JP2018206487A - 積層体グリーンシート、全固体二次電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成劣化を抑制した全固体二次電池を提供する。【解決手段】全固体二次電池26は、固体電解質層22が酸化物固体電解質を有し、負極層21がグラファイト負極活物質とガーネット型結晶構造の固体電解質とを有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、積層体グリーンシート、全固体二次電池及びその製造方法の技術に関する。
パーソナルコンピュータ、スマートフォンに代表される携帯電話やデジタルカメラ等の電子機器の高機能化に伴い、これら電子機器の消費電力が増大している。また、これら電子機器の小型化も求められている。このため、電子機器に用いられる二次電池に対し、さらなる高エネルギー密度化が求められている。
また、定置用途である家庭用蓄電池においても高エネルギー密度化が求められている。更に、近年、ハイブリッド車や電気自動車などの車載用途の二次電池の需要拡大に伴い、二次電池における高出力密度化と高エネルギー密度化の両立が求められている。この他にも、二次電池には電解液に有機溶媒が使用されているため、電解液の漏液や熱暴走などのおそれがあることから、二次電池の安全性向上も求められている。
そして、これらの要求を満たす二次電池として最も有力であるのが、負極層、電解質層及び正極層の全構成が固体材料から成る全固体リチウムイオン二次電池である。この全固体リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、高い安全性、長寿命を兼ね備えた電池として、開発が進んでいる。
しかしながら、現在実用化されている全固体リチウムイオン二次電池は、負極層、固体電解質層及び正極層の各層が非常に薄膜な全固体二次電池であり、エネルギー密度は高くない。さらに、正極層、固体電解質層及び負極層を、蒸着法又はスパッタ法により作製していることから、減圧雰囲気下で全固体リチウムイオン二次電池を製造する必要があり、大面積化や大量生産には不適である。
また、活物質及び固体電解質を有する電極層を焼成することで、活物質と固体電解質が反応し、界面に異なる結晶構造を有する変質相が生成する。この変質層が、両者間を跨ぐLiイオン伝導を阻害している。
そこで、特許文献1に開示されているように、活物質表面に被覆層を設けることで、活物質と固体電解質の接触を抑制し、焼成時における変質層生成を抑制する手法が検討されている。
特許第5551542号公報
しかしながら、特許文献1に開示された発明のように活物質表面に被覆層を設けることは、別途、活物質表面を被覆する工程が必要となるため、製造コストが上昇するという課題がある。
さらに、複数種類の固体電解質を使用する場合には、焼成により反応し、活物質と固体電解質の表面だけではなく、異なる固体電解質材料同士の界面にも変質相が生成する場合があり、この場合も変質層が、両者間を跨ぐLiイオン伝導を阻害している。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、製造コストの上昇を抑えつつ電池性能の高い全固体二次電池を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明の一態様である全固体二次電池は、固体電解質層が酸化物固体電解質を有し、負極層がグラファイト負極活物質とガーネット型結晶構造の固体電解質とを有する。
また、本発明の一態様である積層体グリーンシートは、負極グリーンシートが、グラファイト負極活物質、ガーネット型結晶構造の固体電解質及びバインダーを有し、固体電解質層グリーンシートが、酸化物固体電解質とバインダーを有する。
また、本発明の一態様である全固体二次電池の製造方法は、上の積層体グリーンシートを低酸素雰囲気において一括焼成する工程を含む。
本発明の一態様によれば、少なくとも負極側において、活物質と固体電解質との界面に生成される変質層が抑制された、電池性能の高い全固体二次電池を提供することができる。
本発明に基づく実施形態に係る金属箔集電体付き積層体グリーンシートの構成を示す断面図である。 本発明に基づく実施形態に係る全固体二次電池の構成を示す断面図である。 本発明に基づく実施形態に係る金属箔集電体付き積層体グリーンシートの構成を示す断面図である。 本発明に基づく実施形態に係る全固体二次電池の構成を示す断面図である。 本発明に基づく実施形態に係る積層体グリーンシートの構成を示す断面図である。 本発明に基づく実施形態に係る全固体二次電池の構成を示す断面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率、形状等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の金属箔集電体付き積層体グリーンシート16は、固体電解質層グリーンシート12が、負極グリーンシート11と正極グリーンシート13で挟持されている。更に、負極グリーンシート11と正極グリーンシート13における、固体電解質層グリーンシート12に対向しない面に金属箔集電体14が接着している。すなわち、本実施形態の金属箔集電体付き積層体グリーンシート16は、積層体グリーンシート本体が、2枚の金属箔集電体14で挟持された状態となっている。金属箔集電体14は、金属箔集電体14と大気が接触を防止する目的で炭化物被膜のような酸化防止膜が形成されていてもよい。
図2は、図1に示す金属箔集電体付き積層体グリーンシート16に対し、加熱脱脂処理及び一括焼成工程を施して製造された全固体二次電池26の構成を示す断面図である。焼成工程は、低酸素雰囲気下で行うことが好ましい。符号24は、焼成済みの金属箔集電体を示す。
また金属箔集電体付き積層体グリーンシート16は、図3に示すように、固体電解質層グリーンシート12に負極グリーンシート11が積層されて積層体グリーンシート本体が構成され、更に、負極グリーンシート11における、固体電解質層グリーンシート12に対向しない面に金属箔集電体14が接着した構成となっていても良い。本実施形態の金属箔集電体付き積層体グリーンシート16は、積層体グリーンシート本体として、少なくとも固体電解質層グリーンシート12及び負極グリーンシート11を有していればよい。
図3に示す金属箔集電体付き積層体グリーンシート16から全固体二次電池26を製造する場合には、例えば、金属箔集電体付き積層体グリーンシート16に対し、加熱脱脂処理及び一括焼成工程を施した後に、積層体グリーンシート16の状態で金属箔集電体14を設けなかった固体電解質層22の上に、正極層25(図4ではLi箔)および金属箔集電体14をこの順で貼り付けることで、全固体二次電池26とする(図4参照)。
また、積層体グリーンシート16は、図5に示すように、金属箔集電体を有しない積層体グリーンシート本体だけから構成されていても良い。この場合、積層体グリーンシート16に対し、加熱脱脂処理及び一括焼成工程を施した後に、集電体34を設ければよい(図6参照)。
以下、各構成要素について説明する。
(固体電解質層グリーンシート)
固体電解質層グリーンシート12は、酸化物固体電解質とバインダーとを有する、
酸化物固体電解質は、ガーネット型結晶構造の酸化物固体電解質が好ましい。酸化物固体電解質として、焼成後に酸化物固体電解質となるガラスを含んでいても良い。ボロン、リチウム元素を少なくとも含む固体電解質を有していても良い。ガーネット型結晶構造の固体電解質は、少なくともLi、La、Zr及びOで構成される複合酸化物であることが好ましい。なお、ボロンを含むことで融点、すなわち焼成温度を下げる効果がある。
バインダーについては後述のものを使用すればよい。
(固体電解質層)
固体電解質層22は、酸化物固体電解質および焼成後に酸化物固体電解質となるガラスの少なくとも一方を含んでいる。固体電解質層に含まれる固体電解質および焼成後に固体電解質は、電子の伝導性が小さく、リチウムイオンの伝導性が高い材料である。特にガーネット型結晶構造を有するリチウムイオンの伝導性が高い材料が好ましく、更にはLi、La、Zrを含む酸化物が好ましく、Li、La、Zrの他に異元素がドープされていてもよい。また、ガーネット型の結晶構造を有するリチウムイオンの伝導性が高い材料に加えて、Li、Bを含むリチウムイオン伝導性材料が含まれていてもよい。例えば、Li7La3Zr212、Li3BO3、またLi7La3Zr212、Li3BO3に異元素がドープされた固体電解質が最適である。
