JP2012148208A - 除湿部材及びそれを用いた除湿ロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】常温高湿(0〜25℃・60〜100%RH程度)で空気中の水分を吸着し、比較的低温低湿(40〜80℃・0.1〜30%RH程度)での熱再生処理により水分を放出する場合であっても、水分の吸放出量が多く、吸放出速度の速い除湿部材の提供。
【解決手段】除湿部材1は、パルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維4を構成成分として含む基材層2と、基材層2の表面上に配置された平均繊維径50〜1000nmの繊維状有機吸着剤5を構成成分として含む吸着層3と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、常温高湿(0〜25℃・60〜100%RH程度)で空気中の水分を吸着し、比較的低温低湿(40〜80℃・0.1〜30%RH程度)での熱再生処理により水分を放出する吸湿部材およびそれを加工して得られる除湿ロータに関する。
従来の吸湿剤としては、ゼオライトやシリカゲルなどの多孔質体に代表される無機の吸着剤や、ポリアクリル酸系に代表される吸水性高分子などの有機の吸着剤が知られていた。しかしながら、ゼオライトやシリカゲルは吸着した水分を40〜80℃と比較的低温で熱再生する場合、水分の吸放出量が少ないという課題があり、有機の吸着剤では水分の吸放出量は多いものの、水分の吸放出速度が遅いという課題があった。この課題を解決すべく下記に示す様々な取り組みがなされてきた。
例えば、特許文献1では、カチオンがランタノイドに置換されたゼオライトおよび表面がヒドロキシル基に置換された活性炭の少なくとも一つの吸湿性粒子を含有した混抄紙を加工した円板状の水分吸着体を用いた除湿器が開示されている。
また、特許文献2では、カリウム塩型カルボキシル基を1.0〜8.0meq/g含有し、かつジビニルベンゼンを共重合することによって得られる架橋構造を有するビニル系重合体である吸放湿性重合体が開示されている。
特開2008−86870号公報 特開2009−74098号公報
しかしながら、上述の従来技術であっても、水分の吸放出量や吸放出速度は向上せず、未だ改善の余地があった。
特許文献1の技術では、5℃・95%RHで水分を飽和吸着させ、40℃・10%RHで熱再生を行っても、ゼオライトの絶乾自重(350℃・5時間保持後の質量)の約8%程度の水分の吸放出量で、これはポリアクリル酸系吸湿剤の約1/10程度の吸放出量でしかなく、依然として吸放出量が少ないという課題があり、未だ改善の余地があった。
特許文献2の技術では、5℃・95%RHの吸湿雰囲気下では、水分の吸着速度はゼオライトと比較すると1/2程度しかなく、依然として吸着速度が遅いという課題があり、未だ改善の余地があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、常温高湿(0〜25℃・60〜100%RH程度)で空気中の水分を吸着し、比較的低温低湿(40〜80℃・0.1〜30%RH程度)での熱再生処理により水分を放出する場合であっても、水分の吸放出量が多く、吸放出速度の速い除湿部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記本発明の除湿部材を加工してコルゲートハニカム状に成形されてなる水分の吸放出量が多く、吸放出速度が速い除湿ロータを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基材層に平均繊維径が50〜1000nmの繊維状有機吸着剤を吸着層として設けた除湿部材が、上記従来技術の有する課題を解決する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、パルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維を構成成分として含む基材層と、基材層の表面上に配置された平均繊維径50〜1000nmの繊維状有機吸着剤を構成成分として含む吸着層と、を有する除湿部材を提供する。
本発明の除湿部材は、平均繊維径が50〜1000nmと、通常の繊維径(2〜20μm程度)より細いため、単位体積あたりの表面積(以下、比表面積と記す)が大きくなり、水分を吸脱着できる表面積が増加するため、単位時間当たりに吸放出できる水分量が増加する、すなわち水分の吸放出速度を向上できる。
