JP5543656B1 - ウコン中の有用成分を含有する組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、食経験が豊富な安全性の高い食品素材から得られる天然化合物を有効成分とする、二日酔いの症状を抑制することが可能な組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】経口摂取される組成物であって、一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上含有する組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、二日酔いの症状を抑制することが可能な、ビサクロン含有組成物に関する。
ウコン(ショウガ科ウコン,Curcuma longa LINNE)は東南アジアを中心に、世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されるショウガ科ウコン属の薬用植物である。
ウコンの根茎には3〜5%のクルクミン(黄色色素)が含有される。ウコン抽出物及びクルクミンには様々な有用性が知られている。例えば非特許文献1ではウコン抽出物含有飲料はアルコールと一緒に摂取することにより、アルコール本来の「酔い」を適度に発現させながら、悪酔いを防止する作用を有することが示唆されている。
特許文献1にはウコン又はその抽出物を、オウバク又はその抽出物、オウレン又はその抽出物及びショウキョウ又はその抽出物と組み合わせて含有する、二日酔いの予防・治療のための医薬用組成物が開示されている。
特許文献2にはウコンを、ニンニク加工物とともに含有する、アルコール摂取後のムカツキ、吐き気、二日酔い等の不快な症状を改善する作用を有する医薬組成物が開示されている。
一方、依然として二日酔いの症状に対して有効な治療剤及び予防剤が求められており、しかも食経験が豊富で安全性の高い天然由来の成分を有効成分とする治療剤及び予防剤が求められている。
特開2003-226650号公報 WO 2005/032569
浜野拓也ら、「ウコン抽出物が健常成人のアルコール代謝に及ぼす影響の検討」、応用薬理、72(1/2)、31-38(2007)
本発明は、食経験が豊富な安全性の高い食品素材から得られる天然化合物を有効成分とする、二日酔いの症状を抑制することが可能な組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ウコン抽出物に含まれるビサクロンが二日酔い症状の抑制作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の特徴を有する。
[1] 経口摂取される組成物であって、一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上含有する組成物。
[2] ビサクロンがウコン抽出物に由来する、[1]の組成物。
[3] クルクミンをさらに含む、[1]又は[2]の組成物。
[4] 飲食品又は医薬品である、[1]〜[3]のいずれかの組成物。
[5] 液状組成物である、[4]の組成物。
[6] pHが3.1以上である、[5]の組成物。
[7] [5]又は[6]の組成物が入れられた、容器詰飲料。
[8] ビサクロンを有効成分として含有する、二日酔いの症状の抑制剤。
[9] 二日酔いの症状が頭重感、二日酔い感、アルコール残り感、及び/又は、胃の不快感である、[8]の抑制剤。
本発明によれば、天然化合物を有効成分とする、二日酔いの症状を抑制することが可能な組成物を提供することができる。
図1はビサクロンの摂取による血中エタノール濃度に対する効果を示す。 図2はビサクロン及びクルクミンの摂取による血中エタノール濃度に対する効果を示す。 図3はビサクロン(0.5mg又は0.25mg)摂取による、二日酔い症状の抑制効果を示す。 図4はpH値の異なる飲料中のビサクロンに関する保存試験の結果を示す。
1.ビサクロン
本発明においてビサクロンとは次式で表される化合物又はその塩を指し、ビサボラン型セスキテルペン類に分類される化合物である:
Figure 0005543656
本明細書におけるビサクロンとは上記化合物の光学異性体も包含する概念である。
ビサクロンは植物原料から抽出又は精製したものであってもよいし、人為的に合成されたものであってもよいが、安全性の観点から植物原料から抽出又は分離/精製したものを用いることが好ましい。
前記植物原料としては、ショウガ科植物が好ましく、特にCurcuma longa(ウコン)、Curcuma aromatica、Curcuma zedoaria、Curcuma phaeocaulis、Curcuma kwangsiensis、Curcuma wenyujin、Curcuma xanthorrhizaが好ましい。植物原料の根茎等の適当な部位を原型のまま、あるいは適当な寸法又は形状にカットした形態で、あるいは粉砕物の形態で、ビサクロンの製造のための原料として使用することができる。これらの原料は適宜乾燥されたものであってよい。
