JP2009009847A - 導電膜の製造方法及び導電膜 - Google Patents

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純成 山辺
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Abstract

【課題】元の化学特性を維持し、さらに電気抵抗を許容範囲内に保持しながら導電膜の膜厚を増加させ、その膜厚の許容誤差範囲を広げることができる導電膜の製造方法を提供する。
【解決手段】導電膜の製造方法において、複数の金属錯体及び金属錯体より電気抵抗が高い複数の非金属微粒子を溶媒に分散させて生成された溶液を下地部材に向けて液滴として噴射し、下地部材に液滴を着弾させる工程(ステップS2)と、下地部材上に着弾した液滴を乾燥させる工程(ステップS4、S6)とを有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、導電膜の製造方法及び導電膜に関し、特に、下地部材に向けて溶液を噴射して導電膜を形成する導電膜の製造方法及びその方法により形成された導電膜に関する。
液滴噴射装置は、画像情報の印刷のほか、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、電子放出表示装置、プラズマ表示装置及び電気泳動表示装置等の様々な平面型表示装置を製造する際、導電膜の形成工程(膜付け工程)に利用されている。
液滴噴射装置は、下地部材である基板に向けてインク等の溶液を液滴化して噴射する液滴噴射ヘッド(例えば、インクジェットヘッド)及び基板上に着弾した液滴を乾燥させる乾燥部等を備えている。この液滴噴射装置は、液滴噴射ヘッドにより基板に複数の液滴を着弾させて所定のパターンのドット列を形成し、基板上の各液滴を乾燥させて液質による導電膜を形成し(液相法)、様々な物品の製造に寄与する。ここで、導電膜の形成に用いる溶液としては、例えば、溶媒に金属錯体を分散させて生成された溶液が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
導電膜を形成する際には、その電気抵抗(抵抗値)を許容範囲内(規格範囲内)におさめる必要がある。特に、導電膜の電気抵抗を高くする必要がある場合には、薄い膜厚(例えば、数nm程度)で導電膜を形成する必要が生じる。このとき、導電膜の目標膜厚は数nm程度と薄く、その許容範囲(マージン)は目標膜厚の数nmに対して±数百pm程度である。例えば、目標膜厚が4nmである場合には、許容範囲は4nm±0.2nm程度であり、薄い導電膜の膜厚を0.4nmの許容誤差範囲で制御することは非常に困難である。一方、他の金属との合金により導電膜を形成することによって、その電気抵抗を高くすることも可能である。
特開2006−269254号公報
しかしながら、合金を用いて導電膜の電気抵抗を高くする場合には、導電膜の元の化学特性(性質、例えば融点や機械的強度、耐食性等)を維持することができない。また、導電膜の膜厚の許容範囲、すなわち許容誤差範囲が狭いことは導電膜の形成を困難にする要因となっている。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、元の化学特性を維持しつつ、加えて電気抵抗を許容範囲内に保持しながら導電膜の膜厚を増加させ、その膜厚の許容誤差範囲を広げることができる導電膜の製造方法及び導電膜を提供する。
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、導電膜の製造方法において、複数の金属錯体及び複数の金属錯体より電気抵抗が高い複数の非金属微粒子を溶媒に分散させて生成された溶液を下地部材に向けて液滴として噴射し、下地部材に液滴を着弾させる工程と、下地部材上に着弾した液滴を乾燥させる工程とを有することである。
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、導電膜において、複数の金属錯体と、複数の金属錯体より電気抵抗が高い複数の非金属微粒子とを有することである。
本発明によれば、元の化学特性を維持し、さらに電気抵抗を許容範囲内に保持しながら導電膜の膜厚を増加させ、その膜厚の許容誤差範囲を広げることを可能とする。
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る液滴噴射装置1は、下地部材である基板2を収容する基板収容部3と、基板2に対して溶液であるインクを複数の液滴として噴射し、基板2上に各液滴を塗布する塗布部4と、塗布後の基板2に対して減圧乾燥を行う減圧乾燥部5と、減圧乾燥済の基板2に対して再溶解及び再乾燥を行う溶解乾燥部6と、再溶解及び再乾燥済の基板2である塗布体2aを収容する塗布体収容部7と、それらの基板収容部3、塗布部4、減圧乾燥部5、溶解乾燥部6及び塗布体収容部7の各間の基板搬送を行う搬送部8とを備えている。
基板収容部3は、複数の基板2を収容する収容棚3aを備えている。この収容棚3aは、架台3b上に着脱可能に取り付けられている。このような基板収容部3は、収容棚3aにより複数の基板2を収容している。なお、収容棚3a内の基板2は搬送部8により塗布部4に搬送される。
塗布部4は、基板2にインクを液滴として塗布するためのインク塗布ボックス4aと、インク塗布ボックス4aにインクを供給するインク供給ボックス4bとを備えている。この塗布部4は架台4c上に設けられている。インク塗布ボックス4aは、液滴を噴射する複数の液滴噴射ヘッドFを具備している。このインク塗布ボックス4aの内部は、インクの溶媒が水であれば湿度が一定になるように露点管理されており、例えば湿度70%程度に保たれている。これにより、基板2の塗布途中及び基板2の搬送途中に、基板2上の各液滴が乾燥してしまうことを防止することができる。このような塗布部4は、各液滴噴射ヘッドFにより、インクを複数の液滴(インク滴)として噴射し、基板2の表面に、例えば所定のドットパターンを塗布する。なお、塗布済の基板2は、搬送部8により塗布部4から減圧乾燥部5に搬送される。