固体電解質層22の厚さは、1μm以上1000μm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは1μm以上500μm以下の範囲である。固体電解質層22の厚さが1μmよりも薄い場合、正極層23と負極層21とが短絡しやすくなり、全固体二次電池26の性能が低下するだけでなく、安全性も低下する可能性がある。また、固体電解質層グリーンシート12の厚さが1000μmよりも厚い場合、固体電解質層22におけるリチウムイオン等の伝導イオンの移動が阻害されやすくなり、全固体二次電池26の出力が低くなる可能性がある。
(正極グリーンシート)
正極グリーンシート13は、正極活物質、固体電解質及びバインダーを有する。固体電解質として、焼成後に酸化物固体電解質となるガラスを含んでいても良い。
正極活物質は、層状岩塩構造の正極活物質が好ましい。固体電解質は、ガーネット型結晶構造の固体電解質が好ましい。固体電解質は、焼成後に固体電解質となるガラスを含んでいても良い。ボロン、リチウム元素を少なくとも含む固体電解質を有していても良い。ガーネット型結晶構造の固体電解質は、少なくともLi、La、Zr及びOで構成される複合酸化物であることが好ましい。
導電助剤となる電子伝導性材料を有していても良い。
バインダーについては後述のものを使用すればよい。
(正極層)
正極層23は、正極活物質と固体電解質および焼成後に固体電解質となるガラスの少なくとも一方とを含んでいる。
正極層23に含まれる正極活物質は、リチウム、コバルトを含む材料であればよく、特に限定されない。正極グリーンシート13は、負極グリーンシート11に含まれる活物質より貴な電位を示す活物質を正極活物質として含有する。
正極活物質としては、層状岩塩型の結晶構造を有するものであることが好ましく、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li(NiCoMn)O2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)に異元素がドープされたリチウム遷移金属化合物が最適である。
また、正極層23に含まれる固体電解質としては、電子の伝導性が小さく、リチウムイオンの伝導性が高い材料であればよく、特にガーネット型の結晶構造を有するリチウムイオンの伝導性が高い材料が好ましく、さらにはLi、La、Zrを含む酸化物が好ましく、Li、La、Zrの他に異元素がドープされていてもよい。また、ガーネット型の結晶構造を有するリチウムイオンの伝導性が高い材料に加えて、Li、Bを含むリチウムイオン伝導性材料が含まれていてもよい。例えば、Li7La3Zr212、Li3BO3、またLi7La3Zr212、Li3BO3に異元素がドープされた固体電解質が最適である。
固体電解質のうち、ガーネット型結晶構造を有する固体電解質および、Li、Bを含む固体電解質以外の含有量は、10質量%未満であることが好ましい。10%以上含有された場合には、後に示す全固体電池の製造方法のうち、焼成工程において抵抗層が形成され、電池性能が低下する場合がある。
正極層23は、導電助剤を含有していてもよい。導電助剤としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、導電性炭素材料、特にカーボンブラックや活性炭、カーボン炭素繊維等を用いることができる。
正極層23における導電助剤の含有量は、正極活物質の質量に対して0質量%超90質量%未満であることが好ましい。導電助剤の含有量が90質量%以上であると、正極層23中の正極活物質量が不足してリチウム吸蔵容量が低下してしまうことがあるためである。
正極層23は、所望の電池容量に応じて任意の厚さを選択することができる。
正極層23を構成する少なくとも1種類の材料が金属箔集電体14と融着している状態が好ましい。
例えばガーネット型結晶構造の固体電解質が金属箔集電体14と融着している状態が好ましい。
その理由は、金属箔集電体14と正極構成材料が融着することで、金属箔集電体14と正極界面の電子移動抵抗が抑制され、また物理的な接着強度も向上するためである。
(負極グリーンシート)
負極グリーンシート11は、グラファイト負極活物質、ガーネット型結晶構造の固体電解質及びバインダーを有する。固体電解質として、焼成後に固体電解質となるガラスを含んでいても良い。ボロン、リチウム元素を少なくとも含む固体電解質を有していても良い。ガーネット型結晶構造の固体電解質は、少なくともLi、La、Zr及びOで構成される複合酸化物であることが好ましい。
固体電解質のうち、ガーネット型結晶構造を有する固体電解質および、Li、Bを含む固体電解質以外の含有量は、10質量%未満であることが好ましい。より好ましくは、固体電解質のうち、ガーネット型結晶構造を有する固体電解質が90質量%以上である。
導電助剤となる電子伝導性材料を有していても良い。
バインダーについては後述のものを使用すればよい。
(負極層)
負極層21は、グラファイト負極活物質と、ガーネット型結晶構造の固体電解質および焼成後にガーネット型結晶構造の固体電解質となるガラスの少なくとも一方とを含んでいる。
グラファイト負極活物質及びガーネット型結晶構造は、グラファイト負極活物質と固体電解質との合計質量に対するグラファイト負極活物質の質量比率が30%以上90%以下であることが好ましい。
その理由は、グラファイト負極活物質の質量比率が30%未満であると、負極層21中の負極活物質量が不足してリチウム吸蔵容量が低下してしまい、またグラファイト負極活物質の質量比率が90%を超えると、負極層21中の固体電解質パスが細くなり、イオン伝導性が低下してしまうためである。
ガーネット型結晶構造の固体電解質は、少なくともLi、La、Zr及びOで構成される複合酸化物であることが好ましい。
ここで、負極層21に含まれる固体電解質としては、固体電解質層22および正極層23に含まれる固体電解質と同様の材料を用いることができる。負極層21に含まれる固体電解質は、2種以上を混合して用いてもよい。また、負極層21に含まれる固体電解質は、固体電解質層22および正極層23に含まれる固体電解質と同じであってもよく、異なっていてもよい。
負極層21に含まれる固体電解質としては、電子の伝導性が小さく、リチウムイオンの伝導性が高い材料であればよく、特にガーネット型の結晶構造を有するリチウムイオンの伝導性が高い材料が好ましく、さらにはLi、La、Zrを含む酸化物が好ましく、Li、La、Zrの他に異元素がドープされていてもよい。また、ガーネット型の結晶構造を有するリチウムイオンの伝導性が高い材料に加えて、Li、Bを含むリチウムイオン伝導性材料が含まれていてもよい。例えば、Li7La3Zr212、Li3BO3、またLi7La3Zr212、Li3BO3に異元素がドープされた固体電解質が最適である。
固体電解質のうち、ガーネット型結晶構造を有する固体電解質および、Li、Bを含む固体電解質以外の含有量は、10質量%未満であることが好ましい。10%以上含有された場合には、後に示す全固体電池の製造方法のうち、焼成工程において抵抗層が形成され、電池性能が低下する場合がある。
負極層21は、導電助剤を含有していてもよい。導電助剤としては、正極層23に含まれる導電助剤と同様に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、導電性炭素材料、特にカーボンブラックや活性炭、カーボン炭素繊維等を用いることができる。
負極層21における導電助剤の含有量は、負極活物質の質量に対して0質量%超90質量%未満であることが好ましい。導電助剤の含有量が90質量%以上であると、負極層21中の負極活物質量が不足してリチウム吸蔵容量が低下してしまうことがあるためである。
負極グリーンシート11は、所望の電池容量に応じて任意の厚さを選択することができる。
