JP2019061051A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真感光体の下引き層において、残留電位を抑え、低湿環境におけるゴーストを抑制した電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。【解決手段】電子写真感光体の下引き層が、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下であるチタン酸ストロンチウム粒子と、酸化チタン粒子とを含有することを特徴とし、感光層がポリビニルブチラール樹脂を含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジおよび電子写真装置。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
近年、有機電子写真感光体(以下、「電子写真感光体」と称する)として、金属酸化物粒子を含有する下引き層と、該下引き層上に形成された感光層とを有する電子写真感光体が用いられている。
電子写真感光体の下引き層が含有する金属酸化物粒子としては、様々な金属酸化物粒子が提案されている。
特許文献1には、金属酸化物粒子として、長軸長が10μm以下で、短軸長が0.5μm以下であり、粉体の体積抵抗値が10〜1010Ω・cmである樹枝状の酸化チタン粒子を含有する下引き層が提案されている。これによると、低湿環境における残留電位の改善効果があることが報告されている。
特許文献2には、電気特性の観点から下引き層が含有する金属酸化物粒子として、チタン酸塩のチタン酸ストロンチウム等が開示されている。
特開2001−75296号公報 特開2005−242155号公報
本発明者らが検討したところ、電子写真感光体の下引き層における金属酸化物粒子として特定のX線回折パターンを有するチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合、電気特性のうち、残留電位についてより優れたものに改善でき、低湿環境下におけるゴーストを改善できることが分かった。
本発明の目的は、電子写真感光体の下引き層における金属酸化物粒子として特定のX線回折パターンを有するチタン酸ストロンチウム粒子と酸化チタン粒子とを用いることにより、残留電位を改善し、低湿環境下におけるゴースト改善に効果のある電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
上述の課題を解決する本発明の電子写真感光体は、支持体、下引き層、および、感光層をこの順に有する電子写真感光体において、
該下引き層が結着樹脂、および、酸化チタン粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを含有し、
該チタン酸ストロンチウム粒子は、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、
該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下であり、
該感光層にポリビニルブチラール樹脂を用いる、
ことを特徴とする。
本発明によれば、特定のX線回折パターンを有するチタン酸ストロンチウム粒子と酸化チタン粒子とを用いることにより、残留電位を抑制し、低湿環境におけるゴーストが改善された電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の層構成の1例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の1例を示す図である。 研磨シートを用いた研磨機の1例を示す図である。 (a):電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す上面図である。(b):図4(a)に示されたモールドにおける凸部のB−B断面図である。(c):図4(a)に示されたモールドにおける凸部のC−C断面図である。 電子写真感光体の周面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の1例を示す図である。
本発明の電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置は、該電子写真感光体の下引き層がチタン酸ストロンチウム粒子を含有する。用いられるチタン酸ストロンチウム粒子は、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下である。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、チタン酸ストロンチウム粒子の半値幅を0.10deg以上0.50deg以下、好ましくは0.10deg以上0.35deg以下に制御することが非常に重要であることを見出した。
一般的に、粉末X線回折における回折ピークの半値幅は無機微粒子の結晶子径と関係がある。一次粒子の一個の粒は、複数の結晶子によって構成されており、結晶子径とは、一次粒子を構成する個々の結晶子の大きさのことである。
本発明において結晶子とは、粒子を構成する個々の結晶子のことを指し、結晶子が集まって粒子になる。結晶子の大きさと粒子の粒径は無関係である。
一般に、無機微粒子の結晶子径が小さいと粉末X線回折における回折ピークの半値幅が大きくなり、無機微粒子の結晶子径が大きいと粉末X線回折における回折ピークの半値幅が小さくなる。
無機微粒子の結晶子径が大きくなると、一次粒子の中に存在する結晶子と結晶子の粒界(結晶粒界)が少なくなる。結晶粒界は電荷をトラップするポイントと考えられる。無機微粒子の結晶子内は電荷を流し易いので、トラップポイントの結晶粒界が少ないほど電荷を流し易くなる。電子写真感光体の下引き層がチタン酸ストロンチウム粒子を含有する場合、チタン酸ストロンチウム粒子が有する結晶子の結晶子径が十分に大きいことで、結晶粒界が減少し、電荷の過剰な貯め込みが抑制されるため、残留電位を低減できる。
従って、良好に残留電位を低減させるためには、チタン酸ストロンチウム粒子が有する結晶粒界を適度に調節することが重要である。
従って、本発明者らは、チタン酸ストロンチウム粒子の最大ピークの半値幅を0.10deg以上0.50deg以下に制御することで、残留電位を抑制でき、低湿環境におけるゴーストの抑制効果がある電子写真感光体を得ることができたと考えている。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子は、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下である。
上記半値幅が0.10deg未満であると、上記の通り、チタン酸ストロンチウム粒子が有する結晶粒界が少ないため、導電性があがり、下引き層から支持体へのリークによる黒ポチが悪くなる。
また、上記半値幅が0.50degより大きい場合、上記の通り、チタン酸ストロンチウム粒子が、十分な大きさの結晶子を有さないため、残留電位が大きくなる。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子の粒子径は、特に限定はないが、電気特性の観点から個数平均一次粒子径が10nm以上300nm以下であることが好ましい。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子は、表面処理剤により表面処理が施されていても良く、好ましくはシランカップリング剤を用いて表面処理されていることである。特に、該シランカップリング剤が、アルキル基、アミノ基およびハロゲン基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有することが電気特性の観点からより好ましい。
