即ち、
アルミナの含有量が相対的に低下し、ここに、アルミナ
は、触媒の機械的強度や比表面積の向上に寄与している
ので、含有量が極端に低下するときは、実用に耐える強
度が得られ難いばかりか、担体上に活性成分を高分散さ
せることも困難となる。
【0036】本発明によれば、活性アルミナ担体の調製
において、上述した(a) 、(b) 及び(c) 成分のほかに、
本発明の効果を損なわない範囲において、その他の有
機、無機化合物等の成分、例えば、バインダーや離型剤
等を用いてもよい。
【0037】本発明によれば、上述した(a) 及び(b) 成
分、必要に応じて、(c) 成分を混合し、好ましくは、十
分に粉砕し、均一に混合して、微粉末からなる担体原料
とし、これを所望の寸法と形状を有する成形物に成形し
た後、これを400〜600℃の範囲の温度に加熱焼成
して、多孔質の活性アルミナ担体を調製する。
【0038】本発明によれば、上記担体原料は、通常、
50メッシュ、好ましくは100メッシュ、より好まし
くは200メッシュの篩を通過するものがよい。更に、
このような担体原料を成形物とした場合に、担体原料が
溶媒や分散媒を含むときには、これらを成形物から完全
に除去した後、成形物を焼成することが望ましい。成形
物から溶媒や分散媒を除去するには、常圧又は減圧下に
常温又は加熱下に乾燥すればよい。ここに、加熱によっ
て乾燥する場合には、オキシ酸を分解させないように、
通常、乾燥のための加熱温度の上限を90〜100℃と
するのが望ましい。
【0039】担体原料を成形するには、加圧成形、押出
成形等の種々の手段によることができるが、特に、加圧
成形によるのが好ましい。この加圧成形としては、打錠
成形、射出成形、プレス成形等が挙げられるが、触媒が
用いられるメタン化反応の条件を考慮すると、打錠成形
によるのが好ましい。成形物の形状は、球状、楕円球
状、紡錘状、角柱状、円柱状、中空状、打錠状等の種々
の粒状体のほか、膜やその他の任意の形状でもよく、特
に、限定されるものではないが、一般のメタン化反応に
用いられるような円柱状、中空状、打錠状の粒状体が好
ましい。
【0040】次いで、本発明によれば、このような成形
物、即ち、担体基材を酸化性雰囲気、例えば、空気中、
400〜600℃の範囲の温度に加熱、焼成することに
よって、多孔質の活性アルミナ担体を調製することがで
きる。焼成時間は、通常、1〜20時間の範囲である。
焼成時間が1時間未満では、オキシ酸の加熱分解が不十
分であって、得られる活性アルミナ担体の比表面積や細
孔容積が所期の値に達しないばかりか、最終的に得られ
る触媒において、ルテニウムの高分散を得ることができ
ない。また、アルミナの焼成が不十分であって、実用強
度が得られなくなるおそれもある。他方、焼成は20時
間以内で十分に行なわれるので、20時間を越える焼成
は必要ない。
【0041】本発明によれば、このようにして得られる
活性アルミナ担体は、比表面積150m2 /g以上、よ
り好ましくは、160m2 /g以上、最も好ましくは、
180m2 /g以上を有する。活性アルミナ担体の比表
面積は、大きいほど、反応性が向上するので好ましい
が、入手できる原料からみて、通常、240m2 /g程
度が上限であるといえる。更に、得られる活性アルミナ
担体は、細孔容積0.2〜0.4mL/g、より好ましく
は、0.25〜0.4mL/gを有する。
【0042】得られる活性アルミナ担体の比表面積と細
孔容積がこれらの値に満たない場合には、所要量のルテ
ニウムを担持させることができないほか、ルテニウムの
分散性も低下する傾向にある。
【0043】次に、このようにして得られた活性アルミ
ナ担体を用いるメタン化触媒の調製について説明する。
【0044】本発明によれば、以上のようにして得られ
た活性アルミナ担体にルテニウムを担持させるに先立
ち、先ず、担体の飽和吸水量を求める。即ち、予め担体
を秤量し、これに水をビュレットにて滴下して、担体内
部まで十分に水を吸収させて、飽和吸水量を測定する。
次いで、この飽和吸水量と等量のイオン交換水又は蒸留
水に所定量の三塩化ルテニウム水和物を溶解させた水溶
液を担体に含浸、吸収させる。その後、担体に吸収させ
た三塩化ルテニウム量よりも過剰量の7〜10Nのアル
カリ水溶液を担体上に滴下して、上記三塩化ルテニウム
を水酸化物に変換し、かくして、ルテニウムを担体上に
不溶・固定化させる。この方法によれば、三塩化ルテニ
ウムに由来する塩素イオンが水溶性塩(即ち、塩化アン
モニウム)となるので、ルテニウムを担体上に不溶・固
定化させた後、洗浄する過程において、脱塩素を効率的
に行なうことができるという利点も有している。
【0045】このように、三塩化ルテニウム水溶液を担
体に吸収させる際、三塩化ルテニウム水溶液の温度は、
三塩化ルテニウムの加水分解を避けるために、50℃未
満、特に、室温が好ましい。
【0046】本発明によれば、担体上にルテニウムを不
溶・固定化するために、三塩化ルテニウム水和物に限ら
ず、三塩化ルテニウム無水物、ルテニウム酸カリウム等
のルテニウム酸塩、硝酸ルテニウム等のルテニウム塩等
の水溶液を用いてもよい。
【0047】また、ルテニウムの不溶・固定化に用いる
アルカリ水溶液としても、アンモニア水のほか、炭酸水
素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等の水溶液を用いることもできる。
【0048】しかしながら、アルカリ水溶液として、ア
ルカリ金属を含むアルカリ水溶液を用いる場合には、得
られる触媒中にアルカリ金属イオンが残存しないよう
に、ルテニウムを不溶・固定化した後、十分に水洗する
ことが必要である。アルカリ金属イオンが触媒中に残存
すると、担持ルテニウムの分散性が低下するほか、メタ
