JP2023117822A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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寿康 白砂
Toshiyasu Shirasago
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Abstract

【課題】フッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れ、かつ、高湿環境における繰り返し使用時の電位変動が抑制された表面層を有する電子写真感光体を提供すること。【解決手段】表面層を有する電子写真感光体において、該表面層が、電荷輸送物質、結着材料、フッ素原子含有樹脂粒子、下記式(1)の特定構造を有する重合体A、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくとも一種のアルキル化芳香族炭化水素を含有し、該結着材料がポリカーボネート樹脂、又はポリアリレート樹脂であり、該表面層における該アルキル化芳香族炭化水素の含有量が、該表面層の全質量に対して0.15質量%以上2.00質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。TIFF2023117822000021.tif3785【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真装置に搭載される電子写真感光体として、有機光導電性物質(電荷発生物質)を含有するものが広く使用されている。近年、電子写真感光体の長寿命化や繰り返し使用時の高画質化を目的として、電子写真感光体の機械的耐久性(耐摩耗性)の向上が求められている。
電子写真感光体の耐摩耗性を向上させる技術として、電子写真感光体の表面層にフッ素原子含有樹脂粒子を含有させ、表面層とクリーニングブレードなどの接触部材との間の摩擦を低下させる方法が挙げられる。特許文献1では、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子の分散液を表面層用塗布液として用いて表面層を形成させる技術が開示されている。
また、フッ素原子含有樹脂粒子の分散液を調製する際には、分散性を高める目的でフッ素原子を含有する(メタ)アクリル系ポリマーをフッ素原子含有樹脂粒子の分散剤として用いる方法が知られている。特許文献2や特許文献3には、分散剤として特定構造のフッ素原子含有(メタ)アクリル系ポリマーを用い、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性を向上させる技術が開示されている。
特許文献4では表面層に有機溶剤を含有させることで、電子写真感光体の残留電位の上昇を抑制する技術が開示されている。
特開平06-332219号公報 特開2009-104145号公報 特開2012-189715号公報 特開2018-49240号公報
しかしながら、特許文献2、特許文献3、または特許文献4に開示された技術では、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れた表面層が得られる一方で、高湿環境における電子写真感光体の繰り返し使用時において、電位変動が十分に抑制できない場合があった。
本開示の一態様は、高湿環境における繰り返し使用時の電位変動が抑制された電子写真感光体の提供に向けたものである。
また、本開示の別の態様は、前記電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、および、前記電子写真感光体を備えた電子写真装置の提供に向けたものである。
また、本開示の別の態様は、前記電子写真感光体の製造方法の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、
表面層を有する電子写真感光体であって、
該表面層が、
電荷輸送物質と、
結着材料と、
フッ素原子含有樹脂粒子と、
下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aと、
トルエンおよびキシレンからなる群より選択される少なくとも一のアルキル化芳香族炭化水素と、
を含有し、
該結着材料が、ポリカーボネート樹脂、又はポリアリレート樹脂であり、
該表面層における該アルキル化芳香族炭化水素の含有量が、表面層の全質量に対して0.15質量%以上2.00質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
Figure 2023117822000001
(式(1)中、
11は、水素原子、またはメチル基を示し、
12は、単結合、メチレン基、またはエチレン基を示し、
nは、1以上3以下であり、
Rfは、それぞれ独立に炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキレン基もしくは炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキリデン基を示し、
Rfは、炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
また、本開示の他の態様によれば、前記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジが提供される。
また、本開示の他の態様によれば、前記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置が提供される。
また、本開示の他の態様によれば、前記電子写真感光体の製造方法が提供される。
本開示の一態様によれば、表面層におけるフッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れかつ、高湿環境における繰り返し使用時の電位変動が抑制された電子写真感光体を提供できる。
本開示の電子写真感光体の構成の一例を示す概略図である。 電子写真感光体を有するプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、および前記プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の一例を示す概略図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らが検討した結果、従来技術では高湿環境における電位変動に関してまだ改善の余地があることが明らかになった。
本発明者らは、上記の従来技術で発生していた技術課題を解決するために、表面層に含有させる材料を検討した結果、表面層が特定構造の重合体Aを含有し、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくとも一種のアルキル化芳香族炭化水素を一定量含有する場合に高湿環境下における電位変動が抑制された電子写真感光体が得られることを見出した。
すなわち、表面層が下記式(1)で示される構造単位を有する重合体A、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくとも一種のアルキル化芳香族炭化水素を含有し、該結着材料がポリカーボネート樹脂、又はポリアリレート樹脂であり、該表面層における該アルキル化芳香族炭化水素の含有量が、表面層の全質量に対して0.15質量%以上2.00質量%以下であるときフッ素原子含有樹脂粒子の分散性に優れ、高湿環境における電位変動を抑制した電子写真感光体を提供できることを見出した。
Figure 2023117822000002