また、本発明の電子写真感光体の下引き層は、酸化チタン粒子も含有する。これは、チタン酸ストロンチウム粒子を含有する下引き層とその上層の感光層との界面の密着性の向上を考慮している。酸化チタン粒子を含有する下引き層は、チタン酸ストロンチウム粒子単体の下引き層よりも密着性が向上する傾向にある。酸化チタン粒子が密着性を高める理由について、発明者らは以下のように考えている。
酸化チタン粒子は、チタン酸ストロンチウム粒子に比べ疎水化度が小さい、すなわち親水性が高い。そのため、下引き層の上層の感光層樹脂が親水基を多く含んでいる場合、樹脂表面に存在する酸化チタンとなじみ、下引き層と感光層の界面における密着性が向上するものと考えられる。本発明において、酸化チタン粒子としては、平均個数一次粒子径10nm以下の粒子、例えば、TKP−101を使用することが好ましい。
感光体ドラムには、転写後の残留トナーを回収するためのクリーニングブレードやドラムと現像スリーブのギャップを調整するためのコロを有している構成も存在している。電子写真構成で一般的に用いられるゴム製のクリーニングブレードの押圧程度なら下引き層とその上層の感光層との界面で膜剥がれが起きることは考えにくい。しかし、ブレードがより硬質な材質になる場合には下引き層とその上層の感光層の界面の密着性を十分考慮する必要がある。プラスチック製等の硬い材質のギャップ調整コロが積極的に感光体ドラムに当接される構成の場合も同様である。
本発明では、下引き層に上記X線回折における回折ピークの半値幅が0.10deg以上0.50deg以下であるチタン酸ストロンチウム粒子を含有させ、低湿環境におけるゴーストの発生を抑制する。さらに、酸化チタン粒子を混合し、下引き層の上層の電荷発生層を親水性のあるポリビニルブチラール樹脂にすることで、下引き層と感光層における電荷発生層との界面の密着性を十分考慮した感光体ドラムを提供するものである。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、例えば、図1に示すように、支持体上に下引き層を有し、さらに下引き層上に感光層を有する。図1中、1−1は支持体であり、1−2は下引き層であり、1−3は感光層である。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
<支持体>
本発明の電子写真感光体は、支持体を有し、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよいが、ブラスト処理、切削処理を施すことが好ましい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設ける。
本発明の電子写真感光体が有する下引き層は、上述したチタン酸ストロンチウム粒子と、酸化チタン粒子、さらに結着樹脂を含有する。
酸化チタン粒子とチタン酸ストロンチウム粒子の含有比は以下が好ましい。
下引き層中のチタン酸ストロンチウム粒子の含有量と、酸化チタン粒子の含有量の合計が、下引き層中の金属酸化物含有量に対して70質量%以上であり、
下引き層中の酸化チタン粒子の含有量MTiとチタン酸ストロンチウム粒子の含有量MSrが下記式(質量比)
0.25≦MSr/MTi≦9.0
を満たすことが好ましい。
質量比が0.25より小さくなるとチタン酸ストロンチウム粒子の残電抑制効果が減り、低湿環境におけるネガゴーストが悪くなる。また、質量比が9.0より大きくなると導電性が大きくなり、支持体へのリークなどのよる黒ポチが悪化する懸念がある。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
結着樹脂は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合させることで決着樹脂としてもよい。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、本発明の下引き層は、電気特性を高める目的で、電子受容性物質、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。
電子受容性物質としては、キノン化合物、アントラキノン化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、トリフェニルメタン化合物、フルオレニリデンマロノニトリル化合物、ベンザルマロノニトリル化合物などが挙げられる。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどが挙げられる。
本発明の下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
本発明の下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上40μm以下であることが好ましく、0.5μm以上20μm以下であることがより好ましい。
本発明の下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体または導電層上に形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
本発明の電子写真感光体は、下引き層の上に、感光層を有する。
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層である。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を電荷発生層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における「(1−1)電荷発生層」と同様でポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を感光層上に形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
<電子写真感光体の表面加工>
本発明の電子写真感光体は、該電子写真感光体に接触させるクリーニング手段(クリーニングブレード)の挙動をより安定化させる目的で、電子写真感光体の表面層に凹部または凸部を設けることや、表面層を研磨し粗さを付与することができる。
凹部を形成する場合は、凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の表面に凹部を形成することができる。
凸部を形成する場合は、凸部に対応した凹部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の表面に凸部を形成することができる。
電子写真感光体の表面層を研磨し粗さを付与する場合は、電子写真感光体に研磨具を当接させ、いずれか一方あるいは両方を相対的に移動させて電子写真感光体の表面を研磨することにより、粗さを付与することができる。研磨具としては、基材上に研磨砥粒が結着樹脂中に分散された層を設けてなる研磨部材などが挙げられる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
さらにまた、本発明の電子写真装置は、帯電手段として、これまで述べてきた電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および該帯電ローラーに直流電圧のみを印加することにより前記電子写真感光体を帯電する帯電手段を有することを特徴とする。
