JP2019031633A - 繊維構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸放湿性と初期吸湿速度と湿潤時剛性に優れる繊維構造体およびその製造方法を提供する。【解決手段】吸湿性ポリマーを含む繊維構造体であって、前記吸湿性ポリマーが、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を添加してなる吸湿性ポリマーである。【選択図】図1

Description

本発明は、吸放湿性と初期吸湿速度と湿潤時剛性に優れる繊維構造体およびその製造方法に関する。
従来、空気中の湿気を除去する手段として、吸湿量が多く、また吸湿速度も速い塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、五酸化リン等の吸湿剤が用いられてきた。
しかしながら、これらの吸湿剤は、潮解性があるため、吸湿後液状化して他を汚染し、金属などを腐食する、吸湿性が強すぎて放湿性に劣り、繰り返し使用できないといった欠点があった。また、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリウム、活性アルミナ、活性炭等の多孔質吸湿剤は、吸湿性に併せ、放湿性を有することにより繰り返し使用できるが、再生に高温を要する、吸放湿の繰返しにより破砕・粉末化が起こり易いといった問題があった。
これら無機系に対し、近年、有機系吸放湿性材料が提案されており、低温乾燥性や繰返し使用時の破砕による能力低下において改善が見られる(例えば特許文献1)。
しかしながら、かかる有機系吸放湿性材料では、初期吸湿速度が十分でないという問題や湿潤時の剛性が不十分で同材料のみで各種成型加工品を得ることができないという問題があった。
特開2008−195078号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、吸放湿性と初期吸湿速度と湿潤時剛性に優れる繊維構造体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を追加導入した吸湿性ポリマーを繊維構造体に付与することにより、吸放湿性と初期吸湿速度と湿潤時剛性に優れた繊維構造体が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「吸湿性ポリマーを含む繊維構造体であって、
前記吸湿性ポリマーが、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を添加してなる吸湿性ポリマーであることを特徴とする繊維構造体。」が提供される。
その際、前記(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーがポリアクリル酸金属塩であることが好ましい。また、前記塩基性化合物が、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびマグネシウムからなる群より選択されるいずれかを含む金属化合物であることが好ましい。また、前記(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに前記塩基性化合物が0.1〜7mmol/g添加されていることが好ましい。また、繊維構造体が無機繊維を含むことが好ましい。また、繊維構造体がバインダー繊維を含むことが好ましい。また、繊維構造体が、目付けが20〜1000g/mの繊維シートであることが好ましい。また、繊維構造体が、厚さが500μm以下の繊維シートであることが好ましい。また、前記吸湿性ポリマーの付着量が5〜500g/mの範囲内であることが好ましい。また、繊維構造体において、10℃、90%RH下における3分後の吸湿量が6g/m以上であることが好ましい。また、30℃90%RH下180分放置後の湿潤剛軟度が14mN以上であることが好ましい。また、繊維構造体が湿度交換用であることが好ましい。
また、本発明によれば、吸湿性ポリマーを含む繊維構造体の製造方法であって、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を添加してなる吸湿性ポリマーを繊維構造体に付与することを特徴とする繊維構造体の製造方法が提供される。
本発明によれば、吸放湿性と初期吸湿速度と湿潤時剛性に優れた繊維構造体およびその製造方法が得られる。
本発明の吸湿性ポリマーを含む繊維構造体の図面代用写真である。 波状の形状を有する繊維シートと平らな箇所を有する繊維シートとを接合させる工程を模式的に示す図である。 波状の形状を有する繊維シートと平らな箇所を有する繊維シートを接合してなる繊維シートの複合体の縦断面を模式的示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明において、吸湿性ポリマーは、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を添加(追加導入)している。
