JP2023048960A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、並びに電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、並びに電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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JP2023048960A
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【課題】フッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れ、かつ、繰り返し使用時における電位変動が抑制された表面層を有する電子写真感光体を提供すること。【解決手段】表面層を有する電子写真感光体において、前記表面層が、フッ素原子含有樹脂粒子、結着材料、および、特定の構造単位を有する重合体を含有することを特徴とする、電子写真感光体。【選択図】図1

Description

本開示は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置、並びに該電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真装置に搭載される電子写真感光体として、有機光導電性物質(電荷発生物質)を含有するものが広く使用されている。近年、電子写真感光体の長寿命化や繰り返し使用時の高画質化を目的として、電子写真感光体の機械的耐久性(耐摩耗性)の向上が求められている。
電子写真感光体の耐摩耗性を向上させる技術として、電子写真感光体の表面層にフッ素原子含有樹脂粒子を含有させ、表面層とクリーニングブレードなどの接触部材との間の摩擦を低下させる方法が挙げられる。特許文献1では、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子の分散液を表面層用塗布液として用いて表面層を形成させる技術が開示されている。
また、フッ素原子含有樹脂粒子の分散液を調製する際には、分散性を高める目的でフッ素原子を含有する(メタ)アクリル系ポリマーをフッ素原子含有樹脂粒子の分散剤として用いる方法が知られている。特許文献2や特許文献3には、分散剤として特定構造のフッ素原子含有(メタ)アクリル系ポリマーを用い、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性を向上させる技術が開示されている。
特許文献4には、フッ素系グラフトポリマーとフッ素含有樹脂粒子とを含有する最表面層を有し、該フッ素系グラフトポリマーがpKa3以下の酸性基を有する構造単位を含む電子写真感光体が開示されている。
特開平06-332219号公報 特開2012-189715号公報 特開2009-104145号公報 特開2021-47236号公報
しかしながら、特許文献2や特許文献3に開示された技術では、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れた表面層が得られる一方で、電子写真感光体の繰り返し使用時において、電位変動が十分に抑制できない場合があった。とりわけ、長寿命化を目的とするため、耐摩耗性に優れた表面層を有する電子写真感光体において、長期繰り返し使用時の電位変動が大きいという課題があった。したがって、電子写真感光体の繰り返し使用時における、電位変動の抑制に対して改善の余地があった。
本開示の一態様は、繰り返し使用時における電位変動が抑制された電子写真感光体の提供に向けたものである。
また、本開示の別の態様は、前記電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、および、前記プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の提供に向けたものである。
また、本開示の別の態様は、前記電子写真感光体の製造方法の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、表面層を有する電子写真感光体であって、該表面層が、フッ素原子含有樹脂粒子と、結着材料と、下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを含有し、該重合体Aが、pKa3以下の酸性基を有する構成単位を有さない
Figure 2023048960000002
(式(1)中、R11は、水素原子またはメチル基を示す。R12は、単結合またはメチレン基を示す。RfおよびRfは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキレン基、または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキリデン基を示す。Rfは炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
ことを特徴とする、電子写真感光体が提供される。
該表面層は、pKa3以下の酸性基を有する構造単位を有する重合体を含有しないことが好ましい。
また、本開示の他の態様によれば、前記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジが提供される。
また、本開示の他の態様によれば、前記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置が提供される。
また、本開示の他の態様によれば、前記電子写真感光体の製造方法が提供される。
本開示の一態様によれば、表面層におけるフッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れ、かつ、繰り返し使用時における電位変動が抑制された電子写真感光体を提供できる。
電子写真感光体の構成の一例を示す概略図である。 研磨シートを用いた研磨機の一例を示す図である。 電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、および前記プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 電子写真感光体を有するプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 電子写真感光体を有する電子写真装置の一例を示す概略図である。
本発明者らの検討の結果、電子写真感光体の表面層に、フッ素原子含有樹脂粒子、結着材料および下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを含有させることで、
表面層におけるフッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れ、かつ、
繰り返し使用時における電位変動が抑制された
電子写真感光体が得られることを見出した。
Figure 2023048960000003
(式(1)中、R11は、水素原子またはメチル基を示す。R12は、単結合またはメチレン基を示す。RfおよびRfは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキレン基または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキリデン基を示す。Rfは、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
前記重合体Aは、pKa3以下の酸性基を有する構造単位を有さない。
前記表面層は、pKa3以下の酸性基を有する構造単位を有する重合体を含有してもよいし、含有しなくてもよいが、含有しないことが好ましい。
酸性基のpKaは、滴定など公知の方法を用いた測定により分かる。pKa3以下の酸性基としては、例えば、スルホン酸基(メタンスルホン酸:-2.6)、ホスホン酸基(第一解離:1.5)、リン酸基(第一解離:2.12)、フッ化アルキルカルボン酸基(例えば、トリフルオロ酢酸:-0.25、ジフルオロ酢酸:1.24、モノフルオロ酢酸:2.66)が挙げられる。
ここで、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aは、電子写真感光体の表面層を形成するための表面層用塗布液を調製する工程において、フッ素原子含有樹脂粒子の分散剤として働いていると本発明者らは考えている。
本開示の電子写真感光体が、表面層におけるフッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れ、かつ、繰り返し使用時において電位変動の抑制効果に優れる理由について、本発明者らは以下のように推測している。
フッ素原子含有樹脂粒子および分散剤を含有する表面層を有する電子写真感光体は、繰り返し使用において電位変動が大きい傾向がある。これは、表面層中に含有されるフッ素原子含有樹脂粒子に付着している分散剤が有する-(CF-鎖に電荷が溜まりやすいためであると考えられる。
本発明者らの検討の結果、-(CF-鎖を含む構造単位を有する重合体を表面層に含有させるにあたり、-(CF-鎖と-(CF-鎖との間に酸素原子を存在させることにより、電荷トラップを抑制する効果があることを見出した。ただし、-(CF-鎖の炭素数が多いほど電荷が溜まりやすく、電位変動の抑制効果が十分に得られない場合があった。
そこで、本発明者らのさらなる検討の結果、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを表面層に含有させることで、電荷トラップが抑制され、繰り返し使用時において電位変動が抑制された電子写真感光体が得られることを見出した。
前記式(1)中のRfおよびRfを炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキレン基または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキリデン基とし、Rfを炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基とする。そうすることで、前記式(1)で示される構造単位中に電荷が溜まるのを抑制できると考えられる。また、前記式(1)中のR12を単結合またはメチレン基とすることで、前記式(1)で示される構造単位とフッ素原子含有樹脂粒子の表面エネルギー差が小さくなり、フッ素原子含有樹脂粒子に付着しやすくなると考えられる。
<フッ素原子含有樹脂粒子>
本開示の電子写真感光体の表面層は、フッ素原子含有樹脂粒子を含有する。表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、表面層の全質量に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本開示において用いられるフッ素原子含有樹脂粒子に含有される樹脂としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンプロピレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂またはポリジクロロジフルオロエチレン樹脂。また、上記の樹脂を複数種含有する粒子を用いることも好ましい。上記の中でも、分散性の向上の観点から、フッ素原子含有樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂であることがより好ましい。
表面層の断面観察において、フッ素原子含有樹脂粒子は、走査型電子顕微鏡による二次電子像から測定した一次粒子の長径の算術平均(平均一次粒径)が、分散性の向上と電位変動の抑制の観点から、150nm以上300nm以下であることが好ましい。さらに、フッ素原子含有樹脂粒子は、平均一次粒径が、180nm以上250nm以下であることが好ましい。
フッ素原子含有樹脂粒子は、走査型電子顕微鏡による二次電子像から測定した一次粒子の面積と周長から算出した真円度の平均値(平均真円度)が、0.75以上であることが好ましい。
