1.第1実施形態
(1)自動倉庫全体
図1及び図2を用いて、本発明に係る一実施形態としての自動倉庫システム1を説明する。自動倉庫システム1は、荷物A(荷の一例)の保管、入庫及び出庫が可能な施設である。なお、この実施形態において、図1及び図2の紙面の左右方向が自動倉庫システム1における荷物Aの搬送方向である。図1の紙面の上下方向が荷物Aの移載方向である。図1は、本発明の一実施形態としての自動倉庫システムの平面図である。図2は、ラックの側面図である。
上記の荷物Aの搬送方向は、スタッカクレーン5(後述)の移動により荷物Aが搬送される方向である。従って、荷物Aの搬送方向は、スタッカクレーン5の走行方向に対応する。
一方、荷物Aの移載方向は、スタッカクレーン5の移載機57(後述)により荷物Aが移動する方向である。すなわち、移載方向は、荷物Aがスタッカクレーン5とラック3との間でやりとりされるときの荷物Aの移動の方向に対応する。
自動倉庫システム1は、ラック3を有する。ラック3は、荷物Aを保管する施設である。図1に示すように、本実施形態においては、ラック3は、ガイドレール51を挟んで移載方向に2つ配置されている。移載方向は、ラック3と移載機57との間で荷物Aを移載するときの荷物Aの移動方向であって、図1では紙面の上下方向である。しかし、これに限られず、ラック3は移載方向について1つだけ配置されてもよい。
自動倉庫システム1は、スタッカクレーン5(搬送装置の一例)を有する。スタッカクレーン5は、ラック3との間で荷物Aを移載するための装置である。スタッカクレーン5の構成については、後ほど詳しく説明する。
図1に示すように、ガイドレール51よりも移載方向における紙面の下側に配置されたラック3の搬送方向の側面には、荷物Aを入庫するための入庫ステーション7が配置されている。図1に示す例では、入庫ステーション7は、ラック3の紙面右側の側面に配置されている。
また、ガイドレール51よりも移載方向における紙面の上側に配置されたラック3の搬送方向の側面には、出庫ステーション9が配置されている。図1に示す例では、出庫ステーション9は、ラック3の紙面右側の側面に配置されている。
入庫ステーション7及び出庫ステーション9は、それぞれ、入庫及び出庫のために荷物Aを搬送するコンベアを有している。
(2)ラック
以下、図1〜図3を用いて、ラック3の構成について説明していく。図2は、ラックの側面図である。図3は、ラックの平面図である。図1に示すように、ラック3は、搬送方向に沿って延びている。図2及び図3に示すように、ラック3は、支柱31を有する。支柱31は、高さ方向に延びる部材であり、ラック3の四隅に配置されている。つまり、本実施形態において、ラック3は、搬送方向に沿って2本、移載方向に沿って前後一対の支柱31を有している。ここで、移載方向の前方向は、ラック3からスタッカクレーン5に向かう方向とする。また、移載方向の後方向は、移載方向において、上記の前方向とは逆方向(ラック3から見て、スタッカクレーン5から離れる方向)とする。
他の実施形態において、ラック3は、搬送方向に沿って2本以上の支柱31を有していてもよい、これにより、ラック3をより安定にできる。
ラック3は、棚部33を有する。棚部33は、支柱31の間を架設することで、荷物Aが載置される間口Sを搬送方向に沿って複数形成する。具体的には、図2及び図3に示すように、棚部33は、第1棚部33aと、第2棚部33bとを有する。
第1棚部33aは、搬送方向に延びる部材であって、搬送方向の両端部において、搬送方向に支柱31を架設する。図2に示すように、第1棚部33aは、ラック3の高さ方向において、所定の間隔を空けて複数配置されている。第2棚部33bは、移載方向に延びる部材であって、搬送方向に所定の間隔を空けて複数配置され、第1棚部33a上に固定されることで、支柱31及び第1棚部33aを移載方向に架設する。上記のように配置された第1棚部33aと第2棚部33bは、荷物Aを載置するための間口Sを、搬送方向に複数個、高さ方向に複数段形成する。
ラック3における搬送方向の端部のうち、図2及び図3の紙面右側に存在する端部を「第1端」とし、紙面左側に存在する端部を「第2端」とする。
ラック3は、検出部材35を有する。図2及び図3に示すように、検出部材35は、移載方向においては、第2棚部33bの前側の先端に取り付けられている。一方、搬送方向においては、当該第2棚部33bの中心に取り付けられている。つまり、検出部材35は、互いに隣接する間口Sの間に設けられている。
検出部材35は、例えば、光を反射する材料(例えば、光沢のある金属材料)にて形成されており、検出部材35の表面に到達した光を反射できる。また、図2に示すように、検出部材35は、その中心に所定の大きさの検出用孔Oが設けられている。検出部材35の中心に到達した光は、検出用孔Oを通過する。
図2に示すように、本実施形態においては、検出部材35は、搬送方向に長い長方形を有している。しかし、これに限られず、検出部材35は、円形、多角形(三角形、正方形、五角形など)などの任意の形状とできる。
検出器59は、検出部材35の検出用孔O以外の箇所で光が反射したこと、又は、光が検出用孔Oを通過したこと(例えば、上記の反射光よりも弱い光を検出する、又は、光を検出しない)を検出することで、検出用孔Oを検出する。これにより、検出用孔Oの孔形態から想定される孔径を超える検出結果が検出器59にて得られた場合には、当該検出結果を不適切なものと判断できる。その結果、適切な検出結果を確実に得ることができる。
(3)スタッカクレーン
スタッカクレーン5は、搬送方向に沿って移動することで、複数の間口S、入庫ステーション7、及び/又は出庫ステーション9との間で荷物Aを搬送する装置である。スタッカクレーン5は、搬送方向に沿って設けられたガイドレール51に沿って移動可能である。
スタッカクレーン5は、図4に示すように、走行台車53と、昇降台55と、移載機57と、検出部材35を検出する検出器59と、を有している。図4は、スタッカクレーン及び棚の平面図である。
走行台車53は、ガイドレール51上を搬送方向に移動可能な装置であって、例えば、ガイドレール51上にて回転する車輪と、当該車輪を回転させるモータと、により構成される装置である。走行台車53には、高さ方向に延びるマストが設けられている。
昇降台55は、走行台車53に設けられたマストに搭載され、当該マストに沿って移動することで当該マストの高さ方向に昇降する。
移載機57は、昇降台55に搭載される。これにより、移載機57は、昇降台55により高さ方向に移動可能となり、走行台車53により搬送方向に移動可能となる。移載機57は、スタッカクレーン5から、ラック3の間口S、入庫ステーション7、又は出庫ステーション9へと、又はその逆方向に荷物Aを移載する。
移載機57としては、例えば、荷物Aを引っ掛けるフックを有する移載機、荷物Aを挟持するクランプ部を有する移載機などの、荷物Aを間口Sなどとの間で移載する任意の移載機を用いることができる。荷物Aを引っ掛けるフックを有する移載機としては、例えば、荷物Aの前面にフックを引っ掛けるフロントフック方式の移載機、荷物Aの後端にフックを引っ掛けるリアフック方式の移載機などがある。
