JP2019013221A - ナトリウム排出を目的とした食品組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
このような事情から,体外への塩分排出を促進する組成物に関する技術が開示されている(特許文献1)。
すなわち,腎機能障害を持つ患者の場合,腎臓からのカリウム排出が十分でないため,高カリウム血症を発症するおそれがある。そのため,腎機能障害を持つ患者は,カリウム制限が必要となるのが通常である。これよりカリウムを好適な金属として適用しうる先行技術は,腎機能障害を持つ患者の場合には,適用が好ましくない点において課題を有するものである。
発明者らは,さらに検討を重ね,アルギン酸について,カリウム上昇を抑制したアルギン酸塩を有効成分とするナトリウム排出用食品組成物に関する発明を完成させた。
[a1]アルギン酸塩(ナトリウム塩を除く)を含有する,ナトリウム排出用食品組成物。
[a2]前記アルギン酸塩がアルギン酸の有機カチオン塩である,[a1]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a3]有機カチオン塩がアンモニウム塩である,[a2]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a4]アルギン酸アンモニウムの粘度が,20℃の1%(w/v)濃度において,20から900mPa・sである[a3]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a5]さらにアルギン酸アンモニウムの粘度が,20℃の1%(w/v)濃度において,100から400mPa・sである[a4]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a6]さらに,アルギン酸の無機カチオン塩(ナトリウム塩を除く)を含有する,[a2]から[a5]のいずれかに記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a7]無機カチオン塩が,カリウム塩,カルシウム塩,マグネシウム塩,鉄塩,および亜鉛塩から選択される1種又は2種以上である,[a6]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a8]無機カチオン塩が,多価カチオン塩である[a6]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a9]多価カチオン塩として,少なくともカルシウム塩を含む[a8]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a10]アルギン酸の有機カチオン塩に対する無機カチオン塩の重量比が0.1〜10である,[a6]から[a9]のいずれかに記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a11]ナトリウム含量が,1重量%以下である[a1]から[a10]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a12]金属含量(ナトリウムを除く)が,0.0001から3.0重量%である[a1]から[a11]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a13]カプセル剤,散剤,顆粒剤,錠剤,液剤,ゼリー剤,及びグミ剤のいずれかの形態である,[a1]から[a12]のいずれかに記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a14]賦形剤,増粘剤・安定化剤,酸化防止剤,pH調整剤,乳化剤,甘味料,酸味料,調味料,着色料,香料,保存料から選択される1種又は2種以上の添加剤を含み,かつ,これらがナトリウムを含まない添加物から選択される[a1]から[a13]のいずれかに記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a15]さらに,カリウムを含まない添加物から選択される[a14]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[a16][a1]から[a15]のいずれかに記載のナトリウム排出用食品組成物であって,腎機能障害の予防を目的に用いられる腎機能障害予防用食品組成物。
[b1]アルギン酸塩(ナトリウム塩を除く)を含有する,食品組成物。
[b2]アルギン酸塩がアルギン酸の有機カチオン塩である[b1]に記載の食品組成物。