ここで、前記(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーにおいて、20℃、湿度40%RHにおける吸湿率R1(%)と、温度20℃、湿度90%RHにおける吸湿率R2(%)との差(R2−R1)が40%以上(より好ましくは70〜200%)であることが好ましい。吸湿率の差(R2−R1)が40%未満の場合、ベースとなるポリマーの有効吸湿量が小さすぎ、塩基性化合物を加えても所定の除湿を行うために必要な所用量が多くなりすぎるおそれがある。
なお、上記「吸湿率」とは、各条件下で24時間放置して吸湿させた時の重量とその絶乾重量との差を求め、絶乾重量で除したときの値を百分率(%表示)で表示したものである。また、「RH」とは「相対湿度」の意味である。
前記(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーの例としては、架橋ポリアクリル酸金属塩系繊維や架橋ポリアクリル酸金属塩系樹脂、未架橋ポリアクリル酸金属塩系繊維、未架橋ポリアクリル酸金属塩系樹脂などがあげられる。
架橋ポリアクリル酸金属塩系繊維としては、特開昭63−159405号公報にカルボン酸基を持つビニルモノマーとカルボン酸基と反応してエステル架橋結合を形成し得るヒドロキシル基を持つビニルモノマーの共重合体からなり、カルボン酸基の一部がナトリウム塩を形成しているポリマーからなる繊維が例示されている。市販品としては、例えば、帝人フロンティア(株)製、商品名「ベルオアシス(登録商標)」があげられる。「ベルオアシス(登録商標)」は架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩系繊維であり、20℃、40%RHにおける吸湿率R1が16%、20℃、90%RHにおける吸湿率R2が100%であり、その差(R2−R1)が84%であり高吸湿性を有する素材として好適である。
未架橋の水溶性ポリアクリル酸金属塩系樹脂としては、エチレン系不飽和カルボキシルモノマーとエチレン系不飽和モノマーとのコポリマーであることが好ましい。かかるポリマーは、例えば、特許第261304号公報や特許第4281060号公報に記載されているものが好ましい。すなわち、カルボン酸モノマー基を与えるモノマーと、カルボン酸基と反応して炭素原子と酸素原子とだけを含むようなエステル結合を形成し得るエチレン性不飽和モノマーとの重合によって形成されたものが好ましい。
ここで、カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ソルビン酸、ケイ皮酸、クロトン酸、ベータアクリルオキシプロピオン酸等の公知のエチレン性不飽和カルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩を用いることができる。また、部分的にはスルホン酸として例えば2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、スルホン酸エチル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩を用いることができる。
ポリマー中(線状ポリマーの形成に使用されるモノマー中)の遊離カルボン酸基/アルカリ金属およびその他の塩のカルボン酸基の比率は1:1〜1:10が好ましい。また、アルカリ金属塩は特に限定はなく、例えばLi、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、Cu、Zn、Al、Mn、Ag、Fe、Co、Ni等のその他の金属が例示される。
一方、エチレン性不飽和モノマーとしては、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アルキレン基がエチレンまたはプロピレンであるジ−またはトリ−またはヘキサ−アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびグリセリルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なおポリマー中に可塑化モノマーを含有させるのが好ましく、特に好ましい可塑化モノマーは、メチルまたはエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。これらは2%以上が好ましい。
未架橋の水溶性ポリアクリル酸ナトリウム塩系樹脂は、モノマーブレンドから従来の適当な方法によって製造される。例えば、ポリマー溶液は水または有機溶媒(例えばメタノール)あるいはその混合溶液を用いてもよく、その時のポリマー濃度は5〜50%が好ましい。
本発明において、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに添加する塩基性化合物としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびマグネシウムからなる群より選択されるいずれかを含む金属化合物が好ましい。