ン化反応中に反応器出口付近のアルカリ金属濃度が高く
なり、装置運転の妨げになることもある。
【0049】本発明によれば、金属ルテニウムの担持量
は、後述する還元処理後の触媒基準において、0.5〜4
重量%、好ましくは、1.3〜3.5重量%、最も好ましく
は、1.5〜2.8重量%の範囲である。ルテニウムの分散
性のみを改善するのであれば、その担持量を減ずればよ
いが、本発明が目的とするように、一酸化炭素と二酸化
炭素を含有するガスのメタン化反応に用いる触媒にあっ
ては、所要のレベルの活性点量と分散性を兼ね備えるこ
とが触媒性能を維持するうえで重要である。そこで、ル
テニウムの担持量が触媒中、0.5重量%未満のときは、
ルテニウム分散性は所要のレベルとなるものの、活性点
量は所要のレベルには至らず、初期活性は十分であって
も、運転中、温度変化等の運転条件に些細な変化や変動
が起こることによって、活性低下を起こすおそれがあ
る。他方、4重量%を越えるときは、活性金属粒子の間
隔が狭まるため、シンタリング等を起こすおそれがあ
る。
【0050】一般に、活性アルミナは、従来より触媒担
体として広く用いられているが、そのような活性アルミ
ナは、比表面積や多孔質性が小さいことから、それを担
体として、上述したような多量のルテニウムを一度に担
持させることができない。そこで、従来は、そのような
活性アルミナに多量のルテニウムを担持させるために、
二段含浸法や三段含浸法等の多段含浸法や、又は高濃度
の塩化ルテニウム水溶液を用いる高濃度含浸法が採用さ
れている。しかし、そのような方法による場合でも、ル
テニウムが触媒上に蒸発乾固する割合が高く、触媒性能
が損なわれる問題が懸念されていた。
【0051】これに対して、本発明によれば、(a) 成分
である酸化アルミニウム又はその前駆体に所定の割合で
オキシ酸を配合し、そのような担体原料を加熱、焼成す
るので、得られる活性アルミナ担体においては、比表面
積と多孔質性とが改善されており、かくして、本発明に
よれば、活性アルミナに含浸、吸収させたルテニウム化
合物の水溶液中のルテニウムの量(仕込量、モル数)の
95%以上を一段含浸にて担持させることができる。即
ち、本発明によれば、高いルテニウム保持率にてルテニ
ウムを担体に担持させることができる。しかも、本発明
によれは、所要の担持量のルテニウムを60%以上もの
高分散率で担持させることができる。
【0052】本発明によれば、前述したように、三塩化
ルテニウム水溶液を活性アルミナ担体に含浸させた後、
アンモニア水等のアルカリ水溶液にて、水酸化ルテニウ
ムとして、担体上に不溶・固定化するが、この不溶・固
定化の際に、担体上に担持されないルテニウム種とアル
カリ種との錯体(例えば、紅色のアミン錯体)を生じる
ことがないので、このことからも、本発明によれば、活
性アルミナ担体にルテニウムが効率よく担持されている
ことが理解される。
【0053】このように、担体上に水酸化ルテニウムを
不溶・固定化した後、担体は、担体上の水酸化ルテニウ
ムの酸化を抑制するために、還元処理に先立ち、100
℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは50℃
以下で、減圧または常圧下で乾燥することが望ましい。
還元処理の際に酸化物が存在すると、還元度が不均一に
なること、酸化物は還元され難いため酸化物のまま触媒
表面に残存することが予想され、還元度の不均一や酸化
物の残存は、ルテニウムの分散性を損なう原因となるこ
とがある。従って、本発明によれば、ルテニウムの不溶
・固定化の後、直ちに還元処理を行なうのではなく、上
記のような温度領域で乾燥を行なうことが好ましい。
【0054】乾燥を行なう雰囲気は、ヘリウム、アルゴ
ン等の希ガス、窒素等の不活性ガス気流中であれば、極
めて理にかなうが、しかし、上記のように、100℃以
下で操作すれば、空気中であっても、酸化物の生成量は
僅少であり、問題にならない。空気中での乾燥では、乾
燥温度は低ければ低いほど、酸化物の生成を抑制する点
で有利になるが、乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が著
しく長くなるため、現実的でない。従って、乾燥時間
は、乾燥温度や乾燥対象物の量等の条件に応じて適宜に
選定すればよいが、通常は、1〜2時間程度が好まし
い。
【0055】このようにして、本発明によれば、水酸化
ルテニウムを不溶・固定化し、乾燥した担体上のルテニ
ウム種を比較的低温で還元処理することによって、三塩
化ルテニウム水溶液を担体に含浸させて、均一に(即
ち、高い分散状態で)担持させたルテニウム種をそのま
まの状態(即ち、分散性の高い状態)で還元することが
できる。ここに、還元温度は、80〜500℃、好まし
くは、100〜480℃、より好ましくは、120〜4
50℃の範囲の温度である。本発明によれば、このよう
に、比較的低い温度領域で還元するので、ルテニウムの
高分散性を安定して保つことができる。
【0056】一般に、触媒の有するルテニウムの分散性
の低下は、シンタリング(焼結)によって起こるが、シ
ンタリングには、少なくとも2つの原因を挙げることが
できる。第1は、担体自体のシンタリングであり、折
角、活性金属を高分散させても、熱履歴による担体のシ
ンタリングによって、活性金属の粒子間隔が狭まり、分
散性が低下する。第2は、活性金属自体のシンタリング
によるものである。
【0057】本発明によれば、担体の焼成温度をメタン
化反応温度以上とすると共に、活性金属として融点が高
いルテニウム(金属ルテニウムの融点は2450℃)を
選択することによって、メタン化反応中(発熱反応)の
担体及び活性金属が熱履歴を受け難くしている。
