JP2019014862A - アルカリ重合法によるナイロン製造方法と成型ナイロン - Google Patents

アルカリ重合法によるナイロン製造方法と成型ナイロン Download PDF

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Abstract

【課題】 アルカリ重合法によるナイロンの製造方法と、アルカリ重合法によるナイロン本来の優れた機械的強度を有し、脆さが改良されて、機械加工が容易な成型ナイロンの提供。【解決手段】 本発明のナイロン製造方法は、少なくともω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートを混合撹拌後、加熱された型に注入し、型内で重合固化させることにより、ナイロンを製造する方法である。本発明の成型ナイロンは、少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤により重合固化された成型ナイロンである。【選択図】 なし

Description

本発明はω−ラクタムのアルカリ重合法によるナイロン製造方法と、機械加工性及び耐酸性の改良された成型ナイロンに関する。
ω−ラクタムをアルカリ性重合触媒と開始剤との作用で重合させてナイロンを製造する方法は、ω−ラクタムのアルカリ重合法として知られている。この重合法で得られるナイロンは、製造法の異なる射出成形用ナイロンに比べ、引張強度、曲げ強度等の機械的強度や摺動特性、熱的性質等が優れているため、金属代替材料の一つとして、自動車部品、機械部品等の工業用材料として広く使用されている。
ω−ラクタムのアルカリ重合法で得られるナイロン(以下、「アルカリ重合法ナイロン」と記す。)は、一般的に、金属製の型に原料混合物を注入し、丸棒、板材、パイプ等の素材の形状で製造されている。その為、現在使用されているアルカリ重合法ナイロン製の各種自動車部品や機械部品等の多くは、アルカリ重合法で製造された丸棒、板材、パイプ等の素材(ナイロン素材)を機械加工して、造られている。
アルカリ重合法ナイロンは機械的強度に優れているが、硬くて脆く、衝撃強度が高くないため、旋盤やその他加工機器により、機械加工をする際、加工時に製品に欠けが生じたり、製品表面が荒れたりすることがあり、機械加工の難しい材料として知られている。その為、前記ナイロン素材の機械加工は、高度の技術が必要とされている。
従来、アルカリ重合法ナイロンの機械加工性改良に関する提案は見当たらない。アルカリ重合法ナイロンの脆さ、衝撃性を改良する方法に関しては多くの提案がされている。例えば、特開昭58−152015号公報には、分子内にポリオキシアルキレンアミン等の柔軟成分が組み込まれたアルカリ重合法ナイロンが提案されている。このナイロンは衝撃特性や脆さが改良されており、高度の加工技術がなくても、欠け等のない良好な機械加工製品の製造が容易にできる。しかし、この方法は、分子内に柔軟成分を有するため、アルカリ重合法ナイロンの機械的強度を低下させ、アルカリ重合法ナイロン本来の特長が失われるという問題があった。
特開昭58−152015号公報
本発明は、前記の問題を解決する、即ち、アルカリ重合法ナイロンの本来の優れた機械的強度を保持し、脆さ、衝撃強度等が改良され、機械加工の容易なアルカリ重合法によるナイロン製造方法と、成型ナイロンの提供を課題とする。
本発明者らはω−ラクタムのアルカリ重合法を鋭意検討した結果、重合開始剤として、分子内に3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート(以下、「トリイソシアネート」と記す。)を使用することにより、得られるアルカリ重合法ナイロンは、特許文献1におけるような柔軟成分を使用しなくても、脆さ、衝撃性が改良され、本来の機械的強度を殆ど低下させることなく、高度の技術がなくても、汎用の旋盤等加工機器により欠けや荒れ等の不具合のない機械加工部品を製造できることを見出し、本発明に到達した。
(アルカリ重合法によるナイロン製造方法)
本発明のアルカリ重合法によるナイロン製造方法(以下、単に「本発明のナイロン製造方法」ということもある。)は、少なくともω−ラクタムと、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートとを混合撹拌後、加熱された型内に注入し、型内で重合固化させて、成型ナイロンを得る方法である。
本発明の他のナイロン製造方法は、少なくともω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネートを混合撹拌後、加熱された型内に注入し、型内で重合固化させて、成型ナイロンを得る方法である。
(成型ナイロン)
本発明の成型ナイロンは、少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤により重合固化された成型ナイロンである。
本発明の他の成型ナイロンは、少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒と、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤により重合固化された成型ナイロンである。
従来のアルカリ重合法ナイロンを含め、ナイロンは耐酸性に劣ることが知られている。例えば、ナイロンを高濃度の塩酸、硫酸や蟻酸等の酸類に浸漬すると、短時間で溶解する。本発明のナイロン製造方法により得られる成型ナイロンは、塩酸、硫酸や蟻酸等の酸類に浸漬した場合、従来のアルカリ重合法ナイロンよりも長時間、形状を保持しており、耐酸性が改良されたナイロンとなった。このことは、本発明のナイロン製造方法により得られた成型ナイロンの分子量が非常に大きい、あるいは、架橋構造を有していることを示唆する。このことが、本発明の成型ナイロンが耐酸性だけでなく、脆さや衝撃性が改善され、機械加工時の欠けや荒れの発生等の不具合解消に関係していると考えられる。本発明の成型ナイロンの耐酸性が改良されていることは、本発明のもう一つの効果でもある。なお、本発明の成型ナイロンは明確な融点を有することから、熱可塑性ポリマーであり、架橋構造の場合は、ある程度の耐酸性に寄与する部分的なものと考えられる。
本発明のアルカリ重合法によるナイロン製造方法は次のような効果がある。
