JP2019061219A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真感光体の下引き層において、金属酸化物粒子としてチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合に、帯電特性に優れ、残留電位を抑制できる電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。【解決手段】電子写真感光体の下引き層が、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下であるチタン酸ストロンチウム粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体、該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジおよび電子写真装置。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
近年、有機電子写真感光体(以下、「電子写真感光体」と称する)として、金属酸化物粒子を含有する下引き層と、該下引き層上に形成された感光層とを有する電子写真感光体が用いられている。
電子写真感光体の下引き層が含有する金属酸化物粒子としては、様々な金属酸化物粒子が提案されている。特許文献1には、電気特性の観点から下引き層が含有する金属酸化物粒子として、チタン酸ストロンチウム粒子が開示されている。
特開2007−279620号公報
本発明者らが検討したところ、電子写真感光体の下引き層における金属酸化物粒子として特定のX線回折パターンを有するチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合、残留電位や帯電特性といった電気特性についてより優れたものに改善できることが分かった。
本発明の目的は、電子写真感光体の下引き層における金属酸化物粒子として特定のX線回折パターンを有するチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合に、残留電位と帯電特性とを優れた水準で両立できる電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、支持体、下引き層、および、感光層をこの順に有する電子写真感光体において、
該下引き層が結着樹脂、および、チタン酸ストロンチウム粒子を含有し、
該チタン酸ストロンチウム粒子は、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、
該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下である、
ことを特徴とする電子写真感光体に関する。
本発明によれば、電子写真感光体の下引き層における金属酸化物粒子として特定のX線回折パターンを有するチタン酸ストロンチウム粒子を用いることにより、残留電位を抑制し、かつ帯電特性が良好である電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の層構成の1例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の1例を示す図である。 研磨シートを用いた研磨機の1例を示す図である。 (a):電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す上面図である。(b):図4(a)に示されたモールドにおける凸部のB−B断面図である。(c):図4(a)に示されたモールドにおける凸部のC−C断面図である。 電子写真感光体の周面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の1例を示す図である。
本発明の電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置は、該電子写真感光体の下引き層が、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下であるチタン酸ストロンチウム粒子を含有する。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、良好な帯電特性と残留電位の抑制とを両立する効果を達成するためには、チタン酸ストロンチウム粒子が有する2θ=32.20±0.20(θはブラッグ角)におけるX線回折ピークの半値幅を0.10deg以上0.50deg以下に制御することが非常に重要であることを見出した。
一般的に、粉末X線回折における回折ピークの半値幅は無機微粒子の結晶子径と関係がある。一次粒子の一個の粒は、複数の結晶子によって構成されており、結晶子径とは、一次粒子を構成する個々の結晶子の大きさのことである。
本発明において結晶子とは、粒子を構成する個々の結晶粒のことを指し、結晶子が集まって粒子になる。結晶子の大きさと粒子の粒径は無関係である。
一般に、無機微粒子の結晶子径が小さいと粉末X線回折における回折ピークの半値幅が大きくなり、無機微粒子の結晶子径が大きいと粉末X線回折における回折ピークの半値幅が小さくなる。
無機微粒子の結晶子径が小さくなると、一次粒子の中に存在する結晶子と結晶子の粒界(結晶粒界)が多くなる。結晶粒界は電荷をトラップするポイントと考えられる。
そのため、電子写真感光体の下引き層がチタン酸ストロンチウム粒子を含有する場合、チタン酸ストロンチウム粒子が有する結晶子の結晶子径が十分小さいことで、結晶粒界を多く有し、電荷をトラップするポイントが多くなるため、帯電特性が良化する。
一方で、無機微粒子の結晶子内は電荷を流し易い。電子写真感光体の下引き層がチタン酸ストロンチウム粒子を含有する場合、チタン酸ストロンチウム粒子が有する結晶子の結晶子径が十分に大きいことで、結晶粒界が減少し、電荷の過剰な貯め込みが抑制されるため、残留電位を低減できる。
従って、良好な帯電特性と残留電位の抑制とを両立させるためには、チタン酸ストロンチウム粒子が有する結晶粒界を適度に調節することが重要である。
本発明者らは、チタン酸ストロンチウム粒子の半値幅を0.10deg以上0.50deg以下に制御することで、良好な帯電特性と残留電位の抑制とを両立する効果を得ることができたと考えている。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子は、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下である。
上記半値幅が0.10deg未満であると、上記の通り、チタン酸ストロンチウム粒子が有する結晶粒界が少ないため、帯電特性が低下する。
また、上記半値幅が0.50degより大きい場合、上記の通り、チタン酸ストロンチウム粒子が、十分な大きさの結晶子を有さないため、残留電位が大きくなる。
特に、上記半値幅が0.23deg以上であると、さらに良好な帯電特性と残留電位の抑制とを両立する効果を得ることができる。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径は、特に限定はないが、電気特性の観点から10nm以上150nm以下であることが好ましく、10nm以上95nm以下であることがより好ましい。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子は、表面処理剤により表面処理が施されていても良く、好ましくはシランカップリング剤を用いて表面処理されていることである。特に、該シランカップリング剤が、アルキル基、アミノ基およびハロゲン基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有することが電気特性の観点からより好ましい。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、例えば、図1に示すように、支持体上に下引き層を有し、さらに下引き層上に感光層を有する。図1中、1−1は支持体であり、1−2は下引き層であり、1−3は感光層である。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
<支持体>
本発明の電子写真感光体は、支持体を有し、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよいが、ブラスト処理、切削処理を施すことが好ましい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設ける。
本発明の電子写真感光体が有する下引き層は、上記のチタン酸ストロンチウム粒子と、結着樹脂と、を含有する。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
結着樹脂は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合させることで結着樹脂としてもよい。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、本発明の下引き層は、電気特性を高める目的で、電子受容性物質、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。
電子受容性物質としては、キノン化合物、アントラキノン化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、トリフェニルメタン化合物、フルオレニリデンマロノニトリル化合物、ベンザルマロノニトリル化合物などが挙げられる。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、アンモニア還元した酸化ニオブなどが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
