JP2018199198A - ボールエンドミル - Google Patents

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Abstract

【課題】たとえ一刃送り量が小さくても、優れた加工面精度を達成できること。【解決手段】エンドミル本体2と、エンドミル本体2の軸線O方向の先端部に配置され、軸線O回りの回転軌跡が軸線O上に中心を有する半球状をなす複数の底刃9と、複数の底刃9に対してエンドミル回転方向にそれぞれ隣接配置される複数のギャッシュ7と、を備え、複数の底刃9には、第1底刃、第2底刃及び第3底刃が含まれ、底刃9は、軸線O上に中心点Cを有する仮想半球面RLに沿って延びており、底刃9上の所定の点A及び軸線Oを含む基準面Pr内において、中心点Cと所定の点Aとを通る仮想直線VLが、軸線Oに対して傾斜する角度を放射角度θと定義して、所定の放射角度θにおいて、第1底刃、第2底刃及び第3底刃の軸線O回りの各回転軌跡のうち、放射方向の最も外側に位置する回転軌跡と、最も内側に位置する回転軌跡と、の間の放射方向に沿う距離が、5μm以下である。【選択図】図4

Description

本発明は、ボールエンドミルに関する。
従来、例えば下記特許文献1に示されるようなボールエンドミルが知られている。
ボールエンドミルは、軸状をなすエンドミル本体を有しており、エンドミル本体の軸線方向の先端部には刃部が形成され、エンドミル本体の刃部以外の部位はシャンク部とされている。また、刃部には、切屑排出溝、ギャッシュ、外周刃及び底刃(先端刃)がそれぞれ複数形成されている。
ボールエンドミルの複数の底刃のうち、少なくとも1つの底刃は、刃長方向の先端が軸線付近まで延ばされた長刃となっている。複数の底刃の軸線回りの回転軌跡は、軸線上に中心を有する半球状をなす。切削加工時においてボールエンドミルは、エンドミル本体の軸線回りのうちエンドミル回転方向に回転させられつつ、軸線に交差する方向に送りを与えられて被削材に切り込んでいく。
特開2003−39223号公報
しかしながら、従来のボールエンドミルでは、例えば、工作機械として5軸加工機を用いた高能率加工において、一刃当たりの送り量(一刃送り量)を大きく設定しなければ十分な加工面精度が得られ難く、加工面精度を向上させる点に改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、例えば5軸加工機を用いた高能率加工においてたとえ一刃送り量が小さくても、優れた加工面精度を達成できるボールエンドミルを提供することを目的としている。
本発明の一態様は、軸状をなすエンドミル本体と、前記エンドミル本体の軸線方向の先端部に、前記軸線回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが凸円弧状をなすとともに、前記軸線回りの回転軌跡が前記軸線上に中心を有する半球状をなす複数の底刃と、複数の前記底刃に対して、前記軸線回りのうちエンドミル回転方向にそれぞれ隣接配置される複数のギャッシュと、を備えたボールエンドミルであって、複数の前記底刃には、前記軸線に直交する径方向の内側へ向けた刃長が、複数の前記底刃の中で最も長くされた第1底刃と、前記第1底刃に対して、前記エンドミル回転方向に隣り合い、前記第1底刃よりも前記径方向の内側へ向けた刃長が短くされた第2底刃と、前記第2底刃に対して、前記エンドミル回転方向に隣り合い、前記第2底刃よりも前記径方向の内側へ向けた刃長が短くされた第3底刃と、が含まれ、前記底刃は、前記軸線上に中心点を有する仮想半球面に沿って延びており、前記底刃上の所定の点及び前記軸線を含む基準面内において、前記中心点と前記所定の点とを通る仮想直線が、前記軸線に対して傾斜する角度を放射角度と定義して、所定の前記放射角度において、前記第1底刃、前記第2底刃及び前記第3底刃の前記軸線回りの各回転軌跡のうち、前記中心点を中心とする放射方向の最も外側に位置する回転軌跡と、最も内側に位置する回転軌跡と、の間の前記放射方向に沿う距離が、5μm以下であることを特徴とする。
本発明のボールエンドミルは、軸線回りの回転軌跡が半球状をなす複数の底刃として、第1底刃、第2底刃及び第3底刃を備えている。第1底刃、第2底刃及び第3底刃は、径方向の内側へ向けた刃長がこの順に短くされている。つまり、第1〜第3底刃のうち、第1底刃の刃長が最も長く、第3底刃の刃長が最も短い。第1底刃の刃長を最も長く、第3底刃の刃長を最も短くすることで、エンドミル先端面の中心部付近(軸線付近)にもギャッシュを形成することができ、切屑排出性を高めることができる。また、各底刃の切削量が異なるため、切削中のびびり振動が抑制される傾向にある。
そしてこのボールエンドミルは、底刃上の所定の点及び軸線を含む基準面内において、所定の放射角度における第1底刃、第2底刃及び第3底刃の軸線回りの各回転軌跡のうち、中心点を中心とした放射方向の最外周に位置する回転軌跡と、最内周に位置する回転軌跡と、の放射方向に沿う距離が5μm以下とされている。つまり、上記基準面内における所定の放射角度での、放射方向に沿う第1〜第3底刃の振れ(振れ精度)が5μm以下に抑えられている。このように高精度の底刃を形成できるのは、上述したように、径方向の内側へ向けた刃長を第1底刃、第2底刃及び第3底刃の順に短く形成しているためである。つまり、このような刃型とすることで、ボールエンドミル製造時において各底刃を加工する際に砥石の干渉が発生しにくく、高精度な多刃を形成しやすくなる。
