JP2019052615A - 内燃機関の潤滑構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトで駆動力の損失が生じにくく、潤滑性能に優れる内燃機関の潤滑構造を得る。【解決手段】本発明は、クランク室(23)から後方のミッション室(24)にオイルを排出するスカベンジングポンプ(50)と、ミッション室の底部に連通するオイル室(26)からオイルを汲み上げるフィードポンプ(60)と、を備える。フィードポンプとスカベンジングポンプは、クランクシャフト(30)の回転軸が向く内燃機関の幅方向で同軸上に配置される。スカベンジングポンプの少なくとも一部はクランク室の下端(P2)よりも上方に配置され、スカベンジングポンプの後端は、前後方向において、クランク室の後端(P1)と同じ位置又は前方に配置される。【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の潤滑構造に関する。
エンジン内に潤滑用のオイルを供給する潤滑構造として、スカベンジングポンプとフィードポンプを備えたものが知られている。フィードポンプは、エンジン底部のオイルパンに貯留されたオイルを汲み上げてエンジン各所の潤滑部に供給する。シリンダやクランク軸を潤滑してクランク室の底部に溜まったオイルは、スカベンジングポンプによってクランク室外へ排出される。クランク軸が過剰な量のオイルに浸かって撹拌しながら回転すると抵抗が生じるが、スカベンジングポンプを用いてクランク室内のオイルを排出することによって、オイルの撹拌によるクランク軸の駆動力損失の発生を防止できる。
例えば、特許文献1に記載された潤滑構造では、クランク室の最下面よりも下方にスカベンジングポンプが配置され、クランク室後方のミッション室側に向けてオイルを排出している。ミッション室の下方にはオイルパンが設けられ、フィードポンプがオイルパンからオイルを汲み上げてエンジンの潤滑部にオイルを供給する。
特許第4583185号公報
特許文献1のように、クランク室の最下面よりも下方にスカベンジングポンプを設けると、エンジンの小型化、特に上下方向のサイズダウンが制約される。また、クランク軸の回転をスカベンジングポンプに伝えるためのギヤが、スカベンジングポンプに伴って下方に位置されることになる。すると、エンジン下部に貯留されるオイルにポンプ駆動用のギヤが浸かって常時オイルを撹拌する状態になり、抵抗による駆動力の損失が大きくなるおそれがある。これを防ぐべく、ポンプ駆動用のギヤに対する油面位置を下げようとすると、オイルパンの位置が下がって、車両等に搭載する場合にエンジンの最低地上高が低くなってしまう。
また、エンジンが大型化したりオイルパン位置が低くなったりすると、オイルパンからフィードポンプまでのオイル通路が長くなる。オイル通路が長いと圧損が増加し、フィードポンプによるオイル供給能力が低下してエンジン各部の潤滑不良を起こすおそれがある。
また、特許文献1の潤滑構造では、スカベンジングポンプから変速機に向けて直接的にオイルが吐出される。そのため、変速機に対してオイルが過剰供給となり、変速機がオイルを撹拌することに起因する駆動力の損失やオイル中の気泡が発生しやすくなってしまう。
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、コンパクトで駆動力の損失が生じにくく、潤滑性能に優れる内燃機関の潤滑構造を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の潤滑構造は、クランクシャフトを内部に有するクランク室と、クランク室の後方に隣接配置されて変速機構を内部に有するミッション室と、ミッション室の底部に連通するオイル室と、オイル室内のオイルを潤滑対象部に供給するフィードポンプと、クランク室に溜まったオイルを吸入してミッション室に排出するスカベンジングポンプとを備えた内燃機関の潤滑構造であって、フィードポンプとスカベンジングポンプは、クランクシャフトの回転軸が向く内燃機関の幅方向で同軸上に配置されており、スカベンジングポンプの少なくとも一部は、クランク室の下端よりも上方に配置され、スカベンジングポンプの後端は、前後方向において、クランク室の後端と同じ位置又はクランク室の後端よりも前方に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、潤滑用のポンプやオイル通路の配置の最適化によって、コンパクトな構造で駆動力の損失が生じにくく、潤滑性能に優れる内燃機関の潤滑構造を得ることができる。
本実施の形態に係るエンジンユニットを右側から見た側面図である。 本実施の形態に係るエンジンユニットの正面図である。 右クランクケースの内部を示す斜視図である。 左クランクケースの内部を示す斜視図である。 右クランクケースを左側から見た側面図である。 左側から見た右クランクケースの内部構造の一部を拡大した側面図である。 駆動系の部品を取り外した状態の右クランクケースの内部を示す斜視図である。 右クランクケースを右側から見た側面図である。 駆動系の部品を取り外した状態の右クランクケースを右側から見た側面図である。 左クランクケースを右側から見た側面図である。 左クランクケースを左側から見た側面図である。 ポンプユニットとポンプカバーの斜視図である。 ポンプユニットとポンプカバーを左側から見た側面図である。 クランク室とバランサ室を隔てる隔壁とバランサ装置を斜め右側から見た斜視図である。 クランク室とバランサ室を隔てる隔壁とバランサ装置を斜め左側から見た斜視図である。 クランク室とバランサ室を隔てる隔壁とバランサ装置の正面図である。 図1のA-A線に沿う断面図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明における前後、左右、上下の各方向は、本実施の形態の内燃機関(エンジンユニット10)を自動二輪車に搭載した場合に乗員から見た方向を指している。左右方向がエンジンユニット10の幅方向となる。なお、本発明に係る内燃機関を搭載する対象は自動二輪車に限られるものではなく、四輪車や船舶等の内燃機関に本発明を適用しても良い。
図1と図2は本実施の形態のエンジンユニット10の外観を示している。エンジンユニット10は、クランクケース11の上部にシリンダ12を有し、シリンダ12上にシリンダヘッド13及びシリンダヘッドカバー14を有している。クランクケース11の右側にクラッチカバー15が取り付けられ、クランクケース11の左側にマグネトカバー16が取り付けられている。また、クラッチカバー15に対して着脱可能なオイルフィルタ17が設けられている。なお、エンジンユニット10における吸気系や排気系は図示を省略している。
図2に示すように、クランクケース11は、右側に位置するケース半体である右クランクケース20と、左側に位置するケース半体である左クランクケース21とを組み合わせて構成されている。右クランクケース20と左クランクケース21は互いに対向する合わせ面20aと合わせ面21aを有している。合わせ面20aと合わせ面21aを当接させて右クランクケース20と左クランクケース21を締結固定することによってクランクケース11が形成される。合わせ面20aと合わせ面21aの間は気密状態で塞がれる。図3、図5、図6、図7は、合わせ面20a側から右クランクケース20の内部を見た状態を示しており、図4と図10は、合わせ面21a側から左クランクケース21の内部を見た状態を示している。