アンモニア還元した酸化ニオブとしては、以下に記載される一般式で表される粒子が好ましい。
Figure 2019061219
(式(N)中、Nbはニオブ原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子であり、0.00<Y<X≦4.00である。)
導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどが挙げられる。
本発明の下引き層は、電気特性の観点から、下記式(1)または(2)で示される化合物を含有することが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2019061219
(式(1)中、Ra1〜Ra8は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、または、アミノ基を示す。)
Figure 2019061219
(式(2)中、Rb1〜Rb10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、または、アミノ基を示す。)
本発明の下引き層には、さらに、有機樹脂粒子、レベリング剤を含有させてもよい。有機樹脂粒子としては、例えば、シリコーン粒子などの疎水性有機樹脂粒子や、架橋型ポリメタクリレート樹脂(PMMA)粒子などの親水性有機樹脂粒子などが挙げられる。
本発明の下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましい。
本発明の下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体または導電層上に形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
本発明の電子写真感光体は、下引き層の上に、感光層を有する。
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層である。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を電荷発生層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を感光層上に形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
<電子写真感光体の表面加工>
本発明の電子写真感光体は、該電子写真感光体に接触させるクリーニング手段(クリーニングブレード)の挙動をより安定化させる目的で、電子写真感光体の表面層に凹部または凸部を設けることや、表面層を研磨し粗さを付与することができる。
凹部を形成する場合は、凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の表面に凹部を形成することができる。
凸部を形成する場合は、凸部に対応した凹部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の表面に凸部を形成することができる。
電子写真感光体の表面層を研磨し粗さを付与する場合は、電子写真感光体に研磨具を当接させ、いずれか一方あるいは両方を相対的に移動させて電子写真感光体の表面を研磨することにより、粗さを付与することができる。研磨具としては、基材上に研磨砥粒が結着樹脂中に分散された層を設けてなる研磨部材などが挙げられる。
<電子写真感光体の周面に凹部を形成する方法>
形成するべき凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の周面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の周面に凹部を形成することができる。
図5に、電子写真感光体の周面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す。
図5に示す圧接形状転写加工装置によれば、被加工物である電子写真感光体5−1を回転させながら、その周面に連続的にモールド5−2を接触させ、加圧することにより、電子写真感光体5−1の周面に凹部や平坦部を形成することができる。
加圧部材5−3の材質としては、例えば、金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。加圧部材5−3は、その上面にモールド5−2が設置される。また、下面側に設置される支持部材(不図示)および加圧システム(不図示)により、支持部材5−4に支持された電子写真感光体5−1の周面に、モールド5−2を所定の圧力で接触させることができる。また、支持部材5−4を加圧部材5−3に対して所定の圧力で押し付けてもよいし、支持部材5−4および加圧部材5−3を互いに押し付けてもよい。
図5に示す例は、加圧部材5−3を電子写真感光体5−1の軸方向と垂直な方向に移動させることにより、電子写真感光体5−1が従動または駆動回転しながら、その周面を連続的に加工する例である。さらに、加圧部材5−3を固定し、支持部材5−4を電子写真感光体5−1の軸方向と垂直な方向に移動させることにより、または、支持部材5−4および加圧部材5−3の両者を移動させることにより、電子写真感光体5−1の周面を連続的に加工することもできる。
なお、形状転写を効率的に行う観点から、モールド5−2や電子写真感光体5−1を加熱することが好ましい。
モールド5−2としては、例えば、微細な表面加工された金属や樹脂フィルムや、シリコンウエハーなどの表面にレジストによりパターニングをしたものや、微粒子が分散された樹脂フィルムや、微細な表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施したものなどが挙げられる。
また、電子写真感光体5−1に押し付けられる圧力を均一にする観点から、モールド5−2と加圧部材5−3との間に弾性体を設置することが好ましい。
電子写真感光体の周面の凹部や平坦部や凸部などは、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。
<機械的研磨に用いる研磨具>
機械的研磨は公知の手段を利用できる。一般的には、電子写真感光体に研磨具を当接させ、いずれか一方あるいは両方を相対的に移動させて電子写真感光体の表面を研磨する。研磨具は、基材上に研磨砥粒が結着樹脂中に分散された層を設けてなる研磨部材である。
砥粒としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム、ダイヤモンド、酸化鉄、酸化セリウム、コランダム、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化珪素、炭化タングステン、チタンカーバイトおよび酸化珪素などの粒子が挙げられる。砥粒の粒子径は、0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上15μm以下であることがより好ましい。砥粒の粒子径が小さすぎると、研磨力が弱くなり、電子写真感光体の最表面のF/C比を増加させにくくなる。これらの砥粒は、1種類あるいは2種類以上を混合して用いることができる。2種類以上を混合する場合は、材質や粒子径が異なっていても同じでもよい。
研磨具に用いられる砥粒を分散させる結着樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂および防黴性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ウレタンエラストマーおよびポリアミド−シリコーン樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。また、熱可塑性樹脂にイソシアネート系の硬化剤を添加してもよい。
研磨具の結着樹脂中に砥粒を分散させてなる層の膜厚は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。膜厚が厚すぎると膜厚ムラが生じやすく、結果、被研磨体の表面粗さのムラが問題となる。一方、膜厚が薄すぎると砥粒の脱落が起こりやすくなる。
研磨具の基材の形状は特に制限されない。本例の実施形態では、円筒状の電子写真感光体を効率的に研磨するためにシート状の基材を用いたが、他の形状でもよい。(以下、本例の研磨具を研磨シートとも記載する)研磨具の基材の材質も特に制限されない。例えば、シート状の基材の材質としては、紙、織布、不織布、プラスチックフィルムが挙げられる。
研磨具は、上記の砥粒、結着樹脂、結着樹脂を溶解可能な溶剤を混合し分散させた塗布液を、基材上に塗布、乾燥して得ることができる。
<研磨装置>
本例の電子写真感光体の研磨装置の一例について図3に示す。
図3は研磨シートを用いて円筒状の電子写真感光体を研磨する装置である。図3中、研磨シート301は中空の軸306に巻かれており、軸306に研磨シート301が送られる方向と逆方向に、研磨シート301に張力が与えられるようモーター(不図示)が配置されている。研磨シート301は矢印方向に送られ、ガイドローラー302a、302bを介してバックアップローラー303を通り、研磨後の研磨シート301はガイドローラー302c、302dを介してモーター(不図示)により巻き取り手段305に巻き取られる。研磨は、研磨シート301を被処理体(研磨を行う前の電子写真感光体)304に常時圧接して行われる。研磨シート301は絶縁性であることが多いため、研磨シート301の接する部位には、アースに接地されたものまたは導電性を有するものを用いることが好ましい。
研磨シート301の送りスピードは10mm/min以上1000mm/min以下が好ましい。送り量が少ないと、研磨シート301表面への結着樹脂の付着、これに起因して被処理体304表面に深傷が生じる場合がある。
