JP2018055767A - 鉛フリー導電ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉛成分を含むことなく従来の導電ペーストと同等の性能を確保することができる上、貴金属の添加量を少なくしてコストダウンが可能な鉛フリーでかつアルカリ金属フリーの導電ペーストを提供する。
【解決手段】 好ましくはAu、Ag、Cu、Pd及びPtのうちの少なくとも1種類からなる導電性粉末と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分とする導電ペーストであって、前記導電性粉末は、SEM平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、フタル酸ジブチルの吸収量が4ml/100g以上8ml/100g以下であり、導電ペースト100質量%に対して40質量%以上60質量%以下含有されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉛を含まない導電ペーストに関し、特にチップ抵抗器などの電子部品のセラミック基板上に形成される導体の材料として使用される鉛フリー導電ペーストに関する。
厚膜技術を用いて形成される厚膜導体の材料には、導電率の高い導電性粉末をガラスフリットなどの酸化物粉末と共に有機ビヒクル中に分散させた導電ペーストが一般に使用されている。この厚膜導体の形成の際は、導電ペーストをアルミナ等のセラミックからなる基板上にスクリーン印刷などの塗布法を用いて所望のパターン形状に塗布した後、700〜900℃で焼成することで厚膜導体をセラミック基板上に形成することができる。
上記の導電性粉末としては、空気雰囲気中で焼成可能な導電率の高いAu、Ag、Pd、Ptなどの粒径10μm以下の粉末が用いられており、これらのうち、比較的安価なAg粉末やPd粉末が主に使用されている。また、より低コスト化を実現するため、Cuを用いた導電ペーストも提案されている。かかる導電ペースト用の導電性粉末においては、薄膜化や細線化を目的とする場合は粒径0.5μm以下の微細な導電性粉末が使用されているが、粉末は微細化にともない凝集しやすくなるため、これを防いで緻密で低抵抗な導電膜を得るべく分散性を高めることが求められている。他方、ガラスフリットとしては、軟化点の制御が容易であることと化学的耐久性が高いことから、一般的にはホウケイ酸鉛系ガラス粉末やアルミノホウケイ酸鉛系ガラス粉末で粒径1μm以上のものが用いられている。
近年、環境汚染を防止する観点から、電子部品の鉛フリー化が急速に進んでおり、上記の導電ペーストにもPbを含まないガラスフリットの採用が求められている。このような課題に対し、例えば特許文献1では、銀粉末、ガラスフリット及び有機ビヒクルを主成分とする導電ペーストであって、該ガラスフリットが、アルカリ金属、Bi、SiO、BaO、ZnO、Al、Bで構成され、PbOを含有しないことを特徴とする導電ペーストが開示されている。また、特許文献2では、導電性粉末と、SiO−B−Al−CaO系ガラス粉末と、Al粉末と、βユークリプタイト粉末とを含む酸化物粉末を有し、実質的に鉛を含まないことを特徴とする厚膜導体形成用組成物が開示されている。
特許第3964342号明細書 特開2013−122864号公報
上述のように、Pbを含まない様々な導電ペーストが提案されているが、いまだ実用化の面やコスト面で十分とはいえず、薄膜化や細線化が可能な導電ペーストが量産化されているとは言い難い。すなわち、特許文献1に開示されている導電ペーストは、ガラスの軟化点が700〜900℃と高く、電子部品用で用いられている焼成温度に近いことから、同温度で焼成し形成した導電膜は、ガラスが十分に溶融することができず、基板との密着性が不十分になると考えられる。
特許文献2に開示されている厚膜導体形成用組成物は、はんだ食われが少なく耐酸性に優れた厚膜導体を形成できると記載されている。しかしながら、低コスト化のため上記組成物中の導電性粉末の含有量を、導電ペースト総量の例えば60質量%以下に減らした場合、ペースト中の導電性粉末の密度が下がり、粒子同士の焼結が妨げられてボイドが増大し、低抵抗な導体を形成することが困難になる。更に密着性や耐酸性も低下してしまうおそれがある。