検出器59は、例えば、光を出力する光源と、当該光源から出力した光(反射光)を検出する検出素子と、にて構成される光電センサである。検出器59は、昇降台55において、昇降台55と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、当該間口Sに対応する検出部材35と正対する位置に設けられている。
具体的には、荷物Aを移載するために昇降台55と間口Sとが正対しているときに、検出器59から出力された光は、当該間口Sに対応する検出部材35の検出用孔Oを通過して、検出器59にて検出されないか、又は、微弱な光として検出される。
一方、走行台車53の搬送方向の停止位置(後述する走行停止位置)、及び、昇降台55の高さ方向の停止位置(後述する昇降停止位置)が、昇降台55と荷物Aを移載する間口Sとが正対する位置からずれている場合には、検出器59から出力された光は検出部材35により反射され、検出器59にて所定強度以上の光として検出される。
このように、検出器59による反射光の検出の有無、又は、検出器59にて検出された反射光の強弱に基づいて、昇降台55と荷物Aを移載したい間口Sとの間の位置関係を検出できる。
(4)制御構成
スタッカクレーン5は、図5に示すような制御構成を有するコントローラ61を有する。コントローラ61は、自動倉庫システム1全体を制御する制御部(図示せず)と通信可能であり、スタッカクレーン5を制御する。コントローラ61は、CPU、メモリ(RAM、ROMなどの記憶装置)、各種インターフェース等にて構成されるコンピュータシステムで実現されている。コントローラ61は、SoC(System on Chip)にて構成されていてもよい。図5は、コントローラの制御構成を示す図である。
コントローラ61は、コンピュータシステムの記憶装置に記憶されたソフトウェアを、当該コンピュータシステムにおいて実行することにより、スタッカクレーン5の各部を制御する動作を実現してもよい。
コントローラ61は、例えば、走行台車53の車輪又はモータの出力回転軸に設けられたエンコーダからのパルス数(すなわち、車輪又はモータの回転数)を検出するか、及び/又は、搬送方向に沿った位置に設けられた識別標識(例えば、バーコードなど)をスタッカクレーン5に設けられた検出装置(例えば、バーコードリーダーなど)にて検出することで、走行台車53の搬送方向における移動距離及び/又は位置を検出する。
他の実施形態において、コントローラ61は、例えば、搬送方向における基準位置を距離センサにより検出することで、走行台車53の搬送方向における移動距離及び/又は位置を検出してもよい。
また、コントローラ61は、例えば、昇降台55を駆動するモータの出力回転軸に設けられたエンコーダからのパルス数(すなわち、モータの回転数)を検出するか、及び/又は、高さ方向に沿った位置に設けられた識別標識(例えば、バーコードなど)を検出装置(例えば、バーコードリーダーなど)にて検出することで、昇降台55の高さ方向における移動距離及び/又は位置を検出する。
他の実施形態において、コントローラ61は、例えば、高さ方向における基準位置を距離センサにより検出することで、昇降台55の高さ方向における移動距離及び/又は位置を検出してもよい。
コントローラ61は、走行台車53の走行/停止を制御可能である。例えば、移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載する際には、荷物Aを移載する目的の間口Sが存在する搬送方向の位置である走行停止位置にて走行台車53を停止させる。
コントローラ61は、昇降台55をマストに沿って昇降させるための昇降装置551を制御可能である。例えば、移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載する際には、目的の間口Sが存在する高さ方向の位置である昇降停止位置にて昇降台55を停止させる。
移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、コントローラ61は、最初に走行台車53を走行停止位置に停止させ、その後、昇降台55を昇降停止位置に停止させてもよいし、その逆に、最初に昇降台55を昇降停止位置に停止させ、その後、走行台車53を走行停止位置に停止させてもよい。
さらに、コントローラ61は、走行台車53に走行停止位置に停止させる動作と、昇降台55を昇降停止位置に停止させる動作と、を同時に実行してもよい。
コントローラ61は、移載機57と目的の間口Sとの間で荷物Aを移載する際、当該目的の間口Sに対応する検出部材35の検出用孔Oを検出器59が検出したら(例えば、検出器59が所定の強度以下の弱い反射光を検出するか、又は、検出器59が光を検出しないとき)、検出器59が目的の間口Sに対応する検出部材35と正対した、すなわち、目的の間口Sとの間で荷物Aを移載可能な位置に移載機57が到達したと判断する。
目的の間口Sとの間で荷物Aを移載可能な位置に移載機57が到達したと判断したら、コントローラ61は、移載機57に対して、目的の間口Sとの間で荷物Aを移載するよう指令する。
コントローラ61は、検出器59にて検出された反射光の有無又は強弱に基づいて、移載機57と間口Sとの間の位置関係を把握する。コントローラ61は、走行台車53の搬送方向における位置と検出器59にて検出された反射光の有無又は強弱との関係を表すデータに基づいて、移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載するときの昇降台55の昇降停止位置の補正を行う。
他の実施形態において、コントローラ61は、走行台車53の搬送方向における位置と検出器59にて検出された反射光の有無又は強弱との関係を表すデータに基づいて、移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載するときの走行台車53の走行停止位置の補正を行ってもよい。
その他、コントローラ61には、各種スイッチ及びセンサ611が接続されており、スタッカクレーン5の各種装置の状態を把握できる。
コントローラ61は、ラック3の各間口Sに対する走行停止位置及び昇降停止位置を記憶する記憶部613を有する。記憶部613は、例えば、コントローラ61を構成するコンピュータシステムに備わった記憶装置の記憶領域である。具体的には、記憶部613は、例えば、図6Aに示すような、ラック3の各間口Sを識別する番号に、当該識別番号に対応する間口Sに対する走行停止位置と昇降停止位置とを関連付けた停止位置管理テーブルTを記憶する。図6Aは、停止位置管理テーブルの一例を示す図である。
他の実施形態において、停止位置管理テーブルにおいて、走行停止位置及び昇降停止位置は、ラック3の各検出部材35に対して関連付けられてもよい。
停止位置管理テーブルTに記憶される走行停止位置D1、D2、・・・Dnは、例えば、基準位置からの走行台車53の走行距離である。一方、昇降停止位置H1、H2、・・・Hnは、例えば、基準位置(例えば、床面)からの高さである。
