JP6704315B2 - 繊維構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの吸湿剤は、潮解性があるため、吸湿後液状化して他を汚染し、金属などを腐食する、吸湿性が強すぎて放湿性に劣り、繰り返し使用できないといった欠点があった。また、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリウム、活性アルミナ、活性炭等の多孔質吸湿剤は、吸湿性に併せ、放湿性を有することにより繰り返し使用ができ解決されているが、再生に高温を要する、吸放湿の繰返しにより破砕・粉末化が起こり易いといった問題があった。
しかしながら、かかる有機系吸放湿性材料では初期吸湿速度が遅いという問題や湿潤時の剛性が十分ではないという問題があった。
その際、前記吸湿性ポリマーが架橋ポリアクリル酸金属塩であることが好ましい。また、前記ハロゲン化金属塩が、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記吸湿性ポリマーとハロゲン化金属塩との重量比率が10:90〜90:10の範囲内であることが好ましい。また、繊維構造体が繊維シートであることが好ましい。その際、目付けが40〜1000g/m2の範囲内であることが好ましい。また、前記吸湿性ポリマーとハロゲン化金属塩との合計付着量が5〜100g/m2の範囲内であることが好ましい。また、繊維構造体が無機繊維を含むことが好ましい。その際、前記無機繊維が、ガラス繊維または炭素繊維またはアルミナ繊維または金属繊維であることが好ましい。また、前記無機繊維において、単繊維径が30μm以下であることが好ましい。また、繊維構造体がバインダー繊維を含むことが好ましい。
また、本発明によれば、繊維構造体に、温度20℃、湿度40%RHにおける吸湿率R1(%)と、温度20℃、湿度90%RHにおける吸湿率R2(%)との差(R2−R1)が40%以上である吸湿性ポリマーを付与し、次いでハロゲン化金属塩を付与することにより、繊維の表面に前記吸湿性ポリマーを被膜させ、さらにその上にハロゲン化金属塩を付着させることを特徴とする繊維構造体の製造方法が提供される。
ハロゲン金属塩は極めて潮解性が高く、吸湿性及び水分の保持性に特に優れており、また吸湿性ポリマーも、保有する極性基が周囲の水分子を水素結合により引き寄せ吸収するため、両者を使用すると繊維構造体に吸収される水分の量がより一層増大する。
なお、上記「吸湿率」とは、各条件下で24時間放置して吸湿させた時の重量とその絶乾重量との差を求め、絶乾重量で除したときの値を百分率(%表示)で表示したものである。また、「RH」とは「相対湿度」の意味である。
なお、ハロゲン化金属塩は水に溶けやすいため、繊維構造体に担持させる一法としてハロゲン化金属塩を含む水溶液に繊維基材を含浸させた後に、乾燥させるだけで簡便に製造するできるメリットを有する。この時ハロゲン化金属塩に塩化カルシウムや塩化マグネシウム等を用いた場合、その金属イオンが高分子収着材内部に含まれる親水性極性基とイオン結合し吸湿性ポリマーの吸水・吸湿能力を低下させるおそれがあるため、塩化リチウムや塩化カリウム等を用いるのが好ましい。
従って、繊維構造体中のハロゲン金属塩に対して吸湿性ポリマーの含有率が大きすぎると、繊維構造体に存在するハロゲン金属塩が低吸湿速度の吸湿膨潤する吸湿性ポリマーに覆われる確率が高くなり、ハロゲン金属塩への水分の吸着は覆われた吸湿性ポリマーを介して行われることになるため、吸湿性ポリマーを含まない同量のハロゲン金属塩が担持している物に比べて初期吸湿量が低下すると考えられる。一方、繊維構造体中のハロゲン金属塩に対して吸湿性ポリマーの含有率を小さくすぎると、ハロゲン金属塩によって初期吸湿量は確保されるが、吸湿量が増すと共に比例して発生する潮解液を素早く吸収するための吸湿性ポリマーがハロゲン金属塩の付近に存在しないことに繋がり、吸湿性ポリマーを含まない同量のハロゲン金属塩が担持している物と同様に繊維構造体の湿潤時の剛性が十分に保てないと考えている。
また、前記繊維構造体の表面積当たりの吸湿性ポリマーとハロゲン化金属塩との合計付着量は5〜100g/m2であることが好ましい。付着量が上記範囲内にあれば、基材表面に保持しやすくまた吸湿速度、特に吸湿性ポリマーの膨潤による初期吸湿速度の低下が少ない点、繰り返し使用しても脱落が生じない点で有用である。
かかる無機繊維において、表面積を大きくして優れた吸放湿性を得る上で単繊維径が30μm以下(好ましくは1〜15μm)であることが好ましい。