本開示の電子写真感光体の表面層が含有するフッ素原子含有樹脂粒子の平均一次粒径、および平均真円度の測定値を上記範囲に収めるには、下記の方法で測定し、算出する平均一次粒径および平均真円度の値が上記範囲に収まるようなフッ素原子含有樹脂粒子を用いることができる。
(平均一次粒径、平均真円度の測定方法)
すなわち、本開示の実施例において、電子写真感光体の表面層に含有させるフッ素原子含有樹脂粒子の平均粒径と平均真円度の測定は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて以下のように測定することで行った。フッ素原子含有樹脂粒子を市販のカーボン導電テープにつけ、圧縮エアで導電テープについていないフッ素原子含有樹脂粒子を取り除き、白金蒸着を行った。蒸着したフッ素原子含有樹脂粒子を日立ハイテクノロジー社製FE-SEM(S-4700)を使用して観察した。なお、FE-SEMの測定条件は以下のとおりである。
加速電圧:2kV
WD:5mm
倍率:2万倍
画素数:縦1280画素、横960画素(1画素あたりの大きさ:5nm)
得られた画像からImageJ(アメリカ国立衛生研究所(NIH)製のオープンソースソフトウェア)を使用して100個分の粒子のフェレ径を求め、平均値を算出し平均粒径とした。
また、同様に面積と周長を求め、下記式(II)より真円度を求め、平均値を算出し、平均真円度とした。
真円度=4×π×(面積)÷(周長の2乗) 式(II)
本開示のフッ素原子含有樹脂粒子は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<式(1)で示される構造単位を有する重合体A>
本開示の電子写真感光体の表面層は、下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを含有する。
Figure 2023048960000004
前記式(1)中、R11は、水素原子またはメチル基である。R12は、単結合またはメチレン基である。R12を炭素数2以上のアルキレンにすると、前記式(1)で示される構造単位とフッ素原子含有樹脂粒子との表面エネルギー差が大きくなるため、フッ素原子含有樹脂粒子に十分に付着しにくく、分散性が不十分になりやすい。RfおよびRfは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキレン基または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキリデン基である。Rfは、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基である。Rf~Rfを炭素数4以上にすると、前記式(1)で示される構造単位中に電荷が溜まるのを十分に抑制できず、電子写真感光体の繰り返し使用時において、電位変動を十分に抑制できない。
また、前記式(1)中、Rf~Rfの炭素数の合計は、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性の向上の観点から6以上9以下であることが好ましい。さらに、電位変動の抑制の観点から、Rf~Rfの炭素数の合計は、6以上8以下であることがより好ましい。
本開示において用いられる前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aに含有される、前記式(1)で示される構造単位としては、例えば下記の表1に示す構造が挙げられる。
Figure 2023048960000005
本開示の電子写真感光体の表面層に含有される重合体Aのうち、前記式(1)で示される構造単位の含有量は、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性の向上の観点から、該重合体Aが有する全構造単位に対して5個数%以上95個数%以下(0.1質量%以上80質量%以下)であることが好ましい。さらに、前記式(1)で示される構造単位は、該重合体Aが有する全構造単位に対して50個数%以上95個数%以下(1質量%以上80質量%以下)であることがより好ましい。さらに、前記式(1)で示される構造単位は、該重合体Aが有する全構造単位に対して70個数%以上90個数%以下(4質量%以上66質量%以下)であることがより好ましい。
本開示の電子写真感光体の表面層に含有される、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの重量平均分子量は、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性の向上と電位変動の抑制の観点から、16,000以上100,000以下であることが好ましい。さらに、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの重量平均分子量は、18,000以上80,000以下であることがより好ましい。
前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの重量平均分子量は、下記の方法で測定し、算出することができる。
(GPCによる重量平均分子量測定)
本開示に係る重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作製した分子量校正曲線を使用する。
表面層中における、フッ素原子含有樹脂粒子に対する、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの含有量は、分散性の向上と電位変動の抑制の観点から、2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。さらに、表面層中における、フッ素原子含有樹脂粒子に対する、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの含有量は、分散性の向上と電位変動の抑制の観点から、4質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
前記重合体Aは、前記式(1)で示される構造単位および下記式(2)で示される構造単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2023048960000006
(式(2)中、
A1は、無置換のアルキレン基を示し、
は、無置換のアルキレン基、ハロゲン原子で置換されたアルキレン基、ヒドロキシ基で置換されたアルキレン基、エステル結合(-COO-)、アミド結合(-NHCO-)、もしくは、ウレタン結合(-NHCOO-)、又は、これらの基もしくは結合の一種以上と-O-もしくは-S-とを組み合わせて導き出せる2価の連結基、又は単結合を示し、
は、式(2A)で表される構造、シアノ基、又はフェニル基を示し、
21、R22は、各々独立に、水素原子、又はメチル基を示し、
mは、25以上150以下の整数である。)
Figure 2023048960000007
(式(2A)中、ZA1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
式(2)中、Yがエステル結合を示す場合、-YA1-Y-CH-は、-YA1-CO-O-CH-および-YA1-O-CO-CH-のどちらでもよく、好ましくは、-YA1-CO-O-CH-である。また、式(2)中、Yがアミド結合を示す場合、-YA1-Y-CH-は、-YA1-NH-CO-CH-および-YA1-CO-NH-CH-のどちらでもよく、好ましくは、-YA1-NH-CO-CH-である。また、式(2)中、Yがウレタン結合の場合、-YA1-Y-CH-は、-YA1-NH-CO-O-CH-および-YA1-O-CO-NH-CH-のどちらでもよく、好ましくは、-YA1-NH-CO-O-CH-である。
また、前記式(2)中の-YA1-Y-は、-YA1-(YA2-(YA3-(YA4-(YA5-(YA6-で示される構造を有することが好ましい。
(YA1は、無置換のアルキレン基を示し、
A2は、ヒドロキシ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも一で置換されたメチレン基を示し、
A3は、無置換のアルキレン基を示し、
A4は、エステル結合、アミド結合またはウレタン結合を示し、
A5は、無置換のアルキレン基を示し、
A6は、酸素原子または硫黄原子を示し、
b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0または1を示す。)
前記重合体Aが、構造単位として、前記式(1)で示される構造単位、および前記式(2)で示される構造単位のみを有することが好ましい。
前記式(2)中の
Figure 2023048960000008
は、pKa3以下の酸性基でないことが好ましい。
前記式(2)中の
Figure 2023048960000009
は、-SOHでないことが好ましい。
前記式(1)で示される構造単位、および前記式(2)で示される構造単位を有する重合体Aにおいて、前記式(1)で示される構造単位と前記式(2)で示される構造単位の比は、モル比で1:19~19:1であることが好ましく、1:1~19:1であることがより好ましく、7:3~9:1であることがさらに好ましい。
前記式(2)で示される構造単位としては、例えば、下記の表2に示す構造を有するものが挙げられる。
Figure 2023048960000010
Figure 2023048960000011
<電子写真感光体>
図1に、本開示の電子写真感光体の層構成の一例を示す。図1中、支持体101上に、下引き層102、電荷発生層103、電荷輸送層104、表面層105が積層されている。感光層は、電荷発生層および電荷輸送層を有する積層型感光層で構成されてもよく、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層型感光層で構成されてもよい。
本開示の電子写真感光体の表面層は、フッ素原子含有樹脂粒子および前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを含有する。
本開示の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層を順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、本開示の電子写真感光体の構成について説明する。
<支持体>
電子写真感光体の支持体は導電性を有するもの(導電性支持体)であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレス、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与することが好ましい。
<導電層>
支持体の上には、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体の表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物粒子を用いることが好ましく、特に、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化亜鉛粒子を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物粒子を用いる場合、金属酸化物粒子の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物粒子にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子、酸化亜鉛粒子などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物粒子が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物粒子を用いる場合、その体積平均粒径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層は、上記の各材料および溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。導電層用塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
