JP2019014228A - 溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法 - Google Patents

溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019014228A
JP2019014228A JP2018059109A JP2018059109A JP2019014228A JP 2019014228 A JP2019014228 A JP 2019014228A JP 2018059109 A JP2018059109 A JP 2018059109A JP 2018059109 A JP2018059109 A JP 2018059109A JP 2019014228 A JP2019014228 A JP 2019014228A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
hollow molded
molded product
welded portion
molded article
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018059109A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7063046B2 (ja
Inventor
翔太 鈴木
Shota Suzuki
翔太 鈴木
伸一郎 落合
Shinichiro Ochiai
伸一郎 落合
定之 小林
Sadayuki Kobayashi
定之 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2019014228A publication Critical patent/JP2019014228A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7063046B2 publication Critical patent/JP7063046B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部の亀裂の発生が抑制される樹脂からなる中空成形品の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合して中空成形品を形成する工程、およびフランジおよび/または前記中空成形品を形成する工程で生じたバリを除去する加工工程をこの順に有し、前記フランジおよび/またはバリを除去する加工工程における加工箇所が100℃以下で加工することを特徴とする溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部での亀裂の発生を抑制できる、溶着部を有する樹脂からなる中空成形品を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法に関するものである。更に詳しくは、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部での亀裂の発生を抑制できる、樹脂からなる中空成形品の製造方法に関するものである。
近年、石油燃料の枯渇や、有害ガス排出量の削減の要請に対応するために、水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させて発電する燃料電池を自動車に搭載し、燃料電池が発電した電気をモータに供給して駆動力とする燃料電池電気自動車が注目されてきている。そして、自動車搭載用の高圧水素用タンクとして、樹脂製のライナーの外側を炭素繊維強化樹脂で補強してなる樹脂製タンクが検討されている。この樹脂製のライナーは、例えば2つ以上の分割体を接合することにより形成することができる。
水素タンクライナーとして、成形品を構成する2つ以上の分割体を単層射出成形によって形成し、これらを相互に接合することによって形成する水素タンクライナーが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
また、少なくとも2つの分割体の両溶着端部の間の隙間を無くすように接合する高圧タンク用ライナーの製造装置および製造方法が検討されている(例えば、特許文献2参照)
特開2009−191871号公報 特開2011−240669号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2の方法によるタンクライナーの製造方法では、接合し中空成形品とした際に、フランジおよび/またはバリが残った状態でその中空成形品の外側を炭素繊維強化樹脂で補強を行うと、補強効果が十分に得られない課題があった。そこで、このフランジおよび/またはバリを除去するために加工を行うが、加工時の発熱が大きく、加工箇所の温度が高くなると、加工後に得られた中空成形品をライナーとして高圧水素タンクを作成し、当該高圧水素タンクに対し高圧水素の充填および放圧を繰り返すと、溶着部から亀裂が生じる課題があった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部の亀裂の発生が抑制される、樹脂からなる中空成形品の製造方法を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合して中空成形品を形成する工程、およびフランジおよび/または前記中空成形品を形成する工程で生じたバリを除去する加工工程をこの順に有し、前記フランジおよび/または前記中空成形品を形成する工程で生じたバリを除去する加工工程における加工箇所が100℃以下で加工することを特徴とする溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。
