JP5940205B1 - ドリル - Google Patents

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Abstract

【課題】高い切れ味による高精度な加工と工具寿命を確保しながら、粗加工から仕上げ加工まで行えるようにした。【解決手段】ドリル1は、ドリル本体2の先端面2aから後端側に延びる一対の切屑排出溝6が先端側外周面に対向して形成され、切屑排出溝6の回転方向を向く面と先端面2aとの交差部に主切刃7を形成した。主切刃7からドリル本体2の回転中心となる中心軸線O側に向けてシンニング切刃14を形成した。対向するシンニング切刃14間に中心軸線Oを挟んで小幅のチゼル心厚15を形成した。ドリル本体2の先端面2aにおけるチゼル心厚15は最大外径Dの0.8〜3%の厚さを有する。シンニング切刃14は、中心軸線Oと主切刃7の延長上に形成された外周刃11とを結ぶ仮想線の中心線Lに対して回転方向前方に突出する凸部14aを有している。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば精密機械部品や精密加工部品等に穴加工するために用いられ、被削材の加工面が斜面であっても精度良く穴加工できるドリルに関する。
フライス盤やマシニングセンタ、旋盤等に取り付けて穴加工に用いられるドリルは工具先端の刃先部が直線状に被削材に喰い込むために扇形や凸形状等に尖っているものが一般的である。一方、最近のドリルでは刃先部の先端切刃をフラット形状にして被削材の斜面に対しても穴加工できるようにしたものが知られている。
例えば特許文献1に記載されたドリルは、先端部の一対の切刃が180度の先端角を備えたフラットドリルであり、先端面に形成した逃げ面と切屑排出溝に形成したシンニング面とが交差する稜線が切刃とされている。
また、特許文献2に記載されたドリルは扇形の刃先部を有しており、対向する2条の切屑排出溝に形成した正のすくい角を有するすくい面と先端面との交差部に第1切れ刃が形成され、切屑排出溝を含む凹部からなるシンニング部に形成されたシンニング面と先端面との交差部に第2切れ刃が形成されている。そして、第2切れ刃は第1切れ刃に接続されると共にチゼルエッジと交差している。
このドリルは、工具径と対向する2つのシンニング間の距離との比を15%以上、35%以下に設定しており、この範囲より小さいと先端部分の強度が不足して食い付き時に破損や折損を生じ易くなり、逆に大きいと加工時にドリルが振れを生じて加工穴が拡径して加工精度が低下するという欠点があるとしている。
特開2002−66822号公報 国際公開第2012/070640号
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたドリルは心厚が大きいために、傾斜面等に穴加工を施すと先端部の切刃が逃げてしまいぶれてしまうので加工穴径が広がってしまう欠点があり、しかも加工面粗さが粗いので加工穴の出入口でバリが発生する等の加工精度上の欠点があった。
また、特許文献2に記載されたドリルでは、2つのシンニング間の距離が15%〜35%に設定されているためドリルの剛性を確保できるが、工具径に対してシンニング間の心厚が大きいので、特許文献1と同様に振れ回りを起こしてしまい、高い切れ味で高精度な加工を行うことは困難であった。
また、上述した従来技術によるドリルでは、高精度な加工を行うにはセンタドリル(もみつけ加工)、ドリル(下穴加工)、ドリル、リーマ(仕上げ加工)等の3〜4種の工具を用いて3工程か4工程で加工しなければならず、工具交換が煩雑で工程数が増大する欠点がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高い切れ味による高精度な加工と工具寿命を確保しながら、粗加工から仕上げ加工まで行えるようにしたドリルを提供することを目的とする。
