JP2019001697A - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】相対屈折率の温度係数が低い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得る。【解決手段】光学ガラスは、質量%で、P2O5成分を20.0〜40.0%、Nb2O5成分を25.0〜50.0%、質量和(Na2O+K2O)が3.0〜30.0%を含有し、相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40〜60℃)が+3.0×10−6〜−10.0×10−6(℃−1)の範囲内にある光学ガラス。【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
近年、車載カメラ等の車載用光学機器に組み込まれる光学素子や、プロジェクタ、コピー機、レーザプリンタ及び放送用機材等のような多くの熱を発生する光学機器に組み込まれる光学素子では、より高温の環境での使用が増えている。このような高温の環境では、光学系を構成する光学素子の使用時の温度が大きく変動し易く、その温度が100℃以上に達する場合も多い。このとき、温度変動による光学系の結像特性等への悪影響が無視出来ないほど大きくなるため、温度変動によっても結像特性等に影響が生じ難い光学系を構成することが求められている。
温度変動による結像特性等への影響が生じ難い光学系を構成するにあたっては、温度が上昇したときに屈折率が低くなり、相対屈折率の温度係数がマイナスとなるガラスから構成される光学素子と、温度が上昇したときに屈折率が高くなり、相対屈折率の温度係数がプラスとなるガラスから構成される光学素子を併用することが、温度変化による結像特性等への影響を補正できる点で好ましい。
ここで、相対屈折率の温度係数に着目して開発されたガラスとしては、例えば特許文献1に代表されるようなガラス組成物が知られている。
特開2007−106611号公報
特許文献1に記載されたガラスは、高屈折率をもたらす成分を多く含んだガラスであり、相対屈折率の温度係数を高めることを目的とするものである。他方で、高屈折率をもたらす成分を多く含んだガラスにおいて、相対屈折率の温度係数が小さいガラスは得られていない。しかし、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる観点から、相対屈折率の温度係数がマイナスとなるガラスや、相対屈折率の温度係数の絶対値の小さなガラスも望まれている。
加えて、光学設計を行う際、低屈折率低分散硝材と高屈折率高分散硝材を接合することがあり、接合時に組み合わせる硝材の平均線熱膨張係数の差が小さくなると接合が良好となる。特に、フッ素を含有する低屈折率低分散硝材は平均線熱膨張係数が大きいことが知られているが、高屈折率高分散硝材で平均線熱膨張係数が大きい硝材はほぼ存在しておらず、平均線熱膨張係数が大きい硝材が求められている。特許文献1に記載されたガラスは、平均線熱膨張係数が小さく、このような要求に十分応えるものとは言い難い。
さらに、本発明における光学ガラスでは、再加熱して熱処理をし、ガラスの着色を取り除くという工程を経ることなく、可視光における透過率が優れたガラスを得ることができるため、より安価に製造することができる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、相対屈折率の温度係数が小さい値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる光学ガラスと、かつ低屈折率低分散硝材との接合に適した平均線熱膨張係数をもつ光学ガラスを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、P成分及びNb成分を含有し、NaO成分及びKO成分を所定量含有することで、相対屈折率の温度係数が低い値をとる安価なガラスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 質量%で、
成分 20.0〜40.0%、
Nb成分 25.0〜50.0%、
質量和(NaO+KO)が3.0〜30.0%、
を含有し、
相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40〜60℃)が+3.0×10−6
−10.0×10−6(℃−1)の範囲内にある光学ガラス。
(2) 質量和(NaO+KO+BaO)が10.0〜35.0%であることを特徴とする(1)記載の光学ガラス。
(3) 100〜300℃における平均線熱膨張係数αが80(10−7−1)以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4) 1.65以上2.00以下の屈折率(n)を有し、10以上35以下のアッベ数(ν)を有する(1)から(3)記載の光学ガラス。
(5) (1)から(4)のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
(6) (1)から(4)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(7) (6)に記載の光学素子を備える光学機器。
本発明によれば、相対屈折率の温度係数が小さい値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与でき、かつ可視光における透過率が良好な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を、より安価に得ることができる。
本発明の光学ガラスは、質量%で、P成分を20.0%以上40.0%以下、Nb成分を合計25.0%以上50.0%以下、NaO成分及びKO成分の質量和が3.0%以上30.0%以下含有し、相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40〜60℃)が+3.0×10−6〜−10.0×10−6(℃−1)の範囲内にある。
NaO成分及びKO成分を多く含有することで、相対屈折率の温度係数が小さい値をとり平均線熱膨張係数が大きい硝材ガラスを得ることができる。
従って、可視光における透過率が良好でありながら、相対屈折率の温度係数が小さい値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与でき、低屈折率低分散硝材との接合性の良く、可視光における透過率が良好な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子をより安価に得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所について、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成の全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量数を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