【0058】上述したように、担体に不溶・固定化した
ルテニウム種、即ち、還元処理前のルテニウム種は、水
酸化物であり、この水酸化ルテニウムは、60〜80℃
程度の低い温度領域で金属ルテニウムにまで還元される
が、極めて微粒子状の活性金属の場合、極く一部の活性
点が熱履歴を受けることも考えられるので、本発明によ
れば、実プラントで長期間安定した触媒性能を得ること
ができるように、ルテニウム種の還元の温度を80〜5
00℃の範囲としている。
【0059】水酸化ルテニウムを金属ルテニウムに還元
するための還元ガスとしては、水素ガス、水素・水蒸気
混合ガス、一酸化炭素等を用いることができるが、なか
でも、水素ガスや水素・水蒸気混合ガスが好ましく、水
素ガスが特に好ましい。還元時間は、還元温度、還元用
ガスの通気量等の条件に応じて適宜選択すればよいが、
1〜20時間程度が実用的である。
【0060】このようにして、本発明に従って得られる
触媒は、比表面積が170〜220m2 /g、一酸化炭
素(以下、COということがある。)吸着量が50℃に
おいて標準状態換算で0.95mL/g以上、ルテニウム
金属の分散性が60%以上と極めてすぐれた値を有し、
従って、メタン化触媒としての高い性能が長期間、安定
して持続される。
【0061】これは、ルテニウム金属活性点が触媒表面
上に十分に存在していること、担体が触媒表面上に十分
露出していること(即ち、微粒子ルテニウムが高分散状
態で担持された触媒では、担体の表面露出に与えるルテ
ニウム粒子の影響は小さく、担体が触媒表面に十分に露
出することとなるのに対し、微粒子ルテニウムがシンタ
リング等により積層状や塊状になった触媒では、これら
積層状や塊状のルテニウムに覆われた分だけ、担体の表
面露出が減少する。)を意味する。従って、本発明によ
る触媒をメタン化反応に用いれば、メタン化原料ガスに
含まれる硫黄分は、効果的に担体側に吸着、吸収され
る。仮に、一部のルテニウムが被毒された場合や、運転
条件の変動等による触媒への負荷がかかった場合であっ
ても、活性点が多いため、触媒性能は長期間安定して持
続される。
【0062】触媒の比表面積が150m2 /g未満で
は、担体の有するルテニウム分散性能を低くするので、
所期のルテニウムの高分散性をもたないおそれがある。
触媒がルテニウムの活性点量を多く有していても、高分
散されていなければ、十分な反応性を示さないおそれが
ある。また、CO吸着量は、ルテニウムの活性点量を示
すが、0.95mL/g未満では、活性点量が少なく、十
分な反応性を示さないおそれがある。
【0063】本発明において、製品触媒(還元処理後の
触媒)のルテニウム分散性は、触媒に一酸化炭素を吸着
させた場合、触媒の有するルテニウムのモル数に対する
吸着したCOのモル数の割合であり、式(1)で表わさ
れる。
【0064】
【数1】
【0065】また、ルテニウム保持率は、活性アルミナ
担体への含浸に用いたルテニウム化合物の水溶液中のル
テニウムのモル数に対する製品触媒に含まれるルテニウ
ムのモル数の割合であり、式(2)で表わされる。この
ルテニウム保持率は、誘導結合プラズマ発光分析(IC
P分析)によって求めることができる。このルテニウム
保持率が高いほど、ルテニウムが効率よく担体に担持さ
れたことを意味する。
【0066】
【数2】
【0067】即ち、ルテニウムの分散性は、一酸化炭素
が金属ルテニウムに選択的に化学吸着する性質を利用し
て、触媒中に含まれるルテニウムのうち、実際の触媒反
応に関与できる活性点の割合を百分率で示したものであ
る。従って、シンタリングや蒸発乾固等によって表面か
ら隠れたルテニウムや、金属の凝縮等によって表面に露
出できないルテニウムがあれば、そこでは、一酸化炭素
の吸着は生じず、分散性の値は低くなる。本発明による
触媒では、0.5〜4重量%のルテニウムのうち、60%
以上が反応に寄与できる活性点になる。これは、触媒表
面上に数多くの活性点が存在していることと、活性アル
ミナ担体も触媒表面に十分に露出していることを示すも
のである。更に、本発明の触媒によれば、一酸化炭素の
みならず、二酸化炭素をも有効に同時にメタン化するこ
とができる。従って、本発明の触媒によれば、一酸化炭
素及び二酸化炭素を含有するガスのメタン化を低い反応
温度域において、長期間にわたって、安定して、高収率
にて行なうことができる。
【0068】また、原料ガス中に硫黄分が含まれていた
り、反応温度や、原料供給量が変動しても、ルテニウム
の分散性が60%以上あれば、活性点が多いので、これ
らの影響を受け難く、触媒性能は損なわれ難い。
【0069】逆に、ルテニウムの分散性が60%未満で
あるときは、活性点数が少ないので、見かけの反応速度
は低下する。また、活性アルミナ担体が触媒表面上に露
出し難くなるため、担体効果が薄くなる。更に、活性点
が少ないことから、原料ガス中の硫黄分や運転条件の変
動等によって、触媒性能が悪化することが懸念される。
【0070】更に、本発明による触媒は、十分な機械強
度を有すると共に、耐硫黄被毒性にすぐれ、平衡転化率
に近い良好な反応成績を示し、従って、原料ガスが硫黄
化合物を含む場合であっても、良好なメタン化活性を示
す。
【0071】本発明による触媒によってメタン化する原
料ガスとしては、一酸化炭素を3%程度含有し、メタン
を主成分とするガス、二酸化炭素を20%程度含有し、
メタンを主成分とするガス、一酸化炭素を3%程度と二
酸化炭素を20%程度含むメタンを主成分とするガス等
が好適に用いられる。
【0072】本発明による触媒の存在下に、このような
原料ガスをメタン化する際に、その反応温度は、230
〜400℃、好ましくは250〜350℃の範囲であ