具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物、アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピペラジンなどのアミン類などを挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできるが、これらの塩基性化合物の中では、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好ましく、更に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムである。
前記(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーは、ポリマー中にカルボキシル基などの酸性基を形成しており、またその酸性基の一部は生成の過程で金属塩の形で存在している。アルカリ金属水酸化物、またその中でも水中で電離した際金属イオンが1価となる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムは、前記ポリマー内に残っている酸性基と容易に結合し易い点、同酸性基と1対1の割合で金属イオンが結合し高い吸湿性を保持できる点で好ましい。
吸湿性が非常に高い物質としては、塩化リチウムなどのハロゲン化金属塩が挙げられるが、当該品は単品で使用した場合潮解性があり、吸湿後液状化して周辺金属などを腐食する、吸湿性が強すぎて放湿性に劣り、繰り返し使用できない等の問題を有していたが、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーとハロゲン化金属塩を一定範囲下で併用した場合、その流出をある程度防止することができ、放湿性も改善しかつポリマーの吸湿能力を向上させることができたが、一方で特に薄厚の繊維構造体の場合、高湿潤下で長期間放置した際に、飽和吸湿量が高すぎるため剛性が極端に低くなる欠点を要していた。
(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を追加導入した場合、吸湿能と向上と高湿潤下で長期間放置した際の剛性をも保持できる点で極めて有効である。
なお、塩基性化合物の添加量としては(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマー重量に対し0.1〜7mmol/gであることが好ましい。添加量が0.1mmol/g未満の場合吸湿量の向上が極僅かとなり、7mmol/gを超えると(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに残っている酸性基以上の塩化物を加えたこととなり、塩基性の強い繊維構造体となるほか、吸湿量が高くなりすぎ高湿潤下で長期間放置した際の湿潤強度が低くなりすぎるおそれがある。したがって、塩基性化合物の添加量は(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに残る酸性基に応じて適宜調整することが望ましく、(一般的に)特に好ましい添加量は1〜5mmol/gである。
本発明の繊維構造体は無機繊維を含むことが好ましい。無機繊維は、吸放湿や加熱などによる寸法変化を小さくし、寸法安定性を向上させる点湿潤時の強度保持の観点で極めて有効である。かかる無機繊維の種類は特に限定されず、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維などが例示される。なかでもガラス繊維が好ましい。
かかる無機繊維において、表面積を大きくして優れた吸放湿性を得る上で単繊維径が30μm以下(好ましくは1〜15μm)であることが好ましい。
なお、本発明の繊維構造体において、無機繊維が繊維構造体重量対比30重量%以上含まれることが好ましい。
また、繊維構造体には有機繊維が含まれていてもよい。かかる有機繊維としては特に限定はなく、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維などの合成繊維などを採用することもできる。該有機繊維は骨格繊維としてだけでなく、より高い寸法安定性が望まれる場合には、同繊維の軟化温度以上に熱処理することでバインダー繊維として使用することも可能である。
本発明の繊維構造体にバインダー繊維が含まれていることが寸法安定性の観点で特に好ましい。
かかるバインダー繊維としては、単一成分からなる繊維でもよいが、低融点の熱融着成分が少なくとも繊維表面の一部に配された短繊維であり、加熱により少なくともその表面の一部が溶融しうる熱接着性複合短繊維であることが好ましい。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー(1)、ポリエステル系エラストマー(2)、共重合ポリエステル系ポリマー(3)、ポリオレフィン系ポリマー(4)、ポリオレフィン系ポリマーの共重合物、ポリビニルアルコ−ル系ポリマー等を挙げることができる。