成分はガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、P成分を20.0%以上含有することで、熔融ガラスの粘性を良好にし、ガラスの安定性を高められる。また、リヒートプレス時の失透性を良好とする。従って、P成分の含有量は、好ましくは20.0%以上、より好ましくは21.0%超、さらに好ましくは22.0%超とする。
他方で、P成分の含有量を40.0%以下にすることで、所望の屈折率及び分散を維持することが出来る。従って、P成分の含有量は、好ましくは40.0%以下、より好ましくは35.0%以下、さらに好ましくは30.0%未満とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO4、NaHPO、KHPO等を用いることができる。
Nb成分は高屈折率高分散成分として必須の成分である。特に、Nb成分を25.0%以上含有することで、高屈折率、高分散を維持しながらガラスの安定性を高めることができる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは25.0%以上、より好ましくは28.0%超、さらに好ましくは30.0%超とする。
他方で、Nb成分の含有量を50.0%以下にすることで、平均線熱膨張係数が大きく、所望の屈折率及び分散を維持することが出来る。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは47.0%以下とする。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
NaO成分は、0%超含有する場合に、ガラス原料の熔融性を高められ、透過率を良好とし、相対屈折率の温度係数を小さくできる任意成分である。従って、NaO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%超、さらに好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超、さらに好ましくは1.5%超、さらに好ましくは2.0%超とする。
特に、10.0%を超えて含有する場合、相対屈折率の温度係数を小さくする効果が高まり、ガラスの熔融性も良好となるため、10.0%超としてもよい。
他方で、NaO成分の含有量を35.0%以下にすることで、過剰な含有によるガラスの屈折率の低下や、化学的耐久性(耐水性)の低下、失透を低減でき、リヒートプレス時の失透を抑制できる。従って、NaO成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
NaO成分は、原料としてNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いることができる。
O成分は、0%超含有する場合に、平均線熱膨張係数が大きく、透過率を良好とし、相対屈折率の温度係数を小さくできる任意成分である。従って、KO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超としてもよい。
特に、5.0%を超えて含有する場合、相対屈折率の温度係数を小さくする効果が高まり、ガラスの安定性も良好となるため、5.0%超としてもよい。
他方で、KO成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの安定性を維持し、かつ屈折率の低下を抑えられる。従って、KO成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは15.0%未満とする。
O成分は、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いることができる。
BaO成分は、0%超含有する場合に、ガラス原料の熔融性を高められ、ガラスの失透を低減でき、屈折率を高められ、相対屈折率の温度係数を小さくできる任意成分である。また、高屈折率をもたらす成分の中では材料コストが低く、熔解し易い成分である。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%超、さらに好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超とする。
他方で、BaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、平均線熱膨張係数が大きく、過剰な含有によるガラスの屈折率の低下や、失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは19.0%未満、さらに好ましくは18.0%未満とする。
BaO成分は、原料としてBaCO、Ba(NO、Ba(PO、BaF2、等を用いることができる。
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、アッベ数を低くでき、安定なガラスを得易くできる成分である。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは3.0%超、さらに好ましくは5.0%以上としてもよい。
他方で、TiO成分の含有量を30.0%以下にすることで、平均線熱膨張係数が大きく、相対屈折率の温度係数を小さくでき、TiO成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは26.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満としてもよい。
TiO成分は、原料としてTiO等を用いることができる。
SiO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの粘度を良好にすることができるガラス形成酸化物成分である。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%超、さらに好ましくは0.3%超とする。
他方で、SiO成分の含有量を5.0%以下にすることで、ガラス転移点の上昇を抑えられ、かつ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%未満とする。
SiO成分は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔融性を高めることができるガラス形成酸化物として任意に用いられる成分である。