右クランクケース20と左クランクケース21を組み合わせて構成されるクランクケース11の内部には、クランク室23とミッション室24が形成される。クランク室23の上面には、シリンダ12内のシリンダボア(図示略)に通じるシリンダ連通口23aが形成されている。クランク室23とミッション室24は隔壁25で前後に隔てられており、隔壁25の前方にクランク室23が位置し、隔壁25の後方にミッション室24が位置する。隔壁25は、右クランクケース20の内面から左方へ突出する壁部と、左クランクケース21の内面から右方へ突出する壁部とを組み合わせて構成されており、これらの壁部の端面が合わせ面20aと合わせ面21aに含まれている。
図8と図9に示すように、右クランクケース20は、合わせ面20aとは反対の右側の側面に、合わせ面20bを有する。合わせ面20bに対してクラッチカバー15側の合わせ面(図示略)を当接させて、クラッチカバー15と右クランクケース20が締結固定される。クラッチカバー15と右クランクケース20との間には、合わせ面20bによって囲まれる空間としてクラッチ室27が形成される。
図11に示すように、左クランクケース21は、合わせ面21aとは反対の左側の側面に合わせ面21bを有する。合わせ面21bに対してマグネトカバー16側の合わせ面(図示略)を当接させて、マグネトカバー16と左クランクケース21が締結固定される。左クランクケース21とマグネトカバー16の間には、合わせ面21bによって囲まれる空間として発電機室28が形成される。
クランクケース11のクランク室23には、左右方向(エンジンユニット10の幅方向)に対して平行に回転軸を配置したクランクシャフト30が収容されている。クランクシャフト30は、クランクピン30aと、クランクピン30aの両側に設けられた左右一対のクランクウェブ30bと、クランクピン30aから偏心した位置で各クランクウェブ30bから側方に突出する左右一対のメインジャーナル30cと、を有する。各クランクウェブ30bには、メインジャーナル30cに関してクランクピン30aと反対側に位置するカウンターウエイト30dが一体に形成されている。カウンターウエイト30dはメインジャーナル30cを中心とする円弧状の外周面を有している。
左右のメインジャーナル30cは同軸上に位置している。右側のメインジャーナル30cは、右クランクケース20に形成したクランク支持孔20c(図6、図7参照)に回転可能に支持され、左側のメインジャーナル30cは、左クランクケース21に形成したクランク支持孔21c(図9参照)に回転可能に支持される。すなわち、クランクシャフト30はメインジャーナル30cの軸中心で回転する。
エンジンユニット10は、シリンダ12内に単一のシリンダボアを有する単気筒エンジンである。シリンダボアには、鉛直方向に対してわずかに前傾したシリンダ軸線C1(図5、図10参照)に沿って往復移動可能にピストン31が収容されている。ピストン31とクランクシャフト30はピストン用コンロッド32を介して接続されており、ピストン31の往復運動がクランクシャフト30の回転運動に変換される。ピストン用コンロッド32の小端部が連結軸32aを介してピストン31と相対回動可能に連結されており、ピストン用コンロッド32の大端部はクランクピン30aに対して相対回動可能に連結されている。
シリンダボア内には、シリンダ12の内壁面、シリンダヘッド13の下面及びピストン31の上面によって囲まれる燃焼室(図示略)が形成される。シリンダヘッド13には、燃焼室に空気を送り込む吸気ポート(図示略)と、燃焼室外に燃焼ガスを排出する排気ポート(図示略)とが形成されている。また、シリンダヘッド13には、吸気ポートを開閉する吸気バルブ(図示略)と、排気ポートを開閉する排気バルブ(図示略)とが設けられている。外部から取り込まれた空気と燃料が燃料噴射装置(図示略)にて混合されて燃焼室に供給される。シリンダヘッド13の下面には点火プラグ(図示略)が突出し、燃焼室内の混合気を電気放電により着火可能である。
4ストロークで動作するエンジンユニット10では、ピストン31が下降する際に吸気バルブが開き、混合気が燃焼室に送り込まれる。その後、吸気バルブが閉じ、ピストン31が上昇して混合気を圧縮する。ピストン31が上死点に到達すると、点火プラグによって点火されて圧縮された混合気が燃焼する。混合気の燃焼によって燃焼室内の圧力が増大するとピストン31が下降する。ピストン31の下降運動は、ピストン用コンロッド32を介してクランクシャフト30に伝達され、クランクシャフト30が回転する。その後、ピストン31が下死点まで下降して慣性によって再度上昇に転じる際に、排気バルブが開いて排気ポートから燃焼ガスが排出される。
クランクケース11内には、クランク室23の前方にバランサ室29が形成されている。バランサ室29はクランク室23に連通する空間であり、クランクシャフト30の回転に合わせて揺動するバランサウエイト33がバランサ室29内に配置されている。バランサ室29の上部に設けたピボットピン34に対して、バランサウエイト33の一端部が揺動可能に支持されている。ピボットピン34の軸線はクランクシャフト30の回転軸と平行であり、バランサウエイト33は、クランクシャフト30の回転軸と直交する平面に沿って揺動する。バランサウエイト33の他端部には錘部33aが形成されている。バランサウエイト33は、ピボットピン34に支持される一端部よりも、錘部33aが設けられる他端部の方が重い重量配分となっている。
バランサウエイト33の錘部33aに対して、バランサ用コンロッド35の小端部が相対回動可能に連結されている。より詳しくは、錘部33aは左右に分離して対向する二股形状になっており、左右方向に貫通する軸孔が形成されている。バランサ用コンロッド35の小端部は、二股形状の錘部33aの間に挿入され、錘部33aの軸孔に対してバランサ用コンロッド35側の連結軸35aが回転可能に支持される。バランサ用コンロッド35の大端部はクランクシャフト30のクランクピン30aに対して回転可能に支持されている。図14から図16に示すように、ピストン用コンロッド32の大端部とバランサ用コンロッド35の大端部は、クランクピン30a上で隣接して配置されている。
シリンダ軸線C1に沿ってピストン31が往復移動してクランクシャフト30が回転すると、クランクピン30aに支持されているバランサ用コンロッド35の大端部の位置がメインジャーナル30cを中心とする回転方向に変化する。すると、バランサ用コンロッド35を介してバランサウエイト33の錘部33aを押し引きする力が加わり、バランサウエイト33がピボットピン34に軸支される一端部を中心として前後に揺動する。このバランサウエイト33の揺動と、クランクシャフト30に設けたカウンターウエイト30dの位置変化との関係によって、ピストン31の往復移動に起因する振動が緩和(相殺)される。
クランクシャフト30の回転はトランスミッションを介して動力として取り出される。トランスミッションについては周知の構造であり、簡単に説明する。クランクシャフト30の右側のメインジャーナル30cの先端はクラッチ室27内に突出して、クラッチ室27に配したクラッチ機構(図示略)に動力が伝達される。クラッチ機構は動力伝達状態と動力遮断状態に切り替え可能であり、動力伝達状態ではミッション室24内に設けた変速機構に対してクランクシャフト30からの回転を伝達し、動力遮断状態では変速機構に対する回転伝達を遮断する。