被処理体304は、研磨シート301を介してバックアップローラー303と対向した位置に置かれる。バックアップローラー303は被処理体304の表面粗さの均一性を向上させる観点から、弾性体であることが好ましい。この際、研磨シート301を介して被処理体304とバックアップローラー303が所望の設定値で所定の時間押し当てられ、被処理体304の表面が研磨される。被処理体304の回転方向は、研磨シート301の送られる方向と同一であってもよいし、対向であってもよい。また、研磨の途中で回転方向を変更してもよい。
バックアップローラー303の被処理体304に対する押し当て圧は、バックアップローラー303の硬度や研磨時間にもよるが、0.005N/m以上15N/m以下が好ましい。
電子写真感光体の表面粗さは、研磨シート301の送りスピード、バックアップローラー303の押し当て圧、研磨シートの砥粒種、研磨シートの結着樹脂の膜厚、基材の厚みなどを適宜選択することにより調整できる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
さらにまた、本発明の上記電子写真装置は、帯電手段として、これまで述べてきた電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および該帯電ローラーに直流電圧のみを印加することにより該電子写真感光体を帯電する手段を有することを特徴とする。
図2に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラー型帯電部材によるローラー帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。ローラー帯電方式の場合、ローラー型帯電部材に印加する電圧を直流電圧のみにしたDC帯電方式と、直流電圧に交流電圧を重畳したAC/DC帯電方式があるが、装置コスト削減、装置小型化などの観点からはDC帯電方式が好ましい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[チタン酸ストロンチウム粒子の製造方法]
<粒子S−1の製造例>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。
次に、前記含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.7に調整してチタニアゾル分散液を得た。
前記チタニアゾル分散液2.2モル(酸化チタン換算)に対し、1.1倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。
更に、酸化チタン換算で1.1モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、90℃に加温した後、超音波振動を加えながら、10N水酸化ナトリウム水溶液440mLを15分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。
反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。
更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−1を得た。
<粒子S−2の製造例>
前記チタニアゾル分散液2.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.0倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で1.3モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、95℃に加温した後、超音波振動を加えながら、15N水酸化ナトリウム水溶液300mLを5分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−2を得た。
<粒子S−3の製造例>
前記チタニアゾル分散液2.0モル(酸化チタン換算)に対し、1.1倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で1.0モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、85℃に加温した後、超音波振動を加えながら、5N水酸化ナトリウム水溶液800mLを20分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−3を得た。
<粒子S−4の製造例>
前記チタニアゾル分散液1.8モル(酸化チタン換算)に対し、1.1倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.9モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、85℃に加温した後、超音波振動を加えながら、5N水酸化ナトリウム水溶液576mLを5分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−4を得た。
<粒子S−5の製造例>
前記チタニアゾル分散液1.8モル(酸化チタン換算)に対し、1.1倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.9モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、超音波振動を加えながら、5N水酸化ナトリウム水溶液792mLを40分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。更に、水酸化ナトリウムにて中和して、ヌッチェで濾過を行い、純水で洗浄した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−5を得た。
<粒子S−6の製造例>
前記チタニアゾル分散液1.4モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.7モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、超音波振動を加えながら、3N水酸化ナトリウム水溶液1100mLを40分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−6を得た。
<粒子S−7の製造例>
前記チタニアゾル分散液1.0モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.5モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、70℃に加温した後、超音波振動を加えながら、2N水酸化ナトリウム水溶液1100mLを40分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄を繰り返した。得られたケーキを乾燥し、粒子S−7を得た。
<粒子S−8の製造例>
前記チタニアゾル分散液1.0モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.5モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、70℃に加温した後、2N水酸化ナトリウム水溶液1200mLを240分かけて添加し、その後、60分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーにpH5.0の塩酸水溶液を加えて1時間撹拌した後、純水で洗浄、乾燥して粒子Sを得た。粒子Sの半値幅は0.15であった。更に粒子Sを4mmのアルミナボールと共に自動排出ボールミル(エイシン社製)に入れ、200時間攪拌した。その後、アルミナボールを除去・洗浄して、粒子S−8を得た。
<粒子S−9の製造例>
前記チタニアゾル分散液0.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.3モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、2N水酸化ナトリウム水溶液750mLを480分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−9を得た。
<粒子S−10の製造例>
前記チタニアゾル分散液を0.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、0.05モルの硫酸アルミニウムを添加した後、酸化チタン濃度で0.3モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、超音波振動を加えながら、2N水酸化ナトリウム水溶液450mLを5分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーに5℃の純水を加えて30℃以下になるまで急冷した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−10を得た。
<粒子S−11の製造例>
前記チタニアゾル分散液0.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.3モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、2N水酸化ナトリウム水溶液750mLを540分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−11を得た。
<粒子S−12の製造例>
前記チタニアゾル分散液0.4モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.2モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、70℃に加温した後、2N水酸化ナトリウム水溶液600mLを660分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−12を得た。