本発明は上記した従来の鉛フリー導電ペーストの事情に鑑みてなされたものであり、環境汚染の原因になり得る鉛成分を含むことなく、電子部品用の用途として従来の導電ペーストと同等の性能を確保することができる上、薄膜化、細線化に適し、貴金属の使用量を少なくしてコストを抑えることが可能な鉛フリーで且つアルカリ金属フリーの導電ペーストを提供することを目的+とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分とする導電ペーストにおいて、所定の条件を満たす導電性粉末を用いることにより、焼成後に薄くて緻密で低抵抗な導電膜が得られることにより、従来と同等の導電特性を従来よりも少ない導電性成分量で実現することができ、かつ薄膜化や細線化も可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の鉛フリー導電ペーストは、導電性粉末と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分とする導電ペーストであって、前記導電性粉末は、SEM平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、フタル酸ジブチルの吸収量が4ml/100g以上8ml/100g以下であり、導電ペースト100質量%に対して40質量%以上60質量%以下含有されていることを特徴としている。
上記した本発明の鉛フリー導電ペーストは、上記導電性粉末が、Au、Ag、Cu、Pd及びPtの少なくとも1種類であるのが好ましい。また、SEM平均粒径0.01μm以上0.1μm未満のPd微粉末が導電性粉末100質量%に対して0.1質量%以上3.0質量%以下更に含有されているのが好ましい。
更に、上記ガラスフリットは、ガラスフリット全量を100質量%とした時、SiOが5質量%以上30質量%以下、Bが9質量%以上20質量%以下、Alが5質量%以上20質量%以下、Biが30質量%以上70質量%以下を主成分とする材料で構成されるSiO−B−Al−Bi系ガラスであって、更にZrOを0.1質量%以上5質量%以下含み、PbOとアルカリ金属を含まず、軟化点が550℃以上700℃以下であることが好ましい。また、上記ガラスフリットは、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上1.0μm以下であり、体積粒度分布幅指標SDが0.3μm以下であるのが好ましい。
本発明によれば、緻密で低抵抗な導電膜を形成することが可能であるため、導体を従来よりも薄く形成したり、細く形成したりしても従来とほぼ同等の特性を得ることが可能になる。よって、配線等に使用される高価な貴金属からなる導電性粉末の使用量を減らすことができ、結果的に電子部品のコストを抑えることができる。また、電子部品をより薄型化、小型化できるだけでなく、Pbのみならずアルカリ金属も要しないため、例えばチップ抵抗器の上面電極として用いた場合、抵抗体の温度特性への影響を減らすことができる。
本発明の実施例の導電ペーストで作製した導電膜のSEM写真である。 本発明の比較例の導電ペーストで作製した導電膜のSEM写真である。 本発明の実施例の導電ペーストで作製した導電膜を硫黄を含む切削油に浸漬した時間とその面積抵抗値との関係をプロットしたグラフである。
<導電性粉末>
以下、本発明の一具体例の鉛フリー導電ペーストについて詳細に説明する。この本発明の一具体例の鉛フリー導電ペーストは、導電性粉末と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分としている。このうち、導電性粉末は、略球状の導電性粒子群から構成され、SEM平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下である。本明細書においてSEM平均粒径とは、走査型電子顕微鏡の画像解析によって得た任意の複数の導電性粒子の粒子径の平均値である。また、中位径D50とはレーザー解説散乱法を用いて測定した導電性粉末の体積積算のメジアン径である。
