JP2016064477A - ドリル - Google Patents

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宗平 高橋
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Abstract

【課題】副切屑排出溝の切屑排出性を向上でき、加工精度を高品位に安定して維持することができ、かつ、外周刃の再研磨代を十分に確保できること。【解決手段】軸線O回りに回転させられるドリル本体1と、ドリル本体1の外周に、周方向に互いに間隔をあけて複数形成される主切屑排出溝2と、主切屑排出溝2に沿う外周刃4と、ドリル本体1の外周における主切屑排出溝2のドリル回転方向とは反対側に配置される副切屑排出溝3と、副切屑排出溝3に沿う外周仕上げ刃5と、を備え、副切屑排出溝3のねじれ角が、該副切屑排出溝3の全長のうち少なくとも一部以上において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされているとともに、副切屑排出溝3が、該副切屑排出溝3のドリル回転方向とは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がっている。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばCFRP(炭素繊維強化樹脂)や、該CFRPにチタンやアルミニウム等の金属板が積層されてなる複合材料等の被削材に、穴あけ加工を行うドリルに関するものである。
従来、例えば下記特許文献1に示されるようなドリルが知られている。特許文献1のツイストドリルは、ドリル本体の外周に、フルート溝(主切屑排出溝)が一対形成され、フルート溝に対して周方向に離間して副溝(副切屑排出溝)が一対形成されている。副溝は、フルート溝よりも小さいねじれ角又は軸方向傾斜角とされており、これにより副溝の基端部は、該副溝のドリル回転方向に隣り合うフルート溝に繋がっている。
このような副溝を有するドリルでは、該副溝の先端に形成される副切刃(先端仕上げ刃)、及びこの副溝とドリル本体の外周面との交差稜線部に形成される外周仕上げ刃の仕上げ作用により、副溝を有していない通常のドリルに比べて、精度よく穴あけ加工を行うことができる。
この種のドリルは、例えば航空機部品等に用いられるCFRP(炭素繊維強化樹脂)や、該CFRPにチタンやアルミニウム等の金属板が積層されてなる複合材料等の被削材に対して穴あけ加工を行う場合に用いられる。
特許第4020507号公報
しかしながら、上記従来のドリルでは、下記の課題を有していた。
すなわち上記ドリルは、副溝のねじれ角がフルート溝のねじれ角よりも小さくされているため、該副溝内を流れる切屑が滞留しやすくなるとともに、切屑詰まりが生じやすい。このような切屑詰まりが生じると、穴あけ加工の精度を安定して維持することができない。
また副溝が、そのドリル回転方向に隣り合うフルート溝に繋がっているため、該フルート溝とドリル本体の外周面との交差稜線部に形成される外周刃の一部が、この副溝によって分断されることとなり、外周刃の切削精度が低下する。また外周刃が分断されているため、該外周刃の再研磨代が小さくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、副切屑排出溝の切屑排出性を向上でき、加工精度を高品位に安定して維持することができ、かつ、外周刃の再研磨代を十分に確保できるドリルを提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明のドリルは、軸線回りに回転させられるドリル本体と、前記ドリル本体の外周に、周方向に互いに間隔をあけて複数形成され、前記軸線方向に沿う基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向とは反対側へ向けて延びる主切屑排出溝と、前記ドリル本体の外周における前記主切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に配置され、前記軸線方向に沿う基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向とは反対側へ向けて延びる副切屑排出溝と、前記主切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の外周面との交差稜線部に形成された外周刃と、前記副切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の外周面との交差稜線部に形成された外周仕上げ刃と、を備え、前記副切屑排出溝のねじれ角が、該副切屑排出溝の全長のうち少なくとも一部以上において前記主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされているとともに、前記副切屑排出溝が、該副切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記主切屑排出溝に繋がっていることを特徴とする。
本発明のドリルでは、ドリル本体の外周に、該ドリル本体の軸線方向の基端側へ向かうに従いドリル回転方向とは反対側(反ドリル回転方向)へ向けてねじれる複数の主切屑排出溝が形成されている。また、ドリル本体の外周には、主切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に配置されて、周方向に隣り合う主切屑排出溝同士の間に位置するとともに、ドリル本体の軸線方向の基端側へ向かうに従いドリル回転方向とは反対側へ向けてねじれる副切屑排出溝が形成されている。
そして、副切屑排出溝のねじれ角が、該副切屑排出溝の全長のうち少なくとも一部以上で主切屑排出溝のねじれ角よりも大きく設定されていて、この副切屑排出溝が、該副切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に隣り合う主切屑排出溝に繋がっているので、下記の作用効果を奏する。
尚、本明細書でいう「ねじれ角」(軸方向傾斜角)とは、ドリル側面視において、切屑排出溝(主切屑排出溝、副切屑排出溝)及び該切屑排出溝に沿ってドリル外周に形成された切れ刃(外周刃、外周仕上げ刃)と、ドリル軸線と、の間に形成される交差角(鋭角及び鈍角)のうち、小さい方の角度(鋭角の角度であり、90°を含む)を指す。
すなわち本発明のドリルによれば、副切屑排出溝のねじれ角が、主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされているので、該副切屑排出溝内の切屑が、ドリルの回転に応じてドリル回転方向とは反対側へ向けてスムーズに流れやすくなっており、これにより副切屑排出溝内に切屑が滞留するようなことが抑制されて、切屑詰まりが防止される。そして、この副切屑排出溝は、ドリル回転方向とは反対側に隣り合う主切屑排出溝に繋がっているため、切屑が副切屑排出溝から主切屑排出溝内へとスムーズに流入して、切屑詰まりを防止する効果が安定して維持される。
またこのように、副切屑排出溝が、ドリル回転方向とは反対側に隣り合う主切屑排出溝に連なっている(接続されている)ため、該副切屑排出溝のねじれ角を、主切屑排出溝のねじれ角よりも大きく設定することが容易であるとともに、種々のドリル性能への要望に対応可能である。
具体的には、例えば、副切屑排出溝のねじれ角が、溝の全長のうち一部において主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされている構成(溝の一部のみが強ねじれ部になっている構成)を採用したり、副切屑排出溝のねじれ角が、先端から基端側へ向けて漸次大きく又は小さくなるとともに、該ねじれ角が溝の全長にわたって又は一部以上において、主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされている構成を採用したり、副切屑排出溝のねじれ角が、溝の全長にわたって一定の角度で、主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされている構成を採用したりすることができる。
そして、副切屑排出溝のねじれ角が大きくされていることにより、該副切屑排出溝に沿って延びる外周仕上げ刃の軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)を、所期する正角(ポジティブ角)に設定することが容易であり、該外周仕上げ刃の切れ味を高めることができる。