植物原料からのビサクロンの抽出方法は特に限定されない。例えば、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ジエチルエーテル、石油エーテル、ヘキサン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、動植物油脂、又はそれらの溶媒の2種以上の混合物等の、ビサクロンを溶解可能な溶媒を用いて、植物原料から溶媒可溶性成分を抽出する。抽出溶媒としては、水及び/又は親水性抽出溶媒、具体的にはアルコールや水が好ましい。アルコールとしてはエタノールが好ましい。アルコールと水を混合して用いる場合の混合比は特に限定されないが、例えば重量比で10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜50:50の範囲がより好ましい。
得られた植物原料の抽出物を必要に応じてさらに、溶媒分画、クロマトグラフィー(カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等)及び/又は再結晶等の精製手段に付して、ビサクロンを分離又は精製してもよい。例えば、ビサクロンはウコンを植物原料とするメタノール抽出物を得て、当該抽出物をシリカゲルカラムでメタノール及びクロロホルムを用いて溶出させ、クルクミノイド(クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミンの混合物)よりも高極性の画分より分取用HPLCカラムを用いて分離又は精製することができる。
本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤中には、好ましくは一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上配合する。ビサクロンは植物原料の抽出物の形態であってもよいし、植物原料の抽出物より分離/精製された形態であってもよい。すなわち、本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤中には、所定量のビサクロンを含む植物原料の抽出物を配合することができる。
なお、組成物中のビサクロンの量は、組成物を酢酸エチルと混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めることができる。
本発明において「一回の経口摂取量」とは、本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤が一度に経口摂取される量、あるいは短い時間間隔(例えば10分以下、好ましくは5分以下の時間)をおいて連続的に複数回で経口摂取される総量を意味する。本発明の組成物また二日酔いの症状の抑制剤が液状組成物の形態である場合には例えば50ml〜500ml(典型的には50ml、100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、450ml又は500ml)がその量であり、半固形状(ゼリー状等)、固形状等の他の形態である場合には例えば50g〜500g(典型的には50g、100g、150g、200g、250g、300g、350g、400g、450g又は500g)がその量である。以下でも「一回の経口摂取量」をこの意味で用いる。
また、本発明において「ビサクロンを0.5mg以上」とは、本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤の少なくとも製造完了時、すなわち、本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤が完成製品として少なくとも製造工場を出荷される段階において、「ビサクロンを0.5mg以上」含有していることを意味する。
2.他の成分
本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤にはウコン色素を含めることができる。ウコン色素は、ウコンの根茎部分より、温時エタノールで、熱時油脂若しくはプロピレングリコールで、又は室温時〜熱時ヘキサン若しくはアセトンで抽出して得られるものであり、このようにして得られたウコン色素は主にクルクミンを含む。本発明のビサクロン含有飲料におけるウコン色素の量は一回の経口摂取量当たり、クルクミンが3mg〜50mg、より好ましくは5mg〜40mg、特に好ましくは6mg〜30mgとなる量のウコン色素が配合されるのがよい。
また、本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤には、上記ビサクロン及びウコン色素以外にも、飲食品、医薬品などの最終的な形態において許容される成分であって、経口摂取可能な成分を含めることができる。
特に、本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤が液状組成物又は半固形状組成物(ゼリー状等)の形態である場合には、水中に、上記成分に加えて果糖ブドウ糖液糖、環状オリゴ糖、酸味料、増粘剤、イノシトール、香料、ナイアシン、酸化防止剤、ビタミン類、甘味料、デンプン、寒天、等を添加することができる。
