JP3717219B2 - 高分散型水蒸気改質触媒の製造方法および水素製造方法 - Google Patents

高分散型水蒸気改質触媒の製造方法および水素製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気改質触媒の製造方法と水素製造方法に関し、更に詳細には、活性金属であるルテニウムを高分散担持し、しかも実用強度を兼ね備えた水蒸気改質触媒の製造方法、および分子量の高い低廉な灯油等を原料とすることのできる水素製造方法に関する。
【0002】
【技術背景】
炭化水素を原料に水素を製造する方法としては、水蒸気改質法が広く用いられている。
これは、無触媒部分酸化法等に較べて、電力原単位(製品単位量当たりの電力使用量)や設備費が低廉であるためである。
【0003】
従来の水蒸気改質法では、使用される触媒はNi/アルミナ等のニッケル系触媒であり、原料炭化水素は天然ガスからナフサ程度に限られているのが普通であった。
【0004】
ところで、水素の用途は、水添脱硫、間接脱硫、直接脱硫、深度脱硫、芳香族溶媒抽出など石油産業の分野だけでも多岐に亘る。この他にも、一酸化炭素の製造、各種の還元反応などの用途がある。
また、近年、環境保全対策として、ディーゼルエンジンの排気ガス中の窒素酸化物を低減させるために、燃料である軽油中の硫黄分削減が重要となり、水素の需要は高まっている。
更に、大気温暖化の原因物質の一つである二酸化炭素の固定化・再資源化の研究開発も活発に行われており、この技術開発には水素の廉価な供給が不可欠と言われている。
【0005】
従って、水素製造コストを引き下げることは、化学工業に対して経済的な効果を与えることは勿論であるが、この他に環境保全技術の進展に対する寄与も少なくない。
【0006】
水素製造コストを引き下げるためには、原料炭化水素に市場価格の低廉な灯油等の液状炭化水素を用いること、水蒸気改質反応時の次式で表される水蒸気/炭素比(以下、S/C比と記す)を少なくすることが最も有効な方法である。
【0007】
【数2】
S/C比=(反応器に供給される水蒸気のモル数)/{反応器に供給される炭化水素(CnHm)のモル数×n}
【0008】
しかし、液状炭化水素の分子量の増加と共に触媒上への炭素析出が著しくなるため、分子量の高い低廉な灯油等を原料とする場合は、長期連続運転はできない。
【0009】
触媒上への炭素析出を抑制する試みは、従来のアルミナを担体としたニッケル系触媒でも実施されている。
例えば、特開昭50−18378号公報によると、活性助成分として希土類を少量添加する方法が提案されているが、使用できる炭化水素はメタンからブタンまでの軽質留分であり、ナフサ以上の液状炭化水素を用いることはできない。
仮に、それらを用いる場合には、炭素析出を抑制するためにS/C比を相当高く設定しなければならず、運転操作が煩雑になる他、水蒸気原単位(製品単位量当たりの水蒸気使用量)が増加し、経済性に優れた灯油等の液状炭化水素を原料とする利点が失われる。
【0010】
このように、現在まで幅広く用いられてきたニッケル系触媒では、使用できる原料炭化水素の炭素数に限界がある。
このような理由から、灯油等の液状炭化水素を原料とする水蒸気改質による水素製造法の実用化は極めて難しいと言われている。
【0011】
一方、ルテニウム系触媒は、炭素析出抑制効果を保有しているため、ニッケル系触媒より少ないS/C比条件で水蒸気改質反応を行うことができる点で注目されている。
このようなルテニウム系触媒の例としては、アルミナ担体にルテニウムを担持させたもの(例えば、笠岡ら「燃料協会誌」59巻、25頁(1980年)、岡田ら「触媒」35巻、224頁(1993年))、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物に酸化セリウムを担持した担体を用いたもの(特開平4−265156号公報)、ジルコニア担体を使用したもの(特開平2−302304号公報、特開平2−286787号公報)、ルテニウム前駆体にルテニウム酸ナトリウム等のアルカリ塩を使用したもの(特開昭60−227834号公報)等を挙げることができる。
【0012】
しかし、ルテニウム系触媒は、原料中に含まれる硫黄分によって、容易に硫化(被毒)される。
被毒された触媒上には炭素析出が極めて起こり易く、硫黄被毒が炭素析出の引き金になる欠点を有する(例えば、岡田ら「燃料協会誌」68巻、39頁(1989年))。
このように、ルテニウム系触媒は、炭素析出抑制性に秀でていても、原料中の硫黄分による被毒が起こり易く、被毒されれば、この触媒系の最大の長所が失われ、実用上極めて問題になる。
【0013】
ナフサより軽質の炭化水素中に含有される硫黄化合物は脱硫過程で殆ど除去可能であることから余り問題にならないが、灯油等の液状炭化水素は、難脱硫性の硫黄化合物を含むため、硫黄分を完全に除去することは難しい。
従って、これらの炭化水素を原料とする水蒸気改質触媒には、耐炭素析出性の他に耐硫黄被毒性を備えることが強く求められる。
【0014】
このように、従来の水素製造技術にあっては、灯油等の炭化水素を原料とする以上、炭素析出と硫黄被毒を如何に抑制するかという問題を有している。
また、安価に水素を供給するには、市場価格の低廉な灯油等の炭化水素を原料とする外にも、水蒸気原単位を抑制することが重要になる。
この水蒸気原単位の上昇を抑えるためには、現行のS/C比の条件下で灯油等の液状炭化水素の改質反応を実施する必要がある。つまり、現行S/C比の条件で炭素析出を強く抑制することが要求される。
