JP2019010779A - タイヤ加硫方法及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 トレッド部における加硫度の偏りを矯正し、良好な転がり抵抗を実現することを可能にしたタイヤ加硫方法及びそれにより得られる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 トレッド部1に溝が形成されており、タイヤ赤道CLを境にしてトレッド部1を第1踏面領域A1と第2踏面領域A2に区分したとき、第1踏面領域A1の溝による空隙体積が第2踏面領域A2の溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤを加硫する方法であって、第1踏面領域A1を成形する第1成形領域B1と第2踏面領域A2を成形する第2成形領域B2とを備えた金型20を第1成形領域B1が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型20内に未加硫タイヤを挿入して加硫を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タイヤ加硫方法及びそれにより得られる空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、トレッド部における加硫度の偏りを矯正し、良好な転がり抵抗を実現することを可能にしたタイヤ加硫方法及び空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤを加硫する場合、金型内にセットされた未加硫タイヤの内側にブラダーを挿入し、そのブラダー内に加熱加圧媒体を導入すると共に金型を外部から加熱することで加硫を行うことが一般的である。
上述のような空気入りタイヤの加硫工程において、加熱加圧媒体としてブラダー内に注入された高温のスチームがブラダーの上方に滞留し、ブラダーの上下方向に温度差が生じることがある。このような温度差を生じると空気入りタイヤを均一に加硫することができない。そこで、ブラダー内の加熱加圧媒体を攪拌するための方法及び装置が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これら方法及び装置によれば、ブラダー内の加熱加圧媒体に生じる温度差を解消することが可能である。
一方、本発明者等の知見によれば、空気入りタイヤの加硫工程において、金型の成形面においても上下方向の温度差が生じている。つまり、上下方向に開閉するタイプの金型では、例えば150℃以上に熱せられた金型が開かれた際に空気の対流が発生し、金型の上側部分が高温の空気と接触するのに対して金型の下側部分が低温の空気と接触し、金型の成形面においても上下方向に約3〜5℃の温度差が生じるのである。このような温度差が金型のトレッド成形領域に生じると、得られた空気入りタイヤのトレッド部に加硫度の偏りを生じ、それが転がり抵抗を悪化させる要因となる。
なお、加硫工程においては金型の温度制御が行われているが、その熱源は金型の外部にあり、熱源から金型の成形面までの距離が長く、熱伝導の時定数が加硫サイクルと同等であるため、熱源の制御に基づいて金型の成形面の温度を微調整することは現実的に不可能である。
特開2012−96437号公報 特開2012−218299号公報 特開2015−233777号公報
本発明の目的は、トレッド部における加硫度の偏りを矯正し、良好な転がり抵抗を実現することを可能にしたタイヤ加硫方法及び空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ加硫方法は、トレッド部に溝が形成されており、タイヤ赤道を境にして前記トレッド部を第1踏面領域と第2踏面領域に区分したとき、前記第1踏面領域の前記溝による空隙体積が前記第2踏面領域の前記溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤを加硫する方法であって、
前記第1踏面領域を成形する第1成形領域と前記第2踏面領域を成形する第2成形領域とを備えた金型を前記第1成形領域が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型内に未加硫タイヤを挿入して加硫を行うことを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に溝が形成されており、タイヤ赤道を境にして前記トレッド部を第1踏面領域と第2踏面領域に区分したとき、前記第1踏面領域の前記溝による空隙体積が前記第2踏面領域の前記溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤであって、
前記第1踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度が前記第2踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度よりも小さいことを特徴とするものである。
本発明者は、金型の開放時に生じる成形面の温度差を熱源の制御に基づいて微調整することは困難であるという事実に鑑みて、そのような金型の成形面の温度差(即ち、供給可能な熱エネルギーの差)を加硫負荷(加硫すべきゴムの重量)と整合させることにより、均質な好ましい加硫状態が得られることを知見し、本発明に至ったのである。