他方で、B成分の含有量を5.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、かつ化学的耐久性の悪化を抑えられ、リヒートプレス時の失透性の悪化を低減できる。従って、B成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.5%未満、さらに好ましくは1.3%未満とする。
WO成分は、0%超含有する場合に、高屈折率をもたらす他の成分によるガラスの着色を低減しながら、屈折率を高め、アッベ数を低くでき、ガラス転移点を低くでき、かつ失透を低減できる任意成分である。
他方で、WO成分の含有量を10.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、リヒートプレス時の失透を抑えられる。また、WO成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは9.0%未満、さらに好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは6.5%未満、さらに好ましくは5.0%未満としてもよい。
WO成分は、原料としてWO等を用いることができる。
ZnO成分は、0%超含有する場合に、原料の熔解性を高め、熔解したガラスからの脱泡を促進し、また、ガラスの安定性を高められる任意成分である。また、ガラス転移点を低くでき、かつ化学的耐久性を改善できる成分でもある。
他方で、ZnO成分の含有量を5.0%未満にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、熱による膨張を低減でき、屈折率の低下を抑えられ、かつ、過剰な粘性の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは4.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満としてもよい。また、ZnO成分は含有しなくてもよい。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF等を用いることができる。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、かつ失透を低減できる任意成分である。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超としてもよい。
他方で、ZrO成分の含有量を5.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、ZrO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満としてもよい。また、ZrO成分は含有しなくてもよい。
ZrO成分は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
MgO成分、CaO成分及びSrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率や熔融性、耐失透性を調整できる任意成分である。
他方で、MgO成分、CaO成分及びSrO成分の含有量を5.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えることができ、かつこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、MgO成分、CaO成分及びSrO成分の含有量は、それぞれ好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは2.0%未満とする。
LiO成分はガラスの熔融性を改善でき、ガラス転移点を低くできる任意成分である。
他方で、LiO成分の含有量を低減させることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、かつガラスの失透及びリヒートプレス時の失透を低減できる。従って、LiO成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%未満としてもよい。
LiO成分は、原料としてLiCO及び、LiNO、LiF等を用いることができる。
Al成分及びGa成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの耐失透性を向上できる任意成分である。
他方で、Al成分又はGa成分の含有量をそれぞれ10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al成分及びGa成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
Al成分は、原料としてAl、Al(OH)、AlF等を用いることができ、Ga成分は原料としてGa等を用いることができる。
Sb成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスを脱泡できる任意成分である。
他方で、Sb成分の含有量を1.0%以下にすることで、可視光領域の短波長領域における透過率の低下や、ガラスのソラリゼーション、内部品質の低下を抑えられる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.2%未満、さらに好ましくは0.1%未満としてもよい。
Sb成分は、原料としてSb、Sb、NaSb・5HO等を用いることができる。
NaO成分及びKO成分の合計含有量は、3.0%以上が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数を小さく、平均線熱膨張係数が大きくかつ透過率が良好なガラスを得易くできる。従って、質量和(NaO+KO)は、好ましくは3.0%以上、より好ましくは4.0%超、より好ましくは5.0%超、さらに好ましくは6.0%超とする。
他方で、この合計含有量を30.0%以下にすることで、化学的耐久性の悪化及び過剰な含有によるガラスの屈折率の低下を抑えられる。従って、質量和(NaO+KO)は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満とする。
NaO成分、KO成分及びBaO成分の合計含有量は、10.0%以上が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数が小さいガラスを得易くできる。
従って、質量和(NaO+KO+BaO)は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは12.0%超、より好ましくは14.0%超、より好ましくは16.0%以上、さらに好ましくは17.5%超とする。