【0015】
これらを満足させるためには、上述のニッケル系触媒等の公知の触媒では不可能であり、またこれらの触媒の多少の改良で対応することも困難である。
上記の要件を全て満たすためには、優れた炭素析出抑制性と耐硫黄被毒性を兼ね備えた触媒、具体的には、充分な強度を持った担体上に、活性金属が高分散担持され、かつシンタリングを防ぐことのできる触媒が待たれるが、現在、そのような触媒は殆ど見当たらない。
【0016】
【発明の目的】
そこで、本発明は、炭素析出を起こし難く、析出しても触媒性能の劣化が少なく、原料中にある程度硫黄分が含有されていても活性低下を起さない触媒、つまり炭素析出抑制性、耐炭素析出性、および耐硫黄被毒性を有し、市場価格の低廉な灯油等の液状炭化水素を用いても長期間連続した水蒸気改質反応を可能にする水蒸気改質触媒の製造方法、および該製造方法より得られる触媒を用いて水素製造を安価に行う方法を提供することを目的とする。
【0017】
【発明の概要】
本発明者らは、上記の目的を達成する触媒として、先に、周期表のII族(以下、「2族」と記す)、III族(以下、「3族」と記す)、ランタノイドの金属のうちの少なくとも1種とアルミナの複合体を担体とし、活性成分であるルテニウムを高分散状態で担持した触媒が適しており、このルテニウム高分散触媒はCO吸着量を指標として選定できるとの知見の下に、特願平7−18642を提案している。
【0018】
さらに、本発明者らの検討の結果、(1)上記複合体を調製する際の原料を特定のものとすれば、60%以上の高い分散性でルテニウムを担持した触媒を得ることができること、すなわち本発明者らによる上記の先願におけるCO吸着量を指標とする選定工程を省略できること、(2)この触媒を用いれば、灯油等の安価な液状炭化水素を原料とし、S/C比を従来のニッケル系触媒を用いたナフサ水蒸気改質と同等レベルの3〜10として水蒸気改質反応を行う場合に、原料炭化水素中に硫黄化合物がある程度残存していても触媒が被毒され難く、触媒上への炭素析出も抑制されること、を見出し、本発明の高分散型水蒸気改質触媒の製造方法および該製造方法により得られる触媒を使用した水素製造方法を提案するに至った。
【0019】
すなわち、本発明の高分散型水蒸気改質触媒の製造方法は、(a)水酸化アルミニウム、(b)周期表2族金属、3族金属およびランタノイド金属よりなる群のうちの少なくとも1種の炭酸塩、および(c)オキシ酸を原料として成型した担体基材を800〜950℃で焼成して得た活性アルミナ複合体担体に、ルテニウムを0.5〜5質量%担持し、600〜950℃で還元処理して得られる触媒のルテニウム分散性60%以上とすることを特徴とする。このとき、アルミナ複合体担体にルテニウムを0.5〜5質量%担持させること、また(b)成分として炭酸セリウムを使用する場合、ルテニウムはセリウムとルテニウムとの原子比が10未満となるように0.5〜5質量%担持させることが好ましい。
【0020】
また、本発明の水素製造方法は、硫黄含有量が0.2ppm以下、芳香族化合物含有量が30容量%以下、炭素数6以上の液状炭化水素からなる原料と水蒸気とを上記の製造方法により得られる触媒に接触させ、前記数2で表されるS/C比を3〜10、LHSVを5h−1以下、反応圧力を2気圧以上に保つことを特徴とする。
【0021】
以下、本発明の詳細を説明する。本発明の水蒸気改質触媒の製造方法においては、担体原料として、(a)水酸化アルミニウム、(b)2族金属、3族金属およびランタノイド金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩、および(c)オキシ酸を使用する。
【0022】
上記(a)成分の水酸化アルミニウムは、アルミナ前駆体として用いるもので、水酸化アルミニウム無水物、水酸化アルミニウム水和物等を用いることができる。
水和物の場合には、そのまま用いてもよいし、予め脱水したものを用いても差し支えないが、取扱いが容易である点から無水物が好ましい。
【0023】
アルミナ前駆体として水酸化アルミニウムを用いる理由は、加熱、焼成段階で水(水蒸気)を発生し、担体を多孔質(porous)にするためである。
【0024】
また、(b)成分中の2族金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが使用できるが、特にマグネシウム、バリウムが好ましい。
3族金属としては、スカンジウム、イットリウム等が使用できるが、特にイットリウムが好ましい。
ランタノイド金属としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム等が使用できるが、特にセリウム、ランタン、イットリウムが好ましい。
これら2族金属、3族金属およびランタノイド金属の炭酸塩は、いずれか1種をそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
上記の2族金属、3族金属およびランタノイド金属を、炭酸塩として用いる理由は、加熱、焼成段階で脱炭酸により炭酸ガスが発生し、坦体の多孔質部分が増大するためである。
【0026】
なお、上記のアルミニウム、あるいは2族、3族、ランタノイドを、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等として用いる場合には、製品触媒中に、これらの陰イオン、硫酸イオン等の陰イオン原子団が残渣(例えば、硫酸根)として残る虞があり、好ましくない。