このため、例えば切削時の使用頻度が高い所定の放射角度において、底刃の振れを極めて小さくすることができる。これにより、例えば5軸加工機を用いた高能率加工においてたとえ一刃送り量が小さくても、各底刃がそれぞれ同様の機能を果たすことができて、優れた加工面精度を達成することが可能になる。
一方、本発明とは異なり、放射方向に沿う第1〜第3底刃の振れが5μmを超えると、一刃送り量を大きく設定しないと、各底刃が十分に機能せずに加工面精度が低下する傾向にある。また、一刃送り量を大きく設定することで、早期に工具損傷が発生するおそれがある。
また、上記ボールエンドミルにおいて、前記第1底刃、前記第2底刃及び前記第3底刃の組が、前記軸線を中心として180°回転対称に2組設けられたことが好ましい。
この場合、底刃が6枚刃とされたボールエンドミルとなり、切削の加工能率を高めることができる。そしてこのような多刃のボールエンドミルであっても、本発明によれば、切屑排出性が安定して確保される。
また、上記ボールエンドミルにおいて、前記第1底刃のギャッシュ、前記第2底刃のギャッシュ及び前記第3底刃のギャッシュが、互いにすべて連通していることが好ましい。
この場合、第1〜第3底刃の各ギャッシュが、互いにすべて連通しているので、切屑排出性を安定して高められるという上述した効果が、より顕著なものとなる。
また、上記ボールエンドミルにおいて、前記エンドミル本体の外周には、前記軸線回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが前記底刃の前記径方向の外側の端縁に接続するとともに、前記端縁から前記軸線方向の基端側へ向けて延びる複数の外周刃が備えられ、前記エンドミル本体の正面視で、前記第1底刃は、前記外周刃との接続部分から前記径方向の内側へ向けて延びるとともに、その刃長方向の先端が、前記軸線を越えた位置に配置されることが好ましい。
この場合、外周刃との接続部分から径方向内側へ向けて延びる第1底刃の刃長方向の先端が、軸線を越えた位置に配置されているので、エンドミル本体の軸線方向の最先端位置(つまり軸線上)においても、第1底刃により被削材に切削加工を施すことができる。従って、加工面精度を高めつつ、様々な切削加工の種類や形態に対応しやすい。
また、上記ボールエンドミルにおいて、前記所定の放射角度は、40〜50°であることが好ましい。
所定の放射角度が40〜50°の範囲の底刃は特に使用頻度が高い傾向にあるため、この範囲において各底刃の振れを抑制することで加工面精度をより高めることができる。
また、上記ボールエンドミルにおいて、前記放射方向に沿う距離が、3μm以下であることが好ましい。
所定の放射角度において、第1底刃、第2底刃及び第3底刃の軸線回りの各回転軌跡のうち、中心点を中心とする放射方向の最も外側に位置する回転軌跡と、最も内側に位置する回転軌跡と、の間の放射方向に沿う距離が、3μm以下であることで、加工能率と加工精度を合わせて高めることができる。特に、所定の放射角度が40〜50°である場合には、上記作用効果が格別に顕著なものとなる。
本発明のボールエンドミルによれば、例えば5軸加工機を用いた高能率加工においてたとえ一刃送り量が小さくても、優れた加工面精度を達成できる。
本発明の一実施形態に係るボールエンドミルの要部(刃部)を示す斜視図である。 図1のボールエンドミルの側面図(平面図)である。 図1のボールエンドミルの正面図である。 図1のボールエンドミルの基準面、放射角度、底刃の振れ及びギャッシュ深さ等を説明する模式図である。
以下、本発明の一実施形態に係るボールエンドミル1について、図面を参照して説明する。本実施形態のボールエンドミル1は、金属材料等からなる被削材に対して、例えば仕上げ加工や中仕上げ加工等の切削加工(転削加工)を施す切削工具(転削工具)である。
図1〜図3に示されるように、本実施形態のボールエンドミル1は、軸状をなし、例えば超硬合金や高速度工具鋼等からなるエンドミル本体2を有している。
エンドミル本体2は概略円柱状をなしており、該エンドミル本体2の軸線O方向に沿う少なくとも先端部に刃部3aが形成され、該刃部3a以外の部位はシャンク部3bとされている。
ボールエンドミル1は、エンドミル本体2において円柱状をなすシャンク部3bがマシニングセンタ等の工作機械の主軸に取り付けられ、該主軸によって軸線O回りのうちエンドミル回転方向Tに回転させられる。ボールエンドミル1は、上記回転とともに軸線O方向への切り込みや軸線Oに直交する径方向への送りを与えられて、被削材に切り込んでいき、被削材を切削加工する。ボールエンドミル1は、被削材に対して例えば曲面加工、ポケット加工、深掘り加工、R加工(凸R、凹R)、面取り加工、穴加工等の各種加工を施す。
具体的に、本実施形態のボールエンドミル1は、例えば4〜6軸の多軸制御のマシニングセンタ等の工作機械の主軸に着脱可能に装着されて、被削材の切削に用いられる。本実施形態の例では、工作機械として5軸加工機を用いている。
ボールエンドミル1により被削材を切削加工する際には、該ボールエンドミル1の刃部3a及び被削材の切削面(被加工部)に向けて、クーラントが供給される。クーラントとしては、例えば、油性又は水溶性の切削液剤や圧縮エア等が用いられる。クーラントは、工作機械の主軸からエンドミル本体2の内部を通して刃部3a及び加工面に供給されてもよいし、エンドミル本体2の外部から刃部3a及び加工面に供給されてもよい。