[b3]アルギン酸の有機カチオン塩の含有量が0.1〜99.9重量%である,[b1]又は[b2]に記載の食品組成物。
[b4]有機カチオン塩がアンモニウム塩である[b2]又は[b3]に記載の食品組成物
[b6]カプセル剤,散剤,顆粒剤,錠剤のいずれかの形態である,[b1]から[b5]のいずれかに記載の食品組成物。
[b8]液剤,ゼリー剤,グミ剤のいずれかの形態である,[b1]から[b4],ならびに[b7]のいずれかに記載の食品組成物。
[b10]無機カチオン塩がカリウム塩,カルシウム塩,マグネシウム塩,鉄塩,および亜鉛塩から選択される1種又は2種以上である,[b9]に記載の食品組成物。
[b11]無機カチオン塩が,多価カチオン塩である[b9]に記載の食品組成物。
[b12]多価カチオン塩として,少なくともカルシウム塩を含む[b11]に記載の食品組成物。
[b13]アルギン酸の有機カチオン塩に対する無機カチオン塩の重量比が0.1〜10である,[b9]から[b12]のいずれかに記載の食品組成物。
[b14]ナトリウム含量が,1重量%以下である[b1]から[b13]に記載のナトリウム排出用食品組成物。
[b15]金属含量(ナトリウムを除く)が,0.0001から3.0重量%である[b1]から[b14]に記載の食品組成物。
[b16]賦形剤,増粘剤・安定化剤,酸化防止剤,pH調整剤,乳化剤,甘味料,酸味料,調味料,着色料,香料,保存料から選択される1種又は2種以上の添加剤を含み,かつ,これらがナトリウムを含まない添加物から選択される[b1]から[b15]のいずれかに記載の食品組成物。
[b17]さらに,カリウムを含まない添加物から選択される[b16]に記載の食品組成物。
[b18][b1]から[b17]のいずれかに記載の食品組成物であって,ナトリウム排出を目的に用いられるナトリウム排出用食品組成物。
[b19][b1]から[b17]のいずれかに記載の食品組成物であって,腎機能障害の予防を目的に用いられる腎機能障害予防用食品組成物。
すなわち,藻類などに含まれる天然由来のものを用いてもよいし,化学的に合成したものを用いてもかまわない。また,アルギン酸は,ナトリウム吸着という本発明の趣旨を損なわない限り,化学構造の一部を置換ないし修飾したものを用いても構わない。
アルギン酸塩の粘度平均分子量として,典型的には,100から1,000万のものを用いることができ,より好ましくは1,000から900万,さらに好ましくは1万から900万,特に好ましくは10万から900万,最も好ましくは10万から800万のものを用いることができる。
アルギン酸塩の粘度として,典型的には,20℃での1%(w/v)濃度における粘度が10から1000mPa・sのもの,又は20℃での10%(w/v)濃度における粘度が10から3000mPa・sのものを用いればよく,より好ましくは20℃での1%(w/v)濃度における粘度が20から900mPa・s,さらに好ましくは100から900mPa・s,特に好ましくは100から400mPa・s,最も好ましくは300から400mPa・sのものを用いることができる。
なお,本発明におけるアルギン酸塩はナトリウム塩を除外するものであるが,技術的な制限から,微量が混入することまでを排除する趣旨ではない。すなわち,アルギン酸塩は,アルギン酸ナトリウムを原料として,塩の置換反応により化学的に製造される場合があることから,この場合に微量に含まれるナトリウム塩までをも排除する趣旨ではない。
有機カチオン塩としては,アルギン酸塩の形成が可能であり,かつ,安全性を担保しうる限り特に限定する必要はなく,種々の有機カチオンを用いることができる。
このような重量比として,例えば,アルギン酸有機カチオンの含量が重量%の下限として,0.1%,1.0%,10.0%,20.0%,30.0%など,重量%の上限として1.0%,10.0%。20.0%,30.0%,40.0%,50.0%,60.0%,70.0%,80.0%,90.0%,99.9%などとすることができる。これらより,例えば,アルギン酸有機カチオンの含量を,0.1から10.0%,0.1から99.9%,10.0から99.9%などとすることができる。
これにより,他のアルギン酸塩などと比較して,本発明の食品組成物のナトリウム排出能を,顕著に優れたものとできる効果を有する。加えてアルギン酸アンモニウムは,高すぎない適度な粘性を有することから,取扱性や成形性に優れるという効果を有する。
これにより,アルギン酸アンモニウムの取扱性や成形性をさらに向上させることができ,本発明の剤形化をより容易にできる効果を有する。