【0027】
(c)成分のオキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族オキシ酸;サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸、トロバ酸等の芳香族オキシ酸等、種々のオキシ酸;これらオキシ酸のカルボキシル基の一部をメチル化等のアルキル化処理したもの(以下、「アルキル化オキシ酸」と記す);を使用することができる。
これらのオキシ酸やアルキル化オキシ酸(以下、これらをまとめて「オキシ酸」と記すこともある)は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
2種以上混合使用する場合にあっては、脂肪族オキシ酸と芳香族オキシ酸を、脂肪族オキシ酸と脂肪族アルキル化オキシ酸を、脂肪族アルキル化オキシ酸と芳香族アルキル化オキシ酸を、芳香族オキシ酸と芳香族アルキル化オキシ酸を、それぞれ混合して用いても差し支えない。
【0028】
脂肪族オキシ酸、芳香族オキシ酸、アルキル化オキシ酸を用いる理由は、脱炭酸を起こし、担体の多孔質化を促進するためである。
つまり、これらのオキシ酸やアルキル化オキシ酸は、焼成温度以下で、脱炭酸を起こし分解する特性を有しており、この特性を本発明の触媒調製に活かすためである。
なお、オキシ酸のアルキル化(例えばメチル化)を行うことにより、オキシ酸の上記分解温度領域を若干変化させることもできる。
【0029】
担体原料を調製する際には、水酸化アルミニウムと、2族金属、3族金属およびランタノイド金属よりなる群のうちの少なくとも1種の炭酸塩と、オキシ酸とを混合するが、この混合は、アセトン、メタノール、エタノール等の有機溶媒または分散媒中に所定量溶解または分散させて行う。
これらの溶媒、分散媒は、上記のアセトン等に限定されず、ケトン類、芳香族化合物、飽和・不飽和炭化水素、脂環式有機化合物等を用いることもできる。
いずれを用いる場合も、焼成時に炭素塊等の残渣が残らず、またオキシ酸が解離し難いものを選ぶ。
【0030】
なお、(a)水酸化アルミニウム、(b)金属炭酸塩、および(c)オキシ酸の混合順序は、特に限定されない。例えば、(a)水酸化アルミニウムと(b)金属炭酸塩を充分混合しこれに(c)オキシ酸を加え更に混合してもよいし、(a)水酸化アルミニウムと(c)オキシ酸を充分混合しこれに(b)金属炭酸塩を加え更に混合してもよいし、また(b)金属炭酸塩と(c)オキシ酸を充分混合しこれに(a)水酸化アルミニウムを加えて更に混合してもよい。
【0031】
なお、上記担体原料には、本発明を損なわない範囲内で、他の金属酸化物など、他成分を添加することを妨げない。
【0032】
上記の担体原料は、担体基材に成型する。
この成型に際し、担体原料が溶媒または分散媒を含んでいる場合は、溶媒または分散媒を完全に除去することが好ましく、通常、常圧または減圧で常温または加熱下の乾燥を行う。
加熱乾燥する場合の温度は、特に制限はないが、100℃前後で行うことが好ましい。
【0033】
また、担体基材の成型に先立ち、担体原料は均一に混合し、細かい粉体にするのが好ましい。
このとき、50メッシュ、好ましくは100メッシュ、更に好ましくは200メッシュの篩を通過するものが適している。
【0034】
担体基材の成型は、加圧成型、押出成型等種々の成型方法が適応できるが、加圧成型が好ましい。
加圧成型には、打錠成型、射出成型、プレス成型等が挙げられるが、水蒸気改質反応の行われる条件を考慮すると打錠成型が特に好ましい。
【0035】
担体基材の形状は、球状、楕円球状、紡錘状、角柱状、円柱状、中空状、打錠状、針状等の各種粒状体;膜等;各種の形状でよく、特に限定されるものではないが、一般の水蒸気改質触媒に用いられるような円柱状、中空状、打錠状のものとするのがよい。
【0036】
成型した担体基材は、空気中で焼成して活性アルミナ複合体担体となる。
焼成温度は、800〜950℃、好ましくは850〜930℃、より好ましくは870〜900℃である。
焼成時間は、通常、3〜20時間である。
焼成中には、水、炭酸ガス等が発生するため、排気することが好ましい。
なお、50g前後の少量の担体基材を焼成するときには、排気は必ずしも必要ではないが、それを超える場合には、排気することが必要となる。
【0037】
焼成の間に水酸化アルミニウムの分解・酸化、2族,3族,ランタノイド金属炭酸塩の脱炭酸・酸化、およびオキシ酸の脱炭酸・熱分解が起こり、炭酸ガス、水蒸気が発生する。これらの気体が担体から放出される際に、担体の多孔性が高まる。さらに、焼成の間に担体原料が酸化され、多孔質のアルミナと2族,3族,ランタノイド金属酸化物との複合体(すなわち、本発明の触媒の担体)が形成される。
【0038】
担体中の2族,3族,ランタノイド金属酸化物の含有量は、触媒基準で3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは7〜20質量%が適している。
3質量%未満では、耐硫黄性に関して効果が少なくなり、従って炭素析出を起こし易くなり、長期間連続して安定な触媒活性を持続することができなくなる虞がある。すなわち、3質量%以上であれば、水蒸気改質原料中の硫黄化合物は担体に吸着・吸収されるため、活性成分であるルテニウムの被毒が起こり難くなり、触媒寿命が長くなる。