本発明によるドリルは、ドリル本体の先端面から後端側に延びる切屑排出溝が先端側外周面に形成され、該切屑排出溝の回転方向を向く面と先端面との交差部に主切刃が形成され、該主切刃からドリル本体の回転中心となる中心軸線側に向けてシンニング切刃が形成されたドリルであって、対向するシンニング切刃間に中心軸線を挟んで心厚が形成されており、ドリル本体の先端面における最大外径をDとして、心厚は最大外径Dの0.8〜3%の厚さを有すると共に、主切刃は正角のすくい角で形成され、シンニング切刃は、中心軸線と主切刃の延長上に形成された外周刃とを結ぶ仮想線に対して回転方向前方に突出する凸部を有すると共に、該凸部は心厚と主切刃より回転方向前方に突出しており、シンニング切刃は、切屑排出溝の回転方向前方を向く面にすくい角が正角とされたシンニングすくい面が形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、心厚をドリル本体の最大外径Dの0.8%〜3%に小さく設定したことで被削材への食い付きが良く穴加工時の振れ回りを防いで加工精度を向上できると共に、シンニング切刃に凸部を形成して剛性を高めたことで心厚の剛性も高めることができる。そのため、被削材の加工面が斜面等であっても刃先部の食い付きが良く高い穴加工精度と工具寿命を得られる。
なお、シンニング切刃の凸部はドリルの最大外径Dの2〜5%の範囲で回転方向に突出させることで、シンニング切刃と心厚の剛性を高めることができて心厚の厚みを小さくしても切削時の欠損が発生しなくなり、工具寿命を向上できる。
また、シンニング切刃は、シンニングすくい面のすくい角が5°〜20°とされていることが好ましい。
シンニング切刃に凸部を形成してもシンニングすくい面のすくい角を5°〜20°の正角に設定したため、高い切れ味と穴加工精度を得られる。
また、主切刃の回転方向に設けていて外周面から中心軸線を超える領域まで延びて心厚を形成するシンニング深さの凹部形状を備えたシンニング部を備えており、該シンニング部の凹部形状は断面略多角形状または略円弧状に形成されていてもよい。
切屑排出溝を含むシンニング部は中心軸線を超える領域まで延びて心厚を形成するシンニング深さを有するため、切屑排出性と刃先部の剛性を確保できる。
なお、シンニング切刃のすくい面を正面に見て、シンニング部に形成したシンニング面のシンニング通し角αを25°〜45°の範囲に設定したから、心厚とシンニング面の強度低下を抑制しつつシンニング切刃で生成した切屑の排出性を向上できる。
また、ドリル本体の先端面において、外周刃を設けた外周面に回転方向後方側に向けて突出形成した第一マージンと、第一マージンの回転方向後方側に間隔を開けて突出形成した第二マージンとを備えていることが好ましい。
ドリル本体の外径が2.5mm超〜6mmである場合、刃先部の外周面に第一マージンと第二マージンを間隔を開けて形成することで、第一マージンと第二マージンがドリルによる加工穴の加工面に当接して回転切削加工することで加工をガイドし、ドリルの振れ回りを抑制してリーマによる仕上げ加工と同等の高い加工穴精度を得られる。
更に、第二マージン25のすくい面のすくい角を負角の20°〜70°に設定することで、第二マージンの加工穴の加工面への食い付きを防止して加工面の粗さが悪化することを防止できる。
本発明によるドリルによれば、心厚を小さくしてシンニング切刃を工具回転方向に突出させたことで、切削加工時の振れ回りを抑制して高い加工精度を確保すると共に心厚の剛性が高く長寿命を得られる。
本発明の実施形態によるドリルの側面図である。 図1に示すドリルの先端の刃先部の拡大側面図である。 図2に示すドリルの刃先部の先端面図である。 図3に示すドリルのチゼル心厚部分の拡大図である。 図2に示すドリルを90度異なる角度から見た側面図である。 変形例によるドリルの刃先部を示す先端面図である。
図1に示すように、本実施形態によるドリル1は、例えば工具鋼や超硬合金等の硬質材料からなり、中心軸線Oを中心として回転可能で略円柱状に形成されたドリル本体2を備えている。ドリル本体2の後端側(図1における左側)の部分が工作機械の回転軸に把持されるシャンク部3とされる一方、先端側部分が被削材に加工を施す刃先部4とされている。
このドリル1は例えば精密機械部品や精密加工部品等に穴加工するのに適したものであり、被削材として例えば非鉄金属、一般鋼材、耐熱合金等を用いる。本実施形態によるドリル1において、刃先部4側を先端側、シャンク部3側を後端側というものとする。
ドリル1の刃先部4の外周側面には、先端側(図1及び図2における右側)から中心軸線O方向の後端側に向かうに従い一定のねじれ角でドリル回転方向T後方側に捩れる一対の切屑排出溝6が中心軸線Oに対して対称となる配置で螺旋状に形成されている。また、これら切屑排出溝6とドリル本体2の先端面2aとの交差部に主切刃7が対向して形成されている。
