JP2018200794A - 導体形成用組成物とその製造方法、導体とその製造方法、チップ抵抗器 - Google Patents

導体形成用組成物とその製造方法、導体とその製造方法、チップ抵抗器 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥膜が他の部材に接触しても焼成工程で接合しない導体形成用組成物及びその製造方法を提供する【解決手段】導電性粉末と、前記導電性粉末以外の粒子と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む導体形成用組成物であって、粒子の体積基準の累積分布における50%累積次の粒径D50が、得られる導体の膜厚に対して1.5倍以上4倍以下であり、粒子の含有量aが、導電性粉末100質量部に対して、30質量部以下であり、かつ、粒子の粒径D50(μm)と、粒子の含有量a(質量部)との関係が下記式(1)を満たす、導体形成用組成物。式(1):80≦D50(μm)×a(質量部)【選択図】図1

Description

本発明は、導体形成用組成物とその製造方法、導体とその製造方法、チップ抵抗器に関する。
一般的にチップ抵抗器は、基板の表面及び裏面に設けられた一対の導体(表面電極及び裏面電極)と、一対の表面電極の間に設けられた抵抗体と、抵抗体を覆う絶縁性の保護層と、基板の端面に設けられ、表面電極と裏面電極を導通する一対の端面電極と、を備える。また、これらの電極を覆うように、メッキ層が形成される。裏面電極は、チップ抵抗器を回路基板に実装した際に、チップ抵抗器と、回路基板とを電気的に接合させる。
チップ抵抗器は、例えば、以下の方法により製造される。まず、予めチップサイズに応じた所望の寸法にスリットを入れた基板(スリット基板)を準備し、この基板上に、スリットを跨ぐように、導体形成用組成物を印刷して、乾燥した後、焼成することにより、基板の表面と裏面とに、それぞれ複数対の導体(表面電極及び裏面電極)を形成する。次に、基板の表面に抵抗体を、各対の表面電極がその両端に配置されるように形成した後、抵抗体上にプリコートと呼ばれるガラス層を形成し、トリミングにより抵抗値を調整した後、さらにその上に保護層として、例えば、樹脂層を形成する。次に、基板をスリットに沿って短冊状に分割し、端面電極を形成し、さらに、短冊状の基板を分割して、メッキした後チップ状の抵抗器を得る。
導体(表面電極及び裏面電極)は、例えば、有機ビヒクル中に導電率の高い導電性粉末とガラスフリットなどを分散させた導体形成用組成物を、基板上にスクリーン印刷法等により所要の形状に塗布し、120℃〜250℃程度で乾燥させた後、600℃〜900℃程度で焼成して形成される。また、基板両面へ導体(表面電極及び裏面電極)を形成させる場合、従来は、基板の一方の面に導体形成用組成物を印刷した後、乾燥、焼成を行って導体(例えば、裏面電極)を形成し、その後、基板の他方の面にも、同様に印刷、乾燥及び焼成を行って、導体(例えば、表面電極)を形成する方法が広く用いられている。
近年、コスト削減や省エネルギー化を目的として、乾燥から焼成までの工程を簡略化することが行われている。例えば、導体(表面電極及び裏面電極)の形成過程において、基板の一方の面に導体形成用組成物を印刷し、乾燥させて乾燥膜(例えば、裏面乾燥膜)とした後、基板の他方の面に導体形成用組成物を印刷し、乾燥させて乾燥膜(例えば、表面乾燥膜)とし、その後、基板両面の乾燥膜を同時に焼成することにより、焼成工程を一回省く方法が検討されている。しかしながら、例えば、乾燥膜の焼成をベルト炉で行う場合、ベルトと対向する面に形成された乾燥膜が焼成時にベルト炉のベルト部分に触れてしまった際に、ベルトと導体とが接合してしまい、導体の一部がベルトに付着してしまい導体のパターンに抜けができたりして、不良電子部品が形成されることがある。また、ベルトに付着した導体の再付着などの不具合を防止するために、ベルトに付着した導体を取り除く工程が必要であった。このようなベルトと導体との接合を防止するため、基板の両面に形成された乾燥膜を焼成する際には、乾燥膜が他の部材に触れないようにする冶具を設けるなどの対策を必要とする。
一方、積層セラミックコンデンサ(以下、「MLCC」ともいう。)の製造過程においては、外部電極を形成する際に、隣接する外部電極同士が接合したり、積層セラミックコンデンサを乗せるセラミック等の棚板と外部電極とが接合したりすることがある。従来、このような接合を防止するため、セラミック素子に導電性ペーストを塗布した後、アルミナ粉末やジルコニア粉末などの無機粉末をまぶすという方法もあるが、付着する無機粉末の量にばらつきがあり十分接合を防止できないという問題が生じる場合があった。また、焼成後にこれらを除去する作業が必要であり、工程が煩雑になるという問題もあった。そこで、積層セラミックコンデンサの外部電極と他の部材との接合を防止するため、いくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、導電性ペーストに、多種類の粒形を有する金属粉末、例えば、大小2種類の球形状粉末と鱗片状の金属粉末など、を用いることが記載されている。また、特許文献2では、金属粉末とガラスフリットを含む導電ペーストであって、金属粉末より高融点の金属添加物を1〜10wt%含む導電性ペーストが記載されている。これらの導電性ペーストに金属粉末を含ませる目的は、焼成の際の金属粉末の焼結を抑制させ、形成させる金属成分が密に収縮せず金属成分間に隙間を形成させるための手法であり、この隙間の形成により接合の原因となるガラス成分が導体層の表面に染み出すことを防いでいる。
