JP6902284B2 - 切削工具 - Google Patents
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Description
しかも、工具本体の先端側から基端側に向けて芯厚が次第に大きくなるように形成されている。これによって、工具本体の撓みを抑制している。また、切り屑排出溝は軸に直交する断面視で比較的深さの深い第1溝と第1溝を囲む比較的浅い第2溝とを重ねて形成しているため、肩削り加工や溝加工における切り屑詰まりを防ぐとしている。
しかも、切り屑排出溝の第2溝の先端側中央部分に第1溝が形成されているため第1溝を走行する切り屑が詰まり易く排出性が悪いという問題もあった。
本発明によれば、切り屑排出溝の第一フルート溝を切除して形成した第二フルート溝を有する部分の第一の芯厚は第二フルート溝を有さない後端側の第一フルート溝を有する部分の第二の芯厚より小さいため、先端側では後端側より工具剛性が小さいが切り屑排出溝の溝深さが大きい。しかも、第二フルート溝は第一フルート溝の外周すくい面側から外周逃げ面に到達するまで周方向に形成されているため、幅広で切り屑排出がスムーズであり、切り屑排出性が高い。
本発明によれば、先端側の第一の芯厚は後端側の第二の芯厚より小さいが外周刃の外周面の肉厚を大きく形成したことで刃先強度を補強することができる。
外周刃の外周すくい面に第一フルート溝と第二フルート溝との境界をなす交差突部を形成したため、生成される切り屑が外周すくい面と接触する面積が少なくなり、よりスムーズに走行する。
外周刃の外周すくい面に形成された交差突部の突出が5°以下で中心軸線から外周刃までの半径長さD/2の65%以上の位置に設けたことによって、切り屑の接触を小さくして走行負荷及び加工負荷を低減することができる。
これにより、切削工具の先端側での切り屑排出をスムーズにすると共に、後方側の第二の芯厚を先端側の第一の芯厚より大きくすることで工具本体の剛性を確保することができる。
切り屑排出溝の第二フルート溝の長さを中心軸線方向に先端面から0.5D〜1.5Dまでの範囲にすることで、切り屑排出性を向上できると共に工具剛性を確保することができる。
先端側の第一の芯厚が小さくても外周刃の外周逃げ面の幅を0.05D〜0.25Dの範囲に設定することで、工具剛性を補強することができる。
複数の底刃は不等分割され、複数の外周刃は不等リードに設定されているため、切削時にビビり振動の発生を抑制できる。
また、先端側の第二フルート溝は周方向に外周刃の外周すくい面側から外周刃の外周逃げ面まで到達することで、工具剛性を高めつつ切り屑をスムーズに排出できる。
図1乃至図5は本発明の第一実施形態による切削工具としてのエンドミル1を示すものである。エンドミル1は例えば4枚刃のスクエアエンドミルである。図1において、実施形態によるエンドミル1は、略円柱状に形成されていて中心軸線Oを中心に回転される工具本体2とその先端部に形成された刃部3とを備えている。本明細書では工具本体2の中心軸線Oに沿った刃部3側を先端側といい、主軸に連結する反対側を基端側、後方というものとする。
4枚の外周刃6も周方向に所定間隔で配列されてそれぞれ螺旋状に形成されている。外周刃6の外周逃げ面8は外周刃6の回転軌跡に沿って凸曲面状とされ且つ正の逃げ角を形成して外周刃6の刃先強度を確保している。或いは、外周逃げ面8は平坦面状で正の逃げ角を有していてもよい。
しかも、底刃の外径長さをDとして、各短刃11は外周刃6に接続される外周端から先端面4の半径(D/2)の例えば1/2程度の長さで形成されている。そのため、短刃11は中心軸線Oの近傍に到達しておらず、途中で途切れている。長刃10と短刃11とで底刃を形成する。
短刃11の長さを長刃10の切刃部10aの長さと同程度に設定することで、長刃10と短刃11の切削負担をほぼ同程度に設定できるため、長刃10の切刃部10aと短刃11の振動を抑制できる。底刃は不等分割されているが、等分割に配設されていてもよい。
先端面4における中心軸線Oの周囲には、長刃10と短刃11の回転方向前側に基端側に向けて凹状に切除されたギャッシュ溝12が所定間隔で4つ形成されている。ここで、長刃10の回転方向前方に形成されたギャッシュ溝12を符号12Aで表し、短刃11の回転方向前方に形成されたギャッシュ溝12を符号12Bで表すものとする。
なお、図3は刃部3の先端面4から長手方向に距離0.5Dの位置における中心軸線Oに直交する軸直交断面図であり、図5は先端面から距離1.5Dの位置における中心軸線Oに直交する軸直交断面図である。