他の実施形態として、図6Bに示すように、各間口Sの識別番号に、走行停止位置と昇降停止位置だけでなく、昇降停止位置の補正を行ったときの補正値を関連付けた停止位置管理テーブルT’を記憶してもよい。図6Bは、停止位置管理テーブルの他の例を示す図である。図6Bの補正値C11、C12、・・・C1nは、各間口Sに対応する昇降停止位置に対する補正値である。
さらなる他の実施形態として、図6Cに示すように、各間口Sの識別番号に、走行停止位置と昇降停止位置だけでなく、昇降停止位置の補正を行ったときの対応する検出部材35の検出結果を関連付けた停止位置管理テーブルT’’を記憶してもよい。図6Cは、停止位置管理テーブルのさらなる他の例を示す図である。
図6Cの検出結果d11、d12、・・・d1nは、各間口Sに対応する検出部材35を高さ方向にて検出したときの検出結果である。
(5)自動倉庫システムの動作
以下、図7を用いて、本実施形態に係る自動倉庫システム1の動作について説明する。図7は、自動倉庫システムの動作を示すフローチャートである。
自動倉庫システム1が動作を開始すると、コントローラ61(または、外部のコントローラ)は、各間口Sに対応する昇降停止位置の補正を実行するか否かを決定する(ステップS1)。例えば、自動倉庫システム1を最初に動作させる場合、又は、最初に自動倉庫システム1を動作させてから所定の時間が経過している場合に(ステップS1において「Yes」の場合)、昇降停止位置の補正を実行する(ステップS2)。
昇降停止位置の補正を実行するか否かを決定する際に、コントローラ61(または、外部のコントローラ)は、ユーザに昇降停止位置の補正を実行するか否かを選択させてもよい。
昇降停止位置の補正を実行しないと決定したか(ステップS1において「No」の場合)、又は、昇降停止位置の補正後、荷物Aの移載指令が出されたら、コントローラ61は、荷物Aの移載動作を開始する。具体的には、まず、コントローラ61は、移載指令に示された荷物Aを移載したい間口Sに関連付けられた走行停止位置及び昇降停止位置を、それぞれ、目標走行停止位置及び目標昇降停止位置として、停止位置管理テーブルT、T’、T’’より読み出す(ステップS3)。
次に、コントローラ61は、走行台車53を制御して、目標走行停止位置まで走行台車53を移動させ(ステップS4)、昇降装置551を制御して、昇降台55を目標昇降停止位置まで移動させる(ステップS5)。
走行台車53の目標走行停止位置への移動と、昇降台55の目標昇降停止位置への移動が完了後、コントローラ61は、検出器59が検出用孔Oを検出しているか否かを判定する(ステップS6)。具体的には、検出器59により反射光が検出されていないか、又は、微弱な反射光が検出されていれば、検出器59から出力された光は検出用孔Oを通過したと判断し、検出器59が検出用孔Oを検出している、すなわち、移載機57が荷物Aを移載したい間口Sと正対していると判定する。
検出器59が検出用孔Oを検出していると判定された場合(ステップS6において「Yes」の場合)、コントローラ61は、移載機57を制御して、指定された間口Sとの間で荷物Aの移載を実行する(ステップS7)。
一方、例えば、検出器59から出力した光が検出部材35にて反射され、検出器59が所定の強度以上の反射光を検出した場合、すなわち、検出器59が検出用孔Oを検出していないと判定された場合(ステップS6において「No」の場合)、荷物Aの移載動作はステップS4に戻り、走行台車53及び昇降台55の停止位置が微調整される。その後、検出器59が検出用孔Oを検出したら、指定された間口Sとの間で荷物Aの移載を実行する。
このように、ラック3に検出部材35を設けることにより、移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、移載機57と当該間口Sとが荷物Aを移載可能な位置関係(本実施形態では、移載機57と当該間口Sとが正対する位置関係)にあるか否かを判定できる。
移載指令にて指令された荷物Aの移載を完了後、例えば、自動倉庫システム1に対して緊急停止などの停止指令が出されない限り(ステップS8において「No」の場合)、上記のステップS1〜S7が繰り返し実行される。
なお、上記においては、ステップS3において、目標走行停止位置と目標走行停止位置とを両方読み出していたが、これに限られない。他の実施形態として、例えば、最初に目標走行停止位置のみを読み出して走行台車53を当該目標走行停止位置に移動させた後、目標昇降停止位置を読み出して、昇降台55を当該目標昇降停止位置まで移動させてもよい。
さらなる他の実施形態において、最初に目標昇降停止位置のみを読み出して昇降台55を当該目標昇降停止位置に移動させた後、目標走行停止位置を読み出して、走行台車53を当該目標走行停止位置まで移動させてもよい。
(6)昇降停止位置の補正プロセス
以下、上記のステップS2において実行される、昇降停止位置の補正プロセスについて、図8を用いて説明する。図8は、昇降停止位置の補正プロセスを示すフローチャートである。以下では、搬送方向の同一の位置に存在しそれぞれが高さ方向に対しては異なる位置に配置される複数の間口Sのそれぞれに対する昇降停止位置の補正を実行する例について、説明する。また、図6Aに示す停止位置管理テーブルTに記憶された昇降停止位置の補正を例にとって説明する。
まず、コントローラ61は、ラック3の搬送方向のどの位置に存在し高さ方向に異なる位置に配置される複数の間口Sの昇降停止位置を補正するかを決定し(ステップS201)、当該複数の間口Sが存在する搬送方向の位置に走行台車53を移動させる(ステップS202)。その後、昇降台55をラック3の最下段に移動させる(ステップS203)。
他の実施形態において、上記のステップS202とステップS203は処理の順番を入れ替えてもよい。すなわち、最初に、昇降台55をラック3の最下段に移動して、ステップS201にて決定した搬送方向の位置に走行台車53を移動させてもよい。
さらなる他の実施形態において、上記のステップS202とステップS203は同時に実行されてもよい。すなわち、昇降台55を最下段に下降させながら、走行台車53を搬送方向の決定した位置に移動させてもよい。
走行台車53及び昇降台55を移動後、コントローラ61は、搬送方向の同一の位置に存在する検出部材35を逐次検出していき、当該検出部材35の検出結果に基づいて、当該搬送方向の同一の位置に存在する間口Sに対応する昇降停止位置を逐次補正する。
そのために、コントローラ61は、まず、ラック3の最下段に存在する最初の間口Sに対して設定されている昇降停止位置に昇降台55を移動させ(ステップS204)、その後、昇降台55を当該昇降停止位置からサーチ外し距離δ1(第1距離の一例)だけ高さ方向にずれた位置に移動させ、昇降台55を当該位置に所定の時間停止させる(ステップS205)。
他の実施形態において、上記のステップS203は省略されてもよい。すなわち、コントローラ61は、昇降台55を補正対象の間口Sに対して設定されている昇降停止位置に直接移動させてもよい。