本実施形態では、エンドミル本体2の軸線Oに沿う方向(軸線Oが延在する方向)を、軸線O方向という。また、軸線O方向のうち、シャンク部3bから刃部3aへ向かう方向を先端側といい、刃部3aからシャンク部3bへ向かう方向を基端側という。
また、軸線Oに直交する方向を径方向という。径方向のうち、軸線Oに接近する向きを径方向の内側といい、軸線Oから離間する向きを径方向の外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、切削時に工作機械の主軸によりエンドミル本体2が回転させられる向きをエンドミル回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、エンドミル回転方向Tとは反対側(反エンドミル回転方向)という。
本実施形態では、エンドミル本体2の刃部3aの心厚が、刃部3aの外径(刃径)の60%以上であり、好ましくは65%以上である。また、刃部3aの軸線O方向に沿う長さ(刃長)が、刃径に対して1.5倍以下であり、好ましくは、1.0倍以下である。
刃部3aの外周には、周方向に互いに間隔をあけて複数の切屑排出溝4が形成されている。本実施形態ではこれらの切屑排出溝4が、互いに周方向に等間隔をあけて配置されている。また、本実施形態の例では、刃部3aの外周に切屑排出溝4が6つ形成されている。
切屑排出溝4は、エンドミル本体2の軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い周方向へ向けて延びている。本実施形態では、切屑排出溝4が、エンドミル本体2の先端面(刃部3aにおいて軸線O方向の先端側を向く凸半球面)に開口し、該先端面から基端側へ向かうに従い徐々にエンドミル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びている。切屑排出溝4は、刃部3aの基端側の端部において、エンドミル本体2の外周に切り上がっている。言い換えると、エンドミル本体2において、軸線O方向に沿う切屑排出溝4が形成された領域が、刃部3aとされている。
各切屑排出溝4は、エンドミル回転方向Tを向く壁面を有しており、この壁面のうち、切れ刃に隣接する部分がすくい面である。具体的には、切れ刃のすくい面のうち、該切れ刃の後述する外周刃5及び底刃9に隣接する部分がそれぞれ、外周刃5のすくい面11及び底刃9のすくい面12とされている。底刃9のすくい面12は、切屑排出溝4のうちギャッシュ7に形成されている。
切屑排出溝4の軸線O方向の先端部には、溝状のギャッシュ7が形成されている。図3に示されるように、エンドミル本体2を軸線O方向の先端から基端側へ向けて見たエンドミル本体2の正面視において、ギャッシュ7は径方向に沿うように延びている。ギャッシュ7は、径方向内側の端部が軸線O近傍に配置されており、この径方向内側の端部から径方向外側へ向かうに従い徐々に軸線O方向の基端側へ向けて延びている。
ギャッシュ7の数は、切屑排出溝4の数に対応しており、本実施形態の例では6つのギャッシュ7が形成されている。これらのギャッシュ7には、後述する底刃9の種類(第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9C)に応じて、複数種類のギャッシュ7A〜7Cが含まれる。これらのギャッシュ7A〜7Cについては、別途後述する。
図1〜図3に示されるように、刃部3aには、周方向に互いに間隔をあけて複数の切れ刃が形成されている。これらの切れ刃はそれぞれ、外周刃5及び底刃9を有している。切れ刃は、外周刃5と底刃9とが互いに接続されることで、全体として略J字状をなしている。切れ刃の数は、切屑排出溝4の数に対応しており、本実施形態の例では6つ(6組)の切れ刃が設けられている。つまり、本実施形態のボールエンドミル1は、6枚刃のボールエンドミルである。
切れ刃のうち、底刃(先端刃。ボール刃)9は、切屑排出溝4の先端部に位置するギャッシュ7のエンドミル回転方向Tを向く壁面と、エンドミル本体2の先端面との交差稜線に形成されている。底刃9は、ギャッシュ7の前記壁面の先端外周縁に沿って延びており、エンドミル本体2の先端外周側へ向けて凸となる円弧状をなしている。底刃9は、その先端(径方向内端)から径方向外側へ向かうに従い基端側へ向けて、かつエンドミル回転方向Tとは反対側へ向けて延びている。
底刃9は、ギャッシュ7のエンドミル回転方向Tを向く壁面のうち、先端外周側の端部に位置するすくい面12と、刃部3aの先端面のうち、該ギャッシュ7のエンドミル回転方向Tとは反対側に隣接する先端逃げ面8と、の交差稜線に形成されている。
刃部3aの先端面には、周方向に隣り合うギャッシュ7(切屑排出溝4)同士の間に、先端逃げ面8がそれぞれ形成されている。先端逃げ面8は、底刃9からエンドミル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い基端内周側へ向けて傾斜しており、これにより底刃9には逃げ角が付与されている。本実施形態では、底刃9の逃げ角が、5〜15°である。
複数(本実施形態の例では6つ)の底刃9は、エンドミル本体2の軸線O方向の先端部に、軸線O回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが凸円弧状をなすとともに、軸線O回りの回転軌跡が軸線O上に中心を有する半球状をなす。複数の底刃9には、互いに刃長が異なる複数種類の底刃が含まれており、具体的には、第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cの3種類の底刃が含まれる。