上記のSEM平均粒径や中位径D50が0.1μm未満の場合、導電性粉末の凝集が生じやすくなり、分散性に優れた導電性粉末を得ることが困難になる。また、導電ペーストの作製の際に該導電性粉末のハンドリング性が悪くなって扱いにくくなる。更に、焼結開始温度が低くなり過ぎ、これを用いた導電ペーストを焼成して得た導体は所望のパターン形状が維持できなくなる恐れがある。逆にSEM平均粒径が1.0μmより大きい場合や中位径D50が2.0μmより大きい場合、導電性粉末の焼結性が劣り、焼成後に緻密な導体を形成することが困難になり、十分な導通が得られない場合がある。
また、上記導電性粉末は、JIS K6217−4に準拠して計測したフタル酸ジブチルの吸収量が4ml/100g以上8ml/100g以下である。この導電性粉末の吸収量が4ml/100gより少ない場合、導電性粉末を非常に緻密に充填できる可能性はあるが、分散性が低下する傾向があり、焼結処理前に導電性粉末の凝集が進行しやすくなって巨大な凝集体を形成してしまう。その結果、焼成の際に導電性粉末の密度にばらつきが生じ、該焼成で形成した導体は導通が不十分になるおそれがある。
一方、この吸収量が8ml/100gより多い場合は、導電性粒子間の空隙が多いことを意味しており、これは既に導電性粉末が凝集しているか、あるいは歪な形状の導電性粒子が多く存在していることになり、この導電性粉末を導電ペーストに用いると流動性が損なわれる。更に、導電性粉末の凝集が多い場合は焼結性が劣るので緻密な導電膜が得られなくなって、十分な導通が得られにくくなる上、密着強度や耐酸性の低下を招くおそれがある。
本発明の一具体例の導電ペーストは、上記導電性粉末を、導電ペースト100質量%に対して40質量%以上60質量%以下の範囲で含有している。この含有量が40質量%未満の場合は、導電性粉末の量が少な過ぎて、厚み5μm以下の緻密な導体を形成することが困難になる。逆に60質量%より多い場合は、厚み5μmあるいはそれより薄い膜を形成するためには導電ペーストの塗布厚みを非常に薄く印刷する必要がある上、このような少ない塗布量の中で膜厚のばらつきを抑える必要もあるため、高精度の印刷技術や塗布設備が必要になり、製造コストが高くなる。また、高価な導電性粉末の削減量が少なくなるため、コストメリットが得られにくくなる。
本発明の一具体例の導電ペーストに含まれる上記導電性粉末は、高導電性を示すAu、Ag、Cu、Pd及びPtからなる群のうちの1種類以上を主成分とすることが好ましい。これら5種類の金属の中ではCuが最も安価であるが、酸化されやすいため耐酸化処理工程等が必要となり、工数が増加してしまうため、残る金属の内で比較的安価なAg粉末もしくはPd粉末を用いることが好ましく、特にAg粉末を導電性粉末100質量%中で95質量%以上含有するのがより好ましい。
本発明の一具体例の導電ペーストは、上記導電性粉末とは別に該導電性粉末より微細なPd微粉末を添加してもよく、これにより導体の硫化を抑制する効果が得られる。この場合のPd微粉末の添加量は、導電性粉末100質量%に対して0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましい。この量が0.1質量%未満では、耐硫化性の効果が不十分になるので好ましくない。逆に3.0質量%より多く添加しても、耐硫化効果はそれ以上向上することがなく、かえって前述した主成分の導電性粉末の焼結を阻害し、導体の抵抗値を高くする場合がある他、Pd微粉末を添加する分だけコストメリットが低下するので好ましくない。上記Pd微粉末は、SEM平均粒径が0.01μm以上0.1μm未満であるのが好ましい。この粒径が0.01μm未満ではPd微粉末の凝集が生じやすく、膜の組成が不均一になって特性にバラツキを生じる場合があり、逆に0.1μm以上になると焼結性が低下する場合がある。
<ガラスフリット>