(1)重合開始剤として、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートを使用するため、柔軟成分を使用しなくても、脆さ、衝撃性が改良され、本来の機械的強度を殆ど低下させることなく、高度の技術がなくても、汎用の旋盤等加工機器により欠けや荒れ等の不具合のない機械加工部品を製造できる等の効果がある。
(2)重合開始剤に分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネートを使用するため、前記ナイロン成形方法と同様の効果がある。
本発明の成型ナイロンは次のような効果がある。
(1)柔軟性成分が使用されていないため、本来の機械的強度が低下せず、脆さや衝撃特性が改善されており、高度な技術がなくても良好な機械加工製品を得ることが可能である。
(2)塩酸、硫酸や蟻酸等の酸類に浸漬した場合、従来のナイロンに比べ、形状を長時間保持しており、耐酸性が改良されている。従来、耐酸性に難点があることから使用が制限されていた用途、分野での利用が期待できる。
(3)乳白色であり、着色する場合、着色剤本来の色の着色が可能である。
[本発明のナイロン製造方法]
本発明のナイロン製造方法は、少なくとも、ω−ラクタム、アルカリ性重合触媒及び開始剤のトリイソシアネートを混合撹拌後、所定温度に加熱された型に注入し、型内で重合固化させて成型ナイロンを製造する方法である。
[ω−ラクタム]
本発明で使用されるω−ラクタムの具体例として、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−カプリルラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。これらのω−ラクタムは単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。好ましいω−ラクタムはε−カプロラクタム単独、あるいはε−カプロラクタムとω−ラウロラクタムとの混合物である。ω−ラクタムは、予め、減圧等の脱水処理により、含有水分量が0.2重量%以下、好ましくは、0.1重量%以下として使用される。ω−ラクタムのアルカリ重合法では、水が重合反応に悪影響を及ぼすため、ω−ラクタム等の原料中の水分だけでなく、重合作業環境の湿度も所定値以下に管理されることが好ましい。
[アルカリ性重合触媒]
本発明で使用されるアルカリ性重合触媒としては、ω−ラクタムのアルカリ重合法において使用される公知の触媒化合物を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属やこれらの水素化物、酸化物、アルキル化物、アルコキシド、グリニャール試薬、更に、前記の触媒化合物とω−ラクタムとの反応生成物、例えば、ω−ラクタムのナトリウム塩、ω−ラクタムのカリウム塩等が挙げられる。好ましいアルカリ性重合触媒はε−カプロラクタムのナトリウム塩、ε−カプロラクタムのカリウム塩である。アルカリ性重合触媒の使用量はω−ラクタム1モルに対して、0.2〜5モル%、好ましくは0.4〜2.5モル%である。アルカリ性重合触媒が、前記下限0.2モル%より少ないと重合反応速度が遅くなり、また、前記上限5モル%より多いと、ω−ラクタムとアルカリ性重合触媒との混合液中に低分子量物が生成することがあり、生成した低分子量物は、重合反応が不安定になり、重合物に悪影響を及ぼすことがあるため、好ましくない。
[開始剤の例1]
本発明で使用される開始剤のトリイソシアネートは、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートである。トリイソシアネートとしては、ジイソシアネート類の3量体がある。具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体ビウレット、例えば、化学式1で示されるデュラネートビウレット(旭化成株式会社商品名)、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート、例えば、化学式2で示されるデュラネートイソシアヌレート(旭化成株式会社商品名)、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体アダクト、例えば、化学式3で示されるデュラネートアダクト(旭化成株式会社商品名)がある。また、前記トリイソシアネートとε−カプロラクタムとの反応物も使用可能である。これらのトリイソシアネートは単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。これらの中ではヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレートやε−カプロラクタムとヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレートとの反応物が好ましく使用される。
トリイソシアネートの使用量は、アルカリ性重合触媒1モルに対して、0.1〜1モル、好ましくは、0.2〜0.75モルである。トリイソシアネートの使用量が上記上限1モルより多い場合、酸類浸漬時の状態に変化がなく、重合速度は速くならないため、多くする意味がない。又、トリイソシアネートの使用量が上記下限0.1モルより少ない場合、酸類浸漬で比較的短時間で溶解することがあり、又、重合速度が遅くなり、好ましくない。
[開始剤の例2]
本発明では、開始剤として、トリイソシアネートと分子内に2個のイソシアネート基を有する公知のジイソシアネートとを混合して使用することができる。好ましく使用できるジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートや前記ジイソシアネートとε−カプロラクタムとの反応物、例えば、ヘキサメチレン−1,6−ビスカルバミドカプロラクタム等が挙げられる。トリイソシアネートとジイソシアネートを混合使用する場合、トリイソシアネートが、イソシアネート全体の30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。トリイソシアネートの量が30重量%より少なくなると、得られるナイロンを酸類に浸漬した場合、比較的短時間で溶解することがあるので好ましくない。
[ω−ラクタムのアルカリ重合]