特に、例えば、副切屑排出溝のねじれ角を、少なくともその先端部において主切屑排出溝のねじれ角よりも大きく設定した場合(つまり副切屑排出溝の先端部に強ねじれ部を設けた場合)には、この先端部に位置する外周仕上げ刃の軸方向すくい角を確実に正角に設定できて、外周仕上げ刃の切れ味を顕著に高めることができる。
また、外周仕上げ刃の切れ味を高めることができるので、例えば航空機部品等に用いられるCFRP(炭素繊維強化樹脂)や、該CFRPにチタンやアルミニウム等の金属板が積層されてなる複合材料等の被削材に対して穴あけ加工を行う場合であっても、被削材の金属板の内周に溶着が生じることを抑制でき、また炭素繊維層が層間剥離するデラミネーションや炭素繊維が切断されずにバリとなって残るアンカットファイバーが生じることも抑制できて、加工精度を安定して高めることができる。
さらに、副切屑排出溝のねじれ角を大きく設定したため、該副切屑排出溝に沿う外周仕上げ刃の刃長を長く確保することが容易に可能となり、この場合、外周仕上げ刃の再研磨代を十分に確保することができる。
特に、例えば、副切屑排出溝のねじれ角を、その先端部以外の部位において主切屑排出溝のねじれ角よりも大きく設定した場合(つまり副切屑排出溝の先端部以外の部位に強ねじれ部を設けた場合)には、副切屑排出溝の先端部のねじれ角を、主切屑排出溝のねじれ角に近い値に設定することが可能になり、副切屑排出溝の先端部が主切屑排出溝に対して略平行に延びることとなって、該先端部に位置する外周仕上げ刃の再研磨代を確実に大きく確保することができて、工具寿命が顕著に延長する。
また、副切屑排出溝が、そのドリル回転方向とは反対側に隣り合う主切屑排出溝に繋がっている(つまり副切屑排出溝が、ヒール部を介して主切屑排出溝に繋がっている)ため、この副切屑排出溝が、主切屑排出溝に沿う外周刃を分断してしまうことがない。従って、副切屑排出溝を主切屑排出溝に接続することで切屑排出性を十分に確保しつつも、外周刃の切削精度は確保される。またこれにより、外周刃の再研磨代が前記分断された箇所によって制限されることがなくなる。
以上より、本発明のドリルによれば、副切屑排出溝の切屑排出性を向上でき、加工精度を高品位に安定して維持することができ、かつ、外周刃の再研磨代を十分に確保できる。
また、本発明のドリルにおいて、前記副切屑排出溝の全長が、前記主切屑排出溝の全長よりも短くされていることが好ましい。
この場合、副切屑排出溝の全長が短くされているので、該副切屑排出溝を流れる切屑の移動距離を短くすることができ、副切屑排出溝内における切屑詰まりを、より確実に防止することが可能になる。
また、本発明のドリルにおいて、前記副切屑排出溝のねじれ角は、その先端部以外の部位のうち一部以上において前記主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされていることとしてもよい。
この場合、副切屑排出溝の先端部におけるねじれ角を、主切屑排出溝のねじれ角と同等に設定することができる。従って、外周仕上げ刃の再研磨代を確実に大きく確保することができて、工具寿命を延長する効果がより格別なものとなる。またこの構成によれば、主切屑排出溝に沿う外周刃と、副切屑排出溝に沿う外周仕上げ刃と、の周方向に沿う距離が再研磨の前後で変化しないことから、再研磨によってドリル性能に変化が生じるようなことが抑制されて、切削精度を安定して高めることが可能になる。
また、本発明のドリルにおいて、前記副切屑排出溝のねじれ角は、少なくともその先端部において前記主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされていることとしてもよい。
この場合、副切屑排出溝のうち少なくとも先端部に強ねじれ部が設けられるので、この先端部に位置する外周仕上げ刃の軸方向すくい角を確実に正角に設定できて、外周仕上げ刃の切れ味を顕著に高めることができる。
また、本発明のドリルにおいて、前記外周仕上げ刃の前記軸線回りの回転軌跡に対して、前記ドリル本体の外周面のうち、前記外周仕上げ刃と該外周仕上げ刃のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記主切屑排出溝との間に位置する部分が、径方向内側に後退して配置されることが好ましい。
この場合、ドリル本体の外周面のうち、外周仕上げ刃のドリル回転方向とは反対側に隣り合う部分が、該外周仕上げ刃の回転軌跡よりも径方向内側に後退して配置された二番取り面とされている。このような二番取り面が形成されることで、被削材の加工穴の内周面に対するドリル本体の外周面の摩擦抵抗が低減される。これにより、加工穴の内周面の溶着等が確実に防止されて、穴加工精度が向上する。
また、本発明のドリルにおいて、前記外周仕上げ刃の前記軸線回りの回転軌跡の直径と、前記外周刃の前記回転軌跡の直径との差が、0.3mm以下であることが好ましい。
この場合、外周仕上げ刃の回転軌跡の直径と、外周刃の回転軌跡の直径との差が、0.3mm以下であるので、外周刃の切削後に被削材に切り込む外周仕上げ刃による切削加工代(切削量)を小さく抑えることができ、これにより副切屑排出溝を流れる切屑の排出量を抑制して、切屑詰まりを確実に防止することができる。また、外周仕上げ刃による切削加工代を小さく抑えることができるので、これに伴って副切屑排出溝の溝深さを浅くすることが可能になり、ドリル本体の剛性を向上できる。
また、本発明のドリルにおいて、前記副切屑排出溝におけるドリル回転方向を向く壁面と、前記ドリル本体の先端面との交差稜線部に形成された先端仕上げ刃に、軸方向すくい角が0°又は負角となる刃先処理が施されていることが好ましい。
この場合、先端仕上げ刃に、軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)が0°又は負角(ネガティブ角)となるホーニングやギャッシュ等の刃先処理が施されることから、この先端仕上げ刃及び該先端仕上げ刃の径方向外側の端縁に連なる外周仕上げ刃(リーディングエッジ)によって、リーマのようなバニッシュ効果を得ることが可能になる。従って、被削材の加工穴の内周面を、より高精度に仕上げることができる。
また、本発明のドリルにおいて、前記副切屑排出溝は、該副切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記主切屑排出溝に繋がるスリット溝を有することとしてもよい。
この場合、副切屑排出溝において少なくともスリット溝が強ねじれ部となり、該スリット溝を通して、副切屑排出溝から主切屑排出溝内へと切屑を流入させることができる。これにより、例えば副切屑排出溝のスリット溝以外の部位を主切屑排出溝と略平行に形成することが可能になるなど、種々のドリル性能への要望に対応することができる。
尚、スリット溝を軸線方向に間隔をあけて複数形成することも可能であり、この場合、副切屑排出溝の切屑排出性をさらに高めることができる。
また、本発明のドリルにおいて、前記ドリル本体の外周における周方向に隣り合う前記主切屑排出溝同士の間に、前記副切屑排出溝が、互いに周方向に間隔をあけて複数形成されていることとしてもよい。
この場合、ドリル本体の外周において周方向(ドリル軸線回り)に隣り合う主切屑排出溝同士の間に、周方向に間隔をあけて複数の副切屑排出溝が配列しているので、これら副切屑排出溝の各外周仕上げ刃の軸線回りの回転軌跡の直径を、ドリル回転方向とは反対側に向かうに従い段階的に徐々に大きくなるように設定することができる。つまり、ドリル本体の外周仕上げ刃による総切削加工代を、複数の外周仕上げ刃に分散することによって、それぞれの外周仕上げ刃による切削加工代を小さく抑えることができる。従って、各副切屑排出溝内の切屑詰まりを確実に防止しつつ、高精度な穴あけ加工を行うことが可能である。
本発明のドリルによれば、副切屑排出溝の切屑排出性を向上でき、加工精度を高品位に安定して維持することができ、かつ、外周刃の再研磨代を十分に確保できる。
