JP2018055767A - 鉛フリー導電ペースト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 好ましくはAu、Ag、Cu、Pd及びPtのうちの少なくとも1種類からなる導電性粉末と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分とする導電ペーストであって、前記導電性粉末は、SEM平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、フタル酸ジブチルの吸収量が4ml/100g以上8ml/100g以下であり、導電ペースト100質量%に対して40質量%以上60質量%以下含有されている。
【選択図】 図1
Description
以下、本発明の一具体例の鉛フリー導電ペーストについて詳細に説明する。この本発明の一具体例の鉛フリー導電ペーストは、導電性粉末と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分としている。このうち、導電性粉末は、略球状の導電性粒子群から構成され、SEM平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下である。本明細書においてSEM平均粒径とは、走査型電子顕微鏡の画像解析によって得た任意の複数の導電性粒子の粒子径の平均値である。また、中位径D50とはレーザー解説散乱法を用いて測定した導電性粉末の体積積算のメジアン径である。
本発明の一具体例の導電ペーストで使用するガラスフリットは、SiO2が5質量%以上30質量%以下、B2O3が9質量%以上20質量%以下、Al2O3が5質量%以上20質量%以下、Bi2O3が30質量%以上70質量%以下の主成分で構成されるSiO2−B2O3−Al2O3−Bi2O3系ガラスであって、更にZrO2を0.1質量%以上5質量%以下含み、PbOとアルカリ金属を含まず、軟化点が550℃以上700℃以下であるのが好ましい。
[式1]
SD=(D84−D16)/2
本発明の一具体例の導電ペーストで使用する有機ビヒクルは、従来のエチルセルロースなどのセルロース誘導体やメタクリレートなどのアクリル系樹脂をターピネオール、ブチルカルビトールなどの有機溶媒に溶解したものを用いることができる。有機ビヒクルの配合量は特に限定されず、従来と同様な配合量で印刷に適した量を添加すれば良い。
(1)導電性粉末
導電性粉末として、サイズの異なる4種類のAg粉末A、B、C及びDを用意した。これら4種類のAg粉末の各SEM平均粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM−6360L)を用いて撮像したAg粉末の内、任意の500個に対してそれらの横方向の最大長さを直径として計測し、それらを算術平均することで求めた。中位径D50は、レーザー回折散乱式の粒度分布測定装置(日機装製、MICROTRAC HRA 9320X−100)を用いて測定した体積積算の中位径D50である。吸収量は、吸収量測定器(あさひ総研製、S−500)を用いて、JIS K6217−4(2008)に準じて測定した。それらの値を下記表1に示す。
ガラスフリットとして、組成の異なる7種類のSiO2−B2O3−Al2O3−Bi2O3系無鉛ガラスフリットa、b、c、d、e、f及びgを用意した。これら7種類のガラスフリットは、主成分として4種類の酸化物SiO2、B2O3、Al2O3及びBi2O3を必須添加成分として含んでおり、その他にZrO2、CaO及びBaOの内の1種以上を副成分として含んでいる。これら7種類のガラスフリットの中位径D50を上記の導電性粉末と同様に測定し、また前述した式1に基づいて体積粒度分布幅指標SDを測定した。更に、JIS R3103−1に準じて軟化点を測定した。それらの測定結果を組成と共に下記表2に示す。
上記4種類のAg粉末とPd微粉末、及び7種類のガラスフリットの組み合わせをそれぞれ変えて試料1〜19の導電ペーストを作製した。具体的には、先ず、ターピネオール80質量%とエチルセルロース20質量%とを混合し、有機ビヒクルを作製した。次に、導電ペーストの総量を100質量%とした時、上記4種類の中から選んだ1種のAg粉末、及びSEM平均粒径0.02μmのPd微粉末の添加量が表3及び表4に示す値になり、7種類の中から1つ選んだガラスフリットの添加量が1.0質量%になり、残部が上記有機ビヒクルになるようにそれぞれ量り取り、それらを3本ロールミル(ビューラー株式会社製、SDY−300)を用いて混合して各試料の導電ペーストを作製した。
(3−1)導電性評価(面積抵抗値)
上記にて作製した試料1〜13の導体ペーストを、幅0.5mm、長さ50mmの導体パターンとなるように96%アルミナ基板上にスクリーン印刷機を用いて印刷し、ベルト式乾燥炉を用いて150℃で5分間乾燥させた後、ベルト炉を用いてピーク温度850℃で9分間、合計30分の焼成を行い、アルミナ基板上に評価用の導体膜を形成した。得られた導体膜の厚みを、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密製、SURFCOM 480A)を用いて測定した。