本発明におけるω−ラクタムのアルカリ重合は公知の方法により実施できる。以下、ω−ラクタムとして、ε−カプロラクタムを使用した例で説明する。
ε−カプロラクタムは重合に先立ち、脱水され、好ましくは、水分含量0.1重量%以下にされる。ε−カプロラクタムの脱水は、脱水できれば、脱水方法に制約はない。通常、ε−カプロラクタムを溶融後、所定時間減圧することで行われる。ε−カプロラクタム中の水分含量はカールフィシャー水分計等により測定される。
アルカリ性重合触媒は溶融したε−カプロラクタム中に上述のアルカリ性重合触媒を所定量添加、混合することで準備される。アルカリ性重合触媒をε−カプロラクタムに混合した際、副生物を生成することがある。その場合、副生物は、適宜、除去される。例えば、アルカリ性重合触媒として、アルカリ金属を使用した場合、発生する水素を除去する。アルカリ金属アルコラートを使用した場合、発生するアルコールを除去する等である。アルカリ性重合触媒が混合されたε−カプロラクタムは、80〜140℃、好ましくは、85〜125℃の温度範囲で保持される。保持温度が前記下限80℃より低い場合、重合反応速度が遅くなり好ましくない。前記上限140℃より高い場合、低分子量物が生成することがあり、低分子量物は重合反応に悪影響を及ぼすので、好ましくない。
開始剤のトリイソシアネートは、所定量を上記のアルカリ性重合触媒が混合されたε−カプロラクタム溶融液中に直接添加、混合しても良いし、また、トリイソシアネートとε−カプロラクタムとの混合液とアルカリ性重合触媒が混合されたε−カプロラクタム溶融液とを混合しても良い。この場合、使用されるε−カプロラクタムの量に応じて、アルカリ性重合触媒及びトリイソシアネートの使用量は適宜調整される。又、開始剤はトリイソシアネートとジイソシアネートを混合して使用することもできる。
[型内への注入]
ε−カプロラクタム、アルカリ性重合触媒、トリイソシアネートからなる混合物は、混合撹拌後、直ちに、所定温度に加熱された型内に注入され、型内で重合反応が進み、成型ナイロンが得られる。このように、原料のε−カプロラクタム、アルカリ性重合触媒、トリイソシアネートからなる混合物を、直接、型に注入して、型内でナイロン成形品を得る方法はε−カプロラクタムのアルカリ重合法の特徴の一つである。ε−カプロラクタムのアルカリ重合法では、水分の存在は重合反応に悪影響を及ぼすため、原料の調整、混合、型への注入等の全ての操作は、水分の影響を少なくする窒素ガス等の雰囲気下で行われることが好ましい。
[型]
本発明のナイロン製造方法に使用される型は鉄、ステンレス等の金属製型やシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂製型が使用できる。樹脂製型は大量生産には不向きであるが、型の制作日数が短く、短納期で、多品種少量生産に適している。本発明のナイロン製造方法では、シリコーン樹脂製型が好ましく使用される。
シリコーン樹脂製型としては、例えば、本件出願人が先に開発したシリコーン樹脂製成形型(特許第5747138号)を用いることができる。具体的には、シリコーン樹脂に八チタン酸カリウム繊維又は六チタン酸カリウム繊維がシリコーン樹脂に対して15〜45重量%程度、混練された混練樹脂製の成形型を用いることができる。チタン酸カリウム繊維としては、例えば、大塚化学株式会社のティスモを使用することができる。
ε−カプロラクタム、アルカリ性重合触媒、トリイソシアネートからなる混合物を型に注入する際、型は120〜200℃、好ましくは、130〜180℃の温度に加熱される。型温度が前記下限120℃より低いと、十分に重合反応が進まず、好ましくない。また、前記上限200℃より型温度が高いと得られるナイロンの重合反応時に、重合中のナイロンの一部が溶融することがあり、アルカリ重合法ナイロンの特性の低下に繋がることがある。アルカリ性重合触媒とトリイソシアネートの使用量や型温度によるが、本発明のアルカリ重合法ナイロンは、ε−カプロラクタム、アルカリ性重合触媒およびトリイソシアネートからなる混合物を型に注入してから5〜60分後、ナイロン成型品を型から取出すことができる。
[可塑剤、充填剤、染料、着色剤、酸化防止剤、シート材]
本発明のナイロン製造方法では、重合反応を阻害しない可塑剤、充填剤、染料、着色剤、酸化防止剤、シート材等を使用して、ε−カプロラクタムのアルカリ重合を実施することもできる。好ましい可塑剤としては、N−アルキルピロリドン、ジアルキルイミダゾリジノン等が挙げられる。その使用量はε−カプロラクタムに対して2〜30重量%である。
[充填剤、シート材]
充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、黒鉛、石膏、長石、雲母、カーボンブラック、二硫化モリブデン、ガラスパウダー等が挙げられる。繊維の具体例としては、ミルドグラス、ガラス繊維、繊維状マグネシウム化合物、チタン酸カリウム繊維、グラファイト繊維、ボロン繊維、炭素繊維、スチール繊維等が挙げられる。これらの充填剤や繊維の使用量は、ε−カプロラクタムに対して2〜40重量%である。
シート材としては、ガラス繊維クロス、炭素繊維クロス等がある。
以下、本発明のナイロン製造方法を、実施例、比較例を用いて説明する。
実施例、比較例で説明する曲げ強度、曲げ弾性率はASTM D−790、ノッチ付きアイゾット衝撃値はASTM D−256に準じて測定。機械加工性は旋盤の回転数、バイト形状、バイト角度等を変えて、評価した。又、耐酸性は、得た成型ナイロンを旋盤あるいはフライス盤でリボン状に削り、その0.2gを蟻酸(濃度約90%)20ccに浸漬、静置して、目視観察した。
[実施例1]
脱水して水分含量0.1重量%以下とした溶融ε−カプロラクタム500gを四ツ口フラスコに入れ、110℃の温度に調節した。このフラスコにナトリウムメチラート粉末5.0gを添加した後、ε−カプロラクタムが還流するまで減圧、副生するメタノールを除去して、ε−カプロラクタムとアルカリ性重合触媒の混合液(以下、「A成分」と記す)を作製した。別のフラスコに水分含量0.1重量%以下とした溶融ε−カプロラクタム500gを入れ、110℃の温度に調節した。このフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gを加え、撹拌混合して、ε−カプロラクタムとヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレートの混合液(以下、「B成分」と記す)を作製した。約100℃に加熱した約500ccの容器にA成分100g、B成分100gを入れ、窒素ガス雰囲気下に、素早く撹拌混合し、直ちに、150℃に加熱しているシリコーン樹脂製のASTM試験片作成用型に注入して、重合固化させた。10分後に型を開き、乳白色のASTM試験片(成型ナイロン)を取出した。得られたナイロンの曲げ強度は124Mpa、曲げ弾性率は3300Mpaであった。ノッチ付きアイゾット衝撃値は50J/mであった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1日後も、膨潤は観察されたが、形状を保持していた。