本発明の一実施形態に係るドリルの要部を示す側面図である。 ドリルの先端面を正面に見た正面図である。 ドリルの先端部を拡大して示す側面図である。 ドリルの横断面図である。 ドリルの先端仕上げ刃の刃先処理の一例(ホーニング処理)を示す側面図である。 ドリルの先端仕上げ刃の刃先処理の一例(ホーニング処理)を示す側面図である。 図6のドリルの先端面を正面に見た正面図である。 図6のA部を拡大して示す図である。 ドリルの先端仕上げ刃の刃先処理の一例(ギャッシュ処理)を示す側面図である。 ドリルの先端仕上げ刃の刃先処理の一例(ギャッシュ処理)を示す側面図である。 図10のドリルの先端面を正面に見た正面図である。 図10のB部を拡大して示す図である。 本発明の一実施形態に係るドリルの変形例を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係るドリルの変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係るドリルの変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係るドリルの変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係るドリルの変形例を示す側面図である。 図17のドリルの先端部を拡大して示す側面図である。 図18のドリルの先端部を、周方向の異なる向きから見た側面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るドリル10について、図面を参照して説明する。
図1〜図4に示されるように、本実施形態のドリル10は、軸線Oを中心とした概略円柱状をなし、超硬合金等の硬質材料により形成されたドリル本体1を有している。ドリル本体1は、その基端部を含む軸線O方向の基端側部分が円柱状のままのシャンク部とされるとともに、先端部を含む軸線O方向の先端側部分が切れ刃を有する刃部とされる。
ドリル10は、ドリル本体1の基端部(シャンク部)が工作機械の主軸や、ボール盤・電動ドリルの三爪チャック等に着脱可能に装着され、軸線O回りに沿うドリル回転方向Tに回転させられつつ、軸線O方向に沿う先端側(図1における右側)へ送り出されて、刃部により被削材に切り込んで穴あけ加工を行う。尚、この被削材としては、例えば、航空機部品等に用いられるCFRP(炭素繊維強化樹脂)や、該CFRPにチタンやアルミニウム等の金属板が積層されてなる複合材料等が挙げられる。
ここで本明細書では、ドリル本体1の軸線O方向に沿う刃部側(図1における右側)を先端側といい、刃部とは反対側の、工作機械の主軸等に把持されるシャンク部側(図1における左側)を基端側という。また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。尚、前記周方向のうち、切削加工時にドリル10が回転させられる方向をドリル回転方向Tといい、これとは反対側へ向かう方向を、ドリル回転方向Tとは反対側(反ドリル回転方向)という。
ドリル本体1の外周には、周方向に互いに間隔をあけて複数形成され、軸線O方向に沿う基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けて延びる主切屑排出溝2と、ドリル本体1の外周における主切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側に配置され、軸線O方向に沿う基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けて延びる副切屑排出溝3と、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aとドリル本体1の外周面との交差稜線部に形成された外周刃4と、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く壁面3aとドリル本体1の外周面との交差稜線部に形成された外周仕上げ刃(外周さらい刃)5と、が備えられる。尚、外周刃4及び外周仕上げ刃5は、それぞれの軸線O方向の先端部がリーディングエッジとされている。またドリル本体1の外径は、軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い漸次僅かに小さくされていて、バックテーパが与えられている。
また、ドリル本体1の先端部には、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aとドリル本体1の先端面6との交差稜線部に形成された先端刃7と、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く壁面3aとドリル本体1の先端面6との交差稜線部に形成された先端仕上げ刃(先端さらい刃)8と、が備えられる。
具体的に、ドリル本体1の外周には、複数の主切屑排出溝2が周方向に互いに間隔をあけて形成されており、これら主切屑排出溝2が軸線Oに関して回転対称位置となるように、ドリル本体1の基端側に向かうに従いドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びている。本実施形態のドリル10は、ドリル本体1に一対の主切屑排出溝2が軸線Oに関して180°回転対称に配置された、ツイストドリルとなっている。
図1において、主切屑排出溝2は、ドリル本体1の先端面6に開口して基端側へ向けて延びているとともに、ドリル本体1の軸線O方向に沿う例えば中央部付近(刃部のうちシャンク部に隣り合う基端部)において、径方向外側へ向けて外周面に切れ上がっている。そして、ドリル本体1において、主切屑排出溝2が形成された範囲が刃部とされ、この範囲よりも基端側がシャンク部とされている。
図4に示される横断面視(軸線Oに垂直な断面視)において、主切屑排出溝2の溝底は、径方向内側へ向けて凹となる(窪む)凹曲線状をなしている。また主切屑排出溝2は、その周方向に沿う中央部において、溝深さが最も深くされている。
図1〜図3において、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aの先端部と、ドリル本体1の先端面6のうち、前記壁面2aの先端部からドリル回転方向Tとは反対側に連なる部分(第1逃げ面6a)との交差稜線部には、壁面2aをすくい面とし、先端面6を逃げ面とする先端刃7が形成されている。
先端面(先端逃げ面)6は、先端刃7からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い基端側へ向かうように傾斜しており、これにより先端刃7には逃げ角が与えられている。また先端面6は、径方向外側に向かうに従い基端側へ向かうように傾斜しており、これにより先端刃7には先端角が与えられている。
図2及び図3に示されるように、先端面6には、先端刃7のドリル回転方向Tとは反対側に連なる第1逃げ面6aと、該第1逃げ面6aのドリル回転方向Tとは反対側に連なり、この第1逃げ面6aよりも大きな逃げ角が与えられた第2逃げ面6bと、が形成されている。
また第2逃げ面6bには、軸線Oに垂直な横断面の形状が三角形状又は円形状をなすクーラント孔14がそれぞれ開口しており、該クーラント孔14は、ドリル本体1内を主切屑排出溝2に沿うように(主切屑排出溝2と略等しいリードで)ねじれて延びているとともに、ドリル本体1を軸線O方向に貫通している。クーラント孔14内には、工作機械の主軸等から供給されるクーラント(油性又は水溶性の切削剤)が流通し、このクーラントは、ドリル本体1の先端部及び被削材の加工部位に流出させられる。
また、図3において、ドリル本体1の先端部のうち、主切屑排出溝2の先端部におけるドリル回転方向Tとは反対側を向く壁面2bから溝底(主切屑排出溝2のうち最も径方向内側に位置する壁面部分)にかけての領域と、先端面6の第2逃げ面6bとの間に位置する部分には、シンニング部9が形成されている。
シンニング部9は、ドリル回転方向Tを向くとともに、先端刃7の後述するシンニング刃7bに連なるシンニング壁面(シンニングすくい面)9aと、該シンニング壁面9aのドリル回転方向Tに位置して先端側(ドリル先端側)及びドリル回転方向Tとは反対側を向く傾斜面状をなすとともに、先端面6の第2逃げ面6bに連なるシンニング面(第3逃げ面)9bと、を備えている。図示の例では、シンニング面9bは、ドリル本体1のヒール部13に達するように延びている。
また、図2及び図3に示されるように、先端刃7は、主切れ刃7aと、シンニング刃7bと、を有している。
主切れ刃7aは、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aと、先端面6の第1逃げ面6aとの交差稜線部に形成されている。主切れ刃7aは、先端刃7の刃長(全長)のうち、径方向内側の端部以外の部位に形成されている。
図2に示されるドリル正面視において(ドリル10を先端から基端側へ向けて見て)、主切れ刃7aは、先端刃7の径方向外側の端縁から径方向内側に向けて延びており、図示の例では、主切れ刃7aのうち径方向内側の端部(シンニング刃7bに繋がる部分)が凸曲線状とされ、該端部以外の部位は直線状をなしている。
