JP6753174B2 - ドリル - Google Patents

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Description

本発明は、ドリル本体の外周に、少なくとも第1マージン部及び第2マージン部を備えたドリルに関する。
従来、例えば下記特許文献1、2に示されるような、ダブルマージンタイプのドリルが知られている。これらのドリルは、ドリル本体の外周に、第1マージン部及び第2マージン部を備えている。
この種のドリルによれば、穴あけ加工時に、第1マージン部及び第2マージン部が被削材の加工穴の内周面にそれぞれ摺接してガイド機能が得られるため、穴加工精度を安定して確保しやすい。
特開2007−15073号公報 特開2005−305610号公報
しかしながら、従来のドリルでは、下記の課題を有していた。
特許文献1では、該特許文献1の図3に示されるように、ドリル本体を軸線方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、第2マージン部がドリル本体の先端面(先端逃げ面)の外周縁に配置されている。この場合、例えば軟らかい金属材料等からなる被削材を穴あけ加工する際に、第2マージン部と先端面との交差稜線部が、被削材の加工穴の内周面を傷付けてうねり模様等の加工痕が生じることがあった。
また、第2マージン部と、第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面との交差稜線部が、加工穴の内周面に意図せず切り込んでしまい傷付けてしまうことがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、たとえ軟らかい金属材料等の被削材を穴あけ加工する場合であっても、被削材の加工穴の内周面を傷付けてしまうことを抑制でき、加工品位を高めることができるドリルを提供することを目的としている。
本発明の一態様は、軸状をなし、軸線回りの周方向のうちドリル回転方向に回転させられるドリル本体と、前記ドリル本体の外周に、軸線方向の先端から基端側へ向かうように延び、周方向に互いに間隔をあけて形成された複数の切屑排出溝と、前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の先端面との交差稜線部に形成された切れ刃と、前記先端面と該先端面のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記切屑排出溝との間に形成されたシンニング面と、前記ドリル本体の外周において周方向に隣り合う前記切屑排出溝同士の間に形成されたランド部と、前記ランド部において前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面に隣接配置された第1マージン部と、前記ランド部において前記第1マージン部よりもドリル回転方向とは反対側に配置された第2マージン部と、を備えたドリルであって、前記ドリル本体を軸線方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、前記第2マージン部は、前記シンニング面の外周縁のうち、ドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端との中間点よりも、ドリル回転方向に配置されており、前記ドリル本体の軸線に直交するドリル横断面視において、前記第2マージン部のドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端とを結ぶ仮想直線と、前記ランド部における前記第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面の延長線と、の間に形成される角度が、30°以下であり、前記ドリル正面視において前記第2マージン部のドリル回転方向の前端が、前記シンニング面の外周縁のうちドリル回転方向の前端から、ドリル回転方向とは反対側に離間して配置されていることを特徴とする。
本発明のドリルによれば、ドリル本体の先端面を正面に見たドリル正面視(ドリル先端視)において、第2マージン部が、シンニング面の外周縁に配置されている。すなわち、第2マージン部のドリル回転方向の前端が、先端面(先端逃げ面)ではなく、シンニング面の外周縁に配置されている。つまり、ドリル正面視で、第2マージン部の全体(第2マージン部である円弧の全長)が、シンニング面の外周縁に位置している。このため、ドリル本体の先端面と第2マージン部との間には交差稜線部が形成されることはなく、シンニング面と第2マージン部との間に、交差稜線部が形成される。
一般にシンニング面は、ドリル本体の先端面よりも逃げ角が大きい。従って、例えば本発明とは異なり先端面と第2マージン部との間に形成された交差稜線部に比べて、本発明のようにシンニング面と第2マージン部との間に形成された交差稜線部は、ドリル周方向の単位長さあたりのドリル軸線方向への変位量(つまり傾き)が大きくなる。このため、本発明における第2マージン部の交差稜線部は、被削材の加工穴の内周面に対して傾斜が立った状態とされて、加工穴の内周面の加工面品位に影響を及ぼしにくくされている。
さらに本発明では、ドリル正面視において第2マージン部が、シンニング面の外周縁のうち、ドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端との中間点よりも、ドリル回転方向に配置されている。
つまり、ドリル正面視において第2マージン部が、シンニング面の外周縁のうち、ドリル回転方向の前端から中間点の間に位置しているので、第2マージン部の軸線方向の先端部が、切れ刃から軸線方向の基端側へ向けて大きく離間するようなことを抑制できる。従って、穴あけ加工時において、第2マージン部によるガイド機能がより安定したものとなる。
そして本発明は、ドリル本体の軸線に直交する(軸線に垂直な)ドリル横断面視において、第2マージン部のドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端とを結ぶ仮想直線と、ランド部における第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面の延長線と、の間に形成される角度が、30°以下である(図5の角度θaを参照)。言い換えると、マージン前壁面と第2マージン部とが、互いの間に大きな鈍角(略150°以上)を形成するように交差しており、これらのマージン前壁面と第2マージン部との接続部分において、エッジが形成されないようになっている。