本発明の繊維構造体において、無機繊維が繊維シート重量対比50重量%以上含まれることが好ましい。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー(1)、ポリエステル系エラストマー(2)、共重合ポリエステル系ポリマー(3)、ポリオレフィン系ポリマー(4)、ポリオレフィン系ポリマーの共重合物、ポリビニルアルコ−ル系ポリマー等を挙げることができる。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
また、有機繊維、無機繊維、繊維状の吸湿ポリマーを混綿した後、ローラーカードを通して、クロスラッパーで積層した後、熱処理を施して構造体を得た後、ハロゲン金属塩を塗布して繊維の最表層面にハロゲン金属塩が担持されたものを得る方法を用いるなどしてもよい。
かくして得られた繊維構造体は、吸放湿性と初期吸湿速度に優れ、さらには湿潤時剛性にも優れる。
熱風乾燥機により70℃で1時間乾燥させた後、重量を測定する(W4)温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に1分間静置して吸湿重量を測定する(W3)。
初期吸湿量(g/m2)=W3−W4/評価基材の面積(m2)
また、吸湿後の剛性が150mgf(1.47mN)以上(より好ましくは170mgf(1.67mN)以上)であることが好ましい。ただし、飽和吸湿後の剛性は、30℃90%RH下で10分後の吸湿評価後の各基材の剛性をJISL1913ガーレ法にて剛軟度(mgf)で求める。
ここで、例えば、シート状繊維構造体を2枚用意し、図1のようにコルゲート加工(波状加工)し当該コルゲート加工されたシートと平らなシートとを互いに接着させた後(図2)、巻回し成形して得たハニカムローターに、吸湿性ポリマーおよびハロゲン化金属塩を付与してもよい。
なお、繊維シートに吸湿性ポリマーおよびハロゲン化金属塩を付与するのは、繊維シートの複合体を巻回または積層する前の工程で行ってもよいし後の工程で行ってもよい。
熱風乾燥機により120℃で2時間乾燥させ重量を測定する(W1)。
次に温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に3時間静置して重量を測定する(W2)。吸湿量は以下の式で求めた。
3Hr後吸湿量(g/m2)=(W2−W1)/評価基材の面積(m2)
3Hr後吸湿量が100g/m2を超えると極めて高い吸湿特性であると判断する。
熱風乾燥機により120℃で2時間乾燥させた後、重量を測定する(W1)温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に1分間静置して吸湿重量を測定する(W3)。
初期吸湿量は以下の式で求めた。
初期吸湿量(g/m2)=(W3−W1)/評価基材の面積(m2)
初期吸湿量が5g/m2・min以上であると良好な吸湿特性であると判断する。
温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に3時間静置して重量を測定する(W2)。その後温度50℃、相対湿度20%RH下に調整した恒温恒湿槽に3時間静置して重量を測定する(W4)。3Hr後放湿量は以下の式で求めた。
3Hr後放湿量(g/m2)=(W4−W2)/評価基材の面積(m2)
3Hr後放湿量が3Hr後放湿量の90%以上であると、良好な放湿特性であると判断する。
温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に3Hr静置して重量を測定する(W2)。その後温度50℃、相対湿度20%RH下に調整した恒温恒湿槽に1分間静置して重量を測定する(W5)。初期放湿量は以下の式で求めた。
初期放湿量(g/m2)=(W5−W2)/評価基材の面積(m2)
初期吸湿量が20g/m2・min以上であると良好な脱湿特性であると判断する。
30℃90%RH下で3時間吸湿評価後の各基材の蒸れ感(べたつき、吸脱湿剤の潮解など)を目視、触手で確認した。吸湿処理後もべたつきや吸脱湿剤の潮解が観察されない場合繰返耐久性の観点で安定な成形物であると判断して++++、かなりのべたつきや吸脱湿剤の潮解が観察された場合耐久性に大きな問題が生じるとして+とし、++++、+++、++、+の4段階で表中に示した。
30℃90%RH下で10分吸湿後の各基材の剛性をJIS L1913−2010ガーレ法にて剛軟度(mgf)で求めた。湿潤時剛軟度が150mgf(1.47mN)以上であると、成形物の湿潤による変形が起こり難いと判断する。
繊維径10μm、繊維長10mmのガラス繊維60重量%、単繊維繊度2dtex、繊維長5mmの芯鞘PET繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:共重合ポリエステル)40重量%をあらかじめ溶解した分散剤(花王製、商品名「エマノーン3199」)を原料に対し0.5%となるよう添加し水中に分散させ、混合撹拌した後、湿式抄紙法でウエブを作製し、加熱加圧した後、アクリル樹脂エマルジョン(昭和高分子製、「AG−100」)を含浸法で添加し、加熱乾燥して0.15mm厚のガラス繊維シートを得た。