本発明の溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法によれば、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部の亀裂の発生が抑制される樹脂からなる中空成形品を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合して中空成形品を形成する工程、およびフランジおよび/または前記中空成形品を形成する工程で生じたバリを除去する加工工程をこの順に有し、前記フランジおよび/または前記中空成形品を形成する工程で生じたバリを除去する加工工程での加工箇所が100℃以下であることを特徴とする、溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法である。
本発明の樹脂からなる中空成形品を構成する2つ以上の分割体を成形する工程としては、例えば、ブロー成形、押出成形、射出成形、圧縮成形等が挙げられる。中でも寸法精度に優れることから押出成形、射出成形が好ましい。
得られた樹脂からなる中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合することによって中空成形品を得ることができる。例えば、円筒形状の中空成形品を形成する場合は、中空成形品を円筒の高さに対し垂直方向に半分に縦割りにした形状の成形体2つを溶着により接合することによって中空成形品を形成する方法、中空成形品を円筒の高さに対し水平方向に半分に横割りにした形状の成形体2つを溶着により接合することによって中空成形品を形成する方法、中空成形品の両端部をふさぐ、半円状、楕円状などの形状をしている鏡板2つと、筒状の胴部を溶着により接合することによって中空成形品を形成する方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
溶着としては、熱板溶着、赤外線溶着、赤外線にて溶着部を温めた後に振動溶着を行う赤外線/振動溶着等が挙げられる。中でも赤外線溶着、赤外線/振動溶着が好ましい。一方、超音波溶着は名刺サイズ程度以上の大きさである中空成形品には不向きであり、レーザー溶着、振動溶着、スピン溶着では溶着部の強度が不十分となり、中空成形品に対し高圧水素の充填および放圧を繰り返すと、溶着部で亀裂が発生しやすい。
樹脂からなる中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合する際に、加圧や振動を加えるため、分割体にフランジを設ける場合がある。
また、溶着工程により、中空成形品にはバリが発生する。ここで、バリとは溶着工程により、中空成形品からはみ出した樹脂のことである。
得られた中空成形品のフランジおよび/またはバリを除去する加工工程としては、例えば、切削加工、研削加工が挙げられる。中でも、加工時の発熱を抑えやすい点から、切削加工が好ましい。
本発明において切削加工とは、切削工具であるバイトやフライス工具などを使用し、フランジおよび/またはバリを除去する加工方法であり、研削加工とは、研削工具である研削砥石や超砥粒ホイールなどを用いて、フランジおよび/またはバリを除去する加工方法である。
本発明において、フランジおよび/またはバリを除去する加工工程における加工箇所は100℃以下で加工する。加工箇所を100℃以下に制御することで、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部の亀裂の発生を抑制した中空成形品を得ることができる。ここで、加工箇所の温度は、加工工程中の樹脂からなる中空成形品の加工箇所を放射温度計で測定を行うことで確認することができる。加工箇所の温度が100℃を超える状態で加工すると、加工後に得られた中空成形品をライナーとして高圧水素タンクを作成し、当該高圧水素タンクに対し高圧水素の充填および放圧を繰り返すと、溶着部から亀裂が生じるため、100℃以下で加工することが必要である。加工箇所の温度は、樹脂への影響を考慮すると低い方が好ましいが、加工箇所の温度を下げるための冷却設備が複雑化したり、加工時間が長くなることからその下限値は0℃程度が好ましい。
かかる加工箇所を100℃以下とする方法に特に制限はないが、切削時に加工箇所にエアーを吹き付けて冷却する方法、オイルを吹き付けて冷却する方法、単位時間当たりの加工量を減らす方法などが挙げられる。
フランジおよび/またはバリの加工後の凸部の高さは1mm以下であることが、中空成形品の外側を炭素繊維強化樹脂で補強を行う際に、補強効果が十分に得られることから好ましい。
本発明における樹脂とは、中空成形品を成形可能な樹脂であればよい。樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ゴム質重合体、ポリアルキレンオキサイド樹脂等から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂である。
中でも、より高圧の水素の充填、放圧を繰り返しても溶着部での亀裂の発生が抑制されることからポリアミド樹脂が好ましい。
本発明においてポリアミド樹脂は、アミド結合を有する樹脂のことであり、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸とを主たる原料とするものである。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを各々単独でまたは混合物の形で用いることができる。 かかるポリアミド樹脂を2種以上配合してもよい。
本発明において、特に有用なポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド66/6I/6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ポリアミド6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/M5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/5T)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
