JP2019194139A - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 Download PDF

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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements

Abstract

【課題】中屈折率低分散の光学特性を有し、且つ、相対屈折率の温度係数が高い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供する。【解決手段】質量%で、B2O3成分を10.0超〜45.0%、SiO2成分を0超〜25.0%、ZnO成分を25.0超〜70.0%、La2O3成分を0〜55.0%含有し、相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40〜60℃)が+8.0×10−6〜+15.0×10−6(℃−1)の範囲内にある。【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
近年、車載カメラ等の車載用光学機器に組み込まれる光学素子や、プロジェクタ、コピー機、レーザプリンタ及び放送用機材等のような多くの熱を発生する光学機器に組み込まれる光学素子では、より高温の環境での使用が増えている。このような高温の環境では、光学系を構成する光学素子の使用時の温度が大きく変動し易く、その温度が100℃以上に達する場合も多い。このとき、温度変動による光学系の結像特性等への悪影響が無視出来ないほど大きくなるため、温度変動によっても結像特性等に影響が生じ難い光学系を構成することが求められている。
光学系を構成する光学素子の材料として、1.58以上の屈折率(n)を有し、40以上58以下のアッベ数(ν)を有する中屈折率ガラスの需要が非常に高まっている。このような中屈折率ガラスとしては、例えば特許文献1〜2に代表されるようなガラス組成物が知られている。
特開2006−321710号公報 特開平11−029338号公報
温度変動による結像性能等への影響が生じ難い光学系を構成するにあたっては、温度が上昇したときに屈折率が低くなり、相対屈折率の温度係数がマイナスとなるガラスから構成される光学素子と、温度が上昇したときに屈折率が高くなり、相対屈折率の温度係数がプラスとなるガラスから構成される光学素子を併用することが、温度変化による結像特性等への影響を補正できる点で好ましい。
特に、1.58以上の屈折率(n)と40以上58以下のアッベ数(ν)を有する中屈折率低分散率ガラスとしては、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる観点から、相対屈折率の温度係数が大きいガラスが望まれており、より具体的には、相対屈折率の温度係数がプラスとなるガラスや、相対屈折率の温度係数の絶対値の大きなガラスが望まれている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、中屈折率低分散の光学特性を有し、且つ、相対屈折率の温度係数が高い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、B成分、SiO成分、ZnO成分、La成分をはじめとした各成分の含有量を調整することによって、相対屈折率の温度係数が高い値をとることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)質量%で、
成分 10.0超〜45.0%、
SiO成分 0超〜25.0%
ZnO成分 25.0超〜70.0%、
La成分 0〜55.0%、
を含有し、
相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40〜60℃)が+8.0×10−6〜+15.0×10−6(℃−1)の範囲内にある光学ガラス。
(2)質量和(Ta+Nb+WO)が10.0%未満であることを特徴とする(1)記載の光学ガラス。
(3)1.58以上1.83以下の屈折率(n)を有し、40以上58以下のアッベ数(ν)を有する(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4)(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
(5)(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(6)(5)に記載の光学素子を備える光学機器。
本発明によれば、中屈折率低分散の光学特性を有し、且つ、相対屈折率の温度係数が高い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与することが可能な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることができる。
本発明の光学ガラスは、質量%で、B成分を10.0超〜45.0%、SiO成分を0超〜25.0%、ZnO成分を25.0超〜70.0%、La成分を0〜55.0%であり、B成分、SiO成分、ZnO成分、La成分をはじめとした各成分の含有量を調整することによって、相対屈折率の温度係数が高い値をとる。そのため、中屈折率低分散の光学特性を有し、且つ、相対屈折率の温度係数が高い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与することが可能な光学ガラスを得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所について、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成の全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量数を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
成分は、希土類酸化物を多く含む本発明の光学ガラスでは、ガラス形成酸化物として必須成分である。特に、B成分の含有量を10.0%超にすることで、ガラスの耐失透性を高め、且つガラスのアッベ数を高められる。従って、B成分の含有量は、好ましくは10.0%超、より好ましくは15.0%以上、さらに好ましくは18.0%以上とする。
一方、B成分の含有量を45.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B成分の含有量は、好ましくは45.0%以下、より好ましくは40.0%未満、より好ましくは38.0%未満、より好ましくは35.0%未満、さらに好ましくは30.0%未満とする。
成分は、原料としてHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いることができる。