具体的には、前記仮想直線とマージン前壁面の延長線との間に形成される角度が、30°以下であるので、第2マージン部に対して、マージン前壁面を緩やかに傾斜させつつ、なだらかに接続することができる。そして、第2マージン部とマージン前壁面との接続部分に、鋭いエッジが形成されることを防止できる。
従って、第2マージン部とマージン前壁面との接続部分が、被削材の加工穴の内周面に意図せず切り込んで傷付けてしまうようなことを確実に防止でき、加工面品位を高めることができる。
また、前記仮想直線とマージン前壁面の延長線との間に形成される角度を、10°以上とすることで、マージン前壁面が第2マージン部に対して緩やかな傾斜となり過ぎて、意図せずマージンとして機能してしまうことを、防止できるので好ましい。これにより、マージン前壁面が確実に二番取り面として機能し、マージン前壁面が第2マージン部とともに被削材の加工穴の内周面に摺接してしまうようなことを防止できる。
従って、例えばマージン前壁面が加工穴の内周面に摺接して第2マージン部の所期するマージン機能に影響を与えたり、切削抵抗を増大させてしまうような不具合を、本発明によれば確実に防止できる。従って、穴あけ加工の精度を良好に維持しつつ、ドリルを長寿命化することができる。
以上より本発明によれば、たとえ軟らかい金属材料等の被削材を穴あけ加工する場合であっても、被削材の加工穴の内周面を傷付けてしまうことを抑制でき、加工品位を高めることができる。
また、前記ドリル正面視で前記第2マージン部のドリル回転方向の前端が、前記シンニング面の外周縁のうちドリル回転方向の前端から、ドリル回転方向とは反対側に離間して配置されている。
この場合、第2マージン部のドリル回転方向の前端が、例えばドリル製造上の誤差等により、意図せずドリル本体の先端面(先端逃げ面)の外周縁に位置してしまうような不具合を確実に防止することができる。従って、上述した本発明による作用効果がより安定して奏功される。
またこの場合、ドリル正面視においてマージン前壁面の少なくとも一部以上が、逃げ角の大きいシンニング面の外周縁に位置することとなる。マージン前壁面は、ドリル回転方向とは反対側へ向かうに従い(第2マージン部へ接近するに従い)徐々に径方向外側へ向かって緩やかに傾斜している。従って、ドリル側面視では、マージン前壁面とシンニング面との交差稜線部は、軸線方向の先端から基端側へ向かうに従い徐々に径方向の外側へ向けて緩やかに傾斜するテーパ状に延びることとなる。
そして穴あけ加工時においては、被削材に対してドリル本体が軸線方向の先端側へ向けて送られていき、被削材の加工穴に対して、マージン前壁面とシンニング面との交差稜線部が挿入された後、第2マージン部が挿入される。つまり、マージン前壁面とシンニング面とのテーパ状の交差稜線部が、加工穴に対してスムーズに挿入された後、これにガイドされるように第2マージン部が挿入されることになる。
このため上記構成のドリルによれば、第2マージン部が加工穴の内周面を傷付けてしまうような不具合を格別顕著に抑制することができる。
また、上記ドリルにおいて、前記ランド部における前記第2マージン部よりもドリル回転方向とは反対側に、第3マージン部が形成されていることが好ましい。
この場合、ドリルがトリプルマージンタイプとなり、マージンによるガイド機能がより安定して、加工条件やドリル形状によっては、穴あけ加工の精度がさらに高められる場合がある。
また、上記ドリルにおいて、前記ドリル横断面視で、前記第2マージン部と前記第3マージン部との間の二番取り深さは、ドリル回転方向とは反対側に向けて漸次減少していることが好ましい。
この場合、ドリル横断面視において、第2マージン部と第3マージン部との間の二番取り深さが、ドリル回転方向とは反対側に向かうに従い減少しているので、ドリル本体の第3マージン部近傍での肉厚が確保されて、第3マージン部の剛性が増加する。このため、第3マージン部の損傷をより抑制することができる。
また、上記ドリルにおいて、前記ドリル横断面視で、前記第3マージン部のドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端とを結ぶ仮想直線と、前記ランド部における前記第3マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面の延長線との間に形成される角度は、前記第2マージン部のドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端とを結ぶ仮想直線と、前記ランド部における前記第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面の延長線との間に形成される角度よりも小さいことが好ましい。
この場合、第3マージン部に隣接するマージン前壁面が、該第3マージン部に対して緩やかに傾斜し、なだらかに接続する。そして、第3マージン部とマージン前壁面との接続部分に、鋭いエッジが形成されることを確実に防止することができる。これにより、第3マージン部とマージン前壁面との接続部分が、被削材の加工穴の内周面に意図せず切り込んで傷付けてしまうようなことを防止でき、加工面品位を高めることができる。つまり、第3マージン部において、加工穴の面品位を損なうリスクを低減することができる。
また、上記ドリルにおいて、前記ドリル横断面視で、前記ランド部のうち、前記第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面のドリル回転方向の前端よりもドリル回転方向に位置する壁面部分がなす曲率半径が、前記第3マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面がなす曲率半径よりも大きいことが好ましい。
この場合、ドリル横断面視において、第3マージン部に隣接するマージン前壁面の曲率半径を小さく設定し、該マージン前壁面をドリル径方向の外側へ向けて膨出させるように形成することができて、肉厚を大きく確保できる。これにより、マージン幅が小さくなりがちな第3マージン部の剛性を十分に確保することができる。
本発明のドリルによれば、たとえ軟らかい金属材料等の被削材を穴あけ加工する場合であっても、被削材の加工穴の内周面を傷付けてしまうことを抑制でき、加工品位を高めることができる。