また、特許文献3では、平均粒径が0.1mm以下の無機粉末を用いることが記載されている。無機粉末は導体層の表面に露出することにより、MLCCの焼成工程でMLCCチップ同士、またはMLCCチップを設置するセラミック匣鉢との焼付を防止する方法が記載されている。また、特許文献4では、ガラスの流動性をコントロールし導体層の表面に染み出すことを防止するために、ガラス粉末の組成を限定している。
特開平8−306580号公報 特開平10−12481号公報 特開平9−129480号公報 特開2001−297628号公報
上記のように、抵抗器の導体(表面電極及び裏面電極)を形成するための焼成をベルト炉で行う場合、乾燥膜とベルト等の他の部材とを冶具を用いて触れないようにする工程が必要であり、工程簡略化の障害となっていた。
本発明は上記の事情に鑑み、乾燥膜が、例えば、ベルト炉のベルト等の他の部材に接触しても焼成工程で接合しない導体形成用組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
なお、上記特許文献1〜4に記載される技術では、抵抗体の導体(表面電極及び裏面電極)を形成する際には、以下のような問題があった。すなわち、特許文献1及び特許文献2に記載の導電性ペーストでは、導体を形成する際に金属成分間に隙間を形成するため、導電性粉末の焼結が不十分となり、導体の電気抵抗率が高くなりやすく、低抵抗な導体が求められる抵抗器等の電子部品の電極に十分に適応しているとはいえない。また、これらの導電性ペーストでは、導体が脆くなりやすく、導体を介した部品間の接合強度が不十分となりやすいという問題があった。また、これらの導電性ペーストでは、導体の表面が疎になりやすいため、導体の上に電解めっきをする場合には酸性のめっき液が内部に侵入しやすく、めっき液にガラス成分が溶け出し強度の低下などを起こしやすいという問題があった。
また、特許文献3の導電性ペーストでは、実施例において、平均粒径が0.05mm〜0.2mmの無機粒子を用いており、このような大きな粒子を含む導電性ペーストを、チップ抵抗器を製造するためのスリット基板上に印刷した場合、無機粒子がスリット間に染み出だしたり、スリット基板を分割する際に、無機粒子が抜け落ち、電極に孔があいたり、抜け落ちた無機粒子がコンタミしたりして、製造工程に不具合が生じることがある。また、通常、導電性を有さない無機粉末を表面に露出するように電子部品を製造すると回路基板上に実装する際に接続不良を起こす原因となり、不良率が増加する原因となるため好ましくないと考えられる。
さらに、特許文献4に記載の導電性ペーストでは、ガラス粉末にアルカリ金属酸化物が含まれており、例えば、チップ抵抗器において導体と抵抗体等の他の部材とを組み合わる場合、アルカリ成分が他の部材に入りやすく、部材の特性に影響することがある。また、この導電性ペーストに用いられるガラス粉末の組成は、セラミック素体に対して濡れ難いと記載されるように、導体層をセラミックに形成する場合、母材に対する密着強度が得にくい。
本発明の第1の態様では、導電性粉末と、導電性粉末以外の粒子と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む導体形成用組成物であって、粒子の体積基準の累積分布における50%累積時の粒径D50が、得られる導体の膜厚に対して1.5倍以上4倍以下であり、粒子の含有量aが、導電性粉末100質量部に対して、30質量部以下であり、かつ、粒子のD50(μm)と、粒子の含有量a(質量部)との関係が下記式(1)を満たす、導体形成用組成物が提供される。
式(1):80≦D50(μm)×a(質量部)
また、粒子の粒径D50が、4.5μm以上24μm以下であることが好ましい。また、粒子は、金属酸化物または金属窒化物のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。また、粒子は、Al及びCuのうちの少なくとも一種類を含むことが好ましい。また、粒子は、酸化アルミニウム粒子を含むことが好ましい。また、導電性粉末が、Au、Ag、PdおよびPtのうちの少なくとも一種類を含むことが好ましい。また、有機ビヒクルは、バインダ樹脂と溶剤とを含み、導体形成用組成物100質量部に対して、5質量部以上120質量部以下含まれることが好ましい。上記導体形成用組成物は、さらに、チキソ剤を含むことが好ましい。また、ベルト炉を用いて、導体を形成した場合に、粒子の一部が導体層の表面に露出することにより、導電性粉末のベルトへの焼付きを防止することができることが好ましい。また、導電性組成物は、チップ抵抗器の表面電極及び裏面電極の少なくとも一方に用いられることが好ましい。