本発明の一具体例の導電ペーストで使用するガラスフリットは、SiOが5質量%以上30質量%以下、Bが9質量%以上20質量%以下、Alが5質量%以上20質量%以下、Biが30質量%以上70質量%以下の主成分で構成されるSiO−B−Al−Bi系ガラスであって、更にZrOを0.1質量%以上5質量%以下含み、PbOとアルカリ金属を含まず、軟化点が550℃以上700℃以下であるのが好ましい。
上記ガラスフリットに含まれるSiOが5質量%より少ない場合は、これを含む導電ペーストの焼成で得た導体の耐酸性が低くなる場合があるので好ましくない。逆に30質量%より多い場合は、これを含む導電ペーストの軟化点が高くなり過ぎ、焼成の際にガラスフリットが十分に軟化せず、密着強度が低くなる場合があるので好ましくない。
上記ガラスフリットに含まれるBが9質量%より少ない場合は、ガラス成分の流動性が低下し、焼成の際にガラス成分が導体と基板との界面へ十分行きわたらず、導体の密着性や耐酸性が低下する場合があるため好ましくない。逆に20質量%より多い場合は、ガラスフリットが水に溶けやすくなるため、これを含む導電ペーストの焼成で得た導体の耐酸性が低下してしまう場合があるため好ましくない。
上記ガラスフリットに含まれるAlが5質量%より少ない場合は、ガラス成分が結晶化しやすくなり、結晶化したガラス成分は基板との密着強度が低いため、これを含む導電ペーストの焼成で得た導体の密着強度が低くなる場合があるため好ましくない。逆に20質量%より多い場合は、軟化点が高くなってしまう場合があるため好ましくない。
上記ガラスフリットに含まれるBiが30質量%より少ない場合は、これを含む導電ペーストの軟化点が高くなってしまう場合があるため好ましくない。逆に70質量%より多い場合は、導電ペーストの軟化点が逆に低くなり過ぎてしまい、これを含む導電ペーストの焼成で得た導体がリフロー時などに再溶融するおそれがあるため好ましくない。
上記ガラスフリットに含まれるZrOが0.1質量%より少ない場合は、これを含む導電ペーストの耐酸性を向上させる効果が得られない場合があるため好ましくない。逆に5質量%より多くしても、これを含む導電ペーストの耐酸性を向上させる効果がそれ以上ほとんど変わらないだけでなく、相対的に他の成分の含有率が低下することにより、導電ペーストの密着強度や耐酸性が低下してしまう場合があるため好ましくない。
上記ガラスフリットの軟化点が550℃より低い場合は、導電性粉末が焼結した後、ガラス成分がこの焼結した導体から基板上に流れ出てしまい、密着性の低下などの不具合を生じる場合があるため好ましくない。逆に軟化点が700℃より高い場合は、温度が高過ぎて導体と基板との界面接合が十分進まず、密着強度が低下したり、焼結時に流動性の低いガラス成分が導電性粉末の焼結を妨げたり、焼成で得た導体の緻密性が低下して抵抗値が高くなったりする場合があるため好ましくない。
上記ガラスフリットは、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上1.0μm以下であり、下記式1で求められる体積粒度分布幅指標SDが0.3μm以下であるのが好ましい。
[式1]
SD=(D84−D16)/2
ここで、D84とD16は、測定対象としてサンプリングした粒子群の全体積を100%として体積粒度分布累積カーブを求めた時、その体積粒度分布累積カーブがそれぞれ84%と16%となる点の粒子径(μm)を示す。SDが0.3μmより大きい場合は、粒子径1.3μmを超える粗大粒子を含む割合が増えることを意味しており、当該粗大粒子が増えることによって導電ペーストの焼結が妨げられる上、焼成で得た導体内に生じるボイドが多くなり、密着性や耐酸性が低下する場合があるため好ましくない。
上記ガラスフリットは導電ペースト中に0.1質量%以上5質量%以下含まれるのが好ましい。この含有量が0.1質量%未満では導体と基板との接合面にガラスが行き渡りにくくなり、十分な密着性を得ることができない場合がある。逆に5質量%を超えると導電性粉末の比率が少なくなり過ぎ、焼成した導体の面積抵抗値が高くなる上、焼成した導体上に電解めっき膜を形成しにくくなるため好ましくない。上記ガラスフリット中には、ガラスと基板の濡れ性の向上や基板と導電膜の密着性の向上、更に導電膜の耐酸化性の向上を目的としてCaO、BaO、ZnO、TiO、Vなどの成分を合計で3質量%を上限として添加してもよい。