減圧乾燥部5は、塗布済の基板2を収容する真空チャンバ等の収容室5aと、その収容室5a内の気体を排気する排気部5bとを備えている。この減圧乾燥部5は架台5c上に設けられている。このような減圧乾燥部5は、排気部5bにより収容室5a内の気体を排気して収容室5a内を減圧し、収容室5a内に収容した塗布済の基板2上の各液滴を乾燥させる。これにより、基板2上の各液滴が乾燥し、複数の残留物が基板2上に残る。なお、乾燥済の基板2は、搬送部8により減圧乾燥部5から溶解乾燥部6に搬送される。
溶解乾燥部6は、基板2を保持して移動させる基板移動機構6aと、移動する基板2の塗布面に対して溶解用気体を吹き付ける溶解吹付部6bと、その溶解吹付部6bより基板2の移動方向の下流側に設けられ、移動する基板2上の塗布面に対して乾燥気体を吹き付ける乾燥吹付部6cと、溶解吹付部6bと乾燥吹付部6cとの間の気体を排気する排気部6dとを備えている。この溶解乾燥部6は架台6e上に設けられている。このような溶解乾燥部6は、基板移動機構6aにより基板2を移動させながら、溶解吹付部6bにより基板2の塗布面に溶解用気体を吹き付け、その後、乾燥吹付部6cにより基板2の塗布面に乾燥気体を吹き付ける。これにより、減圧乾燥によって各液滴が乾燥し、基板2上に残留した各残留物は、溶解用気体により再溶解して複数の液滴物となり、それらの液滴物が乾燥気体により再乾燥し、基板2上に残る複数の溶質物となる。ここで、溶解用気体は残留物を溶解する気体であり、乾燥気体は液滴物を乾燥させる気体である。なお、再溶解及び再乾燥済の基板2は搬送部8により溶解乾燥部6から塗布体収容部7に搬送される。
塗布体収容部7は、再溶解及び再乾燥済の基板2である塗布体2aを収容する収容棚7aを有している。この収容棚7aは架台7b上に着脱可能に取り付けられている。このような塗布体収容部7は、搬送部8により溶解乾燥部6から搬送された塗布体2aを収容棚7aにより収容する。
搬送部8は、上下方向に移動可能な昇降軸8aと、その昇降軸8aの上端部に連結されて水平面(X−Y平面)内で回動可能なリンク8b、8cと、そのリンク8b、8cの先端部に取り付けられたアーム8dとを有している。この搬送部8は、昇降軸8aの昇降及びリンク8b、8cの回動を行い、基板収容部3の収容棚3aから基板2を取り出して塗布部4に搬送し、さらに、塗布済の基板2を塗布部4から減圧乾燥部5に搬送して収容室5a内に載置し、加えて、減圧乾燥済の基板2を減圧乾燥部5内から取り出して溶解乾燥部6に載置し、最後に、再溶解及び再乾燥済の基板2である塗布体2aを塗布体収容部7に搬送して収容棚7a内に載置する。このような搬送部8の内部は、湿度が一定に、例えば70%程度に保たれている。これにより、基板2の搬送途中に、基板2上の各液滴が乾燥してしまうことを防止することができる。
次いで、塗布部4が備えるインク塗布ボックス4a及びインク供給ボックス4bについて説明する。
図2に示すように、インク塗布ボックス4aの内部には、基板2を保持してX軸方向及びY軸方向に移動させる基板移動機構11と、液滴噴射ヘッドFをそれぞれ有する3つのインクジェットヘッドユニット12と、それらのインクジェットヘッドユニット12を一体にX軸方向に移動させるユニット移動機構13と、各液滴噴射ヘッドFを清掃するヘッドメンテナンスユニット14と、インクを収容する3つのインクバッファタンク15とが設けられている。
基板移動機構11は、Y軸方向ガイド板16、Y軸方向移動テーブル17、X軸方向移動テーブル18及び基板保持テーブル19により構成されている。これらのY軸方向ガイド板16、Y軸方向移動テーブル17、X軸方向移動テーブル18及び基板保持テーブル19は積層されて設けられている。
Y軸方向ガイド板16は、架台4cの上面に固定されて設けられている。このY軸方向ガイド板16の上面には、複数のガイド溝16aがY軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝16aがY軸方向にY軸方向移動テーブル17を案内する。
Y軸方向移動テーブル17は、Y軸方向ガイド板16の上面にY軸方向に移動可能に設けられている。このY軸方向移動テーブル17は、送りネジ及び駆動モータを用いた送り機構(図示せず)により各ガイド溝16aに沿ってY軸方向に移動する。また、Y軸方向移動テーブル17の上面には、複数のガイド溝17aがX軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝17aがX軸方向にX軸方向移動テーブル18を案内する。
X軸方向移動テーブル18は、Y軸方向移動テーブル17の上面にX軸方向に移動可能に設けられている。このX軸方向移動テーブル18は、送りネジ及び駆動モータを用いた送り機構(図示せず)により各ガイド溝17aに沿ってX軸方向に移動する。
基板保持テーブル19は、X軸方向移動テーブル18の上面に固定されて設けられている。この基板保持テーブル19は、基板2を吸着する吸着機構(図示せず)を備えており、その吸着機構により上面に基板2を固定して保持する。吸着機構としては、例えばエアー吸着機構等を用いる。なお、基板保持テーブル19は、X軸方向移動テーブル18と共にY軸方向に往復移動し、基板2に対してインク滴の塗布を行う塗布位置(図1及び図2中の基板2の位置)と、基板保持テーブル19上に基板2を載せ降ろしする載置位置とに移動する。
ユニット移動機構13は、架台4cの上面に立設された一対の支柱20と、それらの支柱20の上端部間に連結されてX軸方向に延出するX軸方向ガイド板21と、そのX軸方向ガイド板21にX軸方向に移動可能に設けられ各インクジェットヘッドユニット12を支持するベース板22とを有している。