正極層23を構成する少なくとも1種類の材料が金属箔集電体14と融着している状態が好ましい。
例えばガーネット型結晶構造の固体電解質が金属箔集電体14と融着している状態が好ましい。
その理由は、金属箔集電体14と正極構成材料が融着することで、金属箔集電体14と正極界面の電子移動抵抗が抑制され、また物理的な接着強度も向上するためである。
(金属箔集電体)
金属箔集電体14は、正極集電体若しくは負極集電体を構成する。正極集電体および負極集電体は、導電性を有する材料であれば、特に限定されないが、金属箔が好ましい為、本実施形態では、金属箔集電体14を例示している。
金属箔集電体14の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定はされず、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銅、パラジウム、金および白金などの金属材料を用いることができる。また、金属箔集電体14の材料として、後述する焼成条件で溶融および分解しないことや、金属箔集電体14にかかる電池作動電位や導電性を考慮して選択することが好ましい。また、酸化防止膜材料としては、カーボン膜など高温大気下においても変質せず、金属箔と大気との接触を防止する材料であれば何でも良い。酸化防止膜としてのカーボン膜厚は、10nm以上の膜厚が望ましく、金属集電箔上への蒸着法、スパッタ法、CVD法による形成、集電箔上に形成した樹脂層の不活性焼成による形成が可能である。
金属箔集電体14の引っ張り強さは、10N/10mm以上であることが好ましい。金属箔集電体14の引っ張り強さが10N/10mm以上である場合、全固体二次電池26を製造時の焼成工程において金属箔集電体14にクラック等が生じにくくなる。また、金属箔集電体14の引っ張り強さが10N/10mm以上である場合、正極グリーンシート13、固体電解質層グリーンシート12および負極グリーンシート11からなる積層体グリーンシート16を十分に支持する強度が得られる。
なお、本実施形態の全固体二次電池26は、後述する正極グリーンシート13、固体電解質層グリーンシート12および負極グリーンシート11を積層し、焼成して製造される。このため、全固体二次電池26の金属箔集電体14は、焼成工程においてクラック等が生じないという特性を有することが重要となる。
金属箔集電体14の厚さは、3μm以上50μm以下であることが好ましい。金属箔集電体14の厚さが3μm以上50μm以下である場合、積層焼成体の製造時において金属箔集電体14にクラック等が入りにくく、また、積層体グリーンシート16を十分に支持する厚みが得られる。
以下、積層体グリーンシート16及び上述のような構成からなる全固体二次電池26の製造方法について説明する。
積層体グリーンシート16の製造方法は、例えば金属箔集電体14からなる負極集電体上に、負極活物質を含む負極用スラリーを塗布又は印刷後乾燥して負極グリーンシートを形成する負極グリーンシート形成工程と、負極グリーンシート11上に固体電解質を含む固体電解質スラリーを塗布又は印刷後乾燥して固体電解質層グリーンシート12を形成する固体電解質層グリーンシート形成工程と、固体電解質層グリーンシート12上に、正極活物質を含む正極用スラリーを塗布又は印刷後乾燥して正極グリーンシート13を形成する正極グリーンシート形成工程と、を備えている。
なお、図5のような金属箔集電体14を有しない積層体グリーンシート16を製造方法する場合には、上記の正極集電体の代わりに基材を使用すればよい。
グリーンシートのスラリーを塗布する基材は特に限定されず、積層体グリーンシート16を基材上に作製したのち剥離することができればよく、例えば、フィルム、金属箔、離型剤をコートしたフィルムもしくは金属箔、などが使用できる。
基材の厚さは特に限定されないが、薄すぎると積層体グリーンシート16を構成する各スラリーを乾燥するときに湾曲し、積層体グリーンシート16が破壊される場合があり、一方で、厚すぎると剥離時に積層体グリーンシート16を破壊することがある。具体的には、例えば、3μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上80μm以下である。
(固体電解質層グリーンシート12の製造方法)
固体電解質層グリーンシート12は、酸化物固体電解質および有機物からなるバインダーを溶媒と共に混合して形成された固体電解質スラリーを塗布もしくは印刷したのち、乾燥して形成される。固体電解質スラリーは、例えば後述する正極グリーンシート13または負極グリーンシート11上に塗布される。固体電解質スラリーの調製方法は特に限定されない。
(正極グリーンシートの製造方法)
正極グリーンシート13は、正極活物質、固体電解質および有機物からなるバインダーを溶媒と共に混合して正極用スラリーを塗布もしくは印刷したのち、乾燥して形成される。正極用スラリーは、正極集電体となる金属箔集電体14または後述する固体電解質層グリーンシート12上に塗布される。正極用スラリーの調製方法は特に限定されない。
(負極グリーンシートの製造方法)
負極グリーンシート11は、負極活物質、固体電解質および有機物からなるバインダーを溶媒と共に混合して負極用スラリーを塗布もしくは印刷したのち、乾燥して形成される。負極用スラリーは、負極集電体となる金属箔集電体14または後述する固体電解質層グリーンシート12上に塗布される。負極用スラリーの調製方法は特に限定されない。
正極用スラリー、負極用スラリーおよび固体電解質スラリーに含まれるバインダーは、後述する焼成条件で分解するものであれば特に限定されない。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチルセルロース、アクリル樹脂などを用いることができる。
正極グリーンシート13、負極グリーンシート11および固体電解質層グリーンシート12において、バインダーは、3質量%以上40質量%以下含まれることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。すなわち、各スラリーから溶媒を除いた固形分全体に対するバインダーの含有量が3質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
バインダーの含有量が3質量%より少ない場合、例えば活物質同士または固体電解質同士が十分に結着することできない場合がある。また、バインダーの含有量が40質量%より大きい場合には、体積あたりの電池容量が低下する。
正極グリーンシート13、負極グリーンシート11および固体電解質層グリーンシート12は、焼成時に各グリーンシート内においてマトリックス構造の形成を促進し、焼成温度を低下させる焼成助剤を含有していてもよい。焼成助剤は正極活物質、負極活物質および固体電解質と反応せず、固体電解質の焼成温度よりも軟化点温度が低ければ特に限定はされず、例えばホウ素化合物を用いることができる。正極グリーンシート13、負極グリーンシート11および固体電解質層グリーンシート12の焼成助剤の含有量と焼成温度を調整することで、積層焼成体を焼成により形成する際に、各層の内部歪や内部応力によるクラックを防止するとともに、マトリックス構造の形成を促進することができる。
正極用スラリー、負極用スラリーおよび固体電解質スラリーに用いられる溶媒は、上述したバインダーを溶解可能であれば特に限定されないが、例えばエタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールエチルエーテル、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤、および水を用いることができる。なお、これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。スラリーの乾燥が容易であることから、溶媒の沸点は200℃以下であることが好ましい。
正極用スラリー及び負極用スラリーは、上述した正極活物質又は負極活物質、固体電解質、バインダー、導電助剤、焼成助剤などと、溶媒とを混合することで作製できる。また、固体電解質スラリーは、上述した固体電解質、バインダー、導電助剤、焼成助剤などと、溶媒とを混合することで作製できる。スラリーの混合方法は特に限定されず、必要に応じて、増粘剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤のような添加剤を添加してもよい。