<粒子S−13の製造例>
前記チタニアゾル分散液0.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.2倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.3モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、80℃に加温した後、2N水酸化ナトリウム水溶液750mLを600分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−13を得た。
<粒子S−14の製造例>
前記チタニアゾル分散液0.6モル(酸化チタン換算)に対し、1.3倍モル量の塩化ストロンチウム水溶液を加えて反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、酸化チタン濃度で0.1モル/Lになるように純水を加えた。
次に、撹拌混合し、70℃に加温した後、2N水酸化ナトリウム水溶液750mLを900分かけて添加し、その後、20分間反応を行った。反応後のスラリーを30℃以下になるまで冷却した後、上澄み液を除去した。更に、前記スラリーに対して純水で洗浄を行い、得られたケーキを乾燥し、粒子S−14を得た。
<粒子のX線回折測定>
上記、製造した粒子S−1〜S−14のX線回折測定はMiniFlex600(リガク社製)を用いて、以下の条件で行った。
測定サンプルは、測定範囲内に回折ピークを持たない無反射試料板(リガク製)に粉末のまま平らになるように軽く押さえながら乗せた。平らになったら、試料板ごと装置へセットし測定した。
[X線回折の測定条件]
管球:Cu
平行ビーム光学系
電圧:40kV
電流:15mA
開始角度:3°
終了角度:60°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:10.00°/min
発散スリット:0.625deg
散乱スリット:8.0mm
受光スリット:13.0mm(Open)
測定から得られたX線回折パターンにおいて、2θ=32.20±0.20の位置に現れたピークの半値幅を算出した(θはブラッグ角)。ピークの半値幅の算出は、リガク製解析ソフト「PDXL」を用いて行った。結果を表1に示す。
<一次粒子の平均粒径の測定>
上記、製造した粒子S−1〜S−14の一次粒子の平均粒径(個数平均粒径)は、透過電子顕微鏡「H−800」(日立製作所社製)で観察し、最大200万倍に拡大した視野において、100個の一次粒子の長径を測定して一次粒子の平均粒径を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2019061219
[表面処理されたチタン酸ストロンチウム粒子の製造例]
<表面処理された粒子S−1Aの製造例>
上記、製造した粒子S−1、100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)2部を添加し、6時間攪拌させた。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された粒子S−1Aを得た。
<表面処理された粒子S−1Bの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤の添加量を0.75部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Bを製造した。
<表面処理された粒子S−1Cの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤の添加量を5部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Cを製造した。
<表面処理された粒子S−1Dの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤をN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Dを製造した。
<表面処理された粒子S−1Eの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤をイソブチルトリメトキシシラン(商品名:Z−2306、東レ・ダウコーニング(株)製)5部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Eを製造した。
<表面処理された粒子S−1Fの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤をトリフルオロプロピルメトキシシラン(商品名:KBM−7103、信越化学工業(株)製)5部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Fを製造した。
<表面処理された粒子S−1Gの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、シランカップリング剤をイソブチルトリメトキシシラン4.6部、およびトリフルオロプロピルメトキシシラン4.6部に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−1Gを製造した。
<表面処理された粒子S−2A〜S−14Aの製造例>
表面処理された粒子S−1Aの製造例において、粒子S−1を粒子S−2〜S−14に変更した以外は、粒子S−1Aの製造例と同様にして、表面処理された粒子S−2A〜S−14Aを製造した。
[実施例A1]
支持体(導電性支持体)として、長さ357.5mm、厚さ0.7mm、外径30mmのアルミニウムシリンダーを用意した。用意したアルミニウムシリンダーを、旋盤を用いて表面の切削加工を行った。
切削条件として、R0.1のバイトを用い、主軸回転数=10000rpm、バイトの送り速度を0.03〜0.06mm/rpmの範囲で連続的に変化させて加工した。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部、ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化バイエルウレタン(株)製)15部をメチルエチルケトン300部と1−ブタノール300部の混合液に溶解した。
この溶液に、チタン酸ストロンチウム粒子として粒子S−1Aを120部と、添加剤として2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)1.2部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。
分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.01部を分散液に加えて攪拌し、下引き層用塗布液を得た。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、これを30分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が2.0μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記式(A)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル600部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.19μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2019061219
次に、下記式(B)で示される化合物(電荷輸送物質)60部、下記式(C)で示される化合物(電荷輸送物質)30部、下記式(D)で示される化合物10部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、下記式(E)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.02部を、o−キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2019061219
次に、下記式(M1)で示される繰り返し構造単位および下記式(M2)で示される繰り返し構造単位を有する樹脂(重量平均分子量:130,000、共重合比(M1)/(M2)=1/1(モル比))1.65部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)40部及び1−プロパノール55部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
その後、下記式(F)で示される正孔輸送性化合物52.0部、下記式(G)で示される化合物(アロニックスM−315、東亞合成(株)製)16.0部、下記式(H)で示される化合物(シグマ−アルドリッチ製)2.0部、シロキサン変性アクリル化合物0.75部(BYK−3550、ビックケミー・ジャパン(株)製)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン35部及び1−プロパノール15部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液を調製した。
Figure 2019061219
Figure 2019061219