一対の支柱20は、X軸方向において基板移動機構11を挟むように設けられている。また、X軸方向ガイド板21の前面には、ガイド溝21aがX軸方向に沿って設けられている。このガイド溝21aがX軸方向にベース板22を案内する。ベース板22は、X軸方向ガイド板21にX軸方向に移動可能に設けられている。このベース板22は、送りネジ及び駆動モータを用いた送り機構(図示せず)によりガイド溝21aに沿ってX軸方向に移動する。このようなベース板22の前面には、3つのインクジェットヘッドユニット12が取り付けられている。
各インクジェットヘッドユニット12は、ベース板22に垂設されており、それぞれ液滴噴射ヘッドFを具備している。これらの液滴噴射ヘッドFは、各インクジェットヘッドユニット12の先端にそれぞれ着脱可能に設けられている。液滴噴射ヘッドFは、貫通孔である複数のノズルを有し、それらの各ノズルから液滴を基板2に向けて噴射する。このようなインクジェットヘッドユニット12には、基板2面に対して垂直方向、すなわちZ軸方向に液滴噴射ヘッドFを移動させるZ軸方向移動機構12aと、液滴噴射ヘッドFをY軸方向に移動させるY軸方向移動機構12bと、液滴噴射ヘッドFをθ方向に回転させるθ方向回転機構12cとが設けられている。これにより、液滴噴射ヘッドFは、Z軸方向及びY軸方向に移動可能であり、θ軸方向に回転可能である。
ヘッドメンテナンスユニット14は、各インクジェットヘッドユニット12の移動方向の延長線上であってY軸方向ガイド板16から離反させて配設されている。このヘッドメンテナンスユニット14は、各インクジェットヘッドユニット12の液滴噴射ヘッドFを清掃する。なお、ヘッドメンテナンスユニット14は、各インクジェットヘッドユニット12の液滴噴射ヘッドFがヘッドメンテナンスユニット14に対向する待機位置に停止した状態で、各液滴噴射ヘッドFを自動的に清掃する。
インクバッファタンク15は、その内部に貯留したインクの液面と液滴噴射ヘッドFのノズル面との水頭差(水頭圧)を利用し、ノズル先端のインクの液面(メニスカス)を調整する。これにより、インクの漏れ出しや吐出不良が防止されている。
インク供給ボックス4bの内部には、インクをそれぞれ収容する複数のインクタンク23が着脱可能に取り付けられている。各インクタンク23は、供給パイプ24によりインクバッファタンク15を介してそれぞれ液滴噴射ヘッドFに接続されている。すなわち、液滴噴射ヘッドFは、インクタンク23からインクバッファタンク15を介してインクの供給を受ける。ここで、インクとしては、各種のインクを用いることが可能である。
架台4cの内部には、液滴噴射装置1の各部を制御するための制御部25が設けられている。この制御部25は、各部を集中的に制御するCPU等のコントローラと、各種のプログラム等を記憶する記憶部と(いずれも図示せず)を備えている。制御部25は、各種のプログラムに基づいて、Y軸方向移動テーブル17の移動制御、X軸方向移動テーブル18の移動制御、ベース板22の移動制御、Z軸方向移動機構12aの駆動制御、Y軸方向移動機構12bの駆動制御及びθ方向回転機構12cの駆動制御等を行う。これにより、基板保持テーブル19上の基板2と、各インクジェットヘッドユニット12の液滴噴射ヘッドFとの相対位置を色々と変化させることができる。さらに、制御部25は、各種のプログラムに基づいて、減圧乾燥部5の駆動制御、溶解乾燥部6の駆動制御及び搬送部8の駆動制御等を行う。
次いで、減圧乾燥部5が備える収容室5a及び排気部5bについて説明する。
図3に示すように、収容室5aは、開閉可能なドア31を有する箱状に形成されている。このドア31から塗布済の基板2が収容室5a内に収容される。まず、ドア31が開かれ、塗布済の基板2が収容室5a内に収容され、その後、そのドア31は気密となるように閉じられる。乾燥後、再びドア31が開けられ、乾燥済の基板2が取り出される。なお、基板2は、収容室5aの底面に設けられた支持ピン等により支持される。また、収容室5aには、複数の貫通孔を有する分散板(図示せず)が設けられている。これにより、収容室5a内の気流の発生を抑えることができる。
排気部5bは、収容室5aの底面に接続された排気経路である排気パイプ32と、その排気パイプ32を開閉する開閉弁33と、排気パイプ32を介して収容室5a内の気体を吸引する吸引部34と、開閉弁33と吸引部34との間に位置付けられて排気径路中に設けられた減圧タンク35とを有している。この排気部5bは、排気速度及び到達真空度等が変更可能に形成されている。
排気パイプ32は、収容室5aの底面の略中央に接続されている。開閉弁33は、制御部25により制御され、排気パイプ32を開閉する。この開閉弁33としては、例えば、バタフライ弁や電磁弁等を用いる。吸引部34は、収容室5aに開閉弁33及び減圧タンク35を介して排気パイプ32により接続されている。この吸引部34としては、例えば吸引ポンプ等を用いる。このような吸引部34は、制御部25により制御され、排気パイプ32を介して収容室5a及び減圧タンク35内の気体を吸引して排気する。減圧タンク35は、吸引部34により、例えば数kPaの所定の真空圧まで吸引され、真空状態となる。
このような減圧乾燥部5は、排気部5bにより減圧タンク35内を所定の真空圧にし、その後、開閉弁33により排気パイプ32を開放し、収容室5a内から気体を排気し、収容室5aを真空にする。これにより、塗布済の基板2上の各液滴は乾燥し、複数の残留物が基板2上に残る。
次いで、溶解乾燥部6が備える基板移動機構6a、溶解吹付部6b、乾燥吹付部6c及び排気部6dについて説明する。
図4に示すように、基板移動機構6aは、Y軸方向ガイド板41及び基板保持テーブル42が積層されて構成されている。この基板移動機構6aが、溶解吹付部6b及び乾燥吹付部6cと基板2とを相対移動させる移動機構として機能する。