図2及び図3において、主切刃7における切屑排出溝6のドリル回転方向Tを向く壁面の先端領域がすくい面8とされている。図3に示すように、ドリル本体2の先端面2aには主切刃7の回転方向後方に逃げ面10が設けられている。シンニング切刃14のすくい角と逃げ角は適宜の正角に設定でき、すくい角は例えば5°〜20°程度に設定できるが、この範囲を外れてもよい。
図3に示す刃先部4の先端面2aにおいて、一対の主切刃7は先端面2a内とこれに直交する中心軸線Oの方向にそれぞれ180度対向する位置に配設された二枚刃を構成している。そのため、ドリル1はフラットドリルを構成する。本実施形態によるドリル1は例えば先が封止された止まり穴、座繰り穴の座やキャップボルトの頭部穴、浅いネジ穴等の加工や斜面への穴加工等に好適に用いられる。
また、ドリル本体2の先端面2aには主切刃7の回転方向後方に逃げ面10が中心軸線Oを中心とした回転対称に配置されている。逃げ面10は主切刃7の回転方向後方側に正の逃げ角を有する二番逃げ面10aが設けられ、その後方に更に逃げ角を大きくした三番逃げ面10bが形成されている。一対の主切刃7の外周側端部には切屑排出溝6に沿って外周刃11がそれぞれ設けられている。
また、一方の主切刃7とその回転方向に形成された他方の主切刃7の逃げ面10との間に、外周面を凹部状に切除して切屑排出溝6を含むシンニング溝がシンニング部12として形成されている。
図3及び図4に示すドリル本体2の先端面2aにおいて、一対の主切刃7の中心軸線O側にはシンニング切刃14がそれぞれ形成されている。これらのシンニング切刃14は主切刃7との接続部から主切刃7の回転方向前方に突出する凸部14aを形成し、他端部14bは中心軸線Oの近傍を超えて反対側のシンニング切刃14の他端部14bに平行に重なる位置まで互いに延びている。本実施形態では、主切刃7とシンニング切刃14からなる切刃は中心軸線Oを中心に180度回転対称に形成されている。
図4の拡大図に示すように各シンニング切刃14の他端部14b同士は中心軸線Oを挟む両側の領域で所定の微小間隔の厚さで重なっており、この他端部14b間の厚み部分がチゼル心厚15とされている。中心軸線Oを通過してチゼル心厚15を斜めに交差する二番逃げ面10a同士の交差稜線はチゼル刃17とされている。チゼル刃17はドリル本体2の周速の最も小さい中心軸線Oを含む切刃であり被削材を低速で切削加工できる。
ここで、図3に示す刃先部4の先端面2aにおいて、180度対向して配設された一対の外周刃11間の距離を刃先部4の最大外径Dとする。ドリル1の外径Dはφ6mm以下、例えばφ0.5mm〜φ6mmの範囲に設定されている。実施形態によるドリル1は例えばφ3mm程度に設定されている。
そして、中心軸線Oを通過して外周刃11同士を結ぶ仮想線である中心線Lに対して、シンニング切刃14の凸部14aをその回転方向に多角形状または円弧状または凸曲線状に突出させている。この凸部14aの中心線Lに対する最大突出量Pを外径Dの2%〜5%の範囲に設定した。凸部14aによってシンニング切刃14とチゼル心厚15の剛性を高めることができてチゼル心厚15の厚みtを小さくしても切削時の欠損が発生しなくなり、ドリル1の寿命を向上できる。一方、突出量Pが2%に満たないとシンニング切刃14の剛性向上とチゼル心厚15の欠損抑制に効果がなく、5%を超えると切屑排出溝6を狭めてシンニング切刃14で生成する切屑の排出性を低下させる。
しかも、チゼル心厚15の厚みtを刃先部4の外径Dの0.8%〜3.0%の範囲に設定した。この範囲であれば回転加工時の中心軸線O付近での切削抵抗を低減して振れ回りを抑えて高精度な穴加工を行えると共にシンニング切刃14の凸部14aとの関係でチゼル心厚15の欠損を抑制できる。一方、0.8%より小さいと切削時にチゼル心厚15が容易に欠損し易く、3.0%を超えると切削時にぶれを生じ易く穴の加工精度を向上できない。
そして、シンニング切刃14に凸部14aを形成したことで、図5に示すように、切屑排出溝6に形成したシンニング切刃14のすくい面16のすくい角θを正角の5°〜20°の範囲に設定できる。これによって、主切刃7と同等なすくい角に近づけることができて刃先部4の切れ味を高めることができる。シンニング切刃14のすくい角θが5°より小さいと刃先強度は高いが切れ味が低下し、20°を超えると切れ味は高くなるが刃先が欠損し易くなる。