[実施例2]
実施例1と同様の方法でA成分、B成分を調整した。約100℃に加熱した約1000ccの容器にA成分300g、B成分300gを入れ、窒素ガス雰囲気下に、素早く撹拌混合後、混合液を直ちに、150℃に加熱しているシリコーン樹脂製の径100mm、高さ約70mmの円柱形状の型に注入し、重合固化させた。15分後に型から乳白色の円柱形状のナイロン成形品(成型ナイロン)を取出した。旋盤を用いて、このナイロン成型品について加工性を評価した。切削品に欠けが見られず、切削面は良好であった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1日後も、膨潤は観察されたが、形状を保持していた。
[比較例1]
実施例1において、B成分のヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gの代わりにヘキサメチレンジイソシアネート10.0gを使用した以外は実施例1と同様に実施して、ASTM試験片を得た。得たナイロンの曲げ強度は120Mpa、曲げ弾性率は3260Mpaであった。ノッチ付きアイゾット衝撃値は45J/mであった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1時間後に形状が崩れ、1時間30分後には溶解していた。
[比較例2]
実施例2において、B成分のヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gの代わりにヘキサメチレンジイソシアネート10.0gを使用した以外は実施例2と同様に実施し、円柱形状のナイロン成形品を得た。
旋盤での加工性評価で、加工条件によって、切削品に欠けが生じることがあり、切削面の一部で平滑性が悪くなることがあった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1時間後に形状が崩れ、1時間30分後には溶解していた。
[実施例3]
実施例1において、B成分のヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gの代わりにヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート17.0gとヘキサメチレンジイソシアネート5.0gを使用した以外は実施例1と同様に実施し、ASTM試験片を得た。ナイロンの曲げ強度は120Mpa、曲げ弾性率は3340Mpa、ノッチ付きアイゾット衝撃値は47J/mであった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1日後も、膨潤は観察されたが、形状を保持していた。
Figure 2019014862
Figure 2019014862
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[本発明の成型ナイロン]
本発明の成型ナイロンは、前記実施形態のいずれかで製造されたナイロンであり、少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤により型内で重合固化されたナイロンである。
本発明の他のナイロンも、前記実施形態のいずれかで製造されたナイロンであり、少なくともω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤を含んで型内で重合固化されたナイロンである。
本発明の成型ナイロンは、着色剤、可塑剤、充填剤、染料、着色剤、酸化防止剤、シート材として着色するものを使用しない場合は乳白色である。
本発明のナイロン製造方法で製造された成型ナイロンは機械的強度等に優れ、機械加工性が良いため、各種形状の自動車部品や機械部品の分野で機械加工製品として利用される。また、耐酸性が改良されているため、従来のナイロンで利用できない分野での製品展開が期待される。
本発明はω−ラクタムのアルカリ重合法によるナイロン製造方法と、機械加工性及び耐酸性の改良された成型ナイロンに関する。
ω−ラクタムをアルカリ性ラクタム重合触媒と開始剤との作用で重合させてナイロンを製造する方法は、ω−ラクタムのアルカリ重合法として知られている。この重合法で得られるナイロンは、製造法の異なる射出成形用ナイロンに比べ、引張強度、曲げ強度等の機械的強度や摺動特性、熱的性質等が優れているため、金属代替材料の一つとして、自動車部品、機械部品等の工業用材料として広く使用されている。
ω−ラクタムのアルカリ重合法で得られるナイロン(以下、「アルカリ重合法ナイロン」と記す。)は、一般的に、金属製の型に原料混合物を注入し、丸棒、板材、パイプ等の素材の形状で製造されている。その為、現在使用されているアルカリ重合法ナイロン製の各種自動車部品や機械部品等の多くは、アルカリ重合法で製造された丸棒、板材、パイプ等の素材(ナイロン素材)を機械加工して、造られている。
アルカリ重合法ナイロンは機械的強度に優れているが、硬くて脆く、衝撃強度が高くないため、旋盤やその他加工機器により、機械加工をする際、加工時に製品に欠けが生じたり、製品表面が荒れたりすることがあり、機械加工の難しい材料として知られている。その為、前記ナイロン素材の機械加工は、高度の技術が必要とされている。
従来、アルカリ重合法ナイロンの機械加工性改良に関する提案は見当たらない。アルカリ重合法ナイロンの脆さ、衝撃性を改良する方法に関しては多くの提案がされている。例えば、特開昭58−152015号公報には、分子内にポリオキシアルキレンアミン等の柔軟成分が組み込まれたアルカリ重合法ナイロンが提案されている。このナイロンは衝撃特性や脆さが改良されており、高度の加工技術がなくても、欠け等のない良好な機械加工製品の製造が容易にできる。しかし、この方法は、分子内に柔軟成分を有するため、アルカリ重合法ナイロンの機械的強度を低下させ、アルカリ重合法ナイロン本来の特長が失われるという問題があった。