Y軸方向ガイド板41は、架台6eの上面に固定されて設けられている。このY軸方向ガイド板41の上面には、複数のガイド溝41aがY軸方向に沿って設けられている。これらのガイド溝41aが、Y軸方向に基板保持テーブル42を案内する。
基板保持テーブル42は、Y軸方向ガイド板41の上面に各ガイド溝41aに沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。この基板保持テーブル42は、送りネジ及び駆動モータを用いた送り機構(図示せず)により各ガイド溝41aに沿ってY軸方向に移動する。また、基板保持テーブル42は、基板2を吸着する吸着機構(図示せず)を備えており、その吸着機構により上面に基板2を固定して保持する。吸着機構としては、例えばエアー吸着機構等を用いる。さらに、基板保持テーブル42は、基板2を支持する突没可能な複数の支持ピンを備えており、基板2の受け渡しを行う場合、それらの支持ピンにより基板2を支持する。このような基板保持テーブル42は、Y軸方向に往復移動し、減圧乾燥済の基板2を載置する載置位置と、再溶解及び再乾燥後の基板2である塗布体2aを受け渡す受渡位置とに移動する。なお、基板保持テーブル42の移動速度は、例えば数十mm/s程度である。
溶解吹付部6bは、基板保持テーブル42上の基板2に対して溶解用気体を吹き出す溶解吹出ヘッド43と、その溶解吹出ヘッド43を基板移動機構6aに対向させて支持する支持部44と、溶解吹出ヘッド43に溶解用気体を供給する溶解用気体供給部45と、溶解吹出ヘッド43と溶解用気体供給部45とを接続し溶解用気体が通過する溶解用気体供給管46とを備えている。この溶解吹付部6bは、溶解用気体の濃度や風量等が変更可能に形成されている。
溶解吹出ヘッド43は、開口する吹出口43a(図5参照)を有する箱状に形成されている。この吹出口43aは、スリット状に形成されている。このような溶解吹出ヘッド43は、図5に示すように、吹出口43aから溶解用気体を吹き出し、移動する基板2上の各残留物に吹き付ける。この溶解用気体により、基板2上の各残留物は再溶解して複数の液滴物となる。ここで、溶解吹出ヘッド43と基板2の表面との離間距離H1は、例えば数mm程度であり、基板2に対して溶解用気体を吹き出す吹出角度θ1は、例えば90度程度である(図5参照)。
支持部44は、溶解吹出ヘッド43に固定させて取り付けられた一対のアーム部材44aと、それらのアーム部材44aをそれぞれ支持する一対の支柱44bとにより構成されている。一対のアーム部材44aは、溶解吹出ヘッド43と一対の支柱44bとを連結している。また、一対の支柱44bは、架台6eの上面に立設されている。これらの支柱44bは、一対のアーム部材44aを回動可能に、さらに、それらのアーム部材44aを一対の支柱44bの高さ方向に移動可能に支持している。すなわち、溶解吹出ヘッド43は、基板保持テーブル42上の基板2に対する溶解吹出ヘッド43の相対位置、例えば、基板2に対する吹出角度θ1や基板2に対する離間距離H1等が変更可能に形成されている。したがって、一対のアーム部材44aの回動により吹出角度θ1が調整され、一対の支柱44bの移動により離間距離H1が調整される。
溶解用気体供給部45は、溶解用気体を収容しており、その溶解用気体を送風ポンプ等により溶解用気体供給管46を介して溶解吹出ヘッド43に供給する装置である。ここで、溶解用気体としては、噴射された液滴の溶質が溶ける溶媒を含む気体、例えば水等の溶媒を含む気体を用いる。なお、この溶解用気体の濃度や風量(=平均風速×吹出口43aの開口面積)等を調整することにより、基板2上に残る各溶質物の厚さ方向の断面形状を調整することができる。例えば、風速は数m/s程度である。また、気化された溶媒を用いずに液状の溶媒を保持し、その液状の溶媒を必要に応じて気化させる構成としてもよい。
溶解用気体供給管46は、溶解吹出ヘッド43と溶解用気体供給部45とを接続し、溶解用気体供給部45から溶解吹出ヘッド43に溶解用気体を供給するための流路である。この溶解用気体供給管46としては、例えばチューブやパイプ等を用いる。このような溶解用気体供給管46の外周面には、熱を供給するヒータNが設けられている。このヒータNとしては、シート状のヒータが用いられており、溶解用気体供給管46の外周面に巻かれて設けられている。このヒータNを制御することにより、溶解用気体供給管46の温度を露点より高くすることができ、管内での溶媒の結露を防止し、溶解用気体の溶媒濃度を一定に保つことを容易にする。
乾燥吹付部6cは、基板保持テーブル42上の基板2に対して乾燥気体を吹き出す乾燥吹出ヘッド47と、その乾燥吹出ヘッド47を基板移動機構6aに対向させて支持する支持部48と、乾燥吹出ヘッド47に乾燥気体を供給する乾燥気体供給部49と、乾燥吹出ヘッド47と乾燥気体供給部49とを接続し乾燥気体が通過する乾燥気体供給管50とを備えている。この乾燥吹付部6cは、乾燥気体の濃度や風量等が変更可能に形成されている。
乾燥吹出ヘッド47は、開口する吹出口47a(図5参照)を有する箱状に形成されている。この吹出口47aは、スリット状に形成されている。このような乾燥吹出ヘッド47は、図5に示すように、吹出口47aから乾燥気体を吹き出し、移動する基板2上の各液滴物に吹き付ける。この乾燥気体により各液滴物は再乾燥し、基板2上に残る複数の溶質物となる。ここで、乾燥吹出ヘッド47と基板2の表面との離間距離H2は、例えば数mm〜十数mm程度であり、基板2に対して乾燥気体を吹き出す吹出角度θ2は、例えば40度〜70度程度である(図5参照)。