これにより,粘度特性の異なるアルギン酸有機カチオンとアルギン酸無機カチオンを組み合わせ食品組成物に対応した粘度特性としつつ,ナトリウム吸着能を保持することが容易となり,本発明の食品組成物の取扱性や成形性を向上させる効果を有する。
アルギン酸有機カチオンとアルギン酸無機カチオンについては,食品組成物の態様により,種々の比率とすることができるが,アルギン酸有機カチオン塩に対するアルギン酸無機カチオンの重量比(アルギン酸無機カチオン重量/アルギン酸有機カチオン重量)を,典型的には,0.05から10,より好ましくは0.1から10,さらに好ましくは0.1から1.0とすることができる。
アルギン酸無機カチオンとして,カリウム塩を除くことが好ましい。これにより,本発明の食品組成物摂取後のカリウム放出を防ぐことができ,腎機能に障害を持つ患者などにも安全に適用しうるという効果を有する。
また,アルギン酸無機カチオンとして,多価カチオン塩とすることが好ましい。これにより,アルギン酸塩における金属イオンの含量を少ないままナトリウム排出保持能を維持することが可能となり,本発明の食品組成物摂取後の金属放出を低減することにより,腎機能に障害を持つ患者や高血圧が懸念される健常者などにも安全に適用しうるという効果を有する。
さらに,アルギン酸無機カチオンとして,カルシウム塩を用いることが好ましい。アルギン酸カルシウムは,粘性が特に低いことから,前述の有機カチオン塩と組み合わせることにより,食品組成物としての形成性を向上させ,ナトリウム吸着能を保持しつつ,最適な剤形化を図ることができるという効果を有する。
この場合,アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムは,種々の重量比で構成することができるが,アルギン酸塩中のアルギン酸アンモニウムの重量比の下限として,10%,30%,50%,70%,90%など,上限として30%,50%,70%,90%,99%などとすることができる。これより,アルギン酸アンモニウムの重量比として,10から99.9%,30から99.9%,50から99.9%,70から99.9%などとすることができる。
本発明において,「ナトリウムを含まない添加物」ないし「カリウムを含まない添加物」とは,これらの金属イオンを構成分子ないし構成成分として含まない添加物として定義される。また,「ナトリウムを含まない添加物を選択」ないし「カリウムを含まない添加物を選択」とは,本発明において,これらの金属イオンを構成分子ないし構成成分として含む添加物を除外するものとして定義されるが,完全に排除する趣旨ではない。
すなわち,例えば,添加物の目的以外の十分な効能・効果を奏することなく,権利の迂回を目的としてこれらの金属イオンを構成分子として含む添加物を選択し,食品組成物としてわずかながら含むことは,本発明の趣旨に沿った添加物の使用として権利の及ぶものである。このような迂回的な使用の目安として,例えば,食品組成物中のナトリウムないしカリウムの金属イオンの重量比率が典型的には1%以下,もしくは0.5%以下,さらには0.3%以下であり,アルギン酸塩に対するナトリウムないしカリウムの金属イオン重量比率が典型的には10%以下,もしくは5%以下,または3%以下,1%以下などである。
金属成分含量(ナトリウムを除く)については,典型的には,その重量比の下限として0%,0.0001%,0.001%,0.01%などであり,上限として0.1%,1.0%,3.0%,5.0%などから選択することができ,これにより,食品組成物全体における金属塩の重量比率として,例えば,0.0001%から5.0%,0.001%から5.0%,0.01%から5.0%などとすることができる。
本発明における腎機能障害予防用とは,狭義には,腎機能に障害を既に有している者を対象として,透析患者,腎不全患者,糖尿病患者などに対して用いられるものとして定義され,広義には,腎機能に障害を有していないものの,これが懸念される者として,高血圧,肥満体質などの健常人に対して用いられるものとして定義される。
各サンプルについて,スクリーニング的に,塩化ナトリウムに対する吸着能を調べることを目的に検討を行った。
1.遠沈管に1%塩化ナトリウム溶液を分注した。この遠沈管1本に対し,各サンプルを加えて混和し,10分間以上,室温にて静置した。
2.コンパクト塩分計(HORIBA Scientific,型式B-721)にて,遠沈管内溶液のナトリウム濃度の測定を行った。
3.また,コントロールとして,サンプルを加えず同様の操作で測定を行った。このコントロールにおけるナトリウム濃度測定値を100%として,各サンプルにおける吸着能の評価を行った。すなわち,値が小さければ小さいほど,水溶液中に遊離するナトリウムの濃度が低く,サンプルへのナトリウム吸着能が大きいことを示している。