とりわけ好ましいものとしては、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド610樹脂、ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂、ポリアミド6/66コポリマー、ポリアミド6/12コポリマーなどの例を挙げることができる。特に好ましいものとしては、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド610樹脂を挙げることができる。更にこれらのポリアミド樹脂を混合物として用いることも実用上好適である。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がなく、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜7.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、成形時のポリアミド樹脂の溶融粘度が適度に高くなり、成形時の空気の巻き込みを抑制し、成形性をより向上させることができる。相対粘度は1.8以上がより好ましい。一方、相対粘度が7.0以下であれば、ポリアミド樹脂の成形時の溶融粘度が適度に低くなり、成形性をより向上させることができる。
ポリアミド樹脂のアミノ末端基量には特に制限がないが、1.0×10−5〜10.0×10−5mol/gの範囲であることが好ましい。アミノ末端基量が1.0×10−5〜10.0×10−5mol/gの範囲であれば、十分な重合度が得られ、成形品の機械強度を向上させることができる。ここで、ポリアミド樹脂のアミノ末端基量は、ポリアミド樹脂を、フェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5(体積比))に溶解し、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
本発明の中空成形品を形成する樹脂は、樹脂以外のその他の成分を含んでいてもよい。本発明の中空成形品を形成する樹脂に含まれるその他の成分としては、各種添加剤類、充填材等が挙げられる。樹脂にその他の成分が含まれる場合、樹脂およびその他の成分を含むものを樹脂組成物と呼ぶこともあり、本発明の中空成形品は樹脂組成物からなるものであってもよい。
本発明において各種添加剤類としては、例えば、有機核剤、無機核剤などの結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、銅化合物、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤、などが挙げられる。
本発明において充填材としては、繊維状充填材であっても非繊維状充填材であってもよく、繊維状充填材と非繊維状充填材を組み合わせて用いてもよい。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。非繊維状充填材としては、例えば、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩;アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などが挙げられる。これらは中空であってもよい。また、これら繊維状および/または非繊維状充填材を、カップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械特性を得る意味において好ましい。カップリング剤としては、例えば、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
本発明の樹脂からなる中空成形品は、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部での亀裂の発生が抑制される優れた特徴を活かして、溶着部を有する高圧水素に触れる樹脂からなる中空成形品に用いることができる。ここでいう溶着部を有する高圧水素に触れる樹脂からなる中空成形品とは、常圧以上の圧力の水素に触れる溶着部を有する、樹脂からなる中空成形品である。本発明の樹脂からなる中空成形品は、高圧水素の充填および放圧を繰り返したときの溶着部の亀裂の発生を抑制する効果を奏することから、圧力20MPa以上の水素に触れる溶着部を有する中空成形品用途に好ましく用いられ、30MPa以上の水素に触れる溶着部を有する中空成形品用途により好ましく用いられる。使用圧力の上限については、圧力200MPa以下の水素に触れる溶着部を有する中空成形品用途に好ましく用いられ、150MPa以下の水素に触れる溶着部を有する中空成形品用途により好ましく用いられ、100MPa以下の水素に触れる溶着部を有する中空成形品用途にさらに好ましく用いられる。高圧水素に触れる溶着部を有する樹脂からなる中空成形品としては、例えば、高圧水素用タンク、高圧水素用タンクライナー等が挙げられる。中でも、高圧水素用タンクライナーに好ましく使用することができる。
特に好ましい態様は、樹脂製ライナーの外側を炭素繊維強化樹脂で補強してなる高圧水素用タンクの樹脂製ライナーとして、本発明の溶着部を有する樹脂からなる中空成形品を使用する態様である。すなわち、本発明の高圧水素用タンクは、本発明のタンクライナーの表層に、炭素繊維強化樹脂(CFRP)補強層が積層されてなる、高圧水素用タンクである。
タンクライナーの表層に、CFRP補強層を積層していることにより、高圧に耐えうる強度や弾性率を発現させることができるので好ましい。CFRP補強層は、炭素繊維とマトリクス樹脂により構成される。炭素繊維としては、曲げ特性および強度の観点から、炭素繊維単体の引張弾性率が50〜700GPaのものが好ましく、比剛性の観点をも考慮すると、200〜700GPaのものがより好ましく、コストパフォーマンスの観点をも考慮すると200〜450GPaのものが最も好ましい。また、炭素繊維単体の引張強さは、1500〜7000MPaが好ましく、比強度の観点から、3000〜7000MPaが好ましい。また、炭素繊維の密度は、1.60〜3.00g/cmが好ましく、軽量化の観点から1.70〜2.00g/cmがより好ましく、コストパフォーマンスの面より1.70〜1.90g/cmが最も好ましい。さらに、炭素繊維の繊維径は、一本当たり5〜30μmが好ましく、取り扱い性の観点から5〜20μmがより好ましく、さらに軽量化の観点から、5〜10μmが最も好ましい。炭素繊維を単体で用いてもよいし、炭素繊維以外の強化繊維を組み合わせて用いてもよい。炭素繊維以外の強化繊維としては、ガラス繊維やアラミド繊維などが挙げられる。また、炭素繊維とマトリックス樹脂の割合を炭素繊維強化樹脂補強層材料中の炭素繊維の体積分率Vfで規定すると、剛性の観点からVfは20〜80%が好ましく、生産性や要求剛性の観点からVfが40〜80%であることが好ましい。