SiO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの粘度を高められ、ガラスの着色を低減できる必須成分である。また、ガラスの安定性を高めて量産に耐えるガラスを得易くする成分でもある。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、より好ましくは2.0%以上とする。
他方で、SiO成分の含有量を25.0%以下にすることで、ガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
SiO成分は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いることができる。
ZnO成分は、25.0%超含有する場合に、原料の熔解性を高め、溶解したガラスからの脱泡を促進し、また、ガラスの安定性を高められ、相対屈折率の温度係数を大きくできる必須成分である。また、ガラス転移点を低くでき、且つ化学的耐久性を改善できる成分でもある。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは25.0%超、より好ましくは28.0%超、さらに好ましくは30.0%超とする。
他方で、ZnO成分の含有量を70.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つ、過剰な粘性の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは70.0%以下、より好ましくは65.0%未満、より好ましくは63.0%未満とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF等を用いることができる。
La成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高める任意成分である。
従って、1.70未満の屈折率を有する光学ガラスを所望の場合は、La成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、より好ましくは1.0%超を下限とする。一方で、La成分の含有量を10.0%以下とすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられるため、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、より好ましくは5.0%未満を上限とする。
他方で、1.70以上の屈折率を有する光学ガラスを所望の場合は、La成分の含有量は、好ましくは11.0%超、より好ましくは13.0%超、より好ましくは16.0%超を下限とする。一方で、La成分の含有量を55.0%以下とすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられるため、好ましくは55.0%以下、より好ましくは45.0%未満、より好ましくは40.0%未満、さらに好ましくは30.0%未満を上限とする。
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.5%以上とする。
他方で、TiO成分の含有量を10.0%以下にすることで、TiO成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%未満とする。
TiO成分は、原料としてTiO等を用いることができる。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高められる任意成分である。他方で、ZrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ZrO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
ZrO成分は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
Nb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。他方で、Nb成分の含有量を10.0%未満にすることで、ガラスの材料コストを抑えられる。また、Nb成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。また、これによりアッベ数の低下を抑えられる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。特に、材料コストを低減させる観点では、Nb成分を含有しないことが最も好ましい。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
WO成分は、0%超含有する場合に、他の高屈折率成分によるガラスの着色を低減しながら、屈折率を高め、ガラス転移点を低くでき、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
他方で、WO成分の含有量を10.0%未満にすることで、ガラスの材料コストを抑えられる。また、WO成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。特に、材料コストを低減させる観点では、WO成分を含有しないことが最も好ましい。
WO成分は、原料としてWO等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、中屈折率及び高アッベ数を維持しながらも、ガラスの材料コストを抑えられ、且つ、他の希土類成分よりもガラスの比重を低減できる任意成分である。従って、Y成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%超、さらに好ましくは5.0%超としてもよい。
他方で、Y成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つガラスの安定性を高められる。また、ガラス原料の熔解性の悪化を抑えられる。従って、Y成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは13.0%未満とする。
成分は、原料としてY、YF等を用いることができる。
Gd成分及びYb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。
しかしながら、Gd成分及びYb成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなるため、Nb成分やWO成分等を低減することによる効果が減殺される。また、Gd成分やYb成分の含有量を低減させることで、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Gd成分及びYb成分の含有量は、それぞれ好ましくは4.0%未満、より好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。特に、材料コストを低減させる観点では、これらの成分を含有しないことが最も好ましい。