これらの底刃9A〜9Cのうち、第1底刃9Aは、径方向の内側へ向けた刃長が、複数の底刃9の中で最も長くされている。図3に示されるエンドミル本体2の正面視で、第1底刃9Aは、外周刃5との接続部分(第1底刃9Aにおける径方向外側の端縁)から径方向の内側へ向けて延びるとともに、その刃長方向の先端21が、軸線Oを越えた位置に配置されている。つまり第1底刃9Aは、径方向内側へ向けて延びる刃長方向の先端21が、軸線Oに達しているとともに、その先にまで延びている。なお、本実施形態において第1底刃9Aは、軸線Oの直上は通っていない。
第2底刃9Bは、第1底刃9Aに対して、エンドミル回転方向Tに隣り合い、第1底刃9Aよりも径方向の内側へ向けた刃長が短くされている。図3に示されるエンドミル本体2の正面視で、第2底刃9Bは、外周刃5との接続部分(第2底刃9Bにおける径方向外側の端縁)から径方向の内側へ向けて延びるとともに、その刃長方向の先端22が、軸線Oを越えない位置に配置されている。つまり第2底刃9Bは、径方向内側へ向けて延びる刃長方向の先端22が、軸線Oに達していない。
第3底刃9Cは、第2底刃9Bに対して、エンドミル回転方向Tに隣り合い、第2底刃9Bよりも径方向の内側へ向けた刃長が短くされている。図3に示されるエンドミル本体2の正面視で、第3底刃9Cは、外周刃5との接続部分(第3底刃9Cにおける径方向外側の端縁)から径方向の内側へ向けて延びるとともに、その刃長方向の先端23が、軸線Oを越えない位置に配置されている。つまり第3底刃9Cは、径方向内側へ向けて延びる刃長方向の先端23が、軸線Oに達していない。また、第3底刃9Cの先端23は、第2底刃9Bの先端22よりも径方向の外側に配置されている(軸線Oからの距離が遠い)。
第2底刃9Bの先端22は、軸線Oからの直線距離が工具径dの0.05d〜0.15dの範囲に設けることが好ましい。なお、工具径dとは、刃部3aの外径(刃径)を指す。前記直線距離が0.05d未満であると、第1底刃9Aのギャッシュ7Aを形成することが困難となる。また、前記直線距離が0.15dよりも大きくなると切削性能が低下する。
第3底刃9Cの先端23は、軸線Oからの直線距離が工具径dの0.15d〜0.3dの範囲に設けることが好ましい。前記直線距離が0.15d未満であると、第2底刃9Bとの刃長の差が小さくなり過ぎてびびり振動が発生し易くなる。また、前記直線距離が0.3dよりも大きくなると切削性能が低下する。
本実施形態では、第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cの組が、軸線Oを中心として180°回転対称に2組設けられている。
図4は、軸線Oを含むボールエンドミル1の縦断面図であり、刃部3aを簡略化して表している。図4において、底刃9は、軸線O上に中心点Cを有する仮想半球面RLに沿って延びている。
ここで、底刃9上の所定の点A及び軸線Oを含む仮想平面を、基準面Prと定義する。基準面Prは、エンドミル回転方向T(つまり主運動方向)に垂直な面である。また、基準面Pr内において、中心点Cと所定の点Aとを通る仮想直線VLが、軸線Oに対して傾斜する角度を、放射角度θと定義する。放射角度θは、所定の点Aが軸線O上に配置される場合を0°とし、所定の点Aが中心点Cに対して軸線O方向の同一位置に配置される場合を90°とする。
本実施形態では、所定の放射角度θにおいて、第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cの軸線O回りの各回転軌跡のうち、中心点Cを中心とする放射方向(図4において仮想直線VLが延在する方向)の最も外側に位置する回転軌跡と、最も内側に位置する回転軌跡と、の間の放射方向に沿う距離が、5μm以下である。好ましくは、前記距離が3μm以下である。
つまり、基準面Pr内の所定の放射角度θにおける、放射方向に沿う第1〜第3底刃9A〜9Cの振れ(底刃位置のばらつき)が5μm以下に抑えられており、好ましくは3μm以下に抑えられている。言い換えると、所定の放射角度θにおける底刃9のR精度の最大値と最小値との差が、5μm以下であり、好ましくは3μm以下である。
本実施形態では、前記所定の放射角度θが、40〜50°である。
また特に図示していないが、基準面Prに垂直で仮想直線VLを含む仮想平面内において、基準面Prに対して底刃9のすくい面12が傾斜する角度である真のすくい角を、放射方向すくい角と定義する。
本実施形態では、底刃9の放射方向すくい角は、0〜5°である。また、底刃9の放射方向すくい角は、底刃9の先端(放射角度θ=0°付近)から外周刃5に接続する径方向の外縁(放射角度θ=90°付近)へ向かうに従い大きくなる。
図3において、エンドミル本体2の先端部には、複数の底刃9に対して、エンドミル回転方向Tにそれぞれギャッシュ7が隣接配置されている。複数のギャッシュ7には、互いに長さ(溝長)が異なる複数種類のギャッシュが含まれており、具体的には、第1底刃9Aのギャッシュ7A、第2底刃9Bのギャッシュ7B及び第3底刃9Cのギャッシュ7Cの3種類のギャッシュが含まれる。