特開昭58−152015号公報
本発明は、前記の問題を解決する、即ち、アルカリ重合法ナイロンの本来の優れた機械的強度を保持し、脆さ、衝撃強度等が改良され、機械加工の容易なアルカリ重合法によるナイロン製造方法と、成型ナイロンの提供を課題とする。
本発明者らはω−ラクタムのアルカリ重合法を鋭意検討した結果、開始剤として、分子内に3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート(以下、「トリイソシアネート」と記す。)を使用することにより、得られるアルカリ重合法ナイロンは、特許文献1におけるような柔軟成分を使用しなくても、脆さ、衝撃性が改良され、本来の機械的強度を殆ど低下させることなく、高度の技術がなくても、汎用の旋盤等加工機器により欠けや荒れ等の不具合のない機械加工部品を製造できることを見出し、本発明に到達した。
(アルカリ重合法によるナイロン製造方法)
本発明のアルカリ重合法によるナイロン製造方法(以下、単に「本発明のナイロン製造方法」ということもある。)は、少なくともω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒及びヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレートからなり、アルカリ性ラクタム重合触媒1モルに対して、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレート0.1〜1モルが配合された混合物(ただし、ポリオキシアルキレンポリアミンを含まない。)を撹拌後、加熱された型内に注入し、その型内で重合固化させてナイロンを得る方法である。
本発明の他のナイロン製造方法は、前記ナイロンの製造方法において、アルカリ性ラクタム重合触媒、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネートを混合撹拌後、加熱された型内に注入し、その型内で重合固化させてナイロンを得る方法である。
(成型ナイロン)
本発明の成型ナイロンは、少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒及びヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレートからなり、アルカリ性ラクタム重合触媒1モルに対して、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレート0.1〜1モルが配合された混合物(ただし、ポリオキシアルキレンポリアミンを含まない。)が型内で重合固化して成型された成型ナイロンである。
本発明の他の成型ナイロンは、前記成型ナイロンにおいて、アルカリ性ラクタム重合触媒、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネートが混合撹拌後、加熱された型内で重合固化して成型された成型ナイロンである。
従来のアルカリ重合法ナイロンを含め、ナイロンは耐酸性に劣ることが知られている。例えば、ナイロンを高濃度の塩酸、硫酸や蟻酸等の酸類に浸漬すると、短時間で溶解する。本発明のナイロン製造方法により得られる成型ナイロンは、塩酸、硫酸や蟻酸等の酸類に浸漬した場合、従来のアルカリ重合法ナイロンよりも長時間、形状を保持しており、耐酸性が改良されたナイロンとなった。このことは、本発明のナイロン製造方法により得られた成型ナイロンの分子量が非常に大きい、あるいは、架橋構造を有していることを示唆する。このことが、本発明の成型ナイロンが耐酸性だけでなく、脆さや衝撃性が改善され、機械加工時の欠けや荒れの発生等の不具合解消に関係していると考えられる。本発明の成型ナイロンの耐酸性が改良されていることは、本発明のもう一つの効果でもある。なお、本発明の成型ナイロンは明確な融点を有することから、熱可塑性ポリマーであり、架橋構造の場合は、ある程度の耐酸性に寄与する部分的なものと考えられる。
本発明のアルカリ重合法によるナイロン製造方法は次のような効果がある。
(1)開始剤として、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレートを使用するため、柔軟成分を使用しなくても、脆さ、衝撃性が改良され、本来の機械的強度を殆ど低下させることなく、高度の技術がなくても、汎用の旋盤等加工機器により欠けや荒れ等の不具合のない機械加工部品を製造できる等の効果がある。
(2)開始剤として、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネートを使用するため、前記ナイロン成形方法と同様の効果がある。
本発明の成型ナイロンは次のような効果がある。
(1)柔軟性成分が使用されていないため、本来の機械的強度が低下せず、脆さや衝撃特性が改善されており、高度な技術がなくても良好な機械加工製品を得ることが可能である。
(2)塩酸、硫酸や蟻酸等の酸類に浸漬した場合、従来のナイロンに比べ、形状を長時間保持しており、耐酸性が改良されている。従来、耐酸性に難点があることから使用が制限されていた用途、分野での利用が期待できる。
(3)乳白色であり、着色する場合、着色剤本来の色の着色が可能である。
[本発明のナイロン製造方法]
本発明のナイロン製造方法は、少なくとも、ω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒及び開始剤のヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレートを混合撹拌後、所定温度に加熱された型に注入し、型内で重合固化させて成型ナイロンを製造する方法である。
[ω−ラクタム]