図5に示すように、ミッション室24内には、左右方向に延びるドライブ軸40とカウンター軸41が設けられており、ドライブ軸40上にギヤ群42を有し、カウンター軸41上にギヤ群43を有する。動力伝達状態にあるクラッチ機構からドライブ軸40に回転が伝達される。ギヤ群42とギヤ群43はそれぞれ、ドライブ軸40やカウンター軸41に固定されてドライブ軸40やカウンター軸41と共に回転するフィックスギヤと、ドライブ軸40やカウンター軸41に対して相対回転可能なフリーホイーラーと、ドライブ軸40やカウンター軸41上を軸方向に移動可能なスライダーギヤ等を組み合わせて構成されている。
図8に示すように、クラッチ室27内には、シフトシャフト44に対してシフトレバー45が回転可能に支持されている。シフトレバー45は不図示のシフトペダル等によって回転操作される。シフトレバー45の回転はシフトドラム46に伝達され、シフトドラム46の回転に応じて、ギヤ群42とギヤ群43の各スライダーギヤに嵌合するシフトフォーク(図示略)の位置が変化して、ギヤ比を変更させる。
発電機室28内にはオイルネータ(図示略)が設けられている。クランクシャフト30の左側のメインジャーナル30cが発電機室28内に挿入されてオイルネータに接続し、クランクシャフト30の回転がオイルネータに伝達されて発電が行われる。
エンジンユニット10における各部は、摩耗を防いで円滑に動作させるためにエンジンオイルで潤滑されている。エンジンオイル(以下、単にオイルと呼ぶ)は、潤滑の他、冷却、気密保持、清浄、防錆等の機能を有している。以下、エンジンユニット10における潤滑構造について説明する。
クランクケース11の底部には、オイルを溜めるオイル室26が設けられている。オイル室26は、クランク室23の底部よりも下方に突出して形成されており、ミッション室24の底部がオイル室26に連通している。右クランクケース20と左クランクケース21にはそれぞれ、クランクケース11内とクラッチ室27及び発電機室28との間を連通させる複数の貫通孔が形成されている。これらの貫通孔によって、クランクケース11内とクラッチ室27及び発電機室28との間でオイルの流通が可能になっている。
クランクシャフト30やピストン31等を潤滑してクランク室23内で下方に落ちたオイルは、スカベンジングポンプ50によって吸入されてミッション室24に排出される。ミッション室24内のオイルはオイル室26に落ちる。オイル室26内のオイルはフィードポンプ60によって汲み上げられて、エンジンユニット10の各潤滑対象部に供給される。
エンジンユニット10におけるオイルの基準量は、エンジン非駆動状態でのオイルレベルが図5及び図8に示す基準油面位置OLとなるように設定されている。図1に示すように、エンジンユニット10の右側面には、オイルレベルを外部から視認可能とするオイルレベル確認窓18が設けられている。エンジンを駆動させた状態では基準油面位置OLよりも油面位置が低下する。
スカベンジングポンプ50とフィードポンプ60は、ポンプ駆動軸37により同軸上に支持されてポンプユニットを構成している。ポンプ駆動軸37は、右クランクケース20に形成した軸孔20d(図9、図17参照)に挿入されて、左右方向に向く軸線を中心として回転可能に支持されている。図8及び図17に示すように、ポンプ駆動軸37の一端部はクラッチ室27内に設けたポンプ駆動ギヤ38に接続している。ポンプ駆動ギヤ38は中継ギヤ39に噛合し、中継ギヤ39は、クランクシャフト30のメインジャーナル30cと共に回転する原動ギヤ36に噛合している。従って、クランクシャフト30が回転するとポンプ駆動軸37が回転する。
クランク室23とミッション室24を隔てる隔壁25は、ミッション室24側(後方)に向けて凸となる湾曲形状を有する。この隔壁25の湾曲形状は、クランクシャフト30の回転時におけるカウンターウエイト30dの外周部の移動軌跡に沿うものであり、隔壁25のうち最も後方に突出している部分がクランク室23の後端となる。図5及び図6に、クランク室23(隔壁25)の後端位置を通って鉛直方向に延びる仮想線P1を示した。
クランク室23の底部にはオイル吸入通路51が形成されている。オイル吸入通路51は、上下に離れて対向する上湾曲壁51aと下湾曲壁51bとにより構成されている。上湾曲壁51aは下方に向けて凸となる湾曲形状を有しており、この湾曲形状は、クランクシャフト30の回転時におけるカウンターウエイト30dの外周部の移動軌跡に沿うものである。下湾曲壁51bは、上湾曲壁51aと同様に下方に向けて凸となる湾曲形状を有している。下湾曲壁51bによってクランク室23とオイル室26が隔てられており、下湾曲壁51bのうち最も下方に突出している部分がクランク室23の下端となる。図5及び図6に、クランク室23(下湾曲壁51b)の下端位置を通って水平方向に延びる仮想線P2を示した。
オイル吸入通路51はクランクシャフト30のメインジャーナル30cの下方に位置しており、オイル吸入通路51の前端はメインジャーナル30cの軸中心よりも前方に位置している。より詳しくは、上湾曲壁51aの前端は、下湾曲壁51bの前端よりも後方に位置しており、クランク室23の底部に達したオイルは、上湾曲壁51aの前方を通ってオイル吸入通路51内に入る。下湾曲壁51bの前端はバランサ室29の底部につながる位置まで延びているため、上湾曲壁51aの前方を通過したオイルがオイル室26へ直接落下することはない。
オイル吸入通路51の後端はメインジャーナル30cの軸中心よりも後方に位置しており、オイル吸入通路51の後端に続く位置に吸入口52が形成されている。上述した上湾曲壁51aと下湾曲壁51bの湾曲形状により、オイル吸入通路51の後端は斜め上向きに開口している。これに対応して吸入口52は斜め上向きに開口しており、オイル吸入通路51の後端から吸入口52にかけて滑らかにつながる流路が形成されている。
吸入口52の後方にポンプ収容部53が形成されている。ポンプ収容部53は左右方向に軸線を向けた円筒状の内部空間を備えており、ポンプ収容部53内にスカベンジングポンプ50が収容されている。ポンプ収容部53からミッション室24側に上向きに開口する吐出口54が形成されている。吐出口54の後方の縁部から上方に向けて、吐出ガイドリブ(吐出ガイド部)55が延出している。吐出ガイドリブ55は概ね仮想線P1に沿って延びる壁部である。本実施の形態では、吐出ガイドリブ55が仮想線P1よりも僅かに前方に位置しており、ポンプ収容部53と吐出口54も仮想線P1の前方に位置する。
オイル吸入通路51、吸入口52、ポンプ収容部53、吐出口54、吐出ガイドリブ55は、クランクケース11と一体的に形成されている。このうちオイル吸入通路51、吸入口52、吐出口54、吐出ガイドリブ55はいずれも、クランクケース11内を左右方向に横断する長さを有している。より詳しくは、右クランクケース20の内面から左方へ突出する壁部と、左クランクケース21の内面から右方へ突出する壁部とを組み合わせて(合わせ面20a、21aで当接させて)、オイル吸入通路51の上湾曲壁51aと下湾曲壁51b、吸入口52、吐出口54、吐出ガイドリブ55がそれぞれ構成されている。
ポンプ収容部53については、スカベンジングポンプ50を収容する完全な中空円筒状の内部構造を有しているのは右クランクケース20側のみである(図5から図7参照)。図17に示すように、スカベンジングポンプ50は、右クランクケース20のうち合わせ面20aに近い、クランクケース11の幅方向の中央寄りの位置に設置されている。左クランクケース21側では、ポンプ収容部53の外周部分を構成する円筒部に加えて、該円筒部内で径方向に延びる内部壁58が設けられており、吸入口52から吐出口54との間が内部壁58で部分的に隔てられている(図10参照)。