ここで、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aは、電子写真感光体の表面層を形成するための表面層用塗布液を調製する工程において、フッ素原子含有樹脂粒子の分散剤として働いていると本発明者らは考えている。
フッ素原子含有樹脂粒子および分散剤を含有する表面層を有する電子写真感光体は、繰り返し使用において電位変動が大きい傾向がある。これは、表面層中に含有されるフッ素原子含有樹脂粒子に付着している分散剤が有する-(CF-鎖に電荷が溜まりやすいためであると考えられる。本発明者らの検討の結果、-(CF-鎖を含む構造単位を有する重合体Aを表面層に含有させるにあたり、-(CF-鎖と-(CF-鎖との間に酸素原子を存在させることにより、電荷のトラップを抑制しやすくなることがわかったが、高湿環境における電位変動抑制に関してさらなる改善の余地があることがわかった。本発明者のさらなる検討の結果、表面層にトルエン又キシレンを、表面層の全質量に対して0.15質量%以上2.00質量%以下含有させることで高湿環境下においても電位の変動が抑制できることがわかった。
理由は定かではないが、高湿環境においてポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂を含む表面層は水分をある程度吸収し、膨潤していると推測される。膨潤することでフッ素原子含有樹脂粒子と分散剤が有する-(CF-鎖と-(CF-鎖との間の酸素原子の電荷がトラップされやすくなると推測される。トルエン又はキシレンが一定量表面層に含有することで、高湿環境下における表面層の膨潤が抑制され電荷のトラップが抑制され電位変動が抑制されたと推測される。
表面層に含有させるトルエン又はキシレンは、電位変動抑制の観点から、表面層の全質量に対して、0.50質量%以上2.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上1.50質量%以下であることがより好ましい。
本発明では表面層に前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aを含む。
前記式(1)中、R11は、水素原子またはメチル基である。
式(1)中のR12は、単結合、メチレン基、またはエチレン基である。フッ素原子含有樹脂粒子を分散させる機能の観点からはメチレン基であることが好ましい。
式(1)においてnは、1以上3以下の整数である。さらに本開示の電子写真感光体の表面層におけるフッ素原子含有樹脂粒子を分散させる機能の観点からはnは2以下であることが好ましい。
式(1)中のRfは、パーフルオロアルキレン基、または、パーフルオロアルキリデン基であるが、それぞれの炭素数が、1以上5以下の時、電位変動抑制の効果が得られることが分かった。上記のパーフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキリデン基の炭素数が5より大きい場合は、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキリデン基に電荷の滞留が発生することにより、酸素原子を介した電荷トラップの抑制効果が得られないと推測している。
式(1)のn個のRfの炭素数は、電荷滞留の抑制と、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性を両立させる観点から、炭素数2もしくは3のパーフルオロアルキレン基、または炭素数2もしくは3のパーフルオロアルキリデン基であることがより好ましい。
Rfは、パーフルオロアルキル基であるが、炭素数が1以上5以下の時、電位変動抑制の効果が得られることが分かった。上記のパーフルオロアルキルの炭素数が5より大きい場合は、パーフルオロアルキル基に電荷の滞留が発生することにより、酸素原子を介した電荷トラップの抑制効果が得られないと推測している。
Rfの炭素数は、電荷滞留の抑制と、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性を両立させる観点から、Rfは、炭素数2もしくは3のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
また、前記式(1)中の、n個のRf、およびRfの炭素数の合計は、本開示の電子写真感光体の表面層における電荷滞留の抑制と、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性を両立させる観点から6以上9以下であることが好ましい。
式(1)で示される構造単位としては、例えば下記の表1に示す構造が挙げられる。
以下の表において、R12に隣接するパーフルオロアルキレン基、または、パーフルオロアルキリデン基を、それぞれRf1-1、Rf1-2、Rf1-3とする。
Figure 2023117822000003
本開示の電子写真感光体の表面層に含有される重合体Aは、さらに下記式(2)で示される構造単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2023117822000004
(式(2)中、
A1は、無置換のアルキレン基を示し、
は、無置換のアルキレン基、ハロゲン原子で置換されたアルキレン基、ヒドロキシ基で置換されたアルキレン基、-COO-(エステル結合)、-NHCO-(アミド結合)、もしくは、-NHCOO-(ウレタン結合)、または、これらの基および結合から選ばれる一種以上と-O-もしくは-S-とを組み合わせて導き出せる2価の連結基、あるいは、単結合を示し、
は、下記式(2A)で示される構造、シアノ基、またはフェニル基を示し、
21、R22は水素原子、またはメチル基を示し、
mは、25以上150以下の整数を示す。)
Figure 2023117822000005
(式(2A)中、ZA1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
式(2)中、Yがエステル結合を示す場合、-YA1-Y-CH-は、-YA1-CO-O-CH-および-YA1-O-CO-CH-のどちらでもよく、好ましくは、-YA1-CO-O-CH-である。また、式(2)中、Yがアミド結合を示す場合、-YA1-Y-CH-は、-YA1-NH-CO-CH-および-YA1-CO-NH-CH-のどちらでもよく、好ましくは、-YA1-NH-CO-CH-である。また、式(2)中、Yがウレタン結合の場合、-YA1-Y-CH-は、-YA1-NH-CO-O-CH-および-YA1-O-CO-NH-CH-のどちらでもよく、好ましくは、-YA1-NH-CO-O-CH-である。
式(2)で示されるモノマーユニット中の-YA1-Y-で示される構造が、-YA1-(YA2-(YA3-(YA4-(YA5-(YA6-で示される構造である場合が好ましい。
(YA1は、無置換のアルキレン基を示し、
A2は、ヒドロキシ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも一で置換されたメチレン基を示し、
A3は、無置換のアルキレン基を示し、
A4は、エステル結合、アミド結合またはウレタン結合を示し、
A5は、無置換のアルキレン基を示し、
A6は、酸素原子または硫黄原子を示し、
b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立に、0または1である。)
式(2)で示される構造単位としては、例えば下記の表2に示す構造が挙げられる。
Figure 2023117822000006
Figure 2023117822000007
前記式(1)で示される構造単位、および前記式(2)で示される構造単位を有する重合体Aにおいて、前記式(1)で示される構造単位と前記式(2)で示される構造単位の比は、モル比で1:19~19:1であることが好ましく、モル比で1:1~19:1がより好ましく、さらに好ましくはモル比で7:3~9:1である。