図2に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラー型帯電部材によるローラー帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。ローラー帯電方式の場合、ローラー型帯電部材に印加する電圧を直流電圧のみにしたDC帯電方式と、直流電圧に交流電圧を重畳したAC/DC帯電方式があるが、装置コスト削減、装置小型化などの観点からはDC帯電方式が好ましい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[チタン酸ストロンチウム粒子の製造方法]
<粒子S−1の製造例>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。
次に、前記含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.7に調整してチタニアゾル分散液を得た。
前記チタニアゾル分散液を0.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.3モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、2N水酸化ナトリウム水溶液750mLを480分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−1を得た。
<粒子S−2の製造例>
前記チタニアゾル分散液2.2モル(酸化チタン換算)に対し、1.1倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。
更に、酸化チタン換算で1.1モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、90℃に加温した後、超音波振動を加えながら、10N水酸化ナトリウム水溶液440mLを15分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。
反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。
更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−2を得た。
<粒子S−3の製造例>
前記チタニアゾル分散液2.2モル(酸化チタン換算)に対し、0.98倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。
更に、酸化チタン換算で0.5モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、超音波振動を加えながら、10N水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH5.0に調整し、その後、20分間反応を行った。
反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。
更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−3を得た。
<粒子S−4の製造例>
前記チタニアゾル分散液1.8モル(酸化チタン換算)に対し、1.1倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.9モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、超音波振動を加えながら、5N水酸化ナトリウム水溶液792mLを40分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−4を得た。
<粒子S−5の製造例>
前記チタニアゾル分散液1.8モル(酸化チタン換算)に対し、1.1倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.9モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、85℃に加温した後、超音波振動を加えながら、5N水酸化ナトリウム水溶液576mLを5分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−5を得た。
<粒子S−6の製造例>
前記チタニアゾル分散液を0.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、0.05モルの硫酸アルミニウムを添加した後、酸化チタン濃度で0.3モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、超音波振動を加えながら、2N水酸化ナトリウム水溶液450mLを5分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−6を得た。
上記、製造した粒子S−1〜6のX線回折測定および、平均一次粒径測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019061051
[表面処理されたチタン酸ストロンチウム粒子の製造例]
<表面処理された粒子S−1Aの製造例>
上記、製造した粒子S−1、100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)2部を添加し、6時間攪拌させた。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された粒子S−1Aを得た。
<表面処理された粒子S−1Bの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤の添加量を0.75部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Bを製造した。
<表面処理された粒子S−1Cの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤の添加量を5部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Cを製造した。
<表面処理された粒子S−1Dの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤をN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Dを製造した。
<表面処理された粒子S−1Eの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤をイソブチルトリメトキシシラン4.6部、およびトリフルオロプロピルメトキシシラン4.6部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Eを製造した。
<表面処理された粒子S−2A〜6Aの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、粒子S−1を粒子S−2〜6に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−2A〜6Aを製造した。
[実施例1]
支持体(導電性支持体)として、長さ357.5mm、厚さ0.7mm、外径30mmのアルミニウムシリンダーを用意した。用意したアルミニウムシリンダーを、旋盤を用いて表面の切削加工を行った。
切削条件として、R0.1のバイトを用い、主軸回転数=10000rpm、バイトの送り速度を0.03〜0.06mm/rpmの範囲で連続的に変化させて加工した。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部、ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化バイエルンウレタン(株)製)15部をメチルエチルケトン300部と1−ブタノール300部の混合液に溶解した。