ここで、交差突部16の突出角度が5°を超えると切り屑の走行の障害になりスムーズに流れなくなる。また、交差突部16の位置が中心軸線Oから半径D/2の65%未満の長さ位置であると切り屑が外周すくい面7に接触する部分が増えて加工負荷を低減する効果がなくなる。交差突部16は第二フルート溝14に沿って先端側から後端側に延びていて第二フルート溝14の終端部で終了する。
第二フルート溝14が形成されておらず第一フルート溝13だけが形成された基端側領域では、刃部3の第二の芯厚S2は第一フルート溝13の内接円により0.60D〜0.80Dの範囲に形成されている。第一フルート溝13の第二の芯厚S2は第二フルート溝14の第一の芯厚S1より0.05D以上大きく設定され、工具剛性が高い。
図3において、外周逃げ面8として外周刃6の回転方向後方側に接続された二番逃げ面を有しているが、更に後方に逃げ面が形成されていてもよい。しかも、外周刃6の外周逃げ面8の周方向の幅Mが0.05D〜0.25Dの範囲に設定されている。これにより、外周刃6の外周逃げ面8の部分の剛性を向上させている。外周逃げ面8の幅Mが0.05Dより小さいと剛性の補強効果が小さく0.25Dより大きいと外周刃6の回転方向後方側の第二フルート溝14の幅が狭くなり、切り屑排出性が低下する。
外周逃げ面8の厚みがこの範囲であれば切り屑排出性を損なうことなく工具剛性を向上できる。外周逃げ面8の厚みが上記の範囲を超えると第二フルート溝14の周方向の幅が小さくなり切り屑排出性が低下し、上記の範囲より小さいと工具剛性の向上を達成できない。
エンドミル1を中心軸線O周りに高速回転させながら中心軸線O方向に送ってドリリング加工を行う場合、最初に刃部3の先端面4の外周側に配設した一対の短刃11で切削加工を行う。短刃11で生成される切り屑は、長刃10の全長で切削加工する場合のほぼ半分程度の幅と体積になる。そのため、切り屑はギャッシュ溝12Bから切り屑排出溝5の第二フルート溝14をスムーズに走行して第一フルート溝13から排出される。また、短刃11による切削に遅れて、被削材の内側の部分を長刃10の切刃部10aで切削加工できる。
しかも、第一フルート溝13に重ねて第二フルート溝14を形成したため、溝深さが大きく切り屑排出性が高い。第二フルート溝14に形成された第二外周すくい面17は外周刃6の第一外周すくい面15の途中部分から回転方向前方の外周刃6の外周逃げ面8に向けて凹曲面と凸曲面とを連続して形成しているため幅広であり、切り屑をスムーズに基端側に排出できる。
しかも、外周刃6の外周逃げ面8は中心軸線Oと外周刃6を結ぶ仮想線Lの回転方向後方側の20°の位置で半径D/2の88%〜97%の範囲、30°の位置で半径D/2の78%〜93%の範囲の肉厚に張り出し形成されている。そのため、第一の芯厚S1の比較的小さい工具剛性を外周逃げ面8の肉厚によって補強することができ、切り屑排出性と工具剛性を共に向上させることができる。また、切り屑排出溝5の基端側は第一フルート溝13だけが形成されているため、第二の芯厚S2が第一の芯厚S1より大きく工具剛性が高い。
しかも、刃部3の先端側では第一フルート溝13に第二フルート溝14が形成されているために溝深さが深くて一層切り屑排出性を向上できる。
しかも、切り屑排出溝5の第二フルート溝14は周方向に第一フルート溝13の第一外周すくい面15側から外周逃げ面8まで形成したため、幅広で切り屑排出性が高い。また、第一フルート溝13及び第二フルート溝14に形成した2段の第一外周すくい面15及び第二外周すくい面17の交差部に交差突部16を設けたため、切り屑の接触面積が少なくよりスムーズに走行して排出される。
以下に本発明の他の実施形態や変形例について説明するが、上述した実施形態の部分や部品と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を行うものとする。
第二実施形態によるエンドミル1Aは、第一実施形態によるエンドミル1と基本構成を共通にしており、外周刃6の逃げ面の形状において相違する。図6は工具本体2の刃部3における先端面4から0.5Dの距離の中心軸線Oに直交する断面図、図7は先端面4から1.5Dの距離の中心軸線Oに直交する断面図である。
本第二実施形態によるエンドミル1Aの刃部3において、各長刃10及び短刃11の外周側端部には刃部3の外周面に形成された螺旋状の外周刃6が連結されている。外周刃6の回転方向前方側には外周すくい面7を有する切り屑排出溝5が形成され、外周刃6の回転方向後方側には外周逃げ面20が形成されている。外周逃げ面20は、図6に示す第二フルート溝14を設けた領域では、外周すくい面7の傾斜角度が大きくなっている。図7に示す第一フルート溝13のみを設けた領域では、外周逃げ面20とその回転方向後方の外周すくい面7の間に段差が形成されている。
本第二実施形態によるエンドミル1Aでは、先端側の刃部3の工具剛性を補強するために第一実施形態と同様に外周逃げ面20の形状を工夫している。