本発明の第2の態様では、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む原料を、3本ロールミルを用いて、分散して得られた混合物に、導電性粉末以外の粒子を、低圧で加えて、混合すること、を備え、粒子は、D50粒径が、導体の膜厚に対して1.5倍以上4倍以下であり、粒子の含有量aが、導電性粉末100質量部に対して、30質量部以下であり、かつ、粒子の粒径D50と、粒子の含有量a(質量部)との関係が下記式(1)を満たす、導体形成用組成物の製造方法が提供される。
式(1):80≦D50(μm)×a(質量部)
本発明の第3の態様では、基板上に形成された、金属と、金属以外の粒子と、ガラスと、を含む層状の導体であって、上記導体形成用組成物を用いて形成され、粒子は、導体の厚さに対して、1.5倍以上4倍以下のD50粒径を有し、粒子の一部が導体の表面に露出する、導体が提供される。
また、導体において、粒子は、基板の組成と同じ組成を有することが好ましい。
本発明の第4の態様では、上記の導体形成用組成物を、基板上に塗布し、乾燥させた後、酸性雰囲気下、600℃以上900℃以下で焼成すること、を備える導体の製造方法であって、粒子は、導体の厚さに対して、1.5倍以上4倍以下のD50粒径を有し、粒子の一部が、導体の表面から露出する、導体の製造方法が提供される。
また、ベルト炉を用いて、焼成し、粉末の一部が、導体の表面に露出することにより、導電性粉末のベルトへの焼付きを防止することが好ましい。
本発明の第5の態様では、基板、導体、及び、抵抗体を少なくとも備え、導体は、上記導体を用いて形成された、チップ抵抗器が提供される。
本発明の導体形成用組成物は、導体の製造工程において、従来の技術では防ぐことが困難であった、焼成過程で導体膜が、例えば、ベルト炉のベルト等の他の部材と接合してしまう現象を抑制することができる。また、本発明の導体形成用組成物の製造方法は、上記導体形成用組成物を簡便に作製することができる。また、上記導体形成用組成物を用いて得られた導体は、ベルト炉のベルトと接触させて焼成して得られた場合でも、ベルトへの導体成分の接合が抑制される。
図1(A)は、基板部上に形成された導体の一例を模式的に示す断面図であり、図1(B)は、導体を含む一部を拡大した断面図である。 図2(A)は、乾燥膜を形成した基板部をベルト炉のベルト上に載置した状態の一例を模式的に示す断面図であり、図2(B)は、乾燥膜を含む一部を拡大した断面図である。 図3は、導体形成用組成物の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、導体の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図5は、チップ抵抗器の一例を示す模式図である。 図6は、平均粒径(D50)と、粒子の含有量aと、ベルト炉での焼付きの有無との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態の一例について、図1〜5を参照して、詳細に説明する。なお、図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。
1.導体形成用組成物及び導体
本実施形態の導体形成用組成物は、導電性粉末と、前記導電性粉末以外の粒子と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む。上記粒子は、導電性粉末を焼結させて層状の導体を形成した際に、この導体の厚さよりも大きい平均粒径を有することができる。以下、図1、2を参照して、本実施形態の導体形成用組成物を用いて形成された導体について説明する。
図1(A)は、基板部上に形成された本実施形態の導体の一例を示す模式図である。導体10は、基板部20の一方又は両方の表面上に層状に形成される。導体10は、導体形成用組成物を、スリット基板(基板部20)に塗布して、乾燥した後、焼成して形成される。ここで、基板部20とは、スリット基板のうちの、1つのチップを形成する部分をいう。なお、導体10は、基板部分20の一方の表面(表面又は裏面)上に形成されてもよく、両方の表面(表面及び裏面)上に形成されてもよい。
図1(B)は、図1(A)の破線で囲んだ導体の部分を拡大して示す図である。図1(B)に示されるように、導体10は、導電性粉末以外の粒子1(以下、「粒子1」ともいう。)と、導電性粉末が焼結して形成された導体部2とを含む。導体部2は、導電性粉末に由来する金属、及び、ガラスフリットに由来するガラスを含む。なお、導体形成用組成物に含まれる有機ビヒクルに由来する成分は、乾燥、焼成の工程で、除去される。
粒子1は、導体部2(導体)の厚さよりも大きな粒径を有し、粒子1の一部が、導体部2の表面から露出する。粒子1の粒径D50は、例えば、導体部2の膜厚に対して、1.5倍以上4倍以下であり、1.5倍以上2.5倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2倍未満であることが好ましい。なお、導体部2の厚さは、接触式表面粗さ計を用いて測定することができる。