ポリウレタン系エラストマー(1)として、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオールと、分子量500以下の有機ジイソシアネートと、分子量500以下の鎖伸長剤との反応により得られるポリマーが挙げられる。分子量が500〜6000程度の低融点ポリオールとして、ジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等が挙げられる。分子量500以下の有機ジイソシアネートとして、p,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。分子量500以下の鎖伸長剤として、グリコールアミノアルコールあるいはトリオールが挙げられる。
またポリエステル系エラストマー(2)としては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体が挙げられる。より具体的にはジカルボン酸の少なくとも一種と、ジオール成分の少なくとも一種と、ポリ(アルキレンオキサイド)グリコールのうち少なくとも一種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ジオール成分として、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ポリ(アルキレンオキサイド)グリコールとして、平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)グリコールが挙げられる。
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
共重合ポリエステル系ポリマー(3)としては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
また、ポリオレフィンポリマー(4)としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
バインダー繊維は、熱融着成分とポリエステル(非低融点成分)とが、サイドバイサイド型、芯鞘型であるのが好ましく、より好ましくは芯鞘型である。この芯鞘型の熱接着性複合短繊維では、ポリエステルが芯部となり、熱融着成分が鞘部となるが、この芯部は同心円状または偏心状にあってもよい。重量割合は、熱融着成分とポリエステル(非低融点成分)が、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが好ましい。
かかるバインダー繊維において、その単繊維繊度は0.5〜10dtex(より好ましくは1〜3dtex)であることが好ましい。また、バインダー繊維において、繊維長は5mm以上が好ましく、より好ましくは30〜100mmである。繊維長が5mmよりも小さいと十分な剛性が得られないおそれがある。逆に繊維長が100mmよりも大きいと、工程安定性が損なわれるおそれがある。
本発明の繊維構造体にはパルプ繊維が含まれていてもよい。かかるパルプ繊維としては、特に限定はなく、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ、麻パルプ、コットンパルプ、ケナフパルプなどの非木材パルプ、レーヨン、ビニロン、アクリルなどの合成繊維をフィブリル化したものなどを採用することができる。なかでも、アクリルパルプを採用した場合には、セルロース系のパルプに比べて耐湿性が増し、含湿時の強度が高い紙を得ることができるため、吸湿放湿を繰り返すような耐久性を求められる用途に好適である。
本発明の繊維構造体において、形状は限定されないが繊維シート(布帛)であることが好ましい。その際、布帛組織は特に限定されず、織物、編物、不織布いずれでもよいが、繊維表面積を大きくして優れた吸放湿性を得る上で不織布が好ましい。特に湿式不織布が好ましい。
前記繊維シートの目付けは20〜1000g/mであることが好ましい。20g/m未満であると吸湿性ポリマーの担持量が小さくなり繊維構造体の吸湿能力が低くなりすぎるおそれがある。一方、目付けが1000g/mを超えると吸湿素材の担持、特に厚み方向の均一担持が困難となるおそれがある。
また、前記繊維シートの厚さが500μm以下(より好ましくは50〜350μm)であることが好ましい。厚さが500μmを超えると、加工性や軽量性が低下するおそれがある。
また、前記吸湿性ポリマーの付着量は5〜500g/mであることが好ましい。付着量が上記範囲内にあれば、基材シート表面に保持しやすくまた吸湿速度、特に吸湿性ポリマーの膨潤による初期吸湿速度の低下が少ない点、繰り返し使用しても脱落が生じない点で有用である。
本発明の繊維構造体において、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を追加導入しているので、吸放湿性と初期吸湿速度と湿潤時の剛性に優れる。その際、10℃、90%RH下における3分後の初期吸湿量が6g/m以上であることが好ましい。また、180分後の吸湿量が100g/m以下であることが好ましい。また、30℃90%RH下180分放置後の湿潤剛軟度が14mN以上(より好ましくは14〜30mN)であることが好ましい。