正極用スラリー、負極用スラリーおよび固体電解質スラリーの塗布および印刷方法としては、具体的には、ドクターブレード法、カレンダー法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、オフセット法、ダイコート法、スプレー法、スクリーン印刷法等を用いることができる。
正極用スラリー、負極用スラリーおよび固体電解質スラリーの乾燥方法は、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥などを用いることができる。乾燥雰囲気は、特に限定されず、例えば、大気雰囲気下、不活性雰囲気(窒素雰囲気、アルゴン雰囲気)下で行うことができる。
正極グリーンシート13、固体電解質層グリーンシート12および負極グリーンシート11は、順に積層された積層体グリーンシート16を構成する。積層体グリーンシート16は、固体電解質層グリーンシート12および負極グリーンシートだけから構成されていても良い。
加圧することで積層体グリーンシート16の機械的強度を上げるとともに、積層体グリーンシート16に内在する空隙を低減させても良い。加圧方法は特に限定されないが、例えば平板プレス、ロールプレス、ホットプレス、冷間静水圧プレス、熱間静水圧プレスなどを用いることができる。加圧は1回のみであってもよいし、数回に分けてもよい。
基材上に積層体グリーンシート16を形成した場合に、上記の処理の後に基材は剥離される。剥離前の積層体グリーンシート16の空隙率は特に限定されず、剥離前に加圧工程を入れても入れなくてもよい。
本実施形態の全固体二次電池26は、例えば、上記のように製造した積層体グリーンシート16を焼成し、バインダーを脱脂することで形成される。
積層体グリーンシート16に前もって集電体を接着しない場合には、積層体グリーンシート16を焼成してなる積層焼成体における、露出している正極面若しくは負極面に対し、集電性を有する層を形成すればよい。導電性を有する層の形成方法は特に限定されず、例えば、金属箔を正極面および負極面に密着して、加圧し、集電層を形成することができる。また、集電層を構成する材料は、正極または負極に密着し、導電性を得られるものであれば特に限定されず、例えば、金属箔、導電性薄膜層、導電性ペースト、導電性粘着材などが挙げられる。
焼成工程における加熱温度は、積層体グリーンシート16に含まれるバインダーの熱分解温度以上、且つ、正極活物質及び負極活物質の酸化温度未満または金属箔集電体14の燃焼温度未満の温度であることが好ましい。加熱温度は、具体的には300℃以上1100℃以下が好ましく、300℃以上900℃以下がより好ましい。加熱温度が300℃より低い場合、焼成工程においてバインダーが燃焼しきらずに残渣となり、電子伝導やイオン伝導を阻害する可能性がある。また、加熱温度が1100℃よりも高い場合、正極活物質および負極活物質や固体電解質が溶融・変質し、電池性能を劣化させる可能性がある。
焼成工程での雰囲気は特に限定されず、例えば、大気雰囲気下、不活性雰囲気(窒素雰囲気、アルゴン雰囲気)下で行うことができる。正極活物質及び負極活物質と金属箔集電体14の反応や金属箔集電体14の導電性低下が懸念される場合は、焼成工程を不活性雰囲気下で行うことが望ましい。
焼成工程における焼成時間は、使用するバインダーが十分に分解される時間であればよく、特に限定されない。
以上のように、本実施形態の全固体二次電池26は、例えば積層体グリーンシート16の金属箔集電体14から最も離れた位置に形成される正極グリーンシート13もしくは負極グリーンシート11上に金属箔集電体14を貼り合わせた積層体を一括焼成して形成することができる。
これにより、正極集電体としての金属箔集電体14および正極層23、負極集電体としての金属箔集電体14と負極層21との界面抵抗を抑制しつつ、1回の焼成工程で全固体二次電池26を製造することが可能となった。金属箔集電体14の貼り合わせ方法は特に限定されないが、例えば平板プレス、ロールプレス、ホットプレス、冷間静水圧プレス、熱間静水圧プレスなどを用いることができる。
本実施形態の全固体二次電池26は、上記のような積層体グリーンシート16を使用することなく、他の公知の製造方法で製造しても良い。たとえば、全固体二次電池26は、上述した組成からなる負極層、固体電解質層及び正極層の各層をそれぞれ、粉体を圧縮して焼成する圧粉焼成方式の製法で製造するようにしても良い。
ここで、全固体二次電池26の構成は、直列全固体二次電池であっても良い。そのような全固体二次電池26は、例えば、正極層23、正極層23上に設けられた固体電解質層22、及び固体電解質層22上に設けられた負極層21、を備える複数の電極積層体を備える。更に、その全固体二次電池26は、積層された複数の電極積層体同士の間及び積層された複数の電極積層体の積層方向外面のさらに外側に、正極層23又は負極層21と密着して設けられた、複数の金属箔集電体14を備える。
この全固体二次電池26の製造は、例えば、正極集電体に正極グリーンシート13、固体電解質層グリーンシート12および負極グリーンシート11を形成した積層体グリーンシート16上に、正極集電体に正極グリーンシート13、固体電解質層グリーンシート12および負極グリーンシート11を形成した積層体グリーンシート16を連続的に積層した積層体グリーンシート16を作製し、その作製した積層体グリーンシート16を一括焼成し、金属箔集電体14を貼り合せることによって実現される。
ここで、グラファイト負極活物質と、ガーネット型結晶構造の固体電解質とを有するグリーンシートを焼成した場合に、変質層の生成が抑制される機序は明確ではないものの、後述の実施例のように変質層の生成が抑制されることは確認している。
以下に、本発明に基づく全固体二次電池に関して、具体的な実施例および比較例を挙げて説明する。なお、本発明に係る全固体二次電池の構成は、以下の実施例によって制限されるものではない。
「第1の実施例」
(実施例1−1)
[スラリー作製工程]
<無機固体電解質用スラリーの作製>
無機固体電解質としてLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43(略称LAGP,豊島製作所製)の粉末を100質量部、バインダーとしてPVBを16質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチル(略称DBP)を4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して無機固体電解質用スラリーを作製した。
<負極用スラリーの作製>
負極活物質としてグラファイト粉末50質量部、無機固体電解質としてLi7La3Zr212(略称LLZ,豊島製作所製)の粉末50質量部、バインダーとしてPVB16質量部、可塑剤としてDBP4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して負極用スラリーを作製した。
<積層体グリーンシート作製工程>
負極集電体としてニッケル箔を使用し、この負極集電体の一方の面に、負極用スラリーを塗布、乾燥して負極グリーンシートを形成した。
続いて、負極グリーンシートのニッケル箔集電体対向面とは反対側の面上に、無機固体電解質用スラリーを塗布、乾燥して固体電解質層グリーンシートを形成して、金属箔集電体付き二層積層体グリーンシートを作製した。
<切断加圧工程>
作製した金属箔集電体付き二層積層体グリーンシートを80℃、1000kgf/cm2で加圧し、所定のサイズに切断する事で、金属箔集電体付き二層積層体グリーンシートを得た。
<脱脂工程>
切断した金属箔集電体付き二層積層体グリーンシートを、大気中、昇温速度20℃/分で室温から500℃まで昇温し、500℃で30分間保持して脱脂を実施した。
<焼成工程>