この保護層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間40℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70KV、吸収線量15kGyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が135℃になる条件で15秒間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から15秒間の加熱処理までの酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において、塗膜が105℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層を形成した。このようにして凹部形成前の電子写真感光体を作製した。
[モールド圧接形状転写による凹部の形成]
次に、圧接形状転写加工装置に型部材(モールド)を設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。
具体的には、概ね図5に示す構成の圧接形状転写加工装置に、図4に示すモールドを設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。図4は、実施例および比較例で用いたモールドを示す図である。図4(a)はモールドの概略を示す上面図、図4(b)はモールドの凸部の電子写真感光体の軸方向の概略断面図(図4(a)のB−B断面における断面図)である。図4(c)はモールドの凸部の電子写真感光体の周方向の断面図(図4(a)のC−C断面の断面図)である。図4に示されるモールドは、最大幅(モールド上の凸部を上から見たときの電子写真感光体の軸方向の最大幅のこと。)X:50μm、最大長さ(モールド上の凸部を上から見たときの電子写真感光体の周方向の最大長さのこと。)Y:75μm、面積率56%、高さH:4μmの凸形状である。なお、面積率とは、モールドを上から見たときに表面全体に占める凸部の面積の比率である。加工時には、電子写真感光体の表面の温度が120℃になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御した。そして、7.0MPaの圧力で電子写真感光体と加圧部材をモールドに押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させて、電子写真感光体の表面層(周面)の全面に凹部を形成した。
以上のようにして、実施例A1の電子写真感光体を電気特性評価用、およびX線回折測定用にそれぞれ1本ずつ作製した。
[電子写真感光体の評価]
<電子写真感光体の電気特性評価1>
電子写真感光体の電気特性評価1として、キヤノン(株)製の電子写真装置imageRUNNER ADVANCE C3330の改造機を使用した。帯電手段としては、直流電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)に印加する方式を用いて、評価を行った。
評価装置は、温度23℃湿度50%RHの環境下に設置した。電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
帯電性の評価として、帯電部材(帯電ローラー)へ直流電圧−1500Vを印加した際の、電子写真感光体の表面電位(暗部電位)Vd1を評価した。結果を表2に示す。
帯電性については、上記評価条件で測定された暗部電位Vd1の絶対値|Vd1|が、750V以上であればランクA、700V以上であればランクB、650V以上であればランクC、650V未満の場合にはランクDとして評価した。
次に、暗部電位Vd1が−700Vになるように帯電部材(帯電ローラー)への印加電圧を調整した。波長780nmのレーザー光を照射した際の明部電位Vl1が−200Vになるようにレーザー光量を調整し、ベタ黒画像を10枚連続出力後の残留電位Vr1を評価した。結果を表2に示す。
残留電位については、上記評価条件で測定された残留電位Vr1の絶対値|Vr1|が、70V以下であればランクA、100V以下であればランクB、100Vよりも大きい場合にはランクCとして評価した。
<下引き層のX線回折測定>
まず、メチルエチルケトンとメタノールを用いてX線回折測定用に用意した感光体から電荷発生層以上の層を取り除いた。
次に、カッターナイフを用いて下引き層を切り出し、切り出した下引き層を乳鉢を用いて粉末状にした後、無反射試料板(リガク製)に粉末が平らになるように軽く押さえながら乗せた。平らになったサンプルを、試料板ごと装置へセットした。
測定はMiniFlex600(リガク社製)を用いて、以下の条件で行った。
測定から得られたX線回折パターンにおいて、2θ=32.20±0.20の位置に現れたピークの半値幅を算出した(θはブラッグ角)。ピークの半値幅の算出は、リガク製解析ソフト「PDXL」を用いて行った。結果を表2に示す。
[X線回折の測定条件]
管球:Cu
平行ビーム光学系
電圧:40kV
電流:15mA
開始角度:3°
終了角度:60°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:10.00°/min
発散スリット:0.625deg
散乱スリット:8.0mm
受光スリット:13.0mm(Open)
[実施例A2]
実施例A1において、下引き層用塗布液に添加する2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン1.2部を、アリザリン(東京化成工業(株)製)1.2部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A2の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A3]
実施例A1において、下引き層用塗布液に添加する2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン1.2部を、9−フルオレノン(東京化成工業(株)製)1.2部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A3の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A4]
実施例A1において、下引き層用塗布液に添加する2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン1.2部を添加しなかった以外は、実施例A1と同様にして、実施例A4の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A5〜A10]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−1B〜1Gに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A5〜A10の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A11]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−1に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A11の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A12]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−4Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A12の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A13]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−5Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A13の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A14]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−7Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A14の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A15]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−2Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A15の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A16]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−3Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A16の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A17]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−6Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A17の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A18]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−8Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A18の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A19]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたシリコーンオイルを用いなかった以外は、実施例A