<有機ビヒクル>
本発明の一具体例の導電ペーストで使用する有機ビヒクルは、従来のエチルセルロースなどのセルロース誘導体やメタクリレートなどのアクリル系樹脂をターピネオール、ブチルカルビトールなどの有機溶媒に溶解したものを用いることができる。有機ビヒクルの配合量は特に限定されず、従来と同様な配合量で印刷に適した量を添加すれば良い。
以下、本発明について、実施例により更に説明を行うが、本発明の範囲は、この実施例により制限されることはない。
1.主原料
(1)導電性粉末
導電性粉末として、サイズの異なる4種類のAg粉末A、B、C及びDを用意した。これら4種類のAg粉末の各SEM平均粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM−6360L)を用いて撮像したAg粉末の内、任意の500個に対してそれらの横方向の最大長さを直径として計測し、それらを算術平均することで求めた。中位径D50は、レーザー回折散乱式の粒度分布測定装置(日機装製、MICROTRAC HRA 9320X−100)を用いて測定した体積積算の中位径D50である。吸収量は、吸収量測定器(あさひ総研製、S−500)を用いて、JIS K6217−4(2008)に準じて測定した。それらの値を下記表1に示す。
(2)ガラスフリット
ガラスフリットとして、組成の異なる7種類のSiO−B−Al−Bi系無鉛ガラスフリットa、b、c、d、e、f及びgを用意した。これら7種類のガラスフリットは、主成分として4種類の酸化物SiO、B、Al及びBiを必須添加成分として含んでおり、その他にZrO、CaO及びBaOの内の1種以上を副成分として含んでいる。これら7種類のガラスフリットの中位径D50を上記の導電性粉末と同様に測定し、また前述した式1に基づいて体積粒度分布幅指標SDを測定した。更に、JIS R3103−1に準じて軟化点を測定した。それらの測定結果を組成と共に下記表2に示す。
2.導電ペーストの作製
上記4種類のAg粉末とPd微粉末、及び7種類のガラスフリットの組み合わせをそれぞれ変えて試料1〜19の導電ペーストを作製した。具体的には、先ず、ターピネオール80質量%とエチルセルロース20質量%とを混合し、有機ビヒクルを作製した。次に、導電ペーストの総量を100質量%とした時、上記4種類の中から選んだ1種のAg粉末、及びSEM平均粒径0.02μmのPd微粉末の添加量が表3及び表4に示す値になり、7種類の中から1つ選んだガラスフリットの添加量が1.0質量%になり、残部が上記有機ビヒクルになるようにそれぞれ量り取り、それらを3本ロールミル(ビューラー株式会社製、SDY−300)を用いて混合して各試料の導電ペーストを作製した。
3.各種特性評価
(3−1)導電性評価(面積抵抗値)
上記にて作製した試料1〜13の導体ペーストを、幅0.5mm、長さ50mmの導体パターンとなるように96%アルミナ基板上にスクリーン印刷機を用いて印刷し、ベルト式乾燥炉を用いて150℃で5分間乾燥させた後、ベルト炉を用いてピーク温度850℃で9分間、合計30分の焼成を行い、アルミナ基板上に評価用の導体膜を形成した。得られた導体膜の厚みを、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密製、SURFCOM 480A)を用いて測定した。
次に、デジタルマルチメーター(株式会社ADVANTEST製、R6871E)を用いて、導体膜の抵抗値(Rt)を測定し、上記で測定した導体膜の厚み(t)と幅(W)、及び長さ(L)から、膜厚5μmに換算した時の面積抵抗値(Rs)を下記式2から算出し、導電性の評価を行った。
[式2]
Rs=Rt×W/L×t/5
(3−2)密着性評価(密着強度)
試料1〜13の導電ペーストを、縦2mm×横2mmの方形状であって焼成後の厚みが5μmとなるように96%アルミナ基板上に印刷し、上記した導電性評価の場合と同じ条件で熱処理し、密着性評価用の導体膜を作製した。次に、硫酸ニッケル280g、塩化ニッケル60g、ホウ酸40gに水を加えて総量を1Lとしためっき液を用いて、電流密度5×10−3A/mmで2分間の電気めっきを施すことにより、前記縦2mm×横2mmの導体膜の上に、ニッケルめっき膜を形成した。