り、反応圧力は、常圧から20kg/cm2 G、好まし
くは常圧から15kg/cm2G、より好ましくは8か
ら10kg/cm2 の範囲であり、GHSV(ガス空間
速度)は600〜4000(v/v)h-1、好ましくは
1000〜3000(v/v)h-1の範囲である。
【0073】反応方式は、特に、限定されるものではな
いが、固定床又は移動床反応装置を利用するバッチ式、
半連続式、又は連続式が好ましい。
【0074】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0075】以下の実施例において、生成物の分析は、
ステンレス(SUS)製管(内径3mm、長さ2m)に
60〜80メッシュの充填剤(Unibeads-C、GLサイエ
ンス社製)を充填し、これを分離カラムとして取付けた
熱伝導型検出器(TCD)付きガスクロマトグラフ(G
C−9A、島津製作所製)にて行なった。
【0076】担体及び触媒の比表面積並びに細孔容積
は、表面積測定装置(ベルソープ28、ベルジャパン社
製)により測定し、触媒上へのCO吸着量は、TCDガ
スクロマトグラフを内蔵した自動吸着装置(R601
5、大倉理研製)により測定した。測定の手順は次のと
おりである。即ち、触媒を試料管に入れ、キャリアガス
にヘリウムガスを用い、還元温度まで加熱した後、還元
ガスに水素ガスを用いて、4時間還元した。この還元の
後、キャリアガスに切り換えて、50℃まで冷却し、C
Oガスを試料管に一定量流して、CO吸着量を測定し
た。
【0077】触媒の破壊強度(DWL(dead weight lo
ad)は、木屋式硬度計(木屋製作所製)にて測定した。
触媒のルテニウム担持量は、誘導結合プラズマ発光分析
(ICP分析)によって確認した。
【0078】また、表1から3において、転化率は、次
式(3)で表わされる。
【0079】
【数3】
【0080】ここに、M0 は、原料ガス中の水素のモル
数であり、Mは、生成ガス中の水素のモル数である。
【0081】実施例1 活性アルミナ粉末(メルク製)50.00gとサリチル酸
(関東化学製)粉末1.50gを瑪瑙乳鉢を用いて十分に
混合した。この粉末(200メッシュ)を打錠成形器
(FK−1型、システムズエンジニアリング社製)を用
いて、成形圧20トン/cm2 にて直径3.2mmの円柱
状(ペレット)に成形し、マッフル炉にて空気中、60
0℃にて3時間焼成して、担体ペレットを得た。焼成中
に発生したガスは、マッフル炉に設けた排気管にて水流
ポンプを用いてドラフトチャンバー内に排気した。この
ようにして得られた担体は、比表面積が188m2
g、細孔容積が0.36mL/gであった。
【0082】三塩化ルテニウム一水和物(RuCl3
20、三津和化学製、ルテニウム含量44〜45重量
%)1.0gを水に溶解して容量101mLとし、この水
溶液25mL中に上記の担体ペレット22gを室温で1
時間漬浸した。ペレットを水溶液から取り出し、ペレッ
トに付着している水溶液を残液した後、ロータリーエバ
ポレーターを用い、約2.7kPa(約20mmHg)程
度の真空下に赤外線式ホットプレートで約40℃に加熱
して、水分を除いた。
【0083】次いで、このように処理したペレットを7
〜10Nアンモニア水約1L(市販試薬特級の約2倍希
釈)中に移し、30℃に保ちつつ、スターラーで2時間
ゆっくり攪拌して、担体ペレットにルテニウムを不溶・
固定化した。このペレットをブフナー漏斗を用いてアン
モニア水から回収した。
【0084】このようにして回収したペレットをイオン
交換水で十分洗浄した。洗浄は、濾液の一部に硝酸銀水
溶液を滴下し、塩化銀の白色沈殿が生じなくなるまで行
なった。洗浄したペレットは、真空乾燥器中100℃で
8〜10時間乾燥した。
【0085】このように乾燥したペレットを通常の加圧
流通系反応装置に充填し、圧力0.78MPa(8kg/
cm2 G)、還元温度80℃、GHSV1000(v/
v)h-1で8時間、マスフローコントローラーで流量調
整した水素で還元して、触媒Aを得た。
【0086】この触媒Aは、ルテニウム0.5重量%、残
部アルミナからなり、比表面積は180m2 /g、破壊
強度(DWL)は27kgであり、CO吸着量は0.99
mL/g(STP(標準状態)換算値)であった。担体
にルテニウムを担持させないときは、CO吸着がみられ
ないことから、この値はCOのルテニウム上への吸着量
を示すものである。また、ルテニウム分散性は、前記式
(1)を用いて計算した結果、89%であった。
【0087】以上の触媒Aの性状を表1にまとめて示
す。
【0088】次に、反応器に触媒Aを充填し、原料ガス
(水素20.7容量%、一酸化炭素1.2容量%、二酸化炭
素20.6容量%、メタン57.5容量%)に硫化水素を1
0ppm添加したものを上記反応器に水蒸気と共に導入
し、原料ガスのメタン化反応を反応圧力0.78MPa
(8kg/cm2 G)、反応温度300℃、GHSV2
000(v/v)h-1の反応条件下に行なった。
【0089】原料ガス組成は、 水素 111×10-3mol/hr 一酸化炭素 7×10-3mol/hr 二酸化炭素 111×10-3mol/hr メタン 310×10-3mol/hr である。反応結果を表1に示す。
【0090】実施例2 実施例1と同じ活性アルミナ粉末50.0gとリンゴ酸
(関東化学製)粉末2.5gを用いた以外は、実施例1と
同様にして、担体ペレットを調製した。この担体ペレッ
トは、比表面積211m2 /g、細孔容積0.39mL/
gであった。
【0091】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物0.65gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を90℃、還元温度を160℃と