支持部48は、乾燥吹出ヘッド47に固定させて取り付けられた一対のアーム部材48aと、それらのアーム部材48aをそれぞれ支持する一対の支柱48bとにより構成されている。一対のアーム部材48aは、乾燥吹出ヘッド47と一対の支柱48bとを連結している。また、一対の支柱48bは、架台6eの上面に立設されている。これらの支柱48bは、一対のアーム部材48aを回動可能に、さらに、それらのアーム部材48aを一対の支柱48bの高さ方向に移動可能に支持している。すなわち、乾燥吹出ヘッド47は、基板保持テーブル42上の基板2に対する乾燥吹出ヘッド47の相対位置、例えば、基板2に対する吹出角度θ2や基板2に対する離間距離H2等が変更可能に形成されている。したがって、一対のアーム部材48aの回動により吹出角度θ2が調整され、一対の支柱48bの移動により離間距離H2が調整される。
乾燥気体供給部49は、乾燥気体を収容しており、その乾燥気体を送風ポンプ等により乾燥気体供給管50を介して乾燥吹出ヘッド47に供給する装置である。ここで、乾燥気体としては、例えば、窒素(N2)等の乾燥状態の気体を用いる。なお、この乾燥気体の風速や風量(=平均風速×吹出口47aの開口面積)等を調整することにより、基板2上に残る各溶質物の厚さ方向の断面形状を調整することができる。例えば、風速は数m/s程度である。
乾燥気体供給管50は、乾燥吹出ヘッド47と乾燥気体供給部49とを接続し、乾燥気体供給部49から乾燥吹出ヘッド47に乾燥気体を供給するための流路である。この乾燥気体供給管50としては、例えばチューブやパイプ等を用いる。
排気部6dは、溶解吹出ヘッド43と乾燥吹出ヘッド47との間の気体を吸引する吸引ヘッド51と、その吸引ヘッド51を基板移動機構6aに対向させて支持する支持部52と、吸引ヘッド51に吸引力を供給する吸引部53と、吸引ヘッド51と吸引部53とを接続し、吸引した気体が通過する排気管54とを備えている。この排気部6dは、吸引する気体の風量、すなわち吸引力が変更可能に形成されている。
吸引ヘッド51は、開口する吸気口51a(図5参照)を有する箱状に形成されている。この吸気口51aは、例えば長方形状に形成されている。このような吸引ヘッド51は、図5に示すように、吸気口51aから気体を吸引する。これにより、溶解吹出ヘッド43と乾燥吹出ヘッド47との間の気体が吸引され、その間の湿度上昇が抑えられ、高湿度雰囲気の拡散が防止される。ここで、吸引ヘッド51と基板2の表面との離間距離H3は、例えば数mm〜十数mm程度であり、基板2に対する角度であって気体を吸引する吸気角度θ3は、例えば90度程度である(図5参照)。
なお、吸引ヘッド51の内部には、複数の貫通孔を有する多孔質板が1枚又は複数枚(例えば3枚)、吸気口51aの開口面に略平行にして設けられる場合もある。特に、複数の多孔質板を設ける場合には、それらの多孔質板は、吸気口51aから排気口に向かって貫通孔の数が減少するように配置される。なお、吸引ヘッド51の排気口は、排気管54に接続されている開口である。このように多孔質板を設けることにより、風速分布を無くし、吸気口51aから均一な吸引を行うことができる。なお、湿度分布が大きい場合には、その湿度分布に合せて、多孔質板の貫通孔の数や貫通孔の形成位置等を調整し、風速分布を形成する場合もある。例えば、吸気口51aの両端付近の湿度が低く、その中央付近の湿度が高い場合には、吸気口51aの両端側を低く、その中央部が高くなるように風速分布を形成する。
支持部52は、吸引ヘッド51に固定させて取り付けられた一対のアーム部材52aと、それらのアーム部材52aをそれぞれ支持する一対の支柱52bとにより構成されている。一対のアーム部材52aは、吸引ヘッド51と一対の支柱52bとを連結している。また、一対の支柱52bは、架台6eの上面に立設されている。これらの支柱52bは、一対のアーム部材52aを回動可能に、さらに、それらのアーム部材52aを一対の支柱52bの高さ方向に移動可能に支持している。すなわち、吸引ヘッド51は、基板保持テーブル42上の基板2に対する吸引ヘッド51の相対位置、例えば、基板2に対する吸気角度θ3や基板2に対する離間距離H3等が変更可能に形成されている。したがって、一対のアーム部材52aの回動により吸気角度θ3が調整され、一対の支柱52bの移動により離間距離H3が調整される。
吸引部53は、排気ポンプ等により排気管54を介して吸引ヘッド51に吸引力を供給する装置である。なお、この吸引力、すなわち吸引する気体の風量(=平均風速×吸気口51aの開口面積)を調整することにより、基板2上に残る各溶質物の厚さ方向の断面形状を調整することができる。例えば、風速は数m/s程度である。
排気管54は、吸引ヘッド51と吸引部53とを接続し、吸引ヘッド51により吸引された気体を排気するための流路である。この排気管54としては、例えばチューブやパイプ等を用いる。
次に、前述の液滴噴射装置1の液滴塗布処理、すなわち液滴噴射装置1による塗布体(物品)2aの製造工程について説明する。液滴噴射装置1の制御部25は各種のプログラムに基づいて液滴塗布処理を実行する。例えば、ここでは、インクにより基板2上に導電膜M1を形成する。
塗布体2aの製造工程は、下地部材である基板2に向けて第1の溶媒に溶質を含ませた第1の溶液であるインクを複数の液滴として噴射し、基板2に複数の液滴を着弾させて塗布する塗布工程と、基板2上の各液滴を減圧乾燥させて第1の溶媒と溶質とを分離する乾燥工程と、減圧乾燥により各液滴が乾燥し基板2上に残留した各残留物を個別に第2の溶媒によって再溶解し、残留物をそれぞれ含む第2の溶液である複数の液滴物を形成し、基板2上に形成した各液滴物をあらためて乾燥させる溶解乾燥工程とにより構成されている。なお、溶解乾燥工程は、基板2上に残留した各残留物に対して溶解用気体を吹き付け、液体状の各液滴物を形成する溶解吹付工程と、形成した基板2上の各液滴物に対して乾燥気体を吹き付ける乾燥吹付工程とを有している。
ここで、インクは第1の溶媒に溶質を分散させて生成される。すなわち、インクは、第1の溶媒に複数の金属錯体R1及びそれらの金属錯体R1より電気抵抗が高い複数の非金属微粒子R2を分散させて生成されている(生成工程)。したがって、インクは、複数の金属錯体R1、複数の非金属微粒子R2及びそれらを分散させる溶媒等により構成されている。また、このインクは、例えば、水、吸水性低蒸気圧溶媒(例えばEG等)及び水溶性高分子材料(例えば、PVP:ポリビニルピロリドンやPVA:ポリビニルアルコール等)等を含んでいる。なお、水溶性高分子材料が、液滴の着弾径を固定するピニング剤として機能する。
