JP2019019274A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
近年では、熱可塑性樹脂として植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロースエステル化合物がある。
上記セルロースエステル化合物は、単独でも使用されるが、セルロースエステル化合物以外の他の樹脂と混合して、樹脂組成物として使用される場合がある。
しかし、セルロースエステル化合物は極性が高く、通常の樹脂とは混和しにくいため、他の樹脂と混合することにより剛性は高くなるが、引っ張った時の伸びの程度が低くなる(引張破断歪が低い)場合があった。
請求項1に係る発明は、以下の通りである。
セルロースエステル化合物、並びに、
(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、樹脂の全質量に対して40質量%以上含み、かつ、エポキシ基を有する構成単位、オキセタニル基を有する構成単位、無水マレイン酸化合物に由来する構成単位、及び、無水イタコン酸化合物に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を含む樹脂を含有する
樹脂組成物。
請求項2に係る発明は、以下の通りである。
前記セルロースエステル化合物の全質量に対する、前記樹脂の全質量の割合が、0.05以上0.6以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
請求項3に係る発明は、以下の通りである。
前記セルロースエステル化合物の全質量に対する、前記樹脂の全質量の割合が、0.1以上0.5以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
請求項4に係る発明は、以下の通りである。
前記セルロースエステル化合物が、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項5に係る発明は、以下の通りである。
前記樹脂が、前記(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位として、(メタ)アクリル酸メチルに由来する構成単位を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項6に係る発明は、以下の通りである。
前記樹脂として、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
請求項7に係る発明は、以下の通りである。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
本実施形態の樹脂組成物は、セルロースエステル化合物、並びに、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、樹脂の全質量に対して40質量%以上含み、かつ、エポキシ基を有する構成単位、オキセタニル基を有する構成単位、マレイン酸化合物に由来する構成単位、及び、イタコン酸化合物に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を含む樹脂(以下、「特定樹脂」ともいう。)を含有する。
本実施形態の樹脂組成物によれば、セルロースエステル化合物、及び、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、樹脂の全質量に対して40質量%未満含有する樹脂を含む樹脂組成物を用いた場合に比して、得られる成形体の引張破断歪が高くなる。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
また、本実施形態において用いられる特定樹脂は、エポキシ基を有する構成単位、オキセタニル基を有する構成単位、無水マレイン酸化合物に由来する構成単位、及び、無水イタコン酸化合物に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を有する。これらの構成単位に含まれる構造(例えば、エポキシ基、カルボン酸無水物構造等)が、セルロースエステル化合物と架橋構造を形成することにより、セルロースエステル化合物と前記樹脂との界面強度が高くなり、得られる成形体の引張破断歪が高くなると考えられる。
加えて、前記樹脂は、上述の通りセルロースエステル化合物と架橋構造を形成することにより、上記引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度は更に高くなりやすいと考えられる。
更に、2種以上の樹脂を混合した樹脂組成物を用いる場合、混合した樹脂同士の界面で光の干渉が起こり、得られる成形体に真珠様の光沢が発生する場合がある。本実施形態に係る樹脂組成物は、上述のようにセルロースエステル化合物と前記樹脂とが均一に近い状態で混合するため、上記光の干渉が発生しにくく、得られる成形体における上記真珠様の光沢が抑制されやすいと考えられる。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
また、本明細書において「(メタ)アクリル酸」の記載は、「アクリル酸又はメタクリル酸」の意味である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロースエステル化合物を含有する。
セルロースエステル化合物は、水酸基の一部がアセチル基で置換されたセルロース誘導体であり、具体的には、下記一般式(1)で表されるセルロース誘導体であることが好ましい。
すなわち、本実施形態において用いられるセルロースエステル化合物は、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態において用いられるセルロースエステル化合物の重量平均分子量は、成形体の耐熱性の低下を抑制しつつ、流動性が向上する点で、3万以上30万以下が好ましく、7万以上25万以下がより好ましい。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定した値である。
本実施形態において用いられるセルロースエステル化合物の置換度は、2.1以上2.9以下であることが好ましく、2.2〜2.8であることがより好ましい。
置換度は、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来ピークの積分比から置換度を求める。なお、例えば、置換基としてアセチル基を有するセルロースエステル化合物の構成単位分子量は、アセチル基の置換度が2.4のとき263、アセチル基の置換度が2.9のとき284となる。
本実施形態に用いられるセルロースエステル化合物は、アセチル基の置換度が0.05〜2.85であり、かつ、プロピオニル基の置換度が0.05〜2.85であるか、又は、アセチル基の置換度が0.05〜2.85であり、かつ、ブチリル基の置換度が0.05〜2.85であることが好ましい。