穴加工時にシンニング切刃14で生成される切屑をスムーズに排出するために、切屑排出溝6を含む凹部形状のシンニング部12は、刃先部4の外周面から切屑排出溝6を含んで中心軸線O方向に延びて中心軸線Oを超える程度に凹部を形成して、一対のシンニング部12の先端凹部によって所定幅tのチゼル心厚15を形成するようにシンニング深さを形成している。図3、図4に示す例では、シンニング部12の先端凹部の形状は例えば多角形形状に形成されている。
しかも、図2に示すようにシンニング切刃14のすくい面16を正面に見て、シンニング部12においてシンニング切刃14で生成された切屑を排出するためのシンニング面20の中心軸線Oに対する角度であるシンニング通し角αを25°〜45°の範囲に設定した。これによって、シンニング面20の強度低下を抑制しつつシンニング切刃14による切屑の排出性を向上できる。また、シンニング切刃14で生成した切屑を基端側に排出できる。
また、シンニング部12のシンニング深さが大きいとチゼル心厚15の幅tが小さくなって剛性が低下し欠損し易いが、上述したシンニング切刃14の凸部14aと共に、シンニング面20のシンニング通し角αを上述した25°〜45°の範囲に設定したことで剛性を補い、切屑排出性と剛性を確保することができる。即ち、シンニング通し角αが25°〜45°の範囲であればシンニング面20の強度は比較的小さくなるが必要な強度を確保できる上にシンニング切刃14による切屑排出性が良好である。
一方、シンニング通し角αが25°より小さいと切屑排出性は一層高くなるが、シンニング面20の強度が低下する欠点が生じる。シンニング通し角αが45°より大きいとシンニング面20の強度は大きくなるがシンニング切刃14による切屑の排出性が低下する。
また、図3に示す刃先部4の先端面2aにおいて、外周刃11の回転方向後方側の外周面にはドリル1による穴の加工面(内壁面)に沿って第一マージン22が形成されている。第一マージン22の回転方向後方側には段差23による縮径された外周面24が形成され、更にその後方には第二マージン25が穴の加工面に沿って突出して形成されている。第一マージン22に交差する先端面2aには主切刃7の二番逃げ面10aが形成され、その後方側には外周面24を介した第二マージン25にかけて三番逃げ面10bが形成されている。
第一マージン22は、図3に示すドリル1の平面視で中心軸線Oを中心とする小幅な円筒面からなるランド部22aと第一マージン22の後方に形成された正の逃げ角を設定した逃げ面22bとが形成されている。ランド部22aは外径Dの0.3%〜3%の範囲の幅を有しており、逃げ角は形成されていない。ランド部22aは穴の加工面に当接して穴加工をガイドするが、逃げ面22bは加工面に当接しない。
そのため、穴加工時に第一マージン22は加工穴の加工面への食い付きと圧縮応力とびびり振動を抑えてランド部22aは加工面に当接して均すことができる。
第一マージン22の逃げ面22bの回転方向後方には外周面24を介して第二マージン25が突出して形成されている。第一マージン22と第二マージン25は周方向に角度γが70°〜90°の間隔を開けている。第二マージン25は逃げ角0°の略円筒面形状を有していて穴の加工面に当接している。
第二マージン25はドリル1の外径Dの2%〜8%の範囲の幅に設定することが好ましい。この範囲であれば、ドリル1において第一マージン22の後方に第二マージン25を設置することで穴加工中のドリル1の振れ回り(びびり振動)を抑えてドリル1の直線的な降下をガイドすることができる。
第二マージン25の幅が外径Dの2%に満たないとドリル1のガイド性が弱く、工具の振れ回りを抑制できずに穴径を広げてしまう欠点があり、8%を超えると被削材の加工穴の加工面に接触する面積が多くなり、切削抵抗が増えることによって摩擦熱が上がり、第二マージン25の外面に被削材や切屑が溶着することによって穴径を拡大させたり、加工面を著しく粗すという欠点が生じる。
また、第二マージン25はドリル1のガイド作用のために加工面を切削させないようにすくい角に設定する必要がある。例えば、第二マージン25の回転方向を向くすくい面25aのすくい角が正角から負角の20°未満の範囲の場合には、加工面に対する食い付きが発生し易く加工穴の拡大や加工面を著しく粗すという欠点がある。そのため、すくい面25aのすくい角を負角の20°〜70°の範囲に設定して加工面を削らない角度に設定することが好ましい。
また、第二マージン25は、ドリル1の外径Dが2.5mm以下の場合には工具径が細いために工具剛性が小さく工具の撓みが発生して加工穴の穴径が大きくなったり工具が折損し易くなる。そのため、切削条件の回転数を下げて工具の振れ回りを抑え、更に1回転あたりの送り速度を小さく設定する必要があるため加工能率が低下する。