4.なお,コントロールを含むすべてのサンプルについて,n=3で検討を行った。
(1) 検討を行ったサンプルのうち,複数のサンプルで100%に満たない値を示した。
(2) 特に,実験例1(PAL),実験例4(GEG),実験例16(CAL),実験例17(AAL)は,90%に満たない値であり,優れた吸着能を示した。
(3) この中でも,実験例17のアルギン酸アンモニウムは,特に優れた吸着能を示した。なお,このアルギン酸アンモニウムについては,推定分子量が10万から900万,20℃における1%(w/v)濃度溶液の粘度が300から400mPa・sのものを用いた。
2.これらの結果より,以降の検討では,実験例1,実験例4,実験例16,実験例17について,詳細に検討を行うこととした。
実験1の検討より,吸着能に優れると思われるサンプルが見い出されたことから,これらについて,濃度をふってさらに検討を行った。
1.実験1と同様の手法により行った。
2.なお,遠沈管に添加するサンプルについては,1/2倍,1倍,2倍,4倍量とし,この際,溶液粘度が高すぎるものについては除外した。
1.結果を,表2に示す。
2.すべてのサンプルで,サンプル濃度依存的に,遊離塩化ナトリウム濃度は減少していた。
3.これより,すべてのサンプルにおいて,濃度依存的にナトリウムを吸着しているものと考えられた。
4.この中でも,アルギン酸アンモニウムは,特に優れた吸着能を示した。加えて,PALやGEGにおいては高濃度になると溶液粘度が高くなりすぎる一方,アルギン酸アンモニウムやアルギン酸カルシウムは溶液粘度の観点からそのような現象はおこらず,取扱性に優れることが分かった。
各サンプルについて,消化管におけるナトリウム吸着を想定し,pHをふって検討を行った。
1.実験1と同様の手法で行い,サンプルについては,1倍量にて検討を行った。
2.なお,1%塩化ナトリウム溶液については,pH未調整のもの(pH6.8)に加え,胃内を想定するとともに測定機器の測定限界であるpH3.0のものを用いて検討を行った。pHの調整については,1N塩酸を用いた。
3.また,測定については,ナトリウム濃度に加え,カリウム濃度を,コンパクトカリウム計(HORIBA Scientific, 型式B731)にて測定を行った。
1.ナトリウム濃度の測定結果を表3の左に示す。
(1) いずれのサンプルにおいても,pH3.0における検討において,遊離ナトリウム濃度が高い値を示した。
(2) この中で,AALについてはほとんど変わらない値を示した。
2.カリウム濃度の測定結果を表3の右に示す。
(1) PAL,GEGについてカリウム濃度の大きな増加がみられた。これらについては,サンプルそのものがカリウム塩として構成されていることから,ナトリウムと置換することにより,カリウムが遊離したものと考えられた。
(2) AALについて,カリウム濃度の若干の増加がみられた。これについては,サンプル中に不純物としてカリウムが含まれていることが要因と思われた。
(3) CALでは,カリウム濃度の増加は見られなかった。
3.これらの結果から,アルギン酸アンモニウムは,酸性条件においても優れたナトリウム吸着能を保持していることが分かった。加えて,アルギン酸アンモニウムならびにアルギン酸カルシウムでは,他のサンプルと比較して,遊離カリウム濃度が低いことが分かった。
各サンプルについて,インビボにおいての効果を確認すべく,検討を行った。
1.マウスに,各サンプル,塩化ナトリウムの順で,経口投与を行った。
2.上記サンプル等の投与前,投与後1時間,2時間において,それぞれマウス眼窩静脈から採血を行った。
3.採血した血液について遠心分離を行い,血漿成分のナトリウム濃度ならびにカリウム濃度の測定を行った。
1.サンプル間で比較したナトリウム濃度ならびに抑制率の結果を表4に示す。なお,抑制率については,各時間点のコントロールにおけるナトリウム濃度増加分を100%としてこれをどれだけ抑制したの観点から,下記式(数1)に従い,算出した。
(2) PALでは,投与後1時間において血漿中ナトリウム濃度が0.87%,投与後2時間で0.74%と,コントロールと比較して低い値であった。また,抑制率では,投与後1時間において11.1%,投与後2時間において26.67%であった。
(3) CALでは,投与後1時間において血漿中ナトリウム濃度が0.79%,投与後2時間で0.67%と,コントロールと比較して大きく低下していた。また,抑制率では,投与後1時間において40.74%,投与後2時間において73.33%と大きな値を示した。