本開示の電子写真感光体の表面層に含有される重合体Aのうち、前記式(1)で示される構造単位は、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性の向上の観点から、該重合体Aが有する全構造単位に対して5個数%以上95個数%以下であることが好ましく、50個数%以上95個数%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは70個数%以上90個数%以下である。又、前記式(1)で示される構造単位は、該重合体Aが有する全質量に対して0.1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、1質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは4質量%以上66質量%以下である。
本開示の電子写真感光体の表面層に含有される、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの重量平均分子量は、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性の向上と電位変動の抑制の観点から、16,000以上100,000以下であることが好ましい。さらに、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの重量平均分子量は、18,000以上80,000以下であることがより好ましい。
(GPCによる重量平均分子量測定)
本開示に係る重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作製した分子量校正曲線を使用する。
<フッ素原子含有樹脂粒子>
本開示の電子写真感光体の表面層は、フッ素原子含有樹脂粒子を含有する。
本開示において用いられるフッ素原子含有樹脂粒子に含有される樹脂としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンプロピレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂またはポリジクロロジフルオロエチレン樹脂。また、上記の樹脂を複数種含有する粒子を用いることも好ましい。上記の中でも、分散性の向上の観点から、フッ素原子含有樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂であることがより好ましい。
また、表面層中フッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、表面層の全質量に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。さらに7質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
表面層の断面観察において、フッ素原子含有樹脂粒子は、走査型電子顕微鏡による二次電子像から測定した一次粒子の長径の算術平均(平均一次粒径)が、分散性の向上と電位変動の抑制の観点から、150nm以上300nm以下であることが好ましい。さらに、フッ素原子含有樹脂粒子は、平均一次粒径が、180nm以上250nm以下であることがより好ましい。
フッ素原子含有樹脂粒子は、走査型電子顕微鏡による二次電子像から測定した一次粒子の面積と周長から算出した真円度の平均値(平均真円度)が、0.75以上であることが好ましい。
本開示の電子写真感光体の表面層が含有するフッ素原子含有樹脂粒子の平均一次粒径、および平均真円度の測定値を上記範囲に収めるには、下記の方法で測定し、算出する平均一次粒径及び平均真円度の値が上記範囲に収まるようなフッ素原子含有樹脂粒子を用いることができる。
(平均一次粒径、平均真円度の測定方法)
すなわち、本開示の実施例において、電子写真感光体の表面層に含有させるフッ素原子含有樹脂粒子の平均粒径と平均真円度の測定は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて以下のように測定することで行った。フッ素原子含有樹脂粒子を市販のカーボン導電テープにつけ、圧縮エアで導電テープについていないフッ素原子含有樹脂粒子を取り除き、白金蒸着を行った。蒸着したフッ素原子含有樹脂粒子を日立ハイテクノロジー社製FE-SEM(S-4700)を使用して観察した。なお、FE-SEMの測定条件は以下のとおりである。
加速電圧:2kV
WD:5mm
倍率:2万倍
画素数:縦1280画素、横960画素(1画素あたりの大きさ:5nm)
得られた画像からImageJ(アメリカ国立衛生研究所(NIH)製のオープンソースソフトウェア)を使用して100個分の粒子のフェレ径を求め、平均値を算出し平均一次粒径とした。
また、同様に面積と周長を求め、下記式(II)より真円度を求め、平均値を算出し、平均真円度とした。
真円度=4×π×(面積)÷(周長の2乗) 式(II)
本開示のフッ素原子含有樹脂粒子は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<電子写真感光体>
図1に、本開示の電子写真感光体の層構成の一例を示す。図1中、支持体101上に、下引き層102、電荷発生層103、電荷輸送層104が積層されている。感光層は、電荷発生層および電荷輸送層を有する積層型感光層で構成されてもよく、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層型感光層で構成されてもよい。
本発明では、電子写真感光体の最表面の層を表面層と定義する。
本開示の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層を順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、各層について説明する。
<支持体>
電子写真感光体の支持体は導電性を有するもの(導電性支持体)であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレス、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与することが好ましい。
<導電層>
支持体の上には、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体の表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物粒子を用いることが好ましく、特に、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化亜鉛粒子を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物粒子を用いる場合、金属酸化物粒子の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物粒子にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子、酸化亜鉛粒子などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物粒子が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物粒子を用いる場合、その体積平均粒径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層は、上記の各材料および溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。導電層用塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
