JP6834810B2 - ドリル - Google Patents
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つまり、切れ刃の中でも切削負荷が高く刃先強度が不足しがちなシンニング切れ刃部の径方向内端部におけるホーニング幅を十分に確保でき、これによりドリル先端剛性を高めて、高精度な穴あけ加工を安定して行うことができる。
ドリル本体1の軸線Oに沿う方向(軸線Oが延在する方向)を、軸線O方向という。また、軸線O方向のうち、ドリル本体1のシャンク部から刃部へ向かう方向(図2における上方)を先端側といい、刃部からシャンク部へ向かう方向(図2における下方)を後端側という。
また、軸線Oに直交する方向を径方向という。径方向のうち、軸線Oに接近する方向を径方向の内側といい、軸線Oから離間する方向を径方向の外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、穴あけ加工時にドリル本体1が回転させられる向きをドリル回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、ドリル回転方向Tとは反対側(反ドリル回転方向)という。
本実施形態の例では、ドリル10がツイストドリルであり、ドリル本体1の外周には、2つの切屑排出溝2が形成されている。またこれにともなって、ドリル本体1の後述する先端面3、切れ刃4、シンニング面5及びランド部15についても、それぞれ2つずつ(各一対)形成されている。
第1先端逃げ面6は、切れ刃4からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い徐々に軸線O方向の後端側へ向けて傾斜している。第2先端逃げ面7は、第1先端逃げ面6からドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従い徐々に軸線O方向の後端側へ向けて傾斜しており、第1先端逃げ面6よりも大きな逃げ角を有している。つまり、第2先端逃げ面7におけるドリル周方向に沿う単位長さあたりの軸線O方向への変位量(逃げ角に相当する傾き)は、第1先端逃げ面6における前記変位量よりも大きい。
本実施形態の例では、先端面3が、互いに異なる2つの傾斜面(第1先端逃げ面6及び第2先端逃げ面7)を有しているが、これに限定されるものではない。先端面3は、単一の傾斜面により形成されていてもよく、或いは3つ以上の傾斜面を備えていてもよい。
なお、本実施形態でいう「ホーニング幅」とは、切れ刃4にホーニング処理を施すことにより形成されて該切れ刃4の刃長方向に沿って延びるホーニング(丸みや面取り等)の、切れ刃4の刃長方向に垂直な向きの長さ(つまり幅)を指す。
図6は、シンニング切れ刃部9の刃長方向に垂直な断面を示す刃先拡大図である。図6に示されるように、シンニング切れ刃部9は、軸線O方向の先端から後端側(図6における下方)へ向かうに従いドリル回転方向Tへ向けて傾斜する直線部17と、直線部17と第1先端逃げ面6(先端面3)とを滑らかに接続する凸曲線部18と、直線部17とシンニング壁面14(切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2a)とを滑らかに接続する凸曲線部19と、を有する。つまり、本実施形態のシンニング切れ刃部9は、チャンファホーニングと丸ホーニングとを組み合わせて形成された複合ホーニングである。そして、直線部17の傾きに応じて設定されるシンニング切れ刃部9の微視的なすくい角についても、シンニング切れ刃部9の刃長全域にわたって一定とされている。
図1及び図2に示されるように、主切れ刃部13のホーニング幅は、該主切れ刃部13の刃長全域で一定である。主切れ刃部13のホーニング幅は、シンニング切れ刃部9の径方向外端におけるホーニング幅に等しい。
ランド部15は、切屑排出溝2のドリル回転方向Tを向く壁面2aのドリル回転方向Tとは反対側に隣接配置された第1マージン部11と、第1マージン部11よりもドリル回転方向Tとは反対側に、該第1マージン部11から離間して配置された第2マージン部12と、を備えている。つまり本実施形態のドリル10は、ダブルマージンタイプのドリルである。図示の例では、第2マージン部12が、切屑排出溝2のドリル回転方向Tとは反対側を向く壁面2bのドリル回転方向Tに隣接配置(つまりヒールに隣接配置)されている。
またランド部15のうち、第1マージン部11及び第2マージン部12以外の部位は、これらのマージン部11、12よりも径方向内側に後退させられた二番取り面とされている。
つまり、切れ刃4の中でも切削負荷が高く刃先強度が不足しがちなシンニング切れ刃部9の径方向内端部におけるホーニング幅を十分に確保でき、これによりドリル先端剛性を高めて、高精度な穴あけ加工を安定して行うことができる。
上記構成のように、シンニング切れ刃部9のホーニング幅が50μm以上とされていれば、シンニング切れ刃部9の刃先強度を確実に向上できる。
また、シンニング切れ刃部9のホーニング幅が100μm以下とされていれば、シンニング切れ刃部9の切れ味を良好に維持することができる。
このため、先端面(先端逃げ面)3に対してシンニング面5の割合が大きくなる傾向にあり、シンニング面5が大きく形成されるので切屑排出性が優れ切削抵抗が低下する。また、シンニング切れ刃部9の径方向内端部におけるすくい面(シンニング壁面14)上のスペース(シンニング切れ刃部9の切屑ポケットとなるスペース)を大きく確保することができ、特にチゼル付近での切屑詰まりを抑えて切屑排出性を向上できる。これにより、穴あけ加工の精度が安定して高められる。
上記構成のように、第1の交差稜線R1の延長線Lと、第2の交差稜線R2との間の周方向に沿う距離Aが0.04mm以下とされていれば、上述のようにシンニング面5の面積割合を大きくして切屑排出性を高めつつも、チゼルの剛性を低減させてしまうことを防止でき、ドリル先端剛性を良好に維持することができる。