導電層の膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
<下引き層>
本開示において、支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物粒子、金属粒子、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物粒子を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物粒子としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの粒子が挙げられる。二酸化ケイ素の粒子を用いることもできる。金属粒子としては、金、銀、アルミニウムなどの粒子が挙げられる。
下引き層に含まれる金属酸化物粒子は、シランカップリング剤などの表面処理剤を用いて表面処理して用いてもよい。
金属酸化物粒子を表面処理する方法は、一般的な方法が用いられる。例えば、乾式法や湿式法が挙げられる。
乾式法は、金属酸化物粒子をヘンシェルミキサーのような高速攪拌可能なミキサーの中で攪拌しながら、表面処理剤を含有するアルコール水溶液、有機溶媒溶液、または水溶液を添加し、均一に分散させた後に乾燥を行うものである。
また、湿式法は、金属酸化物粒子と表面処理剤とを溶剤中で攪拌、またはガラスビーズなどを用いてサンドミルなどで分散するものであり、分散後、ろ過、または減圧留去により溶剤除去が行われる。溶剤の除去後は、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。
下引き層には、さらに添加剤を含有させてもよく、例えば、アルミニウム粒子などの金属粒子、カーボンブラックなどの導電性物質粒子、電荷輸送物質、金属キレート化合物、有機金属化合物などの公知の材料を含有させることができる。
下引き層は、上記の各材料および溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体または導電層上に形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。
下引き層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などの有機溶剤が挙げられる。本開示においては、アルコール系、ケトン系溶剤を用いることが好ましい。
下引き層用塗布液を調製するための分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることが特に好ましい。また、下引き層の膜厚は、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する感光層である。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層である。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層は、上記の各材料および溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
(1-2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、結着材料と、を含有することが好ましい。
後述する保護層を設けない場合、電荷輸送層が電子写真感光体の表面層となる。この場合、電荷輸送層はフッ素原子含有樹脂粒子、結着材料、および、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを含有する。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、トリアリールアミン化合物、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
結着材料としては、熱可塑性樹脂(以下、「樹脂」とも言う)を用いる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10~20:10が好ましく、5:10~12:10がより好ましい。
電荷輸送層中のフッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。さらに、電荷輸送層中のフッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、7質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層は、上記の各材料および溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を電荷発生層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂および溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<保護層>
本開示において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層を設ける場合、保護層が電子写真感光体の表面層となる。この場合、保護層はフッ素原子含有樹脂粒子、結着材料、および、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを含有する。
保護層は、結着材料の原料となる、例えば、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキルメチロール基、エポキシ基、金属アルコキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合を含有する基等が挙げられる。炭素-炭素二重結合を含有する基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有するモノマーを用いてもよい。
ここで、重合性官能基を有するモノマーの硬化物が、保護層の結着材料である。
重合性官能基を有するモノマーとしては、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。
連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物としては、下記式(CT-1)または(CT-2)で示される化合物であることがより好ましい。
Figure 2023048960000012
(前記式(CT-1)中、Ar11~Ar13は、それぞれ独立に、置換のアリール基もしくは無置換のアリール基である。該置換のアリール基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基である。ただし、前記式(CT-1)で示される化合物は、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基を少なくとも1つ有する。)
Figure 2023048960000013
(前記式(CT-2)中、Ar21~Ar24は、それぞれ独立に、置換のアリール基もしくは無置換のアリール基であり、Ar25は、置換のアリーレン基もしくは無置換のアリーレン基である。該置換のアリール基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)で示される1価の官能基である。該置換のアリーレン基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)で示される1価の官能基である。ただし、前記式(CT-2)で示される化合物は、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基を少なくとも1つ有する。)
Figure 2023048960000014
(前記式(P-1)中、Z11は、単結合、または、炭素数1以上6以下のアルキレン基であり、X11は、水素原子、または、メチル基である。)
Figure 2023048960000015
(前記式(P-2)中、Z21は、単結合、または、炭素数1以上6以下のアルキレン基である。)
Figure 2023048960000016
(前記式(P-3)中、Z31は、単結合、または、炭素数1以上6以下のアルキレン基である。)
保護層中のフッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、20質量%以上40質量%以下であることが好ましい。さらに、保護層中のフッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、25質量%以上35質量%以下であることが好ましい。
保護層は、下記式(3)で示される化合物を含有することが好ましい。また、表面層用塗布液作製の際には、分散媒として用いる観点から、下記式(3)で示される化合物は液体化合物であることが好ましい。
Figure 2023048960000017
前記式(3)中、R31は、アルキル基またはフルオロアルキル基である。R32は、フルオロアルキル基である。R31はフルオロアルキル基であることが好ましい。
前記式(3)で示される化合物として、例えば、メチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、などが挙げられる。中でも、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルが、分散性の向上および電位変動の抑制の観点から好ましい。
保護層中において、前記式(3)で示される化合物の含有量は、1ppm以上10ppm以下であることが、電位変動の抑制の観点から好ましい。さらに、前記式(3)で示される化合物が、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルであることが、より好ましい。
保護層中の前記式(3)で示される化合物の含有量の測定方法としては、例えばGCMS分析による方法などが挙げられる。測定試料としては、電子写真感光体上の表面層をカミソリなどで削り取ったものを皮膜質量とする。この測定試料をGCMSにより分析することで、表面層に含有される式(3)で示される化合物の含有量を測定することができる。尚、GCMS分析に用いる装置としては、例えばGCMS-QP2000((株)島津製作所製)が利用可能である。本開示の実施例においても、上述の方法で測定試料を得た後、上述のGCMS装置を用いて、前記式(3)で示される化合物の含有量を測定した。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイルなどが挙げられる。
保護層は、上記の各材料および溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を感光層上に形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
保護層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
<電子写真感光体の表面加工>
本開示において、電子写真感光体の表面加工を行ってもよい。表面加工を行うことで、電子写真感光体に接触させるクリーニング手段(クリーニングブレード)の挙動をより安定化させることができる。表面加工の方法として、凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行う方法や、機械的研磨による凹凸形状付与を行う方法、または、電子写真感光体の表面へ粉体を衝突させ、表面を粗面化する方法が挙げられる。このように、電子写真感光体の表面層に凹部または凸部を設けることで、電子写真感光体に接触させるクリーニング手段の挙動をより安定化させることができる。
上記凹部または凸部は、電子写真感光体の表面の全域に形成されていてもよいし、電子写真感光体の表面の一部分に形成されていてもよい。凹部または凸部が電子写真感光体の表面の一部分に形成されている場合は、少なくともクリーニング手段(クリーニングブレード)との接触領域の全域には凹部または凸部が形成されていることが好ましい。