図12及び図13に示すように、ポンプ収容部53内に設けられるスカベンジングポンプ50はトロコイドポンプであり、内歯を有するアウタロータ56内に、内歯よりも少ない外歯を有するインナロータ57が偏心して組み付けられている。円筒形状であるアウタロータ56の外周面が、ポンプ収容部53の内周面に対して回転可能に支持されている。インナロータ57にはポンプ駆動軸37が挿通されている。この挿通部分は非円形断面で嵌合しており、ポンプ駆動軸37と一体にインナロータ57が回転する。インナロータ57が回転するとアウタロータ56も回転し、アウタロータ56とインナロータ57における歯数と中心の違いによって、アウタロータ56とインナロータ57の間の隙間の容積が変化する。この隙間容積が大きくなる位置で吸入口52側からオイルを吸入し、隙間容積が小さくなる位置で吐出口54側にオイルを吐出する。吐出口54側に吐出されたオイルは、隔壁25と吐出ガイドリブ55の間を通ってミッション室24に入る。
スカベンジングポンプ50は、クランク室23からオイルを排出するためのポンプ機構を構成するものである。そのため、スカベンジングポンプ50をクランクシャフト30の軸中心(メインジャーナル30c)に近づけることで、ポンプ機構を含めたクランク室23周りの構造をコンパクト化できる。また、スカベンジングポンプ50の前後のオイル通路が短い方が、構造をコンパクトにできると共に、圧損が生じにくくスカベンジングポンプ50の能力を向上させやすい。本実施の形態は、スカベンジングポンプ50を、オイル排出性能を維持しながらスペース効率良く配置して、エンジンユニット10のコンパクト化を実現している。
まず、スカベンジングポンプ50の基本的な配置として、クランクシャフト30の軸中心に対して下方かつ後方に設けている。これにより、クランク室23の底部及びミッション室24に近くスカベンジングポンプ50が位置され、クランク室23の底部に溜まるオイルを短いオイル通路長で効率良くミッション室24側に排出できる。また、クランクピン30aから上方や前方に延びる長尺の部材であるピストン用コンロッド32やバランサ用コンロッド35の可動域とは重ならない領域であるため、スカベンジングポンプ50をクランクシャフト30に近づけ易い。
クランク室23の後端と下端を構成する隔壁25とオイル吸入通路51はそれぞれ、クランクシャフト30のカウンターウエイト30dの外周部の回転軌跡に沿う湾曲形状である。そのため、エンジンユニット10を側面視すると、クランクシャフト30の後方の斜め下方に、2つの仮想線P1、P2とカウンターウエイト30dの外周部の回転軌跡とで囲まれる略三角形状のスペースが存在する(図5、図6参照)。スカベンジングポンプ50とその前後のオイル通路(オイル吸入通路51から吐出ガイドリブ55まで)は、当該スペースを満たすように配置されており、極めてスペース効率に優れた構成となっている。
詳細には、図5及び図6に示すように、スカベンジングポンプ50の後端は、前後方向においてクランク室23の後端(仮想線P1)よりも前方に位置している。また、スカベンジングポンプ50のうちインナロータ57(ポンプ駆動軸37の挿通箇所)を含む半分以上の部分が、上下方向においてクランク室23の下端(仮想線P2)よりも上方に位置している。別言すれば、スカベンジングポンプ50の全体が隔壁25の後端よりも前方に位置し、スカベンジングポンプ50の少なくとも一部がクランク室23の下端よりも上方に位置するという配置条件となっている。この配置条件を満たすことにより、スカベンジングポンプ50をクランクシャフト30の軸中心に近く位置させ、既存のスカベンジングポンプの配置に比してエンジンユニット10のコンパクト化を図ることができる。
また、上記の配置条件を満たすことで、クランク室23の下端よりも下方にスカベンジングポンプ全体を配置した場合に比べて、エンジン内のオイルの油面に対するスカベンジングポンプ50及びその駆動機構の相対的な位置が高くなる。クランクシャフト30の回転をポンプ駆動軸37に伝達してスカベンジングポンプ50を駆動させる機構は、原動ギヤ36とポンプ駆動ギヤ38と中継ギヤ39を含んでいる。これらの各ギヤの位置が油面に対して相対的に高くなると、各ギヤでオイルを撹拌する際に生じる抵抗を抑制でき、駆動ロスを低減させることができる。また、各ギヤでの撹拌によるオイルの気泡発生を抑制することができる。本実施の形態のエンジンユニット10は、これらの効果をさらに高める構成(ポンプカバー71、ギヤカバー72等)を備えており、当該構成については後述する。
さらに、上記の配置条件により、クランク室23の下方に位置するオイル室26側へのスカベンジングポンプ50の突出量が小さくなるため、上下方向における省スペース化が実現され、オイル室26の高さを抑える効果が得られる。オイル室26の高さが抑えられると、エンジンユニット10を自動二輪車等の車両に搭載した場合における、エンジンユニット10の底面から地面までの最低地上高の確保が容易になる。
吸入口52はポンプ収容部53から斜め上方に向けて開口しており、吸入口52の全体がクランク室23の下端(仮想線P2)よりも上方に位置する。これにより、下方に向けて凸となる湾曲形状を有するオイル吸入通路51から、大部分が下湾曲壁51bよりも上方に位置する(すなわち上記配置条件を満たす)スカベンジングポンプ50に向けて、吸入側のオイル通路をスペース効率良く滑らかに構成することができる。
スカベンジングポンプ50は隔壁25の下方に位置しており、吐出口54は、クランク室23の後端(仮想線P1)よりも前方に位置している。吐出ガイドリブ55は概ね仮想線P1に沿って吐出口54の後方から上方に延びている。別言すれば、湾曲する隔壁25の後端に対する接線方向に吐出ガイドリブ55が延びている。吐出口54から離れて上方に進むにつれて隔壁25と吐出ガイドリブ55の間隔が徐々に狭くなる。従って、吐出口54から吐出されたオイルは、隔壁25と吐出ガイドリブ55によって前後方向への進行を規制されて上方に向かう。
隔壁25は、吐出ガイドリブ55の上端部の上方で吐出ガイドリブ55よりも後方に突出して、斜め下方に向く後方壁面を構成する。そのため、吐出ガイドリブ55の上端部まで達したオイルは、その上方にせり出している隔壁25(クランク室23の後端付近)に当たることで斜め下方に進行方向を変えてミッション室24内に入り、オイル室26へ落ちる。
ミッション室24内の変速機構(ドライブ軸40、カウンター軸41、ギヤ群42、43等)に供給されるオイルの量は、フィードポンプ60を経由した給油経路(詳細は後述する)で管理されている。そのため、仮にスカベンジングポンプ50側から吐出されるオイルが変速機構に向けて飛散して付着すると、オイルの過剰供給による撹拌抵抗の増大が生じてしまうおそれがある。吐出口54をクランク室23の後端よりも前方に配置したことと、吐出口54の後方に吐出ガイドリブ55を設けたことにより、スカベンジングポンプ50側からのオイルは、ミッション室24内の変速機構に向けて直接飛散しないように吐出方向がコントロールされる。そのため、変速機構に対する過剰なオイル供給を防止でき、駆動ロスの低減に寄与する。
また上述の通り、吐出ガイドリブ55により導かれるオイルは、上方にせり出す(仰角となる)形状の隔壁25に当たることで斜め下方に進行方向を変えてミッション室24内に入る。これにより、上方に噴き上げて自然落下させるよりも迅速かつ確実にオイルをオイル室26へ回収させることができる。すなわち、吐出ガイドリブ55に加えて、上方に進むにつれて後方への突出量を大きくする形状の隔壁25も、スカベンジングポンプ50からミッション室24へのオイル吐出方向のコントロールに関与している。