(4) AALでは,投与後1時間において血漿中ナトリウム濃度が0.77%,投与後2時間で0.68%と,コントロールと比較して大きく低下していた。また,抑制率では,投与後1時間において48.15%,投与後2時間において66.67%と大きな値を示した。
2.これらの結果から,いずれのサンプルにおいてもインビボにおける血漿中ナトリウム濃度の上昇抑制効果が確認された。その中においても,CALならびにAALでは,極めて優れたナトリウムの排出効果が確認された。また,AALは,CALの半分の投与量でCALと同等の効果を示したことから,血漿中ナトリウム濃度の上昇抑制効果に最も優れることが確認された。
(1) コントロールにおいて,投与後1時間において,血漿中ナトリウム濃度が213ppmまであがり,投与後2時間においては,195ppmとやや下がった値であったが,投与前よりも高い値に落ち着いていた。
(2) PALでは,投与後1時間で200ppm,投与後2時間で270ppmと経時的に増加していった。これは,PALのカリウムがナトリウムと置換することにより放出され,消化管より吸収された影響と考えられる。
(3) CALでは,投与後1時間で183ppm,投与後2時間で173ppmと,コントロールと比較して低下していた。
(4) AALでは,投与後1時間で170ppm,投与後2時間で198ppmと,コントロールと比較して低下していた。
4.これらの結果から,PALでは血漿中カリウム濃度上昇の影響が大きくみられる一方,CALならびにAALでは,血漿中におけるカリウム濃度増加の影響はほとんどないといえる。
(1) いずれの投与量においても,投与後15分から,コントロールと比較して低い血漿中ナトリウム濃度を示し,その傾向は,投与後1時間,投与後2時間においても確認された。
(2) また,投与量が増えるほど血漿中ナトリウム濃度が低い傾向にあり,濃度依存的に血漿中ナトリウム濃度を抑制することが分かった。
これまでの結果から,アルギン酸アンモニウムならびにアルギン酸カルシウムを有効成分とした試作例を作製し,その効果を調べた。
検討を行った各試作例について,実験3の方法に準じて,検討を行った。
2.全ての試作例において,遊離塩化ナトリウム濃度ならびに遊離カリウム濃度は低下していた。
3.これらのうち,溶液粘度を考慮して,試作例2,試作例5,試作例9の成分組成をより有用性の高い組成と判断し,以降の検討を行った。
5.全ての試作例について,遊離ナトリウム濃度は低下していた。一方,遊離カリウム濃度については,試作例16ならびに試作例19を除き,低下していた。
6.これらのうち,溶液粘度を考慮すると,試作例14,試作例15,試作例17,試作例20,試作例21が,より優れた効果を発揮するものと考えられた。
8.全ての試作例で,遊離ナトリウム濃度は低下していた。
9.一方,遊離カリウム濃度は,試作例25を除き,増加していた。
(1) 試作例23から試作例25については,試作例15,試作例18,試作例21と同様の検討であり,異なるのは,賦形剤成分のみである。
(2) 試作例23等については,いずれも試作例15等と比較して,遊離カリウム濃度が高かったことから,オリーブパウダー由来のカリウムであるものと思われた。
これまでの結果から,試作例2,試作例5,試作例9が排塩剤としてより有用と判断し,これらの組成成分を持った試作例を用いて,インビボにおける検討を行った。
実験4に準じて,検討を行った。
1.ナトリウム濃度測定の結果を表11に示す。
(1) コントロールにおいて,投与後1時間において,血漿中ナトリウム濃度が0.86%まであがり,投与後2時間においては,0.72%とやや下がった値であったが,投与前よりも高い値に落ち着いていた。
(2) 試作例26では,投与後1時間において血漿中ナトリウム濃度が0.81%,投与後2時間で0.74%と,コントロールと比較してやや低い値であった。
(3) 試作例27では,投与後1時間において血漿中ナトリウム濃度が0.76%,投与後2時間で0.67%と,コントロールと比較して低下していた。
(4) 試作例28では,投与後1時間において血漿中ナトリウム濃度が0.78%,投与後2時間で0.67%と,コントロールと比較して低下していた。
(1) コントロールにおいて,投与後1時間において,血漿中ナトリウム濃度が230ppmまであがり,投与後2時間においては,180ppmとやや下がった値であったが,投与前よりも高い値に落ち着いていた。
(2) 試作例26では,投与後1時間で165ppm,投与後2時間で240ppmと経時的に増加していった。