[式2]
Rs=Rt×W/L×t/5
試料1〜13の導電ペーストを、縦2mm×横2mmの方形状であって焼成後の厚みが5μmとなるように96%アルミナ基板上に印刷し、上記した導電性評価の場合と同じ条件で熱処理し、密着性評価用の導体膜を作製した。次に、硫酸ニッケル280g、塩化ニッケル60g、ホウ酸40gに水を加えて総量を1Lとしためっき液を用いて、電流密度5×10−3A/mm2で2分間の電気めっきを施すことにより、前記縦2mm×横2mmの導体膜の上に、ニッケルめっき膜を形成した。
上記の密着性評価の場合と同様にして試料1〜13の導電ペーストを用いて96%アルミナ基板上に導体膜を作製した。これを液温25℃の5%硫酸に5分間浸漬した後、取り出して洗浄し、十分乾燥させて耐酸性評価の導体膜とした。この耐酸性評価用の導体膜上に、上記の密着性評価の場合と同様にニッケルめっきとSnめっき銅線のはんだ付けとを行い、同様に密着強度を測定して耐酸性の評価を行った。上記の導電性評価、密着性評価、及び耐酸性評価の評価結果を使用したAg粉末の種類と添加量、Pd微粉末の添加量、及びガラスフリットの種類と共に下記表3に示す。また、試料1と試料11の導電ペーストから作製した導体膜の表面SEM写真をそれぞれ図1及び図2に示す。
試料14〜19の導電ペーストに対して、上記の導電性評価の場合と同様にして耐硫化性評価用の導電膜を作製した。耐硫化性評価は、硫黄(S)を0.3質量%の含み80℃に保持された切削油に各導電膜を浸漬することによる加速評価とし、浸漬前の面積抵抗値RS0と、浸漬開始から1時間経過後、2時間経過後、及び3時間経過後における面積抵抗値RS1、RS2、及びRS3とを導電性評価の場合と同様にして算出した。その評価結果をAg粉末の種類と添加量、Pd微粉末の添加量、及びガラスフリットの種類と共に下記表4に示す。また、上記浸漬時間と面積抵抗値との関係をプロットしたグラフを図3に示す。
本発明の要件を満たす試料1〜10の導電ペーストから作製した導体膜は、初期密着強度が20.9N以上と十分な密着性を有しており、3.7〜5.1μmという薄い膜厚であるにもかかわらず、面積抵抗値が8.7mΩ/□以下と十分な導電性を有することが分かる。特に、好ましい組成のガラスフリットを用い、導電性粉末のAg添加量が適切な試料1、3、5、6の導電ペーストは、初期密着強度が42.3N以上と非常に高い密着性を有し、且つ3.9〜4.1μmの厚みにおいて面積抵抗値が6.7〜6.9mΩ/□であり、良好な導電性を示した。また、これら試料は耐酸性評価でも23.7〜28.4Nと非常に高い密着強度が得られた。
Claims (5)
- 導電性粉末と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分とする導電ペーストであって、前記導電性粉末は、SEM平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、フタル酸ジブチルの吸収量が4ml/100g以上8ml/100g以下であり、導電ペースト100質量%に対して40質量%以上60質量%以下含有されていることを特徴とする鉛フリー導電ペースト。
- 前記導電性粉末が、Au、Ag、Cu、Pd及びPtのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項1に記載の鉛フリー導電ペースト。
- SEM平均粒径0.01μm以上0.1μm未満のPd微粉末が導電性粉末100質量%に対して0.1質量%以上3.0質量%以下更に含有されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鉛フリー導電ペースト。
- 前記ガラスフリットは、ガラスフリット全量を100質量%とした時、SiO2が5質量%以上30質量%以下、B2O3が9質量%以上20質量%以下、Al2O3が5質量%以上20質量%以下、Bi2O3が30質量%以上70質量%以下を主成分とする材料で構成されるSiO2−B2O3−Al2O3−Bi2O3系ガラスであって、更にZrO2を0.1質量%以上5質量%以下含み、PbOとアルカリ金属を含まず、軟化点が550℃以上700℃以下であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の鉛フリー導電ペースト。
- 前記ガラスフリットは、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上1.0μm以下であり、体積粒度分布幅指標SDが0.3μm以下であることを特徴とする請求項1〜4に記載の鉛フリー導電ペースト。
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