本実施形態では、第1底刃9Aのギャッシュ7A、第2底刃9Bのギャッシュ7B及び第3底刃9Cのギャッシュ7Cの組が、軸線Oを中心として180°回転対称に2組設けられている。
図3に示されるエンドミル本体2の正面視において、第1底刃9Aのギャッシュ7Aに対して第2底刃9Bのギャッシュ7Bの長さが短く、第2底刃9Bのギャッシュ7Bに対して第3底刃9Cのギャッシュ7Cの長さが短い。
また、第1底刃9Aのギャッシュ7A、第2底刃9Bのギャッシュ7B及び第3底刃9Cのギャッシュ7Cは、互いにすべて連通している。
本実施形態の例では、第1底刃9Aのギャッシュ7Aの先端と、第3底刃9Cのギャッシュ7Cの先端とが互いに接続しており、また、第1底刃9Aのギャッシュ7Aのうち、第3底刃9Cのギャッシュ7Cと接続する先端から基端側へ向けて離間した部分に対して、第2底刃9Bのギャッシュ7Bの先端が接続している。つまり、ギャッシュ7Aに対してギャッシュ7B、7Cが連通しており、ギャッシュ7Aを通してギャッシュ7B、7C同士も連通している。
ここで、図4は、ギャッシュ7A〜7C同士を比較しやすくするために、これらのギャッシュ7A〜7Cを同一の仮想平面(軸線Oを含むエンドミル本体2の縦断面)上に表した模式図でもある。
図4に示されるように、第3底刃9Cのギャッシュ7Cに対して、第2底刃9Bのギャッシュ7Bの深さは深く、第2底刃9Bのギャッシュ7Bに対して、第1底刃9Aのギャッシュ7Aの深さは深い。
なお、「ギャッシュ7の深さ」とは、軸線O回りに底刃9が回転して得られる半球状の回転軌跡(仮想半球面)と、ギャッシュ7の底面のうち前記回転軌跡からの距離が最も遠い部分(ギャッシュ7の最深部)と、の間の前記距離を指す。つまり、仮想半球面RLに対して、ギャッシュ7底面のうち、中心点Cを中心とする放射方向の最も内側に位置する部分と、仮想半球面RLと、の間の放射方向に沿う距離が、「ギャッシュの深さ」である。
具体的には、図4において符号RLで示されるものが、底刃9が軸線O回りに回転して得られる回転軌跡(仮想半球面)であり、符号Dで示される距離が、底刃9の回転軌跡RLからギャッシュ7の最深部までのギャッシュ7深さ(図示の例ではギャッシュ7Aの深さ)である。
図1及び図2に示されるように、切れ刃のうち、外周刃5は、切屑排出溝4のギャッシュ7以外の部分(ギャッシュ7よりも基端側に位置する部分)においてエンドミル回転方向Tを向く壁面と、エンドミル本体2の外周面との交差稜線に形成されている。外周刃5は、底刃9の径方向外側の端縁(この端縁は、底刃9の基端側の端縁でもある)に接続しているとともに、前記端縁から軸線O方向の基端側へ向けて延びている。具体的に、外周刃5は、底刃9に接続する該外周刃5の先端から基端側へ向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側へ向けて延びている。
本実施形態では、外周刃5のねじれ角が、15〜30°である。
外周刃5は、切屑排出溝4のギャッシュ7以外の部分においてエンドミル回転方向Tを向く壁面のうち、径方向外側の端部に位置するすくい面11と、刃部3aの外周面のうち、該切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tとは反対側に隣接する外周逃げ面6と、の交差稜線に形成されている。本実施形態では、外周刃5のすくい角が、−10〜0°である。
刃部3aの外周面には、周方向に隣り合う切屑排出溝4同士の間に、外周逃げ面6がそれぞれ形成されている。外周逃げ面6は、外周刃5からエンドミル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い径方向の内側へ向けて傾斜しており、これにより外周刃5には逃げ角が付与されている。本実施形態では、外周刃5の逃げ角が、5〜15°である。
複数(本実施形態の例では6つ)の外周刃5は、エンドミル本体2の外周に、軸線O回りに互いに間隔をあけて配置され、互いに略平行に延びている。各外周刃5は、周方向位置が対応する各底刃9の径方向の外側の端縁に、それぞれ接続している。本実施形態では、複数の外周刃5が、軸線O回りに互いに等ピッチで配置されている。複数の外周刃5が軸線O回りに回転して得られる回転軌跡は、軸線Oを中心とする円柱状をなす。
以上説明した本実施形態のボールエンドミル1は、軸線O回りの回転軌跡が半球状をなす複数の底刃9として、第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cを備えている。第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cは、径方向の内側へ向けた刃長がこの順に短くされている。つまり、第1〜第3底刃9A〜9Cのうち、第1底刃9Aの刃長が最も長く、第3底刃9Cの刃長が最も短い。第1底刃9Aの刃長を最も長く、第3底刃9Cの刃長を最も短くすることで、エンドミル先端面の中心部付近(軸線O付近)にもギャッシュ7を形成することができ、切屑排出性を高めることができる。また、各底刃9A〜9Cの切削量が異なるため、切削中のびびり振動が抑制される傾向にある。