この溶液に、チタン酸ストロンチウム粒子として粒子S−1Aを80部と、酸化チタンT−1(商品名:TKP−101、チタン工業(株)製)を40部と、添加剤として2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)1.2部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。
分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.01部を分散液に加えて攪拌し、下引き層用塗布液を得た。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、これを30分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が2.0μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記式(A)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル600部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.19μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2019061051
次に、
下記式(B)で示される化合物(電荷輸送物質)60部、
下記式(C)で示される化合物(電荷輸送物質)30部、
下記式で示される化合物10部(D)、
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、
下記式(E)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.02部を、
o−キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2019061051
次に、
下記式(F1)で示される繰り返し構造単位および下記式(F2)で示される繰り返し構造単位を有する樹脂(重量平均分子量:130,000、共重合比(F1)/(F2)=1/1(モル比))1.65部を、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)40部及び1−プロパノール55部の混合溶剤に溶解した。
その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
その後、
下記式(G)で示される正孔輸送性化合物52.0部、
下記式(H)で示される化合物(アロニックスM−315、東亞合成(株)製)16.0部、
下記式(I)で示される化合物(シグマ−アルドリッチ製)2.0部、
シロキサン変性アクリル化合物0.75部(BYK−3550、ビックケミー・ジャパン(株)製)、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン35部及び1−プロパノール15部を前記分散液に加え、
ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間40℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70KV、吸収線量15kGyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が135℃になる条件で15秒間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から15秒間の加熱処理までの酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において、塗膜が105℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層を形成した。このようにして、電子写真感光体を製造した。
Figure 2019061051
Figure 2019061051
Figure 2019061051
Figure 2019061051
[モールド圧接形状転写による凹部の形成]
次に、圧接形状転写加工装置に型部材(モールド)を設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。
具体的には、概ね図5に示す構成の圧接形状転写加工装置に、図4に示すモールドを設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。図4は、実施例および比較例で用いたモールドを示す図である。図4(a)はモールドの概略を示す上面図、図4(b)はモールドの凸部の電子写真感光体の軸方向の概略断面図(図4(a)のB−B断面における断面図)である。図4(c)はモールドの凸部の電子写真感光体の周方向の断面図(図4(a)のC−C断面の断面図)である。図4に示されるモールドは、最大幅(モールド上の凸部を上から見たときの電子写真感光体の軸方向の最大幅のこと。)X:50μm、最大長さ(モールド上の凸部を上から見たときの電子写真感光体の周方向の最大長さのこと。)Y:75μm、面積率56%、高さH:4μmの凸形状である。なお、面積率とは、モールドを上から見たときに表面全体に占める凸部の面積の比率である。加工時には、電子写真感光体の表面の温度が120℃になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御した。そして、7.0MPaの圧力で電子写真感光体と加圧部材をモールドに押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させて、電子写真感光体の表面層(周面)の全面に凹部を形成した。
以上のようにして、実施例1の電子写真感光体を作製した。
[電子写真感光体の評価]
評価用の電子写真装置として、キヤノン(株)製の複写機imageRUNNER ADVANCE C3330の改造機を使用した。帯電手段としては、直流電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)に印加する方式を用いて、評価を行った。
評価装置は、温度15℃湿度5%RHの環境下に設置した。電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
残留電位の評価の際、暗部電位Vdが−700Vになるように帯電部材(帯電ローラー)への印加電圧Vcを調整した。波長780nmのレーザー光を照射した際の明部電位Vlが−200Vになるようにレーザー光量を調整し、ベタ黒画像を10枚連続出力後の残留電位を評価した。結果を表2に示す。
残留電位については、上記評価条件で測定された残留電位が、−50V以下であれば優れたレベルであり(◎)、−100V以下であれば実使用上は問題ないレベルであり(〇)、−100Vよりも大きい場合には実使用上問題となる可能性のあるレベル(△)である。
また、ハーフトーン電位の1周目と2周目の電位差ΔVhを測定し、ゴーストレベルを比較した。結果を表1に示す。ゴーストレベルとしてはΔVhが±10V以内なら優れたレベル(◎)であり、ΔVhが±15V以内なら実使用上問題ないレベル(〇)であり、±15Vより大きい場合は、実使用上問題となる可能性のあるレベル(△)である。
[シートサンプルの作製]