一方、30質量%を超過すると、相対的にアルミナの含有量が低下するため、表面積の減少、機械的強度の低下の外、触媒の原料コストが上昇する。
【0039】
担体中のオキシ酸の含有量は、1〜70質量%、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは7〜50質量%が適している。
1質量%未満では、担体の多孔質化が充分でなくなり、ルテニウムの分散性を向上させる効果が乏しくなるばかりか、触媒表面での2族,3族,ランタノイド金属酸化物の露出が少なくなり、硫黄化合物が担体に充分吸着・吸収されなくなるため、耐硫黄被毒性、ひいては耐炭素析出性が損なわれる傾向となる。
逆に、70質量%を超過する場合には、マクロ孔の存在が顕著になり、機械的強度が充分に保てなくなったり、焼成の際にオキシ酸が充分に分解せず、カーボン塊が生じる可能性が高くなる。
【0040】
上記担体にルテニウムを担持する方法は、含浸法等の公知の方法でよい。
このときのルテニウムは、三塩化ルテニウム無水物、三塩化ルテニウム水和物、硝酸ルテニウム等を前駆体として用いることができるが、溶解性、取扱いの容易さから三塩化ルテニウム一水和物を用いるのが特に好ましい。
【0041】
ルテニウムの担持量は、0.5〜5質量%である。
0.5質量%未満では、分散性は向上するが、活性点の数が少なくなり過ぎ、5質量%を超過しても、それに見合う活性向上は得られない。これは、ルテニウムが多くなり過ぎて分散性の低下が著しくなり、担持ルテニウムのうち活性点になり得ないものの割合が増加するためと考えられる。
【0042】
(b)成分としてセリウムを使用する場合、セリウムとルテニウムの原子比(以下、「Ce/Ru比」と記すこともある)は、10未満好ましくは2〜9.9とすることが好ましい。
これは、Ce/Ru比が2未満であると、水蒸気改質(水素製造)原料中に含まれる硫黄分の担体での吸着・吸収が不充分となり、残存硫黄分によるルテニウムの被毒が起こるのみならず、触媒上に炭素析出が起こることがある。
逆に、Ce/Ru比が10以上であると、セリウムに対するルテニウム量が少なくなり過ぎる結果、充分に安定した触媒活性を得られなくなる虞がある。
【0043】
担体にルテニウムを担持させる方法を一例を挙げて説明する。
先ず、担体を秤量し、ビュレットから純水を滴下し、担体内部まで充分含水させ、担体の飽和含水量を計測する。この操作では、担体内部まで充分含水させることが重要である。
次に、計測した飽和含水量と同量の純水に所定量のルテニウムが含有するように、塩化ルテニウム一水和物の水溶液を調製し、これを担体にその飽和含水量分だけ吸収させる。
その後、担体に5〜10Nアンモニア水を担持ルテニウム濃度に対して大過剰量になるよう滴下し、下式に示すように、ルテニウム塩化物を水酸化物に変換させて、ルテニウムを不溶・固定化させる。
【0044】
【化1】
RuCl+3NHOH→Ru(OH)+3NHCl
【0045】
この際、化1に示したように、塩素アニオンは水溶性の塩化アンモニウムの形になるため、洗浄の過程で脱塩素を効果的に行うことができる。
洗浄は、純水をブフナー漏斗上の試料に充分加えて行う。洗浄液の一部に希硝酸銀水溶液を滴下し、塩化銀の白濁が生じなくなるまで、洗浄を行えば良い。
【0046】
ルテニウムを固定化した担体は、希ガス、窒素ガス等の不活性ガス流通下、減圧若しくは常圧で乾燥する。
乾燥温度は、200℃未満、好ましくは150℃未満、より好ましくは100℃以下である。
特に、常圧乾燥では、100℃以下、好ましくは50℃以下である。
【0047】
乾燥温度が高過ぎると、水酸化ルテニウムの一部が酸化されるため、還元処理の際に酸化状態が均一にならない虞があり、ルテニウムの分散性にも悪影響を与えることが懸念される。
つまり、酸化物の生成を極力避けることが望ましい。
この点では、乾燥温度は低いほど良いが、乾燥時間が非常に長くなるため現実的ではなく、通常、下限は室温程度である。
【0048】
ルテニウムの不溶・固定化には、上記のようにアンモニア水を用いることができるが、この他にも炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を用いることができる。
ただし、これらアルカリ塩の場合、アルカリ金属カチオンが残存する虞があるので、取扱いの容易さからアンモニア水が好ましい。
【0049】
担持ルテニウムの還元は600℃以下でも生じるが、水蒸気改質反応中の熱履歴を極力抑え、安定した触媒活性を保持させるためには600〜950℃で行うことが好ましい。
この観点から、なるべく反応温度領域付近で還元させることが理にかなっており、700〜900℃で行うのが好ましい。
また、触媒調製後、何らかの理由で、担持ルテニウムが酸化されるような場合には、酸化ルテニウムは還元され難いことから、800〜900℃で還元を行うのが最も好ましい。
【0050】
950℃を超える高温で還元すると、ルテニウム金属の凝集による金属表面積の減少の外、担体の細孔の閉塞、あるいはアルミナのα相への転移が起こり始めるため、反応活性は著しく低下する。
【0051】
還元ガスとしては、純水素、水素・水蒸気混合ガス、一酸化炭素等を用いることができるが、中でも純水素ガス、水素・水蒸気混合ガスを用いるのがよく、特に純水素ガスを用いるのがよい。
【0052】