そしてこのボールエンドミル1は、底刃9上の所定の点A及び軸線Oを含む基準面Pr内において、所定の放射角度θにおける第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cの軸線O回りの各回転軌跡のうち、中心点Cを中心とした放射方向の最外周に位置する回転軌跡と、最内周に位置する回転軌跡と、の放射方向に沿う距離が5μm以下とされている。つまり、上記基準面Pr内における所定の放射角度θでの、放射方向に沿う第1〜第3底刃9A〜9Cの振れ(振れ精度)が5μm以下に抑えられている。このように高精度の底刃9を形成できるのは、上述したように、径方向の内側へ向けた刃長を第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cの順に短く形成しているためである。つまり、このような刃型とすることで、ボールエンドミル製造時において各底刃9A〜9Cを加工する際に砥石の干渉が発生しにくく、高精度な多刃を形成しやすくなる。
このため、例えば切削時の使用頻度が高い所定の放射角度θにおいて、底刃9A〜9Cの振れを極めて小さくすることができる。これにより、本実施形態のように5軸加工機を用いた高能率加工においてたとえ一刃送り量が小さくても、各底刃9A〜9Cがそれぞれ同様の機能を果たすことができて、優れた加工面精度を達成することが可能になる。
一方、本実施形態とは異なり、放射方向に沿う第1〜第3底刃9A〜9Cの振れが5μmを超えると、一刃送り量を大きく設定しないと、各底刃9A〜9Cが十分に機能せずに加工面精度が低下する傾向にある。また、一刃送り量を大きく設定することで、早期に工具損傷が発生するおそれがある。
なお、上述した本実施形態の作用効果をより格別なものとするには、放射方向に沿う第1〜第3底刃9A〜9Cの振れが3μm以下であることが好ましい。振れを3μm以下にすることで、一刃送り量を下げても各底刃9A〜9Cが機能するようになるため、送り速度が速くなり過ぎるのを防止することができる。
一刃送り量と各底刃が機能するための振れの関係は、理論カスプハイトの計算から簡易的に求めることができる。例えば、ボール半径が4mmのボールエンドミルにおいて、一刃送り量が0.25mm/tのときは、底刃の振れが8.0μm以下でないと各底刃が機能しなくなる。そこで本実施形態のように、底刃9の振れを5.0μm以下にすれば、一刃送り量を0.2mm/tとしても各底刃9A〜9Cが機能することができ、一刃送り量を下げることができる。一刃送り量を下げることで切削抵抗が低減するため、より高精度の加工が可能となる。さらに、底刃9の振れが4.0μm以下であれば、一刃送り量が0.17mm/t以上で各底刃9A〜9Cが機能することができ好ましい。さらには、底刃9の振れが3.0μm以下であれば、一刃送り量が0.15mm/t以上で各底刃9A〜9Cが機能するようになり好ましい。
通常、6枚刃のような多刃のボールエンドミルにおいては、製造時に砥石の干渉が発生しやすいことから各底刃の振れをより抑制するのは困難である。本実施形態のように、6枚刃ボールエンドミルの底刃9の振れを5μm以下、さらには4μm以下、3μm以下にまで量産ベースで達成するには、製造時の砥石の干渉を抑制するため、底刃9A〜9Cの長さを第1底刃9A、第2底刃9B、第3底刃9Cの順に短くし、かつこれらを軸線Oを中心に対称に設けた刃型が有効である。
また本実施形態では、第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cの組が、軸線Oを中心として180°回転対称に2組設けられているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、底刃9が6枚刃とされたボールエンドミル1となり、切削の加工能率を高めることができる。そしてこのような多刃のボールエンドミル1であっても、本実施形態によれば、切屑排出性が安定して確保される。
また本実施形態では、第1底刃9Aのギャッシュ7A、第2底刃9Bのギャッシュ7B及び第3底刃9Cのギャッシュ7Cが、互いにすべて連通しているので、切屑排出性を安定して高められるという上述した効果が、より顕著なものとなる。
また本実施形態では、図3に示されるエンドミル本体2の正面視で、第1底刃9Aが、外周刃5との接続部分(第1底刃9Aの径方向外側の端縁)から径方向の内側へ向けて延びるとともに、その刃長方向の先端21が、軸線Oを越えた位置に配置されている。これにより、エンドミル本体2の軸線O方向の最先端位置(つまり軸線O上)においても、第1底刃9Aによって被削材に切削加工を施すことができる。従って、加工面精度を高めつつ、様々な切削加工の種類や形態に対応しやすい。
また本実施形態では、所定の放射角度θが40〜50°である。
刃部3aの先端付近では第2底刃9B及び第3底刃9Cが形成されていないため、各底刃9A〜9CのR精度を正確に測定することは困難となる。このため、本実施形態で説明したように、所定の放射角度θを40〜50°に設定することが好ましい。つまり、底刃9A〜9CのR精度の測定を、刃部3aの先端から軸線Oに対して40〜50°の箇所で測定すればよい。この範囲の底刃9A〜9Cは特に使用頻度が高い傾向にあるため、各底刃9A〜9Cの振れを抑制することで加工面精度をより高めることができる。
また、これらの底刃9A〜9Cには、各底刃9A〜9Cのエンドミル回転方向Tに隣接してギャッシュ7A〜7Cがそれぞれ配置される。ギャッシュ7A〜7Cの径方向内側へ向けたギャッシュ長さは、該ギャッシュ7A〜7Cが隣接する底刃9A〜9Cの刃長に対応している。このため、第1底刃9Aのギャッシュ7A、第2底刃9Bのギャッシュ7B及び第3底刃9Cのギャッシュ7Cは、ギャッシュ長さがこの順に短くなる。つまり、第1〜第3底刃9A〜9Cの各ギャッシュ7A〜7Cのうち、第1底刃9Aのギャッシュ7Aの長さが最も長く、第3底刃9Cのギャッシュ7Cの長さが最も短い。そして、底刃9の刃長が長くなるほど、1回の切り込み(単位切り込み)あたりの切削量が増えるため、切屑の排出性を確保することが難しくなる。つまり、ギャッシュ7長さが長くなるほど、切屑の排出性を確保することが難しい。