他方で、この合計含有量を35.0%未満にすることで、化学的耐久性の悪化及び過剰な含有によるガラスの屈折率の低下、リヒートプレス時の失透性の低減を抑えられる。従って、質量和(NaO+KO+BaO)は、好ましくは35.0%、より好ましくは33.0%以下、さらに好ましくは30.0%未満とする。
Nb成分とTiO成分の合計含有量は、30.0%以上が好ましい。これにより、高屈折率を維持しながらも、相対屈折率の温度係数を小さくすることができる。
従って、質量和(Nb+TiO)は、好ましくは30.0%以上、より好ましくは35.0%以上、さらに好ましくは40.0%以上とする。
一方で、質量和(Nb+TiO)は、65.0%以下とすることで、液相温度を下げ、安定したガラスを得ることができる。従って、質量和(Nb+TiO)は、好ましくは65.0%以下、より好ましくは63.0%以下、さらに好ましくは60.0以下とする。
成分及びTiO成分の合計含有量に対する、NaO成分及びKO成分及びBaO成分の比率は、0.5超であることが好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数を小さくし、かつ平均線熱膨張係数を大きくすることができる。従って、質量比(NaO+KO+BaO)/(B+TiO)は、好ましくは0.5超、より好ましくは0.7超、さらに好ましくは1.0超とする。
一方で、質量比(NaO+KO+BaO)/(B+TiO)を5.5未満とすることで、所望の屈折率および透過率を維持しながら、リヒートプレスが良好なガラスを得ることができる。従って、質量比(NaO+KO+BaO)/(B+TiO)は、好ましくは5.5未満、より好ましくは5.0未満、さらに好ましくは4.8未満とする。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、0%超とすることで、ガラスの屈折率を高められ、熔融性及び耐失透性を高めることができる。従って、RO成分の含有量の和(質量和)は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超を下限とする。一方で、RO成分を30.0%以下とすることで、平均線熱膨張係数が大きく、過剰な含有によるガラスの屈折率の低下や、失透を低減できる。そのため、RO成分の含有量の和(質量和)は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%以下、さらに好ましくは20.0%以下を上限とする。
La成分、Gd成分、Y成分、Yb成分及びTa成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、かつ耐失透性を高められる任意成分である。
他方で、La成分、Gd成分、Y成分、Yb成分及びTa成分の含有量を5.0%以下にすることで、光学ガラスの原料コストを低減でき、また、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストも低減できる。従って、これら各成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%未満、より好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、かつ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかしながら、GeOは原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、アッベ数を低くでき、かつガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、Bi成分の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。特に、良好な透過率のガラスを取得するという観点では含有しないことが好ましい。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
TeO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、かつガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、TeOは白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
SnO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの酸化を低減して清澄し、かつガラスの可視光透過率を高められる任意成分である。
他方で、SnO成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満としてもよい。
SnO成分は、原料としてSnO、SnO、SnF、SnF等を用いることができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分やSnO成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
F成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を高め、ガラス転移点を低くし、かつ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が10.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
F成分は、原料として例えばZrF、AlF、NaF、CaF等を用いることで、ガラス内に含有することができる。
成分及びRnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の合計含有量に対する、SiO成分及びAl成分及びZnO成分含有量の比率は、15.0以下が好ましい。この比率を小さくすることで、熔融性の悪化を抑えることができる。
従って、質量比(SiO+Al+ZnO)/(B+RnO)は、好ましくは15.0以下、より好ましくは12.0以下、より好ましくは10.0以下、より好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0以下、さらに好ましくは5.0未満とする。
一方で、質量比(SiO+Al+ZnO)/(B+RnO)を0超とすることができる。これにより、相対屈折率の温度係数を小さくし、かつ平均線熱膨張係数を大きくすることができる。従って、質量比(SiO+Al+ZnO)/(B+RnO)は、好ましくは0超、より好ましくは1.0超、さらに好ましくは2.0超とする。
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、1.0%超含有することで、相対屈折率の温度係数を小さくし、かつ平均線熱膨張係数を大きくすることができる。従って、RnO成分の含有量の和(質量和)は、好ましくは1.0%超、よりに好ましくは1.5%超、さらに好ましくは2.0%超とする。