得られたニッケルめっき膜上に、直径0.65mmのSnめっき銅線を、96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成の鉛フリーはんだを用いてはんだ付けし、荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社製、MODEL 2152HTP)を用いてアルミナ基板に対し垂直方向に80mm/minの速度で引っ張り、導体膜が基板から剥離するまでの最大荷重を測定し、その最大荷重を初期の密着強度として密着性の評価を行った。
(3−3)耐酸性評価(密着強度)
上記の密着性評価の場合と同様にして試料1〜13の導電ペーストを用いて96%アルミナ基板上に導体膜を作製した。これを液温25℃の5%硫酸に5分間浸漬した後、取り出して洗浄し、十分乾燥させて耐酸性評価の導体膜とした。この耐酸性評価用の導体膜上に、上記の密着性評価の場合と同様にニッケルめっきとSnめっき銅線のはんだ付けとを行い、同様に密着強度を測定して耐酸性の評価を行った。上記の導電性評価、密着性評価、及び耐酸性評価の評価結果を使用したAg粉末の種類と添加量、Pd微粉末の添加量、及びガラスフリットの種類と共に下記表3に示す。また、試料1と試料11の導電ペーストから作製した導体膜の表面SEM写真をそれぞれ図1及び図2に示す。
(3−4)耐硫化性評価(密着強度)
試料14〜19の導電ペーストに対して、上記の導電性評価の場合と同様にして耐硫化性評価用の導電膜を作製した。耐硫化性評価は、硫黄(S)を0.3質量%の含み80℃に保持された切削油に各導電膜を浸漬することによる加速評価とし、浸漬前の面積抵抗値RS0と、浸漬開始から1時間経過後、2時間経過後、及び3時間経過後における面積抵抗値RS1、RS2、及びRS3とを導電性評価の場合と同様にして算出した。その評価結果をAg粉末の種類と添加量、Pd微粉末の添加量、及びガラスフリットの種類と共に下記表4に示す。また、上記浸漬時間と面積抵抗値との関係をプロットしたグラフを図3に示す。
4.評価結果
本発明の要件を満たす試料1〜10の導電ペーストから作製した導体膜は、初期密着強度が20.9N以上と十分な密着性を有しており、3.7〜5.1μmという薄い膜厚であるにもかかわらず、面積抵抗値が8.7mΩ/□以下と十分な導電性を有することが分かる。特に、好ましい組成のガラスフリットを用い、導電性粉末のAg添加量が適切な試料1、3、5、6の導電ペーストは、初期密着強度が42.3N以上と非常に高い密着性を有し、且つ3.9〜4.1μmの厚みにおいて面積抵抗値が6.7〜6.9mΩ/□であり、良好な導電性を示した。また、これら試料は耐酸性評価でも23.7〜28.4Nと非常に高い密着強度が得られた。
更に、試料1と試料3の結果から、本発明の範囲内でPd微粉末を添加した場合は、導電性、密着性及び耐酸性には大きな差が生じないことが確認された。また、試料2と試料3の結果から、導電性粉末であるAg粉末の添加量が少なくなると導体膜形成能力が劣って面積抵抗値が上がり、初期強度及び密着強度も低くなることが確認された。一方、試料3と試料4の結果から、導電性粉末であるAg粉末の添加量が多くなると導体膜を十分薄くすることが若干困難となり、かつAg粉末の添加量をこれ以上増やしても面積抵抗値、初期強度、及び密着強度を向上させる効果はほぼ飽和していることが確認された。
また、試料3と試料7の結果から、ガラスフリットの径が好ましい範囲から外れて大きくなることにより、密着性及び耐酸性が低くなることが確認された。また、試料3と試料8〜10の結果から、ガラスフリットの組成の一部が好ましい範囲から外れることにより、密着性が低くなることが確認された。特に耐酸性に効果のあるBやZrOが好ましい範囲よりも少ない試料9及び試料10は、耐酸性に劣るため、めっき処理などの酸性液体での処理等がない製品に用いるのが好ましいことが確認された。また、試料14〜19の結果から、Pd微粉末を添加することにより耐硫化効果が得られることが確認された。Pd微粉末の添加量がAg添加量100質量%に対して、3.0質量%の添加でその効果がほぼ飽和していることが確認された。