脱脂を実施した金属箔集電体付き二層積層体グリーンシートを、アルゴン気流中、昇温速度20℃/分で500℃から800℃まで昇温し、800℃で60分間保持し焼成を実施した。その後、焼成された積層焼成体を炉内放冷で室温まで冷却し、固体電解質層上にLi箔を積層して、実施例1−1の全固体二次電池を作製した。
(実施例1−2)
実施例1−1の<無機固体電解質用スラリーの作製>において、固体電解質としてLAGPの代わりにLLZを使用した以外、実施例1−1と同様の条件で実施例1−2の全固体二次電池を作製した。
(実施例1−3)
[スラリー作製工程]
<無機固体電解質用スラリーの作製>
無機固体電解質としてLAGP粉末を100質量部、バインダーとしてPVBを16質量部、可塑剤としてDBPを4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して無機固体電解質用スラリーを作製した。
<負極用スラリーの作製>
負極活物質としてグラファイト粉末50質量部、無機固体電解質としてLLZ粉末50質量部、バインダーとしてPVB16質量部、可塑剤としてDBP4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して負極用スラリーを作製した。
<正極用スラリーの作製>
正極活物質としてLiCoO2(略称LCO,豊島製作所製)粉末50質量部、無機固体電解質としてLLZ粉末50質量部、バインダーとしてPVB16質量部、可塑剤としてDBP4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して正極用スラリーを作製した。
<積層体グリーンシート作製工程>
正極集電体としてニッケル箔を使用し、この正極集電体の一方の面に、正極用スラリーを塗布、乾燥して正極グリーンシートを形成した。
続いて、正極グリーンシートの金属箔集電体対向面とは反対側の面上に、無機固体電解質用スラリーを塗布、乾燥して固体電解質層グリーンシートを形成した。
最後に、固体電解質層グリーンシートの正極グリーンシート対向面とは反対側の面上に、負極用スラリーを塗布、乾燥して負極グリーンシートを形成して、積層体グリーンシートを作製した。
<切断工程>
作製した積層体グリーンシートの負極グリーンシート上に、正極集電体と同様のニッケル箔からなる負極集電体を乗せた。続いて、負極集電体を乗せた積層体グリーンシートからなる積層体を80℃、1000kgf/cm2で加圧し、所定のサイズに切断する事で、両極金属箔集電体付き三層積層体グリーンシートを得た。
<脱脂工程>
切断した両極金属箔集電体付き三層積層体グリーンシートを、大気中、昇温速度20℃/分で室温から500℃まで昇温し、500℃で30分間保持して脱脂を実施した。
<焼成工程>
脱脂を実施した両極集電体付き三層積層体グリーンシートを、アルゴン気流中、昇温速度20℃/分で500℃から800℃まで昇温し、800℃で60分間保持し焼成を実施した。その後、焼成された積層焼成体を炉内放冷で室温まで冷却し、実施例1−3の全固体二次電池を作製した。
(実施例1−4)
実施例1−1の<無機固体電解質用スラリーの作製>において、固体電解質としてLAGPの代わりにLLZを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で実施例1−4の全固体二次電池を作製した。
(実施例1−5)
実施例1−4の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZ粉末35質量部、Li3BO3(略称LBO)粉末15質量部を添加し、<無機固体電解質用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZ粉末70質量部、Li3BO3(略称LBO)粉末30質量部を添加した以外、実施例1−4と同様の条件で実施例1−5の全固体二次電池を作製した。
(実施例1−6)
実施例1−5の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、電子伝導助剤としてアセチレンブラック(AB,Li−400,電気化学工業製)10質量部を添加した以外、実施例1−5と同様の条件で実施例1−6の全固体二次電池を作製した。
(実施例1−7)
実施例1−6の<正極用スラリーの作製><無機固体電解質用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512を(略称LLZN)を使用した以外、実施例1−6と同様の条件で実施例1−7の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−1)
実施例1−1の<負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLAGPを使用した以外、実施例1−1と同様の条件で比較例1−1の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−2)
実施例1−2の<負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLAGPを使用した以外、実施例1−2と同様の条件で比較例1−2の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−3)
実施例1−2の<負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLi1.4Al0.4Ti1.6(PO43(略称LATP,豊島製作所製)を使用した以外、実施例1−2と同様の条件で比較例1−3の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−4)
実施例1−1の<正極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLAGPを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−4の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−5)
実施例1−1の<負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLAGPを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−5の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−6)
実施例1−1の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLAGPを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−6の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−7)
実施例1−1の<正極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLATPを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−7の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−8)
実施例1−1の<負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLATPを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−8の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−9)
実施例1−1の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLLZの代わりにLATPを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−9の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−10)