Gd成分及びYb成分は、原料としてGd、GdF、Yb等を用いることができる。
Ta成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
しかしながら、Ta成分は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなるため、Nb成分やWO成分等を低減することによる効果が減殺される。また、Ta成分の含有量を5.0%未満にすることで、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストも低減できる。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。特に、材料コストを低減させる観点では、Ta成分を含有しないことが最も好ましい。
Ta成分は、原料としてTa等を用いることができる。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率や熔融性、耐失透性を調整できる任意成分である。
このうち、MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分の含有量をそれぞれ10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えることができ、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、原料としてMgCO、MgF、CaCO、CaF、Sr(NO、SrF、BaCO、Ba(NO、BaF等を用いることができる。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔融性を改善でき、ガラス転移点を低くできる任意成分である。
他方で、LiO成分、NaO成分及びKO成分をそれぞれ10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。また、特に、LiO成分の含有量を低減させることで、ガラスの粘性が高められるため、ガラスの脈理を低減できる。従って、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.5%未満とする。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、原料としてLiCO、LiNO、LiCO、NaCO、NaNO、NaF、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる任意成分である。
他方で、P成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いることができる。
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかしながら、GeOは原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなるため、Gd成分やTa成分等を低減することによる効果が減殺される。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。材料コストを低減させる観点で、GeO成分を含有しなくてもよい。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
Al成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性を向上でき、且つ熔融ガラスの耐失透性を向上できる任意成分である。従って、Al成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%とする。
他方で、Al成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Al成分は、原料としてAl、Al(OH)、AlF等を用いることができる。
Ga成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性を向上でき、且つ熔融ガラスの耐失透性を向上できる任意成分である。
他方で、Ga成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Ga成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Ga成分は、原料としてGa、Ga(OH)等を用いることができる。
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、Bi成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
TeO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、TeOは白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
SnO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの酸化を低減して清澄し、且つガラスの可視光透過率を高められる任意成分である。
他方で、SnO成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図ることができる。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
SnO成分は、原料としてSnO、SnO、SnF、SnF等を用いることができる。
Sb成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスを脱泡できる任意成分である。
他方で、Sb量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.3%未満とする。
Sb成分は、原料としてSb、Sb、NaSb・5HO等を用いることができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
F成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を高め、ガラス転移点を低くし、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が15.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
F成分は、原料として例えばZrF、AlF、NaF、CaF等を用いることで、ガラス内に含有することができる。