本発明の一実施形態に係るドリルの正面図である。 本発明の一実施形態に係るドリルの側面図である。 図1のA部を拡大して示す図である。 図2のC−C断面を示す図(ドリルの横断面図)である。 図4のD部を拡大して示す図である。 図4のドリルの第3マージン部近傍を拡大して示す図である。 図2のB部を拡大して示す図である。 ドリルの参考例を示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係るドリル10について、図面を参照して説明する。
〔ドリルの概略構成〕
図1及び図2に示されるように、本実施形態のドリル10は、軸状をなすドリル本体1を有している。ドリル本体1は、その軸線O方向に沿う一方側部分が刃部とされ、他方側部分(刃部以外の部位)が図示しないシャンク部とされている。
ドリル本体1のシャンク部は、例えば工作機械の主軸やボール盤等に着脱可能に装着される。ドリル本体1は、被削材に対して軸線O回りの周方向のうちドリル回転方向Tに回転させられ、軸線O方向の一方側へ向けて送り出されて、刃部により被削材に切り込んで穴あけ加工を行う。
なお、本実施形態のドリル10は、特に、軟らかい金属材料等からなる被削材の穴あけ加工に適している。
〔本実施形態で用いる向き(方向)の定義〕
本実施形態においては、ドリル本体1の軸線Oが延在する方向、つまり軸線Oに沿う方向を、軸線O方向という。また、軸線O方向のうち、ドリル本体1のシャンク部から刃部へ向かう方向(図2における上方)を先端側といい、刃部からシャンク部へ向かう方向(図2における下方)を基端側という。
また、軸線Oに直交する方向を径方向という。径方向のうち、軸線Oに接近する方向を径方向の内側といい、軸線Oから離間する方向を径方向の外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、穴あけ加工時にドリル本体1が回転させられる向きをドリル回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、ドリル回転方向Tとは反対側(反ドリル回転方向)という。
〔切屑排出溝〕
ドリル本体1の外周には、軸線O方向の先端から基端側へ向かうように延びる切屑排出溝2が、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。切屑排出溝2は、ドリル本体1の先端に開口し、該先端から軸線O方向の基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びている。
複数の切屑排出溝2は、軸線Oに関して回転対称位置となるように、ドリル本体1の外周において周方向に等間隔をあけて(等ピッチで)配置されている。図1に示されるように、切屑排出溝2は、溝の内周が凹曲面状をなしている。
本実施形態の例では、ドリル10がツイストドリルであり、ドリル本体1の外周には、2つの切屑排出溝2が形成されている。
特に図示していないが、切屑排出溝2は、ドリル本体1の軸線O方向に沿う中央部付近から基端側に位置する領域において、径方向外側へ向けてドリル本体1の外周面に切れ上がっている。ドリル本体1において、軸線O方向に沿う切屑排出溝2が形成された範囲が刃部とされ、この範囲よりも基端側の部位がシャンク部とされている。
〔先端面(先端逃げ面)、切れ刃及びシンニング面〕
図1及び図2において、ドリル本体1の先端部には、ドリル10の先端側(ドリル送り方向)を向く先端面(先端逃げ面)3と、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aと先端面3との交差稜線部に形成された切れ刃4と、先端面3と該先端面3のドリル回転方向Tとは反対側に隣り合う切屑排出溝2との間に形成されたシンニング面5と、が備えられる。
先端面(先端逃げ面)3は、切れ刃4のドリル回転方向Tとは反対側に隣接配置された第1先端逃げ面6と、第1先端逃げ面6のドリル回転方向Tとは反対側に隣接配置された第2先端逃げ面7と、を備えている。
第1先端逃げ面6は、切れ刃4からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い漸次軸線O方向の基端側へ向けて傾斜している。第2先端逃げ面7は、第1先端逃げ面6からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い漸次軸線O方向の基端側へ向けて傾斜しており、第1先端逃げ面6よりも大きな逃げ角を有している。つまり、第2先端逃げ面7におけるドリル周方向に沿う単位長さあたりの軸線O方向への変位量(逃げ角に相当する傾き)は、第1先端逃げ面6における前記変位量よりも大きい。
図1に示されるドリル正面視において、第1先端逃げ面6は、径方向に延びる帯状(径方向に長い略四角形状)をなしており、第2先端逃げ面7は、扇形状をなしている。
本実施形態の例では、先端面3が、互いに異なる2つの傾斜面(第1先端逃げ面6及び第2先端逃げ面7)を有しているが、これに限定されるものではない。先端面3は、単一の傾斜面により形成されていてもよく、或いは3つ以上の傾斜面を備えていてもよい。
先端面3には、クーラント孔8が開口している。クーラント孔8は、ドリル本体1の内部を切屑排出溝2に沿うようにねじれて延びており、ドリル本体1を軸線O方向に貫通して形成されている。クーラント孔8内には、例えば工作機械の主軸等を通して供給されるクーラント(油性又は水溶性の切削液剤、或いは圧縮エア等)が流通する。クーラントは、ドリル本体1のクーラント孔8を通して、ドリル本体1の先端部及び被削材の加工部位に向けて流出させられる。
本実施形態の例では、クーラント孔8が、先端面3のうち第2先端逃げ面7上に開口している。これに代えて、またはこれとともに、クーラント孔8が、第1先端逃げ面6やシンニング面5に開口していてもよい。
切れ刃4は、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aにおける先端部と、先端面3における第1先端逃げ面6と、の交差稜線部に形成されている。切れ刃4は、壁面2aをすくい面とし、先端面3(第1先端逃げ面6)を逃げ面として形成されている。切れ刃4は、先端刃や主切れ刃ということができる。