このようにして調製される触媒は、水素製造を目的とした上記の反応温度領域であっても、担持ルテニウムの分散性が60%以上と極めて優れた値を示す。これは、触媒表面上のルテニウム金属活性点が多いだけでなく、複合体担体も充分触媒表面に露出していることを意味する。従って、水蒸気改質原料中に含まれる硫黄分は、効果的に担体側に吸収・吸着される。仮に、一部のルテニウムが被毒された場合でも、活性点が多いため、触媒性能は損なわれ難い。
【0053】
なお、一般に、600℃を越える温度領域、特に800℃以上の領域では、触媒の焼結(シンタリング)が著しくなる。このシンタリングは、少なくとも担体自体のシンタリングおよび担持金属のシンタリングの2種である。
前者の担体自体のシンタリングが生じると、担体の多孔性が失われる等の担体側の要因によって活性金属が凝縮したり、担体が触媒表面に露出しなくなることがある。後者の担持金属のシンタリングは、担持金属が溶融することによって生じ、これは融点の低い金属でより顕著となる。
これらから、予め、強度を損なわない範囲で担体の多孔性を高めておくこと、反応温度に比べて融点の高い活性金属を選んでおくことが触媒のシンタリングを防止する上で重要であると言える。
ルテニウムの融点は約2450℃と高いことから、担体を多孔質にすれば、高温領域でもルテニウム分散性の低下を防ぐことができることになる。
本発明の触媒は、前述の特定の手法により、強度を損なわない範囲内で高多孔性の活性アルミナ複合体を得、これを担体とするため、水素製造を目的とした上記温度領域であっても、担持ルテニウムの分散性が60%以上と極めて高い値を示す。
なお、ルテニウムの分散性は、下式により求められる。
【0054】
【数3】
Ru分散性(%)=(吸着COモル数/Ruモル数)×100
【0055】
すなわち、COが金属Ru(Ru)に選択的に吸着する性質を利用し、触媒中に含まれるRuの内、実際の触媒反応に関与できる活性点(Ru)の割合を百分率で示したものである。
従って、シンタリング等によって触媒内部(バルク)に隠れたRuや、金属の凝縮により表面に露出できないRuがあれば、COの吸着は生じず、分散性の数値は低くなる。
【0056】
本発明の製造方法により得られる触媒では、2質量%のRuのうち60%以上が反応に寄与できる活性点になっている。これは、触媒表面上に数多くの活性点が存在していること、また担体の多孔性も充分高いことを意味しており、活性点が多数存在していることを示すと共に、複合体担体が充分触媒表面に露出していることを示している。従って、触媒によれば、原料中に含まれる硫黄分は効果的に担体側に吸収・吸着されるために活性点であるルテニウムの被毒は起こり難い。仮に一部のルテニウムが被毒された場合でも、活性点が多数存在しているため、触媒性能は損なわれ難い。逆に、ルテニウムの分散性が60%未満であると、活性点数が少ないため、見かけの反応速度は低下する。従って、原料供給量を減らすか、反応温度を高くするか、あるいは原料供給量を減らしかつ反応温度を高くする等の対策が必要となるが、いずれの対策も実用的ではない。
【0057】
このような本発明の製造方法により得られる触媒は、充分な機械強度を有することは勿論のこと、耐硫黄性にも優れ、平衡転化率に近い良好な反応成績を示す。従って、硫黄化合物の完全除去が難しい灯油等の液状炭化水素の水蒸気改質に関し、実用性の高い触媒である。
【0058】
以上の本発明の製造方法により得られる触媒を用いて液状炭化水素を水蒸気改質させ、水素含有気体を製造するには、硫黄含有量が0.2ppm以下、かつ芳香族化合物含有量が30容量%以下であり、平均炭素数6以上の液状炭化水素を原料として用いる。
【0059】
硫黄含有量が0.2ppmを超過する場合には、硫黄化合物による触媒被毒が起こり易くなり、一旦硫黄被毒が起こると、それが引き金となって炭素析出が顕著になって、差圧の上昇や触媒床の閉塞等による運転上の問題が起こるようになる。
【0060】
芳香族化合物含有量については、これによる触媒性能への悪影響はないが、反応器出口での水素含有量が、原料中の芳香族化合物含有量の増加と共に減少する。これは、原料液状炭化水素のH/C原子比が小さく、水素源が相対的に少なくなるためである。従って、実用上、芳香族化合物含有量の上限を30容量%とするものである。
【0061】
炭素数が6未満であると、原料コストが高くなる。つまり、炭素数6以上の安価な液状炭化水素、具体的には、灯油や灯油相当の鉱油を原料として用いることが、プロセス全体の経済性を高める上で重要である。
【0062】
反応条件は、S/C比3〜10、LHSV5h−1以下、反応圧力2気圧以上とする。
S/C比が3未満では、炭素析出が著しくなり、差圧の上昇、触媒床の閉塞が生じ連続運転が厳しくなる。S/C比が高い場合には特に問題はないが、10を超えると、水蒸気原単位が上昇し、運転コストが高騰する。
【0063】
LHSVが5h−1を超えると、触媒の失活は起こらないものの、触媒と原料が充分接触しない虞がある。すなわち、触媒の活性点での反応頻度(turn over frequency:TOF)を上回る原料が供給されてしまうためである。
【0064】
反応圧力は2気圧以上であれば、特に問題はない。一定量の触媒層に単位時間当たり供給できる原料量は、圧力に依存し、圧力2気圧未満では原料供給に制約が生ずる。
なお、圧力が極端に高い場合には、高価な耐高圧・高温性を有する材料を用いた設備が必要となるため、通常、50気圧程度が上限となる。
【0065】
以上の反応条件において、反応温度は、750〜900℃とすることが好ましい。反応温度が下がると、化学平衡上生成する水素分が減少するため、750℃未満では水素収率が小さくなる。一方、900℃を超えると、触媒の熱劣化が懸念されるだけでなく、反応器等の材質として耐熱性に優れた材料を採用する必要が生じる。