ZrO成分、TiO成分、Nb成分、WO成分及びTa成分の合計含有量は、10.0%以下が好ましい。特にこの合計含有量を10.0%以下とすることで、高分散化(アッベ数の低下)を抑えることができる。
従って、質量和(ZrO+TiO+Nb+WO+Ta)は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満とする。
ZnO成分の含有量に対するLn成分の含有量の比率は、0超含有する場合に、屈折率を高めることができる。
特に、この比を0超とすることで、高い屈折率ならびに大きいアッベ数(低分散)が得られやすくなる。従って、質量比Ln/ZnOは、好ましくは0超、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.40以上とする。
他方で、この質量比を1.70以下とすることで、耐失透性の悪化を抑えることができる。従って質量比Ln/ZnOは、好ましくは1.70以下、より好ましくは1.50以下、さらに好ましくは1.30以下とする。
及びSiO成分の含有量に対するZnO成分の含有量の比率は、0超以上2.00以下が好ましい。
特にこの比を0超とすることで、熔融性を向上させつつ、屈折率を高めることができる。従って、質量比ZnO/(B+SiO)は、好ましくは0超、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.00以上とする。
他方で、この質量比を2.00以下とすることで、失透性の悪化を抑えることができる。従って質量比ZnO/(B+SiO)は、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.90以下、さらに好ましくは1.80以下とする。
及びSiOの合計量は、18.0%以上45.0%以下が好ましい。
特に、この合計含有量を18.0%以上とすることで、失透性の悪化を抑えることができる。従って、質量和(B+SiO)は、好ましくは18.0%以上、より好ましくは20.0%以上、より好ましくは23.0%以上、さらに好ましくは25.0%以上とする。
他方で、この質量和を45.0%以下とすることで、屈折率の低下を抑えることができる。従って、この質量和は、好ましくは45.0%以下、より好ましくは43.0%以下、さらに好ましくは40.0%以下とする。
Ta成分、Nb成分及びWO成分の合計量は、10.0%未満が好ましい。これにより、これら高価な成分の含有量が低減されるため、ガラスの材料コストを抑えられる。従って、質量和(Ta+Nb+WO)は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは4.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。特に、材料コストの低廉なガラスを得る観点では、0.1%未満にすることがさらに好ましく、含有しないことが最も好ましい。
La成分及びY成分の含有量に対する、ZnO成分の含有量の比率は、0.40以上50.00以下が好ましい。
特に、屈折率を1.70未満の屈折率を有する光学ガラスを所望の場合は、質量比ZnO/(La+Y)を8.00以上にすることで、ガラス原料の熔解性を高められ、より安定なガラスを得易くできる。従って、質量比ZnO/(La+Y)は、好ましくは8.00以上、より好ましくは10.00以上、さらに好ましくは13.00以上とする。一方で、この質量比を50.00以下とすることで、液相温度を低くでき、且つ、ガラス転移点の必要以上の低下による失透を低減できるため、好ましくは50.00以下、より好ましくは48.00以下、さらに好ましくは45.00以下とする。
他方で、1.70以上の屈折率を有する光学ガラスを所望の場合は、質量比ZnO/(La+Y)を0.40以上にすることで、ガラス原料の熔解性を高められ、より安定なガラスを得易くできる。従って、質量比ZnO/(La+Y)は、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.60以上とする。一方で、この質量比を3.40以下とすることで、液相温度を低くでき、且つ、ガラス転移点の必要以上の低下による失透を低減できるため、好ましくは3.40以下、より好ましくは3.20以下、さらに好ましくは3.00以下とする。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)及びRnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和は、10.0%未満が好ましい。これにより、耐失透性の悪化や化学的耐久性の悪化を抑えることができる。従って、質量和(RO+RnO)は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは7.5%未満、さらに好ましくは5.0%未満が好ましい。
La成分及びZnO成分の含有量に対する、TiO成分の含有量の比率は、0.020以下が好ましい。
特に、この比を0.020以下にすることで、高分散化(アッベ数の低下)を抑えることができる。従って、質量比TiO/(La+ZnO)は、好ましくは0.020以下、より好ましくは0.015以下、さらに好ましくは0.013以下とする。
Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の含有量の和は、0%超含有する場合に、屈折率を高めることができる任意成分である。
この和を0%超含有することで、ガラスの屈折率及びアッベ数が高められるため、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得易くすることができる。
従って、1.70未満の屈折率を有する光学ガラスを所望の場合は、Ln成分の質量和は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超とする。一方で、この和を10.0%以下とすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減でき、また、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられるため、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、より好ましくは5.0%未満とする。
他方で、1.70以上の屈折率を有する光学ガラスを所望の場合は、Ln成分の質量和を10.0%以上含有することで、高屈折かつ高いアッベ数を得られやすくできるため、この場合は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは15.0%超、より好ましくは18.0以上とする。一方で、この和を55.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減でき、また、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられるため、好ましくは55.0%以下、より好ましくは50.0%以下、より好ましくは43.0%以下を上限とする。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和は、10.0%以下が好ましい。これにより、屈折率の低下を抑えられ、また、ガラスの安定性を高められる。従って、RO成分の和は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.5%未満とする。