切れ刃4の刃長(全長)のうち、径方向内側の端部に位置する部分はシンニング刃9とされている。シンニング刃9は、図2に符号14で示されるシンニング壁面(シンニングすくい面)と、先端面3(第1先端逃げ面6)との交差稜線部に形成されている。
図1において、シンニング面5は、ドリル本体1の先端部のうち、切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側を向く壁面2bから溝底部(切屑排出溝2のうち最も径方向内側に位置する最深部)にかけての領域と、該領域のドリル回転方向Tに隣り合う先端面3と、の間に位置する部分に形成されている。シンニング面5は、軸線O方向の先端側及びドリル回転方向Tとは反対側を向くように傾斜した平面状をなしている。
シンニング面5は、先端面3(第1先端逃げ面6及び第2先端逃げ面7)よりも大きな逃げ角を有している。つまり、シンニング面5におけるドリル周方向に沿う単位長さあたりの軸線O方向への変位量(逃げ角に相当する傾き)は、先端面(先端逃げ面)3における前記変位量よりも大きい。
〔ランド部及び第1〜第3マージン部〕
図1、図2及び図4において、ドリル本体1の外周のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝2同士の間には、ランド部15が形成されている。
ランド部15は、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aのドリル回転方向Tとは反対側に隣接配置された第1マージン部11と、第1マージン部11よりもドリル回転方向Tとは反対側に配置された第2マージン部12と、第2マージン部12よりもドリル回転方向Tとは反対側に配置された第3マージン部13と、を備えている。つまり、本実施形態のドリル10は、トリプルマージンタイプのドリルである。なお、図2には、第3マージン部13の形状を具体的には図示していない。
また、ランド部15のうち、第1マージン部11、第2マージン部12及び第3マージン部13以外の部位は、これらのマージン部よりも径方向内側に後退させられた二番取り面とされている。
切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aと、第1マージン部11との交差稜線部のうち、少なくとも軸線O方向の先端部には、リーディングエッジ(外周刃)が形成されている。ドリル本体1の刃部の外径は、軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い漸次僅かに小さくされており、バックテーパが与えられている。これに応じて、リーディングエッジの外径も、ドリル本体1の先端から基端側へ向けて徐々に小さくされている。ただしこれに限定されるものではなく、ドリル本体1の刃部には、バックテーパが付与されていなくてもよい。
ランド部15において第1マージン部11は、切れ刃4の最外径(切れ刃4の径方向の外端が軸線O回りに回転して形成される回転軌跡の円の直径)と略等しい外径を有する仮想円筒面上に位置するように形成されている。第1マージン部11は、切屑排出溝2が螺旋状にねじれて延びているのにともなって、軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びている。
図1に示されるドリル正面視、及び図4に示されるドリル本体1の軸線Oに直交する断面視(ドリル横断面視)において、第1マージン部11は、軸線Oを中心とする円弧状をなしている。また図1のドリル正面視で、第1マージン部11は、先端面3(第1先端逃げ面6)の外周縁に配置されている。このため、第1マージン部11の軸線O方向の先端は、先端面3に接続している。
図1及び図4に示されるように、ランド部15において第2マージン部12は、第1マージン部11に対してドリル回転方向Tとは反対側に離間して配置されている。図2において、第2マージン部12は、軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びている。第2マージン部12は、第1マージン部11に対して略平行に延びている。
図1に示されるドリル正面視及び図4に示されるドリル横断面視で、第2マージン部12は、軸線Oを中心とする円弧状をなしている。本実施形態の例では、第2マージン部12のマージン幅(円弧の長さ)が、第1マージン部11のマージン幅よりも小さくされている。
そして、図1及び図3に示されるように、ドリル本体1を軸線O方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aは、シンニング面5の外周縁に配置されている。つまりこのドリル正面視において、第2マージン部12は、その全体(円弧の全長)がシンニング面5の外周縁に位置している。このため、図7に示されるように、第2マージン部12の軸線O方向の先端は、シンニング面5にのみ接続しており、先端面3には接続していない。
また、図1に示されるドリル正面視において、第2マージン部12は、シンニング面5の外周縁のうち、ドリル回転方向Tの前端5aとドリル回転方向Tとは反対側の後端5b(ヒールに相当)との中間点5cよりも、ドリル回転方向Tに配置されている。つまり、このドリル正面視で、第2マージン部12は、シンニング面5の外周縁のうち前端5aと中間点5cとの間に位置している。
また、図1及び図3に示されるドリル正面視において、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aは、シンニング面5の外周縁のうちドリル回転方向Tの前端5aから、ドリル回転方向Tとは反対側に離間して配置されている。図示の例では、シンニング面5の前端5aから第2マージン部12の前端12aまでのドリル周方向に沿う距離が、第2マージン部12のマージン幅に対して略同一に設定されている。
そして、図5に示されるドリル本体1の軸線Oに直交する(軸線Oに垂直な)ドリル横断面視において、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aとドリル回転方向Tとは反対側の後端12bとを結ぶ仮想直線VLaと、ランド部15における第2マージン部12のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面(第2マージン前壁面)16の延長線Laと、の間に形成される角度θaが、30°以下である。
