JP6819187B2 - ボールエンドミル - Google Patents
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Description
ボールエンドミルは、軸状をなすエンドミル本体を有しており、エンドミル本体の軸線方向の先端部には刃部が形成され、エンドミル本体の刃部以外の部位はシャンク部とされている。また、刃部には、切屑排出溝、ギャッシュ、外周刃及び底刃(先端刃)がそれぞれ複数形成されている。
底刃により切削されて生じた切屑は、該底刃のエンドミル回転方向に隣接配置されるギャッシュ内を通して排出されるが、このギャッシュ内に切屑詰まりが生じることがあった。特に6枚刃以上の多刃のボールエンドミルの場合、底刃の数が多い分、各ギャッシュの容積は小さくなり、ギャッシュ内に切屑が詰まりやすい。切屑詰まりが生じると、被削材の加工面精度を良好に保つことが難しくなる。
なお、本発明でいう「芯高(芯高寸法)」とは、エンドミル本体の正面視において、底刃の刃長方向の所定位置を通る接線に平行で軸線を通る仮想直線(エンドミル本体の径方向に延びる基準線)に対して、前記接線が離間する距離を指す。また、前記仮想直線(基準線)に対して底刃が、軸線回りのうちエンドミル回転方向に位置する場合には「芯上がり」といい、エンドミル回転方向とは反対側に位置する場合には「芯下がり」という。言い換えると、「底刃の芯高が芯上がりである」とは、「底刃のラジアルレーキが負(ネガティブ)角である」に相当する。また、「底刃の芯高が芯下がりである」とは、「底刃のラジアルレーキが正(ポジティブ)角である」に相当する。
また、第1〜第3底刃の芯高が互いに異なっていることから、これらの底刃の軸線回りの配置ピッチについては、不等ピッチに設定される。
上述した不等リード及び不等ピッチの作用によって、本発明のボールエンドミルは、切削時の共振(びびり振動等)を効果的に抑制することができ、さらなる加工面精度向上の効果を奏する。
なお、「ギャッシュの深さ」とは、軸線回りに底刃が回転して得られる半球状の回転軌跡(仮想半球面)と、ギャッシュ底面のうち前記回転軌跡からの距離が最も遠い部分(ギャッシュ最深部)との間の前記距離を指す。
エンドミル本体2は概略円柱状をなしており、該エンドミル本体2の軸線O方向に沿う少なくとも先端部に刃部3aが形成され、該刃部3a以外の部位はシャンク部3bとされている。
具体的に、本実施形態のボールエンドミル1は、例えば4〜6軸の多軸制御のマシニングセンタ等の工作機械の主軸に着脱可能に装着されて、被削材の切削に用いられる。
また、軸線Oに直交する方向を径方向という。径方向のうち、軸線Oに接近する向きを径方向の内側といい、軸線Oから離間する向きを径方向の外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、切削時に工作機械の主軸によりエンドミル本体2が回転させられる向きをエンドミル回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、エンドミル回転方向Tとは反対側(反エンドミル回転方向)という。
刃部3aの先端面には、周方向に隣り合うギャッシュ7(切屑排出溝4)同士の間に、先端逃げ面8がそれぞれ形成されている。先端逃げ面8は、底刃9からエンドミル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い基端内周側へ向けて傾斜しており、これにより底刃9には逃げ角が付与されている。
そして、図3に示されるエンドミル本体2の正面視において、第1底刃9Aに対して第2底刃9Bの芯高が大きく、第2底刃9Bに対して第3底刃9Cの芯高が大きい。
そして、第1底刃9Aの芯高H1に対して、第2底刃9Bの芯高H2が大きくされている。
そして、第2底刃9Bの芯高H2に対して、第3底刃9Cの芯高H3が大きくされている。
図3に示されるエンドミル本体2の正面視において、第1底刃9Aのギャッシュ7Aに対して第2底刃9Bのギャッシュ7Bの長さが短く、第2底刃9Bのギャッシュ7Bに対して第3底刃9Cのギャッシュ7Cの長さが短い。
本実施形態の例では、第1底刃9Aのギャッシュ7Aの先端と、第3底刃9Cのギャッシュ7Cの先端とが互いに接続しており、また、第1底刃9Aのギャッシュ7Aのうち、第3底刃9Cのギャッシュ7Cと接続する先端から基端側へ向けて離間した部分に対して、第2底刃9Bのギャッシュ7Bの先端が接続している。つまり、ギャッシュ7Aに対してギャッシュ7B、7Cが連通しており、ギャッシュ7Aを通してギャッシュ7B、7C同士も連通している。
図4に示されるように、第3底刃9Cのギャッシュ7Cに対して、第2底刃9Bのギャッシュ7Bの深さは深く、第2底刃9Bのギャッシュ7Bに対して、第1底刃9Aのギャッシュ7Aの深さは深い。