即ち、本発明では、第1踏面領域の溝による空隙体積が第2踏面領域の溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤを加硫するにあたって、第1踏面領域を成形する第1成形領域と第2踏面領域を成形する第2成形領域とを備えた金型を第1成形領域が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型内に未加硫タイヤを挿入して加硫を行うことにより、金型の成形面の温度差を加硫負荷と整合させてトレッド部における加硫度の偏りを矯正し、良好な転がり抵抗を実現することができる。
本発明において、第1踏面領域の溝による空隙体積と第2踏面領域の溝による空隙体積との差に応じて、未加硫タイヤにおけるトレッドゴム重量を第2踏面領域よりも第1踏面領域で少なくなるように分配することが好ましい。これにより、金型の成形面の温度差に対して加硫負荷を適切に調整することが可能となり、転がり抵抗の低減を促進することができる。
本発明によれば、トレッド部における加硫度の偏りが矯正される一方で、ビード部及びサイドウォール部における加硫度の偏りが矯正されていない空気入りタイヤが得られる。即ち、第1踏面領域の溝による空隙体積が第2踏面領域の溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えると共に、第1踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度が第2踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度よりも小さい空気入りタイヤが得られる。このような加硫状態を有する空気入りタイヤは、少なくともトレッド部における加硫度の偏りが第1踏面領域の溝による空隙体積と第2踏面領域の溝による空隙体積との差に基づいて矯正されているので、良好な転がり抵抗を呈するものとなる。
本発明において加硫される空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。 図1の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。 本発明のタイヤ加硫方法で使用されるタイヤ加硫装置を示す子午線半断面図である。 図3のタイヤ加硫装置の金型を示す子午線半断面図である。 本発明のタイヤ加硫方法で加硫される未加硫タイヤを構成するトレッドゴム部材の一例を示す断面図である。 本発明のタイヤ加硫方法で加硫される未加硫タイヤを構成するトレッドゴム部材の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は本発明において加硫される空気入りタイヤの一例を示すものである。図1に示すように、この空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
図2に示すように、トレッド部1には、タイヤ周方向に延びる複数本の主溝11と、タイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝12と、タイヤ幅方向に延びる複数本のサイプ13とを含む種々の溝が形成されている。そして、上記空気入りタイヤは、タイヤ赤道CLを境にしてトレッド部1を第1踏面領域A1と第2踏面領域A2に区分したとき、第1踏面領域A1における溝(主溝11、ラグ溝12、サイプ13を含む全ての溝成分)による空隙体積が第2踏面領域A2における溝(主溝11、ラグ溝12、サイプ13を含む全ての溝成分)による空隙体積よりも3%以上(好ましくは3%〜10%)大きくなる非対称トレッドパターンを備えている。つまり、第1踏面領域A1の空隙体積は第2踏面領域A2の空隙体積の103%以上に設定されている。図2において、第1踏面領域A1及び第2踏面領域A2は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに測定されるタイヤ軸方向の接地端Eと、タイヤ幅方向中央位置を通るタイヤ赤道CLとの間に規定される領域であるが、タイヤ赤道CLからトレッド部1のデザインエンドまでの領域としても良い。
図3は本発明のタイヤ加硫方法で使用されるタイヤ加硫装置を示し、図4はその金型を示すものである。図3に示すように、このタイヤ加硫装置は、空気入りタイヤTの外表面を成形する金型20と、空気入りタイヤTの内側に挿入される筒状のブラダー30と、金型20を外側から加熱する熱源40とを備えている。
金型20は、空気入りタイヤTのサイドウォール部を成形するための下側サイドプレート21及び上側サイドプレート22と、空気入りタイヤTのビード部を成形するための下側ビードリング23及び上側ビードリング24と、空気入りタイヤTのトレッド部を成形するための複数のセクター25とから構成され、その金型20の内側で空気入りタイヤTを加硫成形するようになっている。金型20は、図4に示すように、空気入りタイヤTの第1踏面領域A1(図2参照)を成形するための第1成形領域B1と第2踏面領域A2(図2参照)を成形するための第2成形領域B2とを備えている。なお、金型20の構造は特に限定されるものではなく、図示のようなセクショナルタイプのモールドのほか、二つ割りタイプのモールドを使用することも可能である。