図5及び図6に示すように、吐出ガイドリブ55の上端部は、基準油面位置OLよりも僅かに上方に位置している。また、吐出ガイドリブ55はクランクケース11内を左右方向に横断する長さを有する。この構成により、エンジン停止状態においてオイル室26からスカベンジングポンプ50へのオイルの逆流が吐出ガイドリブ55によって防止され、エンジン始動時のスカベンジングポンプ50の駆動におけるオイル撹拌抵抗を抑制できる。また、吐出ガイドリブ55を設けない場合に比して、基準油面位置OL(スカベンジングポンプ50へのオイル逆流を生じさせない油面位置)を上方に設定することが可能になる。その結果、オイル室26の実効容量を確保しながら、エンジンユニット10の上下方向の寸法設定の自由度を高めることができる。具体的には、エンジンユニット10の最低地上高を確保しながら全高(オイル室26の底面からシリンダヘッドカバー14の頂部までの高さ)を抑えて、上下方向のコンパクト化を図ることができる。
ポンプ駆動軸37によってスカベンジングポンプ50と同軸上に支持されるフィードポンプ60は、左右方向においてスカベンジングポンプ50とポンプ駆動ギヤ38の間に位置している(図17参照)。フィードポンプ60に関係するオイル通路は、クランクケース11内を左右方向に横断する形で設けられている。大きく分けて、スカベンジングポンプ50の下方を通って左右方向に延びる第1のオイル通路61と、スカベンジングポンプ50の前方を通って左右方向に延びる第2のオイル通路62と、クランクケース11の左側に形成されたストレーナ室63と、クランクケース11の右側に設けられたポンプ収容部64とを有する。
第1のオイル通路61は、ポンプ収容部53(スカベンジングポンプ50)の下方を通って左右方向に延びる筒状部61aと、筒状部61aから後方に延びる後方延長部61bとを有し、後方延長部61bの後端側に下向きの開口部として吸入口65が形成されている。筒状部61aはポンプ収容部53と一体的に形成されている。第1のオイル通路61は、右クランクケース20の内面から左方に向けて突出する壁部と、左クランクケース21の内面から右方に向けて突出する壁部を、合わせ面20aと合わせ面21aで突き合わせて形成されており、クランクケース11内を左右方向に横断している。吸入口65は、合わせ面20aと合わせ面21aを挟んだ左右方向の中央付近の一部範囲にのみ形成されている。
第2のオイル通路62は、吸入口52の直下を通って左右方向に延びる円管形状を有している。吸入口52と第2のオイル通路62は互いの構造の一部を共用しており、第2のオイル通路62を形成する円管形状の一部が、吸入口52のうちオイル吸入通路51の下湾曲壁51bに接続する部分を構成している。従って、第2のオイル通路62は、吸入口52と同様に、右クランクケース20の内面から左方に向けて突出する壁部と、左クランクケース21の内面から右方に向けて突出する壁部を、合わせ面20aと合わせ面21aで突き合わせて形成されており、クランクケース11内を左右方向に横断している。
図11に示すように、ストレーナ室63は、発電機室28の下方に位置し、左クランクケース21の左側面に突出して合わせ面21bを構成する壁部によって囲まれる空間として形成されている。発電機室28とストレーナ室63の間は、壁部によって隔てられていてオイルの直接的な流通は生じない。マグネトカバー16は、左クランクケース21に取り付けた状態でストレーナ室63の左方を塞ぐ蓋部を備えており、ストレーナ室63はエンジンユニット10の外部に対して密閉された空間となる。
ストレーナ室63には、左クランクケース21を左右方向に貫通する貫通部63aと貫通部63bが形成されている。下側に位置する貫通部63aは、第1のオイル通路61の筒状部61aの左方の端部に連通している。上側に位置する貫通部63bは、第2のオイル通路62の左方の端部に連通している。
ストレーナ室63の内部にはオイルストレーナ70が収容される。オイルストレーナ70は金属製の網状体を板状に形成したものであり、貫通部63aと貫通部63bの間を仕切る位置に支持されている。図11のようにエンジンユニット10の幅方向の側方から側面視すると、スカベンジングポンプ50及びフィードポンプ60(図11に一点鎖線で仮想的に示した)の一部がオイルストレーナ70と重なる位置関係にある。
ポンプ収容部64は、右クランクケース20の右側面に設けた第1の凹部64L(図9参照)と、右クランクケース20の右側面に取り付けられるポンプカバー71(図12、図13参照)に設けた第2の凹部64Rとによって形成される空間である。右クランクケース20の右側面には合わせ面20e(図9、図17)が形成されており、第1の凹部64Lは合わせ面20eに対して凹設されている。ポンプカバー71は合わせ面20eに対向する合わせ面71aを有し、第2の凹部64Rは合わせ面71aに対して凹設されている。合わせ面20eと合わせ面71aを当接させてポンプカバー71を右クランクケース20に締結固定することで、第1の凹部64Lと第2の凹部64Rが正対して合わさってポンプ収容部64が形成される。右クランクケース20側の第1の凹部64Lがポンプ収容部64の左半部を構成し、ポンプカバー71側の第2の凹部64Rがポンプ収容部64の右半部を構成する。
ポンプ収容部64の第1の凹部64L内には右クランクケース20を左右方向に貫通する貫通部64aが形成されている。貫通部64aは、第2のオイル通路62の右方の端部に連通している。ポンプ収容部64は、貫通部64aと連通する一端部から斜め後方に向けて延びる吸入路64bと、吸入路64bに対して屈曲して前方に延びる吐出路64cとを有する。吸入路64bと吐出路64cの間の屈曲部分は円筒状の内面形状を有しており、当該屈曲部分の内部にフィードポンプ60が配置されている。より詳しくは、右クランクケース20側の第1の凹部64L内にフィードポンプ60を収める円筒部が形成されており(図17参照)、ポンプカバー71側の第2の凹部64Rにはフィードポンプ60が挿入されていない(図12参照)。
図12に示すように、ポンプ収容部64内に設けられるフィードポンプ60は、スカベンジングポンプ50と同様のトロコイドポンプであり、内歯を有するアウタロータ66内に、内歯よりも少ない外歯を有するインナロータ67が偏心して組み付けられている。円筒形状であるアウタロータ66の外周面が、ポンプ収容部64の屈曲部分の内周面に対して回転可能に支持されている。インナロータ67にはポンプ駆動軸37が挿通されている。この挿通部分は非円形断面で嵌合しており、ポンプ駆動軸37と一体にインナロータ67が回転する。インナロータ67が回転するとアウタロータ66も回転し、アウタロータ66とインナロータ67における歯数と中心の違いによって、アウタロータ66とインナロータ67の間の隙間の容積が変化する。この隙間容積が小さくなる位置で吸入路64b側からオイルを吸入し、隙間容積が小さくなる位置で吐出路64c側にオイルを吐出する。
ポンプカバー71には、ポンプ収容部64における吐出路64cの端部に連通する吐出孔64dが形成されている(図8、図13参照)。吐出孔64dからオイルフィルタ17までオイルを導くオイル通路(図示略)が設けられる。
ポンプ駆動軸37の回転によりフィードポンプ60を動作させると、オイル室26内に貯留されたオイルが吸入口65を通して第1のオイル通路61に吸入される。第1のオイル通路61内に入ったオイルは貫通部63aを通してストレーナ室63に入り、比較的大きな異物がオイルストレーナ70によって除去される。オイルストレーナ70で濾過されたオイルは、貫通部63bから第2のオイル通路62に入り、クランクケース11内を横断して貫通部64aからポンプ収容部64に入る。吸入路64bからフィードポンプ60に吸入されたオイルは、吐出路64cに吐出されて吐出孔64dを経てオイルフィルタ17まで圧送される。オイルフィルタ17から先のオイル通路の図示は省略しているが、フィードポンプ60によって圧送されたオイルは、オイルフィルタ17を通って細かい異物が除去されてからエンジンユニット10の各潤滑対象部に送られて潤滑を行う。