シンニング刃7bは、シンニング部9のシンニング壁面9aと、先端面6の第1逃げ面6aとの交差稜線部に形成されている。シンニング刃7bは、先端刃7の刃長のうち、径方向内側の端部に形成されているとともに、主切れ刃7aの径方向内側に連なっている。図2に示されるドリル正面視において、本実施形態のシンニング刃7bは、先端刃7における径方向内側の端縁(軸線O上)から径方向外側へ向けて、凸曲線状に延びている。
図1及び図3において、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aは、主切れ刃7aのすくい面とされているとともに、該主切屑排出溝2が上述のようにねじられていることにより、主切れ刃7aには正角(ポジティブ角)の軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)が与えられている。また、シンニング壁面9aは、シンニング刃7bのすくい面とされている。
図2において、ドリル本体1の外周面には、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aに連なり、先端刃7の外径(先端刃7の外端が軸線O回りに回転して形成される回転軌跡の円の直径D)と等しい外径の仮想円筒面上に位置する第1のマージン部11が形成されている。
またドリル本体1において、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aと第1のマージン部11との交差稜線部が、外周刃4とされている。
図1及び図3に示されるように、これらの主切屑排出溝2と外周刃4とは、互いにねじれ角が等しくなっている。
ここで、本明細書でいう「ねじれ角」(リード、軸方向傾斜角)とは、図1及び図3に示されるドリル側面視において、切屑排出溝(主切屑排出溝2、副切屑排出溝3)及び該切屑排出溝に沿ってドリル外周に形成された切れ刃(外周刃4、外周仕上げ刃5)と、ドリル軸線Oと、の間に形成される交差角(鋭角及び鈍角)のうち、小さい方の角度(鋭角の角度であり、90°を含む)を指す。言い換えると、「ねじれ角」とは、切屑排出溝2、3及びドリル外周の切れ刃4、5が、ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてドリル周方向に一回転する間に、軸線O方向の基端側へ向けて変位する変位量(移動量)に対応して求められる90°以下の角度であり、前記変位量が大きいほどねじれ角は小さくなり、前記変位量が小さいほどねじれ角は大きくなる。
図1〜図4において、ドリル本体1の外周のうち、第1のマージン部11のドリル回転方向Tとは反対側に連なる部分には、副切屑排出溝3が形成されている。副切屑排出溝3は、主切屑排出溝2、該主切屑排出溝2に隣接する外周刃4及び第1のマージン部11のドリル回転方向Tとは反対側に配置されている。具体的に、このドリル本体1の外周には、周方向に隣り合う主切屑排出溝2同士の間に、それぞれ一つ又は複数の副切屑排出溝3が形成されているとともに、該副切屑排出溝3は、ドリル本体1の基端側に向かうに従いドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びている。
本実施形態では、ドリル本体1に一対の主切屑排出溝2が形成されており、これら主切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側にそれぞれ隣り合うように、各主切屑排出溝2から等しい間隔をあけて、副切屑排出溝3が1条ずつ(計一対)形成されている。そして、一対の副切屑排出溝3同士は、一対の主切屑排出溝2同士と同様に、軸線Oに関して180°回転対称に配置されている。
図1において、副切屑排出溝3は、ドリル本体1の先端面6に開口して基端側へ向けて延びているとともに、ドリル本体1の軸線O方向に沿う例えば中央部付近において、径方向外側へ向けて外周面に切れ上がっている。また本実施形態では、副切屑排出溝3の全長が、主切屑排出溝2の全長に対して略同等とされているが、これに限定されるものではなく、例えば、後述する図17〜図19に示されるように、副切屑排出溝3の全長は、主切屑排出溝2の全長よりも短くされていることがより好ましい。
図4に示される横断面視において、副切屑排出溝3の溝底は、径方向外側へ向けて凸となる(膨出する)凸曲線状をなしている。また副切屑排出溝3は、周方向に沿うドリル回転方向Tの端部からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次その溝深さが深くなっており、そのドリル回転方向Tとは反対側の端部において、溝深さが最も深くされている。また、副切屑排出溝3の溝深さは、主切屑排出溝2の溝深さよりも浅くされている。具体的に、副切屑排出溝3の溝深さは、主切屑排出溝2の溝深さの例えば半分以下であり、図示の例では、1/3以下とされている。
図1〜図3において、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く壁面3aの先端部と、ドリル本体1の先端面6のうち、前記壁面3aの先端部からドリル回転方向Tとは反対側に連なる部分(第2逃げ面6b)との交差稜線部には、壁面3aをすくい面とし、先端面6を逃げ面とする先端仕上げ刃8が形成されている。
先端面(先端逃げ面)6は、先端仕上げ刃8からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い基端側へ向かうように傾斜しており、これにより先端仕上げ刃8には逃げ角が与えられている。先端仕上げ刃8の逃げ角は、先端刃7の逃げ角よりも大きくされている。また先端面6は、径方向外側に向かうに従い基端側へ向かうように傾斜しており、これにより先端仕上げ刃8には先端角が与えられている。先端仕上げ刃8の先端角は、先端刃7の先端角よりも大きくされている。
先端仕上げ刃8は、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く壁面3aと、先端面6の第2逃げ面6bとの交差稜線部に形成されている。
図2に示されるドリル正面視において、先端仕上げ刃8は、ドリル本体1の先端面6のうち、径方向の外端部に配置されている。またこの正面視で、先端仕上げ刃8は、径方向に沿う外側部分が直線状をなしており、径方向に沿う内側部分が凹曲線状をなしている。具体的に、先端仕上げ刃8の前記外側部分は、径方向外側の端縁から径方向内側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tへ向けて延びている。
図1及び図3において、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く壁面3aは、先端仕上げ刃8のすくい面とされているとともに、該副切屑排出溝3が上述のようにねじられていることにより、先端仕上げ刃8には正角(ポジティブ角)の軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)が与えられている。
ただし先端仕上げ刃8の軸方向すくい角は、正角に限定されるものではない。すなわち、図5〜図12に示される本実施形態の変形例のように、先端仕上げ刃8には、軸方向すくい角が0°又は負角(ネガティブ角)となる刃先処理が施されていてもよい。
具体的に、図5〜図8に示される変形例においては、先端仕上げ刃8の刃先にホーニング処理が施されている。
図5〜図7において、先端仕上げ刃8の刃先に形成されたホーニングは、該先端仕上げ刃8上を、該先端仕上げ刃8の全長にわたって延びている。また図8に示されるように、先端仕上げ刃8には、ホーニングが施されることでホーニング角が付与されており、これにより先端仕上げ刃8の刃先の軸方向すくい角θが、負角とされている。さらに、上記ホーニングが形成されることで、先端仕上げ刃8の径方向外側の端縁に連なる外周仕上げ刃5のリーディングエッジ(先端部)は、軸線O方向に沿って基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tに向けて延びることとなる。
また、先端仕上げ刃8のホーニング幅(軸線O方向に沿う長さ)Hは、例えば0.01〜0.2mmの範囲に設定される。ホーニング幅Hが前記範囲に設定されることにより、先端仕上げ刃8をホーニング処理したことによる刃先強度を向上させる効果、並びに、仕上げ面精度を向上させる効果(バニッシュ効果)が、ともに得られやすくなる。
尚、先端仕上げ刃8にホーニング処理を施すことにより、該先端仕上げ刃8の刃先の軸方向すくい角θを、0°としてもよい。また図示の例では、先端仕上げ刃8の刃先にホーニング処理としてチャンファホーニングを施しているが、これに代えて、丸ホーニングを施してもよい。