具体的に、マージン前壁面16は、第2マージン部12の軸線O回りの回転軌跡(後述する仮想円筒面VC)よりも径方向内側に位置しており(図1参照)、本実施形態において角度θaは、0°を超え30°以下である。
マージン前壁面16は、ランド部15の二番取り面に形成され、第2マージン部12のドリル回転方向Tに隣接配置されている。マージン前壁面16は、ドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次径方向の外側へ向けて傾斜して形成されている。従って、マージン前壁面16の上記延長線Laも、ドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い漸次径方向の外側へ向けて傾斜して延びている。そして上記角度θaは、この延長線Laと、仮想直線VLaとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。
図1及び図4において、符号VCは、第2マージン部12が軸線O回りに回転して形成される仮想円筒面を表している。マージン前壁面16は、ドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い(第2マージン部12に近づくに従い)徐々に仮想円筒面VCに接近するように、緩やかに傾斜して延びている。
本実施形態の例では、図4及び図5に示されるドリル横断面視において、マージン前壁面16が、径方向外側へ向けて膨出する凸曲線状、又は直線状をなしている。そしてマージン前壁面16は、第2マージン部12の前端12aに対して接するように、なだらかに接続している。なお、このドリル横断面視で、マージン前壁面16は凹曲線状をなしていてもよい。ただし、マージン前壁面16のうち少なくとも第2マージン部12との接続部分については、ドリル横断面視において径方向外側へ向けて凸となる凸曲線状又は直線状に形成されていることが好ましい。特には、ドリル横断面視において、マージン前壁面16の全体が径方向外側へ向けて凸となる凸曲線状又は直線状に形成されていることが好ましい。
本実施形態の例では、図5に示されるドリル横断面視において、ランド部15のうち、マージン前壁面16のドリル回転方向Tの前端16aのドリル回転方向T前後の壁面同士が、互いに大きな鈍角(略150°〜180°)を形成するように交差している。すなわち、図5においてマージン前壁面16と、該マージン前壁面16の前端16aよりもドリル回転方向Tに位置する壁面部分19とが、互いの間に上記鈍角を形成するようになだらかに接続している。これにより、マージン前壁面16と壁面部分19との接続部分(前端16a近傍)は、凹状又は平面状に形成される。なお、ドリル本体1側から見た場合には、マージン前壁面16のドリル回転方向Tの前端16aのドリル回転方向T前後の壁面同士は、略180°〜210°の角度で交差している、ともいえる。
図3に示されるドリル正面視において、本実施形態の例では、マージン前壁面16のドリル回転方向Tの前端16aが、先端面3(第2先端逃げ面7)の外周縁に位置している。ただしこれに限定されるものではなく、マージン前壁面16のドリル回転方向Tの前端16aは、シンニング面5の外周縁に位置していてもよい。
図1及び図4に示されるように、ランド部15において第3マージン部13は、第2マージン部12に対してドリル回転方向Tとは反対側に離間して配置されている。第3マージン部13は、軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い漸次ドリル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びる。第3マージン部13は、第1マージン部11及び第2マージン部12に対して略平行に延びる。
本実施形態の例では、図1において、ランド部15の二番取り面のうち、第2マージン部12よりもドリル回転方向Tとは反対側に位置する部位における二番取り深さ(径方向の深さ)が、ドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い徐々に浅くされている。そして、ランド部15におけるドリル回転方向Tとは反対側の後端部(ヒール近傍)が、仮想円筒面VC上に位置することで第3マージン部13とされている。
なお、図示の例では、ランド部15の二番取り面のうち第1マージン部11と第2マージン部12との間に位置する部位については、マージン前壁面16を除いて、二番取り深さが略一定とされている。
より詳しくは、本実施形態の例では、図6に示されるドリル本体1の軸線Oに直交するドリル横断面視において、第3マージン部13のマージン幅(円弧の長さ)が、第2マージン部12のマージン幅よりも小さくされている。また本発明例の実施形態では、図4及び図6に示されるドリル横断面視において、第2マージン部12と第3マージン部13との間の二番取り深さ(二番取り面の径方向深さ)が、ドリル回転方向Tとは反対側に向けて漸次減少している。
また図6に示されるドリル横断面視において、第3マージン部13のドリル回転方向Tの前端13aとドリル回転方向Tとは反対側の後端13bとを結ぶ仮想直線VLbと、ランド部15における第3マージン部13のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面(第3マージン前壁面)18の延長線Lbとの間に形成される角度θbは、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aとドリル回転方向Tとは反対側の後端12bとを結ぶ仮想直線VLaと、ランド部15における第2マージン部12のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面(第2マージン前壁面)16の延長線Laとの間に形成される角度θaよりも、小さい。つまり、角度θa>角度θbである。