これらの負の現象を解決する手段として、刃先部4の外周面に第一マージン22のみを形成して第二マージン25を設置しないようにすることが好ましい。しかも、ドリル1の工具径が2.5mm以下と小さいため、第二マージン25を形成することが技術的に困難であり、また第二マージン25を形成しても切削抵抗になってしまい、折損の原因になる。この場合には第一マージン22のみを刃先部4の外周面に形成することで小径工具であっても加工能率を下げないで穴加工できる。
なお、ドリル1の外径Dがφ2.5mm超である場合には、第一マージン22に第二マージン25を上述した条件で設置することが好ましい。この場合、ドリル1による被削材の穴加工において第一マージン22及び第二マージン25が加工面に当接してガイドすることでリーマ加工とほぼ同程度の穴径精度が得られる。そのため、穴径精度は例えばはめあい公差でH5〜H6を実現できる。
なお、本実施形態によるドリル1の刃先部4に例えばTiAlN等の多層構造の硬質皮膜をコーティングしてもよい。この場合、ドリル1の、刃先部4の先端から工具径D以下の長さまでコーティングを施し、それ以降の切屑排出溝6の部分にはコーティングを施さないことが好ましい。
ドリル1の特性として、主に工具先端部が主切刃7となっているため、その部分のみに有効なコーティング膜の硬さ、耐摩耗性、耐熱性を必要としているが、それ以降の切屑排出溝6の部分にコーティングが施されていると、コーティング表面の凹凸(ドロップレット)が切屑を排出する際の抵抗となり切屑を排出しずらい欠点を生じる。そのため、上述したようにドリル1の先端からドリル1の外径D以下の長さまでコーティングすることによって、それ以降の切屑排出溝6にドロップレットの凹凸がないことで切屑の滑りが良く切屑排出溝6からスムーズに切屑が排出される。
なお、本実施形態によるドリル1は切屑排出溝6の長さに応じて刃先部4の最大外径Dの2倍程度までノンステップで穴加工が行える。
上述したように、本実施形態によるドリル1によれば、刃先部4の先端切刃を主切刃7とその中心軸線O側に接続して形成したシンニング切刃14とを180度対向して形成し、しかも主切刃7をフラット形状に形成し、チゼル心厚15を外径Dの0.8%〜3%の小幅tに形成したから、被削材の加工面が斜面であっても主切刃7の食い付きが良く高い穴精度と加工面粗さを得られる。
また、シンニング切刃14の凸部14aを外周刃11と中心軸線Oを通る中心線Lに対して回転方向にドリル1の外径Dの2%〜5%の範囲に亘って突出させてシンニング切刃14の剛性を高めることができる。しかも、チゼル心厚15を外径Dの0.8%〜3%に小さく設定してもシンニング切刃14の凸部14aによって剛性を高めることができるため欠損を生じ難い。
また、シンニング切刃14に凸部14aを形成して剛性を高めたことでそのすくい面16のすくい角を5°〜20°の範囲の正角に設定できるため、シンニング切刃14の切れ味を高めることができる。
また、一対のシンニング部12として、切屑排出溝6を含んで中心軸線Oを超える領域まで互いに喰い込むように凹部を形成して小幅tのチゼル心厚15を形成し、しかもシンニング切刃14のすくい面16を正面に見て、シンニング部12においてシンニング面20のシンニング通し角αを25°〜45°の範囲に設定したから、チゼル心厚15とシンニング面20の強度低下を抑制しつつシンニング切刃14で生成した切屑の排出性を向上できる。
また、ドリル1の外径Dが2.5mm超の場合、刃先部4の外周刃11の外周面に第一マージン22と第二マージン25を70°〜90度離れて形成し、第一マージン22のランド部22aと第二マージン25がドリル1による加工穴の加工面に当接して回転切削加工することで加工をガイドし、ドリル1の振れ回りを抑制してリーマによる仕上げ加工と同等の高い加工穴精度を得られる。
更に、第二マージン25のすくい面25aのすくい角を負角の20°〜70°に設定することで、穴加工時における第二マージン25の加工面への食い付きを防止して加工面の粗さを悪化することを防止できる。
また、ドリル1の外径Dが2.5mm以下の場合には、第二マージン25を設けず第一マージン22によって小径の穴加工をガイドすることで、第二マージン25の切削抵抗による折損を防止できる。しかも、小径のドリル1であっても、加工能率を下げないで穴加工を行える。