実施例1において、アルミシリンダーの代わりに厚さ50μmのアルミシートを巻いたアルミシリンダーを支持体として用いる。支持体の上に実施例1の電子写真感光体の作製方法と同様に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成させる。その後、アルミシリンダーからアルミシートを剥がしたものを実施例1のシートサンプルSS−1Aとして、後述する膜剥がれ試験を実施した。
[膜剥がれ(密着性)試験]
製造した下引き層シートサンプルSS−1Aを温度50℃湿度90%RHの高温高湿環境下で72時間静置した。このシートサンプル取り出した。その後、以下の膜剥がれ試験に用いるテープがしっかり接着するように濡れている下引き層シート表面を乾燥させるため、温度23℃湿度50%RHの常温常湿環境下で静置し、24時間後に膜剥がれ試験を行った。
膜剥がれ試験は、JIS−K5400に基づき、碁盤目テープ法により行った。特に指定のない項目についてはJISの規定に従う。測定手順を次に示す。
1:シートサンプルを固定し、クロスカットガイドを用いて、膜に2mm間隔でアルミシートに達する切り傷を入れ、碁盤目上の切り傷を付ける。ます目の数が100の格子パターンを形成した。
2:切り傷を付けるときのカッターナイフは常に新しいものを用い、塗面に対して35〜45度の範囲の一定の角度に保つようにする。また、切り傷は、塗膜を貫通してアルミシートに達するように、切り傷1本につき約0.5秒間かけて等速で引く。
3:カットした塗膜面にセロハン粘着テープをはりつけ、消しゴムでこすって塗膜にテープを付着させた後、テープを付着させてから1〜2分後に、テープの一方の端を持って塗面に直角に保ち、テープを瞬間的にひきはがす。
4:塗面とテープを観察し、剥離された碁盤目数を求め、剥がれ面積の割合を算出する。膜剥がれ試験は上記シートサンプルをJIS記載の方法により碁盤目試験を行い、100個のうち残留した碁盤目の数をカウントした。膜が残存している碁盤目の比率をカウントした。接着率(%)=剥がれなかった数(マス)/全体の数(100マス)で算出される。評価結果を表2に示す。
電荷発生層との密着性については、上記評価条件で測定された接着率が、90%以上であれば優れたレベルであり(◎)、80%以上90%未満であれば実使用上は問題ないレベルであり(〇)、70%以上80%未満の場合には実使用上問題となる可能性のあるレベル(△)である。
[実施例2〜5]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウムの粒子S−1Aを、粒子S−2A〜5Aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子と酸化チタン粒子の混合比を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。
チタン酸ストロンチウムの粒子S−1A 96部
酸化チタン粒子 T−1 24部
結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子と酸化チタン粒子の混合比を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。
チタン酸ストロンチウムの粒子S−1A 12部
酸化チタン粒子 T−1 108部
結果を表2に示す。
[実施例8〜11]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウムの粒子S−1Aを、それぞれ粒子S−1、粒子S−1B、粒子S−1C、粒子S−1Dに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例8〜11の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例12]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いた酸化チタン粒子T−1を、商品名:ATО(チタン工業(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例12の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いた酸化チタン粒子T−1、100部をトルエン500部と攪拌混合し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン1.25部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、表面処理された酸化チタン粒子T−1Aを得た。酸化チタン粒子T−1Aに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例13の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例14]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いるブチラール樹脂15部、およびブロック化イソシアネート15部を、アルコール可溶性共重合ポリアミド(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)30部に変更し、メチルエチルケトン300部をメタノール300部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例14の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例15]
実施例1において、下引き層の膜厚2.0μmを、5.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例15の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例16]
実施例1において、下引き層の膜厚2.0μmを、18μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例16の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例17]
実施例1において、電子写真感光体の表面加工を、以下に記載する研磨装置を用いた加工に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例17の電子写真感光体を作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
表面研磨前の電子写真感光体の表面を研磨した。研磨は図3の研磨装置を用い、以下の条件で行った。
研磨シートの送りスピード;400mm/min
電子写真感光体の回転数;450rpm
電子写真感光体のバックアップローラーへの押し込み;3.5mm
研磨シートと電子写真感光体の回転方向;ウィズ
バックアップローラー;外径100mm、アスカーC硬度25
研磨装置に装着する研磨シート101は、理研コランダム株式会社製のGC3000とGC2000に用いられている研磨砥粒を混合して作製した。
GC3000(研磨シート表面粗さRa0.83μm)
GC2000(研磨シート表面粗さRa1.45μm)
研磨シート101(研磨シート表面粗さRa1.12μm)
研磨シート101を用いた研磨の時間は20秒間とした。
[実施例18]
実施例1において、表面層(保護層)を設けず、電荷輸送層を以下に記載する方法で形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例18の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