本発明で使用されるω−ラクタムの具体例として、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−カプリルラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。これらのω−ラクタムは単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。好ましいω−ラクタムはε−カプロラクタム単独、あるいはε−カプロラクタムとω−ラウロラクタムとの混合物である。ω−ラクタムは、予め、減圧等の脱水処理により、含有水分量が0.2重量%以下、好ましくは、0.1重量%以下として使用される。ω−ラクタムのアルカリ重合法では、水が重合反応に悪影響を及ぼすため、ω−ラクタム等の原料中の水分だけでなく、重合作業環境の湿度も所定値以下に管理されることが好ましい。
[アルカリ性ラクタム重合触媒]
本発明で使用されるアルカリ性ラクタム重合触媒としては、ω−ラクタムのアルカリ重合法において使用される公知の触媒化合物を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属やこれらの水素化物、酸化物、アルキル化物、アルコキシド、グリニャール試薬、更に、前記の触媒化合物とω−ラクタムとの反応生成物、例えば、ω−ラクタムのナトリウム塩、ω−ラクタムのカリウム塩等が挙げられる。好ましいアルカリ性ラクタム重合触媒はε−カプロラクタムのナトリウム塩、ε−カプロラクタムのカリウム塩である。アルカリ性ラクタム重合触媒の使用量はω−ラクタム1モルに対して、0.2〜5モル%、好ましくは0.4〜2.5モル%である。アルカリ性ラクタム重合触媒が、前記下限0.2モル%より少ないと重合反応速度が遅くなり、また、前記上限5モル%より多いと、ω−ラクタムとアルカリ性ラクタム重合触媒との混合液中に低分子量物が生成することがあり、生成した低分子量物により、重合反応が不安定になり、重合物に悪影響を及ぼすことがあるため、好ましくない。
[開始剤の例1]
本発明で使用される開始剤のトリイソシアネートは、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートである。トリイソシアネートとしては、ジイソシアネート類の3量体がある。具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体ビウレット、例えば、化学式1で示されるデュラネートビウレット(旭化成株式会社商品名)、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート、例えば、化学式2で示されるデュラネートイソシアヌレート(旭化成株式会社商品名)、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体アダクト、例えば、化学式3で示されるデュラネートアダクト(旭化成株式会社商品名)がある。また、前記トリイソシアネートとε−カプロラクタムとの反応物も使用可能である。これらのトリイソシアネートは単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。これらの中ではヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレートやε−カプロラクタムとヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレートとの反応物が好ましく使用される。
トリイソシアネートの使用量は、アルカリ性ラクタム重合触媒1モルに対して、0.1〜1モル、好ましくは、0.2〜0.75モルである。トリイソシアネートの使用量が上記上限1モルより多い場合、酸類浸漬時の状態に変化がなく、重合速度は速くならないため、多くする意味がない。又、トリイソシアネートの使用量が上記下限0.1モルより少ない場合、酸類浸漬で比較的短時間で溶解することがあり、又、重合速度が遅くなり、好ましくない。
[開始剤の例2]
本発明では、開始剤として、トリイソシアネートと分子内に2個のイソシアネート基を有する公知のジイソシアネートとを混合して使用することができる。好ましく使用できるジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートや前記ジイソシアネートとε−カプロラクタムとの反応物、例えば、ヘキサメチレン−1,6−ビスカルバミドカプロラクタム等が挙げられる。トリイソシアネートとジイソシアネートを混合使用する場合、トリイソシアネートが、イソシアネート全体の30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。トリイソシアネートの量が30重量%より少なくなると、得られるナイロンを酸類に浸漬した場合、比較的短時間で溶解することがあるので好ましくない。
[ω−ラクタムのアルカリ重合]
本発明におけるω−ラクタムのアルカリ重合は公知の方法により実施できる。以下、ω−ラクタムとして、ε−カプロラクタムを使用した例で説明する。
ε−カプロラクタムは重合に先立ち、脱水され、好ましくは、水分含量0.1重量%以下にされる。ε−カプロラクタムの脱水は、脱水できれば、脱水方法に制約はない。通常、ε−カプロラクタムを溶融後、所定時間減圧することで行われる。ε−カプロラクタム中の水分含量はカールフィシャー水分計等により測定される。
アルカリ性ラクタム重合触媒は溶融したε−カプロラクタム中に上述のアルカリ性ラクタム重合触媒を所定量添加、混合することで準備される。アルカリ性ラクタム重合触媒をε−カプロラクタムに混合した際、副生物を生成することがある。その場合、副生物は、適宜、除去される。例えば、アルカリ性ラクタム重合触媒として、アルカリ金属を使用した場合、発生する水素を除去する。アルカリ金属アルコラートを使用した場合、発生するアルコールを除去する等である。アルカリ性ラクタム重合触媒が混合されたε−カプロラクタムは、80〜140℃、好ましくは、85〜125℃の温度範囲で保持される。保持温度が前記下限80℃より低い場合、重合反応速度が遅くなり好ましくない。前記上限140℃より高い場合、低分子量物が生成することがあり、低分子量物は重合反応に悪影響を及ぼすので、好ましくない。
開始剤のトリイソシアネートは、所定量を上記のアルカリ性ラクタム重合触媒が混合されたε−カプロラクタム溶融液中に直接添加、混合しても良いし、また、トリイソシアネートとε−カプロラクタムとの混合液とアルカリ性ラクタム重合触媒が混合されたε−カプロラクタム溶融液とを混合しても良い。この場合、使用されるε−カプロラクタムの量に応じて、アルカリ性ラクタム重合触媒及びトリイソシアネートの使用量は適宜調整される。又、開始剤はトリイソシアネートとジイソシアネートを混合して使用することもできる。