【0066】
なお、本発明の方法は、通常の水蒸気改質反応器をそのまま使用して実施できる。
【0067】
【実施例】
以下の実施例において、水蒸気改質反応は、実験室規模の固定床流通式装置を用い、生成物の分析には、活性炭(GL−サイエンス社製)を充填した分離カラム(GLサイエンス社製)を取り付けた熱伝導度型検出器(TCD)付きのガスクロマトグラフ(GC−8A、島津製作所製)を使用した。
【0068】
触媒の一酸化炭素吸着量は、TCD−GCを内蔵した自動ガス吸着装置(R−6015型、大倉理研製)を用いて測定した。
【0069】
液状炭化水素中の硫黄分の定量は、電気伝導度法で測定し、触媒への析出炭素量は、炭素分析装置(Model EMIA−110,堀場製作所製)で測定して、標準炭素鋼((社)日本鉄鋼協会、標準炭素鋼、C:0.38wt%)で校正した。
原料灯油の平均分子式は、CHN法で得られた水素、炭素含有量を基に、C14とした。
【0070】
《実施例1》
炭酸セリウム八水和物(関東化学製)粉末17.5g、水酸化アルミニウム無水物(関東化学製)61.2g、および酒石酸(和光純薬工業製)粉末5.5gをメノウ乳鉢にて充分混合した。
この粉末(200メッシュ通過)を打錠成型器にて円柱状(pellet)に成型し、マッフル炉を用い空気中900℃で3時間焼成して担体ペレットを得た。なお、焼成中に発生したガスは、マッフル炉に排気管を設け、水流ポンプを使用してドラフトチャンバー内に排気した。
【0071】
三塩化ルテニウム一水和物(三津和化学製、純度44〜45%)1gを水に溶解して25ミリリットル(以下、「mL」と記し、リットルを「L」と記す)とし、この水溶液中に上記の担体ペレット25gを1時間浸漬した。
【0072】
水溶液から引き上げたペレットを、残液除去の後、ロータリーエバポレーターによる約2.7kPa(20torr)程度の真空下で、赤外線式ホットプレートにより40〜45℃に加温しながら、水分を除去した。
このペレットを、約1Lの7〜10Nアンモニア水中に移して30℃に保ちつつ2時間スターラーにてゆっくり撹拌し、化1に示したように、ルテニウムを水酸化物にすることで不溶・固定化して、触媒を得た。
触媒は、ブフナー漏斗を用いてアンモニア水中から回収した。
【0073】
こうして得た触媒は、純水で充分洗浄した。洗浄は、濾液の一部に希硝酸銀水溶液を滴下し、塩化銀の白濁が生じなくなるまで行った。
洗浄した触媒は、真空乾燥器中40〜45℃で8〜10時間乾燥し、ルテニウム1.5質量%、酸化セリウム20.2質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比7.9の触媒Aを調製した。
【0074】
このようにして得た触媒A10mLを、通常の加圧流通系反応装置により、先ず、圧力0.78MPa(8kg/cmG)、還元温度800℃、GHSV:900h−1で、8時間、マスフローコントローラーで流量調節した水素で還元した。
水素還元後のCO吸着量を自動ガス吸着装置で測定したところ、2.5mL/g(STP)であり、Ru分散性は数3の式を用いて計算した結果、75.2%であった。
触媒Aの以上の性状を表1にまとめて示した。
【0075】
上記の水素還元後、JIS1号灯油を深度脱硫した脱硫白灯油(硫黄分約0.2ppm,芳香族化合物分20容量%)を、灯油送液ポンプで、LHSV:2h−1、S/C比:3で通油し、純水を水ポンプで給水した。
なお、耐硫黄被毒性を評価する意味で、硫化水素を反応系内に導入し、その濃度は8ppmに調節した。
反応圧力は0.78MPa、反応温度は800℃とした。結果は表2に示す通りであった。
【0076】
《実施例2》
炭酸マグネシウム(和光純薬工業)粉末41.8g、水酸化アルミニウム無水物61.1g、および酒石酸5.5gを用いて実施例1と同様にして、ルテニウム1.5質量%、酸化マグネシウム21.2質量%、残りアルミナからなるMg/Ru原子比35.4の触媒Bを調製した。
触媒Bについて、実施例1と同様にして測定したCO吸着量は2.19mL/g(STP)で、Ru分散性は66.0%であった。
触媒Bの性状を表1にまとめて示した。
触媒Bを用い実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0077】
《実施例3》
炭酸イットリウム二水和物(和光純薬工業)粉末34.9g、水酸化アルミニウム無水物61.2g、および酒石酸5.6gを用いて実施例1と同様にして、ルテニウム1.5質量%、酸化マグネシウム20.5質量%、残りアルミナからなるY/Ru原子比12.1の触媒Cを調製した。
触媒Cについて、実施例1と同様にして測定したCO吸着量は2.41mL/g(STP)で、Ru分散性は72.5%であった。
触媒Cの性状を表1にまとめて示した。
触媒Cを用い実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0078】
《実施例4》
炭酸セリウム八水和物粉末17.7g、水酸化アルミニウム無水物60.9g、および酒石酸2.6gを用いて実施例1と同様にして、担体ペレットを得た。
三塩化ルテニウム3gを水に溶解して25mLとし、この水溶液中に上記の担体ペレット25gを1時間浸漬した以外は実施例1と同様にして、ルテニウム5質量%、酸化セリウム20質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比2.4の触媒Dを調製した。