<下引き層>
本開示において、支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物粒子、金属粒子、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物粒子を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物粒子としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの粒子が挙げられる。二酸化ケイ素の粒子を用いることもできる。金属粒子としては、金、銀、アルミニウムなどの粒子が挙げられる。
下引き層に含まれる金属酸化物粒子は、シランカップリング剤などの表面処理剤を用いて表面処理して用いてもよい。
金属酸化物粒子を表面処理する方法は、一般的な方法が用いられる。例えば、乾式法や湿式法が挙げられる。
乾式法は、金属酸化物粒子をヘンシェルミキサーのような高速攪拌可能なミキサーの中で攪拌しながら、表面処理剤を含有するアルコール水溶液、有機溶媒溶液、または水溶液を添加し、均一に分散させた後に乾燥を行うものである。
また、湿式法は、金属酸化物粒子と表面処理剤とを溶剤中で攪拌、またはガラスビーズなどを用いてサンドミルなどで分散するものであり、分散後、ろ過、または減圧留去により溶剤除去が行われる。溶剤の除去後は、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。
下引き層には、さらに添加剤を含有させてもよく、例えば、アルミニウム粒子などの金属粒子、カーボンブラックなどの導電性物質粒子、電荷輸送物質、金属キレート化合物、有機金属化合物などの公知の材料を含有させることができる。
下引き層は、上記の各材料および溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体または導電層上に形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。
下引き層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などの有機溶剤が挙げられる。本開示においては、アルコール系、ケトン系溶剤を用いることが好ましい。
下引き層用塗布液を調製するための分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する感光層である。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層である。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
結着材料としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層は、上記の各材料および溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
(1-2)電荷輸送層
本発明において積層型感光体の場合、電荷輸送層が表面層となる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質、結着材料、前述のフッ素原子含有樹脂粒子、前述の前記式(1)で示される構造単位を有する重合体A、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくとも一種のアルキル化芳香族炭化水素を含有する。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、トリアリールアミン化合物、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物が好ましい。本開示において、電位変動抑制の観点からは、電荷輸送物質として、下記式(4)で示される化合物を含むことがより好ましい。
Figure 2023117822000008
(式(4)中、R31、R32、R33、R34、R35、およびR36は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を示す。)
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
本発明では結着材料として、ポリカーボネート樹脂、又はポリアリレート樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質と結着材料との含有量比(質量比)は、4:10~20:10が好ましく、5:10~12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、窒化ホウ素粒子、フッ素樹脂粒子などが挙げられる。
電荷輸送層は、上記の各材料および溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を電荷発生層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
本発明ではトルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくとも一のアルキル化芳香族炭化水素を含有する。トルエン又はキシレンは電荷輸送層用塗布液を調製する際の溶剤として用いることで電荷輸送層中に含有させることができる。
トルエン又はキシレンの含有量の調整は電荷輸送用塗布液を硬化させる際の乾燥時間や乾燥温度によって適宜調整できる。乾燥による含有量減少を見込んであらかじめ多めにいれるなどして適宜調整すればよい。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、35μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着材料および溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。
本発明において単層型感光層を有する電子写真感光体の場合、感光層が表面層である。
電荷発生物質、電荷輸送物質、結着材料としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
単層型の感光層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、35μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
<プロセスカートリッジ、電子写真装置>
本開示の電子写真感光体は、プロセスカートリッジまたは電子写真装置の構成要素の1つであってもよい。プロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。また、電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする。
また図2には本開示の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ構成を、図3には図2のプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、円筒状の電子写真感光体1は、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段2により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の周面は、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)3を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。帯電手段(帯電ローラなど)2に印加する電圧は、直流成分に交流成分を重畳した電圧、又は直流成分のみの電圧のどちらを用いてもよい。