また、図9〜図12に示される変形例においては、先端仕上げ刃8の刃先にギャッシュ処理が施されている。
図9及び図10において、副切屑排出溝3の先端部のうち、ドリル回転方向Tを向く壁面3a及び該壁面3aに連なる溝底部分にわたってギャッシュが形成されることにより、図11に示されるドリル正面視において、先端仕上げ刃8の刃先は、その全長にわたって直線状をなしている。またこれにより、副切屑排出溝3の先端部における切屑収容量が大きく確保されている。
また、上記ギャッシュが形成されることにより、図12に示されるように、先端仕上げ刃8の刃先の軸方向すくい角θが、0°とされている。さらに、上記ギャッシュが形成されることで、先端仕上げ刃8の径方向外側の端縁に連なる外周仕上げ刃5のリーディングエッジ(先端部)は軸線O方向に沿って延びることとなる。
尚、先端仕上げ刃8にギャッシュ処理を施すことにより、該先端仕上げ刃8の刃先の軸方向すくい角θを、負角としてもよい。
図2において、ドリル本体1の外周面には、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く壁面3aに連なり、先端仕上げ刃8の外径(先端仕上げ刃8の外端が軸線O回りに回転して形成される回転軌跡の円の直径D)と等しい外径の仮想円筒面上に位置する第2のマージン部12が形成されている。
またドリル本体1において、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く壁面3aと第2のマージン部12との交差稜線部が、外周仕上げ刃5とされている。
図1及び図3に示されるように、これらの副切屑排出溝3と外周仕上げ刃5とは、互いにねじれ角が等しくなっている。
図2に示されるように、本実施形態では、外周仕上げ刃5の軸線O回りの回転軌跡の直径Dと、外周刃4の前記回転軌跡の直径Dとが、互いに等しくされている。また、外周仕上げ刃5に隣接する第2のマージン部12、及び、外周刃4に隣接する第1のマージン部11が、ともに上記直径Dの仮想円筒面上に位置している。
ただしこれに限定されるものではなく、図13に示される本実施形態の変形例のように、外周仕上げ刃5の前記回転軌跡の直径D2と、外周刃4の前記回転軌跡の直径D1との差(差の絶対値)が、0.3mm以下であってもよい。
具体的に、図13に示される変形例においては、外周仕上げ刃5の前記回転軌跡の直径D2が、外周刃4の前記回転軌跡の直径D1に比べて0.3mm以下の範囲で大きくされている。またこの変形例では、外周刃4に隣接する第1のマージン部11(図2を参照)は設けられておらず、該外周刃4のドリル回転方向Tとは反対側に、副切屑排出溝3が直接連なっている(隣接配置されている)。そして、図13に示されるドリル正面視において、副切屑排出溝3は、外周刃4からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次径方向の内側へ向けて傾斜して延びている。言い換えると、副切屑排出溝3は、そのドリル回転方向Tの端縁に位置する外周刃4からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次その溝深さが深くされている。またこれにより、ドリル本体1の外周に形成されるマージン部は、外周仕上げ刃5のドリル回転方向Tとは反対側に隣接する第2のマージン部12のみとされている。
尚、外周仕上げ刃5の前記回転軌跡の直径D2が、外周刃4の前記回転軌跡の直径D1に比べて、0.3mm以下の範囲で小さくされていてもよい。すなわち、外周刃4が切削した被削材の加工穴のスプリングバック(切削直後に内径が縮径する現象)を予め見越しておき、外周仕上げ刃5の前記回転軌跡の直径D2を、外周刃4の前記回転軌跡の直径D1より小さく設定してもよい。
また、図2に示されるように、外周仕上げ刃5の軸線O回りの回転軌跡(直径Dで示される仮想円筒面)に対して、ドリル本体1の外周面のうち、外周仕上げ刃5と該外周仕上げ刃5のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2との間に位置する部分(二番取り面)15が、径方向内側に後退して配置されている。具体的に、二番取り面15は、ドリル本体1の外周における第2のマージン部12のドリル回転方向Tとは反対側に連なっており、この第2のマージン部12の外径よりも小さい外径とされている。また図示の例では、二番取り面15は、そのドリル回転方向Tの端部からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次外周仕上げ刃5の前記回転軌跡から径方向内側へ向けた後退量が大きくされている。言い換えると、図2に示されるドリル正面視において、二番取り面15は、第2のマージン部12からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次径方向の内側へ向けて傾斜して延びている。
また、二番取り面15と、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側を向く壁面2bとの交差稜線部が、ヒール部13とされている。
そして本実施形態のドリル10は、図1に示されるように、副切屑排出溝3のねじれ角が、該副切屑排出溝3の全長のうち少なくとも一部以上において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされているとともに、副切屑排出溝3は、該副切屑排出溝3のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がっている。
本実施形態では、副切屑排出溝3のねじれ角が、その先端部以外の部位のうち一部以上において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている。より詳しくは、図1に示されるように、副切屑排出溝3は、強ねじれ部として、該副切屑排出溝3のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がるスリット溝17を有している。副切屑排出溝3のスリット溝17は、そのねじれ角が主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きく設定されている。つまり本実施形態の副切屑排出溝3は、少なくともそのスリット溝17が形成された部分において、主切屑排出溝2よりも強ねじれとされている。尚、スリット溝17のねじれ角は、90°未満の角度(鋭角の角度)とされている。
図1において、副切屑排出溝3は、その軸線O方向の中央部(スリット溝17)におけるねじれ角が、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくなっている。尚、本実施形態では、副切屑排出溝3の強ねじれ部(スリット溝17)以外の部位(軸線O方向の中央部以外の部位)のねじれ角については、主切屑排出溝2のねじれ角と同等に設定されている。これによりスリット溝17は、副切屑排出溝3における該スリット溝17以外の部位よりもねじれ角が大きくされた強ねじれ部とされている。
具体的に本実施形態では、副切屑排出溝3の強ねじれ部(スリット溝17)が、副切屑排出溝3の全長のうち、先端部と基端部との間の中間部分に配置されている。ただしこれに限定されるものではなく、強ねじれ部は、副切屑排出溝3の先端部又は/及び基端部に配置されていてもよい。ただし、副切屑排出溝3の強ねじれ部は、ドリル本体1の先端から基端側へ向けた所定の範囲内、具体的には、例えば被削材に穴あけ加工する加工長さ(穴深さ)の範囲内に、配置されることが好ましい。
また、図1に示される例では、副切屑排出溝3におけるスリット溝17の溝幅が、該スリット溝17以外の部位の溝幅よりも小さくされている。ただしこれに限定されるものではなく、副切屑排出溝3におけるスリット溝17の溝幅が、該スリット溝17以外の部位の溝幅と同等、或いはそれより大きくされていてもよい。
また本実施形態では、副切屑排出溝3におけるスリット溝17の溝深さは、該スリット溝17以外の部位の溝深さと同等に設定されている。つまり、副切屑排出溝3において、スリット溝17と該スリット溝17以外の部位との間に、溝底の段差や傾斜面等は形成されていない。ただしこれに限定されるものではなく、副切屑排出溝3におけるスリット溝17の溝深さは、該スリット溝17以外の部位の溝深さよりも浅くてもよく、或いは深くてもよい。この場合、副切屑排出溝3において、スリット溝17の溝底と該スリット溝17以外の部位の溝底との間に、段差や傾斜面等が形成される。