CFRP補強層を構成するマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂であっても熱可塑性樹脂であってもよい。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、その主材は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを例示することができる。これらの1種類だけを使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。エポキシ樹脂が特に好ましい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、イソシアネート変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂などがあげられる。熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂に採用する場合、熱硬化性樹脂成分に適切な硬化剤や反応促進剤を添加することが可能である。
マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂の場合、その主材は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、PPS樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂などが例示できる。これら熱可塑性樹脂は、単独でも、2種類以上の混合物でも、共重合体でも良い。混合物の場合には相溶化剤を併用しても良い。また、難燃剤として臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、赤燐などを加えても良い。
CFRP補強層を高圧水素用タンクライナーの表層に積層する方法としては、公知のフィラメントワインディング(以下FW)法、テープワインディング(以下TW)法、シートワインディング(以下SW)法、ハンドレイアップ法、RTM(Resin Transfer Molding)法などを例示することができる。これら成形法のうち、単一の方法のみで成形してもよいし、2種類以上の成形法を組み合わせて成形しても良い。特性の発現性や生産性および成形性の観点から、FW法、TW法およびSW法から選ばれた方法が好ましい。これらFW法、SW法およびTW法は、基本的には、ストランド状の炭素繊維にマトリックス樹脂を付与してライナーに積層するという観点では、同一の成形法であり、炭素繊維をライナーに対して、フィラメント(糸)形態、テープ(糸をある程度束ねたテープ状)形態およびシート(テープをある程度束ねたシート状)形態のいずれの形態で巻き付けるかによって名称が異なる。ここでは、最も基本的なFW法に関して詳細を説明するが、TW法やSW法にも適用できる内容である。
FW法において、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、あらかじめ樹脂を塗布した状態(未硬化)の炭素繊維を直接ライナーに巻き付けることも可能であるし、ライナーに巻き付ける直前に炭素繊維に樹脂を塗布することも可能である。これらの場合、ライナーに炭素繊維および未硬化のマトリックス樹脂を巻き付けた後、樹脂を硬化させるためにバッチ炉(オーブン)や連続硬化炉などで使用樹脂に適した条件での樹脂硬化処理を行う必要がある。
FW法において、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂の場合、あらかじめ樹脂が塗布(含浸)された炭素繊維を直接ライナーに巻き付けて高圧水素用タンク形状とすることが可能である。この場合、ライナーに巻き付ける直前に、樹脂が塗布された炭素繊維を、熱可塑性樹脂の融点以上に昇温することが必要である。また、ライナーに巻き付ける直前に、炭素繊維に溶融させた熱可塑性樹脂を塗布することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂に適用したような樹脂硬化工程は不要である。
前記FW法、TW法、SW法などで本発明の高圧水素用タンクを得る場合、最も重要なことは、炭素繊維の繊維配向設計である。FW法、TW法およびSW法では、炭素繊維ストランド(連続繊維)や予め炭素繊維ストランドに樹脂を含浸させたプリプレグなどを、ライナーに巻き付けて成形する。設計時にはライナー胴部における連続繊維方向と積層厚みを設計ファクターとして、要求特性を満足する剛性および強度を満足するように設計することが好ましい。
また、高圧水素用タンクとしては、バルブがインサート成形またはOリングにより固定されたタンクライナーが好ましい。バルブをインサート成形またはOリングにより固定することにより、高圧水素の気密性が高まるので好ましい。ここでバルブは、高圧水素の充填口や放出口の役割を成す。バルブとして使用される金属部品の材質としては、炭素鋼、マンガン鋼、クロムモリブデン鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等を例示できる。炭素鋼として、圧力配管用炭素鋼鋼管、高圧配管用炭素鋼鋼管、低温配管用鋼管、機械構造用炭素鋼鋼材を例示できる。マンガン鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用マンガン鋼鋼材、マンガンクロム鋼鋼材を例示できる。クロムモリブデン鋼や低合金鋼では、高圧ガス容器用継目無鋼管、機械構造用合金鋼鋼管、ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、クロムモリブデン鋼材を例示できる。ステンレス鋼では、圧力用ステンレス鋼鍛鋼品、配管用ステンレス鋼管、ステンレス鋼棒、熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯、冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯を例示できる。アルミニウム合金では、アルミニウムおよびアルミニウム合金の板、条、棒、線、継目無管、鍛造品を例示できる。また、炭素鋼に対しては、焼きなまし、焼きならし、マンガン鋼に対しては、焼きならし、焼き入れ焼きもどし、クロムモリブデン鋼や低合金鋼に対しては、焼き入れ焼きもどし、ステンレス鋼に対しては固溶化処理、アルミニウム合金に対しては、焼き入れ焼きもどしを施した材料を適用しても良い。さらに、アルミニウム合金に対しては、溶体化処理およびT6時効処理を施したものを適用してもよい。