セルロースエステル化合物の重合度の好適な範囲としては、例えば、120以上800以下、200以上750以下、250以上750以下が挙げられる。セルロースエステル化合物の重合度が上記範囲であると、成形体の耐熱性の低下を抑制しつつ、流動性が向上する樹脂組成物が得られやすくなる。
まず、セルロースエステル化合物の重量平均分子量を前記方法により測定する。
次いで、セルロースエステル化合物の骨格分子量で割ることで、セルロースエステル化合物の重合度を求める。
セルロースエステル化合物の骨格分子量は、上述の置換度から算出される。
セルロースエステル化合物の製造方法は、特に制限はなく、例えば、セルロースに対し、アシル化、及び、低分子量化(解重合)、並びに、必要に応じて、脱アシル化を行う方法により好適に製造される。また、市販品のセルロースエステル化合物を、予め定められた重量平均分子量となるように、低分子量化(解重合)等を行って製造してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、得られる成形体の引張破断歪を増加させる観点から、セルロースエステル化合物を、樹脂組成物の全質量に対し、60質量%以上95以下含有することが好ましく、70質量%以上85質量%以下含有することがより好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロースエステル化合物を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、樹脂の全質量に対して40質量%以上含み、かつ、エポキシ基を有する構成単位、オキセタニル基を有する構成単位、無水マレイン酸化合物に由来する構成単位、及び、無水イタコン酸化合物に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位(以下、「架橋性基を有する構成単位」ともいう。)を含む樹脂(特定樹脂)を含む。
本実施形態に係る特定樹脂は、線状ポリマーであっても、網目状ポリマー、星型ポリマー等のその他の形状のポリマーであってもよいが、線状ポリマーであることが好ましい。
本実施形態に係る特定樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を含有する。
(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位は、例えば、特定樹脂の製造における単量体として(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いることにより、特定樹脂に含有される。
本実施形態において、後述する、架橋性基を有する構成単位に含まれる構成単位は、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位には含まれないものとする。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、特定樹脂が、上述の線状ポリマーであることが好ましい観点から、(メタ)アクリロキシ基を1つのみ有する、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、特に限定されないが、得られる成形体の引張破断歪を増加させる観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物が好ましく、アルキル基の炭素数が1以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物がより好ましい。
本実施形態に用いられる(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、又は、メタクリル酸−2−エチルヘキシルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
本実施形態において用いられる特定樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、特定樹脂の全質量に対し、40質量%以上含有し、引張破断歪を増加させる観点からは、50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましい。
上記含有量が40質量%未満である場合、得られる成形体の引張破断歪が低下する。これは、セルロースエステル化合物と、特定樹脂とが混和しにくいためであると考えられる。
また、上記含有量が40質量%以上(好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上)であると、得られる成形体の引張弾性率、及び、シャルピー衝撃強度が高くなりやすく、得られる成形体における上述の真珠様の光沢が抑制されやすい。
本実施形態において用いられる特定樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、1種単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
特定樹脂中の(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位の含有量は、NMRの積分比を用いて測定される。
本実施形態において用いられる特定樹脂は、エポキシ基を有する構成単位、オキセタニル基を有する構成単位、無水マレイン酸化合物に由来する構成単位、及び、無水イタコン酸化合物に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位(架橋性基を有する構成単位)を含有する。また、本実施形態において用いられる特定樹脂は、引張破断歪を増加させる観点から、エポキシ基を有する構成単位、又は、無水マレイン酸化合物に由来する構成単位を含有することが好ましい。
以下、各構成単位の詳細について説明する。
エポキシ基を有する構成単位は、例えば、特定樹脂の製造における単量体としてエポキシ基を有する単量体を用いることにより、特定樹脂に含有される。
エポキシ基を有する構成単位としては、特に限定されないが、例えば、上述の(メタ)アクリル酸エステル化合物との共重合体を製造しやすい観点から、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位が挙げられる。
エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、メタクリル酸[(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1−イル]メチル、4−ビニル安息香酸グリシジル等が挙げられ、メタクリル酸グリシジルが好ましい。
オキセタニル基を有する構成単位は、例えば、特定樹脂の製造における単量体としてオキセタニル基を有する単量体を用いることにより、特定樹脂に含有される。
オキセタニル基を有する構成単位としては、特に限定されないが、例えば、上述の(メタ)アクリル酸エステル化合物との共重合体を製造しやすい観点から、オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位が挙げられる。