エンジンユニット10の各潤滑対象部を潤滑したオイルはオイル室26に戻る。例えば、クランクシャフト30やピストン31等の潤滑に用いられたオイルはクランク室23の底部に溜まり、上述したスカベンジングポンプ50によってオイル室26に排出される。ミッション室24内の変速機構等を潤滑したオイルは、ミッション室24からオイル室26に直接落下する。また、クラッチ室27や発電機室28に流れたオイルは、右クランクケース20や左クランクケース21に形成した貫通孔を通してクランクケース11内に戻り、最終的にオイル室26に入る。
上述のように、オイル室26からフィードポンプ60にオイルを導く第1のオイル通路61と第2のオイル通路62は、左右方向に平行に延びてクランクケース11内を横断している。そして、第1のオイル通路61は、スカベンジングポンプ50の直下の位置を通り、第2のオイル通路62は、スカベンジングポンプ50の前方の吸入口52の直下の位置を通っている。すなわち、ポンプ駆動軸37と平行に延設される第1のオイル通路61と第2のオイル通路62が、スカベンジングポンプ50とフィードポンプ60を同軸上に有するポンプユニットに隣接する位置に配置されている。この配置により、2つのポンプと複数本のオイル通路とを含む潤滑系全体をコンパクトにまとめることができ、エンジンユニット10の小型化を図ることができる。また、ポンプユニットに対する隣接配置によって、フィードポンプ60に至る第1のオイル通路61と第2のオイル通路62を短縮化させることができる。オイル通路が短いほどオイルを送る際の圧損が低減されるため、フィードポンプ60の能力向上を図ることができる。
第1のオイル通路61は、吸入口65を通じてオイル室26の底部付近からオイルを吸入するため、スカベンジングポンプ50に隣接するという条件を満たす際に、スカベンジングポンプ50の下方に位置させることが長さの短縮化に有効である。また、ストレーナ室63では、第1のオイル通路61に連通する貫通部63aが、第2のオイル通路62に連通する貫通部63bよりも下方に設けられており(図11参照)、第1のオイル通路61は吸入口65から貫通部63a(ストレーナ室63)までを左右方向への最短距離で接続する形状となっている。
図5及び図6に示すように、第2のオイル通路62は、単にスカベンジングポンプ50の前方に設けられているだけでなく、その一部が上下方向においてクランク室23の下端(仮想線P2)よりも上方に位置している。上述のように、第2のオイル通路62を形成する円管形状の一部を用いて吸入口52が形成されており、スカベンジングポンプ50の前方で吸入口52と第2のオイル通路62が上下に並列する関係になる。吸入口52はその全体がクランク室23の下端(仮想線P2)の上方に位置しているため、これに応じて第2のオイル通路62もその一部がクランク室23に入り込む配置になり、オイル室26の容積確保に貢献するスペース効率に優れた構成となっている。
また、エンジンユニット10を側面視した状態で、ポンプユニットの一部がオイルストレーナ70と重なる関係にある(図11参照)。このようにポンプユニットとオイルストレーナ70において上下方向や前後方向の位置を揃えることにより、ストレーナ室63を経由する第1のオイル通路61と第2のオイル通路62をバランス良く配置して、オイル通路の短縮化とコンパクト化の効果を高めることができる。例えば、本実施の形態と異なり、フィードポンプ60とオイルストレーナ70の上下方向の位置が大きくずれている場合、第1のオイル通路61と第2のオイル通路62の少なくとも一方を、水平方向に対して大きく傾けたり上下方向に屈曲させたりする必要が生じる。その結果、オイル通路の長さが増大したり、スペース効率が悪化したりする。これに対して本実施の形態の構成によれば、第1のオイル通路61と第2のオイル通路62を互いに平行な関係で近接配置させることができ、ストレーナ室63を経由させるための最短距離の通路構成を実現できる。
クランクシャフト30から駆動力を取り出してポンプ駆動軸37に伝達する機構を構成するポンプ駆動ギヤ38と中継ギヤ39は、ポンプカバー71に形成したギヤ収容凹部71b(図8、図17参照)に収容される。ギヤ収容凹部71bは、ポンプカバー71において合わせ面71aの反対側の側面に形成された凹部であり、別体のギヤカバー72によって側方(右方)から覆われる。ギヤ収容凹部71bには上方を向く開口71cが形成されている。ギヤカバー72は開口71cを塞がない。開口71c以外の箇所では、ギヤ収容凹部71bはクラッチ室27の内部空間から隔てられている。開口71cは基準油面位置OLよりも上方に位置している(図8参照)。
図8及び図17に示すように、ポンプカバー71を右クランクケース20に取り付けた状態で、ポンプ駆動軸37の一端がギヤ収容凹部71b内に突出してポンプ駆動ギヤ38に接続している。ポンプ駆動ギヤ38は全体がギヤ収容凹部71b内に収容されている。中継ギヤ39は同軸上に小径ギヤと大径ギヤを有する2段ギヤであり、ギヤ収容凹部71b内で中継ギヤ39の小径ギヤがポンプ駆動ギヤ38と噛合している。中継ギヤ39の大径ギヤは一部が開口71cから露出しており、原動ギヤ36に噛合している。
上述したように、スカベンジングポンプ50の少なくとも一部をクランク室23の下端(仮想線P2)よりも上方に位置させたことに応じて、スカベンジングポンプ50と同軸上に位置するポンプ駆動ギヤ38や、ポンプ駆動ギヤ38に噛合する中継ギヤ39の位置が高くなっている。ポンプ駆動ギヤ38や中継ギヤ39が設けられている位置はクラッチ室27の底部に近いため、クラッチ室27内のオイルの油面に対してポンプ駆動ギヤ38や中継ギヤ39の位置を高くすることは、ギヤによるオイル撹拌抵抗を低減させる効果が得られる。これに加えて、ギヤ収容凹部71b内にポンプ駆動ギヤ38と中継ギヤ39を収容した構成は、各ギヤ38、39に対する動作抵抗をより一層低減させるものである。
フィードポンプ60を用いてクラッチ室27内のクラッチ機構等に供給されるオイルの一部は、上方を向く開口71cを通してギヤ収容凹部71bにも入り、ポンプ駆動ギヤ38と中継ギヤ39を潤滑する。但し、ギヤ収容凹部71bは上方の開口71c以外が閉鎖されており、かつ開口71cは基準油面位置OLの上方に位置するため、ギヤ収容凹部71b内に過剰な量のオイルが流入する状態にはなりにくい。また、エンジンユニット10の駆動時には、回転する中継ギヤ39とポンプ駆動ギヤ38の遠心力によって、ギヤ収容凹部71b内の余分なオイルが開口71cを通してクラッチ室27内に排出される。これにより、ポンプ駆動ギヤ38と中継ギヤ39に対して常に適量のオイルが供給され、スカベンジングポンプ50とフィードポンプ60を駆動させる際の動作抵抗を低減させることができる。
揺動するバランサウエイト33を用いるバランサ装置は、一方向に連続的に回転するタイプの回転バランサを用いるバランサ装置に比して制振効果に優れており、ピストン系の往復移動に起因する振動をほぼ完全に緩和できる。また、部品点数が少なく、バランサ装置の構成もシンプルにできる。その一方で、ピボットピン34から錘部33aまで延びる細長いバランサウエイト33を揺動させるために、ある程度広い空間を必要とする。本実施の形態ではクランクケース11の上壁に設けたピボットピン34から下垂しているバランサウエイト33が前後方向に揺動する。そのため、クランクケース11内におけるクランク室23の前方に、ピボットピン34を中心とする扇状の揺動用空間が確保されており、当該空間がバランサ室29となっている。