実施例1−1の<スラリー作製工程>において、正極活物質としてコバルト酸リチウムの代わりにマンガン酸リチウムを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−10の全固体二次電池を作製した。
(比較例1−11)
実施例1−1の<スラリー作製工程>において、負極活物質としてグラファイトの代わりにLTOを使用した以外、実施例1−3と同様の条件で比較例1−11の全固体二次電池を作製した。
(評価)
[結晶構造解析]
各実施例及び比較例の正極、負極の結晶構造解析を、以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例1−1〜1−7、比較例1−1〜1−11の全固体二次電池の評価方法)
各実施例および比較例に示す全固体二次電池の金属箔集電体を除いた正極、固体電解質、負極から構成される二層積層体、三層積層体の正極面、負極面を、X線回折装置(XRD,Rigaku)を使用して解析し、正極、負極結晶構造変化の有無を調査した。尚、未測定は「−」で示した。
[電池特性評価]
各実施例及び比較例の全固体二次電池の電池特性を、以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例1−1〜1−7、比較例1−1〜1−11の全固体二次電池の評価方法)
各実施例および比較例の全固体二次電池を5個ずつ準備し、評価を行った。
各実施例1−1、1−2および比較例1−1〜1−3の全固体二次電池を0.001Cの定電流によって0.01Vとなるまで充電し、電池設計容量に対する充電容量が50%以上の場合は○、50%以下の場合は×と評価した。
各実施例1−3〜1−7および比較例1−4〜1−11の全固体二次電池を0.001Cの定電流によって4.0Vとなるまで充電し、電池設計容量に対する充電容量が50%以上の場合は○、50%以下の場合は×と評価した。
Figure 2018206487
正極、負極の結晶構造解析から、表1の比較例1−1〜1−3に示すように固体電解質であるLAGP、LATPは、負極活物質グラファイトと混合形態で焼成すると、未焼成の結晶構造とは異なる結晶構造が確認された。一方、表1の実施例1−1、1−2に示すように固体電解質であるLLZは、負極活物質グラファイトと混合形態で焼成しても、結晶構造変化は無かった。
更に、表1の比較例1−4〜1−9に示すように固体電解質であるLAGP、LATPは正極活物質LCO、もしくは負極活物質グラファイトと混合形態で焼成すると、未焼成の結晶構造とは異なる結晶構造が確認された。一方、表1の実施例1−3〜1−7に示すようにLLZ、LLZNは正極活物質LCO、負極活物質グラファイトと混合形態で焼成しても、結晶構造変化は無かった。
また、表1の比較例1−10〜1−11に示すように正極活物質LMO、固体電解質LLZを混合形態で焼成すると、未焼成の結晶構造とは異なる結晶構造が確認され、負極活物質LTO、固体電解質LLZを混合形態で焼成しても、未焼成の結晶構造とは異なる結晶構造が確認された。
次に、電池特性評価から、表1の比較例1−1〜1−3に示すように、負極活物質グラファイト、固体電解質LAGP、もしくはLATPから成る負極を使用した場合、電池設計容量に対する充電容量が50%以下であった為、電池動作不良と判断した。一方、表1の実施例1−1〜1−2に示すように、負極活物質グラファイト、固体電解質LLZから成る負極を使用した場合には、電池設計容量に対する充電容量の50%以上であった為、電池動作正常と判断した。
また、表1の比較例1−4〜1−11に示すように、正極活物質LCO、固体電解質LAGP、もしくはLATPから成る正極、もしくは負極活物質グラファイト、固体電解質LAGP、もしくはLATPから成る負極、もしくは正極活物質LMO、固体電解質LLZから成る正極、もしくは負極活物質LTO、固体電解質LLZから成る負極を使用した場合、電池設計容量に対する充電容量が50%以下であった為、電池動作不良と判断した。一方、表1の実施例1−3〜1−7に示すように、正極活物質LCO、固体電解質LLZ、もしくはLLZN、LLZとLBOの混合物を使用した場合には、電池設計容量に対する充電容量の50%以上であった為、電池動作正常と判断した。
以上より、正極活物質種、負極活物質種、固体電解質種によって、正極、負極の結晶構造、特に正極活物質、負極活物質の結晶構造が変化して、電池電圧が変動したと推測される。一方、特定の正極活物質(LCO)、負極活物質(グラファイト)、固体電解質種(LLZ、LLZNに代表されるガーネット型結晶構造の材料)を使用することで、その結晶構造変化が抑制され、正常に充電可能であると考えられる。
「第2の実施例」
以下に、第2の実施例について説明する。
(実施例2−1)
[スラリー作製工程]
<正極用スラリーの作製>
正極活物質として層状岩塩型の結晶構造を有するコバルト酸リチウム(LiCoO2,豊島製作所製)粉末50質量部、無機固体電解質としてLi7La3Zr212(LLZ,豊島製作所製)粉末50質量部、バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)16質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチル(DBP)4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して正極用スラリーを作製した。
<無機固体電解質用スラリーの作製>
無機固体電解質としてLLZ粉末を100質量部、バインダーとしてPVBを16質量部、可塑剤としてDBPを4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して無機固体電解質用スラリーを作製した。
<負極用スラリーの作製>
負極活物質としてグラファイト(SMG,日立化成製)粉末50質量部、無機固体電解質としてLLZ粉末50質量部、バインダーとしてPVB16質量部、可塑剤としてDBP4.8質量部および溶剤としてメチルエチルケトンとアセトンとの混合溶媒(質量比1:1)22質量部を混合してスラリーとし、このスラリーを脱泡して負極用スラリーを作製した。
<積層体グリーンシート作製工程>
基材として離型PETフィルム(厚さ25μm)を使用し、離型面に、正極用スラリーを塗布、乾燥して正極グリーンシートを形成した。
続いて、正極グリーンシートの離型PETフィルム対向面とは反対側の面上に、無機固体電解質用スラリーを塗布、乾燥して固体電解質層グリーンシートを形成した。
最後に、固体電解質層グリーンシートの正極グリーンシート対向面とは反対側の面上に、負極用スラリーを塗布、乾燥して負極グリーンシートを形成して、積層体グリーンシートを作製した。
<切断工程>
作製した積層体グリーンシートを80℃、1000kgf/cm2で加圧した。この後、基材を剥離したのち、所定の面積に切断した。
<脱脂工程>
上述した積層体グリーンシートを、大気中、昇温速度20℃/分で室温から500℃まで昇温し、500℃で30分間保持して脱脂を実施した。
<焼成工程>
脱脂を実施した積層体グリーンシートを、アルゴン気流中、昇温速度20℃/分で500℃から800℃まで昇温し、800℃で60分間保持し焼成を実施した。その後、焼成された積層焼成体を炉内放冷で室温まで冷却した。
<集電層取り付け工程>
積層焼成体の正極面および負極面に銀ペーストを塗布したのち、金属箔の一部が積層体のそれぞれ異なる面で露出するように銀ペーストに押し当て乾燥させ、正極集電体および負極集電体を形成し、実施例2−1の全固体二次電池を作製した。
(実施例2−2)
実施例2−1の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212粉末35質量部、Li3BO3(LBO)粉末15質量部を添加し、<無機固体電解質用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212粉末70質量部、Li3BO3(LBO)粉末30質量部を添加した以外、実施例2−1と同様の条件で実施例2−2の全固体二次電池を作製した。
(実施例2−3)