この場合、さらなる他の実施形態において、上記のステップS202とS204の処理の順番を逆として、昇降台55を補正対象の間口Sに設定されている昇降停止位置に移動後に、走行台車53を補正対象の間口Sが存在する搬送方向の位置に移動させてもよい。
さらなる他の実施形態において、昇降台55の補正対象の間口Sに設定されている昇降停止位置への移動と、走行台車53の補正対象の間口Sが存在する搬送方向の位置への移動と、を同時に実行してもよい。
他の実施形態において、上記のステップS204を省略し、ラック3の最下段に対応する高さ方向の位置から、補正対象の間口Sが存在する昇降停止位置からサーチ外し距離δ1だけずれた位置へと、直接、昇降台55を移動させてもよい。
他の実施形態において、上記のステップS203及びステップS204を省略し、補正対象の間口Sが存在する搬送方向の位置に走行台車53を移動後に、補正対象の間口Sが存在する昇降停止位置からサーチ外し距離δ1だけずれた位置に昇降台55を直接移動させてもよい。
この場合、さらなる他の実施形態において、補正対象の間口Sが存在する昇降停止位置からサーチ外し距離δ1だけずれた位置に昇降台55を移動後に、補正対象の間口Sが存在する搬送方向の位置に走行台車53を移動させてもよい。
さらなる他の実施形態において、補正対象の間口Sが存在する搬送方向の位置への走行台車53の移動と、補正対象の間口Sが存在する昇降停止位置からサーチ外し距離δ1だけずれた位置への昇降台55の移動と、を同時に実行してもよい。
サーチ外し距離δ1とは、昇降停止位置の補正の対象となっている間口Sに対応する検出用孔Oを確実に検出しない位置まで昇降台55を下降させるために必要な、昇降停止位置からの移動距離のことをいう。
従って、このサーチ外し距離δ1は、例えば、検出部材35の高さ方向の長さとできる。これにより、例えば、昇降台55を現在の昇降停止位置に移動させた結果、検出器59が検出対象の検出部材35の上端と正対してしまった場合であっても、上記のサーチ外し距離δ1だけ昇降台55を下降させることにより、検出器59を当該検出部材35の下端まで移動できる。その結果、検出器59(昇降台55)を上昇させながら検出用孔Oを確実に検出できる。
例えば、停止位置管理テーブルTにおいてk番目の間口S(所定の間口の一例)に対する昇降停止位置を補正する場合に、現在設定されている昇降停止位置Hkに昇降台55を移動させた結果、図9の(1)の位置に正対する位置に検出器59が存在したとする。
その後、サーチ外し距離δ1だけ昇降台55を下降させることにより、図9の(2)の位置(すなわち、Hk−δ1)に検出器59が正対する。
図9は、検出部材を高さ方向に検出する様子を模式的に示す図である。
サーチ外し距離δ1だけ昇降台55を下降して所定の時間停止させ、昇降台55の揺れを減少させた後、コントローラ61は、昇降台55を上昇させながら、検出器59に反射光の強度を検出させる(ステップS206)。本実施形態においては、コントローラ61は、検出器59に反射光の強度を検出させる間に、昇降台55をサーチ距離δs1(第2距離の一例)だけ(すなわち、図9の(3)の位置まで)上昇させる。
上記のサーチ距離δs1は、図9に示すように、昇降台55が上昇する間に、検出器59が検出用孔Oの高さ方向における2つの縁に正対する位置を通過するために必要な距離以上の距離として設定される。そのため、サーチ距離δs1は、上記のサーチ外し距離δ1よりも大きな距離として設定される。図9に示す例では、サーチ距離δs1は、サーチ外し距離δ1の2倍に設定されている。
昇降台55を上昇させながら反射光の強度を検出させる間に、コントローラ61は、検出器59により検出用孔Oの高さ方向における2つの縁を検出したか否かを判定する(ステップS207)。
昇降台55を上昇させることで、検出器59を図9の(2)に正対する位置から図9の(3)に正対する位置まで上昇させる間に、検出器59は、図10に示すような反射光の強度を、検出部材35の検出結果として検出する。図10は、検出部材を高さ方向に検出した検出結果の一例を示す図である。
当該検出部材35の検出結果において、図10に示すように、検出器59が図10の(2)に正対する位置から検出用孔Oの下側の縁に正対する位置まで移動してきたとき、検出器59は、反射光の強度の急激な減少を検出する。
なお、検出部材35と第1棚部33aなどのラック3の他の部材との間の位置関係によっては、上記の反射光の強度の急激な減少を検出する前に、検出器59が、検出部材35の下側の縁を検出することにより、反射光の上昇を検出してもよい。または、反射光の強度の急激な減少を検出する前に、反射光の上昇が検出されなくてもよい。
さらに、検出器59が、検出用孔Oの下側の縁に正対する位置から検出用孔Oの上側の縁に正対する位置まで移動すると(すなわち、走行台車53が図10の(2)から距離ek2だけ移動したとき)、検出器59は、反射光の強度の急激な増加を検出する。
従って、ステップS207では、コントローラ61は、検出器59が最初に反射光の急激な減少を検出し、かつ、所定の時間(昇降台55が検出用孔Oの高さ方向の長さだけ移動した時間)の経過後に、急激な反射光の増加を検出したときに、検出器59が検出用孔Oの高さ方向における2つの縁を検出したと判定する。
ただし、検出器59が最初に反射光の急激な減少を検出してから急激な反射光の増加を検出するまでの時間が当該所定の時間より長い場合は、検出器59が検出用孔Oの高さ方向における2つの縁を検出していないと判定する。
上記のように、反射光の急激な減少を検出し、かつ、所定の時間経過後に急激な反射光の増加を検出したときに検出用孔Oの高さ方向の2つの縁を検出したと判定することにより、適切に検出用孔Oの高さ方向の縁を検出できる。
例えば、検出器59が反射光の急激な減少のみを検出すれば検出用孔Oの高さ方向の縁を検出したとする場合、検出器59が荷物A及び/又は棚部33を検出して強い反射光を検出後に、荷物A及び/棚部33を検出しなくなることで急激な反射光の減少を検出すると、荷物A及び/又は棚部33の高さ方向の縁を検出用孔Oの高さ方向の縁であると誤検出することとなる。
検出器59が、反射光の急激な減少を検出していないか、又は、最初の反射光の減少は検出したものの反射光の急激な増加を検出していない場合(ステップS207において「No」の場合)、コントローラ61は、検出用孔Oの高さ方向の2つの縁を検出できていないと判定し、昇降台55の移動を継続する。
一方、検出器59が反射光の急激な減少を検出し、かつ、その所定の時間の経過後に急激な反射光の増加を検出したら(ステップS207において「Yes」の場合)、コントローラ61は、検出器59が検出用孔Oの高さ方向における2つの縁を検出したと判定する。
その後、検出器59が反射光の急激な減少を検出したときの昇降台55の高さ方向の位置を下側の縁として記憶する。また、検出器59が急激な反射光の増加を検出したときの昇降台55の高さ方向の位置を上側の縁として記憶する(ステップS208)。
例えば、k番目の間口Sに対応する検出部材35において、昇降台55が図10(図9)の(2)の位置から下側の縁を検出するまでに移動した距離ek1を、下側の縁の存在位置として記憶し、上側の縁を検出するまでに移動した距離ek2を、上側の縁の存在位置として記憶するものとする。