また、本発明の除湿部材においては、特に、基材層に無機吸着剤がさらに含まれていることが好ましい。さらに、本発明の除湿部材においては、特に、無機吸着剤はゼオライトであることが好ましい。
また、本発明の除湿部材においては、特に、ゼオライトはカチオンにランタノイドを含むY型ゼオライトであることが好ましい。さらに、本発明の除湿部材においては、特に、繊維状有機吸着剤はポリアクリル酸塩系吸着剤であることが好ましい。
また、本発明の除湿部材においては、特に、基材層と吸着層とは接着剤で結合されていることが好ましい。さらに、本発明の除湿部材においては、特に、接着剤は繊維状のホットメルト接着剤であることが好ましい。
また、本発明の除湿部材においては、特に、基材層に抗菌剤がさらに含まれていることが好ましい。さらに、本発明の除湿部材においては、特に、抗菌剤はカチオンに銀、亜鉛および銅からなる群より選択される少なくとも一種のカチオンを含むゼオライトであることが好ましい。また、本発明の除湿部材においては、特に、基材層に難燃剤がさらに含まれていることが好ましい。
また、本発明は、除湿部材を加工してコルゲートハニカム状に形成されてなる除湿ロータを提供する。このように、前述した本発明の除湿部材を用いることにより、水分の吸放出量が多く、吸放出速度が速い除湿ロータを構成することができる。
以上説明したように、本発明の除湿部材によれば、常温高湿(0〜25℃・60〜100%RH程度)で空気中の水分を吸着し、比較的低温低湿(40〜80℃・0.1〜30%RH程度)での熱再生処理により水分を放出する場合であっても、水分の吸放出量、吸放出速度を向上できる。
また、本発明の除湿ロータは、本発明の除湿部材を含んで形成されているので、水分の吸放出量が多く、吸放出速度が速い。
本発明の除湿部材の第1実施形態の基本構成を示す模式断面図 図1のRの部分の基材層に無機吸着剤を含有しない場合の拡大図 図1のRの部分の基材層に無機吸着剤を含有する場合の拡大図 本発明の除湿部材の第1実施形態を用いて構成した除湿ロータの斜視図 図4のR1の部分の拡大図
以下、図面を参照しながら本発明の除湿部材および除湿ロータの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
<除湿部材の第1実施形態>
以下、図1、図2及び図3を用いて本発明の除湿部材の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の除湿部材の第1実施形態の基本構成を示す模式断面図である。また、図2及び図3は、図1のRの部分の拡大図である。
図1に示すように、第1実施形態の除湿部材1は、主として、基材層2と、この基材層2の表面上に配置された吸着層3とから構成されている。なお、必要に応じて、基材層2と吸着層3とを接着剤(図示せず)により接着、結合する。これは、例えば、除湿部材1を曲げ加工を行う場合、加工時に基材層2と吸着層3との剥離を起こりにくくするために有用である。
以下、第1実施形態の除湿部材1を構成する基材層2と吸着層3について説明する。
まず、基材層2について説明する。
図1に示す基材層2は、後述する吸着層3を支持する支持体となる部材である。この基材層2は、パルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維で、公知の短繊維あるいは長繊維を織布あるいは不織布に加工して用いる。目付量については特に限定されず、吸着層3を支持できる程度の目付量があれば良い。また、厚みについても特に限定されないが、コルゲート加工を行う場合は、0.1〜0.5mm程度が好ましい。
次に、吸着層3について説明する。
図1に示す吸着層3は、空気中の水分を吸着し、熱再生により吸着した水分を脱着させることで可逆的に水分の吸放出を行うことのできる部材である。
この吸着層3には、公知の有機吸着剤を電界紡糸法や溶融紡糸法などの加工技術により、平均繊維径50〜1000nmの繊維状に加工して配置する。公知の有機吸着剤として、ポリアクリル酸塩系、メタクリル酸メチルと酢酸ビニルの共重合体、N−イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール・無水マレイン酸反応物、イソブチルケトン・マレイン酸共重合体架橋物、ポリアクリロニトリル系ケン化物、ポリエチレンオキシド系、デンプン・アクリロニトリルグラフト重合体、デンプン・アクリル酸グラフト重合体、カルボキシメチルセルロースの架橋体などが挙げられる。