クランクケース11内には、クランク室23とバランサ室29とを隔てる隔壁80が設けられている。隔壁80は、クランクシャフト30を支持するクランク支持孔20c、21cを挟んで概ね隔壁25と前後対称の位置関係で配置されており、クランクシャフト30が回転するときのカウンターウエイト30dの外周面の移動軌跡の前方に位置する。
図14から図16に示すように、隔壁80は、右クランクケース20側に設けられた第1隔壁81と、左クランクケース21側に設けられた第2隔壁82とを有する。第1隔壁81は、右クランクケース20の内面から左方に向けて突出する壁部であり、右クランクケース20と一体に形成されている。第2隔壁82は、左クランクケース21の内面から右方に向けて突出する壁部であり、左クランクケース21と一体に形成されている。第1隔壁81と第2隔壁82は左右方向に分離しており、互いの間には隙間83が形成されている。
クランクケース11内において隔壁80の上方には、ピストン31の裏側にオイルを噴射するピストンジェット用のオイル通路90が設けられている。第1隔壁81と第2隔壁82の上端はオイル通路90に近接した位置にある(図3から図7、図10参照)。より詳しくは、右クランクケース20と左クランクケース21のそれぞれの内面から合わせ面20a、21aの位置まで、オイル通路90を内部に有する突出部91、92が突出している。右クランクケース20側の突出部91の下面に第1隔壁81の上端が連続しており、左クランクケース21側の突出部92の下面に第2隔壁82の上端が連続している。第1隔壁81は第2隔壁82よりも下方に長く延びており、第2隔壁82と隙間83の下方の領域は、隔壁80の壁面が存在しない切欠き84となっている。切欠き84は、第1隔壁81の一部まで入り込んでいる(図14、図16参照)。
図14から図16に示すように、クランクシャフト30上には、回転軸方向に並んでピストン用コンロッド32とバランサ用コンロッド35が支持されており、その両側に一対のクランクウェブ30bが設けられている。第1隔壁81は、右側のクランクウェブ30bとピストン用コンロッド32に対応する左右方向の幅を有している。特に、第1隔壁81のうち、切欠き84よりも上方の部分が、ピストン用コンロッド32の幅全体を覆う幅広形状になっている。第2隔壁82は、左側のクランクウェブ30bに対応する左右方向の幅を有している。つまり、クランクシャフト30の回転軸に沿う左右方向でバランサ用コンロッド35寄り(左側)に位置する第2隔壁82よりも、ピストン用コンロッド32寄り(右側)に位置する第1隔壁81の方が左右方向の幅が大きい。隙間83は、左右方向においてバランサ用コンロッド35に対応する位置に形成されている(図16参照)。切欠き84は、バランサ装置を正面視した状態で、左右方向及び上下方向においてバランサウエイト33の錘部33aと重なる位置に形成されている(図16参照)。
クランク室23からバランサ室29まで延在しているバランサ用コンロッド35は、その中間部分が常に隙間83又は切欠き84を通過する。また、バランサウエイト33の錘部33aは、所定の後方位置まで揺動したときに、切欠き84に接近(又は進入)する。従って、バランサウエイト33とバランサ用コンロッド35はいずれも隔壁80と干渉することなく動作することができる。
第2隔壁82よりも上下方向に長い第1隔壁81はクランク室23の底部に近い位置まで延びており、第1隔壁81の下端はバランサウエイト33の下端(錘部33a)よりも下方に位置する。そして、オイル吸入通路51の前端(バランサ室29を向く側の端部)の前方延長上に第1隔壁81の下端が位置している(図5から図7参照)。より詳しくは、オイル吸入通路51の上湾曲壁51aを、その湾曲形状(曲率)を維持しながら前方に延長したと仮定した場合の当該延長上に、第1隔壁81の下端が位置している。第1隔壁81の下端と上湾曲壁51aの前端との間には、上下方向に連通する開口部85が形成されており、開口部85の下方には、オイル吸入通路51の下湾曲壁51bの前端付近の壁面が位置している。
第1隔壁81は、クランク室23とバランサ室29を結ぶ前後方向において、下端が最も後方(クランクシャフト30の回転軸側)に位置しており、下端から上方に進むにつれて前方への突出量を大きくする。第2隔壁82と左右方向に並ぶ第1隔壁81の上端付近では、クランクシャフト30が回転するときのカウンターウエイト30dの外周面の移動軌跡に沿う円弧状の湾曲形状を有している。第1隔壁81のうち最も前方に突出している前端を通って鉛直方向に延びる仮想線P3を図6に示した。第1隔壁81の下端は仮想線P3よりも後方に位置している。上記の湾曲形状によって、第1隔壁81の上端も仮想線P3より僅かに後方に位置している。第2隔壁82は、第1隔壁81と同様に、カウンターウエイト30dの外周面の移動軌跡に沿う円弧状の湾曲形状を有している(図10参照)。
本実施の形態のような左右分割タイプのクランクケース11は、第1隔壁81のように上下方向に長い形状の隔壁を、その途中に分割ラインを設けることなく容易に一体形成することができる。本実施の形態とは異なり、上下方向に分割されるケース半体で構成されるクランクケースでは、隔壁を上下方向の途中で分断して互いのケース半体の合わせ面で位置合わせしたり、片側のケース半体から上下に大きくはみ出す形状の隔壁を設けたりする必要があり、部品の組み合わせ精度の難度が高くなる。これに対して、本実施の形態の隔壁80では、バランサ用コンロッド35の通過に必要な隙間83を挟んで第1隔壁81と第2隔壁82が分離しているため、第1隔壁81と第2隔壁82との間の面合わせが不要であり、部品間の精度管理が容易で生産性に優れている。従って、左右分割タイプのクランクケースを用いる場合には、第1隔壁81と第2隔壁82をそれぞれ左右のクランクケース20、21と一体的に形成する形態を選択することで、生産性において顕著な効果が得られる。
なお、図示の構成とは異なり、第1隔壁81や第2隔壁82を左右のクランクケース20、21と別体として形成することも可能である。この場合、右クランクケース20の内面に当接して支持される支持座を第1隔壁81に設け、左クランクケース21の内面に当接して支持される支持座を第2隔壁82に設け、各支持座を対応するクランクケース20、21に固定する。このように各クランクケース20、21に対して別体の第1隔壁81と第2隔壁82を組み付ける構成は、隔壁80の形状の自由度を高くすることができる。
クランク室23内では高速回転するクランクシャフト30から周囲にオイルが飛散するが、以上の構成の隔壁80によってクランク室23とバランサ室29を隔てたことにより、クランク室23からバランサ室29への余分なオイルの浸入を制限することができる。図14から図16に示すように、隔壁80のうち右側に位置する第1隔壁81は、第2隔壁82よりも面積が広く、右クランクケース20の内面からピストン用コンロッド32までの広い範囲でバランサ室29へのオイル浸入を防止できる。
隔壁80のうち左側に位置する第2隔壁82は面積が小さいが、クランクシャフト30の軸方向中心よりも左寄りに位置するバランサウエイト33とバランサ用コンロッド35によってもバランサ室29へのオイル浸入を制限する効果が得られる。よって、バランサ室29の左半分領域に対しては、面積の小さい第2隔壁82で十分なオイルコントロール効果を得ることができる。なお、バランサウエイト33とバランサ用コンロッド35は、隙間83や切欠き84を通してクランク室23側からのオイルに接触できる。そのため、隔壁80の存在によってバランサウエイト33とバランサ用コンロッド35の潤滑不足が生じるおそれはない。