他の実施形態において、コントローラ61は、検出器59が反射光の急激な減少を検出したタイミングにおいて、当該タイミングにおける昇降台55の高さ方向の位置を下側の縁として記憶し、検出器59が反射光の急激な減少後に急激な増加を検出したタイミングにおいて、当該タイミングにおける昇降台55の高さ方向の位置を上側の縁として記憶してもよい。
この場合、上記の急激な反射光の増加を、反射光の急激な減少を検出してから所定の時間(昇降台55が検出用孔Oの高さ方向の長さだけ移動した時間)を経過しても検出しない場合には、コントローラ61は、記憶した検出用孔Oの下側の縁に正対する位置を記憶部から削除して、再度、検出用孔Oの高さ方向の2つの縁の検出を開始してもよい。
検出用孔Oの高さ方向の2つの縁を検出するために昇降台55を移動中に、コントローラ61は、昇降台55が当該移動を開始してからサーチ距離δs1だけ移動したか否かを判定する(ステップS209)。
昇降台55がサーチ距離δs1だけ移動していない場合(ステップS209において「No」の場合)、コントローラ61は、昇降台55の移動と、検出用孔Oの高さ方向の2つの縁の検出とを継続する。
昇降台55をサーチ距離δs1だけ移動したと判断したら(ステップS209において「Yes」の場合)、コントローラ61は、補正しようとしている昇降停止位置に対して新たな昇降停止位置Hk’を算出し、当該新たな昇降停止位置Hk’を、停止位置管理テーブルTの対応する間口Sの識別番号に関連付けて記憶部613に記憶する(ステップS210)。
これにより、1つの間口Sに対する昇降停止位置の補正が完了する。
新たな昇降停止位置Hk’は、例えば、以下のようにして算出できる。以下では、k番目の間口Sに対する昇降停止位置の補正を実行する場合を例にとる。
まず、ステップS206〜S209を実行して取得した検出用孔Oの高さ方向における2つの縁の中点を算出する。これにより、検出用孔Oの高さ方向の中心位置を算出できる。例えば、上記の距離ek1、ek2を用いる場合には、(ek1+ek2)/2と算出できる。
次に、補正したい昇降停止位置からサーチ外し距離δ1だけずれた高さ方向の位置(Hk−δ1)に、上記の高さ方向における2つの縁の中点を加算して、Hk−δ1+(ek1+ek2)/2と新たな昇降停止位置Hk’を算出できる。
他の実施形態において、コントローラ61は、上記の距離ek1及びek2を、それぞれ、高さ方向の位置を表す値ek1’、ek2’(例えば、昇降台55の基準位置からの高さ方向への移動距離)として取得してもよい。この場合、新たな昇降停止位置Hk’を、ek1’とek2’との中点、すなわち、(ek1’+ek2’)/2として算出できる。
1つの間口Sに対する昇降停止位置を補正後、コントローラ61は、当該補正した昇降停止位置が、最上段に存在する間口Sに対するものであったか否かを判定する(ステップS211)。すなわち、昇降台55を最上段まで移動させたか否かを判定する。
昇降台55を最上段まで移動させていない場合(ステップS211において「No」の場合)、コントローラ61は、昇降台55をさらに上昇させて、昇降台55を次の段に存在する間口S(例えば、k+m番目の間口S。m:第1棚部33aに存在する間口Sの搬送方向に対する個数)の昇降停止位置に移動させる。その後、上記のステップS204〜S211を実行する。
すなわち、同一の搬送方向の位置に存在する全ての間口Sに対して昇降停止位置を補正するまで、上記のステップS204〜S211が繰り返し実行される。
他の実施形態において、一つの搬送方向の位置について、ラック3の最下段の(最初の)間口Sについて昇降停止位置の補正を実行した後、それ以降の間口Sについての昇降停止位置の補正を実行する際には、上記のステップS204及びS205を実行しなくともよい。すなわち、昇降台55を上昇(走査)させつつ、各間口Sに対応する検出用孔Oの搬送方向の高さ方向における2つの縁を検出するようにしてもよい。
さらなる他の実施形態において、ラック3の最下段の(最初の)間口Sについて昇降停止位置の補正を実行した後、それ以降の間口Sについての昇降停止位置の補正を実行する際には、上記のステップS204を実行しなくともよい。すなわち、1つの間口Sについて昇降停止位置の補正が完了したら、走行台車53を次の間口Sについての(補正前の)昇降停止位置よりもサーチ外し距離δ1だけずれた位置に直接移動させてもよい。
一方、同一の搬送方向の位置に存在し高さ方向において異なる位置に存在する全ての間口Sに対して昇降停止位置を補正した場合(ステップS211において「Yes」の場合)、ラック3の第1端から第2端まで上記のステップS204〜S211を繰り返したか、すなわち、ラック3の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行したか否かを判定する(ステップS212)。
具体的には、搬送方向の第1端に最も近い位置に存在する間口Sについて最初に昇降停止位置の補正を実行すると決定した場合には、コントローラ61は、搬送方向の第1端側から第2端側に向かって順に高さ方向の全ての間口Sの昇降停止位置の補正を実行し、最後に搬送方向の第2端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行した場合に、ラック3の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行したと判定する。
一方、搬送方向の第2端に最も近い位置に存在する間口Sについて最初に昇降停止位置の補正を実行すると決定した場合には、コントローラ61は、搬送方向の第1端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行した場合に、ラック3の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行したと判定する。
なお、昇降停止位置を補正する対象の間口Sは、第1端から第2端の方向、又は、第2端から第1端の搬送方向の一方向だけに変化させる場合に限られない。
例えば、他の実施形態において、最初に昇降停止位置の補正を実行する間口Sの存在位置を、ラック3の第1端又は第2端以外の任意の位置とした場合には、当該任意の位置に存在する間口Sから第2端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置を補正した後、上記の任意の位置から搬送方向の第1端側に隣接する間口Sから第1端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して走行停止位置を補正してもよい。
この場合、コントローラ61は、第1端に最も近い位置に存在する全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行した場合に、ラック3の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行したと判定する。