した以外は、実施例1と同様にして、触媒Bを調製し
た。
【0092】この触媒Bは、ルテニウム1.3重量%、残
部アルミナからなり、比表面積200m2 /g、破壊強
度26kg、CO吸着量2.42mL/g(STP)、ル
テニウム分散性88.3%であった。
【0093】触媒Bの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Bを用いて行なったメタン化反応の結果を
表1に示す。
【0094】実施例3 実施例1と同じ活性アルミナ粉末50.0gと酒石酸(関
東化学製)粉末5.0gを用いた以外は、実施例1と同様
にして、担体ペレットを調製した。この担体ペレット
は、比表面積は215m2 /g、細孔容積0.39mL/
gであった。
【0095】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物0.75gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を60℃、還元温度を200℃と
した以外は、実施例1と同様にして、触媒Cを調製し
た。
【0096】この触媒Cは、ルテニウム1.5重量%、残
部アルミナからなり、比表面積206m2 /g、破壊強
度26kg、CO吸着量2.65mL/g(STP)、ル
テニウム分散性79.1%であった。
【0097】触媒Cの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Cを用いて行なったメタン化反応の結果を
表1に示す。
【0098】実施例4 実施例1と同じ活性アルミナ粉末50.0gと酒石酸(関
東化学製)粉末7.5gを用いた以外は、実施例1と同様
にして、担体ペレットを調製した。この担体ペレット
は、比表面積は226m2 /g、細孔容積0.40mL/
gであった。
【0099】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物1.41gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を40℃、還元温度を200℃と
した以外は、実施例1と同様にして、触媒Dを調製し
た。
【0100】この触媒Dは、ルテニウム2.8重量%、残
部アルミナからなり、比表面積210m2 /g、破壊強
度25kg、CO吸着量4.82mL/g(STP)、ル
テニウム分散性78.0%であった。
【0101】触媒Cの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Dを用いて行なったメタン化反応の結果を
表1に示す。
【0102】実施例5 実施例1と同じ活性アルミナ粉末50.0gと安息香酸
(関東化学製)粉末10.0gを用いた以外は、実施例1
と同様にして、担体ペレットを調製した。この担体ペレ
ットは、比表面積228m2 /g、細孔容積0.39mL
/gであった。
【0103】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物1.78gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を80℃、還元温度を450℃と
した以外は、実施例1と同様にして、触媒Eを調製し
た。
【0104】この触媒Eは、ルテニウム3.5重量%、残
部アルミナからなり、比表面積213m2 /g、破壊強
度26kg、CO吸着量4.72mL/g(STP)、ル
テニウム分散性61.0%であった。
【0105】触媒Eの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Eを用いて行なったメタン化反応の結果を
表1に示す。
【0106】実施例6 実施例1と同じ活性アルミナ粉末50.0gとクエン酸一
水和物(関東化学製)粉末12.5gを用いた以外は、実
施例1と同様にして、担体ペレットを調製した。この担
体ペレットは、比表面積229m2 /g、細孔容積0.4
0mL/gであった。
【0107】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物2.04gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を100℃、還元温度を500℃
とした以外は、実施例1と同様にして、触媒Fを調製し
た。
【0108】この触媒Fは、ルテニウム3.5重量%、残
部アルミナからなり、比表面積218m2 /g、破壊強
度27kg、CO吸着量5.44mL/g(STP)、ル
テニウム分散性61.9%であった。
【0109】触媒Fの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Fを用いて行なったメタン化反応の結果を
表1に示す。
【0110】実施例7 実施例1と同じ活性アルミナ粉末49.0gとサリチル酸
粉末1.5gと酸化マグネシウム(和光純薬製)粉末1.0
gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担体ペレッ
トを調製した。この担体ペレットは、比表面積184m
2 /g、細孔容積0.35mL/gであった。
【0111】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物0.25gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を100℃、還元温度を80℃と
した以外は、実施例1と同様にして、触媒Gを調製し
た。
【0112】この触媒Gは、ルテニウム0.6重量%、酸