本発明の製造方法により得られる中空成形品を用いた高圧水素用タンクの最も好ましい態様は、本発明の溶着部を有する樹脂からなるタンクライナーの表層に、CFRP補強層が積層されてなり、かつ該タンクライナーにバルブがインサート成形またはOリングにより固定されてなる、高圧水素用タンクである。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。各実施例および比較例における評価は、次の方法で行った。
(1)高圧水素の充填および放圧繰り返し特性(溶着部の亀裂)
各実施例および比較例により得られた中空成形品について、X線CT解析を行い、溶着部の亀裂の有無を観察した。亀裂のない中空成形品をオートクレーブに入れた後、オートクレーブ中に水素ガスを圧力30MPaまで3分間かけて注入し、2時間保持した後、1分間かけて常圧になるまで減圧した。これを1サイクルとして700サイクル繰り返した。700サイクル繰り返し後の中空成形品について、X線CT解析を行い、溶着部の1mm以上の亀裂の有無を観察した。
各実施例および比較例に用いた原料と略号を以下に示す。
PA6:ポリアミド6樹脂(融点223℃、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中25℃における相対粘度2.70)
PA610:ポリアミド610樹脂(融点226℃、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中25℃における相対粘度3.50)
アミド系ワックス:エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物「“ライトアマイド ”WH−255」(共栄社化学(株)製、融点255℃)
耐衝撃材:無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体「“タフマー”(登録商標)MH7020」(三井化学(株)製)。
[実施例1、5〜9]
表1記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径500mm、高さ400mm、厚み3mm、フランジ部8mmの円筒状成形品を射出成形した。得られた円筒状成形品を2個用いて、フランジ部を平行になる様に配置し、フランジ部を60秒間赤外線にて加熱した後、溶け込み量が2mmになるよう振動して溶着(赤外線/振動溶着)を行い、溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品のフランジ部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、加工箇所にエアーを噴き付けながらフライスにて切削加工を5分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、実施例1は39℃、実施例5は40℃、実施例6は40℃、実施例7は40℃、実施例8は37℃、実施例9は37℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
[実施例2]
表1記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径500mm、高さ400mm、厚み3mm、フランジ部8mmの円筒状成形品を射出成形した。得られた円筒状成形品を2個用いて、フランジ部を平行になる様に配置し、フランジ部を90秒間赤外線にて加熱した後、溶け込み量が2mmになるよう加圧して溶着(赤外線溶着)を行い、溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品のフランジ部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、加工箇所にエアーを噴き付けながらフライスにて切削加工を5分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、40℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
[実施例3]
表1記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径500mm、高さ400mm、厚み3mm、フランジ部8mmの円筒状成形品を射出成形した。得られた円筒状成形品を2個用いて、フランジ部を平行になる様に配置し、熱板温度280℃の熱板でフランジ部を加熱した後、溶け込み量が2mmになるよう加圧して溶着(熱板溶着)を行い、溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品のフランジ部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、加工箇所にエアーを噴き付けながらフライスにて切削加工を5分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、40℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
[実施例4]