粒子1の粒径D50は、断面SEM観察により確認することができる。なお、後述する導体形成用組成物の製造方法を用いた場合、粒子1の粒径D50は、導体形成用組成物中に含まれる粒子とほぼ同じ粒径を維持することができるため、例えば、所望する導体部2の厚さよりも大きい粒径D50を有する粒子を導体形成用組成物の材料として用いることができる。また、導体10は、抵抗体の導体(表面電極及び裏面電極の少なくとも一方)として用いられる場合、導体部2の厚さは、1μm以上10μm以下とすることができ、3μm以上6μm以下であることが好ましい。
導体形成用組成物中、粒子1の粒径D50は、例えば1μm以上40μm以下であり、導体部2の膜厚を3μm以上6μm以下とする場合、好ましくは4.5μm以上24μm以下である。粒径D50が上記範囲である場合、導体形成用組成物の製造工程において、粉末を解砕・分散する際に、該粉末の十分なせん断応力を確保し、安定した導体形成用組成物の品質とすることができ、焼成の際、ベルト炉におけるベルト等の他の部材への乾燥膜の接合(焼付き)を効率的に抑制することができる。また、導体形成用組成物中の粒子1は、粒径D50が、焼成後に導体10からの粒子1の脱落をより抑制するという観点から、2μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましい。また、導体形成用組成物中の粒子1の粒径D50が上記範囲である場合、後述するように、また、チップ抵抗器を分割する工程で粉末1の抜け落ちを十分に防ぐことができる。ここで、粒径D50とは、動的光散乱法より算出される体積基準の累積分布における50%累積時の粒径のことをいう。
導体形成用組成物中、粒子1の粒径D50(μm)と、導電性粉末100質量部に対する粒子1の含有量a(質量部)とは、下記式(1)の関係を満たす。
式(1):80≦D50(μm)×a(質量部)
上記式(1)を満たす場合、焼成の際、ベルト炉におけるベルト等の他の部材への乾燥膜の接合(焼付き)を効率的に抑制することができる。
また、粒子1の含有量a(質量部)は、上記式(1)を満たし、かつ、導電性粉末100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましい。粒子1の含有量が上記式(1)を満たせば、他の部材への乾燥膜の接合(焼付き)は抑制することができるが、さらに、含有量の上限が上記範囲である場合、導体形成組成物中の粒子1の含有量を低減し、導電性粉末の含有量を増やすことができるため、良好な導電性を維持することができる。
粒子1は、導体形成用組成物を、導電性粉末が焼結できる温度で焼成した際に、焼結しない粒子を用いることができる。すなわち、粒子1は、導電性粉末より焼結開始温度が高く、120℃以上900℃以下の範囲で融解しない粒子を用いることができる。粒子1の融点は、例えば、1400℃以上4300℃以下であることが好ましい。
粒子1は、例えば、金属酸化物および金属窒化物のうち少なくとも一つを含む粒子を用いることができ、Al及びCuのうちの少なくとも一種類を含む粒子を用いることが好ましい。粒子1は、具体的には、窒化アルミニウム粉末、アルミナ粉末、炭化ケイ素粉末、窒化ケイ素粉末、ジルコニア粉末等のセラミックス粒子を用いることができ、好ましくは、アルミナ粒子を用いることができる。粒子1として、アルミナ粒子を用いると、安価で他の粒子と同等の効果を発揮するので工業的に好ましい。
また、粒子1は、絶縁性の粒子を用いることができ、基板と同様の材料からなる粉末を用いることができる。特に、基板としてアルミナ基板を用いた場合、金属酸化物粒子1がアルミナ粒子であることが好ましい。また、粒子1としてアルミナ粉末を用いた導体10は、角形チップ抵抗器を製造する際に、アルミナ基板に形成する裏面電極に特に適する。
図2(A)は、乾燥膜を形成した基板部をベルト炉のベルト上に載置した状態を示す模式図である。図2(B)は、図2(A)の破線で囲んだ乾燥膜の部分を拡大して示す図であり、焼成後のベルトと接触する乾燥膜11の部分を拡大して示す図である。図2に示されるように、本実施形態の導体組成物を用いて形成された乾燥膜11を、ベルト炉で焼成する際、導体部2の表面に露出した粒子1が、ベルトと接触するため、乾燥膜11とベルト30との接触面積を小さくすることができ、乾燥膜中の導体部2と、ベルト炉中のベルトや他の部材との接合(焼付き)を抑制することができる。なお、乾燥膜の焼成は、ベルト炉以外で行ってもよく、その場合は、乾燥膜を形成したスリット基板を載置した部材と、乾燥膜との接触部分の接合(焼付き)を防止することができる。
以下、導体形成用組成物を構成する粒子1以外の成分について、説明する。
[導電性粉末]
導電性粉末は、特に限定されず、一般的に導体形成用組成物に使用されるものを用いることができる。導電性粉末は、例えば、Au、Ag、PdおよびPtのうちの少なくとも一種類を含むことができる。また、導電性粉末は、導体形成用組成物に対して、40質量%以上90質量%以下含むことができる。
[ガラスフリット]