また、外周刃6の外周逃げ面20において、中心軸線Oと外周刃6を結ぶ仮想線Lの半径D/2に対して第二フルート溝14を有する外周刃6の外周逃げ面方向に20°の角度では、外周面は中心軸線Oからの長さが半径長さD/2の88%〜97%の肉厚を有している。また、外周刃6の外周逃げ面方向に30°の角度では、外周逃げ面20は中心軸線Oからの長さが半径長さD/2の78%〜93%の肉厚を有している。
外周逃げ面20の厚みが上記の範囲を超えて延びると第二フルート溝14の周方向の幅が小さくなり切り屑排出性が低下し、上記の範囲より小さいと工具剛性の向上に寄与できないという欠点が生じる。
なお、第二フルート溝14が形成されていない第一フルート溝13の領域では第二の芯厚S2が第一の芯厚S1より大きく工具剛性が高いため、外周逃げ面20の幅M、外周刃6の回転方向後方側の20°から30°の範囲での外周逃げ面20の肉厚は第二フルート溝14を設けた領域より小さくてもよい。
上述の各実施形態において、外周刃6のすくい面には第一フルート溝13と第二フルート溝14との境界に交差突部16が段差として形成されている。しかしながら、必ずしも交差突部16は必要なく、第一フルート溝13と第二フルート溝14との周方向の境界を滑らかな凹曲線状に形成してもよい。
上述した各実施形態や変形例では、エンドミル1としてスクエアエンドミルについて説明したが、これに代えてラジアスエンドミルやボールエンドミルやドリル等の各種の切削工具にも本発明を適用できる。
2 工具本体
3 刃部
5 切り屑排出溝
6 外周刃
7 外周すくい面
8、20 外周逃げ面
10 長刃
10a 切刃部
11 短刃
13 第一フルート溝
14 第二フルート溝
15 第一外周すくい面
16 交差突部
17 第二外周すくい面
S1 第一の芯厚
S2 第二の芯厚
L 仮想線
O 中心軸線
Claims (9)
- 中心軸線回りに回転可能な工具本体の先端側の外周面に所定間隔を開けて螺旋状に形成された複数の外周刃と、該外周刃の回転方向前側に形成された切り屑排出溝と、前記工具本体の先端面に形成されていて前記外周刃に連続する複数の底刃と、を有する切削工具であって、
前記外周刃の外周すくい面を有する前記切り屑排出溝は、
前記先端面から後端側まで延びる第一フルート溝と、
前記第一フルート溝の先端側領域を切除して形成されていて前記第一フルート溝より短い長さとされ且つその後端が前記第一フルート溝に接続されている第二フルート溝と、を備え、
前記第二フルート溝は前記第一フルート溝の外周すくい面側から外周逃げ面に到達するまで周方向に形成されていることを特徴とする切削工具。 - 前記工具本体の中心軸線に直交する断面視で前記中心軸線と前記外周刃を結ぶ半径長さをD/2として、
前記第二フルート溝を有する前記外周刃の外周逃げ面方向に20°の角度では、前記外周面は前記中心軸線からの長さが前記半径長さD/2の88%〜97%の肉厚を有し、
前記外周刃の外周逃げ面方向に30°の角度では、前記外周面は前記中心軸線からの長さが前記半径長さD/2の78%〜93%の肉厚を有している請求項1に記載された切削工具。 - 前記工具本体の先端面近傍における中心軸線に直交する断面において、前記外周刃の外周すくい面には前記第一フルート溝と前記第二フルート溝との境界に交差突部が突出して形成されている請求項1または2に記載された切削工具。
- 前記交差突部は前記中心軸線と外周刃とを結ぶ仮想線に対して5°以下突出していると共に、前記中心軸線から外周刃までの半径長さD/2の65%以上の位置に形成されている請求項3に記載された切削工具。
- 前記中心軸線と前記外周刃を結ぶ半径長さをD/2として、
前記第二フルート溝の領域における第一の芯厚は0.55D〜0.70Dの範囲に設定され、
前記第二フルート溝より後方で前記第一フルート溝の領域における第二の芯厚は0.60D〜0.80Dの範囲に設定され且つ前記第一の芯厚より0.05D以上大きい請求項1から4のいずれか1項に記載された切削工具。 - 前記第二フルート溝の長さは先端面から0.5D〜1.5Dまでの範囲に設定されている請求項1から5のいずれか1項に記載された切削工具。
- 先端側の前記外周逃げ面の周方向の幅は0.05D〜0.25Dの範囲に設定されている請求項1から6のいずれか1項に記載された切削工具。
- 前記複数の底刃は不等分割され、前記複数の外周刃は不等リードに設定されている請求項1から7のいずれか1項に記載された切削工具。
- 前記外周刃のすくい角が0°を超えている請求項1から8のいずれか1項に記載された切削工具。
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