電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段4の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)5からの転写バイアスによって、転写材(紙や中間転写体など)6に順次転写されていく。転写材6は電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光7により除電処理された後、クリーニング手段8によって転写残トナーの除去を受けて清浄面化され、電子写真感光体1は、画像形成に繰り返し使用される。なお、前露光手段はクリーニング工程の先でも後でもよいし、必ずしも前露光手段は必要ではない。
電子写真感光体1を複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置に装着してもよい。また、電子写真感光体1、帯電手段2、現像手段4およびクリーニング手段8などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めて一体に支持して構成したプロセスカートリッジ9を、電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図2では、電子写真感光体1と、帯電手段2、現像手段4およびクリーニング手段8とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
次に、本開示の電子写真感光体を備えた電子写真装置について説明する。
本開示の電子写真装置の構成の一例を図3に示す。イエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色、それぞれの色に対応したイエロー色用のプロセスカートリッジ17、マゼンタ色用のプロセスカートリッジ18、シアン色用のプロセスカートリッジ19、ブラック色用のプロセスカートリッジ20が、中間転写体10に沿って並置されている。電子写真感光体の径や構成材料、現像剤、帯電方式、およびその他の手段は、各色で必ずしも統一する必要はない。
画像形成動作が始まると、上述の画像形成プロセスに従って、中間転写体10に各色のトナー像が順次重ねられていく。並行して、転写紙11が給紙経路12によって給紙トレイ13から送り出され、中間転写体の回転動作とタイミングを合わせて、二次転写手段14へと給送される。二次転写手段14からの転写バイアスによって、中間転写体10上のトナー像が転写紙11に転写される。転写紙11上に転写されたトナー像は、給紙経路12に沿って搬送され、定着手段15によって転写紙上に定着され、排紙部16から排紙される。
本開示の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、および、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例および比較例を用いて本開示をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<式(1)で示される構造単位を有する重合体Aの合成>
本開示における、前記式(1)で示される構造単位を有する重合体A(以下、「グラフト共重合体」又は単に、「重合体」とも表記する。)は、下記のようにして合成した。なお、下記合成例で用いたアクリレート化合物およびマクロモノマー化合物は、例えば、特開2009-104145号公報を参照することにより製造することができる。
(グラフト共重合体1)
下記式(1-1)で示される化合物54部、下記式(A)で示されるマクロモノマー(数平均分子量6,000)75部、1,1’-Azobis(1-acetoxy-1-phenylethane):1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)(商品名:OTAZO-15、大塚化学(株)製)0.437部、酢酸n-ブチル338部を、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、恒温槽および温度計を備えたガラス製フラスコ中、20℃、窒素雰囲気下で30分混合したのち、反応液が85~90℃になるように加温し5時間反応させた。氷冷により反応を停止し、2-プロパノールを1500質量部加えることにより沈殿物を得た。この沈殿物を酢酸n-ブチル:2-プロパノール=1:5の混合溶媒により洗浄し、温度80℃、1325Pa以下の減圧状態で3時間乾燥させることでグラフト共重合体1を得た。
Figure 2023117822000009
(グラフト共重合体2)
下記式(1-2)で示される化合物57部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体2を得た。
(グラフト共重合体3)
下記式(1-3)で示される化合物44部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体3を得た。
(グラフト共重合体4)
下記式(1-4)で示される化合物44部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体4を得た。
(グラフト共重合体5)
下記式(1-5)で示される化合物42部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体5を得た。
(グラフト共重合体6)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)を0.874部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体6を得た。
(グラフト共重合7)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)を0.140部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体7を得た。
(グラフト共重合体8)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)を0.950部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体8を得た。
(グラフト共重合体9)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)を0.119部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体9を得た。
(グラフト共重合体10)
1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)を0.950部に変更したこと以外は、グラフト共重合体3と同様にして、グラフト共重合体10を得た。
(グラフト共重合体11)
下記式(1-6)で示される化合物55部に変更し、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)を1.000部に変更したこと以外は、グラフト共重合体1と同様にして、グラフト共重合体11を得た。
(グラフト共重合体12)
下記式(1-7)でされる化合物39部に変更したこと以外は、グラフト共重合体11と同様にして、グラフト共重合体12を得た。