また本実施形態では、ドリル本体1の刃部における軸線O方向の中央部に、副切屑排出溝3のスリット溝17が配置されているが、図1に示される副切屑排出溝3のうち、スリット溝17よりも基端側に位置する部分については、副切屑排出溝3(スリット溝17以外の部位)を形成しなくてもよい。すなわち、副切屑排出溝3は、ドリル本体1の先端から基端側へ向けたスリット溝17までの範囲内のみに形成されていてもよい。
また本実施形態において、スリット溝17のドリル回転方向Tを向く壁面と、第2のマージン部12及び二番取り面15と、の交差稜線部に切れ刃は形成されていないが、これに代えて、前記交差稜線部に外周仕上げ刃5を形成してもよい。この場合、副切屑排出溝3に沿って延びる外周仕上げ刃5のうち、該副切屑排出溝3の強ねじれ部(スリット溝17)に対応する外周仕上げ刃5の部分において、該強ねじれ部以外の部位に対応する外周仕上げ刃5の部分よりも、ねじれ角を大きくすることができる。
ここで、図14〜図19に示されるドリル10は、本実施形態の変形例を表している。
図14に示される変形例では、副切屑排出溝3が、上述したスリット溝17以外の強ねじれ部16を有している。副切屑排出溝3の強ねじれ部16は、そのねじれ角が主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされているとともに、該副切屑排出溝3のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がっている。
つまり、副切屑排出溝3は、主切屑排出溝2よりもねじれ角が大きくされた強ねじれ部(スリット溝17及び強ねじれ部16)を、軸線O方向(又は副切屑排出溝3の延在方向)に間隔をあけて複数備えており、これら強ねじれ部が、該副切屑排出溝3のドリル回転方向Tの反対側に隣り合う主切屑排出溝2に対して、それぞれ接続している。図示の例では、上述したスリット溝17以外の強ねじれ部として、副切屑排出溝3の基端部に、強ねじれ部16が形成されている。
尚、図14に示される例では、強ねじれ部16のねじれ角が、スリット溝17のねじれ角と同等になっているが、これに限定されるものではない。すなわち、副切屑排出溝3が有する複数の強ねじれ部16、17のうち、ドリル本体1の先端側に位置する強ねじれ部(スリット溝)17のねじれ角に対して、ドリル本体1の基端側に位置する強ねじれ部16のねじれ角が、小さくされていてもよく、或いは、大きくされていてもよい。
また、図14に示される例では、強ねじれ部16の溝幅が、スリット溝17の溝幅よりも大きくされているが、これに限定されるものではなく、強ねじれ部16の溝幅が、スリット溝17の溝幅に対して、同等とされていてもよく、或いは小さくされていてもよい。
また、図15に示される変形例においては、スリット溝17のねじれ角が90°とされており、該スリット溝17のねじれ角は、強ねじれ部16のねじれ角よりも大きくされている。
また、図16に示される変形例においては、副切屑排出溝3に、該副切屑排出溝3の延在方向に沿って互いに間隔をあけて、スリット溝17が複数形成されている。これらスリット溝17同士は、互いにねじれ角が同等とされていてもよいし、異なっていてもよい。
尚、図14〜図16に示される変形例では、副切屑排出溝3に、強ねじれ部16及びスリット溝17の両方が設けられているが、強ねじれ部16のみが設けられていてもよい。具体的に、副切屑排出溝3には、該副切屑排出溝3の全長のうち少なくとも一部以上において、そのねじれ角が主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされた強ねじれ部が形成されていればよいことから、複数の強ねじれ部16、17(スリット溝17)のうち、少なくとも1つ以上が設けられていればよい。
また、スリット溝17及び強ねじれ部16の深さ(溝深さ)は、副切屑排出溝3の溝底(詳しくは、副切屑排出溝3の強ねじれ部16、17以外の部位における溝底のうち、ドリル回転方向Tとは反対側に位置する端部)の溝深さと等しくされている。これらスリット溝17及び強ねじれ部16は、副切屑排出溝3のドリル回転方向Tとは反対側に隣接する第2のマージン部12及び二番取り面15を貫通(分断)するように延びているとともに、該副切屑排出溝3のドリル回転方向Tとは反対側に位置する主切屑排出溝2内に連通している。
また、図17〜図19に示される変形例においては、副切屑排出溝3のねじれ角が、少なくともその先端部において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている。
具体的に、この変形例では、副切屑排出溝3が、ドリル本体1の先端部近傍にのみ形成されており、副切屑排出溝3における強ねじれ部(副切屑排出溝3のうち、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きいねじれ角とされた部分)が、該副切屑排出溝3の全長にわたって形成されている。なお、図示の例では、副切屑排出溝3のねじれ角が、該副切屑排出溝3の全長にわたって一定の角度とされているとともに、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている。
図17〜図19に示される変形例では、副切屑排出溝3が、その先端からねじれ角が大きくされているので、先端仕上げ刃8の軸方向すくい角が先端刃7の軸方向すくい角よりも大きくなっており、かつ、外周仕上げ刃5(のリーディングエッジ)の軸方向すくい角が外周刃4(のリーディングエッジ)の軸方向すくい角よりも大きくなっている。
尚、この変形例では、図19に示されるように、ドリル本体1の外周面のうち、外周刃4と、該外周刃4のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う副切屑排出溝3との間には、二番取り面18が形成されている。二番取り面18は、外周刃4の軸線O回りの回転軌跡よりも、径方向内側に後退して配置されている。
具体的に、二番取り面18は、ドリル本体1の外周における第1のマージン部11のドリル回転方向Tとは反対側に連なっており、この第1のマージン部11の外径よりも小さい外径とされている。また二番取り面18は、そのドリル回転方向Tの端部からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次外周刃4の前記回転軌跡から径方向内側へ向けた後退量が大きくされている。言い換えると、二番取り面18は、第1のマージン部11からドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次径方向の内側へ向けて傾斜している。
また、図17において、二番取り面18のうち、副切屑排出溝3の基端部(終端、切り上がり)よりも基端側に位置する部位と、該二番取り面18のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2における壁面2bとの交差稜線部が、ヒール部13とされている。
また、特に図示していないが、例えば、副切屑排出溝3のねじれ角が、ドリル本体1の先端から基端側へ向かうに従い漸次大きく又は小さくされているとともに、該ねじれ角が、副切屑排出溝3の全長にわたって又は一部以上において(つまり溝3全長のうち少なくとも一部以上において)、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている構成としてもよい。
また本実施形態では、例えば図1〜図4に示されるように、ドリル本体1の外周における周方向に隣り合う主切屑排出溝2同士の間に、副切屑排出溝3が一条のみ形成されているドリル10を用いて説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、特に図示していないが、ドリル本体1の外周における周方向に隣り合う主切屑排出溝2同士の間に、副切屑排出溝3が、互いに周方向に間隔をあけて複数形成されていてもよい。尚、この場合、これら副切屑排出溝3の各外周仕上げ刃5の軸線O回りの回転軌跡の直径が、ドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い段階的に徐々に大きくなるように設定されていることが好ましい。
以上説明した本実施形態のドリル10では、ドリル本体1の外周に、該ドリル本体1の軸線O方向の基端側へ向かうに従いドリル回転方向Tとは反対側(反ドリル回転方向)へ向けてねじれる複数の主切屑排出溝2が形成されている。また、ドリル本体1の外周には、主切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側に配置されて、周方向に隣り合う主切屑排出溝2同士の間に位置するとともに、ドリル本体1の軸線O方向の基端側へ向かうに従いドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれる副切屑排出溝3が形成されている。