以上、本発明の実施形態によるドリル1について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の異なる形態や態様を採用できることはいうまでもない。これらはいずれも本発明の範囲に含まれる。
次に本発明の変形例について説明するが、上述した実施形態の部分や部品と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を行うものとする。
図6は本実施形態の変形例によるドリル1Aを示すものであり、本変形例によるドリル1Aは実施形態によるドリル1との相違点として、一対の主切刃7及びシンニング切刃14の回転方向前方に形成した凹部形状のシンニング部30が、180度対向する位置に一対形成されている。この一対のシンニング部30は、上述した実施形態によるシンニング部12と同様に、刃先部4の外周面の対向する位置から中心軸線Oに向けて形成され、中心軸線Oを超える領域まで互いに喰い込むようにシンニング深さを形成して所定幅tのチゼル心厚15を形成している。しかも、本変形例では、シンニング部30はそれぞれ先端部が略円弧状に湾曲して形成されている。
これによって、シンニング切刃14で生成した切屑をすくい面16からシンニング部30を通して後端側に排出できるようにした。しかも、シンニング切刃14のすくい面16を正面に見て、シンニング部12においてシンニング切刃14で生成された切屑を排出するためのシンニング面20のシンニング通し角αを25°〜45°の範囲に設定したから、シンニング面20の強度低下を抑制しつつシンニング切刃14による切屑の排出性を向上できる。
また、上述した実施形態によるドリル1では、刃先部4の先端面2aに形成した主切刃7及びシンニング切刃14をフラット形状に形成したが、本発明によるドリルは必ずしもフラット形状に形成する必要はなく、先端角を先細の凸部形状や扇形形状にしてもよい。
また、上述した実施形態や変形例では、ドリル1を一対の主切刃7とシンニング切刃14とを備えた二枚刃で形成したが、三枚刃や四枚刃で構成してもよい。また、上述した実施形態ではドリル1の主切刃7とシンニング切刃14を等刃に設定したが不等刃でもよい。
1 ドリル
2 ドリル本体
2a 先端面
4 刃先部
6 切屑排出溝
7 主切刃
8、16 すくい面
10 逃げ面
11 外周刃
12、30 シンニング部
14 シンニング切刃
14a 凸部
15 チゼル心厚
20 シンニング面
22 第一マージン
22a ランド部
25 第二マージン
25a すくい面

Claims (4)

  1. ドリル本体の先端面から後端側に延びる切屑排出溝が先端側外周面に形成され、該切屑排出溝の回転方向を向く面と前記先端面との交差部に主切刃が形成され、該主切刃から前記ドリル本体の中心軸線側に向けてシンニング切刃が形成されたドリルであって、
    対向する前記シンニング切刃間に前記中心軸線を挟んで心厚が形成されており、
    前記ドリル本体の先端側における最大外径をDとして、前記心厚は最大外径Dの0.8〜3%の厚さを有すると共に、
    前記主切刃は正角のすくい角で形成され、
    前記シンニング切刃は、前記中心軸線と前記主切刃の延長上に形成された外周刃とを結ぶ仮想線に対して回転方向前方に突出する凸部を有すると共に、該凸部は前記心厚と主切刃より回転方向前方に突出しており、
    前記シンニング切刃は、前記切屑排出溝の回転方向前方を向く面にすくい角が正角とされたシンニングすくい面が形成されたことを特徴とするドリル。
  2. 前記シンニング切刃は、前記シンニングすくい面のすくい角が5°〜20°とされている請求項1に記載されたドリル。
  3. 前記主切刃の回転方向に設けていて前記先端側外周面から中心軸線を超える領域まで延びて前記心厚を形成する凹部形状をなすシンニング部を備えており、該シンニング部の先端の凹部形状は断面略多角形状または略円弧状に形成されている請求項1または2に記載されたドリル。
  4. 前記ドリル本体の先端面において、前記外周刃を設けた外周面に回転方向後方側に向けて突出形成した第一マージンと、前記第一マージンの回転方向後方側に間隔を開けて突出形成した第二マージンとを備えている請求項1から3のいずれか1項に記載されたドリル。
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