(グラフト共重合体13)
下記式(1-8)でされる化合物60部に変更したこと以外は、グラフト共重合体11と同様にして、グラフト共重合体13を得た。
(グラフト共重合体14)
下記式(1-9)でされる化合物65部に変更したこと以外は、グラフト共重合体11と同様にして、グラフト共重合体14を得た。
(グラフト共重合体15)
下記式(1-10)でされる化合物53部に変更したこと以外は、グラフト共重合体11と同様にして、グラフト共重合体15を得た。
(グラフト共重合体16)
下記式(1-11)でされる化合物56部に変更したこと以外は、グラフト共重合体11と同様にして、グラフト共重合体16を得た。
(グラフト共重合体17)
下記式(1-12)でされる化合物61部に変更したこと以外は、グラフト共重合体11と同様にして、グラフト共重合体17を得た。
Figure 2023117822000010
得られたグラフト共重合体1~17を、前述の方法でGPC測定を行い、重量平均分子量を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2023117822000011
<電子写真感光体の作製>
(支持体)
支持体(導電性支持体)として、円筒状アルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金、外径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mm)を切削加工したものを用いた。純水に洗剤(商品名:ケミコールCT、常磐化学(株)製)を含有させた洗浄液中で超音波洗浄を行い、続いて洗浄液を洗い流した後、さらに純水中で超音波洗浄を行って、脱脂処理し、これを支持体とした。
(下引き層)
酸化亜鉛粒子(平均粒子径:70nm、比表面積値:15m/g)60部をテトラヒドロフラン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名:KBM603、信越化学社製)0.75部を添加し、2時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧留去して、120℃で3時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
続いて、ポリオールとしてブチラール(商品名:BM-1,積水化学工業(株)製)25部、およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュールBL-3173、住友バイエルウレタン社製)22.5部を、メチルエチルケトン142部に溶解させた。この溶液に、前記表面処理された酸化亜鉛粒子を100部、アリザリン1部を加え、これを直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて5時間分散した。
分散処理後、ジオクチルスズジラウレート0.008部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)6.5部を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
得られた下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を190℃で24分間乾燥させることによって、膜厚が20μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層)
次に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶を15部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10部、n-ブチルアルコール300部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を150℃で5分間乾燥させることによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層)
次に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(平均一次粒径210nm、平均真円度0.85)10部、前述の重合体1を0.55部、THF50部を、液温20℃を保って48時間攪拌混合し、調合液Aを得た。
次に、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジシン40部、下記式(3-1)で示される化合部10部、下記式(5-1)での繰り返し構造単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)75部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール2.0部とを混合し、トルエン250部を混合溶解して、調合液Bを得た。
この調合液Bに調合液Aを加えて攪拌混合した後、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM-110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
その後、フッ素変性シリコーンオイル(商品名:FL-100 信越シリコーン社製)を5ppmとなるように前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で20分間乾燥させることによって、膜厚40μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電子写真感光体を2本作製した。後述するが、1本はアルキル化芳香族炭化水素の含有量の測定に、もう1本は電子写真感光体の評価に使用した。
Figure 2023117822000012
Figure 2023117822000013
(実施例2)
電荷輸送層の作製において、乾燥時間を表4に示す条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
電荷輸送層の作製において重合体及び乾燥時間を表4に示す条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例4)
電荷輸送層の作製において重合体及び乾燥時間を表4に示す条件に変更し、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を下記式(5-2)の繰り返し構造単位から構成されるポリアリレート樹脂(重量分子量120000)に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
Figure 2023117822000014
(実施例5)
電荷輸送層の作製においてトルエン250部をキシレン250部に変更し重合体および乾燥温度を表4に示す条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
電荷輸送層の作製において重合体および乾燥時間を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例7~11)
電荷輸送層の作製において乾燥時間及び、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例12)