凹部を形成する場合は、凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことにより、電子写真感光体の表面に凹部を形成することができる。
<機械的研磨に用いる研磨具>
機械的研磨は公知の手段を利用できる。一般的には、電子写真感光体に研磨具を当接させ、何れか一方または両方を相対的に移動させて電子写真感光体の表面を研磨する。研磨具は、基材上に研磨砥粒が結着樹脂中に分散された層を設けてなる研磨部材である。
砥粒としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム、ダイヤモンド、酸化鉄、酸化セリウム、コランダム、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化モリブデン、炭化ケイ素、炭化タングステン、チタンカーバイトおよび酸化ケイ素などの粒子が挙げられる。砥粒の粒径は、0.01~50μmであることが好ましく、さらには1~15μmであることがより好ましい。砥粒の粒径が小さすぎると、研磨力が弱くなり、電子写真感光体の最表面のF/C比を増加させにくくなる。これらの砥粒は、1種類または2種類以上を混合して用いることができる。2種類以上を混合する場合は、材質や粒径が異なっていても同じでもよい。
研磨具に用いられる砥粒を分散させる結着樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂および防黴性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、ウレタンエラストマーおよびポリアミド-シリコーン樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。また、熱可塑性樹脂にイソシアネート系の硬化剤を添加してもよい。
研磨具の結着樹脂中に砥粒を分散させてなる層の膜厚は、1~100μmであることが好ましい。膜厚が厚すぎると膜厚ムラが生じやすく、結果、被研磨体の表面粗さのムラが問題となる。一方、膜厚が薄すぎると砥粒の脱落が起こりやすくなる。
研磨具の基材の形状は特に制限されない。本開示の実施例では、円筒状の電子写真感光体を効率的に研磨するためにシート状の基材を用いたが、他の形状でもよい。(以下、本開示の研磨具を研磨シートとも記載する。)研磨具の基材の材質も特に制限されない。例えば、シート状の基材の材質としては、紙、織布、不織布、プラスチックフィルムが挙げられる。
研磨具は、上記の砥粒、結着樹脂、結着樹脂を溶解可能な溶剤を混合し分散させた塗料を、基材上に塗布、乾燥して得ることができる。
<研磨装置>
本開示の電子写真感光体の研磨装置の一例について図2に示す。
図2は研磨シートを用いて円筒状の電子写真感光体を研磨する装置である。図2中、研磨シート2-1は中空の軸2-6に巻かれており、軸2-6に研磨シート2-1が送られる方向と逆方向に、研磨シート2-1に張力が与えられるようモーター(不図示)が配置されている。研磨シート2-1は矢印方向に送られ、ガイドローラー2-2a、2-2bを介してバックアップローラー2-3をとおり、研磨後の研磨シート2-1はガイドローラー2-2c、2-2dを介してモーター(不図示)により巻き取り手段2-5に巻き取られる。研磨は、研磨シート2-1を被処理体(研磨を行う前の電子写真感光体)2-4に常時圧接して行われる。研磨シート2-1は絶縁性であることが多いため、研磨シート2-1の接する部位には、アースに接地されたものまたは導電性を有するものを用いることが好ましい。
研磨シート2-1の送りスピードは10~1000mm/minの範囲が好ましい。送り量が少ないと、研磨シート2-1表面への結着樹脂の付着、これに起因して被処理体2-4表面に深傷が生じる場合がある。
被処理体2-4は、研磨シート2-1を介してバックアップローラー2-3と対向した位置に置かれる。バックアップローラー2-3は被処理体2-4の表面粗さの均一性を向上させる観点から、弾性体であることが好ましい。この際、研磨シート2-1を介して被処理体2-4とバックアップローラー2-3が所望の設定値で所定の時間押し当てられ、被処理体2-4の表面が研磨される。被処理体2-4の回転方向は、研磨シート2-1の送られる方向と同一であってもよいし、対向であってもよい。また、研磨の途中で回転方向を変更してもよい。
バックアップローラー2-3の被処理体2-4に対する押し当て圧は、バックアップローラー2-3の硬度や研磨時間にもよるが、0.005~15N/mが好ましい。
電子写真感光体の表面粗さは、研磨シート2-1の送りスピード、バックアップローラー2-3の押し当て圧、研磨シートの砥粒種、研磨シートの結着樹脂の膜厚、基材の厚みなどを適宜選択することにより調整できる。
<JIS B0601 1982における最大高さRmaxの測定>
電子写真感光体の表面粗さは、公知の手段で測定できる。例えば、以下のものが挙げられる。
株式会社小坂研究所社製の表面粗さ測定器サーフコーダSE3500型などの表面粗さ計。株式会社菱化システム社製の非接触3次元表面測定機マイクロマップ557N。株式会社キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡VK-8550、VK-9000などの3次元形状を取得できる顕微鏡。
本開示においては、表面粗さの指標のうち、日本工業規格JISによって規定されたJIS B0601 1982における最大高さRmaxを研磨深さL(μm)として用いる。また本開示においては、後述するX線光電子分光法の検体として切り出す電子写真感光体の5mm角切片の範囲について、あらかじめRmaxを測定する。測定は5mm角の範囲において任意に3か所行い、その平均値を研磨深さL(μm)として採用する。
<プロセスカートリッジ、電子写真装置>
本開示の電子写真感光体は、プロセスカートリッジまたは電子写真装置の構成要素の1つであってもよい。プロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。また、電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする。
図3に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
円筒状(ドラム状)の電子写真感光体201は、軸202を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。電子写真感光体201の表面は、回転過程において、帯電手段203により、正または負の所定電位に帯電される。なお、図3においては、ローラー型帯電部材によるローラー帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体201の表面には、露光手段(不図示)から露光光204が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。露光光204は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光であり、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される。電子写真感光体201の表面に形成された静電潜像は、現像手段205内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体201の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体201の表面に形成されたトナー像は、転写手段206により、転写材207に転写される。このとき、転写手段206には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材207が紙である場合、転写材207は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体201と転写手段206との間に電子写真感光体201の回転と同期して給送される。電子写真感光体201からトナー像が転写された転写材207は、電子写真感光体201の表面から分離されて、定着手段208へ搬送され、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体201の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段209を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、いわゆる、クリーナーレスシステムを用いてもよい。上記の電子写真感光体201、帯電手段203、現像手段205、およびクリーニング手段209などから選択される構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納め、一体に支持してプロセスカートリッジを形成できる。また、それを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成できる。例えば以下のように構成する。帯電手段203、現像手段205およびクリーニング手段209から選択される少なくとも1つを、電子写真感光体201とともに一体に支持してカートリッジ化する。これを、電子写真装置本体のレールなどの案内手段212を用いて、電子写真装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ211とすることができる。電子写真装置は、電子写真感光体201の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光210により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、プロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段212を設けてもよい。本開示の電子写真装置は、電子写真感光体201、ならびに、帯電手段203、露光手段、現像手段205および転写手段206を有することを特徴とする。
また図4には本開示の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ構成を、図5には図4のプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図4において、円筒状の電子写真感光体1は、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段2により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の周面は、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)3を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。帯電手段(帯電ローラなど)2に印加する電圧は、直流成分に交流成分を重畳した電圧、又は直流成分のみの電圧のどちらを用いてもよい。
電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段4の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)5からの転写バイアスによって、転写材(紙や中間転写体など)6に順次転写されていく。転写材6は電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光7により除電処理された後、クリーニング手段8によって転写残トナーの除去を受けて清浄面化され、電子写真感光体1は、画像形成に繰り返し使用される。なお、前露光手段はクリーニング工程の先でも後でもよいし、必ずしも前露光手段は必要ではない。