ブラダー30は、その下端部が下側ビードリング23と下側クランプリング31との間に把持され、その上端部が上側クランプリング32と補助リング33との間に把持されている。図4に示すような加硫状態において、ブラダー30は空気入りタイヤTの径方向外側に向かって拡張した状態にあるが、加硫後に空気入りタイヤTを金型20内から取り出す際には上側クランプリング32が上方に移動し、それに伴ってブラダー30が空気入りタイヤTの内側から抜き取られるようになっている。
熱源40は金型20を構成する下側サイドプレート21、上側サイドプレート22及びセクター25に付設されていて、これら熱源40により金型20を加熱することにより、空気入りタイヤTの加硫が行われるようになっている。熱源40の配置及び構造は特に限定されるものではない。
次に、本発明のタイヤ加硫方法について説明する。第1踏面領域A1の溝による空隙体積が第2踏面領域A2の溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤT(図1及び図2参照)を加硫する場合、図3及び図4に示すように、第1踏面領域A1を成形する第1成形領域B1と第2踏面領域A2を成形する第2成形領域B2とを備えた金型20を第1成形領域B1が鉛直方向の下側となるように配置する。そして、金型20内に未加硫状態の空気入りタイヤTを挿入し、ブラダー30の内側に加熱加圧媒体を導入すると共に、熱源40により金型20を加熱することにより、空気入りタイヤTの加硫を行う。
加硫後、金型20を開放して加硫済みの空気入りタイヤTを取り出し、未加硫状態の空気入りタイヤTを新たに投入して加硫を行う。このような加硫工程を繰り返すことにより、多数本の空気入りタイヤTを連続的に生産することができる。空気入りタイヤTの連続生産において、金型20が開かれた際には空気の対流が発生し、金型20の上側部分が高温の空気と接触するのに対して金型20の下側部分が低温の空気と接触し、金型20の成形面において上下方向に約3〜5℃の温度差が生じることになる。
上述したタイヤ加硫方法によれば、第1踏面領域A1の溝による空隙体積が第2踏面領域A2の溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤTを加硫するにあたって、第1踏面領域A1を成形する第1成形領域B1と第2踏面領域A2を成形する第2成形領域B2とを備えた金型20を第1成形領域B1が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型20内に未加硫状態の空気入りタイヤTを挿入して加硫を行うことにより、金型20の成形面の温度差を加硫負荷と整合させてトレッド部20における加硫度のタイヤ幅方向に沿って均一にすることができる。その結果、空気入りタイヤTの転がり抵抗を低減することができる。
上述したタイヤ加硫方法を実施するにあたって、第1踏面領域A1の溝による空隙体積と第2踏面領域A2の溝による空隙体積との差に応じて、未加硫状態の空気入りタイヤTにおけるトレッドゴム重量を予め第2踏面領域A2よりも第1踏面領域A1で少なくなるように分配すると良い。
より具体的には、図5に示すように、タイヤ成形工程に供される帯状のトレッドゴム部材Rを押出成形する際に、トレッドゴム部材Rの第1踏面領域A1に対応する部分の断面積を第2踏面領域A2に対応する部分の断面積よりも小さくすることが可能である。或いは、図6に示すように、ストリップ材Sを巻回することで環状のトレッドゴム部材Rを成形する際に、トレッドゴム部材Rの第1踏面領域A1に対応する部分でのストリップ材Sの巻回数を第2踏面領域A2に対応する部分でのストリップ材Sの巻回数よりも少なくすることが可能である。これにより、空隙体積が相対的に大きい第1踏面領域A1のゴムボリュームが相対的に少なくなり、空隙体積が小さい第2踏面領域A2のゴムボリュームが相対的に多くなるので、金型20の成形面の温度差に対して加硫負荷を適切に調整することが可能となり、転がり抵抗の低減を促進することができる。
上述したタイヤ加硫方法によれば、第1踏面領域A1の溝による空隙体積が第2踏面領域A2の溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えると共に、第1踏面領域A1に対応する側に位置するビード部3及びサイドウォール部2の加硫度が第2踏面領域A2に対応する側に位置するビード3部及びサイドウォール部2の加硫度よりも小さい空気入りタイヤTが得られる。このような加硫状態を有する空気入りタイヤTは、少なくともトレッド部1における加硫度の偏りが第1踏面領域A1の溝による空隙体積と第2踏面領域A2の溝による空隙体積との差に基づいて矯正されているので、良好な転がり抵抗を呈するものとなる。
なお、第1踏面領域A1に対応する側に位置するビード部3及びサイドウォール部2の加硫度と第2踏面領域A2に対応する側に位置するビード3部及びサイドウォール部2の加硫度との大小関係の判定は、以下のようにして行うことが可能である。即ち、空気入りタイヤTの両側のビード部3及びサイドウォール部2の対応する位置からそれぞれゴムサンプルを採取し、そのゴムサンプルの物性を比較する。金型20の上下方向に温度差があると、加硫反応の進行度合いに応じてゴムの諸特性に違いが生じる。諸特性のいずれからも加硫度を判定することは可能であるが、特に膨潤度に基づいて加硫度の大小関係を対比することが望ましい。膨潤度の測定は例えばJIS−K6258(2016)に準拠して行うことができる。引張り特性に基づいて加硫度を判定する場合、大きなゴムサンプルが必要となり、硬度に基づいて加硫度を判定する場合、判定結果にばらつきが生じ易い。また、硫黄の架橋形態を詳細に化学分析した場合、手間は掛かるが正確な判定を行うことができる。