電荷輸送層の作製において乾燥時間及び、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例13~22)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例23)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥温度、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更し、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を上記式4-2の繰り返し構造単位から構成されるポリアリレート樹脂(重量分子量120000)にした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例24)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥温度、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒子径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例25)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(実施例26)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥温度、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更し、トルエン250部をキシレン250部に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥温度、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥温度、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥温度、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
電荷輸送層の作製において重合体、乾燥温度、乾燥時間、電荷輸送層膜厚、ポリトラフルオロエチレン樹脂粒子の平均一次粒径、平均真円度を表4の条件に変更し、トルエン250部をモノクロルベンゼン250部に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
Figure 2023117822000015
<アルキル芳香族炭化水素の質量測定>
実施例1~26、比較例1~4の電子写真感光体のアルキル芳香族炭化水素の質量測定を行った。測定は、ヘッドスペースサンプラー(商品名:Turbo Matrix40、Perkin Elmer社製)を装備したガスクロマトグラフィー質量分析装置(商品名:ISQ、 Thermo Fisher Scientific社製)および検出器(商品名:TRACE GC ULTRA 、Thermo Fisher Scientific社製)により測定を行った。ガスクロマトグラフィー質量分析の測定条件としては、ヘッドスペースサンプラーを用い、電子写真感光ドラムから電荷輸送層を剥離して、200℃で60分加熱し、発生したガスをガスクロマトグラフィー質量分析装置および検出器を用いて測定した。キャリアガスとしてHe(1ml/min)を用い、40℃で3分ホールド、1段目の昇温:40℃から2℃/minの昇温速度で70℃までカラムを昇温、2段目の昇温:70℃から2.5℃/minの昇温速度で120℃までカラムを昇温、3段目の昇温:120℃から15℃/minの昇温速度で300℃までカラムを昇温する条件で測定を行った。トルエン又はキシレンを検量線用基準物質として検量線を作成して電荷輸送層中のアルキル芳香族炭化水素の質量を求めた。結果を表5に示す。
<電子写真感光体の評価>
実施例1~26、比較例1~4で得られた電子写真感光体の評価は、下記のとおり行った。
〔評価装置1-1〕
実施例1~26、比較例1~4で作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機であるimageRUNNER ADVANCE DX C3835F(商品名)に装着して評価を行った。
詳しくは、温度30℃、相対湿度80%RHの環境下に上記評価装置を設置し、マゼンタ色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、マゼンタのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
〔評価装置1-2〕
実施例1~26で作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製の複写機であるimageRUNNER ADVANCE DX C3835(商品名)の改造機に装着して評価を行った。該改造機の帯電手段は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をローラー型の接触帯電部材(帯電ローラー)に印加する方式の帯電手段であり、露光手段は、レーザー像露光方式(波長780nm)の露光手段である。
詳しくは、温度30℃、相対湿度80%RHの環境下に上記評価装置を設置し、マゼンタ色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、マゼンタのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
帯電条件は、帯電電位-800V、露光電位-300Vとなるように、帯電電位、および露光手段の露光量を調整した。
なお、電子写真感光体の表面電位は、上記評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入し、測定を行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブ(商品名:model6000B-8、トレック・ジャパン(株)製)を配置することで構成されている。そして、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央、電子写真感光体の表面からのギャップを3mmとした。さらに、電子写真感光体中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を用いて測定した。
(初期画像評価)
画像評価は、上記の評価装置1-1を使用して実施した。A4サイズのグロス紙を用い、全面ベタ白の画像を出力して、出力画像の電子写真感光体1周分の面積に含まれる分散不良による画像欠陥、すなわち黒ポチの数を目視にて評価した。黒ポチは、直径0.3mm以上の数を評価した。なお、電子写真感光体1周分の面積とは、縦がA4用紙の長辺長である297mmであり、横が電子写真感光体の1周分である96.1mmとする長方形の領域である。本開示において、黒ポチの数が少ないほど良く、本開示の効果が得られている。
このようにして、評価した結果を表5に示す。
(繰り返し使用時の電位変動評価)
繰り返し使用時の電位変動評価は、上記の評価装置1-2を使用して実施した。電子写真感光体を装着したカートリッジを評価装置に取り付け、50000枚の通紙による感光体の繰り返し使用を行った。電子写真感光体を設置したステーションにて単色で印字率1%の文字画像をA4サイズの普通紙を用いて、50000枚の繰り返し画像形成を行った。この時の初期の明部電位と、50000枚の繰り返し画像形成後の明部電位を比較し、これを電位変動の値(ΔVl)とする。50000枚通紙終了後、5分間放置し、現像用カートリッジを電位測定装置に付け替え、繰り返し使用後における明部電位と初期明部電位(Vla)との差を明部電位変動量(ΔVl=|Vlb|-|Vla|)とした。
本開示において、明部電位の変化が小さいほど良く、本開示の効果が得られている。
このようにして、評価した結果を表5に示す。