さらなる他の実施形態において、上記の任意の位置に存在する間口Sから第1端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置を補正した後、上記の任意の位置から搬送方向の第2端側に隣接する間口Sから第2端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置を補正してもよい。
この場合、コントローラ61は、第2端に最も近い位置に存在する全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行した場合に、ラック3の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行したと判定する。
さらなる他の実施形態において、上記の任意の位置に存在する間口Sから第2端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置を補正した後、走行台車53を第1端に移動させ、第1端に最も近い位置に存在する間口Sから、任意の位置から搬送方向に第1端側に隣接する位置の間口Sまで、高さ方向の全ての間口Sの昇降停止位置を補正してもよい。
この場合、コントローラ61は、上記の任意の位置から搬送方向に第1端側に隣接する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行した場合に、ラック3の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行したと判定する。
さらなる他の実施形態において、上記の任意の位置に存在する間口Sから第1端に最も近い位置に存在する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置を補正した後、走行台車53を第2端に移動させ、第2端に最も近い位置に存在する間口Sから、任意の位置から搬送方向に第2端側に隣接する位置の間口Sまで、高さ方向の全ての間口Sの昇降停止位置を補正してもよい。
この場合、コントローラ61は、上記の任意の位置から搬送方向に第2端側に隣接する高さ方向の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行した場合に、ラック3の全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行したと判定する。
ラック3の全ての間口に対して昇降停止位置の補正を実行していない場合(ステップS212において「No」の場合)、昇降停止位置を補正する搬送方向の位置を、当該搬送方向の位置に存在する間口Sに対して搬送方向に隣接する間口Sの位置に走行台車53を移動させて、上記のステップS201〜S212を実行する。すなわち、全ての間口Sに対して昇降停止位置の補正を実行するまで、走行台車53の搬送方向の位置(走行停止位置)を変えながらステップS201〜S212を繰り返し実行する。
上記のステップS204〜S211を実行することにより、新たな検出部材をラック3に設けることなく、昇降台55と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に昇降台55と間口Sとが荷物Aを移載可能な位置関係にあるか否かを検出するために用いられる検出部材35を用いて、簡便に昇降停止位置の補正を実行できる。
また、上記のステップS204〜S212を実行して昇降停止位置の補正を実行することにより、単純な形状の検出用孔Oを検出部材35に設けるだけで、複雑な計算をすることなく、簡便な方法により、精度よく昇降停止位置を補正できる。
さらに、所定の間口Sに対応する昇降停止位置の補正を実行する際に、コントローラ61が、当該所定の間口Sに対して現在設定されている昇降停止位置から第1距離(サーチ外し距離δ1)だけ下の位置に昇降台55を下降させた後に停止させることで、昇降台55の揺れを減少させてから、昇降台55を高さ方向に上昇できる。
また、検出部材35の検出結果を取得する際に昇降台55を上昇させることで、昇降台55を安定させながら検出部材35の検出結果を取得できる。その結果、精度のよい検出部材35の検出結果を得ることができる。
他の実施形態において、図6Bに示す、昇降停止位置を補正するための補正値を記憶する停止位置管理テーブルT’を用いる場合、上記のステップS210にて算出された検出用孔Oの高さ方向の2つの縁の中点((ek1+ek2)/2)を、停止位置管理テーブルT’の「補正値」の対応する間口Sの識別番号(識別番号k)の欄(C1kの欄)に関連付けて保存してもよい。
上記の場合、停止位置管理テーブルT’に記憶されている昇降停止位置は、一度決定されたら、昇降停止位置の補正が実行されても更新されない。この場合、昇降台55と間口Sとの間で荷物Aを移載する際の目標昇降停止位置は、上記のステップS3にて目標昇降停止位置を決定する際に、例えば、Hk−δ1+(ek1+ek2)/2(荷物Aを移載したい間口Sの識別番号がkの場合)と算出できる。
さらなる他の実施形態において、図6Cに示す、各間口Sに対応する検出部材35の検出結果を記憶する停止位置管理テーブルT’’を用いる場合、上記のステップS208にて取得した検出用孔Oの高さ方向の2つの縁の位置(ek1、ek2)を、停止位置管理テーブルT’’の「検出結果」の対応する間口Sの識別番号(識別番号k)の欄(d1kの欄)に関連付けて保存してもよい。
上記の場合、停止位置管理テーブルT’’に記憶されている昇降停止位置は、一度決定されたら、昇降停止位置の補正が実行されても更新されない。この場合、昇降台55と間口Sとの間で荷物Aを移載する際の目標昇降停止位置は、上記のステップS3にて目標昇降停止位置を決定する際に、例えば、Hk−δ1+(ek1+ek2)/2(荷物Aを移載したい間口Sの識別番号がkの場合)と算出できる。
2.第2実施形態
上記の第1実施形態において、昇降台55に配置された移載機57の数は1であったが、これに限られない。第2実施形態に係る自動倉庫システム1’においては、図11に示すように、複数の移載機57が、昇降台55に搬送方向に沿って配置されている。図11は、第2実施形態に係る昇降台の構成を示す図である。図11に示す例では、4台の移載機57a、57b、57c、57dのそれぞれが、昇降台55の搬送方向における幅方向において、所定の間隔を空けて搭載されている。
また、昇降台55が4台の移載機57a、57b、57c、57dを有することで、4つの棚部33との間で同時に荷物Aを移載できる。
また、図11に示すように、ラック3の間口Sは、搬送方向に間を空けて配置される2つの第2棚部33bの間に形成される。また、各第2棚部33bに検出部材35が設けられている。よって、1つの間口Sは、その搬送方向の一端と他端のそれぞれに検出部材35を有している(すなわち、間口Sの両側に検出部材35が設けられている)。
第2実施形態に係る自動倉庫システム1’は、昇降台55が複数の移載機57(と、場合によっては複数の検出器59)を有すること以外は、上記の第1実施形態に係る自動倉庫システム1と同様の構成を有する。従って、以下では、昇降台55に設けられた移載機57及び検出器59についてのみ説明し、自動倉庫システム1’の他の構成についての説明は省略する。