すなわちこの場合、シンニング切れ刃部9が被削材を切削して生じた切屑を、凹部20に一時的に保持して排出させることで、チゼル近傍での切屑詰まりを防止できる。つまり、シンニング切れ刃部9付近の切屑排出性が高められて、穴あけ加工の精度を向上できる。
2 切屑排出溝
2a 壁面
3 先端面(先端逃げ面)
4 切れ刃
5 シンニング面
9 シンニング切れ刃部
10 ドリル
13 主切れ刃部
16 接続部分(シンニング切れ刃部の径方向外端)
20 凹部
A 距離
L 延長線(仮想直線)
O 軸線
R 交差稜線
R1 第1の交差稜線(一方の交差稜線)
R2 第2の交差稜線(他方の交差稜線)
T ドリル回転方向
Claims (7)
- 軸状をなし、軸線回りの周方向のうちドリル回転方向に回転させられるドリル本体と、
前記ドリル本体の外周に、前記軸線方向の先端から後端側へ向けて延びる切屑排出溝と、
前記切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面と前記ドリル本体の先端面との交差稜線部に形成された切れ刃と、
前記先端面と、該先端面のドリル回転方向とは反対側に隣り合う前記切屑排出溝との間に形成されたシンニング面と、を備え、
前記切れ刃のうち、少なくとも前記軸線に直交する径方向の内側部分に位置するシンニング切れ刃部は、ホーニング刃であり、
前記シンニング切れ刃部においてホーニング幅が最大となる位置は、
前記シンニング切れ刃部の刃長をXとして、前記シンニング切れ刃部の径方向内端から径方向外端へ向けた長さX×(1/6)の位置よりも径方向外側であり、かつ、長さX×(1/3)の位置よりも径方向内側であり、
前記シンニング切れ刃部の径方向外端におけるホーニング幅に対して、該シンニング切れ刃部のホーニング幅の最大値が、1.5倍以上であるドリル。 - 請求項1に記載のドリルであって、
前記シンニング切れ刃部のすくい角が、該シンニング切れ刃部の刃長全域で一定であるドリル。 - 請求項1又は2に記載のドリルであって、
前記シンニング切れ刃部の径方向外端におけるホーニング幅に対して、該シンニング切れ刃部のホーニング幅の最大値が、2.5倍以下であるドリル。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のドリルであって、
当該ドリルはツイストドリルであり、前記ドリル本体には前記先端面及び前記シンニング面が各一対形成され、
前記ドリル本体を前記軸線方向の先端から後端側へ向けて見たドリル正面視で、
前記先端面と前記シンニング面との交差稜線は直線状をなしており、
一対の前記交差稜線のうち、第1の交差稜線を第2の交差稜線に向けて延ばした延長線は、該第2の交差稜線上に一致し、又は、該第2の交差稜線よりもドリル回転方向とは反対側に配置されるドリル。 - 請求項4に記載のドリルであって、
一対の前記交差稜線のうち、第1の交差稜線を第2の交差稜線に向けて延ばした延長線は、該第2の交差稜線よりもドリル回転方向とは反対側に配置され、
前記延長線と前記第2の交差稜線との間の周方向に沿う距離が、0.04mm以下であるドリル。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のドリルであって、
前記切れ刃は、前記シンニング切れ刃部の径方向外側に接続する主切れ刃部を有し、
前記主切れ刃部は、ホーニング刃であり、
前記主切れ刃部のホーニング幅が、該主切れ刃部の刃長全域で一定であるドリル。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のドリルであって、
前記シンニング面の径方向内端部に凹部が形成されているドリル。
Priority Applications (1)
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JP2017126666A JP6834810B2 (ja) | 2017-06-28 | 2017-06-28 | ドリル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017126666A JP6834810B2 (ja) | 2017-06-28 | 2017-06-28 | ドリル |
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JP2019005882A JP2019005882A (ja) | 2019-01-17 |
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Family
ID=65026674
Family Applications (1)
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JP2017126666A Active JP6834810B2 (ja) | 2017-06-28 | 2017-06-28 | ドリル |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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JP7456565B1 (ja) | 2023-01-12 | 2024-03-27 | 住友電工ハードメタル株式会社 | ドリル |
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2017
- 2017-06-28 JP JP2017126666A patent/JP6834810B2/ja active Active
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JP2019005882A (ja) | 2019-01-17 |
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