金属錯体R1としては、例えば、パラジウム(Pd)錯体やルテニウム(Ru)錯体等を用いる。また、非金属微粒子R2としては、導電膜M1を高抵抗化するため、溶媒等と反応せず、分解揮発することなく、電気抵抗が高い微粒子を用いる。この非金属微粒子R2としては、例えば、シリコン酸化物(SiO)の微粒子を用いる。このシリコン酸化物の微粒子を用いる場合には、溶媒にシリコン酸化物の微粒子を分散させるため、アルカリ性の溶媒を使用する必要がある。特に、シリコン酸化物の微粒子が十分に溶媒中に分散しない場合には、溶媒に塩基性物質を少量添加することが好ましい。また、シリコン酸化物の微粒子は、例えば、導電膜M1の容積の1/4がシリコン酸化物の微粒子となる量だけ溶媒に分散される。なお、このような非金属微粒子R2としては、導電膜M1の膜厚を適切に増加させるため、導電膜M1の目標膜厚の1から3倍の範囲内の直径(粒径)を有する微粒子を用いることが好ましい。
図6に示すように、制御部25は、搬送部8を制御し、基板収容部3の収容棚3aから基板2を取り出して塗布部4に搬送し、その基板2を塗布部4の基板保持テーブル19上に載置する(ステップS1)。このとき、基板保持テーブル19は載置位置に待機しており、基板2は吸着機構により基板保持テーブル19上に保持される。
次いで、制御部25は、塗布部4を制御し、基板保持テーブル19上の基板2に液滴を噴射して塗布する(ステップS2)。詳述すると、制御部25は、塗布部4を制御し、基板保持テーブル19を載置位置から塗布位置に移動させ、各インクジェットヘッドユニット12を待機位置から基板2に対向する位置まで移動させる。その後、制御部25は、Y軸方向移動テーブル17及びX軸方向移動テーブル18を制御し、加えて、各インクジェットヘッドユニット12の液滴噴射ヘッドFを制御し、各液滴噴射ヘッドFにより基板2に向かって液滴を噴射する噴射動作を行う。各液滴噴射ヘッドFは、インクを液滴として各ノズルからそれぞれ噴射し、移動する基板2にそれらの液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を順次形成する。その後、制御部25は、各インクジェットヘッドユニット12を待機位置まで戻し、基板保持テーブル19を塗布位置から載置位置に移動させる。
ここで、基板2上の各液滴の厚さ方向の断面形状は、図7に示すように、断面形状D1のような半円状になる。このとき、液滴が含む水溶性高分子材料(例えば、PVP)の作用により、液滴の着弾径(直径)は固定されている。なお、各液滴の中には、複数の金属錯体R1及び複数の非金属微粒子R2が分散している。
その後、制御部25は、搬送部8を制御し、載置位置に待機する基板保持テーブル19から塗布済の基板2を取り出して減圧乾燥部5に搬送し、その基板2を減圧乾燥部5の収容室5a内に載置する(ステップS3)。この基板2は、収容室5a内に密封状態で収容される。
次いで、制御部25は、減圧乾燥部5を制御し、その収容室5a内に収容した塗布済の基板2上の各液滴を減圧乾燥させる(ステップS4)。詳述すると、制御部25は、排気部5bを制御し、まず、減圧タンク35内を例えば数kPaの所定の真空圧にし、その後、開閉弁33により排気パイプ32を開放し、収容室5a内から気体を排気し、収容室5aを真空にする。これにより、収容室5a内が真空状態になり、塗布済の基板2上の各液滴は乾燥し、複数の残留物が基板2上に残る。
ここで、基板2上に残留した各残留物、特に基板2の周辺部の各残留物の厚さ方向の断面形状は、図7に示すように、乾燥前の液滴の着弾径を維持したまま、断面形状D2のような中央部が凹む形状になる。このとき、基板2の中央部の各残留物の厚さ方向の断面形状と、基板2の周辺部の各残留物の厚さ方向の断面形状とは異なっている。
なお、基板2上に液滴を塗布した際には、液滴が含む水溶性高分子材料(例えば、PVP)の作用により液滴の着弾径が固定され、その後、減圧乾燥により、遅い乾燥の進行に伴う縮退が起きる前に、液滴が含む溶質が液滴の外周部に集中する。このとき、水はほとんど蒸発するのに対し、EGは微少量残存する。このように、液滴の着弾径が維持された状態で、残留物が生成されるので、基板2上の各残留物の直径を均一化することができる。
その後、制御部25は、搬送部8を制御し、減圧乾燥部5の収容室5a内から乾燥済の基板2を取り出して溶解乾燥部6に搬送し、その基板2を溶解乾燥部6の基板保持テーブル42上に載置する(ステップS5)。このとき、基板保持テーブル42は載置位置に待機しており、基板2は吸着機構により基板保持テーブル42上に保持される。
制御部25は、溶解乾燥部6を制御し、移動する基板保持テーブル42上の基板2の表面である塗布面に対して溶解用気体を吹き付け、その後、乾燥気体を吹き付ける(ステップS6)。詳述すると、制御部25は、基板移動機構6aを制御し、基板保持テーブル42を載置位置から受渡位置に移動させながら、溶解吹付部6b、乾燥吹付部6c及び排気部6dを制御し、移動する基板2上の減圧乾燥済の各残留物に溶解用気体を吹き付け、続けて、余剰分の溶解用気体を排気しながら、移動する基板2上の溶解済の各液滴物に乾燥気体を吹き付ける。
これにより、減圧乾燥済の各残留物は溶解用気体により再溶解し、基板2上の各液滴物となり、その後、それらの液滴物が乾燥気体により再乾燥し、基板2上に残る各溶質物、すなわち導電膜M1となる。このとき、基板2の中央部の各導電膜M1の厚さ方向の断面形状と、基板2の周辺部の各導電膜M1の厚さ方向の断面形状とは同じになる。すなわち、再乾燥後の各導電膜M1の厚さ方向の断面形状は、基板2の中央部や周辺部等の着弾位置に依らずほぼ均一になる。また、溶解吹付部6bにより吹き付けられた溶解用気体のうち、各導電膜M1の形成に寄与しない余剰分の溶解用気体が排気され、高湿度雰囲気の拡散が防止される。なお、各液滴物に向けて吹き付けられた乾燥気体を吸引して排気するようにしてもよい。この場合には、乾燥気体の拡散が防止される。