そして、副切屑排出溝3のねじれ角が、該副切屑排出溝3の全長のうち少なくとも一部以上で主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きく設定されていて、この副切屑排出溝3が、該副切屑排出溝3のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がっているので、下記の作用効果を奏する。
すなわち本実施形態のドリル10によれば、副切屑排出溝3のねじれ角が、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされているので、該副切屑排出溝3内の切屑が、ドリル10の回転に応じてドリル回転方向Tとは反対側へ向けてスムーズに流れやすくなっており、これにより副切屑排出溝3内に切屑が滞留するようなことが抑制されて、切屑詰まりが防止される。そして、この副切屑排出溝3は、ドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がっているため、切屑が副切屑排出溝3から主切屑排出溝2内へとスムーズに流入して、切屑詰まりを防止する効果が安定して維持される。
またこのように、副切屑排出溝3が、ドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に連なっている(接続されている)ため、該副切屑排出溝3のねじれ角を、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きく設定することが容易であるとともに、種々のドリル性能への要望に対応可能である。
具体的には、例えば、副切屑排出溝3のねじれ角が、溝3の全長のうち一部において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている構成(溝3の一部のみが強ねじれ部16、17になっている構成)を採用したり、副切屑排出溝3のねじれ角が、先端から基端側へ向けて漸次大きく又は小さくなるとともに、該ねじれ角が溝3の全長にわたって又は一部以上において、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている構成を採用したり、副切屑排出溝3のねじれ角が、溝3の全長にわたって一定の角度で、主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている構成を採用したりすることができる。
そして、副切屑排出溝3のねじれ角が大きくされていることにより、該副切屑排出溝3に沿って延びる外周仕上げ刃5の軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)を、所期する正角(ポジティブ角)に設定することが容易であり、該外周仕上げ刃5の切れ味を高めることができる。
特に、例えば、副切屑排出溝3のねじれ角を、少なくともその先端部において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きく設定した場合(つまり図17〜図19に示されるように、副切屑排出溝3の先端部に強ねじれ部を設けた場合)には、この先端部に位置する外周仕上げ刃5の軸方向すくい角を確実に正角に設定できて、外周仕上げ刃5の切れ味を顕著に高めることができる。
また、外周仕上げ刃5の切れ味を高めることができるので、例えば航空機部品等に用いられるCFRP(炭素繊維強化樹脂)や、該CFRPにチタンやアルミニウム等の金属板が積層されてなる複合材料等の被削材に対して穴あけ加工を行う場合であっても、被削材の金属板の内周に溶着が生じることを抑制でき、また炭素繊維層が層間剥離するデラミネーションや炭素繊維が切断されずにバリとなって残るアンカットファイバーが生じることも抑制できて、加工精度を安定して高めることができる。
さらに、副切屑排出溝3のねじれ角を大きく設定したため、該副切屑排出溝3に沿う外周仕上げ刃5の刃長を長く確保することが容易に可能となり、この場合、外周仕上げ刃5の再研磨代を十分に確保することができる。
特に、例えば、図1〜図16に示されるように、副切屑排出溝3のねじれ角を、その先端部以外の部位において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きく設定した場合(つまり副切屑排出溝3の先端部以外の部位に強ねじれ部を設けた場合)には、副切屑排出溝3の先端部のねじれ角を、主切屑排出溝2のねじれ角に近い値に設定することが可能になり、副切屑排出溝3の先端部が主切屑排出溝2に対して略平行に延びることとなって、該先端部に位置する外周仕上げ刃5の再研磨代を確実に大きく確保することができて、工具寿命が顕著に延長する。
また、副切屑排出溝3が、そのドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がっている(つまり副切屑排出溝3が、ヒール部13を介して主切屑排出溝2に繋がっている)ため、この副切屑排出溝3が、主切屑排出溝2に沿う外周刃4を分断してしまうことがない。従って、副切屑排出溝3を主切屑排出溝2に接続することで切屑排出性を十分に確保しつつも、外周刃4の切削精度は確保される。またこれにより、外周刃4の再研磨代が前記分断された箇所によって制限されることがなくなる。
以上より、本実施形態のドリル10によれば、副切屑排出溝3の切屑排出性を向上でき、例えばCFRPやその複合材料等からなる被削材に穴あけ加工を行うような場合でも、加工精度を高品位に安定して維持することができ、かつ、外周仕上げ刃5及び外周刃4の再研磨代を十分に確保できる。
また図17〜図19に示されるように、副切屑排出溝3の全長が、主切屑排出溝2の全長よりも短くされている場合には、該副切屑排出溝3を流れる切屑の移動距離を短くすることができ、副切屑排出溝3内における切屑詰まりを、より確実に防止することが可能になる。
またこの場合、副切屑排出溝3のねじれ角が、少なくともその先端部において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされて、副切屑排出溝3のうち少なくとも先端部に強ねじれ部が設けられることとなり、この先端部に位置する外周仕上げ刃5の軸方向すくい角を確実に正角に設定できて、外周仕上げ刃5の切れ味を顕著に高めることができる。
また、副切屑排出溝3の先端部に位置する先端仕上げ刃8の軸方向すくい角も正角に設定することができ、先端仕上げ刃8の切れ味を顕著に高めることができる。
また図1〜図16に示されるように、副切屑排出溝3のねじれ角が、その先端部以外の部位のうち一部以上において主切屑排出溝2のねじれ角よりも大きくされている場合には、下記の作用効果を奏する。
すなわち上記構成によれば、副切屑排出溝3の先端部におけるねじれ角を、主切屑排出溝2のねじれ角と同等に設定することができる。従って、外周仕上げ刃5の再研磨代を確実に大きく確保することができて、工具寿命を延長する効果がより格別なものとなる。またこの構成によれば、主切屑排出溝2に沿う外周刃4と、副切屑排出溝3に沿う外周仕上げ刃5と、の周方向に沿う距離が再研磨の前後で変化しないことから、再研磨によってドリル性能に変化が生じるようなことが抑制されて、切削精度を安定して高めることが可能になる。
また、ドリル本体1の外周面のうち、外周仕上げ刃5のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う部分が、該外周仕上げ刃5の回転軌跡よりも径方向内側に後退して配置された二番取り面15とされている。このような二番取り面15が形成されることで、被削材の加工穴の内周面に対するドリル本体1の外周面の摩擦抵抗が低減される。これにより、加工穴の内周面の溶着等が確実に防止されて、穴加工精度が向上する。
また図13及び図2に示されるように、本実施形態では、外周仕上げ刃5の軸線O回りの回転軌跡の直径D2(D)と、外周刃4の前記回転軌跡の直径D1(D)との差が、0.3mm以下であるので、下記の作用効果を奏する。
すなわち上記構成によれば、外周刃4の切削後に被削材に切り込む外周仕上げ刃5による切削加工代(切削量)を小さく抑えることができ、これにより副切屑排出溝3を流れる切屑の排出量を抑制して、切屑詰まりを確実に防止することができる。また、外周仕上げ刃5による切削加工代を小さく抑えることができるので、これに伴って副切屑排出溝3の溝深さを浅くすることが可能になり、ドリル本体1の剛性を向上できる。