トレッド部に溝が形成されており、タイヤ赤道を境にしてトレッド部を第1踏面領域と第2踏面領域に区分したとき、第1踏面領域の溝による空隙体積が第2踏面領域の溝による空隙体積の110%である非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤを加硫するにあたって、その条件を種々異ならせて加硫(実施例1,2及び比較例)を行った。
実施例1:
第1踏面領域を成形する第1成形領域と第2踏面領域を成形する第2成形領域とを備えた金型を第1成形領域が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型内に未加硫タイヤを挿入して加硫を行った。その際、第1踏面領域の溝による空隙体積と第2踏面領域の溝による空隙体積との差に応じて、未加硫タイヤにおけるトレッドゴム重量を第2踏面領域よりも第1踏面領域で少なくした。
実施例2:
第1踏面領域を成形する第1成形領域と第2踏面領域を成形する第2成形領域とを備えた金型を第1成形領域が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型内に未加硫タイヤを挿入して加硫を行った。その際、未加硫タイヤにおけるトレッドゴム重量をタイヤ幅方向両側で均等に配分した。
比較例:
第1踏面領域を成形する第1成形領域と第2踏面領域を成形する第2成形領域とを備えた金型を第2成形領域が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型内に未加硫タイヤを挿入して加硫を行った。その際、未加硫タイヤにおけるトレッドゴム重量をタイヤ幅方向両側で均等に配分した。
上述した実施例1,2及び比較例に係るタイヤ加硫方法により得られた空気入りタイヤについて、所定の空気圧を充填すると共に所定の荷重を負荷した状態で転がり抵抗を測定し、その結果を表1に示した。評価結果は、比較例を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
Figure 2019010779
表1から判るように、実施例1,2のタイヤ加硫方法により得られたタイヤは、トレッド部における加硫度の偏りが第1踏面領域の溝による空隙体積と第2踏面領域の溝による空隙体積との差に基づいて矯正されているため、比較例に比べて良好な転がり抵抗を呈するものであった。
また、実施例1,2及び比較例のタイヤ加硫方法により得られたタイヤについて、両側のビード部及びサイドウォール部から採取したゴムサンプルの膨潤度を測定したところ、加硫時に下側に配置された部位の加硫度が相対的に小さくなっていた。つまり、実施例1,2のタイヤでは、第1踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度が第2踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度よりも小さくなっていた。一方、比較例のタイヤでは、その逆の関係になっていた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
11 主溝
12 ラグ溝
13 サイプ
20 金型
30 ブラダー
40 熱源
A1 トレッド部の第1踏面領域
A2 トレッド部の第2踏面領域
B1 金型の第1成形領域
B2 金型の第2成形領域
CL タイヤ赤道
T 空気入りタイヤ

Claims (3)

  1. トレッド部に溝が形成されており、タイヤ赤道を境にして前記トレッド部を第1踏面領域と第2踏面領域に区分したとき、前記第1踏面領域の前記溝による空隙体積が前記第2踏面領域の前記溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤを加硫する方法であって、
    前記第1踏面領域を成形する第1成形領域と前記第2踏面領域を成形する第2成形領域とを備えた金型を前記第1成形領域が鉛直方向の下側となるように配置し、該金型内に未加硫タイヤを挿入して加硫を行うことを特徴とするタイヤ加硫方法。
  2. 前記第1踏面領域の前記溝による空隙体積と前記第2踏面領域の前記溝による空隙体積との差に応じて、前記未加硫タイヤにおけるトレッドゴム重量を前記第2踏面領域よりも前記第1踏面領域で少なくなるように分配することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫方法。
  3. トレッド部に溝が形成されており、タイヤ赤道を境にして前記トレッド部を第1踏面領域と第2踏面領域に区分したとき、前記第1踏面領域の前記溝による空隙体積が前記第2踏面領域の前記溝による空隙体積よりも3%以上大きくなる非対称トレッドパターンを備えた空気入りタイヤであって、
    前記第1踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度が前記第2踏面領域に対応する側に位置するビード部及びサイドウォール部の加硫度よりも小さいことを特徴とする空気入りタイヤ。
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