[型内への注入]
ε−カプロラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒、トリイソシアネートからなる混合物は、混合撹拌後、直ちに、所定温度に加熱された型内に注入され、型内で重合反応が進み、成型ナイロンが得られる。このように、原料のε−カプロラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒、トリイソシアネートからなる混合物を、直接、型に注入して、型内でナイロン成形品を得る方法はε−カプロラクタムのアルカリ重合法の特徴の一つである。ε−カプロラクタムのアルカリ重合法では、水分の存在は重合反応に悪影響を及ぼすため、原料の調整、混合、型への注入等の全ての操作は、水分の影響を少なくする窒素ガス等の雰囲気下で行われることが好ましい。
[型]
本発明のナイロン製造方法に使用される型は鉄、ステンレス等の金属製型やシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂製型が使用できる。樹脂製型は大量生産には不向きであるが、型の制作日数が短く、短納期で、多品種少量生産に適している。本発明のナイロン製造方法では、シリコーン樹脂製型が好ましく使用される。
シリコーン樹脂製型としては、例えば、本件出願人が先に開発したシリコーン樹脂製成形型(特許第5747138号)を用いることができる。具体的には、シリコーン樹脂に八チタン酸カリウム繊維又は六チタン酸カリウム繊維がシリコーン樹脂に対して15〜45重量%程度、混練された混練樹脂製の成形型を用いることができる。チタン酸カリウム繊維としては、例えば、大塚化学株式会社のティスモを使用することができる。
ε−カプロラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒、トリイソシアネートからなる混合物を型に注入する際、型は120〜200℃、好ましくは、130〜180℃の温度に加熱される。型温度が前記下限120℃より低いと、十分に重合反応が進まず、好ましくない。また、前記上限200℃より型温度が高いと得られるナイロンの重合反応時に、重合中のナイロンの一部が溶融することがあり、アルカリ重合法ナイロンの特性の低下に繋がることがある。アルカリ性ラクタム重合触媒とトリイソシアネートの使用量や型温度によるが、本発明のアルカリ重合法ナイロンは、ε−カプロラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒およびトリイソシアネートからなる混合物を型に注入してから5〜60分後、ナイロン成型品を型から取出すことができる。
[可塑剤、充填剤、染料、着色剤、酸化防止剤、シート材]
本発明のナイロン製造方法では、重合反応を阻害しない可塑剤、充填剤、染料、着色剤、酸化防止剤、シート材等を使用して、ε−カプロラクタムのアルカリ重合を実施することもできる。好ましい可塑剤としては、N−アルキルピロリドン、ジアルキルイミダゾリジノン等が挙げられる。その使用量はε−カプロラクタムに対して2〜30重量%である。
[充填剤、シート材]
充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、黒鉛、石膏、長石、雲母、カーボンブラック、二硫化モリブデン、ガラスパウダー等が挙げられる。繊維の具体例としては、ミルドグラス、ガラス繊維、繊維状マグネシウム化合物、チタン酸カリウム繊維、グラファイト繊維、ボロン繊維、炭素繊維、スチール繊維等が挙げられる。これらの充填剤や繊維の使用量は、ε−カプロラクタムに対して2〜40重量%である。シート材としては、ガラス繊維クロス、炭素繊維クロス等がある。
以下、本発明のナイロン製造方法を、実施例、比較例を用いて説明する。
実施例、比較例で説明する曲げ強度、曲げ弾性率はASTM D−790、ノッチ付きアイゾット衝撃値はASTM D−256に準じて測定。機械加工性は旋盤の回転数、バイト形状、バイト角度等を変えて、評価した。又、耐酸性は、得た成型ナイロンを旋盤あるいはフライス盤でリボン状に削り、その0.2gを蟻酸(濃度約90%)20ccに浸漬、静置して、目視観察した。
[実施例1]
脱水して水分含量0.1重量%以下とした溶融ε−カプロラクタム500gを四ツ口フラスコに入れ、110℃の温度に調節した。このフラスコにナトリウムメチラート粉末5.0gを添加した後、ε−カプロラクタムが還流するまで減圧、副生するメタノールを除去して、ε−カプロラクタムとアルカリ性ラクタム重合触媒の混合液(以下、「A成分」と記す)を作製した。別のフラスコに水分含量0.1重量%以下とした溶融ε−カプロラクタム500gを入れ、110℃の温度に調節した。このフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gを加え、撹拌混合して、ε−カプロラクタムとヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレートの混合液(以下、「B成分」と記す)を作製した。約100℃に加熱した約500ccの容器にA成分100g、B成分100gを入れ、窒素ガス雰囲気下に、素早く撹拌混合し、直ちに、150℃に加熱しているシリコーン樹脂製のASTM試験片作成用型に注入して、重合固化させた。10分後に型を開き、乳白色のASTM試験片(成型ナイロン)を取出した。得られたナイロンの曲げ強度は124Ma、曲げ弾性率は3300Maであった。ノッチ付きアイゾット衝撃値は50J/mであった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1日後も、膨潤は観察されたが、形状を保持していた。
[実施例2]
実施例1と同様の方法でA成分、B成分を調整した。約100℃に加熱した約1000ccの容器にA成分300g、B成分300gを入れ、窒素ガス雰囲気下に、素早く撹拌混合後、混合液を直ちに、150℃に加熱しているシリコーン樹脂製の径100mm、高さ約70mmの円柱形状の型に注入し、重合固化させた。15分後に型から乳白色の円柱形状のナイロン成形品(成型ナイロン)を取出した。旋盤を用いて、このナイロン成型品について加工性を評価した。切削品に欠けが見られず、切削面は良好であった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1日後も、膨潤は観察されたが、形状を保持していた。