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和は、10.0%以下が好ましい。これにより、溶融ガラスの粘性の低下を抑えられ、ガラスの屈折率を低下し難くでき、且つガラスの失透を低減できる。従って、RnO成分の質量和は、好ましくは10.0%以下、よりに好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。また、Rb、Csの各成分についても、ガラスの着色を抑制させる観点から、含有しないことが好ましい。
また、PbO等の鉛化合物及びAs等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物質として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記各成分の原料として、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を、各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1000〜1500℃の温度範囲で1〜10時間熔解させて攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
このとき、ガラス原料として熔解性の高いものを用いることが好ましい。これにより、より低温での熔解や、より短時間での熔解が可能になるため、ガラスの生産性を高め、生産コストを低減できる。また、成分の揮発や坩堝等との反応が低減されるため、着色の少ないガラスを得易くできる。
<物性>
本発明の光学ガラスは、中屈折率及び高アッベ数(低分散)を有する。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.58以上、より好ましくは1.60以上、さらに好ましくは1.63以上とする。この屈折率(n)は、好ましくは1.83以下、より好ましくは1.80以下、より好ましくは1.78以下としてもよい。
また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは40以上、より好ましくは44以上、さらに好ましくは45以上とする。このアッベ数(ν)は、好ましくは58以下、より好ましくは55以下とし、さらに好ましくは52以下としてもよい。
このような中屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長によって焦点を適切にずらすことができる。そのため、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
本発明の光学ガラスは、相対屈折率の温度係数(dn/dT)が高い値をとる。
より具体的には、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは+7.5×10−6−1、より好ましくは+8.0×10−6−1、さらに好ましくは+8.5×10−6−1を又はそれよりも高い(プラス側)の値をとりうる。
他方で、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは+15.0×10−6−1以下、より好ましくは+14.0×10−6−1以下、さらに好ましくは+12.0×10−6−1以下とし、この上限値又はそれよりも低い(マイナス側)の値をとりうる。
1.58以上の屈折率(n)を有し、且つ40以上58以下のアッベ数(ν)を有するガラスにおいては、相対屈折率の温度係数の高いガラスは殆ど知られておらず、温度変化による結像のずれ等の補正の選択肢を広げられ、その補正をより容易にできる。したがって、このような範囲の相対屈折率の温度係数にすることで、温度変化による結像のずれ等の補正に寄与することができる。
本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、光学ガラスと同一温度の空気中における屈折率(589.29nm)の温度係数のことであり、40℃から60℃に温度を変化させた際の、1℃当たりの変化量(℃−1)で表される。
本発明の光学ガラスは、耐失透性が高いこと、より具体的には、低い液相温度を有することが好ましい。すなわち、本発明の光学ガラスの液相温度は、好ましくは1200℃、より好ましくは1150℃、さらに好ましくは1100℃を上限とする。これにより、熔解後のガラスをより低い温度で流出しても、作製されたガラスの結晶化が低減されるため、熔融状態からガラスを形成したときの失透を低減でき、ガラスを用いた光学素子の光学特性への影響を低減できる。また、ガラスの熔解温度を低くしてもガラスを成形できるため、ガラスの成形時に消費するエネルギーを抑えることで、ガラスの製造コストを低減できる。一方で、本発明の光学ガラスの液相温度の下限は特に限定しないが、本発明によって得られるガラスの液相温度は、概ね800℃以上、具体的には850℃以上、さらに具体的には900℃以上であることが多い。
なお、本明細書中における「液相温度」とは、900℃〜1300℃の温度勾配のついた温度傾斜炉に30分間保持し、炉外に取り出して冷却した後、倍率100倍の顕微鏡で結晶の有無を観察したときに結晶が認められない一番低い温度である。
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、それにより着色が少ないことが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)は、好ましくは430nm、より好ましくは400nm、さらに好ましくは390nmを上限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ)は、好ましくは400nm、より好ましくは380nm、さらに好ましくは350nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域又はその近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