環状オリゴ糖、酸味料、増粘多糖類、甘味料は、植物原料の抽出物やウコン色素による風味を調整し、不快な呈味(苦味や渋み等)が不快感を与えない程度にまで低減することができる。
酸味料は例えばクエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、又はこれらの塩などがあり、これらのうちの1種又は2種以上の混合物を利用することができる。本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤のpH値は加えられる酸味料の量を適宜調節することにより調節することができる。好ましくは本発明の組成物又は二日酔いの症状の抑制剤のpH値は3.1以上、より好ましくは3.2以上、さらに好ましくは3.5以上である。本発明においてpH値は品温20℃で測定された値を指す。ビサクロンは酸性水溶液中にて非常に不安定な物質であり、pH値の低い液状組成物又は半固形状組成物(ゼリー状等)に含めると直ちに分解を生じ、その量が著しく減少する。一方、液状組成物又は半固形状組成物のpH値が好ましくは3.1以上、より好ましくは3.2以上、さらに好ましくは3.5以上、よりさらに好ましくは3.7以上の場合には、pH値の上昇に伴い当該液状組成物又は半固形状組成物中に含まれるビサクロンの安定性が向上し、当該液状組成物又は半固形状組成物中に含まれるビサクロンの分解が抑制される。これによって、当該液状組成物又は半固形状組成物はビサクロンがもたらす作用・効果を長く保持することができる。なお、本発明において「ビサクロンの安定性が向上する」、及び「ビサクロンの分解が抑制される」とは、液状組成物又は半固形状組成物中のビサクロンの分解速度が、pH3.1未満の液状組成物又は半固形状組成物中のビサクロンの分解速度と比べて緩やかになっていることを意味し、必ずしも、ビサクロンの分解が完全に停止していなくてもよい。また、pH値の上限は5以下であるのが、植物原料の抽出物に起因する、「苦味」や「渋み」等の不快な呈味を抑制する点から好ましい。
増粘剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム等の増粘多糖類が挙げられる。
甘味料としては、果糖、ブドウ糖、液糖等の糖類、はちみつ、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム等の高甘味度甘味料が挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンC、酵素処理ルチン、トコフェロール(ビタミンE)、カテキン等が挙げられる。
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、ナイアシン、イノシトール等が挙げられる。
3.組成物及びその用途
本発明の組成物は、アルコール摂取後の起床時のいわゆる二日酔い症状(特に、頭重感、二日酔い感、アルコール残り感、胃の不快症状)の軽減作用を有する飲食品組成物又は医薬品組成物として使用することができる。
本発明の組成物の形態は特に限定されないが、経口摂取に適した液状、固形状または半固形状の組成物が好ましく、液状の組成物または固形状の組成物であることが特に好ましい。
液状組成物は、液状食品(飲料)として提供されてもよいし、液状の経口投与用の医薬品として提供されてもよいが、好ましくは飲料である。液状組成物は、水を基調とする組成物であり、上記成分を水と混合して製造することができる。各成分の配合量は上記したとおりである。かかる液状組成物は、飲料用容器として使用される容器に収容することができる。飲料用容器としてはポリエチレンテレフタレート(PET)製容器、所謂PETボトルや、金属缶容器等が挙げられる。容器の形態は特に限定されない。また、容器の容量は特に限定されないが、例えば50ml〜500ml(典型的には50ml、100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、450ml又は500ml)、好ましくは100ml〜200mlとすることができる。液状組成物を容器に収容する手段は任意である。
固形状組成物は、例えば、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、細粒剤、カプレット、散剤、丸剤などの形態を有する医薬品や、健康食品、栄養補助剤(サプリメント)等として提供される。固形状組成物は、ビサクロンやウコン色素などの有効成分(各成分の配合量は上記したとおりである)を賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の助剤と混合し、常法に従って成形し製造することができる。
I.血中エタノール濃度に対するビサクロンの効果
ビサクロンの血中エタノール濃度に対する効果について以下のとおり試験した。
1.供試動物
各試験対象物について、7週齢のオスSDラット(7匹)を使用した。
2.試験対象物
コントロール:デキストリン(松谷化学工業株式会社)
ビサクロン:ウコン(Curcuma longa)の根茎部分の根茎部分を水を用いて抽出し、得られた水抽出液をメタノールにて再抽出し、得られたメタノール抽出液より分取カラムを用いて精製したものを使用した。