ここで、吸着層3としては、本発明の効果をより確実に得るという観点から、ポリアクリル酸塩系吸着剤が好ましい。このような吸着剤としては、例えば、東洋紡績社製の吸放湿性微粒子「商品名:タフチックHUシリーズ」が好ましく挙げられる。これによると、吸着等温線より、5℃・95%RH雰囲気下では自重の90%の水分飽和吸着量を有し、40℃・10%RH雰囲気下では自重の10%の水分飽和吸着量を有しているため、5℃・95%RH吸着、40℃・10%RH再生では、自重の80%の水分の吸放出量が得られる。これは、市販のX型ゼオライト(例えば、ユニオン昭和社製の商品名:モレキュラーシーブ13X)の20倍以上の水分吸放出量であり、非常に多くの水分吸放出量を有する除湿部材を実現できる。
吸着層3の目付量と厚みについては特に限定されないが、目付量が多く、厚みが厚くなると、空気中の水分子が吸着層3の内部まで拡散しにくくなり、吸放出に利用されない部分が増えるため、目付量は0.1〜3.0g/m2が好ましい。このときの平均の厚みは、充填状態にもよるが、1〜10μm程度と本発明者らは推察している。
ここで、本発明の効果をより確実に得るという観点から、基材層2と吸着層3とが接着剤(図示せず)により結合されていることが好ましい。これは、除湿部材1を曲げ加工を行って使用する場合、加工時に基材層2と吸着層3との剥離を起こりにくくする効果があるため好ましい。接着剤は、公知の接着剤を用いることができ、基材層2と吸着層3とを結合し、吸着層3の繊維同士の空間を埋めないものであれば特に限定されない。好ましくは、繊維状のホットメルト接着剤を基材層2に塗布しておき、吸着層3を配置後、ホットメルト接着剤の融点以上の温度に保持する。これにより、吸着層3の繊維同士の空間を埋めることなく、基材層2と吸着層3とを結合させることができる。
また、基材層2には抗菌剤(図示せず)を添加してもよい。これにより、除湿部材1は水分の吸放出量の多さ、吸放出速度の速さに加えて、優れた抗菌特性を有することができる。
この抗菌剤としては、基材層2に分散でき、抗菌効果を得ることができるものであれば特に限定されず、公知の抗菌剤を添加してよい。このような抗菌剤としては、例えば、ワサビなどの有機系の抗菌剤や、銀・亜鉛・銅などの無機系の抗菌剤などがあり、いずれを用いても良いが、耐熱性や耐酸化性などの耐久性という観点から、無機系の抗菌剤を使用することが好ましい。特に、入手の容易性、基材層2への分散性などの観点から、カチオンに銀、亜鉛および銅からなる群より選択される少なくとも一種のカチオンを含むゼオライトを用いることが好ましい。
例えば、無機系の抗菌剤としては、東亞合成社製の銀系無機抗菌剤「商品名:ノバロン」、カチオンに銀、亜鉛および銅からなる群より選択される少なくとも一種のカチオンを含むゼオライトとしては、シナネンゼオミック社製の無機抗菌剤「商品名:ゼオミック」などが好ましく挙げられる。これらの抗菌剤には防カビ効果も期待できるので、より好ましい。
ここで、基材層2に対する抗菌剤の添加量は、基材層2と抗菌剤との合計質量の0.1〜3質量%とすることが好ましい。基材層2に対する抗菌剤の添加量が0.1質量%以下であると抗菌性が発揮されにくく、基材層2に対する抗菌剤の添加量が3質量%以上であると、コルゲート加工する際に、基材層2に亀裂や割れが生じる可能性があるためである。
さらには、基材層2には難燃剤(図示せず)を添加してもよい。これにより、除湿部材1は水分の吸放出量の多さ、吸放出速度の速さに加えて、優れた難燃特性を有することができる。この難燃剤としては、基材層2に分散でき、難燃効果を得ることができるものであれば特に限定されず、公知の難燃剤を添加してよい。このような難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤として臭素化合物、リン化合物、塩素化合物などがあり、無機系難燃剤としてアンチモン化合物、金属水酸化物などが挙げられ、いずれを用いてもよい。臭素化合物系の難燃剤としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等が好ましく挙げられ、リン化合物系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート等の芳香族のリン酸エステル、赤リン等が好ましく挙げられ、塩素化合物系難燃剤として塩素化パラフィンなどが好ましく挙げられる。また、アンチモン化合物系難燃剤としては、臭素化合物など、ハロゲン化合物の難燃性を高める助剤として、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンが好ましく挙げられ、金属水酸化物系難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が好ましく挙げられる。