オキセタニル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸オキセタン−3−イル、メタ)アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル等が挙げられる。
無水マレイン酸化合物に由来する構成単位は、例えば、特定樹脂の製造における単量体として無水マレイン酸化合物を用いることにより、特定樹脂に含有される。
無水マレイン酸化合物に由来する構成単位としては、下記式Aにより表される構成単位が挙げられる。
前記1価の炭化水素基としては、アルキル基又はアリール基が挙げられ、炭素数1以上8以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。
無水イタコン酸化合物に由来する構成単位は、例えば、特定樹脂の製造における単量体として無水イタコン酸化合物を用いることにより、特定樹脂に含有される。
無水イタコン酸化合物に由来する構成単位としては、下記式Bにより表される構成単位が挙げられる。
前記1価の炭化水素基としては、アルキル基又はアリール基が挙げられ、炭素数1以上8以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。
本実施形態において用いられる特定樹脂は、架橋性基を有する構成単位を、1種単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
上記含有量は、スチレン当量は溶媒に溶解し、269nmの吸光度で測定される。エポキシ当量及びオキセタン当量はJIS K 7236に準じて測定される。無水マレイン酸及び無水イタコン酸当量はJIS K 1557−5に準じて測定される。
本実施形態に用いられる特定樹脂は、上述の(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位、及び、架橋性基を有する構成単位以外の、その他の構成単位を含有してもよい。
その他の構成単位を含有することにより、特定樹脂の物性が変化し、得られる成形体の物性が変化する。
その他の構成単位としては、スチレン化合物に由来する構成単位が挙げられる。
スチレン化合物としては、スチレン、4−ブロモスチレン、パーフルオロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
本実施形態に用いられる特定樹脂がスチレン化合物を含有することにより、強度に優れた特定樹脂が得られるため、得られる成形体の引張弾性率に優れた樹脂組成物が得られる。
本実施形態において用いられる特定樹脂の重量平均分子量は、3万以上50万以下が好ましく、5万以上50万以下がより好ましい。
本実施形態において用いられる特定樹脂は、引張破断歪を増加し、かつ、引張弾性率を増加する観点から、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構成単位を含むことが好ましく、メタクリル酸メチルに由来する構成単位を含むことがより好ましい。
また、本実施形態において用いられる樹脂組成物は、特定樹脂として、スチレン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、及び、無水マレイン酸化合物の共重合体を含むことが好ましい。各化合物の好ましい態様は上述の通りである。
なかでも、本実施形態において用いられる特定樹脂は、引張破断歪を増加し、かつ、引張弾性率を増加する観点から、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、引張破断歪を増加する観点から、セルロースエステル化合物の全質量に対する、特定樹脂の全質量の割合(特定樹脂の全質量/セルロースエステル化合物の全質量)が、0.05以上0.6以下であることが好ましく、0.1以上0.5以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、さらに、可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤としては、例えば、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物、縮合りん酸エステル化合物、セバシン酸エステル化合物、グリコールエステル化合物、酢酸エステル化合物、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル化合物、ステアリン酸エステル化合物、金属石鹸、ポリオール化合物、ポリアルキレンオキサイド化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
可塑剤としては、例えば、特開2016−183321号公報に記載の可塑剤が好適に用いられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。
また、必要に応じて、酢酸放出を防ぐための受酸剤、反応性トラップ剤などの成分(添加剤)を添加してもよい。受酸剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;などが挙げられる。
反応性トラップ剤としては、例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミドなどが挙げられる。
これらの成分の含有量は、樹脂組成物全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、およびシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。また、コアシェル型のブタジエン−メチルメタクリレート共重合体も挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、セルロースエステル化合物、及び、特定樹脂と、必要に応じて、可塑剤、その他の成分等と、を含む混合物を溶融混練することにより製造すればよい。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによって製造してもよい。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には、例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物により成形されたものである。つまり、セルロースエステル化合物、並びに、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、樹脂の全質量に対して40質量%以上含み、かつ、エポキシ基を有する構成単位、オキセタニル基を有する構成単位、無水マレイン酸化合物に由来する構成単位、及び、無水イタコン酸化合物に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を含む樹脂を含有する樹脂組成物を成形して得られる。