触媒Dの性状を表1にまとめて示した。
触媒Dについて、実施例1と同様にして測定したCO吸着量は6.90mL/g(STP)で、Ru分散性は62.3%であった。
触媒Dを用い実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0079】
《実施例5》
炭酸セリウム八水和物粉末4.4g、水酸化アルミニウム無水物72.7g、および酒石酸26.9gを用いて実施例1と同様にして、ルテニウム0.5質量%、酸化セリウム5質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比5.9の触媒Eを調製した。
触媒Eについて、実施例1と同様にして測定したCO吸着量は0.94mL/g(STP)で、Ru分散性は85.1%であった。
触媒Eの性状を表1にまとめて示した。
触媒Eを用い実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0080】
《実施例6》
炭酸セリウム八水和物5.3g、水酸化アルミニウム146.1g、および酒石酸5.3gをメノウ乳鉢にて充分混合した。
この粉末(50メッシュ通過)を打錠成型器にて円柱状(pellet)に成型し、マッフル炉を用い空気中800℃で3時間焼成して担体ペレットを得た。なお、焼成中に発生したガスは、実施例1と同様にして排気した。
ルテニウムの担持は実施例1と同様にして行い、ルテニウム1.5質量%、酸化セリウム3.0質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比1.2の触媒Fを調製した。
触媒Fについて、還元温度を600℃とした以外は実施例1と同様にして測定したCO吸着量は2.7mL/g(STP)で、Ru分散性は80.3%であった。
触媒Fの性状を表1にまとめて示した。
触媒Fを用い、還元温度を600℃とした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0081】
《実施例7》
炭酸セリウム八水和物44.8g、水酸化アルミニウム112.5g、および酒石酸3.0gをメノウ乳鉢にて充分混合した。
この粉末(100メッシュ通過)を打錠成型器にて円柱状(pellet)に成型し、マッフル炉を用い空気中850℃で3時間焼成して担体ペレットを得た。なお、焼成中に発生したガスは、実施例1と同様にして排気した。
ルテニウムの担持は実施例1と同様にして行い、ルテニウム1.5質量%、酸化セリウム25.0質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比9.8の触媒Gを調製した。
触媒Gについて、還元温度を700℃とした以外は実施例1と同様にして測定したCO吸着量は2.4mL/g(STP)で、Ru分散性は71.5%であった。
触媒Gの性状を表1にまとめて示した。
触媒Gを用い、還元温度を700℃とし、S/C比を10とした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0082】
《実施例8》
炭酸セリウム八水和物26.3g、水酸化アルミニウム49.7g、および酒石酸3.6gをメノウ乳鉢にて充分混合した。
この粉末(100メッシュ通過)を打錠成型器にて円柱状(pellet)に成型し、マッフル炉を用い空気中870℃で3時間焼成して担体ペレットを得た。なお、焼成中に発生したガスは、実施例1と同様にして排気した。
ルテニウムの担持は実施例1と同様にして行い、ルテニウム1.5質量%、酸化セリウム30.0質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比3.5の触媒Hを調製した。
触媒Hについて、還元温度を900℃とした以外は実施例1と同様にして測定したCO吸着量は6.8mL/g(STP)で、Ru分散性は61.5%であった。
触媒Hの性状を表1にまとめて示した。
触媒Hを用い、還元温度を900℃とし、S/C比を10とした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0083】
《実施例9》
炭酸セリウム八水和物6.1g、水酸化アルミニウム70.0g、および酒石酸114.7gをメノウ乳鉢にて充分混合した。
この粉末(200メッシュ通過)を打錠成型器にて円柱状(pellet)に成型し、マッフル炉を用い空気中930℃で3時間焼成して担体ペレットを得た。なお、焼成中に発生したガスは、実施例1と同様にして排気した。
ルテニウムの担持は実施例1と同様にして行い、ルテニウム1.5質量%、酸化セリウム7.0質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比2.7の触媒Iを調製した。
触媒Iについて、還元温度を950℃とした以外は実施例1と同様にして測定したCO吸着量は2.7mL/g(STP)で、Ru分散性は80.1%であった。
触媒Iの性状を表1にまとめて示した。
触媒Iを用い、還元温度を950℃とした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0084】
《実施例10》