他方で、この和を30.0%以下にすることで、所望の屈折率、分散を維持しながらガラスの粘性の低下による失透を低減することができる。従って、RnO成分の含有量の和(質量和)は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満とする。
本発明の光学ガラスは、上述のRnO成分のうち2種以上の成分を含有することが好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数を小さくし、透過率を良好とする為に再加熱して熱処理する工程が不要となる。特に、RnO成分として、NaO成分とKO成分を含む2種以上の成分を含有することが、平均線熱膨張係数が大きく、透過率を良好とし、相対屈折率の温度係数を小さくできる点で好ましい。
Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、5.0%以下が好ましい。
これにより、耐失透性に優れ、かつ透過率の良好なガラスを取得出来る。従って、Ln成分の含有量の和(質量和)は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは2.0%未満とする。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
また、PbO等の鉛化合物及びAs等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記各成分の原料として、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を、各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1000〜1500℃の温度範囲で1〜10時間熔解させて攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
<物性>
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び低アッベ数(高分散)を有することが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.65以上、より好ましくは1.67以上、さらに好ましくは1.69以上とする。この屈折率(n)は、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.98以下、さらに好ましくは1.96以下、さらに好ましくは1.95以下としてもよい。
また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは10.0以上、より好ましくは13.0以上、さらに好ましくは15.0以上、さらに好ましくは17.0以上とする。このアッベ数(ν)は、好ましくは35.0以下、より好ましくは34.0以下、さらに好ましくは32.0以下、さらに好ましくは30.0以下としてもよい。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような高分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長によって焦点を適切にずらすことができる。そのため、例えば低分散(高いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
本発明の光学ガラスは、相対屈折率の温度係数(dn/dT)が低い値をとる。
より具体的には、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは+3.0×10−6−1、より好ましくは+1.5×10−6−1、さらに好ましくは+1.0×10−6−1を上限値とし、この上限値又はそれよりも低い(マイナス側)の値をとりうる。
他方で、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは−10.0×10−6−1、より好ましくは−8.0×10−6−1、さらに好ましくは−7.0×10−6−1を下限値とし、この下限値又はそれよりも高い(プラス側)の値をとりうる。
このうち、1.65以上の屈折率(n)を有し、かつ10以上35以下のアッベ数(ν)を有するガラスとして、相対屈折率の温度係数の低いガラスは多く存在しておらず、温度変化による結像のずれ等の補正の選択肢を広げられ、その補正をより容易にできる。従って、このような範囲の相対屈折率の温度係数にすることで、温度変化による結像のずれ等の補正に寄与することができる。
本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、光学ガラスと同一温度の空気中における屈折率(589.29nm)の温度係数のことであり、40℃から60℃に温度を変化させた際の、1℃当たりの変化量(℃−1)で表される。
本発明の光学ガラスは、100〜300℃における平均線熱膨張係数αが80(10−7−1)以上であることが好ましい。すなわち、本発明の光学ガラスの100〜300℃における平均線熱膨張係数αは、好ましくは80(10−7−1)以上、より好ましくは85(10−7−1)以上、より好ましくは90(10−7−1)以上とする。
一般的に、平均線熱膨張係数αが大きいとガラスを加工する際に割れが生じやすくなるため、平均線熱膨張係数αの値は小さいほうが望ましい。一方で、相対屈折率の温度係数が低く、かつ平均線熱膨張係数αの値が大きい硝材と組み合わせて接合する観点においては、当該硝材と平均線熱膨張係数αの値が同一又は近似であることが望ましい。
このうち、1.65以上の屈折率(n)を有し、かつ10以上35以下のアッベ数(ν)を有するガラスでは、平均線熱膨張係数αが大きい硝材が少なく、低屈折率低分散硝材と組み合わせて使用する場合に、本発明のように平均線熱膨張係数αが大きい値を有する方が有用である。
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、それにより着色が少ないことが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す最も短い波長(λ80)は、好ましくは460nm以下、より好ましく450nm以下、さらに好ましくは440nm以下とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す最も短い波長(λ70)は、好ましくは430nm以下、より好ましくは420nm以下、さらに好ましくは410nm以下とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ)は、好ましくは400nm以下、より好ましくは390nm以下、さらに好ましくは380nm以下とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。 なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用である。その中でも特に、本発明の光学ガラスからプリフォームを形成し、このプリフォームを用いてリヒートプレス成形や精密プレス成形等を行い、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、径の大きなプリフォームの形成が可能になるため、光学素子の大型化を図りながらも、光学機器に用いたときに高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現できる。