射出成形のシリンダ温度は、例えば170℃以上270℃以下であり、好ましくは190℃以上250℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば40℃以上90℃以下であり、60℃以上80℃以下がより好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業社製NEX500、日精樹脂工業社製NEX150、日精樹脂工業社製NEX70000、日精樹脂工業社製PNX40、住友機械社製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
市販のセルロースアセテートプロピオネート(EASTMAN CHEMICAL社製、CAP482−20)を(CE1)、セルロースアセテートブチレート(EASTMAN CHEMICAL社製、CAB171−15)を(CE2)、セルロースアセテートブチレート(EASTMAN CHEMICAL社製、CAP381−20)を(CE3)、セルロースアセテート(ダイセル社製、L-50)を(CE4)としてそれぞれ準備した。これらセルロースエステル化合物の置換度を表1にまとめる。なお、表中のDS(Ac)、DS(Pr)、DS(Bt)はそれぞれアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基の置換度を表す。
市販のアジピン酸エステル含有化合物可塑剤(大八化学社製、Daifatty121)を(PL1)として準備した。
市販のスチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合樹脂(旭化成製、デルペット 980N)を(At1)、スチレン−マレイン酸共重合樹脂(ノヴァケミカル製、ダイラークD332)を(At17)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(旭化成製、デルペット60N)を(At21)、ポリスチレン樹脂(PSジャパン製、HF−77)を(At22)として準備した。
メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレン、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル(以上モノマー)を表2に示した使用量にて混合した。なお、表中のSt、MMA、BA、MAH、GMAはそれぞれ、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジルを表す。さらにエチルベンゼン240部、n−オクチルメルカプタン1.2部を混合し、窒素雰囲気下としてモノマー溶液を調製した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.364部、エチルベンゼン12.96部に溶解した後、窒素雰囲気下として開始剤溶液を調整した。これらをガラス反応容器(容量2L)中に投入し、100℃、90分間反応させた。得られたポリマー溶液とメタノールとをホモジナイザーで混合した後静置し、沈殿物を循環式乾燥機により120℃、6時間以上乾燥し、特定樹脂(At2)乃至(At16)、(At18)乃至(At20)、(At23)を得た。
表4又は表5に示す仕込み組成比とシリンダ温度で、2軸混練装置(labtech engineering社製、LTE20−44)を用い、樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX500I)を用い、表4又は表5に示すシリンダ温度及び金型温度60℃で、ISO多目的ダンベル試験片(測定部寸法:幅10mm/厚さ4mm)を成形した。
〔外観〕
得られたISO多目的ダンベル試験片の表面を観察し、真珠様光沢の有無を確認した。真珠様光沢が認められないものを「良好」、真珠様光沢がやや認められるものを「やや真珠様」、真珠様光沢がはっきりと認められるものを「真珠様光沢」として、評価結果を表4又は表5に記載した。
得られたISO多目的ダンベル試験片について、表面に油性インキで文字を書き、65℃/90%RHの条件下で1000時間(hr.)放置した。試験片表面のブリードアウト状態を、以下の基準で評価した。
なし:油性インキの文字のにじみがない。目視で可塑剤のブリードアウトなし。
発生:油性インキの文字のにじみ発生、または目視で明らかに可塑剤のブリードアウトあり。
得られたISO多目的ダンベル試験片を用いて、万能試験装置(島津製作所社製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO527に準拠する方法で引張弾性率の測定を行った。結果を表4又は表5に記載した。
得られたISO多目的ダンベル試験片を用いて、万能試験装置(島津製作所社製、オートグラフAG−Xplus)を用いて、ISO527に準拠する方法で引張破断歪の測定を行った。結果を表4又は表5に記載した。
得られたISO多目的ダンベル試験片を用いて、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付き衝撃試験片に加工し、衝撃強度測定装置(東洋精機社製、シャルピーオートインパクテスタCHN3型)にて、23℃におけるノッチ付き衝撃強度の測定を行った。結果を表4又は表5に記載した。
また、実施例1乃至36の樹脂組成物によれば、比較例23乃至29と比べて引張弾性率及びシャルピー衝撃強度に優れた成形体が得られた。
更に、実施例1乃至36の樹脂組成物によれば、真珠様光沢が抑制された成形体が得られた。
Claims (7)
- セルロースエステル化合物、並びに、
(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を、樹脂の全質量に対して40質量%以上含み、かつ、エポキシ基を有する構成単位、オキセタニル基を有する構成単位、無水マレイン酸化合物に由来する構成単位、及び、無水イタコン酸化合物に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を含む樹脂を含有する
樹脂組成物。 - 前記セルロースエステル化合物の全質量に対する、前記樹脂の全質量の割合が、0.05以上0.6以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースエステル化合物の全質量に対する、前記樹脂の全質量の割合が、0.1以上0.5以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースエステル化合物が、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂が、前記(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位として、メタクリル酸メチルに由来する構成単位を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂として、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
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