本実施形態の導電性組成物に用いられるガラスフリットは、特に制限されず、一般的に導体形成用組成物に使用されるガラスフリットが用いられる。例えば、ガラスフリットとして、平均粒径が0.5μm以上5μm以下で、軟化点が500℃以上700℃以下のホウ珪酸ガラス(SiO−B系)等の無鉛で実質的にアルカリ金属を含まないガラスフリットが使用できる。ガラスフリットには、ガラスと基板の濡れ性や、基板と導体の密着性の向上、さらに導体の耐酸化性を向上させる目的で、CaO、BaO、ZnO、TiO、Vなどの成分を添加してもよい。また、ガラスフリットは、導電性組成物に対して、0.1質量%以上10質量%以下の範囲で含まれることができる。
[有機ビヒクル]
有機ビヒクルは、バインダ樹脂を溶剤に溶解したものである。バインダ樹脂としては、従来と同様、エチルセルロース、アクリレート、メタクリレート、ブチラール、変性セルロール、変性アクリレート、変性メタクリレート、変性ブチラールなどを用いることができる。バインダ樹脂は、導体形成用組成物に対して1質量%以上15質量%以下の範囲で含有されることが好ましい。バインダ樹脂の含有量が1質量%未満である場合、導体形成用組成物のハンドリング性が悪く、導体を形成する際に必要なペーストとしての粘度特性が得られないことがある。一方、バインダ樹脂の含有量が15質量%を超える場合、粘度が高くなりすぎスクリーン印刷時のスクリーン抜けが悪くなり、詰まりの原因となることがある。
溶剤としては、ターピネオール、カルビトール、変性ターピネオール、変性カルビトール、アルコール、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステルなどの有機溶剤を用いることができる。また、有機ビヒクル中の溶剤の配合量は、従来と同様の配合量で使用することができ、例えば、導体形成用組成物に対して20〜60質量%の範囲で含有されることができる。
[チキソ剤]
さらに、導体形成用組成物は、チキソ剤を含有してもよい。チキソ剤としては、酸化ポリオレフィン、水添ひまし油系、アマイドワックス系、重合油系、界面活性剤系を主成分としたものや、ヒュームドシリカを用いることができる。チキソ剤を含有することにより、導体形成用組成物の分離を抑制し、スリット流れの発生を抑制する効果を高めることができる。
2.導体形成用組成物の製造方法
上記の導体形成用組成物の製造方法は、特に限定されず、上記の各材料を従来公知の方法を用いて、混合するにより製造することができる。図3は、本実施形態の導体形成用組成物を製造する方法として好適に用いることのできる製造方法の一例を示す。以下、図3を参照して、本実施形態の導体形成用組成物の製造方法について説明する。
まず、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む原料を、分散させて混合物を得る(ステップS10)。原料を分散する方法は、特に限定されず、例えば、上記の導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む材料を、公知の分散装置を用いて混合することにより分散することができる。
分散装置としては、高圧乳化装置、混合撹拌機、吸引分散撹拌機、ビーズミル、ボールミル、3本ロールミルなどを用いることができるが、これの中でも、より均一に材料を解砕、分散させるという観点から、3本ロールミルを用いることが好ましい。
次いで、得られた混合物に、粒子1を添加して、混合して、導体形成用組成物を得る(ステップS20)。混合物と粒子1とを混合する際は、粒子1が破壊されない程度の圧力(低圧)で混合することが好ましい。
混合物に添加させる粒子1は、上述したように、粒径D50が、導体の膜厚に対して1.5倍以上4倍以下であり、粒子の含有量aが、導電性粉末100質量部に対して、30質量部以下であり、かつ、粒子の粒径D50(μm)と、前記粒子の含有量a(質量部)との関係が下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1):80≦D50(μm)×a(質量部)
例えば、3本ロールミルを用いて混合物と粒子1とを混合する場合、3本ロールミルのロール間のギャップを粒子1の粒径D50よりも広く設定することが好ましい。ロール間のギャップを上記範囲で適宜調整する場合、混合工程における粒子1の粉砕を抑制して、得られる導体形成用組成物中の粒子1の粒径を所望の範囲に制御しつつ、各材料を均一に分散させることができる。
3.導体の製造方法
図4は、本実施形態の導体の製造方法の一例を示す図である。以下、図4を参照して、本実施形態の導体の製造方法を説明する。
まず、上記導体形成用組成物を基板の少なくとも一方の面に塗布する(ステップS30)。塗布は、例えば、スクリーン印刷等を用いることができる。基板は、例えば、スリットを有するスリット基板を用いることができる。スリット基板は、後の工程で、スリットに沿って、分割され、それぞれのチップ部品が形成される。なお、スリット基板を用いる場合、図1〜図2に示される基板部20は、チップ部品(例えば、チップ抵抗体)における一つのチップ分に対応する基板部分である。
次いで、導体形成用組成物を塗布した基板を乾燥して、基板上に乾燥膜を形成する(ステップS40)。乾燥条件は、特に限定されず、導体形成用組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去できればよい。乾燥は、例えば、最高温度が120℃以上250℃以下となるように設定されたベルト乾燥炉または固定式乾燥炉を用いて行うことができる。乾燥時間は、設定温度に応じて、適宜、調節することができる。