化マグネシウム2.0重量%、残部アルミナからなり、比
表面積173m2 /g、破壊強度28kg、CO吸着量
1.08mL/g(STP)、ルテニウム分散性87.8%
であった。
【0113】触媒Gの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Gを用いて行なったメタン化反応の結果を
表2に示す。
【0114】実施例8 実施例1と同じ活性アルミナ粉末48.5gとリンゴ酸粉
末2.5gと酸化バリウム(和光純薬製)粉末1.5gを用
いた以外は、実施例1と同様にして、担体ペレットを調
製した。この担体ペレットは、比表面積198m2
g、細孔容積0.38mL/gであった。
【0115】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物0.64gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を90℃、還元温度を160℃と
した以外は、実施例1と同様にして、触媒Hを調製し
た。
【0116】この触媒Hは、ルテニウム1.3重量%、酸
化バリウム3.0重量%、残部アルミナからなり、比表面
積189m2 /g、破壊強度29kg、CO吸着量2.4
2mL/g(STP)、ルテニウム分散性84.2%であ
った。
【0117】触媒Hの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Hを用いて行なったメタン化反応の結果を
表2に示す。
【0118】実施例9 実施例1と同じ活性アルミナ粉末48.5gと酒石酸粉末
5.0gと酸化セリウム(CeO2 、関東化学製、以下、
同じ)粉末1.5gを用いた以外は、実施例1と同様にし
て、担体ペレットを調製した。この担体ペレットは、比
表面積212m 2 /g、細孔容積0.39mL/gであっ
た。
【0119】実施例1において、この担体ペレット22
gを三塩化ルテニウム一水和物0.74gを含む水25m
Lに浸漬し、乾燥温度を60℃、還元温度を200℃と
した以外は、実施例1と同様にして、触媒Iを調製し
た。
【0120】この触媒Iは、ルテニウム1.5重量%、酸
化マグネシウム3.0重量%、残部アルミナからなり、比
表面積198m2 /g、破壊強度28kg、CO吸着量
2.51mL/g(STP)、ルテニウム分散性77.0%
であった。
【0121】触媒Iの性状と共に、実施例1と同様にし
て、この触媒Iを用いて行なったメタン化反応の結果を
表2に示す。
【0122】実施例10 実施例1と同じ活性アルミナ粉末46.1gと酒石酸粉末
7.5gと酸化セリウム(CeO2 、関東化学製)粉末3.
9gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担体(ペ
レット)を調製した。この担体ペレットは、比表面積2
13m2 /g、細孔容積0.37mL/gであった。
【0123】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物1.41gを含む水2
5mLに浸漬し、乾燥温度を40℃、還元温度を400
℃とした以外は、実施例1と同様にして、触媒Jを調製
した。
【0124】この触媒Jは、ルテニウム2.7重量%、酸
化セリウム7.5重量%、残部アルミナからなり、比表面
積201m2 /g、破壊強度28kg、CO吸着量4.5
6mL/g(STP)、ルテニウム分散性75.0%であ
った。
【0125】触媒Jの性状と共に、触媒Jを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表2に示す。
【0126】実施例11 実施例1と同じ活性アルミナ粉末44.8gと安息香酸粉
末10.0gと酸化イットリウム(Y23、添川化学製)
粉末5.2gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担
体ペレットを調製した。この担体ペレットは、比表面積
216m2 /g、細孔容積は0.39mL/gであった。
【0127】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物1.78gを含む水2
5mLに浸漬し、乾燥温度を80℃、還元温度を450
℃とした以外は、実施例1と同様にして、触媒Kを調製
した。
【0128】この触媒Kは、ルテニウム3.3重量%、酸
化イットリウム10.0重量%、残部アルミナからなり、
比表面積203m2 /g、破壊強度27kg、CO吸着
量4.38mL/g(STP)、ルテニウム分散性60.0
%であった。
【0129】触媒Kの性状と共に、触媒Kを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表2に示す。
【0130】実施例12 実施例1と同じ活性アルミナ粉末39.6g、クエン酸粉
末12.5gと酸化ランタン(La23、和光純薬製)粉
末10.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担
体ペレットを調製した。この担体ペレットは、比表面積
218m2 /g、細孔容積0.39mL/gであった。
【0131】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物2.04gを含む水2
5mLに浸漬し、乾燥温度を100℃、還元温度を50
0℃とした以外は、実施例1と同様にして、触媒Lを調
製した。
【0132】この触媒Lは、ルテニウム3.9重量%、酸
化ランタン20.0重量%、残部アルミナからなり、比表
面積209m2 /g、破壊強度26kg、CO吸着量5.