上記式(B)で示される化合物(電荷輸送物質)72部、
上記式(D)で示される化合物(電荷輸送物質)8部、
下記式(J)で示される構造を有する樹脂を100部、
下記式(K)で示される構造を有する樹脂を1.8部
o−キシレン360部、
安息香酸メチル160部、及び、
ジメトキシメタン(メチラール)270部
を混合し、電荷輸送層用塗布液とした。
次に、この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を50分間125℃で乾燥させることによって、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2019061051
(式(J)中、mおよびnは共重合比を示し、m:n=7:3)
[実施例19]
実施例1において、表面層(保護層)の形成において、以下に記載した方法で調整した表面層用塗布液(保護層用塗布液)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例19の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した。
その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を上記溶解液に加えた混合液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
その後、上記式(F)で示される化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、表面層用塗布液(保護層用塗布液)を調製した。
[実施例20]
実施例1において、表面層(保護層)の形成において、以下に記載した方法で調整した表面層用塗布液(保護層用塗布液)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例20の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
下記式(L)で示される化合物95部、
下記式(M)で示される化合物であるビニルエステル化合物5部(東京化成工業(株)製)、
シロキサン変性アクリル化合物3.5部(商品名:BYK−3550、ビックケミー・ジャパン(株)製)、
下記式(N)で示されるウレア化合物5部、
1−プロパノール200部、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)100部、
を混合し、撹拌した。
その後ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)でこの溶液を濾過することによって、表面層用塗布液(保護層用塗布液)を調製した。
Figure 2019061051
この表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間50℃で乾燥させた。その後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、ビーム電流5.0mAの条件で支持体(被照射体)を200rpmの速度で回転させながら、1.6秒間電子線を塗膜に照射した。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15kGyであった。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が25℃から117℃になるまで30秒かけて昇温させ、塗膜の加熱を行った。電子線照射から、その後の加熱処理までの酸素濃度は15ppm以下であった。次に、大気中において、塗膜の温度が25℃になるまで自然冷却し、塗膜の温度が105℃になる条件で30分間加熱処理を行い、膜厚5μmの保護層(表面層)を形成した。
[実施例21]
実施例1において、支持体と下引き層の間に下記導電層を設けたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例21の電子写真感光体とシートサンプル作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
被覆層を有する酸化チタン粒子57部(商品名:パストランLRS、三井金属鉱業(株)製)、
レゾール型フェノール樹脂35部(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分60%のメタノール溶液)、
2−メトキシ−1−プロパノール33部を、
直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調整した。この分散液に含有される粉体の平均粒径は、0.30μmであった。
この分散液に、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)8部を2−メトキシ−1−プロパノール8部に分散した液を添加した。
さらに、シリコーンオイル0.008部(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)を添加した。
このようにして調製した分散液を、アルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、これを150℃に調整した熱風乾燥機中で30分間加熱硬化し、分散液の塗布膜を硬化させることにより、膜厚30μmの導電層を形成した。
[実施例22]
実施例1において、支持体として以下に記載される方法によって加工を行ったアルミニウムシリンダーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例22の電子写真感光体を作製し、残留電位、およびゴーストレベルの評価を行った。結果を表2に示す。
円筒状アルミニウムシリンダー(直径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mm)を施盤に装着し、単結晶ダイヤモンドバイト(先端R20mm)を用いて切削加工を行った。この時の主軸回転数は3000rpm、バイトの送り速度は5mm/秒で切削加工した。
[実施例23]
実施例1において、支持体として以下に記載される方法によって加工を行ったアルミニウムシリンダーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例23の電子写真感光体を作製し、残留電位、およびゴーストレベルの評価を行った。結果を表2に示す。
円筒状アルミニウムシリンダー(直径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mm)を施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、表面粗さRz=0.2μmになるように切削加工した。この時の主軸回転数は3000rpm、バイトの送り速度は0.3mm/revで加工時間はワークの着脱を除き24秒であった。
表面粗さの測定は、JIS B 0601に準拠し小坂研究所表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmで行った。
得られたアルミニウム切削管に対して、液体(湿式)ホーニング装置を用いて、下記条件にて液体ホーニング処理を行った。
<液体ホーニング条件>
研磨材砥粒=球状アルミナビーズ平均粒径30μm
(商品名:CB−A30S、昭和電工株式会社製)
懸濁媒体=水
研磨材/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム切削管の回転数=1.67S−1
エアー吹き付け圧力=0.15MPa
ガン移動速度=13.3mm/sec.