本発明の光学ガラスからなるガラス成形体は、例えばレンズ、プリズム、ミラー等の光学素子の用途に用いることができ、典型的には車載用光学機器やプロジェクタやコピー機等の、高温になり易い機器に用いることができる。
本発明の実施例(No.1〜No.51)及び比較例(No.A、B)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、相対屈折率の温度係数(dn/dT)、平均線熱膨張係数(100〜300℃)、透過率(λ80、λ70、λ)の結果を表1〜表8に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で800〜1300℃の温度範囲で1〜10時間熔解させた後、攪拌均質化してから金型等に鋳込み、徐冷して作製した。
実施例及び比較例のガラスの屈折率(n)及びアッベ数(ν)は、ヘリウムランプのd線(587.56nm)に対する測定値で示した。また、アッベ数(ν)は、上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.13nm)に対する屈折率(n)、C線(656.27nm)に対する屈折率(n)の値を用いて、アッベ数(ν)=[(n−1)/(n−n)]の式から算出した。
実施例及び比較例のガラスの相対屈折率の温度係数(dn/dT)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS18−2008「光学ガラスの屈折率の温度係数の測定方法」に記載された方法のうち干渉法により、波長589.29nmの光についての、40〜60℃における相対屈折率の温度係数の値を測定した。
また、実施例及び比較例のガラスの平均線熱膨張係数(100−300℃)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に従い、温度と試料の伸びとの関係を測定することで得られる熱膨張曲線より求めた。
実施例のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02−2003に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ80(透過率80%時の波長)、λ70(透過率70%時の波長)及びλ(透過率5%時の波長)を求めた。











































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本発明の実施例の光学ガラスは、P成分及びNb成分を含有し、NaO成分及びKO成分を所定量含有することで、相対屈折率の温度係数が小さい値をとる安価なガラスが得ることができる。
表に表されるように、実施例の光学ガラスは、いずれも相対屈折率の温度係数が+1.0×10−6〜−10.0×10−6(℃−1)の範囲内、より詳細には+3.0×10−6〜−10.0×10−6(℃−1)の範囲内にあり、所望の範囲内であった。
また、実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.65以上であり、所望の範囲内であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が10以上35以下の範囲内にあり、所望の範囲内であった。
また、実施例の光学ガラスは、いずれも平均線熱膨張係数(100−300℃)が80(10−7−1)以上であった。
また、実施例の光学ガラスは、透過率(λ80)が460nm以下、透過率(λ70)が430nm以下、透過率(λ)が400nm以下であった。
また、実施例の光学ガラスは、安定なガラスを形成しており、ガラス作製時において失透が起こり難いものであった。一方で、比較例Aのガラスは失透が生じたため、ガラス化しなかった。
従って、実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にあり、相対屈折率の温度係数が小さい値をとり、より安価な材料コストで得られることが明らかになった。このことから、本発明の実施例の光学ガラスは、高温の環境で用いられる車載用光学機器やプロジェクタ等の光学系の小型化に寄与し、温度変化による結像特性のずれ等の補正に寄与することが推察される。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、ガラスブロックを形成し、このガラスブロックに対して研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。その結果、安定に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    成分 20.0〜40.0%、
    Nb成分 25.0〜50.0%、
    質量和(NaO+KO)が3.0〜30.0%、
    を含有し、
    相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40〜60℃)が+3.0×10−6
    −10.0×10−6(℃−1)の範囲内にある光学ガラス。
  2. 質量和(NaO+KO+BaO)が10.0〜35.0%であることを特徴とする請求項1記載の光学ガラス。
  3. 100〜300℃における平均線熱膨張係数αが80(10−7−1)以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. 1.65以上2.00以下の屈折率(n)を有し、10以上35以下のアッベ数(ν)を有する請求項1から3記載の光学ガラス。
  5. 請求項1から4のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
  6. 請求項1から4のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  7. 請求項6に記載の光学素子を備える光学機器。
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