そこで本実施形態では、第3底刃9Cのギャッシュ7Cに対して、第2底刃9Bのギャッシュ7Bの深さが深く、第2底刃9Bのギャッシュ7Bに対して、第1底刃9Aのギャッシュ7Aの深さが深いという特別な構成を用いた。
つまり、第3底刃9Cのギャッシュ7C、第2底刃9Bのギャッシュ7B及び第1底刃9Aのギャッシュ7Aが、この順に深くされている。そして、第1〜第3底刃9A〜9Cのうち、刃長が長いものほどギャッシュ7の容積(断面積)が大きくなる。言い換えると、切削量の多い底刃9になるほどギャッシュ容積を大きく確保できる。従って、切屑排出性が安定して高められる。
よって本実施形態のボールエンドミル1によれば、ギャッシュ7の切屑排出性を安定して高めることができ、切屑詰まりを防止して加工面精度を向上できる。
また本実施形態では、底刃9の放射方向すくい角が、0〜5°である。
底刃9の放射方向すくい角が、0°未満であると、切れ味が悪くなり切削抵抗が増大してたわみが発生するため、高精度加工に影響する。また、底刃9の放射方向すくい角が、5°よりも大きくなると、底刃9の刃物角が小さくなって刃先強度が低下する。
また本実施形態では、底刃9の放射方向すくい角が、底刃9の先端(放射角度θ=0°付近)から径方向の外縁(放射角度θ=90°付近)へ向かうに従い大きくなる。
このような底刃9とすることで、該底刃9の先端部での剛性を高められ、かつ、チップポケット(切屑排出溝4)が大きくなる外周刃5との接続部分付近においては、切れ味を高めて切削効率を向上させることができる。
また本実施形態では、底刃9の逃げ角が、5〜15°である。
底刃9の逃げ角が、5°未満であると、被削材の加工面が先端逃げ面8に擦れやすくなり、またこれらの間に切屑が噛み込むなどして、チッピングや欠けが発生しやすくなる。また、底刃9の逃げ角が、15°よりも大きくなると、底刃9の刃物角が小さくなって刃先強度が低下する。
また本実施形態では、外周刃5のすくい角が、−10〜0°である。
外周刃5のすくい角が、−10°未満であると、底刃9のすくい面12と外周刃5のすくい面11との接続部分に段差が生じやすくなり、切屑の流れが悪くなって、切屑詰まり等の不具合が発生しやすくなる。また、外周刃5のすくい角が、0°よりも大きくなると、外周の刃溝(エンドミル製造時に切屑排出溝4を成形する際に付く溝条)が底刃9のすくい面12に干渉し、底刃9の剛性に影響してチッピングが発生しやすくなる。
また本実施形態では、外周刃5の逃げ角が、5〜15°である。
外周刃5の逃げ角が、5°未満であると、立ち壁加工時において、被削材の加工面が外周逃げ面6に擦れやすくなり、またこれらの間に切屑が噛み込むなどして、チッピングや欠けが発生しやすくなる。また、外周刃5の逃げ角が、15°よりも大きくなると、外周刃5の刃物角が小さくなって刃先強度が低下し、チッピングや欠けが生じやすくなり、また製造時においては、隣接する外周刃5の刃先に砥石が干渉しやすくなるため、エンドミルの製造が困難となる。
また本実施形態では、外周刃5のねじれ角が、15〜30°である。
外周刃5のねじれ角が、15°未満や30°を超える場合には、底刃9と外周刃5との接続部に段差が生じやすくなり、被削材の加工面にスジ(切削痕)が発生しやすくなる。
また本実施形態では、エンドミル本体2の外周に、周方向に互いに間隔をあけて形成された複数の外周刃5が、軸線O回りに互いに等ピッチで配置されているので、ボールエンドミル1の製造時において、これらの外周刃5を成形しやすく、製造容易性が高められる。
また本実施形態では、エンドミル本体2の刃部3aの心厚が、刃部3aの外径(刃径)の60%以上であり、好ましくは65%以上である。また、刃部3aの軸線O方向に沿う長さ(刃長)が、刃径に対して1.5倍以下であり、好ましくは、1.0倍以下である。
ボールエンドミル1による加工面精度をより向上させるには、工具の剛性をより高めることが好ましい。工具の剛性を高めるためには、心厚を60%以上とすることが効果的であり、心厚を65%以上とすることがより好ましい。また、刃部3aの刃長については、刃径に対して1.5倍以下とすることが効果的であり、1.0倍以下とすることがより好ましい。
本実施形態のボールエンドミル1は、高速送りで使用してもむしれが無い優れた加工面を達成することができる。なお、このボールエンドミル1は、5軸加工で使用することが好ましい。また、本実施形態のボールエンドミル1は、送り速度を10000mm/min以上で使用することが好ましく、送り速度を15000mm/min以上で使用することがより望ましい。さらには、送り速度を20000mm/min以上で使用することが望ましい。さらには、送り速度を23000mm/min以上で使用することが望ましい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前述の実施形態では、複数の外周刃5が、エンドミル本体2の外周において軸線O回りに互いに等ピッチで(等間隔をあけて)配置されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、複数の外周刃5は、エンドミル本体2の外周において軸線O回りに互いに不等ピッチで(不等間隔をあけて)配置されていてもよい。複数の外周刃5が不等ピッチで配置された場合には、該外周刃5を用いた切削時における共振(びびり振動等)が抑制される。