本発明の光学ガラスは、比重が小さいことが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの比重は5.00以下である。これにより、光学素子やそれを用いた光学機器の質量が低減されるため、光学機器の軽量化に寄与することができる。従って、本発明の光学ガラスの比重は、好ましくは5.00、より好ましくは4.70、より好ましくは4.50、さらに好ましくは4.40を上限とする。なお、本発明の光学ガラスの比重は、概ね2.80以上、より詳細には3.00以上、さらに詳細には3.20以上であることが多い。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用である。その中でも特に、本発明の光学ガラスからプリフォームを形成し、このプリフォームを用いてリヒートプレス成形や精密プレス成形等を行い、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、径の大きなプリフォームの形成が可能になるため、光学素子の大型化を図りながらも、光学機器に用いたときに高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現できる。
本発明の光学ガラスからなるガラス成形体は、例えばレンズ、プリズム、ミラー等の光学素子の用途に用いることができ、典型的には車載用光学機器やプロジェクタやコピー機等の、高温になり易い機器に用いることができる。
本発明の実施例(No.1〜No.38)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、相対屈折率の温度係数(dn/dT)、透過率(λ、λ80)及び液相温度の結果を表1〜表6に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明の実施例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1000〜1500℃の温度範囲で1〜10時間熔解させた後、攪拌均質化してから金型等に鋳込み、徐冷して作製した。
実施例のガラスの屈折率(n)及びアッベ数(ν)は、ヘリウムランプのd線(587.56nm)に対する測定値で示した。また、アッベ数(ν)は、上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.13nm)に対する屈折率(n)、C線(656.27nm)に対する屈折率(n)の値を用いて、アッベ数(ν)=[(n−1)/(n−n)]の式から算出した。
実施例のガラスの相対屈折率の温度係数(dn/dT)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS18−2008「光学ガラスの屈折率の温度係数の測定方法」に記載された方法のうち干渉法により、波長589.29nmの光についての、40〜60℃における相対屈折率の温度係数の値を測定した。
実施例のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02−2003に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)、λ80(透過率80%時の波長)を求めた。
実施例のガラスの液相温度は、900℃〜1300℃の温度勾配のついた温度傾斜炉に30分間保持し、炉外に取り出して冷却した後、倍率100倍の顕微鏡で結晶の有無を観察したときに結晶が認められない一番低い温度を求めた。
なお、「900以下」と記載している場合は、少なくとも900℃で結晶が認められないことを指す。
実施例及び比較例のガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定した。






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表に表されるように、実施例の光学ガラスは、いずれも相対屈折率の温度係数が+8.0×10−6〜+16.0×10−6(℃−1)の範囲内にあり、所望の範囲内であった。一方で、比較例の光学ガラスは、ZnO成分の含有量が少ないため、いずれも相対屈折率の温度係数が+8.0×10−6〜+16.0×10−6(℃−1)の範囲外であった。
また、実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.58以上であり、所望の範囲内であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が、40以上58以下の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも430nm以下であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)がいずれも400nm以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、可視光に対する透過率が高く着色し難いことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、液相温度が1200℃以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、失透のない安定なガラスであったことが明らかとなった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、比重が5.00以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比重が小さいことが明らかとなった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、ガラスブロックを形成し、このガラスブロックに対して研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。その結果、安定的に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    成分 10.0超〜45.0%、
    SiO成分 0超〜25.0%
    ZnO成分 25.0超〜70.0%、
    La成分 0〜55.0%、
    を含有し、
    相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40〜60℃)が+8.0×10−6〜+15.0×10−6(℃−1)の範囲内にある光学ガラス。
  2. 質量和(Ta+Nb+WO)が10.0%未満であることを特徴とする請求項1記載の光学ガラス。
  3. 1.58以上1.83以下の屈折率(n)を有し、40以上58以下のアッベ数(ν)を有する請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
  5. 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  6. 請求項5に記載の光学素子を備える光学機器。
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