クランク室23内で隔壁80に当たったオイルは、下方に流れてオイル吸入通路51に入り、スカベンジングポンプ50で吸入及び排出されてオイル室26に回収される。特に、図6に示すように、第1隔壁81は上方に位置する前端(仮想線P3)よりも下端の方が後方(クランクシャフト30の回転軸の近く)に位置するため、飛散したオイルをクランク室23の下部に向けて導きやすい。また、第1隔壁81の下端が上湾曲壁51aの前方延長上に位置し、オイル吸入通路51の入り口となる開口部85まで達しているので、スカベンジングポンプ50まで漏れなく確実にオイルを導きやすい。従って、隔壁80によるオイルの回収効率が向上する。
以上説明したように、本実施の形態に係る内燃機関の潤滑構造によれば、スカベンジングポンプ50とフィードポンプ60を同軸上に設けた上で、前後方向及び上下方向においてクランクシャフト30に近い位置にスカベンジングポンプ50を配置することで、潤滑構造のコンパクト化を実現している。また、オイルストレーナ70を経由してフィードポンプ60に至るオイル通路をスカベンジングポンプ50に隣接して配置することで、さらなるコンパクト化と、オイル通路の短縮化によるポンプ性能の向上を実現している。また、各ポンプ50、60を駆動させる機構や変速機構におけるオイルの撹拌が生じにくい構成を備えるため、駆動効率の低下を抑制できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態のエンジンユニット10は単気筒エンジンであるが、本発明は異なる気筒数の内燃機関にも適用が可能である。
上記実施の形態では、スカベンジングポンプ50の一部がクランク室23の下端よりも下方に位置している。これと異なり、クランク室側の構成要素(クランクシャフト30等)と干渉しない、クランク室からのオイル吸入性能を確保できる、といった条件を満たした上で、スカベンジングポンプの全体をクランク室の下端よりも上方に配置するような構成を採用することも可能である。
上記実施の形態では、スカベンジングポンプ50の後端がクランク室23の後端よりも前方に位置しているが、スカベンジングポンプ50の後端位置をクランク室23の後端位置と前後方向で一致させても所要の効果を得ることができる。同様に、上記実施の形態では、吐出口54と吐出ガイドリブ55がクランク室23の後端よりも前方に位置しているが、前後方向におけるこれらの位置がクランク室23の後端位置と一致する構成を選択してもよい。
以上説明したように、本発明は、コンパクトな構成で潤滑性能に優れる内燃機関の潤滑構造を得ることができるという効果を有し、特に、小型軽量化が求められる車両等のエンジンに有用である。
10 エンジンユニット
11 クランクケース
12 シリンダ
13 シリンダヘッド
14 シリンダヘッドカバー
15 クラッチカバー
16 マグネトカバー
17 オイルフィルタ
20 右クランクケース
21 左クランクケース
23 クランク室
24 ミッション室
25 隔壁
26 オイル室
27 クラッチ室
28 発電機室
29 バランサ室
30 クランクシャフト
31 ピストン
32 ピストン用コンロッド
33 バランサウエイト
35 バランサ用コンロッド
37 ポンプ駆動軸
38 ポンプ駆動ギヤ
39 中継ギヤ
50 スカベンジングポンプ
51 オイル吸入流路
52 吸入口
53 ポンプ収容部
54 吐出口
55 吐出ガイドリブ(吐出ガイド部)
60 フィードポンプ
61 第1のオイル通路
62 第2のオイル通路
63 ストレーナ室
64 ポンプ収容部
65 吸入口
70 オイルストレーナ
71 ポンプカバー
72 ギヤカバー
80 隔壁
81 第1隔壁
82 第2隔壁
83 隙間
84 切欠き
85 開口部
90 オイル通路

Claims (8)

  1. クランクシャフトを内部に有するクランク室と、
    前記クランク室の後方に隣接配置され、変速機構を内部に有するミッション室と、
    前記ミッション室の底部に連通するオイル室と、
    前記オイル室内のオイルを潤滑対象部に供給するフィードポンプと、
    前記クランク室に溜まったオイルを吸入して前記ミッション室に排出するスカベンジングポンプと、
    を備えた内燃機関の潤滑構造において、
    前記フィードポンプと前記スカベンジングポンプは、前記クランクシャフトの回転軸が向く内燃機関の幅方向で同軸上に配置されており、
    前記スカベンジングポンプの少なくとも一部は、前記クランク室の下端よりも上方に配置され、
    前記スカベンジングポンプの後端は、前後方向において、前記クランク室の後端と同じ位置又は前記クランク室の後端よりも前方に配置されていることを特徴とする内燃機関の潤滑構造。
  2. 前記オイル室からオイルストレーナへ向かう第1のオイル通路と、前記オイルストレーナから前記フィードポンプへ向かう第2のオイル通路とを備え、
    前記第1のオイル通路と前記第2のオイル通路は、前記スカベンジングポンプに隣接する位置を通って前記幅方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の潤滑構造。
  3. 前記第1のオイル通路は前記スカベンジングポンプの下方に配置され、前記第2のオイル通路は前記スカベンジングポンプの前方に配置され、少なくとも前記第2のオイル通路の一部が前記クランク室の下端よりも上方に位置することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の潤滑構造。
  4. 前記幅方向の側方からの側面視で、前記オイルストレーナの一部が前記スカベンジングポンプと重なることを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の潤滑構造。
  5. 前記スカベンジングポンプの吐出口は、前後方向において、前記クランク室の後端と同じ位置又は前記クランク室の後端よりも前方に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関の潤滑構造。
  6. 前記スカベンジングポンプの前記吐出口の後方に、上方に向けて延びて前記ミッション室へのオイルの進行方向を制限する吐出ガイド部を備え、
    前記吐出ガイド部は、前後方向において、前記クランク室の後端と同じ位置又は前記クランク室の後端よりも前方に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の潤滑構造。
  7. 前記吐出ガイド部は、前記オイル室を前記幅方向に横断する長さを有しており、前記吐出ガイド部の上端部は、前記オイル室内のオイルの油面位置よりも上方に位置していることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の潤滑構造。
  8. 前記クランク室と前記ミッション室を隔てる隔壁を備え、前記吐出ガイド部は前記隔壁の後方に離間して配置され、
    前記隔壁は、前記吐出ガイド部の上端部の上方で前記吐出ガイド部よりも後方に突出していることを特徴とする請求項6又は7に記載の内燃機関の潤滑構造。
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