特に優れた上記吸湿特性を得るためには、該繊維構造体は、酸性基を有するポリマーに塩基性化合物を追加導入されていることの他に、吸湿性ポリマーが繊維構造体に均一に保持していることが好ましい。その製法の一例として下記を挙げることができる。
すなわち、有機繊維、無機繊維、規定量の塩基性化合物を追加導入した繊維状の吸湿性ポリマーを混綿した後、ローラーカードを通して、クロスラッパーで積層した後、熱処理を施して得ることができる。
また、その他の方法の一例として下記を挙げることができる。すなわち、基材として、有機繊維、無機繊維を用いて水中に分散させ混合撹拌した後、抄紙機を用いて抄紙し、その後ドライヤーを用いて乾燥させることで基材シートを得る。得られた基材シートを、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を添加してなる吸湿性ポリマーを含む水溶液に浸漬し、100℃で除水することで、図1に示すような、吸湿性ポリマーが基材シート中のマトリクックス繊維同士が交叉した部分にアメーバー状に固着した、剛性に優れた繊維構造体を得ることができる。
なおこのとき、使用目的に合わせ、塩基性化合物導入前に吸湿性ポリマーの架橋反応を行ってもよい。架橋反応を行うことで水の付着した際の脱落が生じにくくなるなどの利点がある。架橋促進条件としては200℃で3分以上の加熱、好ましくは200℃で5〜15分である。これらは特に初期吸湿量を得たい時など有用である。
かくして得られた繊維構造体は飽和吸湿量が高く、かつ初期吸湿特性と湿潤時剛性に優れ、さらには、厚さを小さくすることも可能であるので、除加湿器、エアコン、熱交換機等のフィルタ素子、クローゼット等の家庭用除湿材、冷凍車架台、冷蔵庫などの結露防止材など、吸放湿性が求められる様々な工業製品に適用可能である。
繊維構造体は多数の小透孔を有するプラスチックフォームや、不織布、フィルム、樹脂などと組み合わせてもよい。本発明の繊維構造体は、湿度交換用吸着体として特に好ましく使用される。
ここで、例えば、シート状繊維構造体を2枚用意し、図2のようにコルゲート加工(波状加工)し当該コルゲート加工されたシートと平らなシートとを互いに接着させた後(図3)、巻回し成形して得たハニカムローターに、吸湿性ポリマーを導入付与すると、剛性が向上し好ましい。
また、波状の形状を有する繊維シートと平らな繊維シートが接合してなる繊維シートの複合体を積層してもよい。
なお、繊維シートに吸湿性ポリマーを付与するのは、繊維シートの複合体を巻回または積層する前の工程で行ってもよいし後の工程で行ってもよい。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)飽和吸湿量
熱風乾燥機により60℃で12時間乾燥させ重量を測定する(W1)。
次に温度20℃、相対湿度70%RHに調整した恒温恒湿槽に180分静置して重量を測定する(W2)。吸湿量は以下の式で求めた。
180分後吸湿量(g/m)=(W2−W1)/評価基材の面積(m
180分後吸湿量が40g/mを超えると極めて高い吸湿特性であると判断する。
(2)初期吸湿量
熱風乾燥機により60℃で12時間乾燥させた後、重量を測定する(W1)。次に温度20℃、相対湿度70%RHに調整した恒温恒湿槽に3分間静置して吸湿重量を測定する(W3)。初期吸湿量は以下の式で求めた。
初期吸湿量(g/m)=(W3−W1)/評価基材の面積(m
初期吸湿量が6g/m以上であると良好な吸湿特性であると判断する。
(3)180分吸湿後の剛性
30℃90%RH下で10分吸湿後の各基材の剛性をJIS L1913−2010ガーレ法にて剛軟度(mN)で求めた。湿潤時剛軟度が10mN以上であると、成形物の湿潤による変形が起こり難いと判断する。
(4)目付け
JIS P8124(紙のメートル坪量測定方法)に基づいて測定した。
(5)厚さ
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて測定した。
[実施例1]
繊維径10μm、繊維長10mmのガラス繊維60重量%、単繊維繊度2dtex、繊維長5mmの芯鞘PET繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:共重合ポリエステル)40重量%をあらかじめ溶解した分散剤(花王製、商品名「エマノーン3199」)を原料に対し0.5%となるよう添加し水中に分散させ、混合撹拌した後、湿式抄紙法でウエブを作製し、加熱加圧した後、アクリル樹脂エマルジョン(昭和高分子製、「AG−100」)を含浸法で添加し、加熱乾燥して目付け50g/m、0.16mm厚さの基材シートを得た。
一方、アクリル酸(75%がナトリウム塩として中和されている)78モル%、メチルアクリレート20モル%、およびヘキサプロピレングリコールモノメタクリレート2モル%のコポリマーの38%水溶液を100℃の紡糸口金を通して150℃のセル中へ向かって繊維に紡糸し、その後、繊維から水を除去した。なお、繊維はトウとして回収し、ステープルカッターでカット後、乾燥繊維基準で7%の湿分含有率になるように通風炉中で70℃にて乾燥させた後、200℃で15分間架橋させて、単繊維繊度10dtex、5mmカットの吸水性短繊維を得た。