実施例2−2の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、電子伝導助剤としてアセチレンブラック(AB,Li−400,電気化学工業製)10質量部を添加した以外、実施例2−2と同様の条件で実施例2−3の全固体二次電池を作製した。
(実施例2−4)
実施例2−3の<正極用スラリーの作製><無機固体電解質用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212の代わりにLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512を(LLZN)を使用した以外、実施例2−3と同様の条件で実施例2−4の全固体二次電池を作製した。
(実施例2−5)
実施例2−1の<スラリー作製工程>において、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)の代わりに層状岩塩型の結晶構造を有するニッケルコバルトマンガン酸リチウム(NCM、Li1Ni0.5Co0.2Mn0.32)を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で実施例2−5の全固体二次電池を作製した。
(実施例2−6)
実施例2−4の<正極スラリー作製工程>において、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)の代わりにNCMを使用した以外、実施例2−4と同様の条件で実施例2−6の全固体二次電池を作製した。
(実施例2−7)
[混合工程]
正極活物質としてLiCoO2粉末50質量部、無機固体電解質としてLLZ粉末50質量部をめのう乳鉢で15分混合して、正極原料組成物を作製した。同様に、負極活物質としてグラファイト粉末50質量部、無機固体電解質としてLLZ粉末50質量部をめのう乳鉢で15分混合して、負極原料組成物を作製した。
[成形体作製工程]
φ20mmのペレット成形ジグに正極原料組成物、LLZ粉末および負極原料組成物を順に封入し積層したのち、80℃、1000kgf/cm2で加圧し、成形体を作製した。
<焼成工程>
成形体を、アルゴン気流中、昇温速度20℃/分で800℃まで昇温し、800℃で60分間保持し焼成を実施した。その後、焼成された積層焼成体を炉内放冷で室温まで冷却した。
<集電層取り付け工程>
積層焼成体の正極面にマグネトロンスパッタ法で20μm厚の金の集電層を形成し、同様に負極面にも20μm厚の金の集電層を形成して、実施例2−7の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−1)
実施例2−1の<正極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212の代わりにLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−1の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−2)
実施例2−1の<負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212の代わりにLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−2の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−3)
実施例2−1の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212の代わりにLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−3の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−4)
実施例2−1の<正極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212の代わりにLi1.4Al0.4Ti1.6(PO43(LATP,豊島製作所製)を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−4の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−5)
実施例2−1の<負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212の代わりにLi1.4Al0.4Ti1.6(PO43(LATP,豊島製作所製)を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−5の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−6)
実施例2−1の<正極用スラリーの作製><負極用スラリーの作製>において、固体電解質としてLi7La3Zr212の代わりにLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−6の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−7)
実施例2−1の<スラリー作製工程>において、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)の代わりにスピネル型結晶構造を有するマンガン酸リチウム(LiMn24)を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−7の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−8)
実施例2−1の<スラリー作製工程>において、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)の代わりにオリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−8の全固体二次電池を作製した。
(比較例2−9)
実施例2−1の<スラリー作製工程>において、負極活物質としてグラファイトの代わりにチタン酸リチウム(Li4Ti512)を使用した以外、実施例2−1と同様の条件で比較例2−9の全固体二次電池を作製した。
(評価)
[結晶構造解析]
各実施例及び比較例の正極、負極の結晶構造解析を、以下の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例2−1〜2−7、比較例2−1〜2−9の全固体二次電池の評価方法)
各実施例および比較例に示す全固体二次電池の正極、固体電解質、負極から構成される三層積層体の正極面、負極面を、X線回折装置(XRD,Rigaku)を使用して解析し、正極、負極結晶構造変化の有無を調査した。
[電池特性評価]
各実施例及び比較例の全固体二次電池の電池特性を、以下の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例2−1〜2−7、比較例2−1〜2−9の全固体二次電池の評価方法)
各実施例および比較例の全固体二次電池を5個ずつ準備し、評価を行った。
各実施例および比較例の全固体二次電池を0.001Cの定電流によって電圧が4.0Vとなるまで充電し、電池設計容量に対する充電容量が50%以上の場合は○、50%以下の場合は×と評価した。
Figure 2018206487
正極、負極の結晶構造解析から、表2の比較例2−1〜2−9に示すように固体電解質であるLAGP、LATPは正極活物質LCO、もしくは負極活物質グラファイトと混合形態で焼成すると、未焼成の結晶構造とは異なる結晶構造が確認された。一方、表2の実施例2−1〜2−7に示すようにLLZ、LLZNは正極活物質LCOおよびNCM、負極活物質グラファイトと混合形態で焼成しても、結晶構造変化は無かった。