ここで、各液滴物の厚さ方向の断面形状は、図7に示すように、減圧乾燥前の液滴の直径を維持したまま、断面形状D3のような半円状になる。これは、残留物内のEGが加湿により給水し、残留物は着弾径を保持したまま、その形状が元の形状(図7に示す断面形状D1)にリセットされるためである。このときの液組成は、最初の組成よりも水が多く、EGが少なくなっている組成である。また、再溶解により、液滴の周辺部のEGと溶質が液滴内に分布する。なお、水が多くなっているので、再乾燥時の湿度制御により、断面形状を制御することが容易になる。
また、各導電膜M1の厚さ方向の断面形状は、図7に示すように、減圧乾燥前の液滴の直径を維持したまま、断面形状D4のような上端部が平坦となる台形状になる。このとき、水が多い中央部とEGが多い周辺部との表面張力差によってマランゴニ対流が発生し、乾燥に伴う外側への流れとバランスを取ることになるので、基板2の表面付近に流れが発生しなくなり、断面形状は平坦化される。このようにして導電膜M1が形成される。
この導電膜M1は、図8に示すように、複数の金属錯体R1と複数の非金属微粒子R2とにより構成されている。なお、非金属微粒子R2の直径A1は、導電膜M1の目標膜厚t1の1から3倍の範囲内にある。ここで、比較例として、非金属微粒子R2を含有しない導電膜M2を図9に示す。
図8に示す導電膜M1の膜厚t1は、図9に示す比較例の導電膜M2の膜厚t2に比べ、各非金属微粒子R2により大きくなっている(t1>t2)。このとき、金属錯体R1の量は同じである。したがって、同じ量の金属でも、非金属微粒子R2により、導電膜M1の膜厚が水増しされている。このように非金属微粒子R2を用いることによって、使用する金属錯体以外の他の金属を用いずに導電膜M1の膜厚が増加するので、導電膜M1の元の化学特性を維持しつつ、その膜厚を増加させることが可能になる。
なお、導電膜M1の膜厚が増加しても、溶媒等を揮発させる際に発生する膜厚の偏り(導電膜M1の表面のうねり)、例えば表面粗さh1はほとんど変化しないため、導電膜M1の膜厚が増加すると、表面粗さh1が膜厚に対して相対的に小さくなる(膜厚に対する表面粗さh1の比率が小さくなる)。これにより、電気抵抗(抵抗値)に対する表面粗さh1の影響を受け難くなるので、表面粗さh1に起因する電気抵抗の変動を抑えることができる。したがって、導電膜M1の膜厚を増加させることにより、表面粗さh1に起因する電気抵抗の変動が小さくなるので、導電膜M1の電気抵抗を許容範囲内に維持しながら導電膜M1の膜厚の許容範囲(すなわち許容誤差範囲)を広げることができる。例えば、導電膜M2の膜厚の許容範囲が±0.2nmの範囲(0.4nm)であった場合には、導電膜M1の膜厚を増加させることにより、導電膜M1の膜厚の許容範囲を±0.4nmの範囲(0.8nm)程度に広げることが可能になる。
さらに、導電膜M1は、直径A1が目標膜厚t1の1から3倍の範囲内にある非金属微粒子R2を含有していることから、導電膜M1の膜厚を適切に効率良く増加させることができる。特に、各非金属微粒子R2が導電膜M1の表面に露出し、導電膜M1の表面のうねり、例えば表面粗さh1を抑えることが可能になるので、電気抵抗(抵抗値)の変動をより抑えることができる。
ステップS6の後、制御部25は、搬送部8を制御し、受渡位置に待機する基板保持テーブル42から塗布体2aを取り出して塗布体収容部7に搬送し、その基板2を塗布体収容部7の収容棚7a内に載置する(ステップS7)。なお、導電膜M1内に不必要な材料が残留し、問題が生じる場合には、基板2上の各導電膜M1に対してベーク処理(例えば、400〜500℃程度のベーク処理)を施し、その材料を熱分解する。
最後に、制御部25は、所定数の基板2に対する塗布が完了したか否かを判断する(ステップS8)。ここでは、塗布体2aの数をカウントし、そのカウント値が所定値に達しているか否かを判断している。所定数の基板2に対する塗布が完了したと判断した場合には(ステップS8のYES)、処理を終了する。一方、所定数の基板2に対する塗布が完了していないと判断した場合には(ステップS8のNO)、処理をステップS1に戻し、前述の処理を繰り返す。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、複数の金属錯体R1及びそれらの金属錯体R1より電気抵抗が高い複数の非金属微粒子R2を溶媒に分散させて生成された溶液を基板2に向けて液滴として噴射し、基板2に液滴を着弾させ、その基板2上に着弾した液滴を乾燥させ、基板2上に導電膜M1を形成することによって、元の化学特性を維持し、さらに電気抵抗を許容範囲内に保持しながら、導電膜M1の膜厚を増加させることが可能になる。導電膜M1の膜厚が増加すると、表面粗さh1が膜厚に対して相対的に小さくなり(膜厚に対する表面粗さh1の比率が小さくなり)、電気抵抗(抵抗値)に対する表面粗さh1の影響を受け難くなるので、表面粗さh1に起因する電気抵抗の変動を抑えることができる。その結果、導電膜M1の膜厚の許容範囲、すなわち許容誤差範囲を広げることができる。このように導電膜M1の膜厚の許容誤差範囲が広げられることにより、導電膜M1の製造が容易になる。
さらに、各非金属微粒子R2として直径A1が導電膜M1の目標膜厚の1から3倍の範囲内にある微粒子を含む溶液を噴射することによって、導電膜M1の膜厚を適切に効率良く増加させることができる。加えて、各非金属微粒子R2が導電膜M1の表面に露出し、導電膜M1の表面のうねり、例えば、表面粗さh1を抑えることが可能になるので、電気抵抗(抵抗値)の変動をより抑えることができる。