電子写真感光体1を複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置に装着してもよい。また、電子写真感光体1、帯電手段2、現像手段4およびクリーニング手段8などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めて一体に支持して構成したプロセスカートリッジ9を、電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。図4では、電子写真感光体1と、帯電手段2、現像手段4およびクリーニング手段8とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ9としている。
次に、本開示の電子写真感光体を備えた電子写真装置について説明する。
本開示の電子写真装置の構成の一例を図5に示す。イエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色、それぞれの色に対応したイエロー色用のプロセスカートリッジ17、マゼンタ色用のプロセスカートリッジ18、シアン色用のプロセスカートリッジ19、ブラック色用のプロセスカートリッジ20が、中間転写体10に沿って並置されている。電子写真感光体の径や構成材料、現像剤、帯電方式、およびその他の手段は、各色で必ずしも統一する必要はない。
画像形成動作が始まると、上述の画像形成プロセスに従って、中間転写体10に各色のトナー像が順次重ねられていく。並行して、転写紙11が給紙経路12によって給紙トレイ13から送り出され、中間転写体の回転動作とタイミングを合わせて、二次転写手段14へと給送される。二次転写手段14からの転写バイアスによって、中間転写体10上のトナー像が転写紙11に転写される。転写紙11上に転写されたトナー像は、給紙経路12に沿って搬送され、定着手段15によって転写紙上に定着され、排紙部16から排紙される。
本開示の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、および、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例および比較例を用いて本開示をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの合成>
本開示における、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体A(以下、「グラフト共重合体」とも表記する。)は、下記のようにして合成した。なお、下記合成例で用いたアクリレート化合物およびマクロモノマー化合物は、例えば、特開2009-104145号公報を参照することにより製造することができる。
(グラフト共重合体1)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート(シグマアルドリッチ社製)50部、下記式(A)で示されるマクロモノマー(数平均分子量6,000)75部、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)(商品名:OTAZO-15、大塚化学(株)製)0.437部、酢酸n-ブチル338部を、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、恒温槽および温度計を備えたガラス製フラスコ中、20℃、窒素雰囲気下で30分混合したのち、反応液が85~90℃になるように加温し5時間反応させた。氷冷により反応を停止し、2-プロパノールを1500部加えることにより沈殿物を得た。この沈殿物を酢酸n-ブチル:2-プロパノール=1:5の混合溶媒により洗浄し、温度80℃、1325Pa以下の減圧状態で3時間乾燥させることでグラフト共重合体1を得た。
Figure 2023048960000018
(グラフト共重合体2)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-4,6-ジオキサノナノイル)アクリレートに変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体2を得た。
(グラフト共重合体3)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H-パーフルオロ(4,7-ジオキサノナノイル)アクリレート40部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体3を得た。
(グラフト共重合体4)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H-パーフルオロ(3,6-ジメチル-4,7-ジオキサデカノイル)アクリレート55部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体4を得た。
(グラフト共重合体5)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート2.5部、前記式(A)で示されるマクロモノマー570部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体5を得た。
(グラフト共重合体6)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート12.5部、前記式(A)で示されるマクロモノマー450部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体6を得た。
(グラフト共重合体7)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート25部、前記式(A)で示されるマクロモノマー300部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体7を得た。
(グラフト共重合体8)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート35部、前記式(A)で示されるマクロモノマー180部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体8を得た。
(グラフト共重合体9)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート56.25部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体9を得た。
(グラフト共重合体10)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)0.819部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体10を得た。
(グラフト共重合体11)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)0.728部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体11を得た。
(グラフト共重合体12)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)0.164部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体12を得た。
(グラフト共重合体13)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)0.131部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体13を得た。
(グラフト共重合体14)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)0.874部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体14を得た。
(グラフト共重合体15)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)0.119部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体15を得た。
(グラフト共重合体16)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート20部、前記式(A)で示されるマクロモノマー360部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体16を得た。
(グラフト共重合体17)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレート50部、前記式(A)で示されるマクロモノマー30部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体17を得た。
(グラフト共重合体18)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H-パーフルオロ(3,5-ジオキサヘキサノイル)アクリレート25部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体18を得た。
(グラフト共重合体19)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H-パーフルオロ(3,6-ジオキサオクタノイル)アクリレート35部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体19を得た。
(グラフト共重合体20)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H-パーフルオロ(4,7-ジオキサウンデカノイル)アクリレートに変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体20を得た。
(グラフト共重合体21)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H,2H,2H-パーフルオロ(3,6-ジメチル-4,7-ジオキサデカノイル)アクリレートに変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体21を得た。
(グラフト共重合体22)
1H,1H-パーフルオロ(2,5-ジメチル-3,6-ジオキサノナノイル)アクリレートを1H,1H,2H,2H-パーフルオロ(4,7-ジオキサウンデカノイル)アクリレートに変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体22を得た。
得られたグラフト共重合体1~22を、上述の方法でGPC測定を行い、重量平均分子量を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2023048960000019
<電子写真感光体の作製>
〔実施例1-1〕
(支持体1)
支持体(導電性支持体)として、円筒状アルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金、外径30.6mm、長さ370mm、肉厚1mm)を切削加工したものを用いた。純水に洗剤(商品名:ケミコールCT、常磐化学(株)製)を含有させた洗浄液中で超音波洗浄を行い、続いて洗浄液を洗い流した後、さらに純水中で超音波洗浄を行って、脱脂処理し、これを支持体1とした。
(下引き層1)
酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学社製)0.8部を添加し、6時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子Aを得た。
続いて、ポリオールとしてブチラール(商品名:BM-1,積水化学工業(株)製)15部、およびブロック化イソシアネート(商品名:デュラネートTPA-B80E、不揮発分80質量%、旭化成ケミカルズ(株)製)15部を、メチルエチルケトン73.5部と1-ブタノール73.5部の混合溶媒に溶解させた。この溶液に、表面処理された酸化亜鉛粒子Aを80.8部、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.81部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。