更に、図2を用いて上述の作用効果について詳しく説明する。
基材層2は、前述したとおり、パルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維4で構成された織布あるいは不織布からなる。不織布の場合、繊維4はお互いが絡み合った状態になっており、必要に応じて接着剤(図示せず)を用いて、絡み合いの強度を向上させても良い。
繊維4の代表径は、1〜30μm程度が好ましい。繊維4の代表径が1μm以下であると強度が弱く、30μm以上であると繊維4同士の空間が大きくなり、吸着層3を形成する繊維状有機吸着剤5が吸着層3の深くまで入り込み、水分の吸放出に寄与しない繊維状有機吸着剤5が増えるためである。なお、異なった代表径の繊維4を2種類以上混合しても良い。
繊維4の材質、形状、長さについては特に限定されず、基材層2の形状を保持でき、吸着層3を支持できるものであれば良い。
吸着層3は、前述の有機吸着剤を後述する電界紡糸法や溶融紡糸法などの加工技術により加工した平均繊維径50〜1000nmの繊維状有機吸着剤5からなる。平均繊維径50〜1000nmの繊維は一般的にナノファイバーと称され、繊維径が細いため、比表面積が大きくなり、水分の吸放出速度が向上する。公知の電界紡糸法や溶融紡糸法などの加工技術では、平均繊維径が50nm未満の紡糸が困難であり、平均繊維径が1000nmを超えた繊維状有機吸着剤5は、比表面積が小さく、水分の吸放出速度向上にあまり寄与しない。
また、繊維状有機吸着剤5の形状は特に限定されないが、電界紡糸法などの公知の加工方法を利用すると、断面は概ね円形あるいは楕円形となる。
ここで、本発明の効果をより確実に得るという観点から図3に示すように、基材層2に無機吸着剤6を添加させておくことが好ましい。これによると、一般的に無機吸着剤6は有機吸着剤と比較して、水分の吸着速度や放出速度が速いため、水分吸着の初期段階では無機吸着剤6が吸着を促進し、かつ水分の拡散は一般的には水分の濃度勾配に支配されるため、より多くの水分が吸着層3へ拡散し、その水分を繊維状有機吸着剤5が吸着し、吸着速度をさらに促進させることができる。
ここで、無機吸着剤6としては、本発明の効果をより確実に得るという観点から、ゼオライトが好ましい。さらに、ゼオライトとしては、本発明の効果をより確実に得るという観点から、カチオンにランタノイドを含むY型ゼオライトが好ましい。例えば、カチオンにランタノイドを含むY型ゼオライトとしては、ユニオン昭和社製のゼオライト「商品名:疎水性モレキュラーシーブ、品番:DDZ−70」が好ましく挙げられる。
無機吸着剤6の平均粒子系は、1〜10μm程度が好ましい。1μm未満であると、繊維4同士の隙間から無機吸着剤6が脱落する可能性があり、10μm以上では、無機吸着剤6の比表面積が小さくなることで吸放出速度が低下したり、繊維4同士の絡み合いを阻害することで基材層2の強度を低下させたりするからである。なお、図3では無機吸着剤6を球状で記しているが、形状は特に球状で限定されるものではない。
また、無機吸着剤6の添加量は10〜100g/m2程度が好ましい。無機吸着剤6の添加量が10g/m2未満であると、基材層2と隣接する繊維状有機吸着剤5近傍の水分を素早く吸着する効果が小さく、無機吸着剤6の添加量が100g/m2を超えると、繊維4同士の絡み合いを阻害することで基材層2の強度を低下させるためである。
本実施形態の除湿部材1は、以上説明したように、パルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維を構成成分として含む基材層の表面上に配置された平均繊維径50〜1000nmの繊維状有機吸着剤を構成成分として含む吸着層を有するため、常温高湿(0〜25℃・60〜100%RH程度)で空気中の水分を吸着し、比較的低温低湿(40〜80℃・0.1〜30%RH程度)での熱再生処理により水分を放出する場合であっても、水分の吸放出量、吸放出速度を向上できる。
次に、本実施形態の除湿部材1の製造方法の一例について説明する。
除湿部材1の製造方法は特に限定されず、公知の製造方法を用いて製造することができる。
まず、基材層2を用意する。簡便には、基材層2はパルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維で構成された市販の織布あるいは不織布を利用する。
また、無機吸着剤6を含む基材層2は、公知の抄紙機および抄紙方法を用いて製造することができる。以下に、無機吸着剤6を含む基材層2の製造方法の一例を示す。