また、基板2上に残留した複数の残留物を再溶解し、残留物をそれぞれ含む複数の液滴物を形成し、形成した各液滴物を再乾燥させることによって、基板2上の各残留物が再溶解して再乾燥し、各導電膜M1が基板2上に残るので、着弾から乾燥完了までの経過が着弾領域によって様々であった従来に比べ、基板2上の液滴は乾燥前に液適量を復元してから乾燥するようになり、どの領域に着弾した液滴でも一様な現象で乾燥することになる。これにより、導電膜M1の厚さ方向の断面形状を塗布対象面内の各液滴についてほぼ均一にし、それらのばらつきを抑えることが可能になり、塗布対象面内で各導電膜M1の状態を均一化することができる。その結果、各導電膜M1の厚さ方向の断面形状のばらつきに起因する塗布体2aの製造不良の発生を防止することができる。
加えて、溶解乾燥工程において、基板2上の各残留物に対し、残留物を溶解する溶解用気体を吹き付け、基板2上の各液滴物に対し、液滴物を乾燥させる乾燥気体を吹き付けることから、装置構成を簡略化することが可能になるので、簡単な構成により、各導電膜M1の厚さ方向の断面形状のばらつきを確実に抑えることができる。さらに、溶解用気体や乾燥気体の濃度や風量等を変更することにより、各導電膜M1の厚さ方向の断面形状を調整することが可能になるので、各導電膜M1の厚さ方向の断面形状のばらつきを確実に抑えることができる。
特に、溶解用気体の風量を調整して溶解用気体を吹き付け、また、乾燥気体の風量を調整して乾燥気体を吹き付けることから、溶解用気体の風量や乾燥気体の風量が適宜調整され、各導電膜M1の厚さ方向の断面形状を調整することが可能になるので、導電膜M1の厚さ方向の断面形状のばらつきを確実に抑えることができる。
さらに、吹き付けられた溶解用気体のうち、各液滴物の形成に寄与しなかった余剰分の溶解用気体を吸引排気することによって、高湿度雰囲気の他の領域への拡散を防止することが可能になるので、乾燥が終了した部分の導電膜M1に影響を与えることを抑制することができる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、前述の実施の形態においては、溶解吹付部6bの溶解吹出ヘッド43、乾燥吹付部6cの乾燥吹出ヘッド47及び排気部6dの吸引ヘッド51に対して基板2を移動させるようにしているが、これに限るものではなく、例えば、基板2に対して溶解吹出ヘッド43、乾燥吹出ヘッド47及び吸引ヘッド51を移動させるようにしてもよく、溶解吹出ヘッド43、乾燥吹出ヘッド47及び吸引ヘッド51と基板2とを相対移動させるようにすればよい。
また、前述の実施の形態においては、溶解吹付部6bの溶解吹出ヘッド43、乾燥吹付部6cの乾燥吹出ヘッド47及び排気部6dの吸引ヘッド51を基板2に対する各々の相対位置を変更可能に設けているが、これに限るものではなく、例えば、基板2に対する各々の相対位置を固定して設けるようにしてもよい。
また、前述の実施の形態においては、第2の溶媒は気化されて吹き付けられているが、これに限るものではなく、溶媒の飛散が十分に防げるよう設計されたならば、霧化した第2の溶媒を、乾燥した気体によって溶質に吹き付けるように構成してもよい。
また、前述の実施の形態においては、第1の溶液を噴射して被塗布物に付着させた後、減圧乾燥させる工程を経てから第2の溶媒によって溶質を溶解する工程を示したが、これに限るものではなく、物品を製造する上で減圧乾燥させる必要がない場合には、その工程を省略してもかまわない。
また、第1の溶媒と第2の溶媒とは、同じ組成の液体であってもよいし、異なる組成の液体であってもよい。なお、通常、第1の溶媒としては、液滴噴射ヘッドからの液離れ性が良好な溶媒を用い、第2の溶媒としては、作業環境保全の観点から水を用いることが好ましい。
最後に、前述の実施の形態においては、各種の数値を挙げているが、それらの数値は例示であり、限定されるものではない。
本発明の実施の一形態に係る液滴噴射装置の概略構成を示す平面図である。 図1に示す液滴噴射装置が備える塗布部の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す液滴噴射装置が備える減圧乾燥部の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す液滴噴射装置が備える溶解乾燥部の概略構成を示す斜視図である。 図4に示す溶解乾燥部の一部の概略構成を示す側面図である。 図1に示す液滴噴射装置の液滴塗布処理の流れを示すフローチャートである。 図6に示す液滴塗布処理に応じて変化する液滴の厚さ方向の断面形状を示す模式図である。 図7に示す導電膜を拡大して示す模式図である。 図8に示す導電膜に対する比較例の導電膜を拡大して示す模式図である。
符号の説明
2…下地部材(基板)、M1…導電膜、R1…金属錯体、R2…非金属微粒子、S2…ステップ、S4…ステップ、S6…ステップ

Claims (4)

  1. 複数の金属錯体及び前記複数の金属錯体より電気抵抗が高い複数の非金属微粒子を溶媒に分散させて生成された溶液を下地部材に向けて液滴として噴射し、前記下地部材に前記液滴を着弾させる工程と、
    前記下地部材上に着弾した前記液滴を乾燥させる工程と、
    を有することを特徴とする導電膜の製造方法。
  2. 前記液滴を着弾させる工程では、前記非金属微粒子として直径が導電膜の目標膜厚の1から3倍の範囲内にある微粒子を含む前記溶液を噴射することを特徴とする請求項1記載の導電膜の製造方法。
  3. 複数の金属錯体と、
    前記複数の金属錯体より電気抵抗が高い複数の非金属微粒子と、
    を有することを特徴とする導電膜。
  4. 前記非金属微粒子は、直径が導電膜の目標膜厚の1から3倍の範囲内にある微粒子であることを特徴とする請求項3記載の導電膜。
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