[比較例1]
実施例1において、B成分のヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gの代わりにヘキサメチレンジイソシアネート10.0gを使用した以外は実施例1と同様に実施して、ASTM試験片を得た。得たナイロンの曲げ強度は120Ma、曲げ弾性率は3260Maであった。ノッチ付きアイゾット衝撃値は45J/mであった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1時間後に形状が崩れ、1時間30分後には溶解していた。
[比較例2]
実施例2において、B成分のヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gの代わりにヘキサメチレンジイソシアネート10.0gを使用した以外は実施例2と同様に実施し、円柱形状のナイロン成形品を得た。
旋盤での加工性評価で、加工条件によって、切削品に欠けが生じることがあり、切削面の一部で平滑性が悪くなることがあった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1時間後に形状が崩れ、1時間30分後には溶解していた。
[実施例3]
実施例1において、B成分のヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート20.0gの代わりにヘキサメチレンジイソシアネート3量体イソシアヌレート17.0gとヘキサメチレンジイソシアネート5.0gを使用した以外は実施例1と同様に実施し、ASTM試験片を得た。ナイロンの曲げ強度は120Ma、曲げ弾性率は3340Ma、ノッチ付きアイゾット衝撃値は47J/mであった。また、蟻酸に浸漬したサンプルは1日後も、膨潤は観察されたが、形状を保持していた。
Figure 2019014862
Figure 2019014862
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[本発明の成型ナイロン]
本発明の成型ナイロンは、前記実施形態のいずれかで製造されたナイロンであり、少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤により型内で重合固化されたナイロンである。
本発明の他のナイロンも、前記実施形態のいずれかで製造されたナイロンであり、少なくともω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤を含んで型内で重合固化されたナイロンである。
本発明の成型ナイロンは、着色剤、可塑剤、充填剤、染料、着色剤、酸化防止剤、シート材として着色するものを使用しない場合は乳白色である。
本発明のナイロン製造方法で製造された成型ナイロンは機械的強度等に優れ、機械加工性が良いため、各種形状の自動車部品や機械部品の分野で機械加工製品として利用される。また、耐酸性が改良されているため、従来のナイロンで利用できない分野での製品展開が期待される。

Claims (8)

  1. ナイロンの製造方法において、
    少なくともω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートを混合撹拌後、加熱された型内に注入し、型内で重合固化させてナイロンを製造する、
    ことを特徴とするアルカリ重合法によるナイロン製造方法。
  2. ナイロンの製造方法において、
    少なくともω−ラクタム、アルカリ性ラクタム重合触媒、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネートを混合撹拌後、加熱された型内に注入し、型内で重合固化させてナイロンを製造する、
    ことを特徴とするアルカリ重合法によるナイロン製造方法。
  3. 請求項2記載のアルカリ重合法によるナイロン製造方法において、
    分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートが、イソシアネート化合物全体の30重量%以上使用される、
    ことを特徴とするアルカリ重合法によるナイロン製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルカリ重合法によるナイロン製造方法において、
    分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体ビウレット、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体アダクト、である、
    ことを特徴とするアルカリ重合法によるナイロン製造方法。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルカリ重合法によるナイロン製造方法において、
    分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体イソシアヌレートである、
    ことを特徴とするアルカリ重合法によるナイロン製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルカリ重合法によるナイロン製造方法において、
    使用される型がシリコーン樹脂製型である、
    ことを特徴とするアルカリ重合法によるナイロン製造方法。
  7. 少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒及び分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤により重合固化された、
    ことを特徴とする成型ナイロン。
  8. 少なくともω−ラクタムが、アルカリ性ラクタム重合触媒、分子内に3個のイソシアネート基を有するイソシアネート及び分子内に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート開始剤により重合固化された、
    ことを特徴とする成型ナイロン。
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