分散処理後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)(旧:東レダウコーニングシリコーン(株))製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:テクポリマーSSX-103、積水化成品工業(株)製、平均一次粒径:3μm)5.6部を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体1上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を30分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの下引き層1を形成した。
(電荷発生層1)
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)4部、および、下記式(E)で示される化合物0.04部を、シクロヘキサノン100部にポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業(株)製)2部を溶解させた液に加えた。その後、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルにて23±3℃の雰囲気下で1時間分散処理し、分散処理後、酢酸エチル100部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を下引き層1上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間90℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層1を形成した。
Figure 2023048960000020
(電荷輸送層1)
下記式(F)で示される化合物60部、下記式(G)で示される化合物30部、下記式(H)で示される化合物10部、および、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)100部、下記式(I)で示されるユニットを有するポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.2部を、o-キシレン272部、安息香酸メチル256部、および、ジメトキシメタン272部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を上記の電荷発生層1上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を50分間115℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層1を形成した。
Figure 2023048960000021
Figure 2023048960000022
Figure 2023048960000023
Figure 2023048960000024
(式(I)中、0.95および0.05は2つのユニットのモル比(共重合比)である。)
(保護層)
1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(商品名:AE-3000、AGC(株)社製)100部と1-プロパノール100部からなる混合溶媒に前述のグラフト共重合体1を2.20部溶解させ、分散剤溶液を調製した。
得られた分散剤溶液に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(平均一次粒径210nm、平均真円度0.85)40部を加えた。そして、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM-110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子分散液を得た。
得られたポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子分散液に、下記式(B)で示される正孔輸送性化合物75.4部、下記式(C)で示される化合物21.9部、および、1-プロパノール100部を加えた。その後、ポリフロンフィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子分散液(保護層用塗布液)を調製した。
Figure 2023048960000025
Figure 2023048960000026
この保護層用塗布液を、電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を5分間40℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、吸収線量15kGyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が135℃になる条件で15秒間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から15秒間の加熱処理までの酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において、塗膜の温度が25℃になるまで自然冷却し、その後、塗膜が105℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmの表面層(保護層)を形成した。
なお、表面層中の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの含有量は、5ppmであった。
このようにして、表面研磨前の、支持体および表面層を有する電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の表面加工>
(表面研磨前の電子写真感光体の研磨)
表面形状形成前の電子写真感光体の表面を研磨した。研磨は図2の研磨装置を用い、以下の条件で行った。
研磨シートの送りスピード;400mm/min
電子写真感光体の回転数;450rpm
電子写真感光体のバックアップローラーへの押し込み;3.5mm
研磨シートと電子写真感光体の回転方向;ウィズ
バックアップローラー;外径100mm、アスカーC硬度25
研磨装置に装着する研磨シートAは、理研コランダム株式会社製のGC3000とGC2000に用いられている研磨砥粒を混合して作製した。
GC3000(研磨シート表面粗さRa0.83μm)
GC2000(研磨シート表面粗さRa1.45μm)
研磨シートA(研磨シート表面粗さRa1.12μm)
研磨シートAを用いた研磨の時間は20秒間とした。
(研磨深さL(μm)の測定)
研磨後の電子写真感光体について、株式会社小坂研究所社製の表面粗さ測定器サーフコーダSE3500型を用いてJIS B 0601 1982に従う最大高さRmaxを測定した。測定条件は下記のように設定した。測定は5mm角の範囲において任意に3か所行い、その平均値を研磨深さL(μm)として採用した。表面研磨後の電子写真感光体の研磨深さLは0.75μmであった。また、後述する実施例1-2~1-25において、表面加工を行った電子写真感光体の研磨深さLは、全て0.75μmであった。
(測定条件)
検出器:R2μm
触針:0.7mNのダイヤモンド針
フィルタ:2CR
カットオフ値:0.08mm
測定長さ:2.5mm
送り速さ:0.1mm
〔実施例1-2~1-13、1-22~1-27、比較例1-1~1-3〕
保護層の形成において、グラフト共重合体1を表4に示すグラフト共重合体に変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして、電子写真感光体を作製した。表面層中の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの含有量を、表4に示す。
〔実施例1-14~1-15、1-20~1-21〕
保護層の形成において、グラフト共重合体1を表4に示す質量部に変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして、電子写真感光体を作製した。表面層中の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの含有量を、表4に示す。
〔実施例1-16~1-19〕
保護層の形成において、表4に示す平均一次粒径および平均真円度のポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子に変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして、電子写真感光体を作製した。表面層中の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの含有量を、表4に示す。
Figure 2023048960000027
〔実施例2-1〕
(支持体2)
支持体(導電性支持体)として、円筒状アルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金、外径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mm)を切削加工したものを用いた。純水に洗剤(商品名:ケミコールCT、常磐化学(株)製)を含有させた洗浄液中で超音波洗浄を行い、続いて洗浄液を洗い流した後、さらに純水中で超音波洗浄を行って、脱脂処理し、これを支持体2とした。
(下引き層2)
酸化亜鉛粒子(平均粒子径:70nm、比表面積値:15m/g)60部をテトラヒドロフラン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名:KBM603、信越化学社製)0.75部を添加し、2時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧留去して、120℃で3時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
続いて、ポリオールとしてブチラール(商品名:BM-1,積水化学工業(株)製)25部、およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュールBL-3173、住友バイエルウレタン社製)22.5部を、メチルエチルケトン142部に溶解させた。この溶液に、前記表面処理された酸化亜鉛粒子を100部、アリザリン1部を加え、これを直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて5時間分散した。
分散処理後、ジオクチルスズジラウレート0.008部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)6.5部を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体2上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を190℃で24分間乾燥させることによって、膜厚が15μmの下引き層2を形成した。
(電荷発生層2)
次に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶を15部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10部、n-ブチルアルコール300部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を前記下引き層2上に浸漬塗布し、得られた塗膜を150℃で5分間乾燥させることによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層2を形成した。
(電荷輸送層)
次に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(平均一次粒径210nm、平均真円度0.85)10部、前述のグラフト共重合体1を0.50部、テトラヒドロフラン24部を、液温20℃を保って48時間攪拌混合し、調合液Aを得た。