まず、市販の適切なパルプ繊維を選択し、適量の水を加えた後、攪拌を行い、パルプスラリーを得る(原料調整工程)。この原料調整工程は特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。
次に、原料調整工程で得られたパルプスラリーの攪拌を継続しながら、無機吸着剤6としてゼオライトを所定量添加した後、叩解を行い、目の細かい網の上に流し込む(添加・叩解工程)。この添加・叩解工程も特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。
また、添加・叩解工程では、投入したパルプ量とゼオライト量の合計質量に対して、ゼオライト量が10〜30質量%となるように調整することが好ましく、ゼオライトの投入量は最終的に10〜100g/m2程度となるように調整することが好ましい。なお、抗菌剤や難燃剤の添加を行う場合、添加・叩解工程で添加しておくことが好ましい。
次に、網の上に流し込んだゼオライトを含有するパルプスラリーを、例えばローラーで圧して脱水し、乾燥装置を用いて乾燥を行い、ゼオライトを含有した混抄紙を得る(抄紙工程)。なお、抄紙工程は、公知の抄紙機を用いて連続的に行うことができる。また、抄紙工程では、混抄紙の厚さを0.1〜0.5mm程度で調整することが好ましい。このようにして製造した混抄紙の形状を整えるなどして、無機吸着剤6を含有する基材層2とすることができる。
さらに、市販の織布または不織布、または上述した方法で作製した基材層2の表面に、吸着層3の製造を行う。吸着層3についても、電界紡糸法などの公知の加工方法を利用して製造することができ、例えば、特開2008−246381等の公報に記載の公知の製造方法を利用して製造することができる。
具体的には、ポリアクリル酸塩系吸着剤に多量の水を加え、ゲル化させたものを電界紡糸法により、基材層2上に平均繊維径が50〜1000nm程度のいわゆるナノファイバーと称される繊維を吹き付けることで吸着層3を形成させる(紡糸工程)。このとき、予め基材層2の表面に繊維状のホットメルト接着剤を塗布しておき、吸着層3を配置後、ホットメルト接着剤の融点以上の温度に保持することで基材層2と吸着層3との密着性を向上させることができる。
また、紡糸工程で、ポリアクリル酸塩系吸着剤のナノファイバーを基材層2に吹き付けると同時に、ホットメルト接着剤を適切な溶媒に溶解させた溶液を同様の方法でホットメルト接着剤をナノファイバー化して吹き付けておき、ホットメルト接着剤の融点以上の温度に保持することで基材層2と吸着層3との密着性を向上させることができる。
<除湿ロータの第1実施形態>
次に、図4及び図5を用いて本発明の除湿ロータの第1実施形態(本発明の除湿部材の第1実施形態を用いて構成した除湿ロータ)について説明する。
図4は、本発明の除湿ロータの模式斜視図である。また、図5は、図4のR1の部分の拡大図である。
以下、図4及び図5に示す除湿ロータ11について説明する。なお、上述の図1に示した除湿部材に関して説明した要素と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
除湿ロータ11は、含有する繊維状有機吸着剤5及び無機吸着剤6で空気中の水分を吸着除去し、空気中の湿度を下げることを目的としたデバイスであるため、本発明に係る除湿部材1で構成することは非常に好ましい。
除湿ロータ11は、図1に示した除湿部材1(本発明の除湿部材の第1実施形態)を平型シート12及び波型シート13に加工し、これらが交互に積層されたハニカム構造体で、平型シート12と波型シート13との隙間を低い通気抵抗で通気することができる。
なお、この場合、除湿部材1の基材層2の両面に吸着層3を配置することが好ましい。これにより、除湿部材1の表裏を意識することなくハニカム構造体を作製し除湿ロータ11を形成することができ、さらには1つの基材層2に対して、2つの吸着層3を有するため、除湿ロータ11の水分の吸放出量、吸放出速度をさらに向上させることができる。
除湿ロータ11の形状、大きさは特に限定されないが、家庭用の除湿機に搭載する場合、形状は円柱状が好ましく、大きさは直径100〜300mm程度で、通気方向の厚みは5〜30mm程度が好ましい。また、除湿ロータ11のセル数についても特に限定されないが、家庭用の除湿機に搭載する場合、80〜350セル/inch2が好ましい。80セル/inch2未満では、比表面積が小さいため、吸放出量、吸放出速度の向上への寄与が少なくなり、350セル/inch2を超える場合は、圧力損失が大きくなるため、除湿ロータ11への通気が困難になるためである。なお、このような除湿ロータ11は、公知のハニカム構造体の製造方法を用いて製造することができる。