なお、「ギャッシュ7の深さ」とは、軸線O回りに底刃9が回転して得られる半球状の回転軌跡(仮想半球面)と、ギャッシュ7の底面のうち前記回転軌跡からの距離が最も遠い部分(ギャッシュ7の最深部)との間の前記距離を指す。具体的には、図4において符号RLで示されるものが、底刃9が軸線O回りに回転して得られる回転軌跡であり、符号Dで示される距離が、底刃9の回転軌跡RLからギャッシュ7の最深部までのギャッシュ7深さ(図示の例ではギャッシュ7Aの深さ)である。
刃部3aの外周面には、周方向に隣り合う切屑排出溝4同士の間に、外周逃げ面6がそれぞれ形成されている。外周逃げ面6は、外周刃5からエンドミル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い径方向の内側へ向けて傾斜しており、これにより外周刃5には逃げ角が付与されている。
また、第1〜第3底刃9A〜9Cの芯高が互いに異なっていることから、これらの底刃9の軸線O回りの配置ピッチについては、不等ピッチに設定される。
上述した不等リード及び不等ピッチの作用によって、本実施形態のボールエンドミル1は、切削時の共振(びびり振動等)を効果的に抑制することができ、さらなる加工面精度向上の効果を奏する。
すなわちこの場合、底刃9が6枚刃とされたボールエンドミル1となり、切削の加工能率を高めることができる。そしてこのような多刃のボールエンドミル1であっても、本実施形態によれば、切屑排出性が安定して確保される。
2 エンドミル本体
5 外周刃
7 ギャッシュ
7A 第1底刃のギャッシュ
7B 第2底刃のギャッシュ
7C 第3底刃のギャッシュ
9 底刃(先端刃)
9A 第1底刃
9B 第2底刃
9C 第3底刃
21 第1底刃の刃長方向の先端
D ギャッシュの深さ
H1 第1底刃の芯高
H2 第2底刃の芯高
H3 第3底刃の芯高
O 軸線
RL 底刃の回転軌跡
T エンドミル回転方向
Claims (6)
- 軸状をなすエンドミル本体と、
前記エンドミル本体の軸線方向の先端部に、前記軸線回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが凸円弧状をなすとともに、前記軸線回りの回転軌跡が前記軸線上に中心を有する半球状をなす複数の底刃と、
複数の前記底刃に対して、前記軸線回りのうちエンドミル回転方向にそれぞれ隣接配置される複数のギャッシュと、を備えたボールエンドミルであって、
複数の前記底刃には、
前記軸線に直交する径方向の内側へ向けた刃長が、複数の前記底刃の中で最も長くされた第1底刃と、
前記第1底刃に対して、前記エンドミル回転方向に隣り合い、前記第1底刃よりも前記径方向の内側へ向けた刃長が短くされた第2底刃と、
前記第2底刃に対して、前記エンドミル回転方向に隣り合い、前記第2底刃よりも前記径方向の内側へ向けた刃長が短くされた第3底刃と、が含まれ、
前記エンドミル本体を前記軸線方向の先端から基端側へ向けて見た前記エンドミル本体の正面視で、前記軸線からの距離が等しい位置における前記第1底刃、前記第2底刃および前記第3底刃の各芯高は芯上がりであり、この順に大きくなることを特徴とするボールエンドミル。 - 請求項1に記載のボールエンドミルであって、
前記第1底刃、前記第2底刃及び前記第3底刃の組が、前記軸線を中心として180°回転対称に2組設けられたことを特徴とするボールエンドミル。 - 請求項1又は2に記載のボールエンドミルであって、
前記第3底刃のギャッシュに対して、前記第2底刃のギャッシュの深さが深く、
前記第2底刃のギャッシュに対して、前記第1底刃のギャッシュの深さが深いことを特徴とするボールエンドミル。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のボールエンドミルであって、
前記第1底刃のギャッシュ、前記第2底刃のギャッシュ及び前記第3底刃のギャッシュが、互いにすべて連通していることを特徴とするボールエンドミル。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のボールエンドミルであって、
前記エンドミル本体の外周には、前記軸線回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが前記底刃の前記径方向の外側の端縁に接続するとともに、前記端縁から前記軸線方向の基端側へ向けて延びる複数の外周刃が備えられ、
前記エンドミル本体の正面視で、
前記第1底刃は、前記外周刃との接続部分から前記径方向の内側へ向けて延びるとともに、その刃長方向の先端が、前記軸線を越えた位置に配置されることを特徴とするボールエンドミル。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のボールエンドミルであって、
前記エンドミル本体の外周には、前記軸線回りに互いに間隔をあけて配置され、それぞれが前記底刃の前記径方向の外側の端縁に接続するとともに、前記端縁から前記軸線方向の基端側へ向けて延びる複数の外周刃が備えられ、
複数の前記外周刃は、前記軸線回りに互いに等ピッチで配置されていることを特徴とするボールエンドミル。
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