ビサクロンは、0.5w/v%メチルセルロース(和光純薬工業)に溶解した。
3.試験方法
供試動物入荷時より本飼育開始前日まで1週間、予備飼育を行い馴化した。
試験対象物は胃ゾンデを用いて下記投与量となるように強制胃内投与した。エタノールは下記投与量となるように、同時に同じ経路で投与した。
デキストリン(コントロール):デキストリン 2010mg/kg
ビサクロン:ビサクロン 250mg/kg+デキストリン 1760mg/kg
エタノール:2g/kg
エタノール投与後、10、30、60、120、180、240分時に尾静脈よりヘパリン加採血を行い、F−キット エタノール(J.K.インターナショナル)を製造元の指示書に従い用いて、各時点の血中エタノール濃度を測定した。
4.試験結果
結果を図1に示す。各結果は各時点の血中濃度-時間曲線下面積(AUC)の合計をそれぞれ示す。ビサクロンを投与することにより、血中エタノール濃度を低下できることが確認された。
II.血中エタノール濃度に対するビサクロン及びクルクミンの効果
ビサクロン及びクルクミンの血中エタノール濃度に対する効果について以下のとおり試験した。
1.供試動物
各試験対象物について、7週齢のオスSDラット(8匹)を使用した。
2.試験対象物
コントロール:デキストリン(松谷化学工業株式会社)
クルクミン:ターメリックカラーHJK(稲畑香料株式会社)
ビサクロン:ウコン(Curcuma longa)の根茎部分の根茎部分を水を用いて抽出し、得られた水抽出液をメタノールにて再抽出し、得られたメタノール抽出液より分取カラムを用いて精製したものを使用した。
クルクミン及びビサクロンは、0.5w/v%メチルセルロース(和光純薬工業)(以下、「0.5%MC」と記載する)に溶解した。
3.試験方法
供試動物入荷時より本飼育開始前日まで1週間、予備飼育を行い馴化した。
試験対象物は胃ゾンデを用いて下記投与量となるように強制胃内投与した。エタノールは下記投与量となるように、同時に同じ経路で投与した。
クルクミンのみ:125mg/kg
クルクミン+ビサクロン:クルクミン125mg/kg+ビサクロン20mg/kg
エタノール:2g/kg
エタノール投与後、10、30、60、120、180、240分時に尾静脈よりヘパリン加採血を行い、F−キット エタノール(J.K.インターナショナル)を製造元の指示書に従い用いて、各時点の血中エタノール濃度を測定した。
4.試験結果
結果を図2に示す。各結果は各時点の血中濃度-時間曲線下面積(AUC)の合計をそれぞれ示す。クルクミンを単独で投与するよりも、クルクミン及びビサクロンの混合物を投与することにより、血中エタノール濃度をより低下できることが示され、ビサクロンが血中エタノール濃度を低下させる効果を有することが確認された。
III.二日酔い症状に対する効果
ビサクロンの二日酔い症状に対する効果について以下のとおり試験した。
1.試験飲料
ビサクロン含有試験飲料(実施例A)は、水以外の成分(粉末原料)を混合した後、水に添加溶解して100mLの水溶液とし、93℃に加熱したものを金属缶にホットパックして作製した。比較例aはホットパックした後、さらに40℃にて一週間保存した以外は、上記実施例Aと同様に作製した。各試験飲料のpH値は3.1とした。ビサクロンは酸性水溶液中において非常に不安定であり、40℃にて保存することによって分解が促進され、ビサクロン量を減少させることができる。
ウコン色素は、ウコン(Curcuma longa)の根茎部分をアセトンを用いて抽出し、減圧してアセトンを揮発させることにより得たものである。このウコン色素には30重量%のクルクミンが含有され、各試験飲料中にはクルクミンが30mg含まれた。
ビサクロンはウコン抽出物の形態で用いた。ウコン抽出物はウコン(Curcuma longa)の根茎部分の根茎部分を水を用いて抽出して得たものである。各試験飲料中のビサクロンの量は、試験飲料を酢酸エチルと混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付すことにより求めた。HPLCは以下の条件で行った。
Figure 0005543656
実施例A及び比較例aは以下の組成を有した。ビサクロンが実施例Aには0.5mg、比較例aには0.25mg含まれた。
Figure 0005543656
2.試験対象者
試験対象者は、アルコール飲料を飲むことができる20〜65才の男女から選抜した10名とした。アルコール飲料が飲めない人(自己申告)、通院中の人、服薬中の人、腎臓・肝臓疾患に疾病のある人、各種過敏症の人は試験対象者から除外した。
3.試験方法
各試験飲料について以下の手順により二日酔い抑制効果を確認した。
次の内容の試験を1週間を開けて2回実施した。
試験前日に上記実施例A又は比較例aを摂取した後、2時間にわたって食事をしながら飲酒した(アルコールの種類、摂取量については制限なし。ただし、1時間毎にアルコール摂取量を記録し、2回の試験ともほぼ同じアルコール量になるよう摂取した。)。
飲酒後に就寝し、7時間を目安として睡眠をとった。飲酒後摂取できる水の量は200mLまでとした。起床後に二日酔いに関するアンケートを行った。