また、図5〜図12に示される本実施形態の変形例では、副切屑排出溝3におけるドリル回転方向Tを向く壁面3aと、ドリル本体1の先端面6との交差稜線部に形成された先端仕上げ刃8に、軸方向すくい角(アキシャルレーキ角)θが0°又は負角(ネガティブ角)となるホーニングやギャッシュ等の刃先処理が施されている。これにより、先端仕上げ刃8及び該先端仕上げ刃8の径方向外側の端縁に連なる外周仕上げ刃(リーディングエッジ)5によって、リーマのようなバニッシュ効果を得ることが可能になる。従って、被削材の加工穴の内周面を、より高精度に仕上げることができる。
また、図1〜図16に示される例では、副切屑排出溝3が、該副切屑排出溝3のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う主切屑排出溝2に繋がるスリット溝17を有しているので、下記の作用効果を奏する。
すなわち上記構成によれば、副切屑排出溝3において少なくともスリット溝17が強ねじれ部となり、該スリット溝17を通して、副切屑排出溝3から主切屑排出溝2内へと切屑を流入させることができる。これにより、例えば副切屑排出溝3のスリット溝17以外の部位を主切屑排出溝2と略平行に形成することが可能になるなど、種々のドリル性能への要望に対応することができる。
尚、図16に示されるように、スリット溝17を軸線O方向に間隔をあけて複数形成することも可能であり、この場合、副切屑排出溝3の切屑排出性をさらに高めることができる。
また図14〜図16に示されるように、副切屑排出溝3に、複数の強ねじれ部(強ねじれ部16及びスリット溝17)を設けた場合においても、やはり切屑排出性を顕著に向上させることができる。
また、特に図示していないが、ドリル本体1の外周において周方向(ドリル軸線O回り)に隣り合う主切屑排出溝2同士の間に、周方向に間隔をあけて複数の副切屑排出溝3が配列している構成を採用した場合には、これら副切屑排出溝3の各外周仕上げ刃5の軸線O回りの回転軌跡の直径D2(D)を、ドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い段階的に徐々に大きくなるように設定することができる。つまり、ドリル本体1の外周仕上げ刃5による総切削加工代を、複数の外周仕上げ刃5に分散することによって、それぞれの外周仕上げ刃5による切削加工代を小さく抑えることができる。従って、各副切屑排出溝3内の切屑詰まりを確実に防止しつつ、高精度な穴あけ加工を行うことが可能である。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態で説明したドリル10は、ドリル本体1の外周に、一対(2条)の主切屑排出溝2が周方向に間隔をあけて配置されるとともに、先端刃7が一対(2つ)形成された2枚刃のドリル(ツイストドリル)であるが、これに限定されるものではない。すなわち本発明は、ドリル本体1の外周に、3条以上の主切屑排出溝2が周方向に間隔をあけて配置されるとともに、先端刃7が3つ以上形成された3枚刃以上のドリル10にも適用可能である。
また前述の実施形態では、図5〜図8において、先端仕上げ刃8のホーニング幅(ホーニングの軸線O方向に沿う長さ)Hが、例えば0.01〜0.2mmの範囲に設定されることとしたが、先端仕上げ刃8のホーニング幅Hは、上記範囲に限定されるものではない。
また前述の実施形態では、外周仕上げ刃5の軸線O回りの回転軌跡の直径D2(D)と、外周刃4の前記回転軌跡の直径D1(D)との差(差の絶対値)が、0.3mm以下の範囲に設定されるとしたが、この差は、上記範囲に限定されるものではない。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1 ドリル本体
2 主切屑排出溝
2a 壁面
3 副切屑排出溝
3a 壁面
4 外周刃
5 外周仕上げ刃(外周さらい刃)
6 先端面
8 先端仕上げ刃(先端さらい刃)
10 ドリル
15 二番取り面
16 強ねじれ部
17 スリット溝(強ねじれ部)
D(D1、D2) 回転軌跡の直径
O 軸線
T ドリル回転方向
θ 軸方向すくい角

Claims (9)

  1. 軸線回りに回転させられるドリル本体と、
    前記ドリル本体の外周に、周方向に互いに間隔をあけて複数形成され、前記軸線方向に沿う基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向とは反対側へ向けて延びる主切屑排出溝と、
    前記ドリル本体の外周における前記主切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に配置され、前記軸線方向に沿う基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向とは反対側へ向けて延びる副切屑排出溝と、
    前記主切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の外周面との交差稜線部に形成された外周刃と、
    前記副切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の外周面との交差稜線部に形成された外周仕上げ刃と、を備え、
    前記副切屑排出溝のねじれ角が、該副切屑排出溝の全長のうち少なくとも一部以上において前記主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされているとともに、
    前記副切屑排出溝が、該副切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記主切屑排出溝に繋がっていることを特徴とするドリル。
  2. 請求項1に記載のドリルであって、
    前記副切屑排出溝の全長が、前記主切屑排出溝の全長よりも短くされていることを特徴とするドリル。
  3. 請求項1又は2に記載のドリルであって、
    前記副切屑排出溝のねじれ角は、その先端部以外の部位のうち一部以上において前記主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされていることを特徴とするドリル。
  4. 請求項1又は2に記載のドリルであって、
    前記副切屑排出溝のねじれ角は、少なくともその先端部において前記主切屑排出溝のねじれ角よりも大きくされていることを特徴とするドリル。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のドリルであって、
    前記外周仕上げ刃の前記軸線回りの回転軌跡に対して、前記ドリル本体の外周面のうち、前記外周仕上げ刃と該外周仕上げ刃のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記主切屑排出溝との間に位置する部分が、径方向内側に後退して配置されることを特徴とするドリル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のドリルであって、
    前記外周仕上げ刃の前記軸線回りの回転軌跡の直径と、前記外周刃の前記回転軌跡の直径との差が、0.3mm以下であることを特徴とするドリル。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のドリルであって、
    前記副切屑排出溝におけるドリル回転方向を向く壁面と、前記ドリル本体の先端面との交差稜線部に形成された先端仕上げ刃に、軸方向すくい角が0°又は負角となる刃先処理が施されていることを特徴とするドリル。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のドリルであって、
    前記副切屑排出溝は、該副切屑排出溝のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記主切屑排出溝に繋がるスリット溝を有することを特徴とするドリル。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のドリルであって、
    前記ドリル本体の外周における周方向に隣り合う前記主切屑排出溝同士の間に、前記副切屑排出溝が、互いに周方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とするドリル。
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