この第2実施形態において、1つの検出器59は、複数の移載機57に対して共通となっている。図11に示す例では、1つの検出器59aが、互いに隣接する2台の移載機57a、57bの間に設けられ、他の検出器59bが、互いに隣接する2台の移載機57c、57dの間に設けられている。すなわち、図11に示す例では、4台の移載機57に対して2つの検出器59が設けられる。
他の実施形態において、昇降台55において検出器59a、59bが取り付けられた側とは移載方向の反対側に、さらに検出器59を設けてもよい。これにより、図11に示した側とは反対側のラック3の検出部材35も検出できる。
検出器59aと2台の移載機57a、57bとの位置関係は、検出器59aが特定の検出部材35に対して正対すると、移載機57a、57bが、当該特定の検出部材35を介して隣接する2つの対応する間口Sと正対する位置関係となっている。
検出器59bと2台の移載機57c、57dとの位置関係は、検出器59bが特定の検出部材35に対して正対すると、移載機57c、57dが、当該特定の検出部材35を介して隣接する2つの対応する間口Sと正対する位置関係となっている。
この場合、停止位置管理テーブルT、T’、T’’は、検出器59a、59b毎に記憶部613に記憶される。従って、上記の第1実施形態にて説明した走行停止位置及び昇降停止位置の補正は、検出器59a、59b毎に実行される。
また、停止位置管理テーブルT、T’、T’’において、走行停止位置及び昇降停止位置(補正値及び検出結果)は、ラック3の各検出部材35に関連付けられる。さらに、停止位置管理テーブルT、T’、T’’において、2つの検出部材35に対して1つの間口Sが関連付けられており、コントローラ61は、荷物Aの移載指令に示された(荷物Aの移載を行いたい)間口Sの識別番号から、どの2つの検出部材35を検出器59に検出させるかを決定する。
荷物Aの移載を実行するときには、荷物Aの移載を行わせる移載機57に応じて、いずれの検出器59a、59bを用いて、間口Sの両側に設けられた検出部材35(上記にて決定した2つの検出部材35)のうち、いずれの検出部材35を当該検出器59a、59bに検出させるかを決定する。
そして、検出部材35の検出に用いると決定した検出器59a、59bと当該検出器59a、59bに検出させると決定した検出部材35とが正対したときの走行台車53の搬送方向における位置を、荷物Aの移載を行う移載機57a、57b、57c、57dに対する走行停止位置と決定する。
一方、検出部材35の検出に用いると決定した検出器59a、59bと当該検出器59a、59bに検出させると決定した検出部材35とが正対したときの昇降台55の高さ方向における位置を、荷物Aの移載を行う移載機57a、57b、57c、57dに対する昇降停止位置と決定する。
具体的には、例えば、図11に示すp番目の検出部材35とp+1番目の検出部材35との間の間口S(図11においては一点鎖線にて示す)に対して荷物Aの移載を行う場合であって、移載機57aを用いて荷物Aの移載を行う場合には、検出器59aを用いてp番目の検出部材35の検出を行うと決定する。また、検出器59aの停止位置管理テーブルT、T’、T’’において、p番目の検出部材35に関連付けられた走行停止位置及び昇降停止位置を、それぞれ、走行台車53の目標走行停止位置、及び、昇降台55の目標昇降停止位置と決定する。
移載機57bを用いて荷物Aの移載を行う場合には、検出器59aを用いてp+1番目の検出部材35の検出を行うと決定する。また、検出器59aの停止位置管理テーブルT、T’、T’’において、p+1番目の検出部材35に関連付けられた走行停止位置及び昇降停止位置を、それぞれ、走行台車53の目標走行停止位置、及び、昇降台55の目標昇降停止位置と決定する。
移載機57cを用いて荷物Aの移載を行う場合には、検出器59bを用いてp番目の検出部材35の検出を行うと決定する。また、検出器59bの停止位置管理テーブルT、T’、T’’において、p番目の検出部材35に関連付けられた走行停止位置及び昇降停止位置を、それぞれ、走行台車53の目標走行停止位置、及び、昇降台55の目標昇降停止位置と決定する。
移載機57dを用いて荷物Aの移載を行う場合には、検出器59bを用いてp+1番目の検出部材35の検出を行うと決定する。また、検出器59bの停止位置管理テーブルT、T’、T’’において、p+1番目の検出部材35に関連付けられた走行停止位置及び昇降停止位置を、それぞれ、走行台車53の目標走行停止位置、及び、昇降台55の目標昇降停止位置と決定する。
上記のように、昇降台55に複数の移載機57を設置することにより、スタッカクレーン5により一度に搬送できる荷物Aの数を増加して、効率よく荷物Aの搬送と移載を実行できる。
また、複数の移載機57に対して上記のように検出器59を配置することにより、複数の移載機57のそれぞれに対して検出器59を設けなくとも、移載機57に近い検出器59にて検出部材35を検出することで、対応する検出部材35を精度よく検出できる。また、荷物Aの移載を行わせる移載機57に対する走行停止位置及び昇降停止位置を精度よく決定できる。その結果、昇降停止位置及び昇降停止位置の精度を低下させることなく、自動倉庫システム1’のコストを下げることができる。
3.実施形態の特徴
上記の実施形態の特徴は下記の通りである。
自動倉庫システム1、1’(自動倉庫システムの一例)は、ラック3(ラックの一例)と、スタッカクレーン5(搬送装置の一例)と、コントローラ61(コントローラの一例)と、を備える。ラック3は、支柱31(支柱の一例)と、棚部33(棚部の一例)と、検出部材35(検出部材の一例)と、を有する。支柱31は、ラック3とスタッカクレーン5との間で荷物Aを移載するときの移載方向に対して前後一対配置され、スタッカクレーン5の走行方向である搬送方向に沿って複数配置される。棚部33は、支柱31の間を架設することで、荷物Aが載置される間口S(間口の一例)を搬送方向に沿って複数形成する。検出部材35は、互いに隣接する間口Sの間に設けられる。
スタッカクレーン5は、移載機57(移載機の一例)と、昇降台55(昇降台の一例)と、走行台車53(走行台車の一例)と、検出器59(検出器の一例)と、を有する。移載機57は、間口との間で荷物Aを移載する。昇降台55は、移載機57を搭載する。昇降台55は、ラック3の高さ方向に昇降する。走行台車53は、昇降台55を搭載し、搬送方向に移動する。検出器59は、昇降台55と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、当該間口Sに対応する検出部材35と正対する位置に設けられる。
コントローラ61は、移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、走行台車53を荷物Aを移載する目的の間口Sが存在する搬送方向の位置である走行停止位置に停止させる制御を実行する。また、コントローラ61は、昇降台55を当該目的の間口Sが存在する高さ方向の位置である昇降停止位置に停止させる制御を実行する。さらに、コントローラ61は、目的の間口Sに対応する検出部材35を検出器59が検出したら、移載機57に対して、目的の間口Sとの間で荷物Aを移載させる制御を実行する。