16mL/g(STP)、ルテニウム分散性60.0%で
あった。
【0133】触媒Lの性状と共に、触媒Lを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表2に示す。
【0134】比較例1実施例1と同じ活性アルミナ粉末
50.0gを用いて、実施例1と同様にして、3.2mm径
のペレットに打錠成形し、焼成して、比表面積153m
2 /g、細孔容積0.32mL/gの担体ペレットを得
た。
【0135】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物0.75gを含む水2
5mLに浸漬し、乾燥温度を60℃、還元温度を200
℃とした以外は、実施例1と同様にして、触媒Mを調製
した。
【0136】この触媒Mは、ルテニウム1.5重量%、残
部アルミナからなり、比表面積148m2 /g、破壊強
度27kg、CO吸着量1.88mL/g(STP)、ル
テニウム分散性58.1%であった。
【0137】触媒Mの性状と共に、触媒Mを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表3に示す。
【0138】比較例2 実施例1と同じ活性アルミナ粉末50.0gと酒石酸粉末
2.5gを用いた以外は、実施例1と同様にして、3.2m
m径のペレットに打錠成形し、焼成して、比表面積20
1m2 /g、細孔容積0.35mL/gの担体ペレットを
得た。
【0139】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物0.75gを含む水2
5mLに浸漬し、アルカリ水溶液を用いるルテニウムの
不溶・固定化を行なうことなく、乾燥温度を40℃、還
元温度を200℃とした以外は、実施例1と同様にし
て、触媒Nを調製した。
【0140】この触媒Nは、ルテニウム1.5重量%、残
部アルミナからなり、比表面積195m2 /g、破壊強
度26kg、CO吸着量0.62mL/g(STP)、ル
テニウム分散性18.9%であった。
【0141】触媒Nの性状と共に、触媒Nを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表3に示す。
【0142】比較例3 実施例1と同じ活性アルミナ粉末50.0gと酒石酸粉末
7.5gを用いた以外は、実施例1と同様にして、3.2m
m径のペレットに打錠成形し、焼成して、比表面積22
1m2 /g、細孔容積0.35mL/gの担体ペレットを
得た。
【0143】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物1.41gを含む水2
5mLに浸漬し、乾燥温度を60℃とし、還元操作を行
なわなかった以外は、実施例1と同様にして、触媒Pを
調製した。
【0144】この触媒Pは、ルテニウム2.8重量%、残
部アルミナからなり、比表面積215m2 /g、破壊強
度24kg、CO吸着量1.53mL/g(STP)、ル
テニウム分散性25.0%であった。
【0145】触媒Pの性状と共に、触媒Pを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表3に示す。
【0146】比較例4 実施例1と同じ活性アルミナ粉末48.5gと酸化セリウ
ム粉末1.5gを用いて、実施例1と同様にして3.2m
m径のペレットに打錠成形し、焼成して、比表面積14
5m2 /g、細孔容積0.28mL/gの担体ペレットを
得た。
【0147】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物0.75gを含む水2
5mLに浸漬し、乾燥温度を60℃、還元温度を200
℃とした以外は、実施例1と同様にして、触媒Qを調製
した。
【0148】この触媒Qは、ルテニウム1.5重量%、酸
化セリウム3.1重量%、残部アルミナからなり、比表面
積139m2 /g、破壊強度32kg、CO吸着量1.8
6mL/g(STP)、ルテニウム分散性56.8%であ
った。
【0149】触媒Qの性状と共に、触媒Qを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表3に示す。
【0150】比較例5 実施例1と同じ活性アルミナ粉末48.5gと酒石酸粉末
2.5gと酸化セリウム粉末1.5gを用いた以外は、実施
例1と同様にして、3.2mm径のペレットに打錠成形
し、焼成して、比表面積201m2 /g、細孔容積0.3
8mL/gの担体ペレットを得た。
【0151】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物0.75gを含む水2
5mLに浸漬し、アンモニア水を用いるルテニウムの不
溶・固定化を行なうことなく、乾燥温度を40℃、還元
温度を200℃とした以外は、実施例1と同様にして
触媒Rを調製した。
【0152】この触媒Rは、ルテニウム1.5重量%、酸
化セリウム3.0重量%、残部アルミナからなり、比表面
積190m2 /g、破壊強度28kg、CO吸着量0.5
8mL/g(STP)、ルテニウム分散性17.9%であ
った。
【0153】触媒Rの性状と共に、触媒Rを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表3に示す。
【0154】比較例6 実施例1と同じ活性アルミナ粉末46.1gと酒石酸粉末
7.5gと酸化セリウム粉末3.9gを用いた以外は、実施
例1と同様にして、3.2mm径のペレットに打錠成形
し、焼成して、比表面積209m2 /g、細孔容積0.3
2mL/gの担体ペレットを得た。
【0155】実施例1と同様にして、この担体ペレット
22gを三塩化ルテニウム一水和物1.41gを含む水2
5mLに浸漬し、乾燥温度を60℃とし、還元操作を行
なわなかった以外は、実施例1と同様にして、触媒Tを
調製した。
【0156】この触媒Tは、ルテニウム2.8重量%、酸
化セリウム7.5重量%、残部アルミナからなり、比表面
積203m2 /g、破壊強度27kg、CO吸着量1.4
0mL/g(STP)、ルテニウム分散性22.9%であ
った。
【0157】触媒Tの性状と共に、触媒Tを用いて行っ
た実施例1と同様のメタン化反応の結果を表3に示す。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
【表3】
【0161】表において、第三成分とは、前記(c) 成分
としての酸化物であり、オキシ酸の配合量とは、活性ア
ルミナ担体中、アルミナ100重量部に対する重量部数
である。
【0162】表1から3にみられるように、触媒の調製
に際して、オキシ酸を用いない比較例1と比較例4によ
れば、ルテニウムの分散性は、高々、57〜58%であ
るところ、本発明に従って、触媒の調製に際して、オキ
シ酸を用いることによって、ルテニウムの分散性は60
〜89%にまで改善されており、また、比表面積につい
ても、比較例1及び比較例4では、139〜148m2
/gであるところ、本発明によれば、180〜218m
2 /gまで、改善されている。このように、触媒の調製
に際して、オキシ酸を用いることによって、得られる触