以下の事項は禁止した。
二日酔い改善効果のある医薬、食品の摂取
4.試験スケジュール
試験対象者5名に対し、実施例Aを試験飲料として摂取する前記試験(1回目の試験)を行い、次に比較例aについて前記試験(2回目の試験)を行った。また、試験対象者の残りの5名に対して比較例aを試験飲料として摂取する前記試験(1回目の試験)を行い、次に実施例Aについて前記試験(2回目の試験)を行った。
5.アンケートによる評価項目
アンケートでは、各試験対象者に、頭痛、頭重感、吐き気、倦怠感、二日酔い、アルコール残り感、胃の不快感の7項目についてVAS法による自己評価結果を記入させた。
VAS (Visual Analog Scale) 法とは、自覚的症状の程度を数値化して評価する検査である。直線状に、考えられうる最高の状態を右端、最低を左端としてその線分上に自分の状態の程度を示してもらう方法である。主観的な評価のために臨床医学でも広く用いられており、特に同被験者間の投与前後の状態の比較などに使われる。
6.試験結果
各試験飲料を摂取した試験での個々の評価項目について、被験者全員のVAS記入値を集計した平均値を得た。結果を図3に示す。実施例Aと比較例aとの間でt検定を実施し、p < 0.1を有意差ありと判定した。
ビサクロン0.5mgを含有する実施例Aでは、ビサクロン0.25mgを含有する比較例aと比較して、二日酔い症状のうち頭重感、二日酔い感、アルコール残り感、胃の不快症状について有意な抑制がみられ、特に「頭重感」を抑制する作用が有意に高いことが確認された。
IV.保存試験
pH値によるビサクロンの保存安定性について以下のとおり試験した。
試験には実施例1−6を用いた。
Figure 0005543656
ウコン色素は上記「III.二日酔い症状に対する効果」に記載の手法により得たものを使用した。
ビサクロンはウコン抽出物の形態で用いた。ウコン抽出物は上記「III.二日酔い症状に対する効果」に記載の手法により得たものを使用した。ウコン抽出物中のビサクロンの量は、抽出物を酢酸エチルと混合し、遠心分離して得られた上澄み液から酢酸エチルを減圧留去後、アセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、上記「III.二日酔い症状に対する効果」に記載の試験飲料中のビサクロン量の測定方法と同様に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。
各飲料のpH値の調整はクエン酸及び/又はクエン酸3ナトリウムを用いて行った。表中のpH値は品温20℃で測定された値を指す。
各飲料は水以外の成分(粉末原料)を混合した後、水に添加溶解して、液体原料を投入して100mLの水溶液とし、93℃に加熱したものを金属缶にホットパックして作製した。各飲料についてそれぞれ4本作製した。
各試験飲料を、93℃加熱前、及び93℃加熱・ホットパック後、並びに、40℃の条件下に、7日間、14日間、及び30日間保存した後、各飲料中のビサクロンの量を上記「III.二日酔い症状に対する効果」の実験と同様に測定した。93℃加熱前のサンプルのビサクロン含量を100%とした時の、各サンプルのビサクロン含量を百分率で算出した。
結果を図4に示す。飲料のpH値が2.9であるものと比べて、飲料のpH値が3.1及び3.3以上である場合に、飲料中のビサクロン量の減衰速度(グラフ傾き)が緩やかになることが示された。また、飲料のpH値が3.1及び3.3であるものと比べて、飲料のpH値が3.5以上である場合に、飲料中のビサクロン量の減衰速度(グラフ傾き)がさらに緩やかになることが示された。すなわち、飲料のpH値が3.1以上である場合において、飲料中のビサクロンの分解が抑制されビサクロンが安定的に含有され得ることが確認され、また飲料のpH値が3.5以上である場合において、飲料中のビサクロンの分解がさらに抑制されビサクロンが安定的に含有され得ることが確認された。

Claims (9)

  1. 経口摂取される組成物であって、一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上含有する組成物。
  2. ビサクロンがウコン抽出物に由来する、請求項1に記載の組成物。
  3. クルクミンをさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 飲食品又は医薬品である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 液状組成物である、請求項4に記載の組成物。
  6. pHが3.1以上である、請求項5に記載の組成物。
  7. 請求項5又は6に記載の組成物が入れられた、容器詰飲料。
  8. ビサクロンを有効成分として、一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上含有する、二日酔いの症状の抑制剤。
  9. 二日酔いの症状が頭重感、二日酔い感、アルコール残り感、及び/又は、胃の不快感である、請求項8に記載の抑制剤。
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