炭酸セリウム八水和物17.6g、水酸化アルミニウム60.1g、および酒石酸49.3gをメノウ乳鉢にて充分混合した以外は実施例1と同様にして、ルテニウム1.5質量%、酸化セリウム20.0質量%、残りアルミナからなるCe/Ru原子比7.9の触媒Jを調製した。
触媒Jについて、実施例1と同様にして測定したCO吸着量は2.5mL/g(STP)で、Ru分散性は75.5%であった。
触媒Jの性状を表1にまとめて示した。
触媒Jを用い、実施例1と同じ条件で反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0085】
《比較例1》
市販の水蒸気改質触媒(G−56H−1,日産ガードラー社製触媒、ニッケル:17〜19質量%、KO:0.4質量%、残りアルミナ)を触媒Kとして、実施例1と同様の反応条件下で水蒸気改質反応を行った。結果は表2に示す通りであった。なお、触媒Kの触媒組成は同社カタログ記載の数値である。
【0086】
《比較例2》
充分脱水したアルミナ粉末(アルミニウムオキシド、Type1,メルク社製)を打錠成型し、マッフル炉にて900℃で3時間焼成して担体を調製した。次に、実施例1と同様な方法で触媒を調製し、ルテニウム1.5質量%、残りアルミナからなるCO吸着量:1.6ml/g(STP)の触媒Lを調製した。このときのRu分散性は51.6%であった。
触媒Lの性状を表1にまとめて示した。
触媒Lを用い、実施例1と同様にして水蒸気改質反応を行った。結果は表2に示す通りであった。
【0087】
なお、表2の灯油転化率は次の数4の式から求め、灯油の平均分子式はC14とした。
【0088】
【数4】
灯油転化率(%)=(生成ガス中の炭素原子数/供給灯油中の炭素原子数)×100
【0089】
【表1の1】
Figure 0003717219
【0090】
【表1の2】
Figure 0003717219
【0091】
【表1の3】
Figure 0003717219
【0092】
【表1の4】
Figure 0003717219
【0093】
【表2の1】
Figure 0003717219
【0094】
【表2の2】
Figure 0003717219
【0095】
【表2の3】
Figure 0003717219
【0096】
【表2の4】
Figure 0003717219
【0097】
表1〜表2から明らかなように、灯油等の安価な液状炭化水素を原料とする水蒸気改質反応による水素製造において、従来から広く用いられている担持ニッケル系触媒(触媒K、比較例1)に対し、従来の一般的な反応条件と比べて原料炭化水素の炭素数が高く、S/Cが低い本実施例の反応条件は、過酷であるため、炭素析出等による触媒性能の劣化が著しい。
【0098】
また、耐炭素析出性能に優れる担持ルテニウム系触媒であっても、2族金属、3族金属、ランタニド金属の酸化物を添加しない触媒(触媒L,比較例2)を用いた場合には、原料液状炭化水素中に含まれる硫黄化合物によって触媒被毒が起こり、転化率が低下するだけでなく、硫黄による触媒被毒が引き金となって、炭素析出も起こり易いことが分かる。
【0099】
これら従来の触媒に対し、本発明の製造方法により得られる触媒では、灯油等の安価な液状炭化水素を原料とした場合でも、充分高い触媒活性(ほぼ平衡転化率)が得られる外、原料に含まれる硫黄化合物による触媒被毒や触媒上への炭素析出を抑制する。また、ルテニウムの高分散担持技術によって、充分な活性点を有するため、長期間安定した触媒性能を保持できる。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、市場価格の低廉な灯油等の液状炭化水素を原料にして、低S/C比の条件で、長期間に亘って安定した水蒸気改質反応を行わせることができる。
従って、本発明にれば、CO,CO等を一部含有する水素ガスを収率良く、安価に製造することができる。

Claims (4)

  1. (a)水酸化アルミニウム、(b)周期表II族金属、III族金属およびランタノイド金属よりなる群のうち少なくとも1種の炭酸塩、および(c)オキシ酸を原料として成型した担体基材を800〜950℃で焼成して得た活性アルミナ複合体担体に、ルテニウムを0.5〜5質量%担持し、600〜950℃で還元処理して得られる触媒のルテニウム分散性60%以上とすることを特徴とする高分散型水蒸気改質触媒の製造方法
  2. 周期表II族金属、III族金属およびランタノイド金属よりなる群のうち少なくとも1種の金属を、触媒基準、酸化物換算で3〜30質量%含有させることを特徴とする請求項1記載の高分散型水蒸気改質触媒の製造方法
  3. 周期表II族金属、III族金属およびランタノイド金属よりなる群のうち少なくとも1種の金属セリウムとし、ルテニウムをセリウムとルテニウムの原子比が10未満となるように、0.5〜5質量%担持することを特徴とする請求項1、または2記載の高分散型水蒸気改質触媒の製造方法
  4. 硫黄含有量が0.2ppm以下、芳香族化合物含有量が30容量%以下、炭素数6以上の液状炭化水素からなる原料と水蒸気とを請求項1〜3に記載の高分散型水蒸気改質触媒の製造方法により得られる触媒に接触させ、次式で表される水蒸気/炭素比を3〜10、LHSVを5h-1以下、反応圧力を2気圧以上に保つことを特徴とする水素製造方法。
    【数1】
    S/C比=(反応器に供給される水蒸気のモル数)/{反応器に供給される炭化水素(CnHm)のモル数×n}
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