表1記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径500mm、高さ400mm、厚み3mm、フランジ部8mmの円筒状成形品を射出成形した。得られた円筒状成形品を2個用いて、フランジ部を平行になる様に配置し、フランジ部を60秒間赤外線にて加熱した後、溶け込み量が2mmになるよう振動して溶着(赤外線/振動溶着)を行い、溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品のフランジ部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、加工箇所にエアーを噴き付けながら砥石スピンドルにて研削加工を5分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、85℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
[実施例10、12,13]
表2記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径150mm、高さ100mm、厚み3mmの円筒状成形品を射出成形した。さらに得られたペレットを用いてシリンダー温度:250℃で押出成形を行い、寸法安定のためのサイジングダイにより冷却を行った後引き取りを行い、直径150mm、長さ500mm、厚み3mmの円筒状成形品を得た。射出成形により得られた円筒状成形品(以下、射出成形品という)を2個、押出成形により得られた円筒状成形品(以下、押出成形品という)を1個用いて、射出成形品の端部と押出成形品の端部とが平行になる様に、押出成形品の両端に射出成形品を配置し、溶け込み量が2mmになるよう加圧して溶着(赤外線溶着)を行い、二ヶ所の溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品の溶着部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、加工箇所にエアーを噴き付けながらフライスにて切削加工を一ヶ所につき2分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、実施例10は40℃、実施例12は40℃、実施例13は38℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表2に記載した。
[実施例11]
表2記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径150mm、高さ100mm、厚み3mmの円筒状成形品を射出成形した。さらに得られたペレットを用いてシリンダー温度:250℃で押出成形を行い、寸法安定のためのサイジングダイにより冷却を行った後引き取りを行い、直径150mm、長さ500mm、厚み3mmの円筒状成形品を得た。射出成形により得られた円筒状成形品(以下、射出成形品という)を2個、押出成形により得られた円筒状成形品(以下、押出成形品という)を1個用いて、射出成形品の端部と押出成形品の端部とが平行になる様に、押出成形品の両端に射出成形品を配置し、熱板温度280℃の熱板でフランジ部を加熱した後、溶け込み量が2mmになるよう加圧して溶着(熱板溶着)を行い、二ヶ所の溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品の溶着部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、加工箇所にエアーを噴き付けながらフライスにて切削加工を一ヶ所につき2分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、実施例11は40℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表2に記載した。
[比較例1]
表2記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径500mm、高さ400mm、厚み3mm、フランジ部8mmの円筒状成形品を射出成形した。得られた円筒状成形品を2個用いて、フランジ部を平行になる様に配置し、フランジ部を60秒間赤外線にて加熱した後、溶け込み量が2mmになるよう振動して溶着(赤外線/振動溶着)を行い、溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品のフランジ部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、フライスにて切削加工を5分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、130℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表2に記載した。
[比較例2]
表2記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを1つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を150rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30α−35BW−7V)(L/D=45(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さであり、Dはスクリューの直径である。))に供給して溶融混練した。20kg/hの速度でダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを、真空乾燥機で、温度80℃、12時間真空乾燥し、乾燥後ペレットを得た。得られたペレットから、型締め力1000tの射出成形機を用いて、シリンダー温度:250℃、射出速度60mm/秒、冷却時間150秒、保圧20MPa、保圧時間10秒で、直径500mm、高さ400mm、厚み3mm、フランジ部8mmの円筒状成形品を射出成形した。得られた円筒状成形品を2個用いて、フランジ部を平行になる様に配置し、フランジ部を60秒間赤外線にて加熱した後、溶け込み量が2mmになるよう振動して溶着(赤外線/振動溶着)を行い、溶着部を有する中空成形品を得た。得られた中空成形品のフランジ部を3.3mmまでコンピューター数値制御(CNC)工作機械を用いて、砥石スピンドルにて研削加工を5分間で行った。切削加工時の加工箇所の温度をミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計「温度計505」を用いて測定した結果、152℃であった。この際、放射率εは、0.95を用いた。 得られた中空成形品を用いて、前述の方法により評価した結果を表2に記載した。