1と同様にして、実施例A19の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A20]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたブチラール樹脂15部とブロック化イソシアネート15部を、ブチラール樹脂25部とブロック化イソシアネート25部に変更、および、粒子S−1A120部を100部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A20の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A21]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたブチラール樹脂15部とブロック化イソシアネート15部を、ブチラール樹脂19部とブロック化イソシアネート18.5部に変更、および、粒子S−1A120部を112.5部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A21の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A22]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたメチルエチルケトン300部と1−ブタノール300部を、THF600部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A22の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A23]
実施例A1において、下引き層の膜厚2.0μmを、1.0μmに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A23の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A24]
実施例A1において、下引き層の膜厚2.0μmを、5.0μmに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A24の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A25]
実施例A1において、下引き層を以下に記載する方法によって形成した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A25の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)27部、ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化バイエルウレタン(株)製)27部をメチルエチルケトン115部と1−ブタノール115部の混合液に溶解した。
この溶液に、チタン酸ストロンチウム粒子として粒子S−1Aを135部と、添加剤として2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)1.35部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。
分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.02部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)製)9.5部を分散液に加えて攪拌し、下引き層用塗布液を得た。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、これを30分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が18.0μmの下引き層を形成した。
[実施例A26]
実施例A25において、下引き層の膜厚18μmを、30.0μmに変更した以外は、実施例A25と同様にして、実施例A26の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A27]
実施例A1において、下引き層用塗布液の乾燥条件30分間/160℃を、20分間/170℃に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A27の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A28]
実施例A1において、下引き層用塗布液の乾燥条件30分間/160℃を、50分間/150℃に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A28の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A29]
実施例A1において、支持体として以下に記載される方法によって加工を行ったアルミニウムシリンダーを用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A29の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
円筒状アルミニウムシリンダー(直径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mm)を施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、表面粗さRz=0.2μmになるように切削加工した。この時の主軸回転数は3000rpm、バイトの送り速度は0.3mm/revで加工時間はワークの着脱を除き24秒であった。
表面粗さの測定は、JIS B 0601に準拠し小坂研究所表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmで行った。
得られたアルミニウム切削管に対して、液体(湿式)ホーニング装置を用いて、下記条件にて液体ホーニング処理を行った。
<液体ホーニング条件>
研磨材砥粒=球状アルミナビーズ平均粒径30μm
(商品名:CB−A30S、昭和電工株式会社製)
懸濁媒体=水
研磨材/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム切削管の回転数=1.67S−1
エアー吹き付け圧力=0.15MPa
ガン移動速度=13.3mm/sec.
ガンノズルとアルミニウム管の距離=200mm
ホーニング砥粒吐出角度=45°
研磨液投射回数=1回(片道)
ホーニング後のシリンダー表面粗さはRmax2.53μm、Rz1.51μm、Ra0.23μm、Sm34μmであった。上記の様にして湿式ホーニング処理を施した直後にアルミニウムシリンダーをいったん純水を張った浸漬槽に浸漬し、引き上げ、シリンダーが乾燥する前に純水シャワー洗浄を施した。その後、吐出ノズルより85℃の温水を基体の内表面に吐出、接触させ、外表面を乾燥させた。その後、自然乾燥にて基体内表面を乾燥させた。
以上のように表面加工を行なったアルミニウムシリンダーを電子写真感光体の支持体として用いた。
[実施例A30]
実施例A1において、支持体として以下に記載される方法によって加工を行ったアルミニウムシリンダーを用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A30の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
円筒状アルミニウムシリンダーを施盤に装着し、単結晶ダイヤモンドバイト(先端R20mm)を用いて切削加工を行った。この時の主軸回転数は3000rpm、バイトの送り速度は5mm/秒で切削加工した。
[実施例A31]
実施例A1において、支持体と下引き層の間に下記導電層を設けたこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A31の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
被覆層を有する酸化チタン粒子57部(商品名:パストランLRS、三井金属鉱業(株)製)、レゾール型フェノール樹脂35部(商品名:フェノライト J−325、DIC(株)(旧:大日本インキ化学工業(株))製、固形分60%のメタノール溶液)、2−メトキシ−1−プロパノール33部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調整した。この分散液に含有される粉体の平均粒径は、0.30μmであった。
この分散液に、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社(旧:東芝シリコーン(株))製)8部を2−メトキシ−1−プロパノール8部に分散した液を添加した。さらに、シリコーンオイル0.008部(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)(旧:東レシリコーン(株))製)を添加した。
このようにして調製した分散液を、アルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、これを150℃に調整した熱風乾燥機中で30分間加熱硬化し、分散液の塗布膜を硬化させることにより、膜厚30μmの導電層を形成した。
[実施例A32]
実施例A1において、表面層(保護層)の形成において、以下に記載した方法で調整した表面層用塗布液(保護層用塗布液)を用いた以外は、実施例A1と同様にして、実施例A32の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
上記式(F)で示される化合物100部、1−プロパノール200部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)100部を混合し、撹拌した。