基板の両面(表面及び裏面)に上記導体形成用組成物を塗布する場合、基板の一方の面にスクリーン印刷などより塗布して乾燥した後、基板の他方の面に、同様に、上記導体形成用組成物を塗布して乾燥させる。この工程により、例えば、図2(A)に示されるように、基板部20の裏面及び表面の両面に、所定間隔を有し、対向する一対の乾燥膜11を得ることができる。
次いで、乾燥膜を形成した基板を焼成する(ステップS50)。焼成工程(ステップS50)において、上記導体形成用組成物に含まれる導電性粉末が焼結し、図1(B)に示されるような導体部2が形成される。焼成条件は、特に限定されず、導電性粉末が焼結する条件を用いることができるが、大気雰囲気中で行うことが好ましい。焼成は、例えば、最高温度が600℃以上900℃以下となるように設定されたベルト炉(ベルト乾燥炉)で行うことができる。焼成時間は、設定温度に応じて、適宜、調節することができる。
4.抵抗器
図5は、本実施形態の抵抗器(チップ抵抗器)の一例を示す模式図である。抵抗器100は、基板20、導体10、及び、抵抗体40を少なくとも備える。また、抵抗器100は、抵抗体40上に、ガラス層や樹脂層などの保護層50を有する。
抵抗器100を構成する導体10は、図5に示すように、表面電極10a及び裏面電極10bを含む。表面電極10a及び/又は裏面電極10bは、上記導体形成用組成物を用いて形成された導体から形成される。抵抗器100は、従来公知の製造方法により製造することができる。
以下、本発明について実施例によりさらに説明を行うが、本発明の範囲は、この実施例により制限されることはない。
(実施例1)
(1)導体形成用組成物の製造
導電性粉末としてAg粉末50質量%と、バインダ樹脂としてエチルセルロース4質量%(ターピネオール(溶剤)に溶解させた有機ビヒクルとして)と、ガラスフリット4質量%と、さらに酸化ポリオレフィンを主成分とした加熱残分25%のチキソ剤1質量%とを加え、3本ロールミル(ビューラー(株)製、SDY−300)にて解砕・分散して混合物を作製した。得られた混合物に、酸化物粉末(粒子1)として平均粒径(D50)20μmのアルミナ粉末を導電性粉末に対して4質量部(導体形成用組成物100質量%中に2質量%)加えて分散して、導体形成用組成物を得た。なお、有機ビヒクル中の溶剤は、導体形成組成物全体が100質量%となるように調整して添加している。
(2)導体の製造
得られた導体形成用組成物をアルミナ基板に厚さ35μmで塗布し、最高到達温度190℃のベルト炉で10分乾燥させて乾燥膜を形成後、得られた乾燥膜がベルト炉のベルトに接触する状態で、ピーク温度850℃に設定されたベルト式焼成炉で15分焼成して、アルミナ基板上に層状の導体を形成した。得られた導体の厚みを、触針式表面粗さ計((株)東京精密製、SURFCOM 480A)を用いて測定した。また、得られた導体の断面SEM像から観察したところ、アルミナ粒子が、導体の表面に露出していることが確認された。
(ベルトへの焼き付き評価)
ベルト部材と導体との接合の有無を、光学顕微鏡を用いて導体のベルトとの接触部分、且つ接触していたベルト表面を観察することにより評価した。導体のベルトとの接触部分に抜けが確認され、ベルト表面にAgが観察された場合は×(ベルトと導体の焼付あり)と評価し、導体のベルトとの接触部分の抜けがなく、ベルト表面にもAg付着が観察されなかった場合は、○(ベルトと導体の焼付なし)と評価した。
(酸化物粉末残留評価)
酸化物粉末が焼成後も導体内に残留しているかを、光学顕微鏡を用いて導体表面を観察することにより評価した。酸化物粉末の脱落が1個も確認されなかった場合を○、酸化物粉末の脱落が1〜2個で、脱落した酸化物粉末による影響がほとんどないと考えられる場合を△、酸化物粉末の脱落が3個以上で脱落した酸化物粉末が製造する電子部品に悪影響を及ぼすと考えられる場合を×と評価した。
(実施例2)
チキソ剤として、ヒュームドシリカを0.4質量%加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(実施例3)
平均粒径(D50)11μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して8質量部(導体形成用組成物100質量%中に4質量)%加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(実施例4)
チキソ剤として、ヒュームドシリカを0.4質量%加えた混合物を3本ロールミルで作製後、平均粒径(D50)11μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して8質量部(導体形成用組成物100質量%中に4質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(実施例5)