媒は、多孔性が改善される結果、ルテニウムの分散性が
向上している。比較例1及び比較例4では、活性点量は
十分であるといえるが、上述したように、比表面積とル
テニウム分散性が小さいので、水素の転化率が低い。
【0163】比較例2と比較例5は、担体ペレットを三
塩化ルテニウムの水溶液に浸漬した後、アルカリ水溶液
によるルテニウムの不溶・固定化を行なうことなく、水
素還元処理を行なって、触媒を調製したものである。担
体ペレットに担持されたルテニウムが還元され難い塩化
物や酸化物の場合には、水素還元処理を経ても、ルテニ
ウムイオンは金属ルテニウムに還元され難く、加えて、
ルテニウム種は相当密に存在していることが窺え、これ
らにおいては、CO吸着量が小さく、ルテニウム活性点
量が少なく、従って、金属ルテニウムの分散性が低い。
ルテニウムの分散性は18%である。
【0164】比較例3及び比較例6では、比表面積は高
いが、ルテニウム分散性が低いので、比較例1及び水酸
化4と同様、水素の転化率が低い。
【0165】更に、比較例2、3、5及び6において
は、40時間の反応の後には、二酸化炭素がメタン化さ
れていない。
【0166】これに対して、本発明によれば、担体ペレ
ットに三塩化ルテニウムを担持させた後、これをアルカ
リ水溶液で処理して、金属まで容易に還元される水酸化
ルテニウム(Ru(OH)3)として、ルテニウムを担体
ペレット上に不溶・固定化し、更に、このようルテニウ
ムの不溶・固定化の際に、塩素イオンが可溶性塩(塩化
アンモニウム)として担体ペレットから除去されるの
で、得られる触媒には、残存塩素の影響も殆どなく、金
属ルテニウムの高分散性を実現することができる。
【0167】しかし、ルテニウムが担体ペレット上に還
元されやすい水酸化ルテニウムの形で担持されていて
も、その後に水素還元処理を行なわなければ、金属ルテ
ニウムへの還元が行なわれず、得られる触媒は、ルテニ
ウム分散性が低く、また、メタン化反応に用いても、高
い転化率を得ることはできない。
【0168】更に、実施例1〜6と実施例7〜12を比
較すれば明らかなように、原料中に硫化水素が存在して
いても、触媒が2族、3族又はランタノイド金属の酸化
物を有するときは、金属ルテニウムの硫化水素被毒が起
こり難く、従って、炭素析出をよく抑えることができ
る。即ち、触媒が2族、3族又はランタノイド金属の酸
化物を有するときは、これらが硫黄化合物を吸着、吸収
し、触媒の活性点を保護して、転化率を高く維持するも
のとみられる。
【0169】但し、実操業において、原料に硫黄化合物
が含まれない場合には、特に、2族、3族又はランタノ
イド金属の酸化物を触媒に配合する必要はない。実施例
7〜12を実施例1〜6と比較すれば明らかなように、
2族、3族又はランタノイド金属の酸化物を触媒に加え
ることによって、これらが触媒の多孔質化や金属ルテニ
ウムの分散性を妨げる効果を有しているためであるとみ
られるが、金属ルテニウムの分散性や、反応における転
化率が若干低下するからである。
【0170】このように、本発明によれば、実用レベル
の強度を持たせた担体に所望量のルテニウムを高分散担
持させることができると共に、必要に応じて、担体に硫
黄化合物を吸着、吸収する機能を持たせることができ
る。
【0171】従って、本発明による触媒を用いれば、一
酸化炭素及び二酸化炭素を含有するガスのメタン化反応
を長期間にわたって安定して行なうことができる。ま
た、本発明の触媒によれば、活性点が十分に多く存在す
るので、運転条件の変動やプラントのシャットダウン等
に対しても、問題なく、対応することができる。
【0172】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、実用レ
ベルの強度を有すると共に、耐硫黄被毒性と耐炭素析出
性を兼ね備えた触媒を得ることができるので、一酸化炭
素及び二酸化炭素を含有するガスのメタン化を行なう工
業的プロセスにおいて、すぐれた反応成績を長期間、安
定して持続させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 1/04 C07C 1/12 1/12 9/04 9/04 C07B 61/00 300 // C07B 61/00 300 B01J 23/56 301Z (72)発明者 桜井 敬久 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 鈴木 崇 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 吉成 知博 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 酸化アルミニウム又はその前駆体と
    (b) オキシ酸とを400〜600℃で焼成して得られた
    活性アルミナ担体に、ルテニウムを0.5〜4重量%担持
    させ、アルカリ水溶液にて不溶・固定化した後、80〜
    500℃で還元処理して得られるメタン化触媒。
  2. 【請求項2】活性アルミナ担体が周期律表第2族、第3
    族及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の
    酸化物を含む請求項1に記載のメタン化触媒。
  3. 【請求項3】活性アルミナ担体が比表面積150m2
    g以上、細孔容積0.2〜0.4mL/gを有する請求項1
    又は2に記載のメタン化触媒。
  4. 【請求項4】ルテニウム分散性が60%以上である請求
    項1から3のいずれかに記載のメタン化触媒。
  5. 【請求項5】触媒上への一酸化炭素吸着量が50℃にお
    いて標準状態換算で0.95mL/g以上である請求項1
    から4のいずれかに記載のメタン化触媒。
  6. 【請求項6】(a) 酸化アルミニウム又はその前駆体と
    (b) オキシ酸とを400〜600℃で焼成して、活性ア
    ルミナ担体を調製し、この担体にルテニウムを0.5〜4
    重量%担持させ、アルカリ水溶液にて不溶・固定化した
    後、80〜500℃で還元処理するメタン化触媒の製造
    方法。
  7. 【請求項7】(a) 酸化アルミニウム又はその前駆体と
    (b) オキシ酸と(c) 周期律表第2族、第3族及びランタ
    ノイド元素から選ばれる少なくとも1種の酸化物又はそ
    の前駆体を400〜600℃で焼成して、活性アルミナ
    担体を調製し、この担体にルテニウムを0.5〜4重量%
    担持させ、アルカリ水溶液にて不溶・固定化した後、8
    0〜500℃で還元処理するメタン化触媒の製造方法。
  8. 【請求項8】活性アルミナ担体が比表面積150m2
    g以上、細孔容積0.2〜0.4mL/gを有する請求項6
    又は7に記載のメタン化触媒の製造方法。
  9. 【請求項9】還元処理に先立ち、100℃以下で乾燥す
    る工程を有することを特徴とする請求項6から8のいず
    れかに記載のメタン化触媒の製造方法。
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