次に、前記ガラス繊維シートに高分子収着材混合スラリーを乾燥重量で単位平方メートルあたり10g担持する様に塗布し、100℃で乾燥を行った。更に得られた吸湿性ポリマー担持ガラス繊維シートに、水に溶かした塩化リチウムが乾燥重量で15g担持する様に塗布し、同様に100℃で乾燥させ、湿度交換用繊維構造体を得た。評価結果を表1に示す。
吸湿性ポリマーと塩化リチウムとの担持比率を(前者/後者)45/55、総担持量を50g/m2になる様にした以外は実施例1と同様にして湿度交換用繊維構造体を得た。評価結果を表1に示す。
吸湿性ポリマーと塩化リチウムとの担持比率を(前者/後者)53/47、総担持量を39g/m2になる様にした以外は実施例1と同様にして湿度交換用繊維構造体を得た。評価結果を表1に示す。
吸湿性ポリマーと塩化リチウムとの担持比率を(前者/後者)71/29、総担持量を60g/m2になる様にした以外は実施例1と同様にして湿度交換用繊維構造体を得た。評価結果を表1に示す。
塩化リチウムだけを実施例1で用いたガラスシートに担持量18g/m2になる様に塗布、乾燥させ、湿度交換用繊維構造体を得た。評価結果を表1に示す。
帝人ファイバー(株)製吸湿性繊維「ベルオアシス」(登録商標、10dtex、5mm)だけを実施例1で用いたガラスシートに担持量40g/m2になる様に塗布、乾燥させ、湿度交換用繊維構造体を得た。評価結果を表1に示す。
2 波形状を有する繊維シート
Claims (15)
- 温度20℃、湿度40%RHにおける吸湿率R1(%)と、温度20℃、湿度90%RHにおける吸湿率R2(%)との差(R2−R1)が40%以上でありかつ蒸留水の吸収倍率が10倍以上である吸湿性ポリマーと、ハロゲン化金属塩とを含み、繊維の表面を前記吸湿性ポリマーが被膜し、さらにその上に前記ハロゲン化金属塩が付着していることを特徴とする繊維構造体。
- 前記吸湿性ポリマーが架橋ポリアクリル酸金属塩である、請求項1に記載の繊維構造体。
- 前記ハロゲン化金属塩が、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムからなる群より選択されるいずれかである、請求項1または請求項2に記載の繊維構造体。
- 前記吸湿性ポリマーとハロゲン化金属塩との重量比率が10:90〜90:10の範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造体。
- 繊維構造体が繊維シートである、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造体。
- 目付けが40〜1000g/m2の範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維構造体。
- 前記吸湿性ポリマーとハロゲン化金属塩との合計付着量が5〜100g/m2の範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造体。
- 繊維構造体が無機繊維を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維構造体。
- 前記無機繊維が、ガラス繊維または炭素繊維またはアルミナ繊維または金属繊維である、請求項8に記載の繊維構造体。
- 前記無機繊維において、単繊維径が30μm以下である、請求項8または請求項9に記載の繊維構造体。
- 繊維構造体がバインダー繊維を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の繊維構造体。
- 繊維構造体において、30℃、90%RH下における初期吸湿量が13g/m2・1min以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の繊維構造体。
- 30℃90%RH下10分放置後の湿潤強度が150mgf(1.47mN)以上である、請求項1〜12のいずれかに記載の繊維構造体。
- 繊維構造体が湿度交換用である、請求項1〜13のいずれかに記載の繊維構造体。
- 繊維構造体に、温度20℃、湿度40%RHにおける吸湿率R1(%)と、温度20℃、湿度90%RHにおける吸湿率R2(%)との差(R2−R1)が40%以上である吸湿性ポリマーを付与し、次いでハロゲン化金属塩を付与することにより、繊維の表面に前記吸湿性ポリマーを被膜させ、さらにその上にハロゲン化金属塩を付着させることを特徴とする繊維構造体の製造方法。
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