平均粒径(D50)8μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して12質量部(導体形成用組成物100質量%中に6質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(実施例6)
粒子1として平均粒径(D50)8μmの窒化アルミニウムを導電性粉末に対して12質量部(導体形成用組成物100質量%中に6質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(実施例7)
粒子1として平均粒径(D50)8μmの炭化ケイ素を導電性粉末に対して12質量部(導導体形成用組成物100質量%中に6質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(実施例8)
粒子1として平均粒径(D50)8μmのジルコニアを導電性粉末に対して12質量部(導導体形成用組成物100質量%中に6質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例1)
混合物に、アルミナ粉末及びチキソ剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で製造し導体形成用組成物を得た。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例2)
チキソ剤として、酸化ポリオレフィンを主成分とした加熱残分25%のチキソ剤を1質量%加え、平均粒径11μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して4質量部(導体形成用組成物100質量%中に2質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例3)
チキソ剤としてヒュームドシリカを0.4質量%加え、平均粒径11μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して4質量部(導体形成用組成物100質量部%に2質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例4)
チキソ剤として酸化ポリオレフィンを主成分とした加熱残分25%のチキソ剤を1質量%加え、平均粒径4.7μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して12質量部(導体形成用組成物100質量%中に6質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例5)
チキソ剤としてヒュームドシリカを0.4質量%加え、平均粒径4.7μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して12質量部(導体形成用組成物100質量%中に6質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例6)
チキソ剤として、酸化ポリオレフィンを主成分とした加熱残分25%のチキソ剤1質量%加え、平均粒径4.7μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して16質量部(導体形成用組成物100質量%中に8質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例7)
チキソ剤としてヒュームドシリカを0.4質量%加え、平均粒径4.7μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して16質量部(導体形成用組成物100質量%中に8質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例8)
チキソ剤としてヒュームドシリカを0.4質量%加え、平均粒径1μmのアルミナ粉を導電性粉末に対して16質量部(導体形成用組成物100質量%中に8質量%)加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例9)
チキソ剤としてヒュームドシリカを0.4質量%加え、酸化物粉末のアルミナ粉末を平均粒径10μmの銀粉に置き換え8質量%加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
(比較例10)
粒子1を添加する代わりに、平均粒径(D50)10μmのAg粉末を導体形成用組成物100質量%中に8質量%加えた以外は、実施例1と同様の条件で導体形成用組成物を製造した。得られた導体形成用組成物を用いて、ベルト部との接合及び酸化物粉末残留状態について確認した。結果を表1に示す。
Figure 2018200794
(評価結果)
図6は、上記実施例及び比較例の評価結果から得られた、粒子1としてアルミナを用いた場合の、平均粒径(D50)と、粒子の含有量と、ベルト炉への焼付きの有無(焼付きなし●、焼付きあり〇)との関係を示す。表1及び図6に示されるように、導体の膜厚に対して1.5倍以上4倍以下の粒子1を含み、粒子1の平均粒径(D50)と、粒子1の含有量aとの関係が、80≦D50(μm)×a(質量部)を満たす実施例の導体形成組成物は、ベルト炉への焼付きが観察されなかった。