次に、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’ジフェニルベンジシン53.2部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)14.1部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.26部とを混合し、テトラヒドロフラン250部を混合溶解して、調合液Bを得た。
この調合液Bに調合液Aを加えて攪拌混合した後、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM-110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
その後、フッ素変性シリコーンオイル(商品名:FL-100 信越シリコーン社製)を5ppmとなるように前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層2上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を150℃で25分間乾燥させることによって、膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例2-2~2-13、2-22~2-27、比較例2-1~2-3〕
電荷輸送層の形成において、グラフト共重合体1を表5に示すグラフト共重合体に変更したこと以外は、実施例2-1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例2-14~2-15、2-20~2-21〕
電荷輸送層の形成において、グラフト共重合体1を表5に示す質量部に変更したこと以外は、実施例2-1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔実施例2-16~2-19〕
電荷輸送層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子を、表5に示す平均一次粒径、及び平均真円度のポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子に変更したこと以外は、実施例2-1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 2023048960000028
<電子写真感光体の評価>
実施例1-1~1-27、2-1~2-27、および比較例1-1~1-3、2-1~2-3で得られた電子写真感光体の評価は、下記のとおり行った。
〔評価装置1-1〕
実施例1-1~1-27、および比較例1-1~1-3で作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機であるimagePRESS C800(商品名)に装着して評価を行った。
詳しくは、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に上記評価装置を設置し、マゼンタ色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、マゼンタのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
〔評価装置1-2〕
実施例1-1~1-27、および比較例1-1~1-3で作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機であるimagePRESS C800(商品名)の改造機に装着して評価を行った。該改造機の帯電手段は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)に印加する方式の帯電手段であり、露光手段は、レーザー像露光方式(波長680nm)の露光手段である。
詳しくは、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に上記評価装置を設置し、マゼンタ色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、マゼンタのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
帯電条件は、帯電電位-800V、露光電位-300Vとなるように、帯電電位、および露光手段の露光量を調整した。
なお、電子写真感光体の表面電位は、上記評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入し、測定を行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブ(商品名:model6000B-8、トレック・ジャパン(株)製)を配置することで構成されている。そして、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央、電子写真感光体の表面からのギャップを3mmとした。さらに、電子写真感光体中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を用いて測定した。
〔評価装置2-1〕
実施例2-1~2-27、および比較例2-1~2-3で作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機imageRUNNER iR-ADV C5051に装着して評価を行った。
詳しくは、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に上記評価装置を設置し、シアン色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
〔評価装置2-2〕
実施例2-1~2-27、および比較例2-1~2-3で作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機imageRUNNER iR-ADV C5051の改造機(帯電手段は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)に印加する方式、露光手段はレーザー像露光方式(波長780nm))に装着して評価を行った。
詳しくは、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に上記評価装置を設置し、シアン色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
帯電条件は、帯電電位-700V、露光電位-200Vとなるように、帯電電位、及び露光手段の露光量を調整した。
なお、電子写真感光体の表面電位は、上記評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入し、測定を行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブ(商品名:model6000B-8、トレック・ジャパン(株)製)を配置することで構成されており、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央、電子写真感光体の表面からのギャップを3mmとした。さらに、電子写真感光体中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を用いて測定した。
(初期画像評価)
画像評価は、上記の評価装置1-1および評価装置2-1を使用して実施した。A4サイズのグロス紙を用い、全面ベタ白の画像を出力して、出力画像の電子写真感光体1周分の面積に含まれる分散不良による画像欠陥、すなわち黒ぽちの数を目視にて以下の評価ランクに従って評価した。なお、電子写真感光体1周分の面積とは、縦がA4用紙の長辺長である297mmであり、横が電子写真感光体の1周分である94.2mmとする長方形の領域である。また、本開示において、ランクA、B、C、Dが本開示の効果が得られているレベルであり、その中でもランクAは優れているレベルであると判断した。一方、ランクEは本開示の効果が得られていないレベルと判断した。
A:黒ぽちが全くない
B:直径1.5mm未満の黒ぽちが1個以上3個以下、かつ、直径1.5mm以上の黒ぽちがない
C:直径1.5mm未満の黒ぽちが1個以上3個以下、かつ、直径1.5mm以上の黒ぽちが1個以上2個以下
D:直径1.5mm未満の黒ぽちが4個以上5個以下、かつ、直径1.5mm以上の黒ぽちが2個以下
E:直径1.5mm未満の黒ぽちが6個以上、または、直径1.5mm以上の黒ぽちが3個以上
このようにして、評価した結果を表6に示す。
(繰り返し使用時の電位変動評価)
繰り返し使用時の電位変動評価は、上記の評価装置1-2および評価装置2-2を使用して実施した。電子写真感光体を装着したカートリッジを評価装置に取り付け、10000枚の通紙による感光体の繰り返し使用を行った。電子写真感光体を設置したステーションにて単色で印字率1%の文字画像をA4サイズの普通紙を用いて、10000枚の繰り返し画像形成を行った。この時の初期の暗部電位と、10000枚の繰り返し画像形成後の暗部電位を比較し、これを電位変動の値(ΔVd)とする。また、初期の明部電位と、10000枚の繰り返し画像形成後の明部電位を比較し、これを電位変動の値(ΔVl)とする。10000枚通紙終了後、5分間放置し、現像用カートリッジを電位測定装置に付け替え、繰り返し使用後における明部電位(Vlb)および暗部電位(Vdb)を測定した。繰り返し使用後における暗部電位と初期暗部電位(Vda)との差を暗部電位変動量(ΔVd=|Vdb|-|Vda|)とした。また、繰り返し使用後における明部電位と初期明部電位(Vla)との差を明部電位変動量(ΔVl=|Vlb|-|Vla|)とした。評価装置1-2を使用した評価では、さらに100000枚、300000枚、500000枚の繰り返し使用時の明部電位変動量を測定した。また、評価装置2-2を使用した評価では、さらに100000枚の繰り返し使用時の明部電位変動量を測定した。
本開示において、明部電位の変化が40V以内であった場合、本開示の効果が得られているレベルであり、その中でも明部電位の変化が15V以内であった場合は特に優れているレベルであると判断した。
このようにして、評価した結果を表6に示す。
Figure 2023048960000029
101 支持体
102 下引き層
103 電荷発生層
104 電荷輸送層
105 表面層(保護層)
201 電子写真感光体
202 軸
203 帯電手段
204 露光光
205 現像手段
206 転写手段
207 転写材
208 定着手段
209 クリーニング手段
210 前露光光
211 プロセスカートリッジ
212 案内手段
1 電子写真感光体
2 帯電手段
3 露光光(画像露光光)
4 現像手段
5 転写手段
6 転写材
7 前露光光
8 クリーニング手段
9 プロセスカートリッジ
10 中間転写体
11 転写紙
12 給紙経路
13 給紙トレイ
14 二次転写手段
15 定着手段
16 排紙部
17 イエロー色用プロセスカートリッジ
18 マゼンタ色用プロセスカートリッジ
19 シアン色用プロセスカートリッジ
20 ブラック色用プロセスカートリッジ

Claims (19)

  1. 表面層を有する電子写真感光体であって、
    該表面層が、
    フッ素原子含有樹脂粒子と、
    結着材料と、
    下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aと、
    を含有し、
    該重合体Aが、pKa3以下の酸性基を有する構造単位を有さない、
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2023048960000030
    (式(1)中、
    11は、水素原子、またはメチル基を示し、
    12は、単結合、またはメチレン基を示し、