また本発明例の実施形態では、図4に示されるドリル横断面視において、ランド部15のうち、マージン前壁面(第2マージン前壁面)16のドリル回転方向Tの前端16aよりもドリル回転方向Tに位置する壁面部分19がなす曲率半径が、第3マージン部13のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面(第3マージン前壁面)18がなす曲率半径よりも大きく形成される。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態のドリル10によれば、ドリル本体1の先端面3を正面に見たドリル正面視(ドリル先端視)において、第2マージン部12が、シンニング面5の外周縁に配置されている。すなわち、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aが、先端面(先端逃げ面)3ではなく、シンニング面5の外周縁に配置されている。つまり、ドリル正面視で、第2マージン部12の全体(第2マージン部12である円弧の全長)が、シンニング面5の外周縁に位置している。このため、ドリル本体1の先端面3と第2マージン部12との間には交差稜線部が形成されることはなく、シンニング面5と第2マージン部12との間に、交差稜線部が形成される。
図2及び図7に示されるように、シンニング面5は、ドリル本体1の先端面3よりも逃げ角が大きくされている。従って、例えば本実施形態とは異なり先端面と第2マージン部との間に形成された交差稜線部に比べて、本実施形態のようにシンニング面5と第2マージン部12との間に形成された交差稜線部は、ドリル周方向の単位長さあたりのドリル軸線O方向への変位量(つまり傾き)が大きくなる。このため、本実施形態における第2マージン部12の交差稜線部は、被削材の加工穴の内周面に対して傾斜が立った状態とされて、加工穴の内周面の加工面品位に影響を及ぼしにくくされている。
さらに本実施形態では、図1に示されるドリル正面視において、第2マージン部12が、シンニング面5の外周縁のうち、ドリル回転方向Tの前端5aとドリル回転方向Tとは反対側の後端5bとの中間点5cよりも、ドリル回転方向Tに配置されている。
つまり、ドリル正面視において第2マージン部12が、シンニング面5の外周縁のうち、ドリル回転方向Tの前端5aから中間点5cの間に位置しているので、第2マージン部12の軸線O方向の先端部が、切れ刃4から軸線O方向の基端側へ向けて大きく離間するようなことを抑制できる。従って、穴あけ加工時において、第2マージン部12によるガイド機能がより安定したものとなる。
そして本実施形態は、図5に示されるドリル横断面視において、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aとドリル回転方向Tとは反対側の後端12bとを結ぶ仮想直線VLaと、ランド部15における第2マージン部12のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面16の延長線Laと、の間に形成される角度θaが、30°以下である。言い換えると、マージン前壁面16と第2マージン部12とが、互いの間に大きな鈍角(略150°以上)を形成するように交差しており、これらのマージン前壁面16と第2マージン部12との接続部分において、エッジが形成されないようになっている。
具体的には、仮想直線VLaとマージン前壁面16の延長線Laとの間に形成される角度θaが、30°以下であるので、第2マージン部12に対して、マージン前壁面16を緩やかに傾斜させつつ、なだらかに接続することができる。そして、第2マージン部12とマージン前壁面16との接続部分に、鋭いエッジが形成されることを防止できる。
従って、第2マージン部12とマージン前壁面16との接続部分が、被削材の加工穴の内周面に意図せず切り込んで傷付けてしまうようなことを確実に防止でき、加工面品位を高めることができる。
また、仮想直線VLaとマージン前壁面16の延長線Laとの間に形成される角度θaが、10°以上であるので、マージン前壁面16が第2マージン部12に対して緩やかな傾斜となり過ぎて、意図せずマージンとして機能してしまうことを、本実施形態によれば防止できる。つまり本実施形態では、マージン前壁面16が確実に二番取り面として機能し、マージン前壁面16が第2マージン部12とともに被削材の加工穴の内周面に摺接してしまうようなことを防止できる。
従って、例えばマージン前壁面16が加工穴の内周面に摺接して第2マージン部12の所期するマージン機能に影響を与えたり、切削抵抗を増大させてしまうような不具合を、本実施形態によれば確実に防止できる。従って、穴あけ加工の精度を良好に維持しつつ、ドリル10を長寿命化することができる。
以上より本実施形態によれば、たとえ軟らかい金属材料等の被削材を穴あけ加工する場合であっても、被削材の加工穴の内周面を傷付けてしまうことを抑制でき、加工品位を高めることができる。
また本実施形態では、ドリル正面視において第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aが、シンニング面5の外周縁のうちドリル回転方向Tの前端5aから、ドリル回転方向Tとは反対側に離間して配置されているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aが、例えばドリル製造上の誤差等により、意図せずドリル本体1の先端面(先端逃げ面)3の外周縁に位置してしまうような不具合を確実に防止することができる。従って、上述した本実施形態による作用効果がより安定する。
またこの場合、ドリル正面視においてマージン前壁面16の少なくとも一部以上が、逃げ角の大きいシンニング面5の外周縁に位置することとなる。マージン前壁面16は、ドリル回転方向Tとは反対側へ向かうに従い(第2マージン部12へ接近するに従い)徐々に径方向外側へ向かって緩やかに傾斜している。従って、ドリル側面視では、マージン前壁面16とシンニング面5との交差稜線部(図3及び図7の符号17)は、軸線O方向の先端から基端側へ向かうに従い徐々に径方向の外側へ向けて緩やかに傾斜するテーパ状に延びることとなる。
そして穴あけ加工時においては、被削材に対してドリル本体1が軸線O方向の先端側へ向けて送られていき、被削材の加工穴に対して、マージン前壁面16とシンニング面5との交差稜線部17が挿入された後、第2マージン部12が挿入される。つまり、マージン前壁面16とシンニング面5とのテーパ状の交差稜線部17が、加工穴に対してスムーズに挿入された後、これにガイドされるように第2マージン部12が挿入されることになる。
このため本実施形態のドリル10によれば、第2マージン部12が加工穴の内周面を傷付けてしまうような不具合を格別顕著に抑制することができる。
また本実施形態では、ランド部15における第2マージン部12よりもドリル回転方向Tとは反対側に、第3マージン部13が形成されているので、ドリル10がトリプルマージンタイプとなり、マージンによるガイド機能がより安定する。このため、加工条件やドリル形状により、穴あけ加工の精度がさらに高められる場合がある。