その後ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)でこの溶液を濾過することによって、表面層用塗布液(保護層用塗布液)を調製した。
[実施例A33]
実施例A1において、表面層(保護層)の形成において、以下に記載した方法で調整した表面層用塗布液(保護層用塗布液)を用いた以外は、実施例A1と同様にして、実施例A33の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した。
その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を上記溶解液に加えた混合液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
その後、上記式(F)で示される化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、表面層用塗布液(保護層用塗布液)を調製した。
[実施例A34]
実施例A1において、電子写真感光体の表面加工を、以下に記載する研磨装置を用いた加工に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A34の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
表面研磨前の電子写真感光体の表面を研磨した。研磨は図3の研磨装置を用い、以下の条件で行った。
研磨シートの送りスピード;400mm/min
電子写真感光体の回転数;450rpm
電子写真感光体のバックアップローラーへの押し込み;3.5mm
研磨シートと電子写真感光体の回転方向;ウィズ
バックアップローラー;外径100mm、アスカーC硬度25
研磨装置に装着する研磨シートAは、理研コランダム株式会社製のGC3000とGC2000に用いられている研磨砥粒を混合して作製した。
GC3000(研磨シート表面粗さRa0.83μm)
GC2000(研磨シート表面粗さRa1.45μm)
研磨シートA(研磨シート表面粗さRa1.12μm)
研磨シートAを用いた研磨の時間は20秒間とした。
[実施例A35]
実施例A1において、表面層(保護層)を設けず、電荷輸送層を以下に記載する方法で形成した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A35の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
上記式(B)で示される化合物(電荷輸送物質)72部、
上記式(D)で示される化合物(電荷輸送物質)8部、
下記式(I)で示される構造を有する樹脂を100部、
下記式(J)で示される構造を有する樹脂を1.8部
o−キシレン360部、
安息香酸メチル160部、及び、
ジメトキシメタン(メチラール)270部
を混合し、電荷輸送層用塗布液とした。
次に、この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を50分間125℃で乾燥させることによって、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2019061219
(式(I)中、mおよびnは共重合比を示し、m:n=7:3)
[実施例A36]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いるブチラール樹脂15部、およびブロック化イソシアネート15部を、フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、DIC(株)製)30部に変更し、メチルエチルケトン300部、および1−ブタノール300部を、メタノール300部、および1−メトキシ−2−プロパノール300部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A36の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A37]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いるブチラール樹脂15部、およびブロック化イソシアネート15部を、アルコール可溶性共重合ポリアミド(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)30部に変更し、メチルエチルケトン300部をメタノール300部に変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A37の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A38]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−9Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A38の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A39]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−11Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A39の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A40]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−12Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A40の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例A41]
実施例A1において、下引き層を以下に記載する方法によって形成した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A41の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
<アンモニア還元した酸化ニオブ粒子N−1の製造例>
平均一次粒径60nmの五酸化ニオブ微粉末を、線流速3cm/secのアンモニアガス気流下で700℃にて6時間還元処理を行った。続いて得られた粉末に10%塩酸水溶液を加えて、撹拌して静置した。得られた上澄みを除去し、水によるデカンテーションを2回行い、濾別した濾物を乾燥させた。得られた濾物に粉砕処理工程を施し、平均一次粒径が60nmである粒子N−1の粉末を得た。得られた粒子N−1の元素比率を下記ESCA分析によって分析した。測定条件は下記のとおりである。
<ESCA分析>
使用装置:アルバック・ファイ社製 VersaProbeII
X線源:Al Kα1486.6eV(25W15kV)
測定エリア:φ100μm
分光領域:300×200μm、角度45°
Pass Energy:58.70eV
Step Size:0.125eV
以上の条件により測定された各元素のピーク強度から、アルバック・ファイ社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(atoms%)を算出する。採用した各元素の測定ピークトップ範囲は以下のとおりである。
O:電子軌道1s由来の光電子のエネルギー:525〜545eV
N:電子軌道1s由来の光電子のエネルギー:390〜410eV
Nb:電子軌道2p由来の光電子のエネルギー:197〜217eV
尚、表面汚染の影響を除くため、Arイオンスパッタを0.5〜4.0kVの強度で実施したのち、測定を行った。
測定の結果、粒子N−1において、上記一般式(N)におけるXの値は、1.16、Yの値は0.78であった。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部、ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化バイエルンウレタン(株)製)15部をメチルエチルケトン115部と1−ブタノール115部の混合液に溶解した。
この溶液に、チタン酸ストロンチウム粒子として粒子S−3Aを94.5部と、前記、粒子N−1を40.5部と、添加剤として2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)1.35部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。
分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.02部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)製)9.5部を分散液に加えて攪拌し、下引き層用塗布液を得た。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、これを30分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が30.0μmの下引き層を形成した。
[実施例A42]
実施例A41において、下引き層用塗布液に用いた粒子S−3A、94.5部と、粒子N−1、40.5部を、粒子S−3A、67.5部と、粒子N−1、67.5部に変更した以外は、実施例A41と同様にして、実施例A42の電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例A43]
実施例A41において、下引き層用塗布液に用いた粒子S−3A、94.5部と、粒子N−1、40.5部を、粒子S−3A、128.25部と、粒子N−1、6.75部に変更した以外は、実施例A41と同様にして、実施例A43の電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例A44]