以上から、本実施形態に係る導体形成用組成物は、焼成工程におけるベルト炉のベルト等の他の部材と接合してしまう現象を抑制することができることが示された。
1…粒子
2…導体部
10…導体
10a…表面電極
10b…裏面電極
10c…端面電極
11…乾燥膜
20…基板部
30…ベルト部
40…抵抗体
50…保護層
100…抵抗器

Claims (16)

  1. 導電性粉末と、前記導電性粉末以外の粒子と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む導体形成用組成物であって、
    前記粒子の体積基準の累積分布における50%累積次の粒径D50が、得られる導体の膜厚に対して1.5倍以上4倍以下であり、前記粒子の含有量aが、前記導電性粉末100質量部に対して、30質量部以下であり、かつ、前記粒子の粒径D50(μm)と、前記粒子の含有量a(質量部)との関係が下記式(1)を満たす、導体形成用組成物。
    式(1):80≦D50(μm)×a(質量部)
  2. 前記粒子の粒径D50が、4.5μm以上24μm以下である、請求項1に記載の導体形成用組成物。
  3. 前記粒子は、金属酸化物または金属窒化物のうち少なくとも一つを含む、請求項1又は請求項2に記載の導体形成用組成物。
  4. 前記粒子は、Al及びCuのうちの少なくとも一種類を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の導体形成用組成物。
  5. 前記粒子は、酸化アルミニウム粒子を含む請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の導体形成用組成物。
  6. 前記導電性粉末が、Au、Ag、PdおよびPtのうちの少なくとも一種類を含む請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の導体形成用組成物。
  7. 前記有機ビヒクルは、バインダ樹脂と溶剤とを含み、前記導体形成用組成物100質量部に対して、5質量部以上120質量部以下含まれる、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の導体形成用組成物。
  8. さらに、チキソ剤を含む、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の導体形成用組成物。
  9. ベルト炉を用いて、前記導体を形成した場合に、前記粒子の一部が前記導体層の表面に露出することにより、前記導電性粉末のベルトへの焼付きを防止することができる、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の導電性組成物。
  10. チップ抵抗器の表面電極及び裏面電極の少なくとも一方に用いられる請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の導電性組成物。
  11. 導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含む原料を、3本ロールミルを用いて、分散して得られた混合物に、前記導電性粉末以外の粒子を、低圧で加えて、混合すること、を備え、
    前記粒子の体積基準の累積分布における50%累積次の粒径D50が、導体焼結膜厚に対して1.5倍以上4倍以下であり、前記粒子の含有量aが、前記導電性粉末100質量部に対して、30質量部以下であり、かつ、前記粒子の粒径D50(μm)と、前記粒子の含有量a(質量部)との関係が下記式(1)を満たす、導体形成用組成物の製造方法。
    式(1):80≦D50(μm)×a(質量部)
  12. 基板上に形成された、金属と、前記金属以外の粒子と、ガラスと、を含む層状の導体であって、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の導体形成用組成物を用いて形成され、前記粒子は、前記導体の厚さに対して、1.5倍以上4倍以下のD50粒径を有し、前記粒子の一部が前記導体の表面に露出する、導体。
  13. 前記粒子は、前記基板の組成と同じ組成を有する、請求項12に記載の導体。
  14. 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の導体形成用組成物を、基板上に塗布し、乾燥させた後、酸性雰囲気下、600℃以上900℃以下で焼成すること、を備える導体の製造方法であって、前記粒子は、前記導体の厚さに対して、1.5倍以上4倍以下のD50粒径を有し、前記粒子の一部が、前記導体の表面から露出する、導体の製造方法。
  15. ベルト炉を用いて焼成し、前記粒子の一部が、前記導体の表面に露出することにより、前記導電性粉末のベルトへの焼付きを防止する請求項14に記載の導体の製造方法。
  16. 基板、導体、及び、抵抗体を少なくとも備え、前記導体は、請求項12又は請求項13に記載の導体を用いて形成された、チップ抵抗器。

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