得られた当該短繊維を、ジェットミル粉砕装置を用いて平均粒径30μmの微粉物とし、さらに乾燥重量基準で6%になる様に蒸留水に分散させた後、吸湿性微粒子に対して水酸化ナトリウムを4.5mmol/g添加させ高分子収着材混合スラリーを得た。
得られた高分子収着材混合スラリーを、前記基材シートに乾燥重量で単位平方メートルあたり60g担持する様に塗布し、余分なエマルジョンを搾り出した後、120℃で水分を乾燥させ薄厚高吸湿性繊維シート(繊維構造体)を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
高分子収着材混合スラリー中の水酸化ナトリウムの添加比率を吸湿性微粒子に対し3.5mmol/gになる様にした以外は実施例1と同様にして薄厚高吸湿性繊維シートを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
高分子収着材混合スラリー中の水酸化ナトリウムの添加比率を吸湿性微粒子に対し2.5mmol/gになる様にした以外は実施例1と同様にして薄厚高吸湿性繊維シートを得た。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
高分子収着材混合スラリーに水酸化ナトリウムを無添加にした以外は実施例1と同様にして薄厚高吸湿性繊維シートを得た。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、平均粒径30μmの高分子収着材微粉物(水酸化ナトリウムを無添加)を10%水溶液になる様に蒸留水を加えて良く撹拌し、乾燥重量で単位平方メートルあたり10g担持する様に繊維シートに塗布し、100℃で乾燥を行った。次いで、該繊維シートに、水に溶かした塩化リチウムが乾燥重量で15g担持する様に塗布し、同様に100℃で乾燥させ、薄厚高吸湿性繊維シートを得た。評価結果を表1に示す。
本発明によれば、吸放湿性と初期吸湿速度と湿潤時剛性に優れた繊維構造体およびその製造方法が得られ、その工業的価値は極めて大である。
1 平らな繊維シート
2 波形状を有する繊維シート

Claims (13)

  1. 吸湿性ポリマーを含む繊維構造体であって、
    前記吸湿性ポリマーが、(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を添加してなる吸湿性ポリマーであることを特徴とする繊維構造体。
  2. 前記(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーがポリアクリル酸金属塩である、請求項1に記載の繊維構造体。
  3. 前記塩基性化合物が、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびマグネシウムからなる群より選択されるいずれかを含む金属化合物である、請求項1または請求項2に記載の繊維構造体。
  4. 前記(メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに前記塩基性化合物が0.1〜7mmol/g添加されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造体。
  5. 繊維構造体が無機繊維を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造体。
  6. 繊維構造体がバインダー繊維を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維構造体。
  7. 繊維構造体が、目付けが20〜1000g/mの繊維シートである、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造体。
  8. 繊維構造体が、厚さが500μm以下の繊維シートである、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造体。
  9. 前記吸湿性ポリマーの付着量が5〜500g/mの範囲内である、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維構造体。
  10. 繊維構造体において、10℃、90%RH下における3分後の吸湿量が6g/m以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維構造体。
  11. 30℃90%RH下180分放置後の湿潤剛軟度が14mN以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の繊維構造体。
  12. 繊維構造体が湿度交換用である、請求項1〜11のいずれかに記載の繊維構造体。
  13. 吸湿性ポリマーを含む繊維構造体の製造方法であって、
    (メタ)アクリル酸を主成分とするポリマーに塩基性化合物を添加してなる吸湿性ポリマーを繊維構造体に付与することを特徴とする繊維構造体の製造方法。
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