また本実施形態では、図5に示されるドリル横断面視において、マージン前壁面16のドリル回転方向Tの前端16aのドリル回転方向T前後の壁面同士が互いに大きな鈍角(略150°〜180°)を形成するように交差しているので、第2マージン部12の剛性が十分に確保されるとともに、マージン前壁面16が第2マージン部12の前端12aに対してよりなだらかに接続できることから、好ましい。
また本実施形態では、図4に示されるドリル横断面視において、第2マージン部12と第3マージン部13との間の二番取り深さ(二番取り面の径方向深さ)が、ドリル回転方向Tとは反対側に向けて漸次減少している。このため、ドリル本体1の第3マージン部13近傍での肉厚が確保されて、第3マージン部13の剛性が高まり、第3マージン部13の損傷をより抑制することができる。
また本実施形態では、図6に示されるドリル横断面視において、第3マージン部13のドリル回転方向Tの前端13aとドリル回転方向Tとは反対側の後端13bとを結ぶ仮想直線VLbと、ランド部15における第3マージン部13のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面18の延長線Lbとの間に形成される角度θbが、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aとドリル回転方向Tとは反対側の後端12bとを結ぶ仮想直線VLaと、ランド部15における第2マージン部12のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面16の延長線Laとの間に形成される角度θaよりも小さいので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、第3マージン部13に隣接するマージン前壁面18が、該第3マージン部13に対して緩やかに傾斜し、なだらかに接続する。そして、第3マージン部13とマージン前壁面18との接続部分に、鋭いエッジが形成されることを確実に防止することができる。これにより、第3マージン部13とマージン前壁面18との接続部分が、被削材の加工穴の内周面に意図せず切り込んで傷付けてしまうようなことを防止でき、加工面品位を高めることができる。つまり、第3マージン部13において、加工穴の面品位を損なうリスクを低減することができる。
また本実施形態では、図4に示されるドリル横断面視において、ランド部15のうち、第2マージン部12のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面16のドリル回転方向Tの前端16aよりもドリル回転方向Tに位置する壁面部分19がなす曲率半径が、第3マージン部13のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面18がなす曲率半径よりも大きいので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、ドリル横断面視において、第3マージン部13に隣接するマージン前壁面18の曲率半径を小さく設定し、該マージン前壁面18をドリル径方向の外側へ向けて膨出させるように形成することができて、肉厚を大きく確保できる。これにより、マージン幅が小さくなりがちな第3マージン部13の剛性を十分に確保することができる。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、第3マージン部13が設けられたトリプルマージンタイプのドリル10を用いて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、ドリル10は、第3マージン部13が設けられていないダブルマージンタイプであってもよい。
また、前述の実施形態では、ドリル正面視において、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aが、シンニング面5の外周縁におけるドリル回転方向Tの前端5aから、ドリル回転方向Tとは反対側に離間して配置されているとした。ただし参考例ではこれに限定されるものではなく、図8に示されるように、第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aが、シンニング面5の外周縁におけるドリル回転方向Tの前端5aに対して一致していてもよい。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例、参考例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、超硬合金製のコーティングオイルホールドリルを用いて、被削材S50C(A)の加工初期における穴精度(JIS B 0601 2001に規定される断面曲線の最大断面高さPt、粗さ曲線の最大高さRz)を評価した。
具体的には、横型マシニングセンター(主軸HSK−A63)を用い、下記の加工条件にて、本発明例のドリル10と、比較例(従来例)のドリルとを用いて、200穴加工した後の穴精度を評価した。
<加工条件>
切削速度Vc:80m/min
回転数n:4246min−1
送り量f:0.18mm/rev
送り速度Vf:764mm/min
加工深さ:120mm
冷却方式:ミスト冷却
ドリルの基本形状は、外径φ6mm×溝長139mm×全長190mmとした。そして、ドリル正面視における第2マージン部12の位置、及び、ドリル横断面視における第2マージン部12のドリル回転方向Tの前端12aと後端12bとを結ぶ仮想直線VLaとランド部15における第2マージン部12のドリル回転方向Tに隣接するマージン前壁面16の延長線Laとの間に形成される角度θa(以下、角度θaと記載する)を、下記の通りとした。
本発明例1は、図1に示されるドリル正面視において、第2マージン部12が、シンニング面5の外周縁のうち、ドリル回転方向Tの前端5aとドリル回転方向Tとは反対側の後端5bとの中間点5cよりも、ドリル回転方向Tに配置されたドリル10を用いた。また、角度θaは20°とした。
本発明例2は、本発明例1に対して更に、第2マージン部12よりもドリル回転方向Tとは反対側に第3マージン部13を形成したドリル10を用いた。