(3) 試作例27では,投与後1時間で200ppm,投与後2時間で200ppmと,コントロールと比較すると,より低い傾向であった。
(4) 試作例28では,投与後1時間で190ppm,投与後2時間で210ppmと,経時的に増加していた。
アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを用いた試作例を飲料に用いて,どの程度の塩分濃度抑制がみられるかを調べるため,検討を行った。
1.実験1と同様の手法により行った。
2.なお,用いる試作例については,飲料中における最終濃度を50mg/mLとした(原料飲料中のサンプル含有比率としては,およそ5%程度)。
1.結果を表13ならびに表14に示す。表中,NCはネガティブコントロールとして飲料原液を,PCはポジティブコントロールとして飲料原液に塩化ナトリウムを1%(w/v)添加したものを示す。また,抑制率については,NCと比較した場合のPCにおけるナトリウム濃度増加分を100%として,これをどれだけ抑制したの観点から,下記式(数2)に従い,算出した。
(2) また,一部例外はあるものの,検討を行ったほとんどにおいても,アルギン酸アンモニウムの比率が増加するにつれ,塩分濃度が低下する傾向であった。
(3) 抑制率を見てみると,全ての飲料で,少なくとも30%を越える抑制率を示すサンプルが確認された。また,No3,6,9,12,13,15においては抑制率が40%を越え優れた抑制効果を示すサンプルが確認された。さらにNo1,12においては抑制率が50%以上と,顕著な抑制効果を示すサンプルが確認された。
(1) もともとカリウム含有量が極めて低い飲料(No9,10,11,14)については,サンプルの添加により,カリウム濃度がわずかではあるが増加ないしはほぼ同じ濃度を維持していた。
(2) 一方,カリウム含有量が比較的高いと思われる飲料については,サンプルの添加により,カリウム濃度が減少していた。すなわち,これらの飲料については,ナトリウムの抑制のみならず,カリウムについても抑制効果があることが分かった。
Claims (19)
- アルギン酸塩(ナトリウム塩を除く)を含有する,食品組成物。
- アルギン酸塩がアルギン酸の有機カチオン塩である請求項1に記載の食品組成物。
- アルギン酸の有機カチオン塩の含有量が0.1〜99.9重量%である,請求項1又は請求項2に記載の食品組成物。
- 有機カチオン塩がアンモニウム塩である請求項2又は請求項3に記載の食品組成物。
- さらに,アルギン酸塩アンモニウムを10〜99.9重量%含有する請求項4に記載の食品組成物。
- カプセル剤,散剤,顆粒剤,錠剤のいずれかの形態である,請求項1から請求項5のいずれかに記載の食品組成物。
- さらに,アルギン酸塩アンモニウムを0.1〜10重量%含有する請求項4に記載の食品組成物。
- 液剤,ゼリー剤,グミ剤のいずれかの形態である,請求項1から請求項4,ならびに請求項7のいずれかに記載の食品組成物。
- さらに,アルギン酸の無機カチオン塩(ナトリウム塩を除く)を含有する,請求項2から請求項8のいずれかに記載の食品組成物。
- 無機カチオン塩がカリウム塩,カルシウム塩,マグネシウム塩,鉄塩,および亜鉛塩から選択される1種又は2種以上である,請求項9に記載の食品組成物。
- 無機カチオン塩が,多価カチオン塩である請求項9に記載の食品組成物。
- 多価カチオン塩として,少なくともカルシウム塩を含む請求項11に記載の食品組成物。
- アルギン酸の有機カチオン塩に対する無機カチオン塩の重量比が0.1〜10である,請求項9から請求項12のいずれかに記載の食品組成物。
- ナトリウム含量が,1重量%以下である請求項1から請求項13に記載のナトリウム排出用食品組成物。
- 金属含量(ナトリウムを除く)が,0.0001から3.0重量%である請求項1から請求項14に記載の食品組成物。
- 賦形剤,増粘剤・安定化剤,酸化防止剤,pH調整剤,乳化剤,甘味料,酸味料,調味料,着色料,香料,保存料から選択される1種又は2種以上の添加剤を含み,かつ,これらがナトリウムを含まない添加物から選択される請求項1から請求項15のいずれかに記載の食品組成物。
- さらに,カリウムを含まない添加物から選択される請求項16に記載の食品組成物。
- 請求項1から請求項17のいずれかに記載の食品組成物であって,ナトリウム排出を目的に用いられるナトリウム排出用食品組成物。
- 請求項1から請求項17のいずれかに記載の食品組成物であって,腎機能障害の予防を目的に用いられる腎機能障害予防用食品組成物。
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