また、前述の実施形態では、エンドミル本体2の刃部3aに6つ(6組)の切れ刃が設けられた6枚刃のボールエンドミル1について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エンドミル本体2の刃部3aに3つ(3組)の切れ刃が設けられた3枚刃のボールエンドミル1であってもよく、この場合、3つの底刃9として、第1底刃9A、第2底刃9B及び第3底刃9Cの組が1組設けられる。
また、前述の実施形態では、所定の放射角度θが40〜50°であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第2底刃9Bや第3底刃9Cの各刃長方向の先端22、23が、軸線Oにより接近して配置される場合には、これに応じて、所定の放射角度θの下限を40°より小さく設定してもよい。この場合、例えば所定の放射角度θは、30〜50°である。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明のボールエンドミルは、例えば5軸加工機を用いた高能率加工においてたとえ一刃送り量が小さくても、優れた加工面精度を達成できる。従って、産業上の利用可能性を有する。
1 ボールエンドミル
2 エンドミル本体
5 外周刃
7 ギャッシュ
7A 第1底刃のギャッシュ
7B 第2底刃のギャッシュ
7C 第3底刃のギャッシュ
9 底刃(先端刃。ボール刃)
9A 第1底刃
9B 第2底刃
9C 第3底刃
21 第1底刃の刃長方向の先端
A 底刃上の所定の点
C 中心点
O 軸線
Pr 基準面
RL 仮想半球面(底刃の回転軌跡)
T エンドミル回転方向
VL 仮想直線
θ 放射角度

Claims (6)

  1. 軸状をなすエンドミル本体と、
    前記エンドミル本体の軸線方向の先端部に、前記軸線回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが凸円弧状をなすとともに、前記軸線回りの回転軌跡が前記軸線上に中心を有する半球状をなす複数の底刃と、
    複数の前記底刃に対して、前記軸線回りのうちエンドミル回転方向にそれぞれ隣接配置される複数のギャッシュと、を備えたボールエンドミルであって、
    複数の前記底刃には、
    前記軸線に直交する径方向の内側へ向けた刃長が、複数の前記底刃の中で最も長くされた第1底刃と、
    前記第1底刃に対して、前記エンドミル回転方向に隣り合い、前記第1底刃よりも前記径方向の内側へ向けた刃長が短くされた第2底刃と、
    前記第2底刃に対して、前記エンドミル回転方向に隣り合い、前記第2底刃よりも前記径方向の内側へ向けた刃長が短くされた第3底刃と、が含まれ、
    前記底刃は、前記軸線上に中心点を有する仮想半球面に沿って延びており、
    前記底刃上の所定の点及び前記軸線を含む基準面内において、前記中心点と前記所定の点とを通る仮想直線が、前記軸線に対して傾斜する角度を放射角度と定義して、
    所定の前記放射角度において、前記第1底刃、前記第2底刃及び前記第3底刃の前記軸線回りの各回転軌跡のうち、前記中心点を中心とする放射方向の最も外側に位置する回転軌跡と、最も内側に位置する回転軌跡と、の間の前記放射方向に沿う距離が、5μm以下であることを特徴とするボールエンドミル。
  2. 請求項1に記載のボールエンドミルであって、
    前記第1底刃、前記第2底刃及び前記第3底刃の組が、前記軸線を中心として180°回転対称に2組設けられたことを特徴とするボールエンドミル。
  3. 請求項1又は2に記載のボールエンドミルであって、
    前記第1底刃のギャッシュ、前記第2底刃のギャッシュ及び前記第3底刃のギャッシュが、互いにすべて連通していることを特徴とするボールエンドミル。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のボールエンドミルであって、
    前記エンドミル本体の外周には、前記軸線回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが前記底刃の前記径方向の外側の端縁に接続するとともに、前記端縁から前記軸線方向の基端側へ向けて延びる複数の外周刃が備えられ、
    前記エンドミル本体の正面視で、
    前記第1底刃は、前記外周刃との接続部分から前記径方向の内側へ向けて延びるとともに、その刃長方向の先端が、前記軸線を越えた位置に配置されることを特徴とするボールエンドミル。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のボールエンドミルであって、
    前記所定の放射角度は、40〜50°であることを特徴とするボールエンドミル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のボールエンドミルであって、
    前記放射方向に沿う距離が、3μm以下であることを特徴とするボールエンドミル。
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