ガンノズルとアルミニウム管の距離=200mm
ホーニング砥粒吐出角度=45°
研磨液投射回数=1回(片道)
ホーニング後のシリンダー表面粗さはRmax2.53μm、Rz1.51μm、Ra0.23μm、Sm34μmであった。上記の様にして湿式ホーニング処理を施した直後にアルミニウムシリンダーをいったん純水を張った浸漬槽に浸漬し、引き上げ、シリンダーが乾燥する前に純水シャワー洗浄を施した。その後、吐出ノズルより85℃の温水を基体の内表面に吐出、接触させ、外表面を乾燥させた。その後、自然乾燥にて基体内表面を乾燥させた。
以上のように表面加工を行なったアルミニウムシリンダーを電子写真感光体の支持体として用いた。
[比較例1]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウムの粒子S−1Aを、粒子S−6Aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。
結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウムの粒子S−1Aと酸化チタン粒子の混合比を下記に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。
チタン酸ストロンチウム粒子S−1A 120部
酸化チタン粒子 T−1 0部
結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウムの粒子S−1Aと酸化チタン粒子の混合比を下記に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。
チタン酸ストロンチウム粒子S−1A 0部
酸化チタン粒子 T−1 120部
結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例1において、下引き層用塗布液に用いるブチラール樹脂15部、およびブロック化イソシアネート15部を、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製)30部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の電子写真感光体とシートサンプルを作製し、残留電位、ゴーストレベル、および密着性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2019061051
表2に示すように、本発明のチタン酸ストロンチウム粒子と酸化チタン粒子を含有する下引き層を有する電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置であれば、残留電位が抑制されゴーストが改善され、電荷発生層との密着性も十分保たれる。
1−1 支持体
1−2 下引き層
1−3 感光層

1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

101 研磨シート
102a ガイドローラー
102b ガイドローラー
103 バックアップローラー
104 被処理体(研磨を行う前の電子写真感光体)
105 巻き取り手段
106 中空の軸

5−1 被処理体(加工を行う前の電子写真感光体)
5−2 モールド型
5−3 加圧部材
5−4 支持部材

Claims (7)

  1. 支持体、下引き層、および感光層をこの順に有する電子写真感光体において、
    該下引き層が結着樹脂と酸化チタン粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを含有し、
    該チタン酸ストロンチウム粒子は、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、
    該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下であり、
    該感光層がポリビニルブチラール樹脂を含有する
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記半値幅が0.10deg以上0.35deg以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記下引き層中のチタン酸ストロンチウム粒子の含有量と、酸化チタン粒子の含有量の合計が、該下引き層中の金属酸化物含有量に対して70質量%以上であり、
    該下引き層中の酸化チタン粒子の含有量MTiとチタン酸ストロンチウム粒子の含有量MSrが下記式(質量比)
    0.25≦MSr/MTi≦9.0
    を満たす請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記下引き層に含有されるチタン酸ストロンチウム粒子がシランカップリング剤で表面処理されている請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも1つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  7. 前記帯電手段として、前記電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および該帯電ローラーに直流電圧のみを印加することにより前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、
    を有することを特徴とする請求項6に記載の電子写真装置。
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