Figure 2019014228
Figure 2019014228
以上の結果から、少なくとも、中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合して中空成形品を形成する工程、フランジおよび/またはバリを除去する加工工程を有し、フランジおよび/またはバリを除去する加工工程での加工箇所を100℃以下に制御することで、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部での亀裂の発生を抑制できる中空成形品を初めて得ることができることがわかった。
本発明の製造方法は、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても溶着部での亀裂の発生を抑制できる、溶着部を有する樹脂からなる中空成形品を得られることから極めて有用である。

Claims (6)

  1. 中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合して中空成形品を形成する工程、およびフランジおよび/または前記中空成形品を形成する工程で生じたバリを除去する加工工程をこの順に有し、前記フランジおよび/またはバリを除去する加工工程における加工箇所が100℃以下で加工することを特徴とする溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。
  2. 前記中空成形品が、高圧水素に触れる中空成形品であることを特徴とする請求項1に記載の溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。
  3. 前記樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。
  4. 前記中空成形品を構成する2つ以上の分割体を射出成形法および押出成形法より選ばれた成形法で成形することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。
  5. 前記中空成形品を構成する2つ以上の分割体を溶着により接合して中空成形品を形成する工程における溶着が熱板溶着、赤外線溶着、および赤外線にて溶着部を温めた後に振動溶着を行う赤外線/振動溶着より選ばれた溶着方法であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。
  6. 前記フランジおよび/またはバリを除去する加工工程における加工方法が切削加工であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法。
JP2018059109A 2017-07-05 2018-03-27 溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法 Active JP7063046B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017131578 2017-07-05
JP2017131578 2017-07-05

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019014228A true JP2019014228A (ja) 2019-01-31
JP7063046B2 JP7063046B2 (ja) 2022-05-09

Family

ID=65356720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018059109A Active JP7063046B2 (ja) 2017-07-05 2018-03-27 溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7063046B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022220116A1 (ja) * 2021-04-15 2022-10-20 ユニチカ株式会社 溶着用ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法ならびに該ポリアミド樹脂組成物を含む成形体

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5549786U (ja) * 1978-09-30 1980-04-01
JP2000052427A (ja) * 1998-08-07 2000-02-22 Polyplastics Co 熱可塑性樹脂の溶着方法及び溶着装置
JP2002030215A (ja) * 2000-07-14 2002-01-31 Ube Ind Ltd 溶着強度に優れた強化ポリアミド樹脂組成物
JP2005126651A (ja) * 2003-10-27 2005-05-19 Toray Ind Inc 高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂
JP2009137099A (ja) * 2007-12-05 2009-06-25 Excel Shanon Corp 枠部材接合方法
JP2010110985A (ja) * 2008-11-06 2010-05-20 Toyota Motor Corp 樹脂の溶着方法およびこれを使用したタンク製造方法