Figure 2023117822000016
101 基体
102 下引き層
103 電荷発生層
104 電荷輸送層
1 電子写真感光体
2 帯電手段
3 露光光(画像露光光)
4 現像手段
5 転写手段
6 転写材
7 前露光光
8 クリーニング手段
9 プロセスカートリッジ
10 中間転写体
11 転写紙
12 給紙経路
13 給紙トレイ
14 二次転写手段
15 定着手段
16 排紙部
17 イエロー色用プロセスカートリッジ
18 マゼンタ色用プロセスカートリッジ
19 シアン色用プロセスカートリッジ
20 ブラック色用プロセスカートリッジ

Claims (14)

  1. 表面層を有する電子写真感光体であって、
    該表面層が、
    電荷輸送物質と、
    結着材料と、
    フッ素原子含有樹脂粒子と、
    下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aと、
    トルエンおよびキシレンからなる群より選択される少なくとも一のアルキル化芳香族炭化水素と、
    を含有し、
    該結着材料が、ポリカーボネート樹脂、またはポリアリレート樹脂であり、
    該表面層における該アルキル化芳香族炭化水素の含有量が、該表面層の全質量に対して0.15質量%以上2.00質量%以下である、
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2023117822000017
    (式(1)中、
    11は、水素原子、またはメチル基を示し、
    12は、単結合、メチレン基、またはエチレン基を示し、
    nは、1以上3以下であり、
    Rfは、それぞれ独立に、炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキレン基もしくは炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキリデン基を示し、
    Rfは、炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
  2. 前記表面層における前記アルキル化芳香族炭化水素の含有量が、前記表面層の全質量に対して0.50質量%以上2.00質量%以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記式(1)中のR12が、メチレン基である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記式(1)中のn個のRfが、炭素数2もしくは3のパーフルオロアルキレン基、または炭素数2もしくは3のパーフルオロアルキリデン基であり、Rfが、炭素数2もしくは3のパーフルオロアルキル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記式(1)中のn個のRf、およびRfの炭素数の合計が、6以上9以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記重合体Aの重量平均分子量が、16,000以上100,000以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記重合体Aが、さらに下記式(2)で示される構造単位を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2023117822000018
    (式(2)中、
    A1は、無置換のアルキレン基を示し、
    は、無置換のアルキレン基、ハロゲン原子で置換されたアルキレン基、ヒドロキシ基で置換されたアルキレン基、エステル結合(-COO-)、アミド結合(-NHCO-)、もしくは、ウレタン結合(-NHCOO-)、または、これらの基および結合から選ばれる一種以上と-O-もしくは-S-とを組み合わせて導き出せる2価の連結基、あるいは、単結合を示し、
    は、下記式(2A)で示される構造、シアノ基、またはフェニル基を示し、
    21、R22は水素原子、またはメチル基を示し、
    mは、25以上150以下の整数である。)
    Figure 2023117822000019
    (式(2A)中、ZA1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
  8. 前記表面層の膜厚が、35μm以上50μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記フッ素原子含有樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子であり、
    前記表面層の断面観察において、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子の走査型電子顕微鏡による二次電子像から測定した一次粒子の長径の算術平均が、150nm以上300nm以下である、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記表面層における前記フッ素原子含有樹脂粒子の含有量が、前記表面層の全質量に対して5質量%以上40質量%以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記表面層における前記フッ素原子含有樹脂粒子の含有量が、前記表面層の全質量に対して5質量%以上15質量%以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、除電手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在である、ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する、ことを特徴とする電子写真装置。
  14. 表面層を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    該製造方法が、
    電荷輸送物質と、結着材料と、フッ素原子含有樹脂粒子と、下記式(1)で示される構造単位を有する重合体Aと、トルエンおよびキシレンからなる群より選択される少なくとも一のアルキル化芳香族炭化水素と、を含有し、該結着材料がポリカーボネート樹脂、またはポリアリレート樹脂である、表面層用塗布液を調製する工程、および、
    該表面層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって該表面層における該アルキル化芳香族炭化水素の含有量が、該表面層の全質量に対して0.15質量%以上2.00質量%以下である該表面層を形成する工程、
    を有する、
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2023117822000020
    (式(1)中、
    11は、水素原子、またはメチル基を示し、
    12は、単結合、メチレン基、またはエチレン基を示し、
    nは、1以上3以下であり、
    Rfは、それぞれ独立に、炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキレン基、または炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキリデン基を示し、
    Rfは、炭素数が1以上5以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
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