また、基材層2に抗菌剤を含有させることにより、吸放出量、吸放出速度の向上に加え、優れた抗菌性を付与することができる。これは、除湿ロータ11の基材層2や吸着層3が結露するような雰囲気下で使用する場合、特に効果的である。さらには、除湿ロータ11に難燃剤を含有させることにより、吸放出量、吸放出速度の向上に加え、優れた難燃性を付与することができる。これは、除湿ロータ11が吸着した水分を低温熱源に加え、ヒータ等の高温熱源を併用して再生する(水分を放出する)ような雰囲気下で使用する場合、特に効果的である。
次に、除湿ロータ11の作用効果について説明する。
常温高湿(0〜25℃・60〜100%RH程度)の湿り空気を、それぞれ例えば送風ファン(図示せず)を用いて除湿ロータ11に通気させると、吸着層3が水分を吸着し、乾燥空気を作り出すことができる。飽和吸着に達した吸着層3へは、比較的低温低湿(40〜80℃・0.1〜30%RH程度)の空気を通気させることで、吸着層3が吸着した水分を放出させ、再生することができる。従来は、40〜80℃・0.1〜30%RH程度の空気では水分の放出量が少なく、放出速度も遅いため、再生には100℃以上の高温空気を用いる必要があったが、本発明の除湿ロータ11を用いると、40〜80℃・0.1〜30%RH程度の空気でも、水分の吸放出量が多く、吸放出速度が速いため、従来再生に使われずに漏れてしまっていた無駄な熱を抑制できる。
なお、この第1実施形態の除湿部材1および第1実施形態の除湿ロータ11について説明したが、本発明の除湿部材および本発明の除湿ロータはこれらに限定されるものではない。
以上のように、本発明の除湿部材は、特に常温高湿(0〜25℃・60〜100%RH程度)で空気中の水分を吸着し、比較的低温低湿(40〜80℃・0.1〜30%RH程度)での熱再生処理により水分を放出する場合であっても、水分の吸放出量および吸放出速度を向上でき、省エネで再生することができる水分の吸放出量が多く、吸放出速度が速い除湿ロータの平型シートおよび波型シートに利用することができる。
また、本発明の除湿部材は、除湿ロータ以外にも、水分の吸放出量が多く、速い吸放出速度を必要とする製品に利用することができ、例えば、調湿シート、調湿壁紙などの水分の吸放出が必要な部材に利用することができる。
さらには、本発明の除湿ロータは、家庭用除湿機に利用することができ、またデシカント空調用のデシカントロータとしても利用することができる。
1 除湿部材
2 基材層
3 吸着層
4 繊維
5 繊維状有機吸着剤
6 無機吸着剤
11 除湿ロータ
12 平型シート
13 波型シート

Claims (11)

  1. パルプ繊維、樹脂繊維、炭素繊維および無機繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維を構成成分として含む基材層と、
    前記基材層の表面上に配置された平均繊維径50〜1000nmの繊維状有機吸着剤を構成成分として含む吸着層と、
    を有する除湿部材。
  2. 前記基材層に無機吸着剤がさらに含まれている請求項1に記載の除湿部材。
  3. 前記無機吸着剤は、ゼオライトである請求項2に記載の除湿部材。
  4. 前記ゼオライトは、カチオンにランタノイドを含むY型ゼオライトである請求項3に記載の除湿部材。
  5. 前記有機吸着剤は、ポリアクリル酸塩系吸着剤である請求項1〜4いずれか1項に記載の除湿部材。
  6. 前記基材層と前記吸着層とは接着剤で結合されている請求項1〜5いずれか1項に記載の除湿部材。
  7. 前記接着剤は、繊維状のホットメルト接着剤である請求項6に記載の除湿部材。
  8. 前記基材層に抗菌剤がさらに含まれている請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の除湿部材。
  9. 前記抗菌剤は、カチオンに銀、亜鉛および銅からなる群より選択される少なくとも一種のカチオンを含むゼオライトである請求項8に記載の除湿部材。
  10. 前記基材層に難燃剤がさらに含まれている請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の除湿部材。
  11. 請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の除湿部材を加工してコルゲートハニカム状に形成されてなる除湿ロータ。
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