本発明の要件を満たしてない試料11〜13の導電ペーストは、導電性粉末の形状が大きすぎたり吸収量が多すぎたりしているため、面積抵抗値が15.0mΩ/□以上と十分な導電性が得られていないことが分かる。特に、SEM平均粒径の大きすぎるAg粉末を用いた試料11の導電ペーストは、Ag粉末が十分に焼結できないため面積抵抗値が高く、密着性にも著しく劣ることが確認された。
なお、試料11の導電ペーストに関しては、密着性評価において計測できないほど密着強度が低かったため、耐酸性の評価は行わなかった。試料12の導電ペーストのAg粉末は、SEM平均粒径は適切であるもののD50の粒径が大きいことから、凝集が多く生じていると考えられる。そのため、隙間が多く生じたりボイドを巻き込んだりして密着性や耐酸性に劣る結果になったと考えられる。
SEM粒径やD50の粒径が適切でありながら吸収量が高過ぎる試料13の導電ペーストに用いたAg粉末は、従来好ましい導電粉末と判断されていたが、吸収量評価のような液体との混合状態にて架橋するなどして隙間を多く形成してしまうと考えられる。そのため、導電性、密着性、及び耐酸性のいずれにおいても十分な値が得られなかったと考えられる。なお、図1の導電膜は図2の導電膜に比べて緻密に成膜されていることが見て取れる。
なお、導電性粉末にAg粉末を用いる代わりに、Au粉末、Cu粉末、Pd粉末、及びPt粉末の各々を用いた場合においても上記と同様に評価したところ、本発明の要件を満たす限り、上記の各評価項目のいずれにおいても、上記のAg粉末の場合と同様の結果が得られた。

Claims (5)

  1. 導電性粉末と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを主成分とする導電ペーストであって、前記導電性粉末は、SEM平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であり、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、フタル酸ジブチルの吸収量が4ml/100g以上8ml/100g以下であり、導電ペースト100質量%に対して40質量%以上60質量%以下含有されていることを特徴とする鉛フリー導電ペースト。
  2. 前記導電性粉末が、Au、Ag、Cu、Pd及びPtのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項1に記載の鉛フリー導電ペースト。
  3. SEM平均粒径0.01μm以上0.1μm未満のPd微粉末が導電性粉末100質量%に対して0.1質量%以上3.0質量%以下更に含有されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鉛フリー導電ペースト。
  4. 前記ガラスフリットは、ガラスフリット全量を100質量%とした時、SiOが5質量%以上30質量%以下、Bが9質量%以上20質量%以下、Alが5質量%以上20質量%以下、Biが30質量%以上70質量%以下を主成分とする材料で構成されるSiO−B−Al−Bi系ガラスであって、更にZrOを0.1質量%以上5質量%以下含み、PbOとアルカリ金属を含まず、軟化点が550℃以上700℃以下であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の鉛フリー導電ペースト。
  5. 前記ガラスフリットは、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上1.0μm以下であり、体積粒度分布幅指標SDが0.3μm以下であることを特徴とする請求項1〜4に記載の鉛フリー導電ペースト。


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