比較例1は、ドリル正面視において第2マージン部が、シンニング面の外周縁のうち、ドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端との中間点よりも、ドリル回転方向に配置されたドリルを用いた。また、角度θaは40°とした。
比較例2は、比較例1に対して更に、第2マージン部よりもドリル回転方向とは反対側に第3マージン部を形成したドリルを用いた。
比較例3は、ドリル正面視において第2マージン部が、シンニング面の外周縁のうち、ドリル回転方向とは反対側の後端に配置されたドリルを用いた。また、角度θaは20°とした。
比較例4は、特許文献1(特開2007−15073号公報)のように、ドリル正面視において第2マージン部が、先端逃げ面の外周縁に配置されたドリルを用いた。また、角度θaは20°とした。
比較例5は、比較例4に対して更に、第2マージン部よりもドリル回転方向とは反対側に第3マージン部を形成したドリルを用いた。
上記の各ドリルを用いた穴あけ加工試験の評価結果を、表1に示す。
Figure 0006753174
試験の結果、本発明例1、2のドリル10で加工した穴は、うねりが極めて少なく表面も平滑であり、優れた加工品位であることが確認された。
[実施例2]
実施例2では、実施例1の評価で用いた本発明例1と比較例3について、追加評価を実施した。試験条件は700穴加工とした以外は実施例1と同じとし、先端逃げ面の摩耗幅を評価した。試験の結果を表2に示す。
Figure 0006753174
試験の結果、本発明例1は比較例3に比べて摩耗幅が小さく、加工穴もより優れた加工品位であることを確認した。
本発明のドリルは、たとえ軟らかい金属材料等の被削材を穴あけ加工する場合であっても、被削材の加工穴の内周面を傷付けてしまうことを抑制でき、加工品位を高めることができる。従って、産業上の利用可能性を有する。
1 ドリル本体
2 切屑排出溝
2a 壁面
3 先端面(先端逃げ面)
4 切れ刃
5 シンニング面
5a 前端
5b 後端(ヒール)
5c 中間点
10 ドリル
11 第1マージン部
12 第2マージン部
12a 前端
12b 後端
13 第3マージン部
13a 前端
13b 後端
15 ランド部
16 マージン前壁面(第2マージン前壁面)
16a 前端
18 マージン前壁面(第3マージン前壁面)
19 壁面部分
La、Lb 延長線
O 軸線
T ドリル回転方向
VLa、VLb 仮想直線
θa、θb 角度

Claims (5)

  1. 軸状をなし、軸線回りの周方向のうちドリル回転方向に回転させられるドリル本体と、
    前記ドリル本体の外周に、軸線方向の先端から基端側へ向かうように延び、周方向に互いに間隔をあけて形成された複数の切屑排出溝と、
    前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の先端面との交差稜線部に形成された切れ刃と、
    前記先端面と該先端面のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記切屑排出溝との間に形成されたシンニング面と、
    前記ドリル本体の外周において周方向に隣り合う前記切屑排出溝同士の間に形成されたランド部と、
    前記ランド部において前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面に隣接配置された第1マージン部と、
    前記ランド部において前記第1マージン部よりもドリル回転方向とは反対側に配置された第2マージン部と、を備えたドリルであって、
    前記ドリル本体を軸線方向の先端から基端側へ向けて見たドリル正面視で、前記第2マージン部は、前記シンニング面の外周縁のうち、ドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端との中間点よりも、ドリル回転方向に配置されており、
    前記ドリル本体の軸線に直交するドリル横断面視において、前記第2マージン部のドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端とを結ぶ仮想直線と、前記ランド部における前記第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面の延長線と、の間に形成される角度が、30°以下であり、
    前記ドリル正面視において前記第2マージン部のドリル回転方向の前端が、前記シンニング面の外周縁のうちドリル回転方向の前端から、ドリル回転方向とは反対側に離間して配置されていることを特徴とするドリル。
  2. 請求項1に記載のドリルであって、
    前記ランド部における前記第2マージン部よりもドリル回転方向とは反対側に、第3マージン部が形成されていることを特徴とするドリル。
  3. 請求項に記載のドリルであって、
    前記ドリル横断面視において、前記第2マージン部と前記第3マージン部との間の二番取り深さは、ドリル回転方向とは反対側に向けて漸次減少していることを特徴とするドリル。
  4. 請求項又はに記載のドリルであって、
    前記ドリル横断面視において、前記第3マージン部のドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端とを結ぶ仮想直線と、前記ランド部における前記第3マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面の延長線との間に形成される角度は、前記第2マージン部のドリル回転方向の前端とドリル回転方向とは反対側の後端とを結ぶ仮想直線と、前記ランド部における前記第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面の延長線との間に形成される角度よりも小さいことを特徴とするドリル。
  5. 請求項のいずれか一項に記載のドリルであって、
    前記ドリル横断面視において、前記ランド部のうち、前記第2マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面のドリル回転方向の前端よりもドリル回転方向に位置する壁面部分がなす曲率半径が、前記第3マージン部のドリル回転方向に隣接するマージン前壁面がなす曲率半径よりも大きいことを特徴とするドリル。
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