    RfおよびRfは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキレン基、または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキリデン基を示し、
    Rfは、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
  2. 前記式(1)中のRf~Rfの炭素数の合計が、6以上9以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記重合体Aにおける前記式(1)で示される構造単位の含有量が、前記重合体Aにおける全構造単位に対して5個数%以上95個数%以下である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記重合体Aにおける前記式(1)で示される構造単位の含有量が、前記重合体Aにおける全構造単位に対して0.1質量%以上80質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記重合体Aの重量平均分子量が、16,000以上100,000以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面層における前記重合体Aの含有量が、前記表面層における前記フッ素原子含有樹脂粒子の質量に対して2質量%以上10質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記重合体Aが、さらに下記式(2)で示される構造単位を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2023048960000031
    (式(2)中、
    A1は、無置換のアルキレン基を示し、
    は、無置換のアルキレン基、ハロゲン原子で置換されたアルキレン基、ヒドロキシ基で置換されたアルキレン基、エステル結合(-COO-)、アミド結合(-NHCO-)、もしくは、ウレタン結合(-NHCOO-)、または、これらの基および結合から選ばれる一種以上と-O-もしくは-S-とを組み合わせて導き出せる2価の連結基、あるいは、単結合を示し、
    は、下記式(2A)で示される構造、シアノ基、またはフェニル基を示し、
    21、およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を示し、
    mは、25以上150以下の整数である。)
    Figure 2023048960000032
    (式(2A)中、ZA1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
  8. 前記重合体Aが、構造単位として、前記式(1)で示される構造単位、および前記式(2)で示される構造単位のみを有する、請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記重合体Aにおける前記式(1)で示される構造単位と前記式(2)で示される構造単位との比が、モル比で1:19~19:1である、請求項7または8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記表面層における前記フッ素原子含有樹脂粒子の含有量が、前記表面層の全質量に対して5質量%以上40質量%以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記結着材料が、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の硬化物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  12. 前記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が、下記式(CT-1)または(CT-2)で示される化合物である、請求項11に記載の電子写真感光体。
    Figure 2023048960000033
    (前記式(CT-1)中、Ar11~Ar13は、それぞれ独立に、置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示し、該置換のアリール基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基であり、ただし、前記式(CT-1)で示される化合物は、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基を少なくとも1つ有する。)
    Figure 2023048960000034
    (前記式(CT-2)中、Ar21~Ar24は、それぞれ独立に、置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示し、Ar25は、置換のアリーレン基もしくは無置換のアリーレン基を示し、該置換のアリール基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)で示される1価の官能基であり、該置換のアリーレン基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)で示される1価の官能基であり、ただし、前記式(CT-2)で示される化合物は、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基を少なくとも1つ有する。)
    Figure 2023048960000035
    (前記式(P-1)中、Z11は、単結合、または炭素数1以上6以下のアルキレン基を示し、X11は、水素原子、またはメチル基を示す。)
    Figure 2023048960000036
    (前記式(P-2)中、Z21は、単結合、または炭素数1以上6以下のアルキレン基を示す。)
    Figure 2023048960000037
    (前記式(P-3)中、Z31は、単結合、または炭素数1以上6以下のアルキレン基を示す。)
  13. 表面層を有する電子写真感光体であって、
    該表面層が、フッ素原子含有樹脂粒子と、結着材料と、下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aと、を含有し、
    該結着材料が、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の硬化物である、
    ことを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 2023048960000038
    (式(1)中、
    11は、水素原子、またはメチル基を示し、
    12は、単結合、またはメチレン基を示し、
    RfおよびRfは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキレン基、または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキリデン基を示し、
    Rfは、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
  14. 前記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が、下記式(CT-1)または(CT-2)で示される化合物である、請求項13に記載の電子写真感光体。
    Figure 2023048960000039
    (前記式(CT-1)中、Ar11~Ar13は、それぞれ独立に、置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示し、該置換のアリール基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基であり、ただし、前記式(CT-1)で示される化合物は、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基を少なくとも1つ有する。)
    Figure 2023048960000040
    (前記式(CT-2)中、Ar21~Ar24は、それぞれ独立に、置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示し、Ar25は、置換のアリーレン基もしくは無置換のアリーレン基を示し、該置換のアリール基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)で示される1価の官能基であり、該置換のアリーレン基が有してもよい置換基は、炭素数1以上6以下のアルキル基、または、下記式(P-1)~(P-3)で示される1価の官能基であり、ただし、前記式(CT-2)で示される化合物は、下記式(P-1)~(P-3)のいずれかで示される1価の官能基を少なくとも1つ有する。)
    Figure 2023048960000041
    (前記式(P-1)中、Z11は、単結合、または炭素数1以上6以下のアルキレン基を示し、X11は、水素原子、またはメチル基を示す。)
    Figure 2023048960000042
    (前記式(P-2)中、Z21は、単結合、または炭素数1以上6以下のアルキレン基を示す。)
    Figure 2023048960000043
    (前記式(P-3)中、Z31は、単結合、または炭素数1以上6以下のアルキレン基を示す。)
  15. 前記表面層における前記フッ素原子含有樹脂粒子の含有量が、前記表面層の全質量に対して20質量%以上40質量%以下である、請求項11~14のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  16. 前記表面層が、さらに下記式(3)で示される化合物を含有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2023048960000044
    (式(3)中、R31は、アルキル基、またはフルオロアルキル基を示し、R32は、フルオロアルキル基を示す。)
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱可能である、ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  18. 請求項1~16のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する、ことを特徴とする電子写真装置。
  19. 表面層を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    該製造方法が、
    下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aと、結着材料および結着材料の原料から選ばれる少なくとも何れか一つと、フッ素原子含有樹脂粒子と、を含有する表面層用塗布液を調製する工程、および、
    該表面層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥および/または硬化させることによって該表面層を形成する工程、
    を有する
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2023048960000045
    (式(1)中、
    11は、水素原子、またはメチル基を示し、
    12は、単結合、またはメチレン基を示し、
    RfおよびRfは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキレン基、または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキリデン基を示し、
    Rfは、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
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