実施例A41において、下引き層の膜厚30.0μmを、15.0μmに変更した以外は、実施例A41と同様にして、実施例A44の電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例A45]
実施例A42において、下引き層の膜厚30.0μmを、15.0μmに変更した以外は、実施例A42と同様にして、実施例A45の電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例A46]
実施例A43において、下引き層の膜厚30.0μmを、15.0μmに変更した以外は、実施例A43と同様にして、実施例A46の電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例A47]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−14Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、実施例A47の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例A1]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−13Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、比較例A1の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例A2]
実施例A1において、下引き層用塗布液に用いたチタン酸ストロンチウム粒子S−1Aを、粒子S−10Aに変更した以外は、実施例A1と同様にして、比較例A2の電子写真感光体を作製し、電気特性評価、およびX線回折測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2019061219
次に、実施例A1〜A47、および比較例A1〜A2において、支持体(導電性支持体)として長さ370.0mm、厚さ1.0mm、外径30.5mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、実施例A1〜A47、および比較例A1〜A2と同様にして、実施例B1〜B47、および比較例B1〜B2の電子写真感光体を作製し、以下に示す電気特性評価2を行った。結果を表3に示す。
[電子写真感光体の評価]
<電子写真感光体の電気特性評価2>
電子写真感光体の電気特性評価2として、キヤノン(株)製の電子写真装置imagePRESS C850の改造機のシアンステーションを評価に使用した。
帯電手段としては、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)に印加する方式を用いて、評価を行った。
評価装置は、温度23℃湿度50%RHの環境下に設置した。電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
帯電性の評価として、2000Hz1500Vppの交流電圧を重畳させた直流電圧−830Vの電圧を帯電部材(帯電ローラー)へ印加した際の、電子写真感光体の表面電位(暗部電位)Vd2を評価した。結果を表3に示す。
帯電性については、上記評価条件で測定された暗部電位Vd2の絶対値|Vd2|が、750V以上であればランクA、700V以上であればランクB、650V以上であればランクC、650V未満の場合にはランクDとして評価した。
次に、暗部電位Vd2が−700Vになるように帯電部材(帯電ローラー)へ印加する直流電圧を調整した。波長680nmのレーザー光を照射した際の明部電位Vl2が−200Vになるようにレーザー光量を調整し、ベタ黒画像を10枚連続出力後の残留電位Vr2を評価した。結果を表3に示す。
残留電位については、上記評価条件で測定された残留電位Vr2の絶対値|Vr2|が、70V以下であればランクA、100V以下であればランクB、100Vよりも大きい場合にはランクCとして評価した。
Figure 2019061219
次に、実施例A1〜A47、および比較例A1〜A2において、支持体(導電性支持体)として、長さ370.0mm、厚さ3.0mm、外径84.0mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、実施例A1〜A47、および比較例A1〜A2と同様にして、実施例C1〜C47、および比較例C1〜C2の電子写真感光体を作製し、以下に示す電気特性評価3を行った。結果を表4に示す。
[電子写真感光体の評価]
<電子写真感光体の電気特性評価3>
電子写真感光体の電気特性評価3として、キヤノン(株)製の電子写真装置imagePRESS C850の改造機のブラックステーションを評価に使用した。
帯電手段としては、感光体とは非接触のグリッドおよびワイヤーに電圧を印加するコロナ帯電方式を用いて、評価を行った。
評価装置は、温度23℃湿度50%RHの環境下に設置した。電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
帯電性の評価として、ワイヤー電流−1000μA、グリッド電圧−850Vを印加した際の、電子写真感光体の表面電位(暗部電位)Vd3を評価した。結果を表4に示す。
帯電性については、上記評価条件で測定された暗部電位Vd3の絶対値|Vd3|が、750V以上であればランクA、700V以上であればランクB、650V以上であればランクC、650V未満の場合にはランクDとして評価した。
次に、暗部電位Vd3が−700Vになるようにグリッド電圧を調整した。波長680nmのレーザー光を照射した際の明部電位Vl3が−200Vになるようにレーザー光量を調整し、ベタ黒画像を10枚連続出力後の残留電位Vr3を評価した。結果を表4に示す。
残留電位については、上記評価条件で測定された残留電位Vr3の絶対値|Vr3|が、70V以下であればランクA、100V以下であればランクB、100Vよりも大きい場合にはランクCとして評価した。
Figure 2019061219
表2、表3、および表4に示すように、本発明のチタン酸ストロンチウム粒子を含有する下引き層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジおよび電子写真装置であれば、残留電位が抑制され、更に帯電特性が良好である。
1−1 支持体
1−2 下引き層
1−3 感光層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (12)

  1. 支持体、下引き層、および、感光層をこの順に有する電子写真感光体において、
    該下引き層が結着樹脂、および、チタン酸ストロンチウム粒子を含有し、
    該チタン酸ストロンチウム粒子は、CuKα特性X線回折パターンにおいて2θ=32.20±0.20の位置に最大ピークを有し(θはブラッグ角)、
    該最大ピークの半値幅が、0.10deg以上0.50deg以下である、
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径が、10nm以上150nm以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記半値幅が、0.23deg以上である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径が、10nm以上95nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記チタン酸ストロンチウム粒子が、表面処理剤により表面処理されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面処理剤がシランカップリング剤である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記シランカップリング剤が、アルキル基、アミノ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するシランカップリング剤である請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記下引き層が、電子受容性物質を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記下引き層が、下記式(1)および(2)で示される群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2019061219
    (式(1)中、Ra1〜Ra8は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、または、アミノ基を示す。)
    Figure 2019061219
    (式(2)中、Rb1〜Rb10は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、または、アミノ基を示す。)
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  11. 請求項1から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  12. 前記帯電手段として、前記電子写真感光体上に当接するように配置された帯電ローラー、および該帯電ローラーに直流電圧のみを印加することにより前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、
    を有することを特徴とする請求項11に記載の電子写真装置。
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