JP2013068242A (ja) * 2011-09-21 2013-04-18 Toyota Motor Corp ガスタンクの製造システム及びガスタンクの製造方法
WO2014034590A1 (ja) * 2012-09-03 2014-03-06 日本軽金属株式会社 中空容器の製造方法及び部材の接合方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5549786U (ja) * 1978-09-30 1980-04-01
JP2000052427A (ja) * 1998-08-07 2000-02-22 Polyplastics Co 熱可塑性樹脂の溶着方法及び溶着装置
JP2002030215A (ja) * 2000-07-14 2002-01-31 Ube Ind Ltd 溶着強度に優れた強化ポリアミド樹脂組成物
JP2005126651A (ja) * 2003-10-27 2005-05-19 Toray Ind Inc 高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂
JP2009137099A (ja) * 2007-12-05 2009-06-25 Excel Shanon Corp 枠部材接合方法
JP2010110985A (ja) * 2008-11-06 2010-05-20 Toyota Motor Corp 樹脂の溶着方法およびこれを使用したタンク製造方法
JP2013068242A (ja) * 2011-09-21 2013-04-18 Toyota Motor Corp ガスタンクの製造システム及びガスタンクの製造方法
WO2014034590A1 (ja) * 2012-09-03 2014-03-06 日本軽金属株式会社 中空容器の製造方法及び部材の接合方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022220116A1 (ja) * 2021-04-15 2022-10-20 ユニチカ株式会社 溶着用ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法ならびに該ポリアミド樹脂組成物を含む成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP7063046B2 (ja) 2022-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9850380B2 (en) Polyamide resin composition for molded article exposed to high-pressure hydrogen and molded article made of the same
EP2430079B1 (en) Polyamide composite structures and processes for their preparation
JP5928668B1 (ja) 高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP6394394B2 (ja) 発泡成形体用ポリアミド樹脂組成物、及びそれからなるポリアミド樹脂発泡成形体
JP2014177560A (ja) 液体アシスト成形用ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた中空成形品の製造方法
JP6838428B2 (ja) 高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP7063046B2 (ja) 溶着部を有する樹脂からなる中空成形品の製造方法
JP5935956B1 (ja) 高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP6327404B1 (ja) 中空成形品および中空成形品の製造方法
JP2015212342A (ja) 高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP2010070580A (ja) ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品
JP2022091118A (ja) 中空成形品および中空成形品の製造方法
CN109311197B (zh) 聚酰胺树脂制复合成型品及其制造方法
JP2021066794A (ja) 高圧水素に触れる成形品用のアミド結合を有するポリマー組成物およびそれを用いた成形品
JP2019108526A (ja) 溶着用ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP2021075047A (ja) 高圧水素に触れる中空成形品および高圧水素に触れる中空成形品の製造方法
JP2021167092A (ja) 高圧水素に触れる中空成形品の製造方法
JP2022151712A (ja) 複合成形体およびその製造方法
WO2023095400A1 (ja) 多層体、および、多層体の製造方法
CN115667415B (zh) 激光熔敷用透光性树脂组合物、组合物组合、成型品、以及成型品的制造方法
JP2017119346A (ja) 振動溶着成形体および振動溶着用ポリアミド樹脂組成物
JP2023078064A (ja) 多層体の製造方法
JP2021151775A (ja) 高圧水素に触れる中空成形品の製造方法
JP2023012422A (ja) 高圧水素に触れる射出成形品用のポリアミド樹脂組成物、ならびにそれを用いた射出成形品、高圧水素用タンクライナー、および高圧水素用タンク
JP2015212343A (ja) 高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220404

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7063046

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151