また、表2の比較例2−7〜2−8に示すように正極活物質を層状岩塩型の結晶構造を有しないマンガン酸リチウム(LMO)もしくはリン酸鉄リチウム(LFP)とし、固体電解質をLLZとして混合形態で焼成すると、未焼成の結晶構造とは異なる結晶構造が確認された。また、表2の比較例2−9に示すように負極活物質をチタン酸リチウム(LTO)とし、固体電解質をLLZとして混合形態で焼成しても、同様に未焼成の結晶構造とは異なる結晶構造が確認された。
次に、電池特性評価から、表2の比較例2−1〜2−9に示すように、正極活物質にLCOもしくはNCMと、固体電解質LAGPもしくはLATPから成る正極を使用した場合、もしくは正極活物質LMOもしくはLFPと固体電解質LLZから成る正極を使用した場合、もしくは負極活物質LTOと固体電解質LLZから成る負極を使用した場合、電池設計容量に対する充電容量が50%に到達しなかった為、電池動作不良と判断した。一方、表2の実施例2−1〜2−7に示すように、正極活物質にLCOもしくはNCMと、固体電解質にLLZもしくはLLZN、LLZとLBOの混合物を使用した場合には、電池設計容量に対する充電容量が50%以上であった為、電池動作正常と判断した。
以上より、正極活物質種、負極活物質種、固体電解質種によって、正極、負極の結晶構造、特に正極活物質、負極活物質の結晶構造が変化して、電池電圧が変動したと推測される。一方、層状岩塩型の結晶構造を有する特定の正極活物質(LCO、NCM)、負極活物質(グラファイト)、固体電解質種(LLZ、LLZNに代表されるガーネット型結晶構造材料)を使用することで、その結晶構造変化が抑制され、正常な電池動作が可能であると考えられる。
11 負極グリーンシート
12 固体電解質層グリーンシート
13 正極グリーンシート
14 金属箔集電体
16 積層体グリーンシート
21 負極層
22 固体電解質層
23 正極層
24 焼成済み金属箔集電体
25 Li金属箔
26 全固体二次電池
34 焼成後に設けた集電体

Claims (22)

  1. 負極層と、酸化物固体電解質を有する固体電解質層と、正極層とがこの順に積層し、
    上記負極層が、グラファイト負極活物質と、ガーネット型結晶構造の固体電解質とを有することを特徴とする全固体二次電池。
  2. 上記固体電解質層の有する酸化物固体電解質がガーネット型結晶構造の固体電解質であることを特徴とする請求項1に記載した全固体二次電池。
  3. 上記正極層が、層状岩塩構造の正極活物質とガーネット型結晶構造の固体電解質を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した全固体二次電池。
  4. 上記正極活物質が、コバルト酸リチウムもしくはニッケルコバルトマンガン酸リチウムであることを特徴とする請求項3に記載した全固体二次電池。
  5. 上記負極層、上記正極層及び上記固体電解質層の少なくとも一つは、ボロン及びリチウム元素を少なくとも含む固体電解質を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した全固体二次電池。
  6. 上記負極層が有するグラファイト負極活物質及びガーネット型結晶構造の固体電解質は、グラファイト負極活物質と固体電解質との合計質量に対するグラファイト負極活物質の質量比率が30%以上90%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した全固体二次電池。
  7. 上記正極層及び上記負極層の少なくとも一方は、導電助剤となる電子伝導性材料を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した全固体二次電池。
  8. 上記ガーネット型結晶構造の固体電解質は、少なくともLi、La、Zr及びOで構成される複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載した全固体二次電池。
  9. 上記正極層及び上記負極層の少なくとも一方の電極層における上記固体電解質層に対向しない面に、金属箔集電体が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載した全固体二次電池。
  10. 上記正極層及び上記負極層を構成する少なくとも1種類の材料が上記金属箔集電体と融着していることを特徴とする請求項9に記載した全固体二次電池。
  11. 負極グリーンシートに固体電解質層グリーンシートが積層され、
    上記負極グリーンシートが、グラファイト負極活物質、ガーネット型結晶構造の固体電解質及びバインダーを有し、
    上記固体電解質層グリーンシートが、酸化物固体電解質とバインダーを有する、
    ことを特徴とする積層体グリーンシート。
  12. 負極グリーンシートに固体電解質層グリーンシートが積層されると共に、上記固体電解質層グリーンシートに対向しない上記負極グリーンシートの面に金属箔集電体が接着し、
    上記負極グリーンシートが、グラファイト負極活物質、ガーネット型結晶構造の固体電解質及びバインダーを有し、
    上記固体電解質層グリーンシートが、酸化物固体電解質とバインダーを有する、
    ことを特徴とする積層体グリーンシート。
  13. 上記固体電解質層グリーンシートの有する酸化物固体電解質が、ガーネット型結晶構造の固体電解質であることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載した積層体グリーンシート。
  14. 上記固体電解質層グリーンシートが、上記負極グリーンシートと正極グリーンシートで挟持され、
    上記正極グリーンシートは、層状岩塩構造の正極活物質、ガーネット型結晶構造の固体電解質及びバインダーを有することを特徴とする請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載した積層体グリーンシート。
  15. 上記正極活物質が、コバルト酸リチウムもしくはニッケルコバルトマンガン酸リチウムであることを特徴とする請求項14に記載した積層体グリーンシート。
  16. 上記固体電解質層グリーンシートが、上記負極グリーンシートと正極グリーンシートで挟持され、
    上記固体電解質層グリーンシート、上記負極グリーンシート及び正極グリーンシートの少なくとも一つは、ボロン、リチウム元素を少なくとも含む固体電解質を有することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載した積層体グリーンシート。
  17. 上記負極グリーンシートは、導電助剤となる電子伝導性材料を有することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載した積層体グリーンシート。
  18. 上記固体電解質層グリーンシートが、上記負極グリーンシートと正極グリーンシートで挟持され、
    上記負極グリーンシート及び正極グリーンシートの少なくとも一方は、導電助剤となる電子伝導性材料を有することを特徴とする請求項11〜請求項16のいずれか1項に記載した積層体グリーンシート。
  19. 上記ガーネット型結晶構造の固体電解質は、少なくともLi、La、Zr及びOで構成される複合酸化物であることを特徴とする請求項11〜請求項17のいずれか1項に記載した積層体グリーンシート。
  20. 請求項11〜請求項18のいずれか1項に記載の積層体グリーンシートを低酸素雰囲気下で焼成する工程を含む、全固体二次電池の製造方法。
  21. 負極層と、酸化物固体電解質を有する固体電解質層と、正極層とをこの順に積層し、
    上記負極層が、グラファイト負極活物質と、ガーネット型結晶構造の固体電解質とを有することを特徴とする全固体二次電池の製造方法。
  22. 負極層と、酸化物固体電解質を有する固体電解質層と、正極層とをこの順に積層し、
    上記負極層が、グラファイト負極活物質と、ガーネット型結晶構造の固体電解質とを有し、
    上記固体電解質層の有する酸化物固体電解質がガーネット型結晶構造の固体電解質であり、
    上記正極層が、層状岩塩構造の正極活物質とガーネット型結晶構造の固体電解質を有することを特徴とする全固体二次電池の製造方法。
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