さらに、コントローラ61は、所定の間口Sに対して設定された走行停止位置に走行台車53を移動させ、その後、昇降台55を高さ方向に昇降させながら、所定の間口Sに対応する検出部材35を検出器59に検出させ、検出部材35の検出結果に基づいて得られた、当該所定の間口Sに対応する検出部材35と検出器59とが正対するときの昇降台55の高さ方向における位置を、当該所定の間口Sに対応する新たな昇降停止位置として設定することで、当該所定の間口Sに対応する昇降停止位置の補正を実行する。
自動倉庫システム1、1’においては、検出部材35は、移載機57と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、移載機57と当該間口Sとが荷物Aを移載可能な位置関係にあるか否かを検出するために用いられている。
また、自動倉庫システム1、1’においては、所定の間口Sに対応する昇降停止位置の補正を実行する際に、当該所定の間口Sに対して設定されている走行停止位置にスタッカクレーン5を移動させた後、昇降台55を高さ方向に昇降させながら当該所定の間口Sに対応する検出部材35を検出器59に検出させている。そして、当該検出部材35の検出結果に基づいて、当該所定の間口Sに対応する昇降停止位置の補正を実行している。これにより、ラック3の各間口Sの高さ方向の位置を測定することなく、荷物Aの移載の際に用いられる既設の部材を用いて、簡便に昇降停止位置の補正を実行できる。
4.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
例えば、上記の第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせることができる。すなわち、昇降台55が複数の移載機57を有していても、第1実施形態において説明した昇降停止位置の補正を実行できる。
(A)上記の第1実施形態及び第2実施形態において、各間口Sに対する走行停止位置の補正も実行してもよい。例えば、検出器59が走行停止位置を補正したい間口Sに対応する検出部材35の搬送方向の2つの縁を通過するよう、走行台車53を搬送方向に移動させながら、検出器59にて当該検出部材35を検出させ、当該検出部材35の検出結果(当該検出部材35の搬送方向の2つの縁の搬送方向における位置)に基づいて、上記の第1実施形態にて説明したのと同様の方法により、走行停止位置の補正を実行できる。
(B)上記の第1実施形態及び第2実施形態においては、複数の間口Sに対する昇降停止位置の補正を1つのプロセスにて実行していたが、特定の1つの間口Sに対してのみ昇降停止位置の補正を実行することもできる。
この場合には、コントローラ61は、(例えば、ユーザにより指定された)特定の1つの間口Sに対して現在設定されている走行停止位置に走行台車53を移動させ、現在設定されている昇降停止位置に昇降台55を移動させた後、例えば、第1実施形態にて説明したステップS205〜S210を実行することで、当該特定の間口Sに対する昇降停止位置の補正を実行できる。
または、昇降台55と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、昇降台55と当該間口Sとが荷物Aを移載可能な位置関係にないと判断されたとき(例えば、検出器59が所定の強度以上の反射光を検出しているとき)に、第1実施形態において説明した昇降停止位置の補正を実行してもよい。この場合には、停止位置管理テーブルT、T’、T’’に補正後の昇降停止位置、補正値、又は、検出部材35の検出結果を記憶しなくてもよい。
具体的には、例えば、昇降台55と間口Sとの間で荷物Aを移載する際に、当該間口Sに対する目標走行停止位置に走行台車53を移動させ、目標昇降停止位置に昇降台55を移動させた後に、検出器59が所定の強度以上の反射光を検出している場合に、第1実施形態にて説明したステップS205〜S210を実行することで、当該間口Sに対する昇降停止位置の補正を実行できる。その後、補正後の昇降停止位置に昇降台55を移動させることで、昇降台55と荷物Aを移載したい間口Sとを正対できる。
(C)上記の第1実施形態及び第2実施形態においては、検出部材35に設けられた検出用孔Oを検出器59からの光が通過するか否かにより、昇降台55と間口Sとが荷物Aを移載可能な位置関係にあるか否かが判断されていた。
しかし、これに限られず、例えば、検出部材35自体を検出用孔Oと同等のサイズとして、検出部材35を検出しているか否かにより、昇降台55と間口Sとが荷物Aを移載可能な位置関係にあるか否かが判断されてもよい。
上記の場合には、検出器59が所定の強度以上の反射光を検出しているときに、昇降台55と間口Sとが荷物Aを移載可能な位置関係にあると判断する。また、停止位置の補正を行う際には、昇降台55を高さ方向に移動させる間に、最初に反射光の急激な増加を検出して、所定の時間経過後、反射光の急激な減少を検出したときに、当該急激な増加を検出した時の位置と急激な減少を検出した時の位置との中点を用いて、昇降停止位置の補正を実行できる。
その他、例えば、検出用孔Oに代えて、検出部材35の検出用孔Oに対応する領域の表面を、光を乱反射させる凹凸構造としてもよい。または、それとは逆に、検出部材35の検出用孔Oに対応する領域以外を、光を乱反射させる凹凸構造として、検出用孔Oに対応する領域を光を反射する構造としてもよい。
(D)上記の第1実施形態及び第2実施形態において、特定の搬送方向の同一の位置に存在する複数の間口Sに対する昇降停止位置のみを補正してもよい。
(E)コントローラ61は、上記の走行停止位置及び昇降停止位置の補正において、検出用孔O(の2つの縁)を検出できなかった場合には、例えば、音(音声)にて警告を発したり、ランプを点灯(又は点滅)させたりして、検出用孔Oを検出できなかったことを通知してもよい。
この場合、例えば、昇降台55がサーチ距離δs1移動しても、検出器59が反射光の急激な減少を検出しなかった場合、又は、検出器59が反射光の急激な減少は検出したが所定の時間経過後の急激な反射光の増加を検出しなかった場合などに、コントローラ61は、検出用孔Oを検出できなかったと判断して、検出用孔Oを検出できなかったことを通知する。
(F)上記にて説明したように、ある1つの搬送位置に対して高さ方向に配置された各間口Sについて昇降停止位置を補正する際に、コントローラ61は、最下段の間口Sから最上段の間口Sに向けて昇降台55を移動させながら検出用孔Oの高さ方向の2つの縁を検出させている。これにより、昇降台55の自重により、昇降台55を安定させて昇降させて検出用孔Oの検出を行うことができる。
しかし、これに限られず、ある1つの搬送位置に対して高さ方向に配置された各間口Sについて昇降停止位置を補正する際に、最上段の間口Sから最下段の間口Sに向けて昇降台55を移動させながら検出用孔Oの高さ方向の2つの縁を検出してもよい。